JP3513591B2 - 磁気勾配下液中微粒子磁気トラップ分離方法及び装置 - Google Patents

磁気勾配下液中微粒子磁気トラップ分離方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小型永久磁石ある
いは外部磁場により微小領域に発生する磁気勾配を利用
し、常磁性金属イオン水溶液中等の溶媒に懸濁した生体
微粒子等の磁気微粒子を磁気トラップ力と微粒子懸濁溶
媒の流速の制御により微粒子サイズ及び磁化率による微
粒子の分離を行う磁気勾配下液中微粒子磁気トラップ分
離方法及び装置に関する。
【0002】
【従来技術】外部場として磁場を利用する分離法は、1
970年代より、回転ディスク式磁気分離や高勾配磁気
分離(HGMS)が実用化されてきた。それらの方法で
は、混合物質を様々な磁気勾配を用いて分離している。
特に、HGMSでは、線径数10〜100μm程度の強
磁性線に外部磁界を垂直に印加することによって、磁性
線周辺に非常に大きな磁気勾配を発生させ、分離対象粒
子をさらに微細な磁性の弱いものにまで広げた。また、
近年の超伝導磁石の発達によって、より大きな磁場強
度、磁場勾配が利用できるようになり、磁気分離は、環
境化学および生命化学の分析手法としても期待されてい
る。
【0003】
【解決課題】これまでの磁気分離法は、磁気的性質が大
きく異なる多量の物質を対象とし、それらを大まかに分
別することが重視されてきたため、粒子個々のサイズ及
び磁化率の違いに基づいて精度良く分離することは検討
されなかった。しかし、たとえば血液中の血球分離にお
いては、1000個の中から1個を分離することのできる精
度が求められている。本発明は、粒子の個別の性質に基
づいて、高精度に分離を達成することを目指して完成さ
れたものである。
【0004】
【解決手段】本発明に係る磁気勾配中流動微粒子磁気ト
ラップ分離方法は、複数のサイズの微粒子を溶媒中に懸
濁させ、該微粒子懸濁溶媒を微小磁場領域内を所定の方
向に流し、その微小領域中に形成された磁気勾配による
該微粒子懸濁溶媒の流れと逆方向に力の働く磁気トラッ
プ力を流動微粒子懸濁溶媒に印加し、各微粒子に作用す
る磁気トラップ力と微粒子懸濁溶媒の流速を制御するこ
とにより微粒子のサイズ及び磁化率に基づいて微粒子を
分離することを特徴とする。
【0005】本発明の磁気勾配中流動微粒子分離装置
は、微小領域に磁場を形成する1対の磁石と、1対の磁石
の間に形成された該微小磁場領域に配置され、複数のサ
イズの磁性微粒子を懸濁させた溶媒を一方向に流すセル
と、微小領域中に形成される磁気勾配が流動微粒子懸濁
溶媒に印加されることによって各微粒子に作用する磁気
トラップ力を制御するトラップ力制御手段と、微粒子懸
濁溶媒の流速を制御する流速制御手段とからなり、各微
粒子に作用する磁気トラップ力と微粒子懸濁溶媒の流速
を制御することにより微粒子のサイズと磁化率に基づい
て微粒子を分離することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の態様】本発明を以下に詳細に説明する。 (1) まず、以下に、本発明に至った実験及び技術解
析及び理論的構成について説明する。小型の永久磁石あ
るいは、磁場中において磁化された一対の微小磁極片を
400マイクロメータ程度の空隙を空けて配置したとき
に磁石端付近に生じる磁場勾配に、100マイクロメー
タ×100マイクロメータ程度の正方形の断面積を有す
るガラスキャピラリーを設置し、マイクロシリンジある
いはマイクロポンプを用いてこれに微粒子を含み一定の
磁化率を有する水溶媒または非水溶媒を一定流速で流
す。図1(a)及び図1(b)参照。一対の磁石あるい
は磁極片の端付近には大きな磁場勾配が発生し、その磁
