JP3477848B2 - ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムと塩化ビニル樹脂とからなるゴム組成物 - Google Patents
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムと塩化ビニル樹脂とからなるゴム組成物Info
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Description
重合体ゴムと塩化ビニル樹脂とを含んでなるゴム組成物
に関する。さらに詳しくは、アルキルチオ基を有する不
飽和ニトリル−共役ジエン共重合体を水素化してなるニ
トリル基含有高飽和共重合体ゴムと、塩化ビニル樹脂と
を含んでなるゴム組成物、ならびに該ゴム組成物にさら
に加硫剤を含有せしめてなる加硫性ゴム組成物に関す
る。本発明のニトリル基含有高飽和共重合体ゴム組成物
は、従来のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムと塩化ビ
ニル樹脂とからなるゴム組成物と比較して、高速加硫性
に優れ、その加硫物は良好な機械的強度および耐圧縮永
久歪性を有する。
れたゴム材料として、水素化アクリロニトリル−ブタジ
エン共重合体ゴムによって代表されるニトリル基含有高
飽和共重合体ゴムが注目され、数多くのニトリル基含有
高飽和共重合体ゴムが提案されている。例えば、特開昭
54−132647号にはアクリロニトリル−共役ジエ
ン共重合体の共役ジエン部分を水素化してなる共重合体
ゴムであって、特に耐候・オゾン性および耐ガソリン
(油)性に優れた水素化アクリロニトリル−共役ジエン
共重合体ゴムが記載されている。
リン性を高める目的で、ニトリル基含有高飽和共重合体
ゴムに塩化ビニル樹脂を配合してなるゴム組成物が提案
されている(特開昭57−70135号)。しかしなが
ら、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムは不飽和度が低
いために、硫黄加硫剤による加硫が困難であり、ひいて
は、該ゴムに塩化ビニル樹脂を配合してなる上記ゴム組
成物の加硫物は機械的強度が低く、圧縮永久歪が大きい
という問題点がある。
合体ゴムの射出成型には流動特性とともに、高温かつ短
時間の加硫によって高い架橋効率が得られること、すな
わち、高速加硫性が要求される。しかしながら、一般
に、ゴムの加硫は、加硫温度が高くなると加硫状態があ
まくなる傾向にあり、そのために射出成型品は圧縮成型
品と比べて引張応力や反発弾性が劣るとされている(例
えば、日本ゴム協会誌第59巻第4号第214〜215
頁1986年)。このような傾向は水素化アクリロニト
リル−共役ジエン共重合体ゴムについても顕著にみられ
る。
合体ゴムの高速加硫性を改善するために種々の加硫促進
剤を配合することが提案されている。例えば、加硫促進
剤として、ジチオカルバミン酸テルル化合物(特開平6
−9822号)、チウラム促進剤とジおよび/またはト
リカルボン酸の部分エステル塩(特開平4−26414
5号)、またはチウラム促進剤とN−トリクロロメチル
スルフェニルベンゼンスルファニリド(特開平2−24
8442号)などを配合することが提案されている。し
かしながら、このような従来提案された方法では、水素
化アクリロニトリル−共役ジエン共重合体ゴムの高速加
硫性が十分に達成されず、加えて、加硫物の物性が損な
われる場合がある。
化アクリロニトリル−共役ジエン共重合体ゴム/塩化ビ
ニル樹脂組成物の射出成型においては、いわゆる金型汚
染が顕著である。すなわち、射出成型において繰り返し
て使用する金型に次第に汚染物質が付着堆積し、その結
果成形品自体まで汚染され、表面状態の優れた成形品が
得られなくなる。そのため一定の周期で金型の清掃を行
なわねばならず、この清掃には多大の時間と経費がかか
り、生産性を低下させる大きな原因となっている。この
ような金型汚染を防止するためにタルク、チオ硫酸ナト
リウム、カーボンワックスあるいはシリコンオイルなど
を配合する方法が知られているが、特に射出成型のよう
な高温高速加硫の場合には、ほとんど効果が見られない
ことが多い。
み、本発明の目的は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴ
ムと塩化ビニル樹脂とからなるゴム組成物が一般に有す
る良好な耐候性、耐油性、耐熱性および耐酸敗ガソリン
性を維持したうえ、特に射出成型用途において望まれて
いる高速加硫適性に優れ、良好な機械的強度および耐圧
縮永久歪性を有し、且つ金型汚染性の問題を生じない加
硫物を与えるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムと塩化
ビニル樹脂とからなるゴム組成物を提供することにあ
る。
トリル−共役ジエン共重合体の共役ジエン部分を水素化
してなるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムであって、
少なくとも3個の第3級炭素原子およびその中の少なく
とも1個の第3級炭素原子に直接結合した硫黄原子を有
する炭素数12〜16のアルキルチオ基を分子内に有
し、ムーニー粘度が15〜200であり、ヨウ素価が8
0以下であるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムと、塩
化ビニル樹脂とを含んでなるゴム組成物によって達成さ
れる。
重合体ゴムは、少くとも3個の第3級炭素原子およびそ
の中の少くとも1個の第3級炭素原子に直接結合した硫
