JP3487703B2 - 生体吸収性ポリエステル及びその製造方法 - Google Patents

生体吸収性ポリエステル及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、生体吸収性ポリエ
ステル及びその製造方法に関する。詳しくは、特定の芳
香族化合物を開始剤として用いて、グリコリド、ラクチ
ド等の環状エステル化合物を開環重合して得られる生体
吸収性ポリエステル及びその製造方法に関する。さらに
詳しくは、手術用縫合糸、徐放性薬剤の基材、骨折用接
骨プレート等の医療用具として使用され得る上記の生体
吸収性ポリエステル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】生体吸収性ポリエステルとしては、ポリ
グリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプリラクトン、及びそ
れらと他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等が知ら
れている。例えば、ポリグリコール酸、グリコール酸と
他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等のグリコール
酸系重合体の場合、高分子量のものは機械的強度は高い
が、溶媒に対する溶解性が悪く、融点も180〜240
℃と高く成形性に難があるため、繊維状に加工され、縫
合糸やメッシュ等の手術用資材として用いられている。
【0003】また、ポリ乳酸、乳酸と他のヒドロキシカ
ルボン酸との共重合体等の乳酸系重合体の場合、加工性
や溶媒に対する溶解性に優れ、高分子量のものは、棒状
やプレート状に加工され接骨用プレートとして、また、
針状やフィルム状にも加工され、生体内の各種成形材料
として用いられている。比較的低分子量のものは、主と
して徐放性薬剤の基材として使用されている。
【0004】これらの生体吸収性ポリエステルは、生体
内で、PGAの場合約3カ月程、PLAの場合半年〜1
年、また、PLGAの場合数週間で加水分解され、その
種類や使用目的によって、様々な分解期間のものが要求
されている。
【0005】このような要求に対して、特開昭63−1
7929号公報には、オクタン酸第一スズの存在下にお
いて、グリコリドに対し0.11〜0.22モル%の炭
素数10〜18を有する直鎖脂肪族の一価アルコールを
開始剤として用いて、220〜250℃の温度条件で重
合させることを特徴とする固有粘度0.85〜1.1の
ポリグリコール酸の製造方法が提案されている。
【0006】一方、乳酸系重合体の製造方法に関して、
特開昭62−64824号公報には、乳酸単位25〜1
00モル%及びグリコール酸単位0〜75モル%を含有
し、触媒に0.2重量%のオクタン酸スズを用い、dl
−乳酸の存在下、160℃の温度条件で重合する、固有
粘度が4以下である乳酸−グリコール酸共重合体及びそ
の製造方法が記載されている。
【0007】以上のように、生体吸収性ポリエステルの
製造方法に関しては、グリコール酸や乳酸の環状二量体
であるグリコリドやラクチドを適当な触媒により開環重
合させる方法が開示され、その際、開始剤として、ラウ
リルアルコール等の直鎖脂肪族アルコール、dl−乳酸
等のオキシ酸を用いる方法が知られている。
【0008】しかしながら、上記に示すいずれの製造方
法においても、重合の際に用いる開始剤の添加量の加減
により加水分解速度の制御を図るものであった。すなわ
ち、従来採用されている方法は、分子量を調整して分解
性を制御するものである。具体的には、高分子量のポリ
マーを得たいときには開始剤の量を減らし、低分子量の
ポリマーを得たいときには開始剤の量を増加する方法で
ある。この場合、高分子量のポリマーは物理的強度は優
れるが加水分解性が低下し、また、低分子量のポリマー
は加水分解性は速いが物理的強度が劣るという相反する
問題が生じる。従って、分子量が低いにもかかわらず加
水分解性が抑制された生体吸収性ポリエステル及びその
製造方法が求められていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
以外の新たな開始剤を用いて環状エステル化合物を開環
して得られる、分子末端にエステル結合によりフェニル
基が結合した生体吸収性ポリエステル及びその製造方法
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について、鋭意検討を重ねた結果、グリコリド、ラクチ
ド等の環状エステル化合物を開環重合するに際し、水酸
基及びカルボキシル基の少なくとも1種を有する特定の
構造の芳香族化合物を開始剤として用いることにより上
記課題が解決できることを見いだし、本発明を完成する
に至った。
【0011】すなわち、本発明は、環状エステル化合物
を開環重合して得られた生体吸収性ポリエステルであっ