極端の部分には磁力線の向きが逆転する点(磁力密度B
=0)が存在する。
【0007】磁束密度B=0の点では力が作用しないた
め、この点に微粒子が最も安定にトラップされる。溶液
に流れがある場合には、磁気浮力によるトラップ力と流
れによる粘性力が働き、両者の大小の関係により、例え
ば、流速が増大すると小さな微粒子から順に流出する。
磁束密度B=0の最大トラップ点付近を顕微鏡により観
測し、ある流速においてその領域に入った微粒子数と流
出する粒子数よりトラップ率を求めると、関係式より予
想されるような流出曲線が得られる。
【0008】上記現象について、より詳細に述べる。溶
媒が弱い反磁性で、微粒子が強磁性物質を含む場合、微
粒子には、磁石端の外約100マイクロメータのB=0
の点から磁石の空隙内に向かう磁気力が作用し、これに
対抗する粘性カが働く。溶媒が常磁性で、微粒子が弱い
反磁性の場合は、磁気浮力が磁石の空隙内からB=0点
に向かう方向に働く。図1(c)参照。
【0009】図1(a)においてキャピラリー軸方向
(以下、x方向とし、流れ方向を正方向とする)につい
て考えると磁性粒子が不均一磁場中で受ける力、すなわ
ち磁気力は次のように表される。
【数1】
【0010】図1(c)のグラフはシミュレーションか
ら求めたB(dB/dx)の値である。また、媒体にも
この力が同様に働くので粒子は媒体から次のような磁気
浮力を受ける。
【数2】
【0011】さらに磁性粒子懸濁液を所定の速度(粒子
の速度v)で流す場合には、溶媒から次の粘性力を受
ける。
【数3】
【0012】したがって、微粒子は以上三つの力を受け
る。これらの力を運動方程式に代入すると
【数4】 となる。ここで加速度の項は無視できるほど小さいの
で、これらの力Fが釣り合って、磁性微粒子が溶媒中で
停止する時の磁気粒子懸濁溶媒の流れ速度は次のように
表される。
【数5】 つまり、磁性微粒子が溶媒中で停止する時の磁気粒子懸
濁溶媒の流れ速度を決定する磁場以外の要因は、粒子径
である。
【0013】(2)溶媒 微粒子を分散させる溶媒としては、常磁性イオンまたは
常磁性化合物を含む水溶液及び水以外の透明な溶媒の溶
液を用いることができる。また、溶媒中に分散させる微
粒子の濃度は特に限定されるものではないが、10〜10
個/cmが本発明の磁気泳動方式濃度検出方法に特
に適合する。微粒子と微粒子懸濁溶媒との好ましい組み
合わせとしては、例えば、半導体微粒子や環境微粒子を
常磁性溶液に分散させた系、磁性微粒子を反磁性溶媒に
懸濁させた系が挙げられる。特に、本発明の磁気勾配中
流動微粒子分離方法においては、生体微粒子が常磁性金
属イオン水溶液に懸濁した系に適用することができる。
なお、微粒子を形成する物質が溶媒中に溶解する場合に
は該物質を飽和させた溶媒を用いて同様の測定し補正を
行い本発明の磁気勾配中流動微粒子方式磁気トラップ分
離方法を行うことができる。
【0014】(3)磁性微粒子 本発明が適用できる磁性微粒子としては、形状と大きさ
が判定できるものであればよく、高分子、セラミック、
半導体、血球、生体微粒子等の固体あるいはゲル状粒子
を挙げることができる。磁性微粒子の粒径としては、
0.1ミクロンから100ミクロン位の微粒子が本願発
明で特に適合する。
【0015】(4)溶媒の流速 本発明で採用できる懸濁溶液の流速は、0.01マイクロリ
ットル/時〜100マイクロリットル/時程度が適当であ
り、流速の変動は極めて小さい方が望ましい。
【0016】(5)磁気トラップ力と微粒子懸濁溶媒の
流速の制御方法及び装置 微粒子懸濁溶媒の流速及び/または磁気勾配を調整する
ことによって、磁気勾配中で流動微粒子を分離する。微
粒子懸濁溶媒は、適当な流動供給手段、例えば、シンリ
ンジポンプおよび所定内容量のシリンジ、を使用するこ
