JP3509423B2 - 吸着剤、その製造方法及び果汁の処理方法 - Google Patents
吸着剤、その製造方法及び果汁の処理方法Info
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Description
の製造方法及びこの吸着剤を用いる果汁からの苦味除去
方法に関するものである。
物品種、産地、作柄、摘果時期、保管期間方法、搾汁時
期等で品質が変化し、単にパルプ分を除くという清澄化
するだけの処理では安定化した美味である風味を提供す
ることが困難であった。このため柑橘類の果汁の品質を
安定化させる方法の1つとして、果汁中の苦味成分を選
択的に除去することが行われており、この方法の1つと
して吸着剤との接触により苦味成分だけを吸着分離する
方法が知られている。このような苦味成分として代表的
なフラボノイド化合物であるナリンギンが挙げられる。
このほか柑橘類に特有なテルペノイド化合物であるリモ
ニン等も苦味成分として知られているが含有量は微少で
あり、主としてナリンギンを取り除くことが苦味除去の
目的となっている。この化合物は分子量が500程度の
ものであり吸着剤を用いて選択的に且つ高効率に除去す
るためには、吸着剤の疎水性すなわち化学構造ならびに
細孔構造を精密に設計し合成する必要がある。
日本食品工業学会誌1979年第26巻第1号第1〜5頁には
スチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる吸着剤を
使用する方法が記載されているが、例示された吸着剤は
苦味成分除去のために設計合成されたものではなく、比
表面積が約700m2 /g(吸着剤g当たり)であり、
その処理能力は小さく、満足できるものではなかった。
特開昭60-153780号公報には、スチレン−ジビニルベン
ゼン共重合体を使用する苦味成分除去方法が示されてい
るが、この場合も例示されている吸着剤の比表面積は5
00〜700m 2 /g(吸着剤g当り)である。また、
特表平2-503516号公報には、同様の重合体をさらに後架
橋処理した後イオン交換基の導入により親水化処理した
樹脂を使用した例が開示されているが、この場合には製
造法が複雑かつ多工程に渡るうえに、さらにイオン交換
基を有するため苦味成分除去する使用の前後に樹脂を酸
又はアルカリ等の薬剤により予め処理する必要がある
等、取り扱い工程の煩雑さの点から実用上問題があっ
た。
で且つ苦味成分の除去性能に優れた吸着剤を提供するこ
とにある。即ち、果汁の苦味成分を選択的に高効率に除
去するのに適し、且つ高処理能力を有する細孔構造が付
与され、イオン性官能基等を含まず取り扱いの容易な吸
着剤を提供することを課題とする。本発明者らは、吸着
剤が苦味成分を疎水的に吸着するために疎水性の化学構
造を持ち、苦味成分が容易に吸着剤内部に拡散できる細
孔容積、さらに苦味成分を効率よく吸着するための大き
な比表面積を持たせることにより、本発明を完成させる
ことができたのである。
決するために請求項1において、芳香族ビニル単量体化
合物を主成分として重合してなる多孔質架橋重合体から
なり、乾燥重量当たりの比表面積が1200m2 /g
(吸着剤)以上、水湿潤体積当たりの細孔容が0.52
ml/ml(吸着剤)以上、かつ半径50Å以上の細孔
における比表面積が75m2 /ml(吸着剤)以上であ
ることを特徴とする吸着剤を提供するものである。請求
項2において、芳香族ビニル単量体化合物が、ジビニル
ベンゼン又はジビニルベンゼンとエチルビニルベンゼン
との混合物である請求項1に記載の吸着剤を提供するも
のである。
物を主成分とする単量体混合物を、微細構造を発現させ
る不活性物質の存在下、懸濁重合し、得られた多孔質架
橋重合体ビーズを不活性媒体の存在下、ルイス酸触媒と
接触させることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸
