JP3511412B2 - 貼付剤 - Google Patents

貼付剤

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JP3511412B2
JP3511412B2 JP33584194A JP33584194A JP3511412B2 JP 3511412 B2 JP3511412 B2 JP 3511412B2 JP 33584194 A JP33584194 A JP 33584194A JP 33584194 A JP33584194 A JP 33584194A JP 3511412 B2 JP3511412 B2 JP 3511412B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、外皮に貼付されて患部
の治療や温熱効果を与える貼付剤に関するものであり、
特に、汗等の体液による粘着力の低下、皮膚のふやけ、
皮膚炎の発生などを長期間にわたって防止できるように
した貼付剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、罨法や経皮治療システムに用い
られる貼付剤は、粘着層と、これを担持する膜状の担持
体とを備えており、必要に応じて発熱体や薬物貯蔵層が
設けられている。上記粘着層はゴム系粘着剤、あるい
は、アクリル系粘着剤を担持体の片側全面にローラー、
回転ブラシ、ドクターブレードなどによって塗布するこ
とにより形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の貼付
剤においては、貼付剤が覆っている皮膚から放散される
熱が貼付剤によって閉じ込められるので、その部分の皮
膚温度が高くなり、発汗作用が促進される。この場合、
貼付剤に発熱体が設けられると、この発汗作用は一層促
進される。
【0004】そして、この発汗作用によって皮膚から滲
出した汗等の体液によって粘着層の粘着力が低下し、剥
がれ易くなったり、又は、皮膚表面と粘着層の間に汗等
の体液が滞留して皮膚がふやけたり、皮膚炎や皮膚の痒
み等が発生するという課題が発生する。
【0005】又、このように皮膚表面と粘着層の間に汗
等の体液が滞留すると、皮膚との密着性が低下して薬物
の経皮吸収性が低下したり、低温やけどが生じ易く、薬
理効果や安全性が低下する等の課題がある。
【0006】本発明は、上記技術的課題に鑑み完成され
たものであって、貼付剤の剥がれが防止され、外皮との
密着性の低下阻止され、これによって、薬物の経皮吸
収性向上され、皮膚のふやけや皮膚炎、更に皮膚の痒
み等が長期間にわたって防止される、安全性が著しく高
い貼付剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願の第1の発明に係る
貼付剤は、上記の目的を達成するために、外皮に貼着さ
れる通水性の粘着層と、この粘着層を担持する吸水性の
担持体とからなる貼付剤であって、上記粘着層が、ホッ
トメルト型高分子物質を含有する粘着剤の発泡体で形成
され、且つこの発泡体が連通孔を有する層、ホットメル
ト型高分子物質を含有する糸状体で形成された層、又は
ホットメルト型高分子物質を含有する粘着剤の発泡体と
糸状体の混合体で形成された層のいずれか、あるいは、
合成樹脂及び/又はゴムのエマルジョンを用いて形成さ
れた粘着剤の多孔質体、であることを特徴とするもので
ある。
【0008】本願の第2の発明に係る貼付剤は、上記の
目的を達成するために、本願の第1の発明に係る貼付剤
において、担持体が支持体と、この支持体と上記粘着層
の間に介在された吸水層からなることを特徴とするもの
である。
【0009】この明細書において、外皮とは健常なもの
だけでなく、患部も含めた意味であり、又、本発明とは
本願の第1と第2の発明を含む概念である。
【0010】更に、この貼付剤において、発熱体を積層
したものは、単に外皮に熱を与えて寒さを凌ぐために用
いられるものの他、患部に温熱を加えることにより、例
えば薬物治療効果が乏しい慢性疾患や温熱による治療効
果が期待できる人体などの生体の部位に適用されたり、
経皮吸収性の薬物投与によって治療効果が期待できる人
体などの生体に適用されるものである。
【0011】本願の第1の発明と第2の発明の相違は担
持体が異なる点にあり、まず本願の第1の発明を詳細に
説明し、次いで、本願の第2の発明について詳細に説明
する。
【0012】本願の第1の発明に係る貼付剤(以下、本
願第1発明と略称する。)は、上記の目的を達成するた
めに、外皮に貼着される通水性の粘着層と、この粘着層
を担持する吸水性の担持体とからなる貼付剤であって、
上記粘着層が、ホットメルト型高分子物質を含有する粘
着剤の発泡体で形成され、且つこの発泡体が連通孔を有
する層、ホットメルト型高分子物質を含有する糸状体で
形成された層、又はホットメルト型高分子物質を含有す
る粘着剤の発泡体と糸状体の混合体で形成された層のい
ずれか、あるいは、合成樹脂及び/又はゴムのエマルジ
ョンを用いて形成された粘着剤の多孔質体、であること
を特徴とするものである。
【0013】即ち、本願第1発明においては、吸水性を
有する担持体の全面或いは部分的に、通水性を有する粘
着層が形成されている点に最も大きな特徴を有する。
【0014】本願第1発明で用いられる担持体として
は、使用中や取扱中に破損しない程度の強度を有し、し
かも吸水性を有するものであれば特に限定されるもので
はない。
【0015】具体的には、例えばパルプや天然繊維等で
形成された紙や不織布或いは織布、或いは合成樹脂製の
発泡体に、後述の吸水性ポリマーの粉末を保持させたも
の、合成樹脂製の繊維に、後述の吸水性ポリマーをコー
ティングしたもので形成された不織布や織布等、種々の
ものが挙げられる。
【0016】これらのうち、特に、吸水性を向上させた
パルプやレーヨンで形成された織布や不織布が好まし
い。
【0017】又、本発明で用いられる粘着層としては、
外皮に貼着され、且つ通水性を有するものであって、上
記粘着層が、ホットメルト型高分子物質を含有する粘着
剤の発泡体で形成され、且つこの発泡体が連通孔を有す
る層、ホットメルト型高分子物質を含有する糸状体で形
成された層、又はホットメルト型高分子物質を含有する
粘着剤の発泡体と糸状体の混合体で形成された層のいず
れか、あるいは、合成樹脂及び/又はゴムのエマルジョ
ンを用いて形成された粘着剤の多孔質体、であることを
特徴とするもの、であれば、特に限定されるものではな
い。
【0018】本発明において、通水性とは皮膚から滲出
した汗等の体液が担持体側に透過できる機能を有するこ
とであって、粘着層に多数の微細な連通孔を有すること
によるものなどをいう。
【0019】具体的には、例えば以下の粘着層が挙げら
れる。即ち、例えば粘着層がホットメルト型高分子物質
を含有する粘着剤の発泡体で形成され、且つこの発泡体
が連通孔を有する層でも良いのである。
【0020】又、本発明に用いられる他の粘着層として
は、粘着層がホットメルト型高分子物質を含有する粘着
剤の糸状体で形成された層、つまり粘着剤の糸状体を重
ねて形成した粘着層、或いは粘着層がホットメルト型高
分子物質を含有する粘着剤の発泡体と糸状体の混合体で
形成された層、が挙げられる。
【0021】この粘着層の厚さとしては特に限定される
ものではないが、5〜1000μm、特に、10〜50
0μm、更に好ましくは15〜250μmとするのが好
ましく、粘着層の厚さが、5μm未満になると所要の粘
着力を得られない場合があり、一方、1000μmを超
えると使用感が悪くなるだけでなく、経済性が悪くなる