て、一般式(1)〔化5〕
【0012】
【化5】 (式中、R1及びR2は、炭素数1〜3のアルキル基、−
H、−OH、−OCH3、−OCOCH3、−COOH、
−COOCH3、−COOC25、−NH2、−NHCH
3、−N(CH32、−NHCOCH3であり、互いに同
一でも異なってもよい)で表される化合物、及び、一般
式(2)〔化6〕
【0013】
【化6】 (式中、R3及びR4は、炭素数1〜3のアルキル基、−
H、−OH、−OCH3、−OCOCH3、−COOH、
−COOCH3、−COOC25、−NH2、−NHCH
3、−N(CH32、−NHCOCH3であり、互いに同
一でも異なってもよい)で表される化合物から選ばれた
少なくとも1種の芳香族化合物を開始剤として、環状エ
ステル化合物に対し0.002〜1モル%使用して得ら
れた生体吸収性ポリエステル及びその製造方法である。
【0014】本発明の生体吸収性ポリエステルの特徴
は、水酸基及びカルボキシル基の少なくとも1種を有す
る特定の構造の芳香族化合物を開始剤として使用して環
状エステル化合物を開環重合して得られたものである点
にある。
【0015】通常、生体吸収性ポリエステルの加水分解
はポリマー連鎖の末端から開始するといわれている。而
して、本発明の生体吸収性ポリエステルは、環状エステ
ル化合物を開環重合するに際し、開始剤として特定の構
造の芳香族化合物を使用して得られたものである故に、
そのポリマー連鎖の末端にエステル結合によりフェニル
基が結合している。従って、例えば、分子量が5万〜2
0万程度のポリマーである場合には、ポリマー分子全体
に占める分子末端の比率が高いので、従来のポリエステ
ルに比して加水分解性が抑制(遅い)されている独特の
特性を有する。従って、本発明の生体吸収性ポリエステ
ルを、例えば、徐放性薬剤の基材として使用すると、薬
効期間が長期にわたって保たれることとなり、治癒期間
が長い疾病、疾患に使用する徐放性薬剤の基材として特
に有用である。また、本発明に使用する上記開始剤は人
体に対する薬害がない物質であり、かかる点からも環状
エステル化合物の開環重合用開始剤として有用である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の生体吸収性ポリエステルを製造するため
にに使用する環状エステル化合物として、グリコリド、
ラクチド、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクト
ン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、3−メ
チル−1,4−ジオキサ−2,5−ジオン、p−ジオキ
サノン、モリホリンジオン、モリホリン等を挙げること
ができる。これらは、単独で使用してもよいし、また、
2種以上を混合して使用してもよい。上記環状エステル
化合物の内、グリコリド及びラクチドが好ましく用いら
れる。環状エステル化合物を混合して使用して、これら
の共重合体を製造する場合は、それぞれの混合比率は、
得られる生体吸収性ポリエステルの用途に応じて変化さ
せることができる。
【0017】例えば、ポリグリコール酸等のグリコール
酸系重合体(以下、PGAという)の場合、10万〜2
0万程度の高分子量のものは繊維状に加工され、縫合糸
やメッシュ等の手術用資材として用いられる。この場
合、通常、ポリエステル中にグリコール酸単位が80〜
100モル%程度、乳酸単位が0〜20モル%程度とな
るように調節する。ポリ乳酸等の乳酸系重合体(以下、
PLAという)の場合、20万〜30万程度の高分子量
のものは棒状やプレート状に加工され接骨用プレートと
して、また、針状やフィルム状にも加工されて生体内の
各種性整形材料として用いられる。この場合、通常、ポ
リエステル中に乳酸単位が略100モル%となるよう調
節する。また、乳酸−グリコール酸等(以下、PLGA
という)の場合、主として徐放性薬剤の基材として使用
される。この場合、通常、分子量が5万〜20万程度、
ポリエステル中にグリコール酸単位が0を超えて〜80
モル%、乳酸単位が20〜100モル%未満となるよう
調節する。
【0018】本発明の生体吸収性ポリエステルを製造す
る際には触媒を使用することが好ましい。触媒として
は、塩化スズ、酸化スズ、弗化スズ、テトラフェニルス
ズ、オクタン酸第一スズ、酢酸スズ、ステアリン酸スズ
およびその類似物のスズ塩、さらには、酸化鉛、酸化亜
鉛、三弗化ホウ素、三弗化アンチモン、ステアリン酸
鉛、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリブチル
ホスフィンおよびその類似物等が挙げられる。これらの
中で、無毒性安定剤として米国FDAで承認されている
オクタン酸第一スズを用いることが好ましい。触媒の使
用量は、その種類や重合温度によって適宜決められる
が、好ましくは、環状エステル化合物に対しおよそ0.