とによって非常に小さな数値で流速制御することが可能
となる。式(5)及び(7)から明らかなように、トラ
ッピング率は微粒子の半径の2乗及び磁気勾配(max)に比
例するからである。また、磁気勾配については、磁場を
構成する磁石の磁気強度及びその形状を適宜選択するこ
とによって調整する。
【0017】(6)セル セルとしては、キャピラリー管、ガラスセル、プラスチ
ックセルを用いることができ、キャピラリーの寸法は特
に限定されるものではないが、例えば、断面席100ミ
クロン×100ミクロンとすることが好ましい。
【0018】(7) 磁気泳動速度測定装置及び実験条
件 (7−1)磁気泳動速度測定装置及び実験条件 図2に一対の磁極間に微粒子懸濁溶媒を流した状態及び
観察領域を模式的に示す。図3に示す磁気トラップ分離
装置を用いて、微粒子の磁気トラップ分離状態を観察し
た。磁気トラップ分離装置は、セルとしてのキャピラリ
ーCを間に配置する一対の磁石1と、微粒子の磁気泳動
を観察する顕微鏡2と、キャピラリーに光を当てるため
の照射ライト3、顕微鏡で得られた画像の光信号を電気
信号として変換するCCDカメラ4と、モニター装置5
と、セルを水平面でX,Y方向に位置調節するためのX
Yステージ6と、微粒子懸濁溶媒をセルに供給するシリ
ンジポンプ7、磁極で形成される磁場強度を制御する磁
場制御ユニット8、シリンジポンプの供給量を制御する
供給量制御ユニット9とからなる。10は磁石を保持す
る磁石ホルダーを示し、微粒子の挙動は、顕微鏡2、C
CDカメラ4、モニター5により観測し、ビデオ11に
録画してパーソナル・コンピュータ12によってその解
析を行った。試料液を入れるセルには、内寸100μm
×100μm 、外寸300μm ×300μm の正方形型
キャピラリー(Polymicro Technolo
ges,Square Flexible Fused
Silica Capillary Tubing)
を用いた。上記キャピラリー(長さ20cm)に前述の
試料液(微粒子懸濁溶媒)を入れ図2のように二枚の磁
石間に設置した。磁石には大きさ16.85mm×1
9.6mm×2.9mmのNd−Fe−B磁石(住友特
殊金属,NEOMAX)を使用した。観察領域は磁場勾
配の大きな、磁石端外側90μmから磁石端内側350
μmとした。B(dB/dx)の値を大きくするため、
アルミニウムのスペーサーを用いて、二枚の磁石間の距
離を400μm とした。二枚の磁石はアルミニウム製の
磁石ホルダーに固定されており、磁石ホルダーはXYス
テージによりその位置を調節した。
【0019】(7−2) 磁化率の測定 磁化率の測定には磁化率測定器(Sherwood S
cientificLTD,MSB−AUTO)を用い
た。
【0020】(7−3)磁場解析ソフト”SUPERM
OMENT”によるシミュレーション コイルや磁石の作る磁場や発生するトルクなどを計算す
ることを磁場解析というが、これらの計算手法には、磁
気モーメント法、有限要素法、境界要素法などがある。
本発明で磁場解析のために使用した”SUPERMOM
ENT’(H.Sekiya,1998)は磁気モーメ
ント法のプログラムであり、従来大型コンピューターが
使われていた磁場解析をパソコン上で実行できるように
した製品である。
【0021】この“SUPERMOMENT”によっ
て、磁石が作るおおよその磁場を計算することはできる
が、厳密に磁石周辺での磁場強度を計算することはでき
ない。理由は、実際の磁石の性質と形は完全に整ってい
るわけではないので、実験系ではその影響が出てきてし
まうからである。特に、本発明で扱ったような非常にミ
クロな空間では、磁石の端の丸みなどが磁場の形成に大
きな影響を与える。しかし、ガウスメーターなどの磁場