黄原子を有する炭素数12〜16のアルキルチオ基を分
子内に有する不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体の共
役ジエン部分を水素化してなるものであって、ムーニー
粘度が15〜200、好ましくは30〜100、ヨウ素
価が80以下、好ましくは40以下である。ムーニー粘
度が15未満では、強度の低い成型体しか得られず、好
ましくない。200を超えた場合は粘度が増大し、成型
が困難となる。ヨウ素価の下限は少くとも1である。ヨ
ウ素価が過度に低いと硫黄加硫が困難となる。
合体ゴムの製造に用いる不飽和ニトリル−共役ジエン共
重合体は、好ましくは数平均分子量35,000以下の
成分を3〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%
含有する。数平均分子量35,000以下の成分の含有
量が過度に高いと機械的強度が低下する。また、過度に
低い場合は加工性が不良となる。数平均分子量35,0
00以下の成分を適当量含有せしめることによって良好
な機械的強度を維持したまま加工性を改善することがで
きる。また、上記不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体
の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との
比(Mw/Mn)は、通常2.3〜5.5、好ましくは
2.7〜4である。Mw/Mnが過度に大きいと、たと
え数平均分子量35,000以下の成分が適量含有され
ていても加工性が不良である。
有量は10〜60重量%であり、特に20〜50重量%
が好ましい。また、不飽和ニトリルの組成分布幅(△A
N)は通常は35以下、好ましくは3〜20であり、よ
り好ましくは5〜15である。△ANが過度に大きい場
合は耐油性と耐寒性とのバランスが不良となる。
エン共重合体は実質的にハロゲンを含有していないこと
が好ましい。ここで「実質的にハロゲンを含有していな
い」とは共重合体中のハロゲン含有量が約3ppm以下
であることを意味する。実質的にハロゲンを含有してい
ないことは、共重合体の加硫成型品をシール材などのよ
うに金属と接触して用いた時に金属腐食の問題を回避す
るために重要である。
ロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロ
ニトリルなどが挙げられる。共役ジエンの具体例として
は、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエ
ン、イソプレン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられ
る。
われない範囲で、これらの単量体以外に全単量体の一部
を必要に応じて他の共重合可能な単量体で置き換えるこ
とも可能である。他の共重合可能な単量体としては、ス
チレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどのビ
ニル系単量体;ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジ
エン、1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエン系単量
体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピ
ルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチル
アクリレート、イソブチルアクリレート、n−ぺンチル
アクリレート、イソノニルアクリレート、n−ヘキシル
アクリレート、2−メチル−ぺンチルアクリレート、n
−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレ
ート、n−ドテシルアクリレート、メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレートなどの炭素数1〜18程度の
アルキル基を有するアクリレートおよびメタクリレー
ト;メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアク
リレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチ
ルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート、メト
キシエトキシアクリレート、エトキシブトキシアクリレ
ートなどの全炭素数2〜12程度のアルコキシアルキル
基を有するアクリレート;αおよびβ−シアノエチルア
クリレート、α,βおよびγ−シアノプロピルアクリレ
ート、シアノブチルアクリレート、シアノヘキシルアク
リレート、シアノオクチルアクリレートなどの炭素数2
〜12程度のシアノアルキル基を有するアクリレート;
2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピ
ルアクリレートなどのヒドロキシアルキル基を有するア
クリレート;マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジメチ
ル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジ
−n−ブチル、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル、イタ