着剤の製造方法に存する。さらに、本発明は、果汁を、
請求項1又は2に記載の吸着剤と接触させることを特徴
とする果汁の処理方法を提供するものである。
本発明において吸着剤を構成する多孔質架橋重合体と
は、芳香族ビニル単量体化合物を主成分として重合して
なるものである。多孔質架橋重合体については、公知の
種々の製造法が開示されており、例えば、北条のぶ正編
「キレート樹脂・イオン交換樹脂」(1976年講談社発
行)に記載されるイオン交換樹脂の多孔性母体の製造法
に準じて製造することができる。
の比表面積が1200m2 /g(吸着)以上、水湿潤体
積当たりの細孔容積が0.52ml/ml(吸着剤)以
上、かつ半径50Å以上の細孔における比表面積が75
m2 /ml(吸着剤)以上であることを必須の構成要件
としている。好ましくは、吸着剤の乾燥重量当たりの比
表面積は1200〜3000m2 /g(吸着剤)、水湿
潤体積当たりの細孔容積は0.52〜1.0ml/ml
(吸着剤)、かつ半径50Å以上の細孔における比表面積
は75〜150m2 /ml(吸着剤)であり、この範囲
を外れると苦味除去を選択的にかつ高効率に除去するこ
とができなくなったり、そのような吸着剤を製造するこ
とが困難となったりする。
面積の値(m2 /g乾燥・吸着剤)はBET法により測
定されたものであり、吸着剤の水湿潤体積当たりの細孔
容積および半径50Å以上の細孔における比表面積の値
は、それぞれBJH(窒素吸着)法により得られた積算
細孔容積値(ml/g乾燥・吸着剤)及び比表面積値
(m2 /g乾燥・吸着剤)に、吸着剤の水中嵩密度(g
乾燥・吸着剤/ml水湿潤・吸着剤)を乗じて得られる
数値である。
とは、芳香族モノビニル単量体化合物及び/又は芳香族
ポリビニル単量体化合物からなるものである。特に芳香
族ビニル単量体化合物中の芳香族ポリビニル単量体化合
物の含有割合は、55〜100重量%の範囲で使用する
のが好ましい。
スチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビ
ニル塩化ベンジル等が挙げられる。芳香族ポリビニル単
量体化合物としては、ジビニルベンゼン、トリビニルベ
ンゼン、ジビニルナフタレン等が挙げられる。これらは
1種又は2種以上を混合して用いてもよい。特に芳香族
ビニル単量体化合物として、ジビニルベンゼン100〜
55重量%とエチルビニルベンゼン0〜45重量%とか
らなる混合物が好ましい。また、必要に応じて、これら
芳香族ビニル単量体化合物には、例えば脂肪族ビニル単
量体化合物等のような共重合可能な他のビニル単量体化
合物を少量併用してもよい。
現させる不活性物質としては、芳香族ビニル単量体化合
物又はこの単量体混合物に可溶性で水に実質的に不溶性
である種々の化合物が挙げられる。これらの不活性物質
の具体例としては、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化
水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族
化合物、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン
化炭化水素化合物、及びポリスチレン等の線状高分子化
合物を1種又は2種以上混合して用いることができる。
これらのうち不活性物質として、トルエンが特に好まし
い。本発明において、不活性物質の使用割合は、使用す
る全ビニル単量体化合物の混合物100重量部に対して
30〜300重量部、好ましくは75〜250重量部が
好ましい。
存在下に少量の重合開始剤が添加され重合反応により、
多孔質架橋重合体となる。重合開始剤としては、ベンゾ
イルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の有機過
酸化物やアゾビスイソブチロニトリル等の有機アゾ化合
物を、ビニル単量体化合物全量100重量部に対して
0.01〜10重量部の割合で使用するのがよい。重合
