JP3505379B2 - 半導体レーザ素子 - Google Patents

半導体レーザ素子

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JP3505379B2 JP03858898A JP3858898A JP3505379B2 JP 3505379 B2 JP3505379 B2 JP 3505379B2 JP 03858898 A JP03858898 A JP 03858898A JP 3858898 A JP3858898 A JP 3858898A JP 3505379 B2 JP3505379 B2 JP 3505379B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は種々の光ディスクシ
ステムの光源として用いられる半導体レーザ素子に関
し、特に記録・再生可能な光ディスクシステムの光源等
として用いた場合に低ノイズで動作する自励発振型の半
導体レーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスクシステム等に用いられる従来
の半導体レーザ素子では、ディスク等で反射されたレー
ザ光が半導体レーザ素子へ再入射することによってノイ
ズが発生する、所謂「戻り光ノイズ」が問題となってい
る。
【0003】この戻り光ノイズを低減するための手段と
して、自励発振現象を利用する方法が知られており、例
えば、Applied Physics Letter
s68(25)p3543−3545(1996)に
は、AlGaInP系可視光レーザにおいて可飽和吸収
層を用いた自励発振型の半導体レーザ素子が記載されて
いる。
【0004】図17は、上記文献に記載された半導体レ
ーザ素子の断面構造を示す。この半導体レーザ素子は、
n−GaAs基板1上に、n−AlGaInP下クラッ
ド層2、歪量子井戸活性層3、p−AlGaInP第1
上クラッド層4、p−GaInP可飽和吸収層5、p−
AlGaInP光ガイド層6、p−AlGaInP第2
上クラッド層7及びp−GaInPキャップ層8をこの
順に積層形成した構成になっている。
【0005】ここで、p−AlGaInP第2上クラッ
ド層7及びp−GaInPキャップ層8はリッジ形状に
エッチングされ、リッジ部の両側面にはp−AlGaI
nP第2上クラッド層7及びp−GaInPキャップ層
8を埋め込むようにn−GaAs電流阻止層9が形成さ
れている。
【0006】更に、p−GaInPキャップ層8上及び
n−GaAs電流阻止層9上にはp−GaAsコンタク
ト層10が形成されている。
【0007】上記構成において、p−GaInP可飽和
吸収層5の上面に接して配置されたp−AlGaInP
光ガイド層6は、p−GaInP可飽和吸収層5の光閉
じ込め率を増大させる機能を有しており、可飽和吸収効
果を増大させて安定した自励発振を得ることができる。
【0008】更に、p−GaInP可飽和吸収層5に
は、光吸収によって生成したキャリアの消滅を促進させ
るためにp型不純物として濃度2×1018cm-3の亜鉛
が添加されている。可飽和吸収領域の不純物濃度が高い
と、光吸収によって生成したキャリアの寿命が短くなる
ため、キャリア密度の時間変化率に対する自然放出光の
寄与が大きくなる。このため、上記構成の自励発振型の
半導体レーザ素子によれば、可飽和吸収効果が向上して
自励発振が生じやすくなり、半導体レーザ素子の温度特
性及びノイズ特性が大きく改善され、更に高温連続動作
においても長寿命を有することが上記文献に記載されて
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者等が上記の自励発振型の半導体レーザ素子を記録・再
生可能な半導体レーザ素子に適用して実験を行ったとこ
ろ、光ディスクの書き込み等に必要な高出力動作時にお
いては、十分な寿命が得られないことが判った。そし
て、その原因を検討したところ、次のようなことが判明
した。
【0010】即ち、p−GaInP可飽和吸収層5上若
しくはその上方近傍には、結晶再成長等に起因する結晶
欠陥が多く存在する。また、リッジ内部の可飽和吸収層
5は動作電流の通路となるのみならず、絶えずキャリア
の生成・消滅を繰り返している。このため、結晶欠陥を
生じ易い。特に、上記従来例のように、2×1018cm
-3の高濃度に不純物を添加した場合には、このp−Ga
InP可飽和吸収層5には多くの結晶欠陥が発生してい
る。
【0011】このため、高出力動作時には、これらの結
晶欠陥や不純物が増殖或いは拡散し、歪量子井戸活性層
3へ進行する結果、半導体レーザ素子の高出力動作時に
おける寿命が劣化する。加えて、電流拡がりの抑制や非
点隔差を小さくするためには、p−AlGaInP第1
上クラッド層4の層厚を薄くする必要があり、素子特性
の劣化は更に頭著なものとなる。
【0012】更に近年の光ディスクシステムにおいて
は、書き込み速度を向上させるため光ディスクの回転速
度は速くなる傾向にあり、録再型半導体レーザに対して
高出力動作と低ノイズ維持の両立が求められている。
【0013】本発明は、このような現状に鑑みてなされ
たものであり、高出力動作時においても、素子特性が劣
化せず、十分な寿命を得ることができ、かつ高出力動作
と低ノイズ維持の両立が可能な半導体レーザ素子を提供
することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体レーザ素
子は、半導体基板上に、下クラッド層、活性層、第1上
クラッド層、光ガイド層、エッチングストッパ層及び第
2上クラッド層を含む複数の半導体層が形成され、該第
2上クラッド層にストライプ状の開口を有する電流狭窄
部が形成された半導体レーザ素子において、該光ガイド
層は、該エッチングストッパ層と該活性層との間に配置
され、該光ガイド層のバンドギャップは、該第1上クラ
ッド層のバンドギャップより小さく、かつ該エッチング
ストッパ層のバンドギャップより大きく、該エッチング
ストッパ層又は該光ガイド層と該エッチングストッパ層
の積層構造が、発振レーザ光に対して可飽和吸収効果を
有しており、そのことにより上記目的が達成される。
【0015】上記の構成による本発明の半導体レーザ素
子においては、エッチングストッパ層が可飽和吸収層の
機能を兼ね備えており、更に光ガイド層が活性層に近い
エッチングストッパ層の下側に配置されている。この光
ガイド層は可飽和吸収層の光閉じ込め率を増大させる機
能のみならず、再成長界面や可飽和吸収層中の結晶欠陥
が増殖し、活性層へ進行するのを抑制する機能も兼ね備
えている。
【0016】従って、上記の構成によれば、半導体レー
ザ素子の高出力動作時においても、これらの結晶欠陥が
増殖し、活性層へ進行するのを抑制できるので、半導体
レーザ素子の素子寿命が劣化することがない。
【0017】よって、本発明によれば、高出力動作時に
おいても長寿命の信頼性の高い半導体レーザ素子を実現
できる。
【0018】好ましくは、前記活性層のレーザ発振波長
λ1と前記エッチングストッパ層のバンドギャップに相
当する波長λ2との差が、下記の条件を満足する範囲に
ある −12nm≦λ1−λ2≦2nm 構成とする。ここでバンドギャップに相当する波長と
は、図16に示すように各々の層が量子井戸層である場
合には、価電子帯と伝導帯の量子準位によるエネルギー
差を波長に置き換えた値と定義する。
【0019】λ1−λ2が絶対値の大きな正値をとる場
合にはエッチングストッパ層での可飽和吸収効果が弱
く、安定な自励発振が得られない。従って少ない戻り光
でもノイズが発生する。一方、λ1−λ2が絶対値の大
きな負値をとる場合にはエッチングストッパ層での可飽
和吸収効果が強く、戻り光ノイズは十分回避できるが、
発振閾値において電流光出力特性がスイッチング的動作
を示し、光出力の揺らぎに起因する量子ノイズが増大す
