JP3480403B2 - エレベーター - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エレベーターに係
り、特に、カウンターウエイトに受電装置を設けたエレ
ベーターに関する。

【０００２】

【従来の技術】エレベーターのカウンターウエイトに駆
動装置を設けた従来技術として、特開昭57−121568号公
報がある。この従来技術は、カウンターウエイトにリニ
アモータの１次側とインバータ、及び充電器を搭載して
いる。この充電器は、カウンターウエイトが底位置に停
止したときに、ソネットコネクタにまたがって、主電源
システムと接続して、電力が給電される。

【０００３】また、特開平5−294568 号公報には、エレ
ベーター乗りかごが停止階に着いた時に、非接触でエレ
ベーターの乗りかごに電力を供給することが記載されて
いる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
57−121568号公報に記載の従来技術は、ソネットコネク
タを介して主電源と接続することにより、カウンターウ
エイト側へ電力を給電している。つまり、給電時に機械
的部品の接続，分離を繰り返している。したがって、長
期間給電を繰り返すと、給電に係る機械的部品の信頼性
が損なわれる問題がある。

【０００５】また、カウンターウエイトへ給電するため
には、カウンターウエイトを給電位置に精度良く停止さ
せる必要がある。しかし、通常、エレベーターでは乗り
かごを行き先階に高精度に停止させることを行っている
が、カウンターウエイトを高精度に所定位置に停止させ
ることについては考慮されていない。そのため、ロープ
据え付け後のロープ伸びのため、カウンターウエイトが
給電位置に停止できず、給電できなくなることが考えら
れる。

【０００６】特開平5−294568 号公報に記載の従来技術
は、乗りかご側への給電を行っている為、カウンターウ
エイトを高精度に停止させる必要性はない。つまり、エ
レベーターの使用によるロープ伸びを考慮して、カウン
ターウエイトを高精度に停止させることは考慮されてい
ない。

【０００７】そこで、本発明の目的は、カウンターウエ
イトへの電力給電を信頼性良く、確実に行えるエレベー
ターを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】カウンターウエイトに、
昇降路に設けた電力供給装置から電力を非接触で受電す
る受電手段、インバータ，モータを搭載し、前記電力供
給装置と前記受電手段の位置を検出する手段と、この手
段で検知した位置に基づいて前記受電手段が前記給電装
置に対向するようにカウンターウエイトを駆動する。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本発明に係
る実施例について説明する。

【００１０】図１は、本実施例に係るエレベーターの斜
視図である。

【００１１】乗りかご１は、かご下にプーリ２を有して
いる。一端が昇降路頂部に固定されたロープ３は、プー
リ２の下側を介して頂部プーリ４に掛かっている。更
に、ロープ３は、カウンターウエイト５の上部に設けら
れたプーリ６を懸垂し、その他端は昇降路頂部に固定さ
れている。このように、乗りかご１とカウンターウエイ
ト５は、つるべ状に吊られ、それぞれ２：１ローピング
で吊られている。

【００１２】乗りかご１は、昇降路の上下に亘って敷設
されたかごレール７，乗りかご１のかごレール側に設け
られたガイドシュー又はガイドローラ（図示せず）によ
り上下方向に移動自在にガイドされている。カウンター
ウエイト５も同様に、昇降路の上下に亘って敷設された
カウンターウエイトのガイドレール８及びカウンターウ
エイトのガイドレール側に設けられたローラ９によって
上下方向に移動自在にガイドされている。

【００１３】また、カウンターウエイト５には、カウン
ターウエイト５を上下に駆動する回転式モータ１０，モ
ータ１０を制御する制御盤１１、及び制動装置１２が搭
載され、ローラ９の一つは、モータ１０に接続されてい
る。更に、昇降路には、カウンターウエイト５の制御盤
１１に電力を供給する給電システム１３が設けられてい
る。この給電システム１３は、乗りかごが基準階（本実
施例では、最下階）で停止している場合のカウンターウ
エイト５の位置に対向する位置に設けられ、乗りかご１
が基準階に停止した時に、前記制御盤１１に給電できる
ようになっている。