測定器を使用できないような小さな空間の磁場を予想す
るには、”SUPERMOMENT”による磁場解析は
非常に有用な手段である。
【0022】シミュレーション用の磁石には17mm×
19mm×3mmのNeFeB40磁石(上のNd−Fe
−B磁石と同じ)は同じものを用いた。X軸は磁石端を
0、磁石の内側方向を正の向きとし、Z軸は磁石の中心
を0とした.磁石間の距離は実験と同様、400mmで
ある。
【0023】
【実施例】この方法により、標準試料として用いたポリ
ステレン微粒子、および、生体微粒子の例として用いた
赤血球の磁気トラップ分離が可能であることを確認し
た。
【0024】[実施例1]ポリステレン粒子を本発明に
係る磁気勾配中流動微粒子磁気トラップ分離法によって
分離した。 (1−1)試料 試料液には、溶媒として塩化マンガン水溶液にμmオー
ダーのポリステレンラテックス粒子を分散させたものを
用いた。塩化マンガン水溶液の濃度は0.6Mとした。
この濃度での塩化マンガン水溶液の体積磁化率は10
3.6×10-6Pas、粘度は1.12×10-3Pa
sである。磁化率の測定には磁化率測定器(Sherw
ood Scientific LTD,MSBAUT
O)、粘度の測定にはユベロード粘度計を用いた。密度
はポリステレンラテックス粒子の1.05gcm-3
ほぼ一致するので、媒体と粒子の密度の差による影響は
実験には現れなかった。この0.6M塩化マンガン水溶
液に粒径3μm(2.7660±0.1500μm)、
6μm(5.872±0.401μm)、10μm
(9.14±0.709μm)の3種類のポリスチレン
ラテックス粒子(フナコシ社製、POLYBEAD−P
OLYSTYRENE)を個別に観察しやすい程度に分
散させて試料液とした。これらのポリスチレン粒子は反
磁性でその体積磁化率は−8.21×10-6である。試
料液は使用しないときは冷蔵保存とし、実験を行なう際
に室温(25℃)に合わせた。
【0025】(2)装置 図3に示す試験装置を使用した。試料液を入れるキャピ
ラリーには、内寸100μm×100μm、外寸300
μm×300μmの正方形型キャピラリーを用い、キャ
ピラリーの長さを30〜40cmとし、その一端をシリ
ンジポンプ(Harvard Apparatus,N
ew Harvard SyringePumpll)
につないだ。シリンジ(HAMILTON,GASTI
GHT#1701)には内容積10μlのものを使うこ
とで、0.0289μlh-1という非常に小さな流速ま
での実験を可能にした。磁石には大きさ16.85mm
×19.6mm×2.9mmのNd−Fe−B磁石(住
友特殊金属,NEOMAX)を使用した。測定領域は、
キャピラリーの軸方向(x軸方向)に非常に大きな磁場
勾配が発生している磁石端近傍(幅4mm)とした。大
きなトラップ力を得るためにはB(dB/dx)の値を
大きくする必要があるので、アルミニウムのスペーサー
を用いて、二枚の磁石間の距離を400μmとした。二
枚の磁石はアルミニウム製の磁石ホルダーに固定されて
おり、磁石ホルダーはXYステージによりその位置を調
節した。ポリスチレン粒子の挙動は、顕微鏡(中央精
機)、CCDカメラ(ELMO,CN42H)、モニタ
ーにより観測し、ビデオに録画してその解析を行った。
また、磁石ホルダーを縦に配置し、XYZステージによ
りその位置を調節した。
【0026】(3)トラップ率 ここで、磁気トラップの効率を表すトラップ率(Tra
pping Efficiency)について定義す
る。図3にあるように−90μm<x<350μmの範
囲を観測領域(Observed Region)と
し、観測領域に進入した粒子数をN1、観測領域でトラ
ップされずに通過した粒子数をN2とすると、トラップ