ので好ましくない。
【0022】本発明で用いられる粘着剤としては、通水
性の粘着層が得られるものであれば特に限定されるもの
ではなく、具体的には、例えばゴム系粘着剤、アクリル
系粘着剤或いはホットメルト型高分子物質を含有する粘
着剤等が挙げられるが、これらのうち、ホットメルト型
高分子物質を含有する粘着剤は、初期タック力が強く、
低温ないし常温での粘着性が非常に優れ、しかも、上述
のように、発泡等によって多数の微細な連通孔を有する
粘着層を簡単に形成できるので最も有利である。
【0023】本発明において、ホットメルト型高分子物
質を含有する粘着剤としては、ホットメルト型高分子物
質を含有するものであれば良く、従って、他の成分、例
えば他の粘着剤、粘着賦与剤、老化防止剤、充填剤、粘
着調整剤、粘着改良剤、着色剤、消泡剤、増粘剤、改質
剤、防カビ剤、抗菌剤、殺菌剤、消臭剤又は脱臭剤等が
配合されていても良い。
【0024】
【0025】例えば、ホットメルト型高分子物質を含有
する粘着剤をノズルから糸状に吐出するにあたり、ノズ
ルが円を描くように一方向に移動させつつ加圧、強制的
に糸状の粘着剤を吐出させたり、或いはノズルをジグザ
グに移動させつつ加圧、強制的に糸状の粘着剤を適宜二
次元方向に吐出させる等、担持面の全面或いは部分的に
粘着層を形成しても良いのである。
【0026】このように構成すると、粘着層に連通孔が
形成されたり、交差された糸状体の間や糸状体と糸状体
の間が連通し、通水性を有する粘着層が形成される。
【0027】更に、ホットメルト型高分子物質を含有す
る粘着剤を用いる場合には、この粘着剤を発泡させるこ
とにより通水性を有する粘着層を形成することができ、
この粘着剤を発泡させて形成した粘着層は以下の理由で
最も好ましい。
【0028】まず、この粘着層は、ホットメルト型高分
子物質を含有する粘着剤を、空気もしくは窒素ガス、炭
酸ガス等を用いて発泡させたものであり、この発泡によ
って体積が元の粘着剤の1倍を超え数倍に膨張するので
ある。
【0029】この発泡体の特性としては、本来の粘着性
を維持することは勿論、発泡によって原料の削減、多孔
質面や粗大面に対する接着性の向上及びシール性の向上
等の利点があるが、特に、このような発泡体を用いる
と、弾力性が著しく向上して人体皮膚の凹凸面にも追従
して密着し、しかも粘着性及び使用感が良好である上、
剥離時の苦痛が無く、又、温熱を与えたとき、粘着層が
発泡体であり、この発泡体が熱伝導を制御して低温火傷
が生じ難い等、貼付剤に適用することによって、極めて
多くの利点を発現するのである。
【0030】つまり、この粘着発泡体は、粘着力が大で
あり、粘着発泡体内に形成される気孔内の気体が弾性変
形するので、弾力性、伸縮性及び柔軟性が著しく高めら
れ、人体の動作によって凹凸が変化する体表面に全面的
になじませて密着させることが容易になり、換言する
と、外皮との追従性が良好で、外皮との密着性が一層増
大するのである。その結果、外皮の凹凸面に対しても弾
力的に順応して粘着するので、粘着強度の低下は生じ難
い上、使用感が高められる。
【0031】又、ホットメルト型高分子物質を含有する
粘着剤の発泡倍率を制御することによって、弾力性、凹
凸面への追従性や密着性、更に粘着性及び使用感、剥離
時の苦痛、断熱性や熱伝導性等を容易に制御できるので
ある。
【0032】更に、発泡率を制御することにより、容易
に熱伝導性を制御することができるので、発熱体から体
表面への熱伝導を制御して低温火傷を防止することが容
易になる。
【0033】加えて、この粘着剤の発泡体とは、化学的
発泡或いは物理的発泡に拘わらず、又、連通孔又は独立
気泡と連通孔が混在したものなど、いずれのものでも良
いが、外皮に適用されるものであるから、常温で粘着性
を有するものであることを要する。
【0034】上記化学的発泡方法とは無機系発泡剤又は
有機系発泡剤もしくはこれらの混合物を用い、その分解
反応の際に発生する窒素ガスや炭酸ガスを利用して発泡
させる方法であり、上記物理的発泡とは粘着剤に圧縮空
気、圧縮窒素、圧縮炭酸ガスなどの気体を圧力などの物
理力によって混入させ、大気圧の環境下に吐出すること
によって発泡させる方法である。
【0035】これらの発泡方法の中では、特に、特公昭
60−3350号公報、特開昭62−87267号公
報、特公昭63−17295号公報、特開平1−590
23号公報に記載されている物理的発泡方法が以下に述
べる理由より、望ましい。
【0036】これらの物理的発泡方法は、ホットメルト
型高分子物質を含有する粘着剤中に、空気や窒素ガス更
に炭酸ガス等の加圧気体を機械的に、しかも加熱混入し
て均一に分散した後、大気圧下で発泡させたものである
から、発泡剤を用いるものに比べて圧力条件、加熱温度
条件等の設定が容易であり、しかも無数の微細な連通孔
が形成された比較的均質な発泡体が再現性良く得られ
る。
【0037】つまり、その発泡率は粘着剤の粘度に関連
する温度と、加圧気体の圧力とに依存するので、発泡剤
を用いる場合に比べて、所要の発泡率の粘着剤発泡体を
得るための温度条件及び圧力条件を設定し易い。
【0038】また、この物理的発泡方法において、発泡
率を安定させるためにはノズルからの粘着剤の噴出量な
いし噴出速度と加圧空気の圧力とを安定させればよいの
で、均質な粘着剤の発泡体、つまり粘着層を得ることが
容易である。
【0039】この物理的発泡方法を実施する場合、発泡
率の制御精度を高めるためには、ノズルから噴出する粘
着剤にできるだけ早く圧縮気体を接触させることが好ま
しいので、例えば、粘着剤を噴出する粘着剤噴出口の周
囲に圧縮気体を噴出する噴気口を開口させ、粘着剤の噴
出と同時に圧縮気体を粘着剤に接触させることが好まし
い。
【0040】又、粘着剤を噴出する粘着剤噴出口は、同
時にできるだけ広範囲に粘着剤を噴出して、塗工時間を
短縮するため、スリット状にしたり、多数の粘着剤噴出
口を列状に順に隣接させて設けたりすることが好まし
い。
【0041】更に、予め所定の形状の粘着発泡体を形成
した後、この粘着発泡体を担持体に転着させてもよい
が、工程数の削減によるコストダウンを図るため、圧縮
気体を接触させながら担持体の粘着層担持面に向かって
粘着剤を噴射して、直接に粘着層担持面に形成する方法
が好ましい。
【0042】本発明で用いられるホットメルト型高分子
物質としては、上記目的を達成できるものであれば特に
限定されるものではないが、具体的には、例えばA−B
−A型ブロック共重合体、飽和ポリエステル系高分子物
質、ポリアミド系高分子物質、アクリル系高分子物質、
ウレタン系高分子物質、ポリオレフィン系高分子物質又
はポリオレフィン系共重合体或いはこれらの変性体、若
しくはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0043】この変性体とは、ホットメルト型高分子物
質の成分の一部を他の成分に置き換えてホットメルト型
高分子物質の性質、例えばホットメルト型高分子物質の
粘着性の改善や安定性等を変えたものをいう。
【0044】上記A−B−A型ブロック共重合体におい
て、Aブロックはスチレン、メチルスチレン等のモノビ
ニル置換芳香族化合物Aで、非弾性重合体ブロックであ
り、Bブロックはブタジエン、イソプレン等の共役ジエ
ンの弾性重合体ブロックであり、具体的には、例えばス
チレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチ
レン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が挙げ