コン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジ−
n−ブチル、イタコン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの
不飽和ジカルボン酸モノおよびジアルキルエステル;さ
らにジメチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミ
ノエチルアクリレート、3−(ジエチルアミノ)−2−
ヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ビス(ジフ
ルオロアミノ)プロピルアクリレートなどの不飽和カル
ボン酸エステル系単量体;トリフルオロエチルアクリレ
ート、テトラフルオロプロピルアクリレート、ペンタフ
ルオロプロピルアクリラート、ヘプタルオロブチルアク
リレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、ノナ
フルオロペンチルアクリレート、ウンデカフルオロヘキ
シルアクリレート、ペンタデカフルオロオクチルアクリ
レート、ヘプタデカフルオロノニルアクリレート、ヘプ
タデカフルオロデシルアクリレート、ノナデカフルオロ
デシルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレー
ト、テトラフルオロプロピルメタクリレート、オクタフ
ルオロペンチルメタクリレート、ドデカフルオロヘプチ
ルメタクリレート、ペンタデカフルオロオクチルアクリ
レート、ヘキサデカフルオロノニルメタクリレートなど
のフルオロアルキル基を有するアクリレートおよびメタ
クリレート;フルオロベンジルアクリレート、フルオロ
ベンジルメタクリレート、ジフルオロベンジルメタクリ
レートなどのフッ素置換ベンジルアクリレートおよびメ
タクリレート;フルオロエチルビニルエーテル、フルオ
ロプロピルビニルエーテル、トリフルオロメチルビニル
エーテル、トリフルオロエチルビニルエーテル、パーフ
ルオロプロピルビニルエーテル、パーフルオロヘキシル
ビニルエーテルなどのフルオロアルキルビニルエーテ
ル、o−またはp−トリフルオロメチルスチレン、ペン
タフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テト
ラフルオロエチレンなどのフッ素含有ビニル系単量体;
さらに、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレー
ト、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、
エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アク
リレートなどが挙げられる。これらの単量体の使用量は
格別限定されないが、通常、全単量体中に80重量%以
下の範囲で使用され、特に耐油性が要求される用途にお
いては通常10重量%以下の範囲で使用される。
体、さらに必要に応じてこれとフッ素含有ビニル系単量
体とを組合せて不飽和ニトリルおよび共役ジエンと共重
合することによって、本願発明のニトリル基含有高飽和
共重合体ゴムの耐オゾン性、耐熱性などを損なうことな
く耐寒性を改善することができる。なかでも、不飽和ジ
カルボン酸ジアルキルエステルが好適である。不飽和カ
ルボン酸エステル系単量体またはフッ素含有ビニル系単
量体の使用量は、全単量体中に1〜80重量%、好まし
くは、15〜60重量%、さらに好ましくは20〜40
重量%の範囲で使用することができる。
ゴムの中でも結合アクリロニトリル含量10〜60重量
%、好ましくは20〜50重量%のアクリロニトリル−
ブタジエン共重合体ゴム(以下、NBRと記す)が好適
であって、低ニトリル量ないし極高ニトリル量の範囲の
通常市販されているものが使用でき、要求性能に応じて
最適の結合アクリロニトリル含量のNBRが選択され
る。
エン共重合体が分子中に有する、少くとも3個の第3級
炭素原子およびその中の少くとも1個の第3級炭素原子
に直接結合した硫黄原子を有する炭素数12〜16のア
ルキルチオ基としては、1,1−ジ(2,2−ジメチル
プロピル)−1−エチルチオ基および1,1−ジ(2,
2−ジメチルプロピル)−1−(2,2,4,4−テト
ラメチルペンチル)−1−エチルチオ基が挙げられ、こ
れらは単独でまたは両者が組合されて1分子中に含まれ
得る。中でも、1,1−ジ(2,2−ジメチルプロピ
ル)−1−エチルチオ基が特に好ましい。
エン共重合体の分子内には、分子を構成する単量体単位
100モル当り、上記のアルキルチオ基が0.03モル
以上、好ましくは0.07モル以上、さらに好ましくは
0.09モル以上存在する。また、該アルキルチオ基の
量は、通常0.3モル以下である。上記アルキルチオ基
の量が過度に低い場合は、射出成型のような高温短時間
の加硫において高い架橋効率が得られず、そのために成
型体の引張応力や反発弾性が改良されず目的とする高速
加硫が達成されない。また、該アルキルチオ基の量が高
くなるにつれてスコーチ時間(T5 )の短縮が顕著とな
り、さらに、金型汚染性も大幅に改良されることから、
生産性の高い射出成型が可能となる。特に0.09モル
以上の場合は架橋効率が大巾に改善され、オシレーティ
ング・デイスクレオメータを用いて測定した加硫曲線に
おける最大トルクが飛躍的に増大する。
エン共重合体は、分子量調整剤として、少くとも3個の
第3級炭素原子およびその中の少くとも1個の第3級炭
素原子に直接結合したチオール基を有する炭素数12〜
16のアルキルチオール化合物を使用して、ラジカル開