【００１４】また、ガイドレール８に接触するローラ９
の一つは、モータ１０に接続され、このローラ１０が回
転することによりカウンターウエイト５を上下に移動
し、このカウンターウエイト５の移動に伴い、乗りかご
１が上下に移動する。また、制動装置１２は、乗りかご
１が停止階に停止した際などに、ガイドレール８を狭圧
して、カウンターウエイト５を停止せしめるものであ
る。

【００１５】図２は、本実施例の電気系構成図である。

【００１６】給電システム１３は、建屋電源１４に接続
され、制御盤１１はモータ１０と接続されている。

【００１７】制御盤１１は、モータ１０に三相交流電力
を供給（直流を交流に変換する）し駆動するインバータ
１１１、このインバータをコントロールするモータ制御
部１１２、駆動用電力を貯えるバッテリ１１４、インバ
ータ１１１からの回生電力、および受電システム１３か
らの電力をバッテリ１１４に充電する受電装置１１３，
バッテリ１１４の出力電力をモータ駆動用電圧に昇圧す
る昇圧装置１１５，エレベーターの運行を制御し、モー
タ制御部１１２にモータ駆動指令を与えるエレベーター
制御部１１６，給電システム１３と通信を行う通信装置
１１７から構成されている。

【００１８】受電装置１１３はトランス１１３１を有し
ている。給電システム１３は、給電が必要でかつ可能な
時に、建屋電源１４から受けた電力を、トランス１３１
１を介して受電装置１１３に供給する給電装置１３１，
制御盤１１と通信を行う通信装置１３２から構成され
る。

【００１９】このような構成により、通常時はバッテリ
１１４による電力を得て、モータ１０を駆動しエレベー
ターとしての動作を行える。給電時は、給電側トランス
１３１１と受電側トランス１１３１が精度良く向かい合
わないと効率よく給電できない。

【００２０】図３は、給電装置１３１と受電装置１１３
の断面の概略図である。

【００２１】受電装置１１３に受電トランス１１３１と
位置センサ１１３２を組み込み、給電装置１３１には、
給電トランス１３１１と位置センサ用基準プレート１３
１２を組み込んでいる。給電トランス１３１１は、コイ
ル１３１Ａ，コア１３１Ｂ，受電トランス１１３１はコ
イル１１３Ａ，コア１１３Ｂから構成される。位置セン
サ１１３２は、受電トランス１１３１と給電トランス１
３１１が正対した時に、基準位置を検出できるように設
定している。これにより、基準位置からのずれを検出
し、受電トランス１１３１と給電トランス１３１１が正
対するようにモータ１０を駆動し、カウンターウエイト
を制御する。

【００２２】位置センサは周知の光式，磁気式など各種
方式があるので、ここではその詳細の説明は省く。

【００２３】図４は、本実施例に係るエレベーターの運
転・給電のフローを示す図である。その給電を含んだエ
レベーター運行制御の大まかなフローを示す。

【００２４】かご呼びがあるか否かを判定し、かご呼び
が無い場合に給電階運転を行う。給電階運転とは、給電
装置と受電装置が一致する階床である給電階への移動の
ための運転である。給電階に停止すると、給電装置と受
電装置の位置が一致しなければ、一致させるべくカウン
ターウエイトを動かし、給電装置と受電装置の位置決め
を行う。一致すれば、給電操作に入る。給電時は、かご
呼びがあるか、受電装置側のバッテリがフル充電するま
で行われる。

【００２５】以上のシーケンスにより、エレベーターと
しての機能を損なうこと無く、通常運転と給電が滞りな
く実施される。

【００２６】本実施例では、乗りかごの停止位置とカウ
ンターウエイトの停止位置のずれを測定できるので、こ
の結果を利用してロープ伸びを推定し、ロープ調整の必
要の有無をエレベーター管理者，保守業者に発報するこ
ともできる。