られるのであり、また、これらを混合して用いても良い
のである。
【0045】A−B−A型ブロック共重合体の市販品の
例としては、具体的にはカリフレックスTR−110
1、カリフレックスTR−1107、カリフレックスT
R−1111(シェル化学製)、或いはフィリップペトロ
リアム製のソルプレン418等が挙げられる。
【0046】本発明において、粘着剤がホットメルト型
高分子物質、脂環族系石油樹脂及び軟化剤で形成されて
いるものが有益であり、この粘着剤は、上述の方法で発
泡される。
【0047】本発明において、ホットメルト型高分子物
質としては、上述のものが挙げられる。このホットメル
ト型高分子物質は、粘着剤中の主ポリマーであり、これ
を用いて形成した粘着剤の発泡体は、優れた保形性を有
し、しかも初期タックがあり、常温時や加温時の粘着性
が良好で、且つ粘着後における粘着力が安定しているの
である。
【0048】又、本発明において、脂環族系石油樹脂
は、粘着性賦与剤であり、ホットメルト型高分子物質と
の組合せにより、所要の粘着特性が得られる。
【0049】脂環族系石油樹脂とは、環状骨格を持った
石油系樹脂であり、具体的には、例えばロジン、脱水ロ
ジン、脱水素ロジンのグリセリンエステル類、ガムロジ
ンのグリセリンエステル類、水添ロジン、水添ロジンの
メチルエステル類、水添ロジンのグリセリンエステル
類、水添ロジンのペンタエリトリットロジン類、重合ロ
ジン、重合ロジンのグリセリンエステル類、クマロンイ
ンデン樹脂、水添石油樹脂、無水マレイン酸変性ロジ
ン、ロジン誘導体類又はC5系石油樹脂等が挙げられる
のであり、貼付剤に所要の粘着力を賦与するために、単
独或いは2種以上を組み合わせて適宜用いられる。
【0050】その具体的な市販品の例としては、例えば
アルコンP−85、アルコンP−100、アルコンP−
125(荒川化学製)等、クイントン(日本ゼオン製)、エ
スコレッツ3000(エクソン製)等が挙げられる。
【0051】又、本発明で用いられる軟化剤はホットメ
ルト型高分子物質を溶解ないし分散させて軟化させるも
のであり、ホットメルト型高分子物質と脂環族系石油樹
脂の組み合わせによって、適度の保形性や柔軟性更に粘
着力を発現させるのである。この軟化剤としては高級脂
肪酸、液化ゴム、鉱油等が挙げられる。
【0052】この軟化剤としては、例えばヤシ油、ヒマ
シ油、オリーブ油、ツバキ油、アーモンド油、パーシッ
ク油、ラッカセイ油、ゴマ油、大豆油、ミンク油、綿実
油、トウモロコシ油、サフラワー油、オレイン酸、流動
パラフィン等が挙げられる。
【0053】ところで、この粘着剤には、所望により、
他の成分、例えば他の粘着剤、粘着賦与剤、老化防止
剤、充填剤、粘着調整剤、粘着改良剤、着色剤、消泡
剤、増粘剤、改質剤、防カビ剤、抗菌剤、殺菌剤、消臭
剤又は脱臭剤等が適宜適量配合されても良いのである。
【0054】本発明においては、密着性、粘着性、使用
感及び皮膚からの剥離性等の観点から、粘着層がホット
メルト型高分子物質5〜40重量部、脂環族系石油樹脂
5〜55重量部及び軟化剤5〜55重量部で形成された
もの、特に、粘着層がホットメルト型高分子物質10〜
30重量部、脂環族系石油樹脂10〜50重量部及び軟
化剤15〜45重量部で形成されており、このものを発
泡させた発泡体や糸状体更にこれらの混合体が、弾力性
があって人体皮膚の凹凸面にも追従して密着し、しかも
粘着性及び使用感が良好である上、剥離時の苦痛が無
く、又、温熱を与えたとき、低温火傷が生じ難いので望
ましい。
【0055】本発明で好適に用いられる粘着層の他
としては合成樹脂及び/又はゴムのエマルジョンを用
いて形成された粘着剤の多孔質体が挙げられる。
【0056】即ち、合成樹脂及び/又はゴムのエマルジ
ョンは水及び/又は溶剤を比較的多量に含有するが、こ
れを、例えば剥離紙等の剥離シート(支持体又はライナ
ー等)上に形成し、これを、後述の方法で架橋した後、
乾燥すると、溶剤を含む場合には、まず、溶剤が蒸発
し、次いで、水が蒸発するが、この際に、連通孔が形成
される。
【0057】この場合において、合成樹脂及び/又はゴ
ムのエマルジョンが溶剤を含まない場合には、多量の水
を含有するが、これを、例えば剥離紙等の剥離シート
(支持体又はライナー等)上に形成し、これを、後述の
方法で架橋した後、乾燥すると、水が蒸発するが、この
際に、連通孔が形成される。
【0058】ところで、この架橋は多量の水及び/又は
溶剤が蒸発する際に、連通孔が形成されるが、これを放
置すると、この連通孔が粘着剤の流動等の現象によって
塞がれる。
【0059】従って、この架橋は粘着剤を架橋すること
によって、粘着剤の流動等を抑制して連通孔が塞がれる
のを阻止するのであるから、合成樹脂及び/又はゴムの
エマルジョンを、例えば剥離紙等の剥離シート(支持体
又はライナー等)上に形成し、これを乾燥して連通孔を
形成した後、直ちに架橋しても良いのである。
【0060】しかしながら、合成樹脂及び/又はゴムの
エマルジョンを乾燥中や乾燥した後、架橋するまでの間
に、連通孔が塞がれる虞れが有るから、乾燥前に、予
め、粘着剤を架橋するのが望ましい。
【0061】本発明において、合成樹脂及び/又はゴム
のエマルジョンとしては、特に限定されるものではない
が、具体的には、例えばアクリル系エマルジョン、エチ
レンー酢酸ビニル系エマルジョン、酢酸ビニルエマルジ
ョン、ウレタン系エマルジョン、硬化型酢酸ビニルエマ
ルジョン、天然ゴムや合成ゴムなどのゴムラテックスが
挙げられるのであり、この合成ゴムラテックスとして
は、例えばニトリルゴムラテックス、スチレンブタジエ
ンラテックス、クロロプレンゴムラテックス、スチレン
イソプレンゴムラテックス等が挙げられる。
【0062】本発明においては、所要により、粘着剤が
架橋される。
【0063】即ち、粘着剤が架橋されていると、熱安定
性が向上し、加温時のダレやべたつき更に糊残りが極め
て少なくなって使用感が良好になり、しかも加温時の粘
着力や保形性も良好になり、更に薬物の保持性が向上す
る。
【0064】この粘着剤の架橋方法としては特に限定さ
れるものではないが、具体的には、例えば紫外線や電子
線等の照射線を、得られた粘着剤の発泡体に直接照射し
たり、支持体又はライナーの上で直接、照射線架橋を行
ったり、あらかじめ別の装置で照射線架橋を行い、転移
により粘着剤の発泡体を支持体上に転着しても良いので
ある。
【0065】照射線架橋としては、例えば特公昭62−
39184号公報に準じて行うことができる。そして、
例えば、紫外線の場合、通常300〜680nmで5〜3
0分間照射、電子線の場合、通常1〜20Mradで、照
射時間1〜60秒である。勿論、粘着剤に種々の化学的
架橋剤を加え、化学的に架橋しても良いのである。
【0066】ところで、本発明においては、粘着剤を上
述の方法で架橋し、次いで、これを支持体又はライナー
の上に形成した後、水及び/又は溶剤を蒸発して連通孔
を形成しても良いのである。
【0067】又、本発明においては、粘着剤を上述の方
法で架橋し、次いで、これを発泡させたものを支持体又
はライナーの上に形成しても良いのである。
【0068】本発明においては、粘着剤がホットメルト
型高分子物質とアクリル系粘着剤の混合物からなるもの
が、これらの混合比を変更することによって、種々の粘
着力や発泡状態の異なる粘着剤が得られるので望まし
い。
【0069】この場合、ホットメルト型高分子物質とア
クリル系粘着剤の混合比は、ホットメルト型高分子物質
70〜99重量%とアクリル系粘着剤1〜30重量%の
範囲から、貼付剤の用途や形態、つまり後述する発熱体