001〜0.5重量%である。
【0019】本発明において、上記触媒の存在下で環状
エステル化合物を開環重合する際に使用する開始剤は、
上記一般式(1)及び一般式(2)で表される芳香族化
合物である。これらは、単独で使用してもよいし、ま
た、2種以上を混合して使用してもよい。上記一般式
(1)及び一般式(2)における置換基のR1、R2、R
3及びR4は、水酸基、またはカルボキシル基に対してオ
ルソ位、メタ位、パラ位のいずれの炭素に結合していて
もよい。置換基R1、R2、R3及びR4としては、次のも
のが挙げられる。例えば、1)H、または、炭素数1〜
3のアルキル基、2)OH基、または、その誘導体であ
る(−OCH3)、(−OCOCH3)、3)COOH
基、または、その誘導体である(−COOCH3)、
(−COOC2 5)、4)NH2基、または、その誘導
体である(−NHCH3)、(−N(CH)2、−NHC
OCH3)等が例示される。
【0020】具体例を挙げると、一般式(1)で表され
る芳香族化合物として、o、m、p−クレゾール、o、
m、p−エチルフェノール、カテコール、レゾルシノー
ル、ハイドロキノン、o、m、p−ヒドロキシ安息香
酸、o、m、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、o、m、
p−ヒドロキシ安息香酸エチル、カテコールモノメチル
エーテル、レゾルシノールモノメチルエーテル、ハイド
ロキノンモノメチルエーテル、カテコールモノアセテー
ト、レゾルシノールモノアセテート、ハイドロキノンモ
ノアセテート、その他、アミノフェノール、ニトロフェ
ノール、シアノフェノール、チオフェノール等が挙げら
れる。
【0021】また、一般式(2)で表される芳香族化合
物として、2、3、4−メチル安息香酸、2、3、4−
エチル安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、アセチルサリチル酸、その他、アミノ安息香酸、ニ
トロ安息香酸等が挙げられる。また、3官能基のものと
して、アミノサリチル酸、ジアミノフェノール、2、4
−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−2−スルホ安息香
酸等が挙げられる。
【0022】上記芳香族化合物の内、生体に対して毒性
が低く、さらには生体吸収性ポリエステル等の医用高分
子材料の設計に使用されるものが好ましい。かかる点を
考慮すると、特に好ましいものとして、アセチルサリチ
ル酸、アセトアミノフェン、サリチル酸メチル、サリチ
ル酸エチル等が挙げられる。
【0023】これらの開始剤の使用量は、得られる生体
吸収性ポリエステルの分子量に影響を及ぼす。使用量が
多いと開環重合の速度が速くなり、分子量は低下する。
使用量が少ないと開環重合の速度が遅くなり、分子量は
高くなる。好ましい分子量は目的とする生体吸収性ポリ
エステルの用途によって異なるので、用途に応じて適宜
決めることができる。
【0024】例えば、縫合糸、接骨用プレート、徐放性
薬剤の基材等として用いる場合、通常、環状エステル化
合物に対して、開始剤濃度が0.002〜1モル%、好
ましくは、0.01〜0.1モル%となる範囲で使用さ
れる。0.002モル%未満では、重合反応速度が遅い
だけでなく、分子量が高くなり過ぎてポリマー全体に占
めるポリマー連鎖末端の占める割合が低くなり、ポリマ
ー連鎖末端にエステル結合を介してフェニル基を導入し
た効果が現れ難い。1モル%を超えると、ポリマー連鎖
末端にエステル結合を介してフェニル基を導入した効果
は現れるものの、生体吸収性ポリエステルの強度低下が
大きくなる傾向があり、また、生体吸収性ポリマーの本
来の特徴である分解性の制御が困難となる。かかる観点
から、上記範囲で使用することが好ましい。
【0025】重合反応は、溶媒、例えば、クロロホル
ム、ジクロロメタン等の有機溶媒を用いる溶液重合によ
っても実施できるが、通常は、溶融状態による塊状重合
で実施するのが好ましい。重合温度は、溶融重合の場合
には、原料モノマーである例えばグリコリド、ラクチド
等の融点以上であれば良い。具体的には、140〜24
0℃程度の温度範囲が挙げられる。また、クロロホルム
ジクロロメタン等の溶媒を用いる溶液重合の場合には、
これらの融点以下の温度でも反応を実施することができ
る。具体的には、50℃〜使用した溶媒の沸点未満の温
度範囲が挙げられる。
【0026】以上のような製造方法により得られる本発
明の生体吸収性ポリエステルは、従来公知の開始剤、例
えばラウリルアルコール等の直鎖脂肪族アルコール、d
l−乳酸等のオキシ酸を開始剤とした生体吸収性ポリエ