始剤の存在下に乳化重合によって、不飽和ニトリルと共
役ジエンとの共重合体ラテックスを調製し、これを凝固
することにより製造される。
されるものではないが、通常は有機過酸化物、レドック
ス重合開始剤系、アゾ系化合物、過硫酸塩などが用いら
れる。これら重合開始剤の使用量は通常は単量体100
重量部当り0.005〜3重量部である。また、重合温
度は0〜100℃の範囲が好ましい。
造する際に分子量調整剤として使用するアルキルチオー
ル化合物の具体例としては、2,2′,4,6,6′−
ペンタメチルヘプタン−4−チオールおよび2,2′,
4,6,6′,8,8′−ヘプタメチルノナン−4−チ
オールが挙げられる。なかでも、2,2′,4,6,
6′−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが特に好ま
しく、該チオール化合物を使用して製造した不飽和ニト
リル−共役ジエン共重合体を水素化したニトリル基含有
高飽和共重合体ゴムは高速加硫性が極めて良好である。
造する際に、分子量調整剤として使用する該アルキルチ
オール化合物は、それぞれ単独であるいは組合せて使用
することができる。また、必要に応じて、従来、ラジカ
ル重合において分子量調整剤として知られている他の化
合物と併用することも可能である。この場合、該アルキ
ルチオール化合物は使用する分子量調整剤全重量の少く
とも50重量%以上、好ましくは80重量%以上、さら
に好ましくは95重量%以上含有されるべきである。
知られている他の化合物としては、2,4,4−トリメ
チルペンタン−2−チオール、ドデカン−12−チオー
ル、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−4−メタ
ンチオール、2,4,6−トリメチルノナン−4−チオ
ールなどのアルキルチオール化合物類;ジメチルキサン
トゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィ
ド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドなどのキ
サントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジス
ルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラ
ブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィ
ド類;四塩化炭素、臭化エチレンなどのハロゲン化炭化
水素類;ペンタフェニルエタンなどの炭化水素類;およ
びアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、
2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレ
ン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、α
−メチルスチレンダイマー(2−4−ジフェニル−4−
メチル−1−ペンテンが50重量%以上のものが好まし
い)、2,5−ジヒドロフラン、3,6−ジヒドロ−2
H−ピン、フタラン、1,2−ブタジエン、1,4−ヘ
キサジエンなどを挙げることができる。
剤の使用量は、通常、共重合に供される単量体混合物1
00重量部に対し、0.05〜3重量部、好ましくは
0.1〜1重量部であり、この範囲の使用量が、得られ
る共重合体の分子量を調節するうえで有利である。分子
量調整剤は、重合途中で分割添加することによって、M
n35,000未満の低分子量成分を3〜20重量%含
む重合体を得ることができ、この重合体は良好な加工性
を有する。一般に、分子量調整剤の全使用量の10〜9
5重量%を重合前の単量体混合物中に含有せしめ、さら
に重合転化率が20〜70重量%に達した時点で分子量
調整剤の残量を重合系に添加することが好ましい。添加
の回数は必要に応じて適宜決められる。
程で分割添加する方法に依らずに、上記分子量調整剤を
用いて別途製造した分子量の異なる2種以上の共重合体
を混合して調整することもできる。
エン共重合体の製造に際して、かかる特定のアルキルチ
オール化合物を分子量調整剤として使用することによ
り、ラジカル重合の重合転化率を75%以上、好ましく
は80%以上の高転化率とすることができ、その結果、
高い生産性で該ニトリル系ゴムを製造することができ
る。
いては、重合転化率が増大するほど分岐反応あるいはゲ
ル化反応が増加する。その結果、得られたニトリル系ゴ
ムを加硫剤によって加硫した場合には高い架橋効率を得
ることができず、引張り応力や反発弾性などの加硫物性
が低下する。従来、ニトリル系ゴムのラジカル重合にお
いて汎用の分子量調整剤として使用されているt−ドデ
シルメルカプタンは、炭素数9〜16を有するアルキル
チオール化合物の異性体の混合物であり、このような異
性体の混合物を分子量調整剤として使用して得られたニ
トリル系ゴムは、射出成型などの高温短時間の加硫に際
して、充分な高速加硫性が得られない。
トリル−共役ジエン共重合体の製造方法によれば、重合
転化率を80%以上という高い値に設定しても、たとえ
ば、オシレーティング・ディスク・レオメータを用いて
測定した加硫曲線における最大トルクが高い値を示すな
ど、高速加硫性に優れたニトリル系ゴムを得ることがで
きる。
て仕込むことができるが、別法として、全単量体使用量
の30〜90重量%の存在下に重合を開始し、さらに重
合転化率が20〜70%に達した時点で単量体の残量を