を具備するものか否か等によって、任意に決定される。
【0070】本発明においては、粘着剤に経皮吸収性の
薬物を配合することにより、局所治療効果を向上させた
り、全身治療効果を向上させたり、温熱効果によって循
環が活発になった血液などに薬物を吸収させて一層効果
的に生体内の各部に薬物を循環させることができるの
で、各部位の投与効果を一層高める上ですこぶる好まし
い。
【0071】本発明で用いられる薬物としては、経皮吸
収性のものであれば特に限定されるものではないが、具
体的には、例えば皮膚刺激剤、鎮痛消炎剤、中枢神経作
用剤(睡眠鎮静剤、抗てんかん剤、精神神経用剤)、利
尿剤、血圧降下剤、冠血管拡張剤、鎮咳去痰剤、抗ヒス
タミン剤、不整脈用剤、強心剤、副腎皮質ホルモン剤、
局所麻酔剤等が挙げられる。これら薬効成分は、一種又
は必要に応じて二種以上配合されて用いられる。
【0072】この薬物の含有量としては薬効を期待でき
る範囲であれば特に限定されるものではないが、薬理効
果や経済性更に粘着力等の観点より、経皮吸収性の薬物
の含有量が粘着剤100重量部に対し0.01〜25重
量部、特に0.5〜15重量部の範囲で適宜決定され
る。
【0073】本発明においては、担持体における粘着層
側と反対側に発熱体が積層され、この発熱体で温熱効果
を発現させるように構成したものが有益である。
【0074】この発熱体としては外皮に適用されて温熱
効果を発現するものであれば特に限定されるものではな
いが、具体的には、例えば化学的な反応熱を利用するも
の、抵抗体に電力を供給して発生するジュール熱を利用
するもの、等が挙げられる。
【0075】発熱体において、化学的な反応熱を利用す
るものとしては空気の存在下で発熱する、いわゆる発熱
カイロ等が挙げられる。この発熱体組成物としては、例
えば特公昭60−12381号公報、特公昭61−81
16号公報及び特公昭63−24030号公報等、種々
のものが提案されているが、特に、その組成としては鉄
粉系、反応助剤、水及び保水剤から構成されるもので、
空気の存在下で発熱する物質が好ましい。具体的には還
元鉄粉、活性炭、保水剤、塩化ナトリウムや塩化カリウ
ム等の塩化物等の発熱体組成物を適宜配合したものであ
る。
【0076】この場合、発熱体の温度条件としては低温
火傷を発生しない範囲に制御することが重要であり、こ
の観点から、粘着層(発泡体)の表面温度が38〜43℃
に制御するのが好ましい。
【0077】この温熱型の貼付剤は、冬期において、単
に、人体に温熱を供給して快適に過ごすことができるだ
けでなく、局所のこり、疼痛及び冷え等を伴う症状、例
えば肩こり、筋肉痛、筋肉のこり、腰痛、手足の冷え、
神経痛、リューマチ、打ち身、捻挫等の疾患に使用さ
れ、温熱による治療効果を充分に期待できるのである。
【0078】本発明で用いられる発熱体としては特に限
定されるものではないが、特に、以下に述べる発熱体
が、低温火傷の発生がなく安全であり、又、優れた温熱
効果を比較的長時間にわたって提供できるうえ、使用中
に異臭がなく、しかも発熱体組成物の偏りがないので使
用感が優れる結果、至極有益である。
【0079】本発明においては、発熱体が通気性を有す
る袋と、これの内部に封入された発熱体組成物とからな
るものが挙げられるが、特に、本発明で好適に用いられ
る発熱体としては、少なくとも片面通気性フィルムで
構成された開放部のない偏平状袋体の内部に、鉄粉40
〜75重量%、活性炭1〜10重量%、塩化ナトリウム
等の塩化物1〜10重量%、水10〜40重量%及び保
水剤1〜40重量%からなる発熱体組成物を封入してな
るものが望ましい。
【0080】この場合において、発熱体からの温熱を一
層厳格に制御して、一層安全で、しかも一層優れた温熱
効果を確保するために、特に、通気性フィルムの透湿量
がASTM法(E−96−80D法)で50〜800g
/m2・24hrのものが望ましい。
【0081】このように、透湿度で通気性フィルムを管
理するのは、温度が安定するだけでなく、発熱時間もほ
ぼ一定化するからである。
【0082】即ち、このように、温度範囲を38〜43
℃という微妙な範囲に設定するには、発熱体組成物の組
成と、フィルムを通気度で管理するのではなく、透湿度
で管理する必要があり、しかも通気性フィルムの透湿度
をASTM法(E−96−80D法)で50〜800g/m
2・24hrとすることにより、空気(酸素)と発熱体組成
物との酸化反応による発熱と、水の蒸散等による放熱の
バランスによって温度が制御されるのである。
【0083】又、透湿度を上記範囲にコントロールする
ことにより、空気(酸素)と発熱体組成物との酸化反応に
よって酸素が消費され(減圧状態)、一方、発熱によって
蒸気圧が上昇するが、この両方の相殺によっても偏平状
袋体内は減圧状態になり(蒸気圧の上昇より空気中の酸
素の消費による体積の減少の方が大)、このため発熱体
組成物は偏平状袋体によって押圧されるので発熱体組成
物が固定され、偏りがなく、従って、温熱型の貼付剤の
形状が一定で、しかも貼付剤全面の温度が均一になるの
で、優れた温熱型の貼付剤が得られるのである。
【0084】事実、このように水蒸気透過性を制御した
通気性フィルムを用いると、使用中の温度変化が小さ
く、しかもロット間のバラツキが極めて小さく安定した
温度特性が再現性良く得られる。
【0085】本発明に用いられる偏平状袋体は片面が通
気性フィルムで構成された開放部のないものであって、
該通気性フィルムの透湿量がASTM法(E−96−8
0D法)で50〜800g/m2・24hrの範囲のものであ
る。
【0086】又、上記偏平状袋体においてその他面は上
記の通気性フィルムと同様のものを用いて形成してもよ
く、或いは他のフィルムやシートを用いて形成してもよ
いのであり、通気性や透湿性の有無は問わない。
【0087】上記偏平状袋体を形成する高分子材料とし
ては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロ
ン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリウレタン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
天然ゴム、再生ゴム、合成ゴム等が挙げられる。
【0088】又、上記偏平状袋体は、目的に応じて2層
以上の樹脂層で形成されたものでもよいが、その素材の
選択に当たり、ヒートシール性があり、簡単に熱融着で
きるものを選ぶのが好ましい。この場合、2層以上の樹
脂層が熱融着できないときには、その間にホットメルト
系の接着フィルムを介在させてこれらの樹脂層を接合し
てもよいが、このように構成することにより、片面の通
気性フィルムの透湿性が失われないように注意すること
を要する。
【0089】ところで、この袋の強度を増大させるため
に、更に、織布又は不織布からなる通気性補強用フィル
ムを積層するのが望ましく、この場合、この織布又は不
織布からなる通気性補強用フィルムで袋の片面、或いは
両面を補強してもよい。
【0090】この通気性補強用フィルムとしては、例え
ば、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、レーヨン、ア
セテート、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリ塩化ビニル等の人工繊維、綿、麻、絹等の天然繊維
から選ばれる1種または2種以上の素材を用いて形成さ
れる。
【0091】上記ASTM法(E−96−80D法)とは
以下に述べる方法である。即ち、カップ内径(直径)6.