る。活性層のレーザ発振波長λ1とエッチングストッパ
層のバンドギャップに相当する波長λ2との差が、 −12nm≦λ1−λ2≦2nm の範囲内にある構成とすると、戻り光ノイズと量子ノイ
ズの両方を低減できる。このため、広い光出力範囲にお
いて安定した低ノイズ特性を得ることができる。
【0020】 また、好ましくは、前記エッチングスト
ッパ層はGaAs系材料からなり且つ前記光ガイド層は
AlGaAs系材料からなり、または、前記エッチング
ストッパ層はGaInP系材料からなり且つ前記光ガイ
ド層はAlGaInP系材料からなり、前記エッチング
ストッパ層のバンドギャップに相当する波長λ2と前記
光ガイド層のバンドギャップに相当する波長λ3との差
が、下記の条件を満足する範囲にある0nm<λ2−λ
3≦70nm構成とする。
【0021】レーザ発振の立ち上がりにおいて、光吸収
によって生成されるキャリアの寿命が短いと電流光出力
特性におけるスイッチング動作が顕著となるため、低出
力時にはキャリア寿命が比較的長い方が望ましい。一
方、光出力の増大に伴って可飽和吸収領域では光子密度
が高くなり生成キャリアも増加するため、自励発振を維
持するためにはキャリア寿命を短くすることが必要であ
る。エッチングストッパ層と光ガイド層のバンドギャッ
プ差λ2−λ3が、 0nm<λ2−λ3≦70nm の範囲内にある構成とすると、可飽和吸収領域であるエ
ッチングストッパ層で過剰にキャリアが生成されると光
ガイド層へオーバーフローしやすくなる。これにより高
出力動作時においてのみ生成キャリアの寿命を実質的に
短く出来るため、高出力動作と低ノイズ特性の両立が可
能となる。
【0022】また、好ましくは、前記光ガイド層に添加
された不純物濃度が1×1018cm-3より大きく1×1
19cm-3より小さい構成とする。
【0023】光ガイド層に添加された不純物濃度が上記
範囲内にあれば、高出力動作時のみ過剰な生成キャリア
が光ガイド層へオーバーフローし短時間で消滅する。ま
た、素子の信頼性を低下させるような結晶欠陥が導入さ
れるのを回避することが出来る。従って高出力まで半導
体レーザ素子の信頼性と低ノイズ特性が維持される。
【0024】また、好ましくは、前記エッチングストッ
パ層に添加された不純物濃度が5×1017cm-3より大
きく3×1018cm-3より小さい構成とする。
【0025】エッチングストッパ層に添加された不純物
濃度が上記範囲内にあれば、生成キャリアの少ない低出
力時にはキャリア寿命の比較的長いエッチングストッパ
層でキャリアが消滅するため、電流光出力特性のスイッ
チング動作を緩和することが出来る。従って広い出力範
囲において直線性の良い電流光出力特性が得られ、かつ
半導体レーザ素子の低ノイズ特性が維持される。
【0026】また、好ましくは、前記光ガイド層のバン
ドギャップが、前記エッチングストッパ層側で大きく前
記第1上クラッド層側で小さくなる変化を有する構成と
する。
【0027】本構成によれば、一旦光ガイド層へオーバ
ーフローした生成キャリアは、エッチングストッパ層側
へ逆戻りせず、エネルギー準位のの低い第1上クラッド
層近傍へ拡散して消滅する。従って更に高出力まで低ノ
イズ特性の維持が可能となる。
【0028】また、好ましくは、前記光ガイド層が、多
重量子井戸構造である構成とする。
【0029】本構成によれば、光ガイド層へオーバーフ
ローした生成キャリアが井戸層内に閉じ込められるた
め、エッチングストッパ層側へ逆戻りせず、再結合によ
って消滅しやすくなる。従って高出力動作によって過剰
にキャリアが生成されてもその寿命を短く出来、低ノイ
ズ特性を維持することが出来る。
【0030】また、好ましくは、前記光ガイド層の不純
物濃度が、前記エッチングストッパ層側で小さく前記第
1上クラッド層側で大きくなる変化を有する構成とす
る。
【0031】本構成によれば、光ガイド層へオーバーフ
ローした生成キャリアが第1上クラッド層側へ拡散した
ときに更に消滅しやすくなる。従って更に高出力まで低
ノイズ特性の維持が可能となる。
【0032】また、好ましくは、前記光ガイド層の全層
厚が100Å以上200Å以下である構成とする。
【0033】光ガイド層厚が薄くなるとエッチングスト
ッパ層への光閉じ込め率が小さくなり可飽和吸収効果を
高出力まで維持できず、逆に厚くなると可飽和吸収効果
が強くなり電流光出力特性がスイッチング的動作を示し
やすくなる。上記範囲内にあれば、エッチングストッパ
層への光閉じ込め効果を高め、かつ電流光出力特性の急
峻な立ち上がりを抑えることが出来る。従って広い範囲
において直線性の良い電流光出力特性が得られ、かつ低
ノイズ特性が維持される。
【0034】また、好ましくは、前記エッチングストッ
パ層が、前記ストライプ状開口部にのみ配置されている
構成とする。
【0035】本構成によれば、ストライプ内外での実効
屈折率差を大きくできる。このため、非点隔差を小さく
し、横モードを安定化することができる。
【0036】 また、好ましくは、前記エッチングスト
ッパ層が、光出射端面付近において少なくとも一部
除去された領域を持つ構成とする。
【0037】本構成によれば、光ディスク等からの戻り
光が半導体レーザ端面に再入射した際に可飽和吸収効果
を持つ領域との相互作用を引き起こしにくくなる。この
ため、安定な自励発振動作を得ることができる。
【0038】また、好ましくは、前記エッチングストッ
パ層を、Alを含まない材料で形成する。
【0039】本構成によれば、Alの酸化に起因する再
成長界面等の結晶欠陥を低減できる。このため、素子の
特性および信頼性を更に向上することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
に基づき具体的に説明する。
【0041】なお、以下において層厚の単位はμmを用
いるが、量子効果を有するような極薄層の層厚について
は主にÅを用いる。
【0042】(実施形態1)図1は本発明半導体レーザ
素子の実施形態1を示す。本実施形態1は、本発をAl
GaAs系材料を用いたリッジ型の半導体レーザ素子に
適用した例を示す。
【0043】図1に従い、この半導体レーザ素子の構造
を製造工程と共に説明する。まず、n−GaAs基板1
01を成長装置(図示せず)内にセットし、このn−G
aAs基板101上に、第1回目の結晶成長によりn−
Al0.5Ga0.5As下クラッド層102(キャリア濃度
1×1018cm-3、厚さ1.0μm)、ノンドープ量子
井戸活性層103、p−Al0.5Ga0.5As第1上クラ
ッド層104(キャリア濃度1×1018cm-3、厚さ
0.17μm)、p−Al0.2Ga0.8As光ガイド層1
05(キャリア濃度1×1018cm-3、厚さ200
Å)、p−Al0.14Ga0.86Asエッチングストッパ層
106(キャリア濃度1×1018cm-3、厚さ100
Å)、p−Al0.5Ga0.5As第2上クラッド層107
(キャリア濃度1×1018cm-3、厚さ1.2μm)及
びp−GaAsキャップ層108(キャリア濃度1×1
18cm-3、厚さ0.1μm)を順次積層成長させる。
【0044】ここで、ノンドープ量子井戸活性層103
は、Al0.14Ga0.86As井戸層(厚さ100Å)、A
0.3Ga0.7As障壁層(厚さ100Å)及び同組成の
ガイド層(厚さ300Å)から成る3重井戸構造に形成
されている。
【0045】また、可飽和吸収層となるp−Al0.14
0.86Asエッチングストッパ層106のバンドギャッ
プをフォトルミネッセンス法により測定したところ、相
当する波長λ2は792nmであった。
【0046】次に、上記の半導体層が形成されたn−G
aAs基板101を成長装置から取り出し、公知のフォ
トリソグラフィ技術を用いてp−GaAsキャップ層1
08上にストライプ状のSiO2膜を形成する。そし
て、このSiO2膜をエッチングマスクとし、公知の選