ステルとは、そのポリマー連鎖の末端にエステル結合に
よりフェニル基が結合している点で分子構造を異にする
ものである。ポリマー構造の差異は、加水分解性、溶液
粘度、溶媒に対する溶解性等に関係するから、本発明の
如き末端にエステル結合を介してフェニル基を有する生
体吸収性ポリエステルは、独特の加水分解性を示す。本
発明の生体吸収性ポリマーが、末端にエステル結合によ
りフェニル基が結合していることは、 H−NMR(核
磁気共鳴スペクトル)でのピーク、IR(赤外吸収スペ
クトル)でのピーク或いは、ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィによって容易に確認することができる。
【0027】
【実施例】以下、実施例を示して本発明についてさらに
具体的に説明する。なお、実施例中の物性評価は、以下
の方法により測定した。
【0028】(1)重量平均分子量及び分子量分布 重合体をクロロホルム、またはヘキサフルオロイソプロ
パノール(以下、HFIPと略する)に溶解し、濃度
0.5%(重合体:重量、溶媒:容量)の溶液を試料と
し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、G
PCという)を用いて分別し、重量平均分子量(Mw)
及び数平均分子量(Mn)を求める、尚、溶媒としてク
ロロホルムを用いた場合はポリスチレン換算、HFIP
を用いた場合はポリメチルメタクリレート換算にて求め
る。また、両者の比(Mw/Mn)により分子量分布を
算出する。
【0029】(2)加水分解性試験における分子量保持
率(%) 試料を小型粉砕器にて粉末状に粉砕し、その1gを共栓
付き試験管に入れ、リン酸緩衝溶液(pH7.3)20
mlを加える。試験管を37℃の恒温槽中に固定し2週
間経過後、試料を取り出し減圧乾燥後、GPCにてMw
を測定する。分子量保持率(%)は、以下の式によって
算出する。(一定時間経過後の試料のMw)×100/
(初期の試料のMw)
【0030】(3)核磁気共鳴スペクトル 試料を重水素化クロロホルムまたはHFIP/重水素化
クロロホルム混合溶液(容量比:1/10)に溶解し、
10%(重合体:重量、溶媒:容量)試料溶液を調製
後、直径5mmの試験管に入れ、100MHzのNMR
測定装置を用いて測定し、7.8ppmにおけるフェニ
ル基に基づくピークを確認する。
【0031】(4)赤外吸収スペクトル KBr錠剤法により測定し、1560cm-1におけるフ
ェニル基に基づくピークを確認する。
【0032】実施例1 グリコライド(以下、GLDという)5.0g及びDL
−ラクタイド(以下、DL−LTDという)5.0gを
重合用アンプル管に入れ、触媒であるオクタン酸第1ス
ズをGLD及びDL−LTDに対して0.01重量%、
及び開始剤であるアセチルサリチル酸をGLD及びDL
−LTDに対して0.35モル%を加え、室温下、1m
mHgにて1時間減圧乾燥後、アンプル管を溶封し、反
応温度160℃にて6時間重合を行い、GLD−LTD
共重合体を得た。得られた共重合体について、核磁気共
鳴スペクトルを上記方法により測定した結果、7.8p
pmにフェニル基に基づくピークを確認された。また、
赤外吸収スペクトルを上記方法により測定した結果、1
560cm-1にフェニル基に基づくピークがそれぞれ確
認された。さらに、分子量、分子量分布及び加水分解試
験における分子量保持率を上記方法により測定した。得
られた結果を〔表1〕に示す。
【0033】実施例2〜8、比較例1〜7 使用した開始剤の種類及びその量を〔表1〕に示したよ
うに代えた以外、実施例1と同様にしてGLD−LTD
共重合体を得た。得られた共重合体について、核磁気共
鳴スペクトル及び赤外吸収スペクトルを上記方法により
測定した結果、7.8ppm(NMR)、または156
0cm-1(IR)にフェニル基に基づくピークがそれぞ
れ確認された。また、分子量、分子量分布及び加水分解
試験における分子量保持率を上記方法により測定した。
得られた結果を〔表1〕に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】本発明の生体吸収性ポリエステルの特徴
は、水酸基及びカルボン酸基の少なくとも一方を有する
芳香族化合物の存在下で環状エステル化合物を開環重合
して得られたものであることにある。そのため、ポリマ
ー連鎖の末端にエステル結合を介してフェニル基を有す
る。従って、低分子量の場合であっても加水分解性が遅
くなる。例えば、これを徐放性薬剤の基材として使用す
ると、薬効期間が長期にわたって保たれることとなり、