18cm、高さ1.5cmの容器内に純水20mlを入れ、該
容器の上面を通気性フィルムで閉蓋してロウで固定し、
これを恒温(32.2℃)、恒湿(50%)の中に24時間
放置する。次いで、この容器内の水の減少量を測定し、
放出(蒸散)した水の量を[g/m2・24hr]に換算して表
示する。
【0092】通気性フィルムの透湿量が、50g/m2
24hr未満であると発熱量が少な過ぎて温湿布効果が乏
しくなるので好ましくなく、一方、800g/m2・24h
rを超えると温度が上昇して最高温度が50℃を超える
場合があり、このため、低温火傷の危険性があるのでこ
の場合も好ましくなく、従って、通気性フィルムの透湿
量が、好ましくは75〜700g/m2・24hr、特
に、100〜450g/m2・24hrの範囲のものが
最も望ましい。
【0093】又、本発明に用いられる発熱体組成物は、
空気の存在下で発熱反応を起こすものが用いられるが、
この発熱体組成物としては、例えば、鉄粉と、該鉄粉の
酸化反応を起こさせたり、pHの調整及び触媒作用を有
する活性炭、鉄粉表面の酸化皮膜を破壊し、鉄粉の酸化
反応を円滑に進行させるための塩化ナトリウム、更に
水、及び該水によるベトツキをなくするために用いられ
る保水剤からなる。
【0094】上記発熱体組成物はその成分比率が鉄40
〜75重量%、活性炭1〜10重量%、塩化ナトリウム
等の塩化物1〜10重量%、水10〜40重量%、保水
剤1〜40重量%からなるものであり、この範囲以外で
は、低温やけどを生じることがなく安全で、しかも長時
間にわたって優れた温湿布効果を発現する貼付剤を得ら
れないのである。
【0095】この場合、上記発熱体組成物は上記偏平状
袋体に均一に封入されるが、その充填量は200〜50
00g/m2の範囲とするのが望ましく、その充填量が、
200g/m2未満であると発熱体組成物の充填量が少な
過ぎて所望の温度を長時間に亘って維持できず優れた温
熱効果が得られないのであり、一方、5000g/m2
超えると発熱体組成物の充填量が過剰になって袋詰めが
困難になったり、貼付剤が厚くなり過ぎて使用感や携帯
性が悪くなるうえ、不経済であるから好ましくない。
【0096】ところで、上記発熱体組成物中の各成分は
製法、用途によって種々のものがあるが、使捨てカイロ
に用いられるものであれば、種類、形状、純度を問わ
ず、使用が可能である。
【0097】又、上記保水剤としては、保水性が高く、
発熱体組成物においてそのベトツキを無くするものであ
れば特に限定されるものではないが、具体的には、例え
ばバーミキュライト、シリカ粉、木粉、吸水性ポリマー
のうち少なくとも一種が挙げられる。
【0098】ところで、この発熱体組成物を封入する袋
は、少なくとも片面が通気性を有するフィルムからなる
側面シール型、2方シール型、三方シール型、封筒型、
中央合掌シール型などのプラスチック小袋に形成すれば
よく、発熱体組成物を投入あるいは挟入してから開放部
をシールすることにより密封される。
【0099】この袋のシール方法としてはヒートシール
が多用されるが、表裏両側のフィルム或いはシートが互
いにヒートシールできない素材で作られている場合に
は、両側の樹脂フィルムの間にホットメルト系接着剤な
どの接着剤、或いは、ホットメルト系の接着フィルムを
介在させて接合させることができる。
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】本発明においては、遠赤外線効果を発現さ
せるうえで、発熱体組成物中及び/又は発熱体における
粘着層側に、遠赤外線を放射するセラミックスの粉末或
いは成形体が設けるのが望ましい。
【0108】即ち、上記発熱体組成物と共に、或いはこ
れに代えて遠赤外線を放射するセラミックスを用いるこ
とができ、このセラミックスは発熱体組成物と共に袋に
封入したり、上記発熱体組成物と同様にして担持体に担
持させたりすることができ、更にこのセラミックスは粘
着層に担持させることもできる。
【0109】本発明において、経皮吸収性薬物を用いる
場合には、上述した発熱体、或いは遠赤外線を放射する
セラミックスなどを併用し、温熱効果により血行などの
全身作用を高めることにより、薬物の経皮吸収性を高め
全身治療効果や局所治療効果を一層高めることができ
る。
【0110】このようにして得られた温熱型の貼付剤
は、冬期において、単に、人体に温熱を供給して寒さを
凌ぎ、快適に過ごすことができるだけでなく、局所のこ
り、疼痛及び冷え等を伴う症状、例えば肩こり、筋肉
痛、筋肉のこり、腰痛、手足の冷え、神経痛、リューマ
チ、打ち身、捻挫等の疾患に使用され、温熱による治療
効果を充分に期待できるのである。
【0111】次に、本願の第2の発明に係る貼付剤(以
下、本願第2発明と略称する。)について説明する。
【0112】本願第2発明においては、上記目的を達成
するために、本願第1発明において、担持体が支持体
と、この支持体と上記粘着層の間に介在された吸水層か
らなることを特徴とする。
【0113】本願第1発明においては、担持体自体が吸
水性を有し、この吸水性の担持体における全面或いは部
分的に、通水性を有する粘着層が形成されている点に特
徴を有するが、本願第2発明においては、担持体が支持
体と吸水層からなり、しかもこの吸水層が支持体と通水
性の粘着層の間に介在されている点に最も大きな特徴を
有する。
【0114】従って、本願第2発明において用いられる
粘着層、経皮吸収性の薬物、発熱体や発熱体組成物等
は、本願第1発明と同様なので、重複説明を避けるため
に省略する。
【0115】ところで、本願第1発明で用いられる担持
体は、吸水性を有し、しかも粘着層を担持できるもので
あれば特に限定されるものではないので、担持体全体が
吸水性を有するもので構成することが可能であるが、こ
の場合には、担持体が使用中に吸水によって強度が低下
し、貼付剤が破損する恐れが生じる場合がある。
【0116】従って、担持体を支持体と吸水層で構成
し、この支持体によって貼付剤全体を補強するのが望ま
しい。
【0117】本願第2発明で用いられる支持体として
は、吸水層を担持し、且つ吸水後に貼付剤の強度の低下
を防止するものであれば特に限定されるものではない
が、具体的には、例えば合成樹脂製のフィルム又はシー
ト、又は合成樹脂製の不織布又は織布、更に合成樹脂製
のフィルム又はシートと、合成樹脂製の不織布又は織布
の積層体等が挙げられる。
【0118】この合成樹脂製のフィルム又はシートは単
層のフィルム又はシートや2種以上が積層されたフィル
ム又はシートでも良いのである。
【0119】上記合成樹脂としては、フィルム状又はシ
ート状に成形できるもの、或いは不織布又は織布を形成
できるものであれば特に限定されるものではないが、具
体的には、例えば以下のものが挙げられる。
【0120】この合成樹脂としては特に限定されるもの
ではないが、具体的には、例えばポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレ
ン、スチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン
−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0121】このように、支持体を合成樹脂製のフィル
ム又はシートで形成すると、皮膚表面が密封されて汗等
の体液の蒸散が阻止され、いわゆるODT効果による老
廃物の滲出促進や薬物の吸収が促進される結果、一層優
れた薬理効果等が得られるのである。
【0122】勿論、本願第2発明で用いられる支持体と
しては、天然繊維又は人造繊維で形成された布も用いら
れる。
【0123】上記天然繊維としては植物繊維又は動物繊
維が挙げられるが、具体的には例えば木綿、カポック、
マニラ麻、サイザル麻、絹、羊毛、モヘア、カシミア、
ラクダまたはアルパカなどが挙げられる。
【0124】又、人造繊維としては再生繊維、半合成繊
維又は合成繊維が挙げられるが、このうち、再生繊維と
しては、例えばビスコースレーヨン又は銅アンモニアレ
ーヨン等が挙げられるのであり、又、半合成繊維として
は、例えばアセテートが挙げられる。
【0125】更に、本願第2発明で用いられる支持体と
しては、天然ゴム、再生ゴム、合成ゴムで形成されたフ
ィルムないしシート、アルミ箔などの金属箔で形成され
たフィルムないしシート、或いは、これらのフィルムな
いしシートを積層した積層フィルムないし積層シートを
用いることができる。
【0126】本願第2発明で用いられる吸水層としては
吸水性の層であれば特に限定されるものではないが、本
願第2発明においては吸水層が支持体に担持されるので
当該吸水層の強度は問題ではない。
【0127】従って、本願第2発明においては、本願第
1発明で挙げた吸水性の担持体を吸水層として用いるこ
とができるだけでなく、例えば吸水層が吸水性ポリマー
で形成された層、或いは吸水層が吸水性の紙、織布また
は不織布と、これに担持された吸水性ポリマー層からな