択エッチング技術を用いて、p−AlGaAsエッチン
グストッパ層106に到達するようにp−AlGaAs
第2上クラッド層107及びp−GaAsキャップ層1
08をリッジ形状に加工する。
【0047】本実施形態1では、選択エッチング溶液と
して弗化水素酸を用いた。また、リッジ幅はp−AlG
aAsエッチングストッパ層106との界面において1
〜4μmとした。
【0048】その後、再度、n−GaAs基板101を
成長装置内にセットし、前記のSiO2膜を残したまま
第2回目の結晶成長によりn−Al0.7Ga0.3As電流
阻止層109(キャリア濃度3×1018cm-3、厚さ
0.6μm)を積層する。このとき、公知の選択成長技
術を用いることにより、SiO2膜上にはAlGaAs
膜は成長せず、電流阻止層109はリッジ部両側面を埋
め込むように形成する。
【0049】その後、n−GaAs基板101を再度成
長装置から取り出し、SiO2膜を除去する。
【0050】次いで、n−GaAs基板101を再々
度、成長装置内にセットし、第3回目の結晶成長により
p−GaAsコンタクト層110(キャリア濃度5×1
18cm-3、厚さ2.0μm)を積層する。最後にp−
GaAsコンタクト層110の上面及びn−GaAs基
板101の下面に各々オーミック電極(図示せず)を形
成し、劈開法により共振器長を375μmに調整して、
出射側端面には反射率15%、反対側端面には反射率7
5%のコーティング膜を各々形成する。以上の工程によ
り、本実施形態1のリッジ型の半導体レーザ素子を得
た。本実施形態1の半導体レーザ素子の発振波長λ1を
測定したところ、785nmであった。
【0051】下記表1は、本実施形態1の半導体レーザ
素子の最大自励発振出力及びエージング歩留まりを評価
した結果を比較例1と共に示す。なお、比較例1の半導
体レーザ素子としては、光ガイド層105をエッチング
ストッパ層106の上側に配置した他は本実施形態1の
半導体レーザ素子と同構造のものを用いた。
【0052】
【表1】
【0053】表1において、エージング歩留まりは、温
度60℃・出力35mWで1000時間の寿命試験後、駆
動電流の上昇が初期値に対して20%以内であったもの
の割合を示す。
【0054】表1から理解されるように、光ガイド層1
05をエッチングストッパ層106の下側に配置した本
実施形態1の半導体レーザ素子は、光ガイド層105を
エッチングストッパ層106の上側に配置した比較例1
の半導体レーザ素子に比べると、素子寿命が向上してい
る。
【0055】このような結果が得られた理由について
は、次のように考えられる。
【0056】光ガイド層105は、p−第1上クラッド
層104および p−第2上クラッド層107よりAl
混晶比が低いため、結晶内部及び界面に欠陥が生じにく
い。即ち、光ガイド層105は可飽和吸収層として働く
エッチングストッパ層106の光閉じ込め率を増大させ
る機能のみならず、再成長界面の結晶欠陥が増殖し活性
層103へ進行するのを抑制する機能をも兼ね備えてい
ると考えられるからである。
【0057】特に、本実施形態1の半導体レーザ素子に
おいては、光ガイド層105は再成長界面を持たないた
め、比較例に比べて欠陥抑制効果が高い。従って、本実
施形態1の半導体レーザ素子においては、高出力動作時
においても素子特性が劣化せず十分な寿命を得ることが
できる。
【0058】次に、エッチングストッパ層106のAl
混晶比を変えることによって、エッチングストッパ層1
06のバンドギャップに相当する波長λ2を変化させた
他は本実施形態1の半導体レーザ素子と同構造のものを
作製し、光出力と相対雑音強度(以下RINと称する)
の関係を評価した結果を図2に示す。光路長は20mm
とし、測定周波数および帯域幅は各々720kHz・1
0kHzである。RINは戻り光率1〜15%で変化さ
せた場合の最大値を示している。
【0059】図2より、λ1−λ2の値が絶対値の大き
な負値となるに伴って可飽和吸収効果が増大するため、
高出力まで自励発振が持続することがわかる。最大自励
発振出力に近づくにつれ徐々にノイズは増大するが、R
INは−130dB/Hz以下の低ノイズ特性が維持さ
れている。更に出力が増大し自励発振が停止すると、急
激にノイズが増大する。これより、高出力動作と低ノイ
ズ特性の両立は、最大自励発振出力を高くすることによ
って実現されることがわかる。
【0060】次に、これらの半導体レーザ素子を光ピッ
クアップに適用してジッタ(再生信号の時間軸の揺ら
ぎ)を測定した。
【0061】図3は、λ1−λ2と再生ジッタとの関係
を示す。通常の光ディスクシステムの場合、再生ジッタ
が20nsec以下であれば、実用上問題を生じる可能
性は小さい。これを満足する範囲は、図3からわかるよ
うに、 −12nm≦λ1−λ2≦2nm となる。この結果が得られた理由については、以下のよ
うに考えられる。
【0062】λ1−λ2が2nmよりも大きい場合に
は、エッチングストッパ層106での可飽和吸収効果が
弱く(低く)、安定な自励発振が得られない。従って、
少ない戻り光でもノイズが発生し、再生信号に揺らぎが
生じてジッタが悪化するものと考えられる。
【0063】一方、λ1−λ2が−12nmよりも小さ
い場合には、エッチングストッパ層106での可飽和吸
収効果が強く(高く)、戻り光ノイズは十分に回避でき
る。ところが、この場合には、発振閾値において光出力
−電流特性がスイッチング的動作を示し、光出力の揺ら
ぎに起因する量子ノイズが増大する。この量子ノイズに
よってジッタが悪化したものと考えられる。
【0064】以上の推論結果により、戻り光ノイズと量
子ノイズの両方を回避し、広い光出力範囲において安定
した低ノイズ特性を得るためには、活性層103のレー
ザ発振波長λ1とエッチングストッパ層106のバンド
ギャップに相当する波長λ2との差λ1−λ2が、 −12nm≦λ1−λ2≦2nm の範囲内にあるように構成すればよいことがわかる。
【0065】なお、本実施形態1では活性層103の量
子井戸層を3層構造としたが、他の井戸層数を採用し
た、いわゆる多重量子井戸構造であっても、実施形態1
と同様の効果を奏することができる。
【0066】また、本実施形態1では、高出力用の半導
体レーザ素子に本発明を適用する場合について説明した
が、本発明は、情報読み出し等の低出力用半導体レーザ
素子についても同様に適用することができる。この場合
は、素子寿命を更に一層向上できる利点がある。
【0067】(実施形態2)本実施形態2では、光ガイ
ド層105及びエッチングストッパ層106の構造が実
施形態1における光ガイド層と異なる他は、同様の構成
になっている。即ち、本実施形態2においては、光ガイ
ド層105をp−Al0.13Ga0.87As(キャリア濃度
2×1018cm-3、厚さ150Å)とし、エッチングス
トッパ層106をp−GaAs (キャリア濃度1×1
18cm-3、厚さ30Å )とした点で実施形態1とは
異なっている。
【0068】本実施形態2におけるエッチングストッパ
層106は非常に薄く、また量子効果によって実質的な
バンドギャップが広がるため、単独では可飽和吸収効果
を持たない。しかし、エッチングストッパ層106下面
に配置された光ガイド層105により、エッチングスト
ッパ層106の量子準位が影響を受け、光吸収波長は長
波長側へシフトする。これによりエッチングストッパ層
106は可飽和吸収層として働く。フォトルミネッセン
ス法により測定したところ、活性層のレーザ発振波長λ
1およびエッチングストッパ層のバンドギャップに相当
する波長λ2の差はλ1−λ2=−5nmであった。
【0069】本実施形態2における光ガイド層105
は、量子井戸活性層と同程度のバンドギャップであるた
め、可飽和吸収層として働くエッチングストッパ層10
6への光閉じ込めを増大させる働きのみならず、光ガイ
ド層105自身も可飽和吸収層として働く。しかし、可