【００２７】上記実施例によれば、位置センサを設け、
受電トランスと給電トランスが対向するように制御でき
るので、ロープ伸びがあったとしても、カウンターウエ
イトを精度よく給電位置に停止させ、カウンターウエイ
ト側に電力を確実に給電することができる。

【００２８】以上の実施例では、給電装置と受電装置の
位置決めをカウンターウエイト自体の上下動で行った
が、受電装置もしくは給電装置のみを上下動させて位置
決めすることも可能である。この場合、可動部が小さく
なるので、可動に要する電力が小さくて済むという効果
がある。

【００２９】本実施例では、回生電力をバッテリ１１４
に返す構成としているので、エレベーターが上下に移動
すれば、上下のどちらかの移動では回生モードとなるの
で、バッテリの放電は小さくて済むので、給電時間が長
く取れなくても、実用上は問題無い。

【００３０】また、連続して同一方向への乗客が多くな
る、例えば事務所ビルの出勤時，退勤時などは、常に力
行の場合も有り得る。しかしながら、このような場合
は、あらかじめ最大電力量を考慮したバッテリ容量とす
るか、給電装置を複数階床に複数台用意して、実効的な
給電時間を増やすなど、用途に見合った構成とすれば良
い。

【００３１】上記実施例では、位置センサを別途設けた
が、トランス自体の特性を用いて位置を検出することも
可能である。以下にその例を説明する。

【００３２】図５は、他の実施例に係る給電装置１３１
と受電装置１１３の断面と、トランスに一定周波数，一
定振幅の電圧を加えた場合の自己インダクタンスＬを、
位置ずれｘに対してプロットしたグラフを示す。

【００３３】トランスが位置ずれすると、主磁束が減少
するため自己インダクタンスＬが低下する。従って、自
己インダクタンスＬが最大となる位置がトランスが正対
した状態となり、位置検出可能となる。具体的には、電
圧と電流の位相差を測定すればよい。

【００３４】このような方法によれば、位置センサを新
たに設けることも無いので構成が簡単になり安価にでき
るという効果がある。

【００３５】図６は、他の実施例に係る給電装置１３１
と受電装置１１３の断面図である。本実施例において、
給電装置側の給電トランス１３１１のギャップ側コア長
を長くして、受電装置側の受電トランス１１３１のギャ
ップ側コア長に最大ロープ伸び長さＬを加えた長さに概
略等しくした。これにより、ロープ伸びにより受電トラ
ンス１１３１が下がった場合でも、給電トランス１３１
１と外れること無く、設計通の伝達特性を得られる。こ
こで、最大ロープ伸び長さＬとは、ロープ長さ調整を行
う保守間隔において、ロープが伸びると想定される最大
の長さである。本実施例では、給電側トランスに無駄な
コア部があるので若干特性は低下するが、ロープ伸びに
対して安定した特性とできるという効果と、先の実施例
のようにセンサやカウンターウエイト側の位置決め制御
を行わなくても良く、システムが簡単になるという効果
がある。

【００３６】本実施例では、図から分かるように、トラ
ンスのコアはエレベーターの移動方向の垂直方向には一
様の形状であり、位置ずれにより磁気的な特性が変わら
ないようにしている。言い換えれば、Ｃ型やＥ型形状な
どのコアを用いる場合は、溝が垂直になるように配置す
ることが肝要である。

【００３７】これは先のカウンターウエイトの位置決め
を行う場合でも、同様な配置とすることが位置ずれの影
響が少ないため得策である。

【００３８】図７は、他の実施例に係るエレベーターの
上面図を示す。

【００３９】カウンターウエイト５に設けたモータ制御
装置１１は、昇降路内の塵埃から内部の機器を保護する
ため、例えばケース内に納められている。このケースに
は昇降路の壁とは反対側に取り外しまたは開閉可能な点
検扉５０が設けられており、この点検扉５０には開扉時
はスイッチが動作しエレベーターの運転が停止するよう
に安全装置５１が設けられている。