るもの等が挙げられる。
【0128】本願第2の発明において、粘着層の厚さ
は、本願第1の発明の場合と同様であり、従って、5〜
1000μmの範囲から適宜選択して決定される。
【0129】又、 本願第2の発明において、吸水層の
厚さは、5〜500μm、特に、15〜300μm、更
に、30〜200μmとするのが好ましく、吸水層の厚
さが、5μm未満では吸水量が乏しく、皮膚表面の体液
を完全に吸収できなくなる虞れが有り、一方、500μ
mを超えると意味が無いだけでなく、使用感が悪くなる
ので好ましくない。
【0130】本発明で用いられる吸水性ポリマーとして
は、自重の10倍以上、特に50倍以上の水を吸収して
ゲル化するものであれば特に限定されるものではない
が、特に、架橋結合を導入して水に対する溶解性を制御
した吸水性ポリマーが望ましい。
【0131】具体的には、特公昭49−43395号公
報に開示されている澱粉−ポリアクリロニトリル共重合
体、特公昭51−39672号公報に開示されている架
橋ポリアルキレンオキシド、特公昭53−13495号
公報に開示されているビニルエステル−エチレン系不飽
和カルボン酸共重合体ケン化物、特公昭54−3071
0号公報に開示されている逆相懸濁重合法によって得ら
れる自己架橋ポリアクリル酸塩、特開昭54−2009
3号公報に開示されているポリビニルアルコール系重合
体と環状無水物との反応生成物、特開昭59−8430
5号公報に開示されているポリアクリル酸塩架橋物、ポ
リアクリル酸ソーダ、CMC、ポリビニルアルコール、
ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ア
ラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセル
ロース、アルギン酸ソーダ、ペクチン、カルボキシビニ
ルポリマー、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド等から
選ばれた1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0132】この吸水性ポリマーの市販品の例として
は、例えば三洋化成社製のサンウェットIM−300、
サンウェットIM−300MPS、サンウェットIM−
1000又はサンウェットIM−1000MPS等の
他、製鉄化学社製のアクアキープ4Sやアクアキープ4
SH等が挙げられるのであり、又、住友化学社製のスミ
カゲルNP−1020、スミカゲルNP−1040、ス
ミカゲルSP−520及びスミカゲルN−1040等が
挙げられるのであり、更に、クラレ社製のKIゲル20
1−KやKIゲルー201K−F2等が挙げられるので
あり、又、荒川化学社製のアラソープ800やアラソー
プ800F等が挙げられるのであり、これらのうち、皮
膚からの汗や分泌物等の体液の吸収・吸着性が高い等の
理由より、三洋化成社製のサンウェットIM−300M
PSやサンウェットIM−1000MPS、住友化学社
製のスミカゲルNP−1020やスミカゲルNP−10
40、クラレ社製のKIゲル−201K−F2、荒川化
学社製のアラソープ800F等が特に好ましい。
【0133】この場合、吸水性ポリマーが、皮膚からの
汗や分泌物等の体液との親和性が悪く、体液の吸収速度
が悪い場合には、界面活性剤で処理するのが望ましい。
【0134】本発明で用いられる界面活性剤としては吸
水性ポリマーを処理することによって当該吸水性ポリマ
ーの吸水性が向上するものであれば特に限定されるもの
ではなく、具体的には、陰イオン界面活性剤、陽イオン
界面活性剤、非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤が
挙げられる。
【0135】本発明で好適に用いられる界面活性剤とし
ては、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、カプ
リル酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナト
リウム、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウ
ム、或いは、リン酸エステル塩型の界面活性剤、高級ア
ルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アル
コールリン酸ジエステルナトリウム塩等の界面活性剤、
オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ラウリン酸、
パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸
やその金属塩、低重合度ポリカルボン酸の塩、例えば低
重合度ポリアクリル酸ソーダ、低重合度ポリアクリル酸
ブチル、低重合度ポリメタアクリル酸ソーダ、更に、ス
ルホン化ポリスチレン等の界面活性剤等が挙げられる。
【0136】なお、この吸水性ポリマーで吸水層を構成
する場合、吸水性ポリマーは粉末状のものを用いても、
合成樹脂フィルム状ないしシートに練り込んだものを用
いてもよい。
【0137】ところで、本願第2発明においては、吸水
層を支持体に全面的に、或いは部分的に融着、溶着、接
着などによって互いに固定して位置ずれを防止するよう
にしてもよく、又、吸水層を挟む支持体の周縁部に連続
して、或いは、断続して粘着層を粘着させることにより
支持体と粘着層との間に支持させ、吸水ポリマーを粘着
層に粘着させることにより位置ずれを防止するようにし
てもよい。
【0138】又、この吸水層には、所望により、他の成
分、例えば防カビ剤、抗菌剤、殺菌剤、消臭剤又は脱臭
剤等が適宜適量配合されても良いのである。
【0139】尚、本願第2発明において、発熱体の積層
形態については特に限定されるものではないが、具体的
は、例えば発熱体を担持体における粘着層と反対側に
設けたり、担持体の支持体と兼用したり、担持体におけ
る支持体を2層以上とし、この支持体間に配置する等、
種々の構成が挙げられる。
【0140】ところで、本発明の貼付剤における粘着層
の露出面には、剥離処理を施した剥離紙、セロファン又
はポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックフィ
ルムを積層して被覆される。
【0141】この貼付剤は1個或いは2個以上の単位で
気密性の包装材に密封包装され、流通に供される。
【0142】
【作用】本願第1発明は、外皮に貼着される通水性の
着層と、この粘着層を担持する吸水性の担持体とからな
る貼付剤であって、上記粘着層が、ホットメルト型高分
子物質を含有する粘着剤の発泡体で形成され、且つこの
発泡体が連通孔を有する層、ホットメルト型高分子物質
を含有する糸状体で形成された層、又はホットメルト型
高分子物質を含有する粘着剤の発泡体と糸状体の混合体
で形成された層のいずれか、あるいは、合成樹脂及び/
又はゴムのエマルジョンを用いて形成された粘着剤の多
孔質体、であること、を特徴とする。
【0143】即ち、本願第1発明においては、粘着層が
通水性を有し、しかも担持体が吸水性を有するから、発
汗作用などによって皮膚から滲出した汗等の体液が粘着
層を透過し、この透過した体液は担持体に吸収される。
【0144】この結果、皮膚のふやけや皮膚炎更に皮膚
の痒み等が長期間にわたって防止されるので、安全性が
著しく高くなる作用を有する。
【0145】又、本願第1発明においては、粘着層が通
水性を有し、しかも担持体が吸水性を有するから、貼付
剤の剥がれが防止されたり、外皮との密着性の低下を阻
止し、これによって、薬物の経皮吸収性を向上させる作
用を有するのである。
【0146】更に、本願第1発明においては、皮膚のふ
やけや皮膚炎更に皮膚の痒み等が長期間にわたって防止
されるから、皮膚組織の弱体化が防止される結果、外皮
に温熱を与えたとき、低温やけどが生じ難い作用を有す
るのである。
【0147】
【0148】願第2発明においては、粘着層が通水性
を有し、しかも担持体における吸水層が吸水性を有する
から、発汗作用などによって皮膚から滲出した汗等の体
液が粘着層を透過し、この透過した体液は吸水層に吸収
される結果、本願第1発明と同様の作用を有するのであ
る。
【0149】加えて、本願第2発明においては、担持体
が支持体と吸水層からなり、この支持体は貼付剤の強度
を上げるものであるから、吸水層が吸水した後でも貼付
剤の強度の低下を防止できる作用を有するのである。
【0150】又、このように、支持体を合成樹脂製のフ
ィルム又はシートで形成すると、皮膚表面が密封されて
汗等の体液の蒸散が阻止され、いわゆるODT効果によ
る老廃物の滲出促進や薬物の吸収が促進される作用を有
するのである。
【0151】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0152】実施例1 図1の断面模式図に示すように、本発明の一実施例に係