飽和吸収効果はエッチングストッパ層106に比べて弱
い。フォトルミネッセンス法により測定したところ、エ
ッチングストッパ層106のバンドギャップに相当する
波長λ2および光ガイド層105のバンドギャップに相
当する波長λ3の差はλ2−λ3=20nmであった。
【0070】下記表2は、本実施形態2の半導体レーザ
素子の最大自励発振出力およびエージング歩留まりの評
価結果を示す。エージング条件は実施形態1と同じであ
る。
【0071】
【表2】
【0072】表2より、本実施形態2の半導体レーザ素
子は、先の実施形態1の半導体レーザ素子に比べると、
最大自励発振出力が向上している。このような結果が得
られた理由については、次のように考えられる。
【0073】半導体レーザ素子の光出力が増大するに伴
い、エッチングストッパ層106における光強度も増大
し、可飽和吸収効果によって生成されるキャリアは増加
する。これらの生成キャリアはエッチングストッパ層1
06中で再結合し消滅するが、エッチングストッパ層1
06と光ガイド層105のバンドギャップ差が小さい場
合、エッチングストッパ層106で消滅しきれず過剰と
なったキャリアは光ガイド層105側へオーバーフロー
する。光ガイド層105はエッチングストッパ層106
に比べて体積が大きいため、拡散によって消滅が促進さ
れる。従ってエッチングストッパ層106のみで生成キ
ャリヤを消費する場合に比べ、キャリア寿命は実質的に
短くなる。このため、光吸収の飽和が起こりにくくな
り、高出力でも自励発振が維持されるのである。
【0074】次に、光ガイド層105のAl混晶比を変
えることによって、光ガイド層105のバンドギャップ
に相当する波長λ3を変化させた他は本実施形態2の半
導体レーザ素子と同構造のものを作製し、最大自励発振
出力を測定した結果を図4に示す。エッチングストッパ
層106と光ガイド層105のバンドギャップに相当す
る波長差λ2−λ3が大きくなるに伴って最大自励発振
出力は小さくなり、70nm以上では最大自励発振出力
が急激に低下する。これより、エッチングストッパ層1
06での過剰キャリアが光ガイド層105側へオーバー
フローするためには、エッチングストッパ層106と光
ガイド層105のバンドギャップ差に相当する波長差は
70nm 以下であることが好ましいことがわかる。な
お、λ2−λ3≦0nmにおいては、光ガイド層105
のバンドギャップがエッチングストッパ層106のバン
ドギャップより小さくなるため光ガイド層105での可
飽和吸収効果が顕著になる。この結果レーザ駆動によっ
て増殖する欠陥が活性層3へ進行し、半導体レーザ素子
の寿命が劣化する。
【0075】また、本発明の半導体レーザ素子は、低光
出力動作時にはキャリアのオーバーフローが生じず、寿
命が比較的長いエッチングストッパ層106のみで生成
キャリアが消滅し、電流光出力特性のスイッチング動作
が起こりにくい。高出力となるに伴って、過剰キャリア
が光ガイド層105へオーバーフローし、実質的なキャ
リア寿命が短くなる。
【0076】次に、光ガイド層105の層厚を変化させ
た他は本実施形態2の半導体レーザ素子と同構造のもの
を作製し、最大自励発振出力および発振閾値における光
出力の跳び(図5参照)を測定した結果を図5に示す。
光ガイド層105の厚みが100Å以下ではエッチング
ストッパ層106への光閉じ込め効果が弱くなり、最大
自励発振出力は小さい。一方200Å以上では実質的な
キャリア寿命が極端に短くなり、電流光出力特性のスイ
ッチング的動作が顕著となる。従って、広い出力範囲に
おいて自励発振を持続すると共に直線性の良い電流光出
力特性を得るためには、光ガイド層105の厚みは10
0Å以上200Å以下とするのが好ましい。
【0077】また表2より、本実施形態2の半導体レー
ザ素子は、最大自励発振出力が向上しているにもかかわ
らず、先の実施形態1の半導体レーザ素子と同等のエー
ジング歩留まりを有してしている。本実施形態2におけ
るエッチングストッパ層106はAlを含まないため表
面が酸化されにくい。そのため、実施形態1の半導体レ
ーザ素子に比べて再成長界面の欠陥が低減し、より高い
出力でも信頼性が維持できたと考えられる。
【0078】本実施形態2では、p−GaAsエッチン
グストッパ層106の厚みをを30Åとしたが、量子井
戸構造においてはその厚みによって実質的なバンドギャ
ップが変化するため、上記の量子効果を得るには該エッ
チングストッパ層の厚みが100Å以下であることが好
ましい。また、弗化水素酸などのエッチング溶液に対し
て十分なエッチング停止機能を有するためには、該エッ
チングストッパ層の厚みが10Å以上であることが好ま
しい。
【0079】本実施形態2では、光ガイド層105自身
も可飽和吸収層として働く構成としたが、λ2−λ3が
上記範囲内であればレーザ光を吸収しない層であっても
高出力動作におけるキャリアオーバーフローは起こりや
すくなるため、同様の効果を得ることができる。
【0080】(実施形態3)本実施形態3の半導体レー
ザ素子では、光ガイド層105の不純物濃度が上記実施
形態2の光ガイド層105の不純物濃度と異なる他は、
同様の構成になっている。即ち、本実施形態3の光ガイ
ド層105の不純物濃度は5×1018cm-3であり、不
純物濃度が2×1018cm-3である実施形態2とはこの
点で異なっている。
【0081】下記表3は、本実施形態3の半導体レーザ
素子の最大自励発振出力およびエージング歩留まりの評
価結果を示す。エージング条件は実施形態1と同じであ
る。
【0082】
【表3】
【0083】表3より、本実施形態3の半導体レーザ素
子は、先の実施形態2の半導体レーザ素子に比べると、
更に最大自励発振出力が向上している。これは、光ガイ
ド層105の不純物濃度が実施形態2に比べて高くなっ
ており、オーバーフローした過剰キャリアの寿命が短く
なったためである。これによって光吸収の飽和が更に起
こりにくくなり、より高出力でも自励発振が維持された
と考えられる。
【0084】次に、光ガイド層105の不純物濃度を変
化させた他は本実施形態3の半導体レーザ素子と同構造
のものを作製し、最大自励発振出力およびエージング歩
留まりを評価した結果を図6に示す。光ガイド層105
の不純物濃度が1×1018cm-3以上で最大自励発振出
力が急激に上昇するが、1×1019cm-3以上になる
と、結晶欠陥を生じやすくなり歩留まりが急激に低下す
る。従って、高出力まで自励発振と素子寿命を維持する
ためには、光ガイド層105の不純物濃度が1×1018
cm-3以上1×1019cm-3以下であることが好まし
い。
【0085】本実施形態3においては、実施形態2に比
べて最大自励発振出力が向上しているにもかかわらず、
エージング歩留まりの低下は見られない。これは、高光
出力動作時には生成キャリアを光ガイド層105で消費
するため、高サイクルの自励振動によって結晶欠陥を生
じ易いエッチングストッパ層は不純物濃度を低く設定で
きるからである。
【0086】次に、本実施形態3の半導体レーザ素子に
ついて、エッチングストッパ層106の不純物濃度を変
化させて最大自励発振出力および発振閾値における光出
力の跳びを評価した結果を図7に示す。エッチングスト
ッパ層106の不純物濃度が5×1017cm-3以下では
自励発振が起こりにくくなり、3×1018cm-3以上で
はスイッチング動作が顕著となる。従って、広い出力範
囲において自励発振を持続すると共に直線性の良い電流
光出力特性を得るためには、エッチングストッパ層10
6の不純物濃度が5×1017cm-3以上3×1018-3
以下であることが好ましい。
【0087】(実施形態4)本実施形態4の半導体レー
ザ素子では、光ガイド層105のAl混晶比が層厚方向
で変化する他は、上記実施形態3と同様の構成になって
いる。即ち、図8に示すように、本実施形態4の光ガイ
ド層105のAl混晶比は層厚方向で0.14から0.