【００４０】図８は、図７に示したエレベーターの正面
図である。

【００４１】乗りかご１の上部には乗りかごの略平面内
にある程度の高さをもった手すり６０が設けてある。こ
の手すり６０は柱６１に横棒６２，６３が固定されて構
成されており、カウンターウエイト側の横棒６３は上方
向に回転可能に設けられている。

【００４２】このように構成されたエレベーターにおい
ては、カウンターウエイトに搭載した制御装置１１の点
検を行う場合には、昇降路の最下部であるピット、また
は、乗りかご１の天井部に乗り込み、カウンターウエイ
ト５を適切な位置にくるようにエレベーターを昇降させ
てから停止して行う。この際、カウンターウエイト５に
搭載されている制御装置１１を点検するには昇降路の非
壁側に設けた点検扉５０を開けて行う。また、乗りかご
１の天井部に乗り込み作業を行う場合には、カウンター
ウエイトを適切な位置まで昇降させる間、乗りかご１上
に設けた手すり６０により、作業員の転落防止を図るこ
とができる。制御装置１１を点検する際には、カウンタ
ーウエイト５側の手すり６０の横棒６３を点検作業に邪
魔にならない位置へ移動させてから無理なく行うことが
できる。

【００４３】この点検扉５０は、乗りかご１側に突出し
てくるため、点検扉５０が開扉している時は安全装置５
１が作動しエレベーターが昇降しないようになってお
り、点検扉が開いたままエレベーターが走行しないよう
になっている。

【００４４】以上の構成であれば、カウンターウエイト
に点検すべき制御装置等があっても、安全に点検するこ
とができる。

【００４５】

【発明の効果】本発明によれば、ロープ伸びがあって
も、確実に給電を行うことができる。また、非接触でカ
ウンターウエイト側に給電しているので、機械的部品の
信頼性が損なわれるといった不具合が生じない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例に係るエレベーターの斜視図。

【図２】本実施例の電気系構成図。

【図３】給電装置１３１と受電装置１１３の断面の概略
図。

【図４】本実施例に係るエレベーターの運転・給電のフ
ローを示す図。

【図５】他の実施例に係る給電装置１３１と受電装置１
１３の断面と、トランスの特性を示した図。

【図６】他の実施例に係る給電装置１３１と受電装置１
１３の断面図。

【図７】他の実施例に係るエレベーターの上面図。

【図８】本図７に示したエレベーターの正面図。

【記号の説明】

１…かご、５…カウンターウエイト、９…ローラ、１０
…モータ、１１…制御盤、１３…給電システム、１１３
…受電装置、１１３２…位置センサ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲葉 博美 茨城県日立市大みか町七丁目１番１号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 田所 俊之 東京都千代田区神田錦町一丁目６番地 株式会社 日立ビルシステム内 (56)参考文献 特開 平１−271381（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−191771（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−127387（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−121568（ＪＰ，Ａ) 実開 平４−84261（ＪＰ，Ｕ) 実開 平３−125775（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B66B 1/34

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】乗りかごとカウンターウエイトをつるべ状
   に吊ったエレベーターにおいて、 前記カウンターウエイトに、昇降路に設けた電力供給手
   段から電力を非接触で受電する受電手段、この受電され
   た電力を交流に変換するインバータ、及びこのインバー
   タの交流側に接続され前記カウンターウエイトを上下に
   駆動するモータを搭載し、前記電力供給手段と前記受電
   手段の位置を検出する検出手段と、かご呼びがあるか否
   かを判定する手段と、この手段でかご呼びがないと判定
   されたときに、前記検出手段で検出された位置に基づい
   て前記電力供給手段と前記受電手段の位置偏差がなくな
   るように前記インバータを制御する手段を備えたエレベ
   ーター。
2. 【請求項２】請求項１において、 前記カウンターウエイト上に、前記インバータを制御す
   る制御盤を備え、前記制御盤は昇降路の反壁面側に点検
   扉を設けたエレベーター。
3. 【請求項３】請求項２において、 前記点検扉の開動作に応動して前記カウンターウエイト
   を停止させる手段を備えたエレベーター。