重合系に添加する方法を採ることができる。この単量体
分割添加法により得られる不飽和ニトリル−共役ジエン
共重合体のゴム組成物は、良好でバランスのとれた耐油
性と耐寒性とを有するという特徴をもっている。
とする結合不飽和ニトリル量および不飽和ニトリルの組
成分布幅(△AN)に応じて適宜選択される。例えば、
結合不飽和ニトリル量が37%未満の場合は一般に不飽
和ニトリルを重合途中で添加し、また、結合ニトリル量
が37%以上の場合は一般に共役ジエンを重合途中で添
加する。添加の回数は必要に応じて適宜決められる。不
飽和ニトリル−共役ジエン共重合体ラテックスを乳化重
合によって調製する際には、乳化剤としてカルボン酸系
乳化剤を使用すると得られた共重合体は、射出成型など
の高温短時間加硫において金型汚染性の問題がさらに改
善される。
肪酸石けんあるいはロジン酸石けんなどが例示される。
具体的には、脂肪酸石けんは炭素数12〜18個の長鎖
状脂肪族カルボン酸、例えば、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などおよ
びこれらの混合脂肪族カルボン酸のナトリウム塩または
カリウム塩から選択される。また、ロジン酸石けんはガ
ムロジン、ウッドロジンまたはトール油ロジンなどの天
然ロジンを不均化または水添したもののナトリウム塩ま
たはカリウム塩から選択される。これらの天然ロジンは
アビエチン酸、レボピマル酸、パラストリン酸、デヒド
ロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸およびネオ
アビエチン酸などを主成分としている。乳化剤の使用量
は特に制限されないが、通常は、単量体100重量部当
り、0.05〜10重量部、好ましくは0.5〜3重量
部である。
合のプロセスにおいて、所定の転化率に達した時にヒド
ロキシルアミン、カルバミン酸ナトリウムなどを加えて
重合を停止する。次いで、生成した共重合体ラテックス
から残存単量体を加熱、水蒸気蒸留などによって除去す
る。
を凝固する方法は、格別限定されることはなく、無機凝
固剤、高分子凝集剤または乾熱凝固剤などの通常の乳化
重合で使用される凝固剤を加えて凝固させることができ
る。しかしながら、本発明で使用する好ましい不飽和ニ
トリル−共役ジエン共重合体を製造するには、上記のよ
うに調製した共重合体ラテックスにノニオン界面活性剤
を添加し、次いで、該共重合体ラテックスを、金属塩が
溶解されている凝固浴中に入れ、加熱して凝固させる。
このような好ましいラテックス凝固法を採ることによっ
て、適度の大きさと多孔性を有し、乾燥性のよいクラム
を容易に製造することができ、また、ノニオン界面活性
剤の添加により、金属塩の使用量を低減することができ
る。
て、ラテックスに添加されるノニオン界面活性剤の具体
例としては、アルキルフェノールホルマリン縮合物のア
ルキレンオキシド付加物(例えば、オキシエチレン−オ
キシプロピレン共付加物)、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテ
ル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン
オキシプロピレンブロックポリマー、アルキルスルフィ
ニルアルコール、脂肪酸モノグリセリドなどが挙げられ
る。これらのノニオン界面活性剤は単独で用いても、ま
たは2種以上を組合せ用いてもよく、凝固条件によっ
て、適宜選択される。
フェノールホルマリン縮合物のオキシエチレン−オキシ
プロピレン共付加物が好ましい。この共付加物は良好な
感熱ゲル効果を示す。共付加物の曇点は10〜100℃
範囲が好ましく、20〜70℃の範囲がより好ましい。
曇点が低過ぎると取扱性が悪く、他方、高過ぎると感熱
ゲル効果を得ることが困難となる。ノニオン界面活性剤
の添加量は、重合体100重量部に対し、0.01〜5
重量部が好ましく、0.05〜2重量部がより好まし
い。添加量が過小であると上記の添加効果が認められ
ず、他方、5重量部を超える添加量でも効果は実質的に
変らない。
通常、塩化カルシウム、塩化ナトリウムのほか硫酸金属
塩が用いられる。特に、ハロゲンを含まない硫酸金属塩
を使用すれば、金属腐食の問題を生じないニトリル基含
有高飽和共重合体ゴムを得ることができる。硫酸金属塩
の具体例としては硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウ
ム、硫酸ナトリウムなどが挙げられ、中でも硫酸アルミ
ニウムおよび硫酸マグネシウムが好ましい。
し0.5〜50重量部が好ましく、1〜30重量部がよ
り好ましい。金属塩の量が0.5重量部未満では凝固浴
中での凝固が不十分となったり、クラムが肥大化する。
他方、50重量部を超えると凝固速度が金属塩に支配さ
れ、クラムは多孔性に乏しくなる。
ン界面活性剤の曇点以上に加熱することによって系中の
重合体が凝固折出する。ノニオン界面活性剤の曇点は1
0〜100℃の範囲が好ましく、曇点が低過ぎると曇点
未満に保持するのに冷却が必要となり、逆に高過ぎると
凝固せしめるのに高温加熱が必要となる。凝固した重合
体は回収し、水洗、乾燥し、次いで、得られた不飽和ニ
トリル−共役ジエン共重合体を水素化して、目的とする
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを得る。
素化する方法はとくに限定されるものではなく、常法に
従って水素化することができる。水素化に際し使用され
る触媒としては、例えば、パラジウム/シリカおよびパ
ラジウム錯体(特開平3−252405号)などが挙げ
られる。さらに、特開昭62−125858号、特開昭