治癒期間が長い疾病、疾患に使用する徐放性薬剤の基材
として特に有用である。分子量が5万〜20万程度であ
る場合にこの効果が一段と顕著に現れる。また、10万
を超える高分子量のものは手術用縫合糸、骨折用接骨プ
レート等の医療分野において有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環状エステル化合物を開環重合して得ら
    れた生体吸収性ポリエステルであって、一般式(1)
    〔化1〕 【化1】 (式中、R1及びR2は、炭素数1〜3のアルキル基、−
    H、−OH、−OCH3、−OCOCH3、−COOH、
    −COOCH3、−COOC25、−NH2、−NHCH
    3、−N(CH32、−NHCOCH3であり、互いに同
    一でも異なってもよい)で表される化合物、及び、一般
    式(2)〔化2〕 【化2】 (式中、R3及びR4は、炭素数1〜3のアルキル基、−
    H、−OH、−OCH3、−OCOCH3、−COOH、
    −COOCH3、−COOC25、−NH2、−NHCH
    3、−N(CH32、−NHCOCH3であり、互いに同
    一でも異なってもよい)で表される化合物から選ばれた
    少なくとも1種の芳香族化合物を開始剤として、環状エ
    ステル化合物に対し0.002〜1モル%使用して得ら
    れた生体吸収性ポリエステル。
  2. 【請求項2】 環状エステル化合物が、グリコリド及び
    ラクチドから選ばれた少なくとも1種の化合物であり、
    且つ、生体吸収性ポリエステルの分子量が5万〜30万
    であることを特徴とする請求項1記載の生体吸収性ポリ
    エステル。
  3. 【請求項3】 一般式(1)及び一般式(2)における
    1またはR3が共に−Hであり、R2及びR4が、が炭素
    数1〜3のアルキル基、−COOH、−COOCH3
    −COOC25、−NHCOCH3、及び、−OCOC
    3から選ばれた一価の基であることを特徴とする請求
    項1記載の生体吸収性ポリエステル。
  4. 【請求項4】 一般式(1)及び一般式(2)における
    1またはR3が共に−Hであり、R2及びR4が、−NH
    COCH3、及び、−OCOCH3から選ばれた一価の基
    であることを特徴とする請求項1記載の生体吸収性ポリ
    エステル。
  5. 【請求項5】 環状エステル化合物を開環重合する生体
    吸収性ポリエステルの製造方法であって、一般式(1)
    〔化3〕 【化3】 (式中、R1及びR2は、炭素数1〜3のアルキル基、−
    H、−OH、−OCH3、−OCOCH3、−COOH、
    −COOCH3、−COOC25、−NH2、−NHCH
    3、−N(CH32、−NHCOCH3であり、互いに同
    一でも異なってもよい)で表される化合物、及び、一般
    式(2)〔化4〕 【化4】 (式中、R3及びR4は、炭素数1〜3のアルキル基、−
    H、−OH、−OCH3、−OCOCH3、−COOH、
    −COOCH3、−COOC25、−NH2、−NHCH
    3、−N(CH32、−NHCOCH3であり、互いに同
    一でも異なってもよい)で表される化合物から選ばれた
    少なくとも1種の芳香族化合物を開始剤として、環状エ
    ステル化合物に対し0.002〜1モル%使用すること
    を特徴とする生体吸収性ポリエステルの製造方法。
  6. 【請求項6】 環状エステル化合物が、グリコリド及び
    ラクチドから選ばれた少なくとも1種の化合物であり、
    且つ、生体吸収性ポリエステルの分子量が5万〜30万
    であることを特徴とする請求項5記載の生体吸収性ポリ
    エステルの製造方法。
  7. 【請求項7】 一般式(1)及び一般式(2)における
    1またはR3が共に−Hであり、R2及びR4が、炭素数
    1〜3のアルキル基、−COOH、−COOCH3、−
    COOC25、−NHCOCH3、及び、−OCOCH3
    から選ばれた一価の基であることを特徴とする請求項6
    記載の生体吸収性ポリエステルの製造方法。
  8. 【請求項8】 一般式(1)及び一般式(2)における
    1またはR3が共に−Hであり、R2及びR4が、−NH
    COCH3、及び、−OCOCH3から選ばれた一価の基
    であることを特徴とする請求項6記載の生体吸収性ポリ
    エステルの製造方法。
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