2まで変化しており、バンドギャップがエッチングスト
ッパ層106側で大きく第1上クラッド層104側で小
さくなる構成としている。光ガイド層105のAl混晶
比が層厚方向で一定である実施形態3とはこの点で異な
っている。
【0088】下記表4は、本実施形態4の半導体レーザ
素子の最大自励発振出力およびエージング歩留まりの評
価結果を示す。エージング条件は実施形態1と同じであ
る。
【0089】
【表4】
【0090】表4より、本実施形態4の半導体レーザ素
子は、先の実施形態3の半導体レーザ素子に比べると、
更に最大自励発振出力が向上している。これは、高光出
力動作時において光ガイド層105へオーバーフローし
た生成キャリアはエネルギー準位の低い第1上クラッド
層104近傍へ拡散して消滅するため、エッチングスト
ッパ層106へ逆戻りしないからである。従って更に高
出力まで低雑音特性の維持が可能となる。
【0091】本実施形態4では、光ガイド層105のA
l混晶比を0.14から0.2まで変化させたが、エッ
チングストッパ層106のバンドギャップに相当する波
長λ2と光ガイド層105のバンドギャップに相当する
波長λ3の差の最大値が 0nm<λ2−λ3≦70nm の範囲であれば本発明の効果は有効となる。
【0092】また本実施形態4ではAl混晶比変化の度
合が層厚方向で一定であるとしたが、第1上クラッド層
104側の方がエネルギー準位が低ければ同様の効果が
得られるので、Al混晶比変化率を層厚方向で変化させ
たり、あるいは多段階にしても良い。
【0093】(実施形態5)本実施形態5の半導体レー
ザ素子では、光ガイド層105が多重量子井戸構造であ
る他は上記実施形態3と同様の構成になっている。即
ち、図9に示すように、本実施形態5の光ガイド層10
5はAl0.12Ga0.88As井戸層3層(厚み各50Å)
とAl0.3Ga0.7As障壁層2層(厚み各30Å)を交
互に配置した多重量子井戸構造であり、単一量子井戸構
造である実施形態3とはこの点で異なっている。
【0094】下記表5は、本実施形態の半導体レーザ素
子の最大自励発振出力およびエージング歩留まりの評価
結果を示す。エージング条件は実施形態1と同じであ
る。
【0095】
【表5】
【0096】表5より、本実施形態5の半導体レーザ素
子は、先の実施形態3の半導体レーザ素子に比べると、
更に最大自励発振出力が向上している。これは、高光出
力動作時において光ガイド層105へオーバーフローし
た生成キャリアは障壁層によって囲まれた井戸層内に閉
じ込められて消滅し、エッチングストッパ層106へ逆
戻りしないからである。従って更に高出力まで低雑音特
性の維持が可能となる。
【0097】また、本実施形態5を先の実施形態4のA
l混晶比を変化させた光ガイド層に適用したところ、更
に最大自励発振出力が向上した。
【0098】本実施形態5では、多重量子井戸光ガイド
層105の井戸数を3としたが、その他の井戸数であっ
ても本発明の効果は同様である。また障壁層の厚みや混
晶比も井戸層内にキャリアがエッチングストッパ層へ逆
戻りせず閉じ込められる構造であればよい。
【0099】(実施形態6)本実施形態6の半導体レー
ザ素子では、光ガイド層105の不純物濃度が層厚方向
で変化する他は上記実施形態3と同様の構成になってい
る。即ち、図10に示すように、本実施形態6の光ガイ
ド層105の不純物濃度は層厚方向で3×1018cm-3
から1×1019cm-3まで変化しており、エッチングス
トッパ層106側で小さく第1上クラッド層104側で
大きくなる構成としている。光ガイド層105の不純物
濃度が層厚方向で一定である実施形態3とはこの点で異
なっている。
【0100】下記表6は、本実施形態6の半導体レーザ
素子の最大自励発振出力およびエージング歩留まりの評
価結果を示す。エージング条件は実施形態1と同じであ
る。
【0101】
【表6】
【0102】表6より、本実施形態6の半導体レーザ素
子は、先の実施形態3の半導体レーザ素子に比べると、
更に最大自励発振出力が向上している。本実施形態のよ
うに光ガイド層105の不純物濃度に勾配を設けること
により、キャリアオーバーフローが増加しても確実にキ
ャリア寿命を短くすることが出来る。これによって光吸
収の飽和が更に起こりにくくなり、より高出力でも自励
発振が維持されたと考えられる。
【0103】また、本実施形態6の不純物濃度プロファ
イルを先の実施形態4および5の光ガイド層に適用した
ところ、いずれの実施形態においても更に最大自励発振
出力が向上した。
【0104】(実施形態7)図11は本発明の半導体レ
ーザ素子の実施形態7を示す。本実施形態7は、本発明
をAlGaInP系材料を用いた自己整合型の赤色半導
体レーザ素子に適用した例を示す。
【0105】図11に従い、この半導体レーザ素子の構
造を製造工程と共に説明する。但し、図11では、図1
と同様の部分には同一の符号を付してある。
【0106】まず、n−GaAs基板101を成長装置
(図示せず)内にセットし、このn−GaAs基板10
1上に、第1回目の結晶成長により厚さn−(Al0.7
Ga0.30.51In0.49P下クラッド層102、ノンド
ープ歪量子井戸活性層103、p−(Al0.7Ga0.3
0.51In0.49P第1上クラッド層104、p−(Al0.