反応は、公知の懸濁重合方法に準じて行うことができ、
得られた生成物は洗浄され多孔質架橋重合体ビーズとな
る。得られた重合体ビーズは、このままでも本発明の吸
着剤として使用できる性能を保有するが、後記する本発
明の吸着剤の製造方法による後処理を経て、さらに苦味
除去性能の向上した吸着剤を得ることができる。
は、芳香族ビニル単量体化合物を主成分とする単量体混
合物を、微細構造を発現させる不活性物質の存在下、懸
濁重合し、得られた多孔質架橋重合体ビーズを不活性媒
体の存在下、ルイス酸触媒と接触させることにより、特
定の物性を有する吸着剤の製造方法に存するものであ
る。なお、重合体ビーズをルイス酸触媒と一般的に接触
架橋反応させること自体は、特開平4-18436号公報に記
載されているように公知の方法である。
媒体としては、重合体ビーズを湿潤させるとともにルイ
ス酸に不活性であるものが使用でき、具体的にはジクロ
ロエタン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素化
合物が挙げられる。これらの不活性媒体は、重合体ビー
ズ1g当たり1〜10g使用するのがよい。ルイ酸触媒
と接触させる条件は、50〜100℃、1〜10時間の
範囲で行うのがよく、その接触した後、触媒を不活性化
し洗浄処理を経て、目的の吸着剤が製造される。
件を適宜選択することにより、比表面積が1200m2
/g(乾燥樹脂・吸着剤)以上、細孔容積が0.52m
l/ml(水湿潤樹脂・吸着剤)以上、かつ半径50Å
以上の細孔が寄与する比表面積が75m2 /ml(水湿
潤樹脂・吸着剤)以上の吸着剤を製造することができ
る。得られる吸着剤としては、通常50〜2000μm
の粒径のものがよく用いられ、特に300〜1000μ
mの粒径のものが好ましい。本発明が規定する物性を有
する吸着剤は、液体中の種々の有機化合物の吸着分離に
有用であり、就中、柑橘類の果汁中の苦味成分の除去に
極めて有効である。
ま、果汁の苦味脱処理工程に使用できる。即ち、果汁を
入れた容器中に吸着剤を投入して接触させる回分法、あ
るいは吸着剤を塔型接触装置に充填して果汁を通液する
連続流通法等の方法により処理することができる。使用
処理され劣化した吸着剤は、熱水又は含水アルコール等
と接触させて、被吸着成分を脱着除去することにより再
生され、果汁処理に再使用することができる。
ことのできる果汁としては、柑橘類、例えば夏みかん、
蜜柑、グレープフルーツ、オレンジ、レモン等の果汁で
あり、苦味成分としてナリンギン、リモニン等を含有す
るものに対して好適に使用され、さらにはこれら果実か
ら搾汁した果汁ジュースのみばかりではなく、濾過、濃
縮、希釈、加熱、冷却保存、他の果汁等と混合したも
の、あるいは甘味剤、清涼剤、酸味剤、栄養剤、分散剤
等の薬剤を添加し加工したものが使用される。
例及び比較例を示し、更に具体的に説明する。
%のジビニルベンゼン213gをトルエン372g、純
度75%のジベンゾイルパーオキシド2.9gと混合
し、ポリビルアルコール2.9gを含む温脱塩水205
0ml中に加えて、攪拌し懸濁させた。攪拌しながら昇
温し、80℃で8時間重合反応を行った。得られた重合
体ビーズを水洗し乾燥させた。乾燥した重合体ビーズ1
00gを1,2−ジクロロエタン500ml中に加えて
膨潤させた後、無水塩化鉄(III) 10gを加えて昇温
し、80℃で8時間反応させた。得られたビーズを洗浄
して吸着剤Iを得た。島津製作所製フローソーブ2300比
表面積計にて比表面積を測定したところ1262m2 /
g(吸着剤)であった。また、マイクロメリティクス社
製ASAP2400窒素吸着計を用いて測定し、水湿潤体積当た
りに換算した吸着剤の細孔容積は0.55ml/ml
(吸着剤)、半径50Å以上の細孔における比表面積は
81m2 /ml(吸着剤)であった。水湿潤状態の吸着
剤I(50ml)を内径14mmのガラスカラムに充填
し40℃に保持した。このカラムに、ナリンギン(0.