62−42937号、特開平1−45402号、特開平
1−45403号、特開平1−45404号、特開平1
−45405号などに記載されているようなロジウムま
たはルテニウム化合物を使用することもできる。触媒の
使用量はとくに限定されないが、通常は、共重合体重量
に基づき5〜10,000ppmである。
別限定されるものではないが、通常平均重合度600〜
2,000のものが使用される。ニトリル基含有高飽和
共重合体ゴムとポリ塩化ビニル樹脂との混合比は、通
常、不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体95〜50重
量部、好ましくは80〜60重量部に対しポリ塩化ビニ
ル樹脂5〜50重量部、好ましくは20〜40重量部で
ある。特に、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の
水素化物約70重量部とポリ塩化ビニル樹脂約30重量
部との混合物が最適である。
塩化ビニル樹脂とをブレンドする方法はとくに限定され
ないが、通常は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムと
ポリ塩化ビニル樹脂粉末とをバンバリーミキサーなどを
用い高温で混合するドライブレンド法、またはニトリル
基含有高飽和共重合体ゴムとポリ塩化ビニル樹脂とをラ
テックス状態で混合して凝固乾燥した後押出し機やバン
バリーミキサーなどを用いて熱処理するラテックス共沈
法などが採られる。
飽和共重合体ゴムに対する加硫剤として硫黄系加硫剤を
配合することによって優れた高速加硫性を有する加硫性
ゴム組成物を得ることができる。使用する硫黄系加硫剤
としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫
黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの硫黄;塩化硫黄、
二塩化硫黄、モルホリン・ジスルフィド、アルキルフェ
ノール・ジスルフィド、N,N′−ジチオービス(ヘキ
サヒドロ−2H−アゼピノン−2)、含りんポリスルフ
ィド、高分子多硫化物などの硫黄化合物;さらに、テト
ラメチルチウラムジスルフィルド、ジメチルジチオカル
バミン酸セレン、2−(4′−モルホリノジチオ)ベン
ゾチアゾールなどの硫黄を含む加硫促進剤を挙げること
ができる。
亜鉛華、ステアリン酸などの加硫促進剤;グアニジン
系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア
系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、
ザンテート系などの他の加硫促進剤を使用することがで
きる。硫黄系加硫促進剤の使用量は特に限定されない
が、通常、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム100重
量部当り、0.10〜10重量部、好ましくは0.1〜
5重量部である。
含まない場合は、高温短時間加硫において良好な高速加
硫性を達成することができない。ただし、例えば、有機
過酸化物系加硫剤のような硫黄系加硫剤以外の他の加硫
剤を硫黄系加硫剤の他に適宜併用することは可能であ
る。
は、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒ
ドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−
ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−t−ブ
チルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−t−ブチ
ルペルオキシヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルペル
オキシイソプロピル)ベンゼン、p−クロロベンゾイル
ペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t
−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、t−ブ
チルベンゾエートなどが挙げられる。また、他の併用可
能な加硫剤としてはトルメチロールプロパントリメタク
リレート、ジビニルベンゼン、エチレンジメタクリレー
ト、トリアリルイソシアヌレートなどの多官能性化合物
が挙げられる。さらに、金属せっけん/硫黄系、トリア
ジン/ジチオカルバミン酸塩系、ポリカルボン酸/オニ
ウム塩系、ポリアミン系(ヘキサメチレンジアミン、ト
リエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバ
メート、エチレンジアミンカルバメート、トリエチレン
ジアミンなど)、安息香酸アンモニウム塩系などの加硫
剤も必要に応じて併用できる。
じて、ゴム分野において使用される通常の他の配合剤、
例えば、補強剤(各種カーボンブラック、シリカ、タル
クなど)、充填剤(炭酸カルシウム、クレーなど)、加
工助剤、プロセス油(含可塑剤)、酸化防止剤、オゾン
裂化防止剤などを配合することができる。
高飽和共重合体ゴムが、アクリル酸などのエチレン性不
飽和カルボン酸単量体を共重合したものである場合に
は、周期律表第II族の金属の酸化物を配合することによ
って、耐動的疲労性に優れたゴム材料を得ることができ
る。
チレン性不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタク
リル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸およびこれ
らのジカルボン酸のモノエステルなどが挙げられる。強
度および耐動的疲労性の点からエチレン性不飽和カルボ
ン酸単量体単位の含有量は0.1〜15重量%の範囲で
あり、0.1重量%未満では強度および耐動的疲労性は
改善されず、15重量%を越えると耐水性が低下する。
好ましくは0.5〜10重量%である。
酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化ス
トロンチウムなどが挙げられる。特に好ましい金属酸化
物は酸化亜鉛、酸化マグネシウムである。金属酸化物の
使用量は通常該ゴム100重量部当り(以下も同様)
0.5〜30重量部である。
じて、アクリルゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエ
ン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重
合ゴム(EPDM)、天然ゴム、ポリイソプレンゴムな
どの他のゴムを不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体に
組合せて使用することができる。本発明のゴム組成物の
製造方法は特に限定されないが、通常は、ロール、バン
バリーミキサーなどの通常の混合機により原料ゴムと加
硫系、その他の配合剤とを混練・混合することによって
該ゴム組成物を製造する。
はポリエステル織布、ナイロン織布、コード状のガラス
繊維、アラミド繊維、カーボン繊維、スチール繊維など
と複合化された後加硫工程を経て目的とするゴム製品と
される。
に説明する。なお、実施例、比較例及び参考例中の部及
び%は特に断りのないかぎり重量基準である。ゴム組成
物および原料成分の特性は以下のように測定した。 (1)高速加硫性評価試験 日本ゴム協会規格SRIS 3102 に従い、表1の配合処方に
よって調製した未加硫ゴム組成物約10グラムを用い
て、オシレーティング・ディスクレオメーターによっ
て、160℃におけるスコーチ時間(T5 )(単位:
分)および最大トルク(Vmax )(単位:kgf・cm)を
測定した。T5 の値は小さいほど加硫速度が速い。ま
た、Vmaxの値は大きいほど架橋効率が高い。
て調製した未加硫ゴム組成物を160℃×20分の条件
で加硫して得られた厚さ2mmのシートを、3号形ダンベ
ルを用いて打ち抜いて試験片を作成し、引張強さ(単
位:kgf/cm2)、100%引張り応力(単位:kgf/cm2)
および伸び(単位:%)を測定した。また、硬さはJI
Sスプリング式A形硬さ試験機を用いて測定した。さら
に、圧縮永久歪はJIS K6301に従って120℃にて22
時間保持した後測定した(単位:%)。
に従い、フューエルC(イソオクタン50容量%とトル
エン50容量%との混液)中にゴム試験片を浸漬し(4
0℃、48時間)、体積変化率(単位:%)を測定し
た。 (4)耐寒性試験については、JIS K6301 に従い、ゲー
マンねじり試験により評価した。ねじれ角が低温時(2
3℃)ねじれ角の10倍になる時の温度(T10)をもっ
て表示した(単位:℃)。温度が低いほど耐寒性がよい
ことを示す。
JIS K6301 に従い、フューエルCに40℃で168時間
浸漬した後、室温で1週間風乾した試験片を、オゾン濃
度40pphm、温度40℃にて20%伸長下に静的オ
ゾン試験を行った。12時間、48時間および72時間
放置した後、亀裂発生状況を観察した。観察の結果、亀
裂の発生が認められないものをNCで表示した。 (6)熱老化試験についてはJIS K6301 に従い、120
℃×72時間保持の後、引張強さ、伸びおよび硬さの変
化率(単位:±%)を測定した。
40℃でラウリルパーオキシドを1重量%添加したJI
S燃料油Bに短冊状の試験片を72時間浸漬し、試験液
を更新する。72時間毎に、この更新・浸漬を繰返し、
72時間の各サイクル毎に試験片を取出し、60℃、減
圧下に1週間乾燥した後、試験片を180℃折曲げ、そ
の際の亀裂の発生状況を観察した。2,4および8サイ
クル後の観察結果を表示した。亀裂発生の認められない
ものをNCで表示した。
共重合体中の窒素含量を測定し、計算により結合ニトリ
ル量を求めた(単位:%)。 (9)ムーニー粘度 日本工業規格JIS K6383 に従い、共重合体約40グラム
を用いて100℃にて測定した。
下の成分量 ゲルパーミエーション(溶媒:テトラヒドロフラン)に
より、水素化前の不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体
の標準ポリスチレンに換算した数平均分子量(Mn)お
よび重量平均分子量(Mw)を測定し、測定した分子量
分布全体の面積と数平均分子量Mn35,000以下の
成分の面積とを用いて該成分の重量%を求めた。
リルの組成分布幅(△AN) 不飽和ニトリルの組成分布幅は高速液体クロマトグラフ
ィー法により求められ、その概要はラバー・ケミストリ
ー・アンド・テクノロジー(Rubber Chemistryand Tech
nology) 63、(2)、P181〜191(199
0)に記載されている。すなわち、下記の測定条件にて
不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体を高速液体クロマ
トグラフィーにて測定し、クロマトグラムの半値巾を△
ANとする。なお、△ANの決定に際しては不飽和ニト