45Ga0.550.51In0.49P光ガイド層105、p−G
0.44In0.56Pエッチングストッパ層106及びn−
GaAs電流阻止層109を順次積層成長する。
【0107】ここで、ノンドープ歪量子井戸活性層10
3は、Ga0.44In0.56P井戸層4層、(Al0.5Ga
0.50.51In0.49P障壁層3層が交互に積層され、そ
の上下には障壁層と同組成のガイド層が形成されてい
る。
【0108】p−Ga0.44In0.56Pエッチングストッ
パ層106は厚さ30Åの単一量子井戸層とした。
【0109】次に、上記の半導体層が形成されたn−G
aAs基板101を成長装置から取り出し、公知の選択
エッチング技術を用いて、p−Ga0.44In0.56Pエッ
チングストッパ層106に到達するようにn−GaAs
電流阻止層109にストライプ状の溝111を形成す
る。
【0110】その後、再度、n−GaAs基板101を
成長装置内にセットし、第2回目の結晶成長によりp−
(Al0.7Ga0.30.51In0.49P第2クラッド層10
7及びp−Ga0.51In0.49Pコンタクト層110を順
次積層する。最後に、p−GaInPコンタクト層11
0の上面及びn−GaAs基板101の下面に各々オー
ミック電極(図示せず)を形成し、劈開法により共振器
長を375μmに調整して、 出射側端面には反射率1
5%、反対側端面には反射率75%のコーティング膜を
各々形成し、本実施形態7の半導体レーザ素子を得た。
【0111】なお、本実施形態7の半導体レーザ素子の
発振波長λ1及び可飽和吸収層となるエッチングストッ
パ層106のバンドギャップに相当する波長λ2は共に
658nmで、λ1−λ2の値は0nmであった。
【0112】下記表7は、本実施形態7の半導体レーザ
素子の最大自励発振出力及びエージング歩留まりの評価
結果を比較例7と共に示す。なお、比較例7の半導体レ
ーザ素子としては、光ガイド層をエッチングストッパ層
の上側に配置した他は本実施形態7の半導体レーザ素子
と同構造のものを用いた。
【0113】
【表7】
【0114】表7と上記表1とを比較してみれば明らか
なように、本実施形態7の半導体レーザ素子において
も、実施形態1の半導体レーザ素子と同じ効果が得られ
る。
【0115】ここで、自己整合型の半導体レーザ素子に
おいては、電流通路が再成長界面となるため、比較例7
の構造においては、エージング歩留まりがリッジ型の半
導体レーザ素子より低下しているが、本実施形態7にお
いては、歩留まりの低下は見られなかった。
【0116】このことより、本発明は半導体レーザ素子
の材料や作製方法に依存せず、光ガイド層が活性層に近
い側に配置されていれば十分な効果が得られることがわ
かる。
【0117】(実施形態8)図12は本発明半導体レー
ザ素子の実施形態8を示す。本実施形態8は、本発明を
上記実施形態2同様のリッジ型の半導体レーザ素子に適
用した例を示す。但し、本実施形態8においては、p−
GaAsエッチングストッパ層106がリッジストライ
プの内部にのみ形成されており、この点で実施形態2の
半導体レーザ素子とは異なっている。
【0118】本実施形態8の半導体レーザ素子は、上記
実施形態2と全く同様にして作製される。以下に図4に
従い、その主な製造工程を説明する。
【0119】実施形態1及び実施形態2同様に、公知の
選択エッチング技術を用いて、p−AlGaAs第2上
クラッド層107及びp−GaAsキャップ層108を
リッジ形状に加工した後、クエン酸と過酸化水素の混合
液をエッチング溶液として、リッジストライプの外部に
露出しているp−GaAsエッチングストッパ層106
のみを選択的に除去する。このエッチング溶液はAl混
晶比の低いAlGaAs層を選択的にエッチングし、P
H調整によりAl混晶比が0.1〜0.3の間で選択性
を持たせることが出来る。従って、エッチングストッパ
層106よりAl混晶比の高いp−AlGaAs光ガイ
ド層105でエッチングは停止する。なお、p−GaA
sキャップ層108はSiO2膜で覆われているため浸
食されない。その後の作製工程は実施形態1及び実施形
態2と全く同じである。
【0120】下記表8は、本実施形態8の半導体レーザ
素子の出力5mW時における非点隔差を評価した結果を示
す。また比較例として、実施形態2の半導体レーザ素子
について同様の評価を行った結果についても同時に示
す。
【0121】
【表8】
【0122】表8から理解されるように、可飽和吸収機
能を持つエッチングストッパ層106がリッジストライ
プの内部にのみに形成された本実施形態8の半導体レー
ザ素子は、実施形態2の半導体レーザ素子に比べると非
点隔差が減少し光学特性が向上している。その理由は、
上記の構造によれば、リッジストライプの内外の実効屈
折率差が実施形態2に比べて大きくなったためである。
【0123】このように、光ガイド層がエッチングスト
ッパ層の下側に形成されている本発明の半導体レーザ素
子では、光学特性の改善を容易に行うことが出来る。
【0124】(実施形態9)図13は本発明半導体レー
ザ素子の実施形態9を示す。本実施形態9は、本発明を
上記実施形態2同様のリッジ型の半導体レーザ素子に適
用した例を示す。但し、本実施形態9においては、光出
射端面から30μmのリッジストライプの外部領域のみ
p−GaAsエッチングストッパ層106が除去されて
いる(図13(a)参照)他は、実施形態2と全く同じ
構造になっている。
【0125】以下に、図13に従い本実施形態9の半導
体レーザ素子の主な製造工程について説明する。
【0126】実施形態8同様に、リッジストライプの外
部に露出しているp−GaAsエッチングストッパ層1
06のみを選択的に除去する際、全面にレジスト膜を塗
布し、フォトリソグラフィ技術を用いて共振器方向に垂
直に幅30μmの溝を形成する。クエン酸と過酸化水素
の混合液をエッチング溶液として、この溝の内部に露出
したp−GaAsエッチングストッパ層106のみをエ
ッチングする。次いで、レジスト膜を剥離する。
【0127】その後は、上記実施形態2と同じ工程によ
り半導体レーザ素子を作製するが、最後に半導体レーザ
素子端面を劈開する際、レーザ光出射端面から30μm
の領域が上記のエッチングストッパ層除去部分となるよ
うに分割して本実施形態9の半導体レーザ素子を得た。
【0128】本実施形態9の半導体レーザ素子の最大自
励発振出力及びエージング歩留まりの評価を行ったとこ
ろ、上記表2に示した実施形態2の半導体レーザ素子と
同じ結果を得た。
【0129】次に、本実施形態9の半導体レーザ素子を
光ディスクの光源に応用したところ、戻り光量の変動に
かかわらず安定した自励発振が生じた。下記表9は光出
射端面からエッチングストッパ層の除去領域までの距離
を変えて本構造の半導体レーザ素子を作製し、光ディス
クの誤り訂正前の読み取りエラーの個数を測定した結果
を示す。
【0130】
【表9】
【0131】ここで、通常、CD(コンパクト ディス
ク)用のディスク等の場合、1秒あたり200個以下の
エラーであれば、誤り訂正機能により問題を生じる可能
性は小さいが、実用上は1秒あたり100個以下のエラ
ーが望まれる。本実施形態9においては、表9に示すよ
うに、光出射端面から、エッチングストッパ層106ま
での距離が3μmから100μmの範囲において、エラ
ーが1秒あたり100個以下となっており、所望の特性
が得られていることがわかる。
【0132】その理由は、戻り光が光出射端面に侵入し
た際、可飽和吸収効果を持つエッチングストッパ層10
6に吸収される効果が少ないため、半導体レーザ素子の
出力が安定し、読み取りエラーが少なくなっているもの
と考えられる。
【0133】なお、表1に示すように、光出射端面から
エッチングストッパ層106までの距離が100μmよ
り大きい場合には、可飽和吸収効果が十分でなくエラー
が増大しており、3μmより小さい場合は、戻り光がエ
ッチングストッパ層106に吸収され、半導体レーザ素
子の出力を変動させる原因となり、エラーを増大させて
いるものと考えられる。
【0134】なお、本実施形態9では光共振器端面の片
側にのみエッチングストッパ層の除去領域を形成してい
るが、残りの端面からの戻り光が存在する場合は、両光
出射端面のストライプ外部にエッチングストッパ層の除
去領域を形成した構造にしても同様の効果を得ることが