75g/l)、クエン酸(10g/l)及びしょ糖(1
00g/l)を溶解した脱塩水を40℃で空間速度(S
V)20BV/hrとなるように通液し、カラム出口に
おけるナリンギン漏出濃度が入口濃度の10%になるま
での通液量を測定したところ、74BVであった。
1g、ジベンゾイルパーオキシドの量を2.6gとした
以外は、実施例1と同様にして吸着剤IIを得た。この乾
燥重量当たりの比表面積が1301m2 /g(吸着
剤)、水湿潤体積当たりの細孔容積が0.53ml/m
l(吸着剤)、半径50Å以上の細孔における比表面積
が82m2 /ml(吸着剤)であった。実施例1と同様
にしてナリンギン溶液を通液したところ通液量は77B
Vであった。
オン”HP20(三菱化学(株)製)について実施例1と同
様の測定をしたところ、乾燥重量当たりの比表面積が6
01m2 /g(吸着剤)、水湿潤体積当たりの細孔容積
が0.44ml/ml(吸着剤)、半径50Å以上の細
孔における比表面積が40m2 /ml(吸着剤)であっ
た。ナリンギン溶液を通液したところ通液量は43BV
であった。
1g、ジベンゾイルパーオキシドの量を3.1gとした
以外は実施例1と同様にして吸着剤III を得た。この吸
着剤の乾燥重量あたりの比表面積は1225m2 /g
(吸着剤)、水湿潤体積当たりの細孔容積は0.50m
l/ml(吸着剤)、半径50Å以上の細孔における比
表面積は77m2 /ml(吸着剤)であった。実施例1
と同様にしてナリンギン溶液を通液したところ通液量は
69BVであった。
シドの混合物にポリスチレン12gを加えた以外は比較
例2と同様にして吸着剤IVを得た。この吸着剤の乾燥重
量あたりの比表面積は1209m2 /g(吸着剤)、水
湿潤体積当たりの細孔容積は0.55ml/ml(吸着
剤)、半径50Å以上の細孔における比表面積は54m
2 /ml(吸着剤)であった。実施例1と同様にしてナ
リンギン溶液を通液したところ通液量は69BVであっ
た。
めた。この結果から、吸着剤は、乾燥重量当たりの比表
面積が1200m2 /g(吸着剤)以上、水湿潤体積当
たりの細孔容積が0.52ml/ml(吸着剤)以上、
かつ半径50Å以上の細孔における比表面積が75m2
/ml(吸着剤)以上、のすべてを満たさなければ、本
発明の効果が奏されないことが分かる。
にかつ高効率に除去するのに適した細孔構造が付与され
た吸着剤、その製造方法及び果汁の処理方法が提供され
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 芳香族ビニル単量体化合物を主成分と
して重合してなる多孔質架橋重合体からなり、乾燥重量
当たりの比表面積が1200m2 /g(吸着剤)以上、
水湿潤体積当たりの細孔容積が0.52ml/ml(吸
着剤)以上、かつ半径50Å以上の細孔における比表面
積が75m2 /ml(吸着剤)以上であることを特徴と
する吸着剤。 - 【請求項2】 芳香族ビニル単量体化合物が、ジビニ
ルベンゼン又はジビニルベンゼンとエチルビニルベンゼ
ンとの混合物である、請求項1に記載の吸着剤。 - 【請求項3】 芳香族ビニル単量体化合物を主成分と
する単量体混合物を、微細構造を発現させる不活性物質
の存在下、懸濁重合し、得られた多孔質架橋重合体ビー
ズを不活性媒体の存在下、ルイス酸触媒と接触させるこ
とを特徴とする請求項1又は2に記載の吸着剤の製造方
法。 - 【請求項4】 果汁を、請求項1又は2に記載の吸着
剤と接触させることを特徴とする果汁の処理方法。 - 【請求項5】 果汁が、柑橘類果汁である請求項4に
記載の処理方法。
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JP27484996A JP3509423B2 (ja) | 1995-10-30 | 1996-10-17 | 吸着剤、その製造方法及び果汁の処理方法 |
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JP7-281627 | 1995-10-30 | ||
JP27484996A JP3509423B2 (ja) | 1995-10-30 | 1996-10-17 | 吸着剤、その製造方法及び果汁の処理方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH09182575A JPH09182575A (ja) | 1997-07-15 |
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JP6953363B2 (ja) * | 2017-06-06 | 2021-10-27 | カゴメ株式会社 | ピーマン汁の製造方法、及びピーマン汁の苦味除去方法 |
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1996
- 1996-10-17 JP JP27484996A patent/JP3509423B2/ja not_active Expired - Fee Related
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