率は次のように定義される。
【数6】 つまり、観測領域に進入した粒子がすべてトラップされ
るとトラップ率は100%となり、すべて通過するとト
ラップ率は0%となる。磁気トラップ実験では、それぞ
れの試料液に対して、流速の変化に対するトラップ率を
調べた。この際のN1の目安としては、トラップされた
粒子が、観測領域に進入してきた他の粒子の動きを妨害
しない程度の数にとどめるようにした。
【0027】(4)結果 三種類のサイズのポリスチレン粒子の磁気トラップ実験
についての結果を表1にまとめる。また図4はこれらの
結果をグラフで示したものである。流速が0.3μlh
-1以下の時はすべての粒子がトラップされているが、流
速が大きくなるに従って小さな粒子から通過するように
なり、6μlh-1以上ではすべての粒子が通過してい
る。
【表1】 もし試料液がキャピラリーの中心部と壁際を同じ速度で
流れ、さらにあるxの値(図2参照)に対してはキャピ
ラリー内の磁場が一定であるとすると、粒子のトラッピ
ング流速は次のように予想することができる。
【数7】 すなわち流速がこのトラッピング流速よりも大きい場
合、粒子は通過し、小さい場合には粒子はトラップされ
ると予想される。図4中に破線で表されているのが上式
より予想されたトラッピング流速である。結果のグラフ
から分かるように、本発明の磁気勾配中流動微粒子磁気
トラップ分離方法でのサイズによる微粒子の分離は十分
可能である。従来検討されてきたフローを用いた磁気分
離では、いずれも磁気力をフローに対して直角方向には
たらかせていたが、本発明の磁気トラップ分離法では磁
気力をフローに沿った方向にはたらかせている。このこ
とからも磁気トラップ分離法は今までにはない新しい分
析法であるといえる。
【0028】[実施例2]血液中の血球を本発明に係る
磁気勾配中流動微粒子磁気トラップ分離法によって分離
した。 (1)試料 試料液には、0.1M塩化マンガン水溶液10mlに血
液を一滴落としたものを用いた。血液中に含まれるμm
程度の有形成分には、赤血球、白血球、血小板がある
が、それらは血液1mm3中にそれぞれ5.4×106
7.0×103、2.5×104(成人男子平均)ずつ含
まれている。その直径は赤血球が約8.6μm、白血球
が10〜20μm、血小板が2〜4μmである。試料液
の中にはこれらすべての成分が入っているが、白血球は
赤血球にくらべて非常に少なく、また血小板は小さいの
で、成分の分離を行わなくても赤血球は比較的容易に観
測できる。ここでの塩化マンガン水溶液は、イオン濃度
を生理食塩水(0.155M塩化ナトリウム水溶液)の
イオン濃度とだいたい等しくするために0.1Mとし、
血液サンプルには、血液を血液凝固防止剤(EDTA)
の付着した血球計算用試験管にとったものを使用した。
【0029】(2)実験方法 内寸100μm×100μm、の正方形型キャピラリー
をセルとして、図3の装置により実験を行った。なおこ
の実験には、大きさが3×1×7mmで純度が99.8
%の鉄片をNb−Fe−B磁石で挟み、磁場勾配の強さ
B(dB/dx)を1.800T2/mに増大させたも
のを使用した。このときにも鉄片のx軸(キャピラリー
の中心軸)に沿って大きな磁場勾配が生じるので、この
領域に生じる磁気浮力を磁気トラップ力の駆動力として
利用した。またここでのx軸は、フローの方向を正の向
きとし、フローが流れてくる方の鉄片の端を0にとっ
た。
【0030】(3)結果 鉄片を使った磁石配置で、赤血球の磁気トラップ実験を
行った結果が表2と図5である。破線は予想されるトラ
ッピング流速を示している。赤血球は流速が1.0μl
-1以下ではすべてトラップされているが、3.0μl
-1を超えるとすべてトラップされずに通過し、本法の