できる。
【0135】(実施形態10)図14は本発明半導体レ
ーザ素子の実施形態10を示す。本実施形態10の半導
体レーザ素子は、光出射端面から30μmのp−GaA
sエッチングストッパ層106が全て除去されている他
は、実施形態9の半導体レーザ素子と同様になってい
る。以下に、その構造を製造工程と共に説明する。
【0136】まず、n−GaAs基板101を成長装置
(図示せず)内にセットし、このn−GaAs基板10
1上に、第1回目の結晶成長によりn−AlGaAs下
クラッド層102、ノンドープ量子井戸活性層103、
p−AlGaAs第1上クラッド層104、p−AlG
aAs光ガイド層105及びp−GaAsエッチングス
トッパ層106を順次積層成長する。
【0137】次いで、n−GaAs基板101を成長装
置から取り出し、n−GaAs基板101上全面にレジ
スト膜を塗布し、公知のフォトリソグラフィ技術を用い
て共振器方向に垂直に幅30μmの溝を形成し、p−G
aAsエッチングストッパ層106を露出させる。そし
て、クエン酸と過酸化水素の混合液をエッチング溶液と
してp−GaAsエッチングストッパ層106の露出部
分をエッチングし、その後レジスト膜を剥離する。
【0138】そして、再度、n−GaAs基板101を
成長装置内にセットし、第2回目の結晶成長により、p
−AlGaAs第2上クラッド層107及びp−GaA
sキャップ層108を順次積層成長する。その後、実施
形態2と同じ工程により半導体レーザ素子を作製する
が、最後に素子端面を劈開する際、レーザ光出射端面か
ら30μmの領域が上記の可飽和吸収層の除去部分とな
るように分割して本実施形態10の半導体レーザ素子を
得た。
【0139】本実施形態10の半導体レーザ素子の最大
自励発振出力及びエージング歩留まりを評価したとこ
ろ、上記表2に示した実施形態2の半導体レーザ素子と
同じ結果を得た。
【0140】次に、本実施形態10の半導体レーザ素子
を光ディスクに応用したところ、戻り光量の変動にかか
わらず安定した自励発振が生じた。下記表10は光出射
端面からエッチングストッパ層の除去領域までの距離を
変えて本構造の半導体レーザ素子を作製し、光ディスク
の誤り訂正前の読み取りエラーの個数を測定した結果を
示す。
【0141】
【表10】
【0142】本実施形態10の半導体レーザ素子では、
光出射端面において最も戻り光強度が強いストライプの
内部の可飽和吸収領域をも除去しているため、表10と
表9とを比較してみれば明かなように、実施形態9の半
導体レーザ素子に比べ、光ディスク読み取りエラーの個
数が更に低減し、より安定した自励発振動作が生じてい
ることがわかる。
【0143】(実施形態11)図15は本発明半導体レ
ーザ素子の実施形態11示す。本実施形態11は、本発
明をAlGaInP系材料を用いた自己整合型の赤色半
導体レーザ素子に適用した例を示す。
【0144】本実施形態11の半導体レーザ素子は、実
施形態7の半導体レーザ素子におけるp−Ga0.44In
0.56Pエッチングストッパ層106をp−Ga0.51In
0.49Pエッチングストッパ層とし、ストライプ外におい
て、このエッチングストッパ層をn−GaAs電流阻止
層109上に形成している他は、実施形態7の半導体レ
ーザ素子と同様の構造になっている。
【0145】本実施形態11の半導体レーザ素子におい
ても、実施形態7の半導体レーザ素子と同じく、p−G
aInPエッチングストッパ層単独では可飽和吸収効果
を持たず、p−AlGaInP光ガイド層との接合領域
であるストライプ内においてのみ可飽和吸収効果を有す
る。従って、上記実施形態8の半導体レーザ素子と同じ
く、ストライプ内外の実効屈折率差がリッジストライプ
の外部に比べて大きくなるため、非点隔差が小さくなる
と共に横モードが安定化する。
【0146】本実施形態11の半導体レーザ素子の出力
5mW時における非点隔差を評価した結果を下記表11に
示す。
【0147】
【表11】
【0148】表11と上記表8とを比較してみれば理解
されるように、本実施形態11の自己整合型半導体レー
ザ素子においても、実施形態8の半導体レーザ素子と同
じく非点隔差を改善する効果があることがわかる。
【0149】(その他の実施形態)以上、本発明の種々
の実施形態について説明したが、本発明が適用される実
施形態は上記実施形態1〜実施形態11のものに限定さ
れるものではなく、以下に示す各種の変更が可能であ
る。
【0150】一例として、AlGaAs系半導体レーザ
素子についてはリッジ型、AlGaInP系半導体レー
ザ素子については自己整合型の構造のみを示したが、材
料と素子構造の組み合わせを変えても同様の効果が得ら
れる。また、他の材料系、例えば、ZnSe系、GaN
系材料等を用いた半導体レーザ素子でも同様の効果が得
られる。
【0151】また、活性層については量子井戸活性層の
場合のみを示したが、量子効果を持たないバルク構造の
場合でも、本発明の主旨に反しない限り同様の効果が得
られる。
【0152】また、活性層の発振波長や可飽和吸収層の
吸収係数、或いは共振器長や端面反射率などの変更を行
っても本発明の効果は損なわれない。
【0153】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の半導体レー
ザ素子によれば、可飽和吸収効果を兼ね備えたエッチン
グストッパ層の下側に光ガイド層を配置したので、結晶
欠陥の増殖を抑制し高出力動作時においても素子特性が
劣化せず十分な素子寿命を得ることができる。
【0154】 一実施形態の半導体レーザ素子によれ
ば、活性層のレーザ発振波長λ1およびエッチングスト
ッパ層のバンドギャップに相当する波長λ2が、−12
nm≦λ1−λ2≦2nmの範囲にある構成をとるの
で、戻り光ノイズと量子ノイズの両方を回避出来る。こ
のため、広い光出力範囲において安定した低ノイズ特性
を得ることができる。
【0155】 また、一実施形態の半導体レーザ素子に
よれば、前記エッチングストッパ層はGaAs系材料か
らなり且つ前記光ガイド層はAlGaAs系材料からな
り、または、前記エッチングストッパ層はGaInP系
材料からなり且つ前記光ガイド層はAlGaInP系材
料からなり、エッチングストッパ層のバンドギャップに
相当する波長λ2と光ガイド層のバンドギャップに相当
する波長λ3との差が、0nm<λ2−λ3≦70nm
の範囲内にある構成をとるので、可飽和吸収によって生
成した過剰キャリアをオーバーフローさせキャリア寿命
を実質的に短く出来る。このため、高出力動作と低ノイ
ズ特性の両立が可能となる。
【0156】 また、一実施形態の半導体レーザ素子に
よれば、光ガイド層に添加された不純物濃度が1×10
18cm-3より大きく1×1019cm-3より小さい構成を
とるので、結晶欠陥を抑制して自励発振出力を向上する
ことが出来る。このため、高出力まで素子の信頼性と低
ノイズ特性が維持される。
【0157】 また、一実施形態の半導体レーザ素子に
よれば、エッチングストッパ層に添加された不純物濃度
が5×1017cm-3より大きく3×1018cm-3より小
さい構成をとるので、スイッチング動作を抑制して自励
発振出力を向上することが出来る。このため、広い出力
範囲において直線性の良い電流光出力特性が得られかつ
素子の低ノイズ特性が維持される。
【0158】 また、本発明の半導体レーザ素子によれ
ば、光ガイド層のバンドギャップが、エッチングストッ
パ層側で大きく第1上クラッド層側で小さくなる変化を
有する構成をとるので、過剰にキャリアが生成されても
その消滅を促進することが出来る。このため、高出力動
作においても低ノイズ特性を維持することが出来る。
【0159】 また、一実施形態の半導体レーザ素子に
よれば、光ガイド層が多重量子井戸構造である構成をと
るので、キャリア消滅を促進させ実質的なキャリア寿命
を短く出来る。このため、更に高出力まで低ノイズ特性
の維持が可能となる。
【0160】 また、一実施形態の半導体レーザ素子に
よれば、光ガイド層の不純物濃度がエッチングストッパ
層側で小さく第1上クラッド層側で大きくなる変化を有
する構成をとるので、キャリア消滅を促進させ実質的な
キャリア寿命を短く出来る。このため、更に高出力まで
低ノイズ特性の維持が可能となる。
【0161】 また、一実施形態の半導体レーザ素子に