る貼付剤は、外皮に粘着される粘着層1と、これを担持
する担持体2とからなる。
【0153】この場合、上記粘着層1は後述する方法で
得た粘着性を有する厚さ約170μmの層であって通水
性を有するものである。
【0154】即ち、まずスチレンーイソプレンースチレ
ンブロック共重合体33重量部、水素添加石油樹脂2
8.5重量部、テルペン系樹脂7.5重量部、パラフィ
ン系オイル18.5重量部、アロマ系オイル6.5重量
部、酸化チタン3重量部、亜鉛華2.5重量部及びトリ
スノニルフェニルーフォスファイト0.5重量部からな
る粘着剤を窒素気流中で165℃の温度で充分に撹拌し
て均一な溶融混合物とした。
【0155】次に、図2に示すように、この溶融混合物
を、厚さが100μmのフィルムとなるように、T字型
口金(Tダイ)6aから溶融押し出を行うと同時に、そ
の周囲に開口させた圧縮空気噴出口6bから0.5〜1
0kg/cm2程度、この場合、2〜4kg/cm2程度
の圧縮空気を噴出させて溶融状態のフィルムに衝突さ
せ、これによって、糸状の粘着剤と発泡状態の粘着剤か
らなる厚さが約170μmの粘着層1を得た。このよう
にして得た粘着層1は多数の微細な連通孔を備え、優れ
た通水性を有する。
【0156】この場合、圧縮空気噴出口は、図2に示す
ようにスリット状の噴出口6bでもよく、或いはこれに
代えて、図3に示すように、列状に順に独立して隣接さ
せた噴出口16bでもよく、更に、これらに代えて、溶
融混合物を、複数列、図4に示す例では、3列で、しか
も粘着剤噴出口26aから糸状に溶融押し出しを行う
等、糸状の粘着剤を重ねて通水性の粘着層1を形成して
も良いのである。
【0157】この実施例では、図2に示す方法で、通水
性の粘着層1を、後述する担持体2の吸水層4における
皮膚面側3に形成した。
【0158】上記担持体2はその自体が吸水性を有する
もので形成しても良いが、この場合、担持体2の強度を
向上するために、支持体5と吸水層4からなる積層体を
用いている。
【0159】上記支持体5は、厚さ40μmのポリエチ
レン製フィルムの片面に、レーヨン繊維含有量60重量
%で且つ坪量40g/m2のレーヨン・ポリエステル混
合不織布をラミネートしたものを用いた。
【0160】又、上記吸水層4は澱粉ーポリアクリル酸
グラフト共重合体(三洋化成株式会社製、サンウェット
IM=300)を用い、坪量が100g/m2となるよ
うに、上記支持体5の不織布側に形成した吸水性ポリマ
ーの層である。
【0161】次いで、上記粘着層1上に、塩酸リドカイ
ンゼリーを塗工して、塩酸リドカイン含有粘着層を形成
した。この場合、塩酸リドカイン含有粘着剤層全体中の
塩酸リドカイン含有量は1.5重量%になるように調整
した。
【0162】かくして、本発明の貼付剤を得た。この貼
付剤の大きさは、縦9.5cm、横13.0cmとし
た。
【0163】実施例2 図5は本発明の他の実施例を示し、外皮に貼着される粘
着層11と、この粘着層11を担持する担持体12とか
らなり、この担持体12は支持体15とその片面に形成
された吸水層14からなる。
【0164】そして、この場合、支持体15は、後述す
る表裏両フィルムを重ね合わせ、その周縁部が熱融着さ
れた偏平袋状に形成されており、しかも表フィルム15
bは透湿性を有する。
【0165】又、上記支持体15、つまり偏平状袋体の
中には空気の存在によって発熱する発熱体組成物15a
が封入されている。
【0166】即ち、この貼付剤は吸水層14において、
その片面、つまり皮膚面側13には粘着層11が、又、
他面には発熱体が積層された構造を有する。
【0167】この粘着層11は、以下の方法で、発熱体
の片面に形成したものである。即ち、まず離形性のフィ
ルムの片面に、実施例1と同様にして、通水性の粘着層
11を形成し、この通水性の粘着層11を発熱体の片面
に転写する。
【0168】又、この貼付剤における吸水層14は、実
施例1のものと同様のものを用いた。
【0169】 表フィルムである透湿性フィルムの製
ポリエチレン製の透湿性基材フィルム(厚さ40μm)
の片面に、ポリエステル製多孔質補強用基材(坪量60
g/m2)をラミネートしたものを用いた[透湿度がA
STM法(E−96−80D法)で400g/m2・2
4hr]。
【0170】 裏フィルムの製造 厚さ40μmのポリエチレン製フィルムの片面にレーヨ
ン繊維含有量60重量%で且つ坪量40g/m2のレー
ヨン・ポリエステル混合不織布をラミネートしたものを
用いた。
【0171】上記の表フィルムと裏フィルムを重ね合わ
せるにあたり、裏フィルムにおけるポリエチレン製フィ
ルム側と、表フィルムにおける透湿性基材フィルムとが
接触するように積層し、つまり不織布が露出するように
積層し、その積層体の三周縁部をヒートシールして一方
端開放の偏平状袋体を形成し、この偏平状袋体の内部に
後述する空気の存在によって発熱する発熱体組成物を充
填し(1666.7g/m2)、この開放部をヒートシ
ールして、上記発熱体を得た。
【0172】従って、吸水層14は、支持体12である
偏平状袋体における裏フィルムの露出面側、つまりレー
ヨン・ポリエステル混合不織布側に、更に、澱粉ーポリ
アクリル酸グラフト共重合体(三洋化成株式会社製、サ
ンウェット IM=300)を用い、坪量が100g/
2となるように形成した吸水性ポリマーの層である。
【0173】発熱体組成物の成分 鉄粉60重量%、活性炭3重量%、塩化ナトリウム3重
量%、保水剤3重量%及び水31重量%の組成物
【0174】かくして、本発明の温熱型の貼付剤を得
た。この温熱型の貼付剤の大きさは、縦9.5cm、横
13.0cmとした。
【0175】実施例3 実施例2において、粘着層として以下に述べる薬物含有
の粘着層を用いた以外は、実施例2と同様に、温熱型の
貼付剤を得た。
【0176】即ち、実施例2と同様にして得た粘着剤層
上に、塩酸リドカインゼリーを塗工して、塩酸リドカイ
ン含有粘着層を形成した。この場合、塩酸リドカイン含
有粘着剤層全体中の塩酸リドカイン含有量は1.5重量
%になるように調整した。
【0177】かくして、本発明の温熱型の貼付剤を得
た。この温熱型の貼付剤の大きさは、縦9.5cm、横
13.0cmとした。
【0178】比較例1 実施例1と同様の粘着剤を用い、公知の方法で粘着層を
形成し、しかも吸水層を設けていない以外は、実施例1
と同様にして貼付剤を得た。
【0179】即ち、この貼付剤における粘着剤層は全く
発泡させていないものを用い、従って、通水性が無く、
しかも粘着層の厚さを100μmとしたものである。
【0180】比較例2 実施例3と同様の粘着剤を用い、公知の方法で粘着層を
形成し、しかも吸水層を設けていない以外は、実施例3
と同様にして発熱型の貼付剤を得た。
【0181】即ち、この発熱型の貼付剤における粘着剤
層は全く発泡させていないものを用い、従って、通水性
が無く、しかも薬物を含有し、且つ粘着層の厚さを10
0μmとしたものである。
【0182】上記の実施例1〜3及び比較例1・2の各
貼付剤を用い、下肢痛を訴えるパネラー(男性7人、女
性8人 年令55〜65才)に適用し、粘着性、使用
感、人体皮膚の凹凸面への追従性、下肢痛の自覚症状、
剥離時の苦痛及び低温火傷について試験を行った。
【0183】この場合、下肢痛の箇所に1枚貼着し、こ
れを毎日張り替えつつ1週間続けた。
【0184】その結果、粘着性は実施例及び比較例共に
良好であり、しかも実施例1〜3のものは剥離の際の苦
痛を訴える人はいなかったが、比較例1・2のものは剥
離の際の苦痛を15名中4名が訴えた。
【0185】又、実施例1のものは粘着層に弾力性があ
り、人体皮膚の凹凸面に対する追従性が良好で使用感が
良好であると主張したものが15名中11名おり、又、
実施例2のものは、同様の理由で、15名中4名が使用
感が良好であると主張し、実施例3のものは、同様の理
由で、15名中6名が使用感が良好であると主張した。
【0186】これに対し、比較例1のものは15名中4
名が使用感が問題無いと主張したが、比較例2のものは
15名中全員が人体皮膚の凹凸面に対する追従性が悪
く、突っ張り感が有り使用感が悪いと主張した。
【0187】実施例2・3において、発熱体を積層して
いるにも拘わらず、使用感が良好であると主張した理由
は明確ではないが、粘着層が発泡しているので、粘着層
に弾力性がある結果、人体皮膚の凹凸面に対する追従性
が生じたためと解される。
【0188】更に、薬理効果において、実施例1と比較
例1、実施例3と比較例2では差異が認められなかった
が、温熱型の貼着剤(実施例3及び比較例2)の方が顕
著な効果が認められた。
【0189】又、実施例2においては、粘着層に薬物を
含有させていないにも拘わらず、実施例1と同等ないし
それ以上の薬理効果が認められた。
【0190】ところで、実施例3及び比較例2を皮膚
(下肢)に貼着し、この皮膚(下肢)側に固定した5本の熱
電対を用いて当該皮膚(下肢)部の温度変化を理化工業株
式会社のSBR187−35CAにて記録したところ、