血液微粒子の分離法としての有効性を示している。また
図6は赤血球がフローにより観測領域に進入し、トラッ
プされる様子をとらえたものである。
【表2】 ここでは赤血球のみについて実験を行っているが、血液
中のほかの成分に対しても磁気トラップ法は有効である
と思われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)及び(b)は一対の磁石と、磁石間に
置かれ微粒子懸濁溶媒を流すキャビラリーとを示し、
(c)はキャピラリーの流れ方向x軸と一対の磁石によ
って形成される磁気勾配との関係を示すグラフである。
【図2】 微粒子懸濁溶媒を流すキャピラリーの流れ方
向x軸と一対の磁石との関係をより詳細に示す。
【図3】 本発明に係る粒子の泳動速度の磁気トラップ
分離装置を模式的に示す。
【図4】 ポリエチレン粒子の磁気トラップ実験につい
て粒子懸濁溶媒の流速とトラップ率との関係を示す図で
ある。
【図5】 赤血球の磁気トラップ実験について赤血球懸
濁溶媒の流速とトラップ率との関係を示す図である。
【図6】 赤血球の磁気トラップ実験について赤血球が
フローにより観測領域に進入し、トラップされる様子を
3秒ごとに撮像した映像を示す。
【符号の簡単な説明】
1 一対の磁石、2 顕微鏡、3 照射ライト、4 C
CDカメラ、5 モニター装置、6 XYZステージ、
7・・・シリンジポンプ、8・・・磁場制御ユニット、
9・・・供給量制御ユニット、10・・・磁石ホルダ
ー、11・・・ビデオテープレコーダ、12・・・パソ
コン(演算装置)、C・・・キャピラリー ビデオテープレコーダ、7 演算装置(パソコン)、8
XYステージ、C キャピラリー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 27/26 331K 331E

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のサイズの磁性微粒子を溶媒中に懸濁
    させ、該微粒子懸濁溶媒を微小磁場領域内を所定の方向
    に流し、各微粒子に該微粒子懸濁溶媒の流れと逆方向の
    磁気トラップ力を前記微小磁場領域中に形成された磁気
    勾配によって作用させ、各微粒子に作用する磁気トラッ
    プ力と微粒子懸濁溶媒の流速を制御することにより各微
    粒子のサイズ及び磁化率に基づいて各微粒子を分離す
    る、磁気勾配下液中微粒子磁気トラップ分離方法。
  2. 【請求項2】前記磁性微粒子が、高分子、セラミック、
    半導体又は生体微粒子の固体あるいはゲル状粒子である
    ことを特徴とする請求項1に記載の磁気勾配下液中微粒
    子磁気トラップ分離方法。
  3. 【請求項3】微小領域に磁場を形成する1対の磁石と、1
    対の磁石の間に形成された該微小磁場領域に配置され、
    複数のサイズの磁性微粒子を懸濁させた溶媒を一方向に
    流すセルと、前記微小磁場領域中に形成された磁気勾配
    によって各微粒子に作用する磁気トラップ力を制御する
    トラップ力制御手段と、微粒子懸濁溶媒の流速を制御す
    る流速制御手段とからなり、各微粒子に作用する磁気ト
    ラップ力と微粒子懸濁溶媒の流速を制御することにより
    各微粒子のサイズ及び磁化率に基づいて各微粒子を分離
    する、磁気勾配下液中微粒子磁気トラップ分離装置。
  4. 【請求項4】前記磁性微粒子が、高分子、セラミック、
    半導体又は生体微粒子の固体あるいはゲル状粒子である
    ことを特徴とする請求項3に記載の磁気勾配下液中微粒
    子磁気トラップ分離装置。
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