よれば、光ガイド層の全層厚が100Å以上200Å以
下である構成をとるので、エッチングストッパ層への光
閉じ込め効果を高め、かつスイッチング動作を抑制する
ことが出来る。このため、広い範囲において直線性の良
い電流光出力特性が得られ、かつ低ノイズ特性が維持さ
れる。
【0162】 また、一実施形態の半導体レーザ素子に
よれば、エッチングストッパ層がストライプ状開口部に
のみ配置されている構成をとるので、ストライプ内外で
の実効屈折率差を大きく出来る。このため、非点隔差を
小さくかつ横モードを安定化することができる。
【0163】 また、一実施形態の半導体レーザ素子に
よれば、エッチングストッパ層が光出射端面付近にお
いて、少なくとも一部が除去された領域を持つ構成をと
るので、戻り光が可飽和吸収領域との相互作用を引き起
こしにくい。このため、安定な自励発振動作を得ること
ができる。
【0164】 また、一実施形態の半導体レーザ素子に
よれば、エッチングストッパ層がAlを含まない材料で
形成されており、再成長界面の結晶欠陥を低減出来る。
このため、素子の特性および信頼性を一層向上すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1を示す、リッジ型の半導体
レーザ素子の断面図である。
【図2】実施形態1のリッジ型の半導体レーザ素子にお
いて、光出力と相対雑音強度の関係を示すグラフであ
る。
【図3】実施形態1のリッジ型の半導体レーザ素子にお
いて、λ1−λ2と再生ジッタとの関係を示すグラフで
ある。
【図4】実施形態2のリッジ型の半導体レーザ素子にお
いて、λ2−λ3と最大自励発振出力との関係を示すグ
ラフである。
【図5】実施形態2のリッジ型の半導体レーザ素子にお
いて、(a)は光ガイド層厚と最大自励発振出力を、
(b)は光出力の跳びの関係を、それぞれ示すグラフで
ある。
【図6】実施形態3のリッジ型の半導体レーザ素子にお
いて、光ガイド層の不純物濃度と最大自励発振出力およ
びエージング歩留まりの関係を示すグラフである。
【図7】実施形態3のリッジ型の半導体レーザ素子にお
いて、エッチングストッパ層の不純物濃度と最大自励発
振出力および光出力の跳びの関係を示すグラフである。
【図8】本発明の実施形態4を示す、光ガイド層および
エッチングストッパ層の構造図である。
【図9】本発明の実施形態5を示す、光ガイド層および
エッチングストッパ層の構造図である。
【図10】本発明の実施形態6を示す、光ガイド層およ
びエッチングストッパ層の構造図および不純物濃度分布
のグラフである。
【図11】本発明の実施形態7を示す、自己整合型の半
導体レーザ素子の断面図である。
【図12】本発明の実施形態8を示す、リッジ型の半導
体レーザ素子の断面図である。
【図13】本発明の実施形態9を示す、(a)はリッジ
型の半導体レーザ素子の光出射端面における断面図、
(b)は(a)のA−A’線による断面図、(c)はそ
の非出射端面における断面図である。
【図14】本発明の実施形態10を示す、リッジ型の半
導体レーザ素子の光出射端面における断面図である。
【図15】本発明の実施形態11を示す、自己整合型の
半導体レーザ素子の断面図である。
【図16】本発明におけるバンドギャップの定義を表わ
すバンド構造図である。
【図17】従来の自励発振型の半導体レーザ素子の断面
図である。
【符号の説明】
101 n−GaAs基板 102 n−下クラッド層 103 量子井戸活性層 104 p−第1上クラッド層 105 p−光ガイド層 106 p−エッチングストッパ層 107 p−第2上クラッド層 108 p−キャップ層 109 n−電流阻止層 110 p−コンタクト層 111 ストライプ状の溝
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−22695(JP,A) 特開 平6−196810(JP,A) 特開 平7−263794(JP,A) 特開 平5−3367(JP,A) 特開 平7−106695(JP,A) 特開 平7−321395(JP,A) 特開 平9−83064(JP,A) 特開 平10−321946(JP,A) 特開 平9−283840(JP,A) 特表 平10−505960(JP,A) 国際公開96/030977(WO,A1) 電子情報通信学会技術研究報告,Vo l.96 No.290,p.7−12(LQ E96−78) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 5/00 - 5/50 G11B 7/125

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板上に、下クラッド層、活性
    層、第1上クラッド層、光ガイド層、エッチングストッ
    パ層及び第2上クラッド層を含む複数の半導体層が形成
    され、該第2上クラッド層にストライプ状の開口を有す
    る電流狭窄部が形成された半導体レーザ素子において、
    該光ガイド層は、該エッチングストッパ層と該活性層と
    の間に配置され、該光ガイド層のバンドギャップは、該
    第1上クラッド層のバンドギャップより小さく、かつ該
    エッチングストッパ層のバンドギャップより大きく、該
    エッチングストッパ層又は該光ガイド層と該エッチング
    ストッパ層の積層構造が、発振レーザ光に対して可飽和
    吸収効果を有し、 前記光ガイド層のバンドギャップが、前記エッチングス
    トッパ層側で大きく前記第1上クラッド層側で小さくな
    る変化を有する半導体レーザ素子。
  2. 【請求項2】 前記エッチングストッパ層はGaAs系
    材料からなり且つ前記光ガイド層はAlGaAs系材料
    からなり、または、前記エッチングストッパ層はGaI
    nP系材料からなり且つ前記光ガイド層はAlGaIn
    P系材料からなり、 前記エッチングストッパ層のバンドギャップに相当する
    波長λ2と前記光ガイド層のバンドギャップに相当する
    波長λ3との差が、下記の条件を満足する範囲にある0
    nm<λ2−λ3≦70nm請求項1に記載の半導体レ
    ーザ素子。
  3. 【請求項3】 半導体基板上に、下クラッド層、活性
    層、第1上クラッド層、光ガイド層、エッチングストッ
    パ層及び第2上クラッド層を含む複数の半導体層が形成
    され、該第2上クラッド層にストライプ状の開口を有す
    る電流狭窄部が形成された半導体レーザ素子において、
    該光ガイド層は、該エッチングストッパ層と該活性層と
    の間に配置され、該光ガイド層のバンドギャップは、該
    第1上クラッド層のバンドギャップより小さく、かつ該
    エッチングストッパ層のバンドギャップより大きく、該
    エッチングストッパ層又は該光ガイド層と該エッチング
    ストッパ層の積層構造が、発振レーザ光に対して可飽和
    吸収効果を有し、 前記光ガイド層の不純物濃度が、前記エッチングストッ
    パ層側で小さく前記第1上クラッド層側で大きくなる変
    化を有する半導体レーザ素子。
  4. 【請求項4】 前記光ガイド層が、多重量子井戸構造で
    ある請求項に記載の半導体レーザ素子。
  5. 【請求項5】 半導体基板上に、下クラッド層、活性
    層、第1上クラッド層、光ガイド層、エッチングストッ
    パ層及び第2上クラッド層を含む複数の半導体層が形成
    され、該第2上クラッド層にストライプ状の開口を有す
    る電流狭窄部が形成された半導体レーザ素子において、
    該光ガイド層は、該エッチングストッパ層と該活性層と
    の間に配置され、該光ガイド層のバンドギャップは、該
    第1上クラッド層のバンドギャップより小さく、かつ該
    エッチングストッパ層のバンドギャップより大きく、該
    エッチングストッパ層又は該光ガイド層と該エッチング
    ストッパ層の積層構造が、発振レーザ光に対して可飽和
    吸収効果を有し、 前記エッチングストッパ層が、光出射端面付近におい
    少なくとも一部除去された領域を持つ半導体レー
    ザ素子。
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