実施例3のものは41.5〜42.2℃の範囲であった
が、比較例2のものは41.8〜42.1℃の範囲であ
ることが認められた。
【0191】尚、実施例3及び比較例2を下肢痛の箇所
に1枚貼着し、これを毎日張り替えつつ1週間続けた。
【0192】この張り替えの際、実施例3及び比較例2
の温熱型の貼付剤の剥離箇所を肉眼で観察した所、実施
例3の場合には15名全員の皮膚表面に汗等の体液の滞
留が全く認められなかったが、比較例2の場合には15
名全員の皮膚表面に汗等の体液が滞留し、しかも15名
中12名には皮膚のふやけや痒みの発生が認められた。
【0193】特に、低温火傷において、実施例3では低
温火傷は全く認められなかったが、比較例2のものは1
5名中3名の人に低温火傷が認められた。。
【0194】この理由は明確ではないが、比較例2の場
合には、貼付剤と皮膚表面との間に滞留した汗等の体液
が、温熱型の貼付剤によって加熱され、この加熱された
体液が皮膚組織を弱体化させ、この結果、比較的低い温
度でも低温やけどが発生し易くなったものと解される。
【0195】以上の実験から、本発明の温熱型の貼付剤
は、安全性が高いので、冬期において、単に、人体に温
熱を供給して快適に過ごすことができるだけでなく、局
所のこり、疼痛及び冷え等を伴う症状、例えば肩こり、
筋肉痛、筋肉のこり、腰痛、手足の冷え、神経痛、リュ
ーマチ、打ち身、捻挫等の疾患に使用され、温熱による
治療効果を充分に期待できるのである。
【0196】尚、本発明においては、実施例1で述べた
ように、粘着剤の溶融混合物を、1列以上、図6及び図
7に示す例では、1列で、しかも粘着剤噴出口から糸状
に溶融押し出しを行うにあたり、この噴出ノズルを、図
6に示すように楕円(円でもよい)を描きながら一方向
に移動する軌跡41を描くように繰り返し運行したり、
或いは図7に示すように、ジグザグに移動する軌跡42
を描くように繰り返し運行したり、適宜二次元方向に運
行させて、吸水層43における皮膚面側44に糸状の粘
着剤を重ねて通水性の粘着層を形成しても良いのであ
る。
【0197】
【発明の効果】本願第1発明は、上記構成を有し、粘着
層が通水性を有し、しかも担持体が吸水性を有するか
ら、発汗作用などによって皮膚から滲出した汗等の体液
が粘着層を透過し、この透過した体液は担持体に吸収さ
れる結果、皮膚のふやけや皮膚炎更に皮膚の痒み等が長
期間にわたって防止されるので、安全性が著しく高くな
り、貼付剤として至極有益である。
【0198】又、本願第1発明においては、粘着層が通
水性を有し、しかも担持体が吸水性を有するから、貼付
剤の剥がれが防止されたり、外皮との密着性の低下を阻
止し、これによって、薬物の経皮吸収性が向上する結
果、優れた薬理効果を発現するのである。
【0199】更に、本願第1発明においては、担持体が
体液を吸収して皮膚のふやけや皮膚炎更に皮膚の痒み等
が長期間にわたって防止されるから、皮膚組織の弱体化
が防止される結果、外皮に温熱を与えたとき、低温やけ
どが生じ難く、この点からも安全性が至極高いのであ
る。
【0200】
【0201】願第2発明においては、粘着層が通水性
を有し、しかも担持体における吸水層が吸水性を有する
から、発汗作用などによって皮膚から滲出した汗等の体
液が粘着層を透過し、この透過した体液は吸水層に吸収
される結果、本願第1発明と同様の効果を有するのであ
る。
【0202】加えて、本願第2発明においては、担持体
が支持体と吸水層からなり、この支持体は貼付剤の強度
を上げるものであるから、吸水層が吸水した後でも貼付
剤の強度の低下を防止できるので、信頼性が著しく向上
するのである。
【0203】又、このように、支持体を合成樹脂製のフ
ィルム又はシートで形成すると、皮膚表面が密封されて
汗等の体液の蒸散が阻止され、いわゆるODT効果によ
る老廃物の滲出促進や薬物の吸収が促進される結果、一
層優れた薬理効果等が得られるのである。
【0204】本発明において、粘着剤の発泡体に経皮吸
収性の薬物を配合することにより、局所治療効果を向上
させたり、全身治療効果を向上させることができる結
果、医薬品として至極有益である。
【0205】本発明においては、貼付剤の片面に発熱体
が積層されていると、この発熱体により、冬期におい
て、単に、人体に温熱を供給して快適に過ごすことがで
きるだけでなく、局所のこり、疼痛及び冷え等を伴う症
状、例えば肩こり、筋肉痛、筋肉のこり、腰痛、手足の
冷え、神経痛、リューマチ、打ち身、捻挫等の疾患に使
用されると、温熱による治療効果を発現するのである。
【0206】この温熱型の貼付剤において、粘着剤の発
泡体に経皮吸収性の薬物が配合されていることにより、
温熱効果によって、循環が活発になった血液などに薬物
を吸収させて一層効果的に生体内の各部に薬物を循環さ
せることができるので、局所治療効果を一層向上させた
り、全身治療効果を一層向上させて、薬理効果を一層高
める結果、医薬品として至極有益である。
【0207】この場合、この温熱によって、皮膚からの
発汗等が活発になるが、担持体或いは担持体における吸
水層によって汗等の体液を円滑に吸収、吸着し、常に外
皮表面を清潔に保つので、ムレや痒みがなく、しかも至
極衛生的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例の断面模式図である。
【図2】図2は粘着層形成用ノズルの正面図である。
【図3】図3は他の粘着層形成用ノズルの正面図であ
る。
【図4】図4は更に他の粘着層形成用ノズルの正面図で
ある。
【図5】図5は本発明の他の実施例の断面模式図であ
る。
【図6】図6は本発明のスプレー運行方法の説明図であ
る。
【図7】図7は本発明の他のスプレー運行方法の説明図
である。
【符号の説明】
1 粘着層 2 担持体 3 皮膚面側 4 吸水層 5 支持体
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 9/70 A61K 47/32

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外皮に貼着される通水性の粘着層と、こ
    の粘着層を担持する吸水性の担持体とからなる貼付剤で
    あって、上記粘着層が、ホットメルト型高分子物質を含
    有する粘着剤の発泡体で形成され、且つこの発泡体が連
    通孔を有する層、ホットメルト型高分子物質を含有する
    粘着剤の糸状体で形成された層、又はホットメルト型高
    分子物質を含有する粘着剤の発泡体と糸状体の混合体で
    形成された層であることを特徴とする貼付剤。
  2. 【請求項2】 ホットメルト型高分子物質が、A−B−
    A型ブロック共重合体、飽和ポリエステル系高分子物
    質、アクリル系高分子物質、ウレタン系高分子物質、ポ
    リアミド系高分子物質、ポリオレフィン系高分子物質又
    はポリオレフィン系共重合体或いはこれらの変性体であ
    る、請求項記載の貼付剤。
  3. 【請求項3】 外皮に貼着される通水性の粘着層と、こ
    の粘着層を担持する吸水性の担持体とからなる貼付剤で
    あって、上記粘着層が、合成樹脂及び/又はゴムのエマ
    ルジョンを用いて形成された粘着剤の多孔質体であるこ
    とを特徴とする貼付剤。
  4. 【請求項4】 担持体が、支持体と、この支持体と上記
    粘着層との間に介在された吸水層とからなる、請求項1
    〜3のいずれか1項記載の貼付剤。
  5. 【請求項5】 粘着層が、担持体に部分的に形成されて
    いる、請求項1〜4のいずれか1項記載の貼付剤。
  6. 【請求項6】 支持体が、合成樹脂製のフィルム又はシ
    ート、合成樹脂製の不織布又は織布、あるいは合成樹脂
    製のフィルム又はシートと合成樹脂製の不織布又は織布
    との積層体で形成されている、請求項4又5記載の貼付
    剤。
  7. 【請求項7】 吸水層が、吸水性の紙、織布又は不織
    布、及び/又は吸水性ポリマーで形成された層である、
    請求項4〜6のいずれか1項記載の貼付剤。
  8. 【請求項8】 粘着層には経皮吸収性の薬物が含有され
    ている、請求項1〜7のいずれか1項記載の貼付剤。
  9. 【請求項9】 担持体における粘着層側と反対側に発熱
    体が積層されている、請求項1〜8のいずれか1項記載
    の貼付剤。
  10. 【請求項10】 発熱体が、通気性を有する袋と、これ
    の内部に封入された発熱体組成物とからなる、請求項
    記載の貼付剤。
  11. 【請求項11】 粘着層の露出面が、剥離処理を施した
    剥離紙、セロファン又はプラスチックフィルムで被覆さ
    れている、請求項1〜10記載の貼付剤。
  12. 【請求項12】 気密性の包装材に密封包装されてい
    る、請求項1〜11記載の貼付剤。
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