リル量既知のサンプルを用いて溶出量−不飽和ニトリル
量の検量線を作成しておく。
クリレート)架橋ポリマー ゲル粒径:2〜6μm カラム:ステンレススチールカラム カラム径 x 長さ:0.46cm x 25cm 2.溶離液 クロロホルム/n−ヘキサン(重量比)30/70→1
00/0(30分間でグラジエント溶出)。但し、初期
設定クロロホルム/n−ヘキサン=30/70にて20
分間流す。 3.流速 0.5ml/分 4.試料濃度 1重量%クロロホルム溶液 5.注入量 10〜20μl 6.検出器 光散乱マスディテクター(Mass Detecto
r:Model 750/I4 ACS Co.) 7.機器 Trirotor VI型(日本分光社製)
ジ(2,2−ジメチルプロピル)−1−エチルチオ基濃
度 共重合体をベンゼンに溶解した後、メチルアルコール中
で凝固する操作を3回繰り返して精製し、精製共重合体
についてNMR測定を行なった。1H−NMR測定(4
00MHz)により、該エチルチオ基中の末端メチル基
のプロトンに起因するピークが1.05ppm 付近に検出
され、さらに、13C−NMR測定(100MHz)によ
り、該エチルチオ基中のメチレン基の炭素に起因するピ
ークが54.6ppm 付近に検出される。
12mmの穴に詰めた厚さ2mmの金属板の上下を、表面を
きれいにみがいた2枚の1mmの金属板(JIS G3141 軟鋼
板)ではさみ、220℃、20kg/cm2、2分間の条件
で加硫する。次いで、加硫したゴム片を除去し、再び未
加硫ゴム組成物を詰めて同様な操作を行う。この操作を
50回繰り返した後、上下の軟鋼板の表面の汚染を評価
した。評価は、該軟鋼板の表面が汚染されないものを1
とし、表面全体が著しく汚染されたものを5とし、汚染
の程度に従って5段階で表示した。
ン酸カリウム2部、安定剤としてリン酸カリウム0.1
部、水150部を仕込み、さらに表2に記載した量のブ
タジエンおよびアクリロニトリル、および分子量調整剤
として2,2′,4,6,6′−ペンタメチルヘプタン
−4−チオール(以下、PMHTと記す)を加えて、活
性剤として硫酸第一鉄0.015部および重合開始剤と
してパラメンタンハイドロパーオキサイド0.05部の
存在下に10℃で乳化重合を開始した。所定の重合添加
率に達した時に表2に示す条件で、アクリロニトリル
(共重合体I〜IVの製造)、ブタジエン(共重合体Vの
製造)およびPMHT(共重合体I〜Vの製造)をそれ
ぞれ分割添加した。所定の重合添加率に達した時点で、
単量体100部あたり0.2部のヒドロキシルアミン硫
酸塩を添加して重合を停止させた。続いて、加温し、減
圧下で約70℃にて水蒸気蒸溜により残留単量体を回収
した後、老化防止剤としてアルキル化フェノールを2部
添加し、共重合体ラテックスを得た。
性剤としてアルキルフェノール−ホルマリン縮合物オキ
シエチレン−オキシプロピレン付加物(ラムテルMP−
5150)0.25部を添加した。次いで、凝固剤とし
て硫酸アルミニウム3部を溶解した凝固水浴を収容した
攪拌機付き5リットル凝固槽中へ上記共重合体ラテック
スを滴下し、凝固浴を50℃に保持して重合体を凝固し
た。生成したクラムを取り出し、水洗後50℃減圧下で
乾燥し、共重合体I〜Vを得た。
ブチルケトンに溶解し、(Pd/シリカ)触媒を用いて
耐圧容器中で水素化反応を行い、ニトリル基含有高飽和
共重合体ゴムを調製した。重合条件、各共重合体中の結
合ブタジエン量および結合ニトリル量、アルキルチオ基
濃度、さらに水素化共重合体のムーニー粘度その他の特
性の測定結果を表2に示す。次に、各共重合体を表1に
示す配合処方に従って、バンバリーミキサーにより混練
してゴム組成物を得た後、160℃で20分間プレス加
硫し、得られた加硫物の物性を評価した。結果を表3に
示す。
リプス石油社製)に変え、また、アクリロニトリル、ブ
タジエンおよびPMHTは分割添加することなく、それ
以外は実施例1,2および5と同様の条件でブタジエン
とアクリロニトリルとを共重合して共重合体VI〜VIIIを
得た。その後、水素化してニトリル基含有高飽和共重合
体ゴムを得た。重合結果を表2に示す。次に、実施例1
と同様に高飽和共重合体ゴムの加硫物の物性を評価した
結果を表3に示す。
合体IのH−NMR測定チャートを図1に示し、また、
その13C−NMR測定チャートを図2に示す。また、共
重合体Iを水素化して得られた高飽和共重合体ゴムのH
−NMR測定チャートを図3に示す。また、他の実施例
で得られたアクリロニトリル−ブタジエン共重合体のN
MR測定により1,1−ジ(2,2−ジメチルプロピ
ル)−1−エチルチオ基の存在が確認された。
共重合体ゴムと塩化ビニル樹脂とを配合した加硫性ゴム
組成物(実施例1〜7)は、オシレーティング・ディス
クレオメーターで測定したスコーチ時間(T5 )が短
く、また、最大トルク(Vmax)が高い値を示し、高速
加硫性に優れていることがわかる。その結果、加硫物性
における100%引張り応力、引張強さおよび硬さは高
水準を示し、圧縮永久歪が小さく、架橋効率の高い加硫
が行われていることがわかる。さらに、耐候・オゾン性
および耐酸敗ガソリン性も高水準を示している。また、
金型汚染性においても優れている。熱老化試験の結果も
良好であり、耐熱性に優れたゴム材料であることがわか
る。さらに、上記実施例の凝固法に従って調製したニト
リル基含有高飽和共重合体ゴムは実質的にハロゲンを含
まないために金属腐食の問題を生じることがない。
またはブタジエンを分割添加して共重合したので(共重
合体I〜V)、結合アクリロニトリル量が同程度の他の
共重合体VI〜VIIIを用いた場合(比較例1〜3)と比較
して、△ANが低く、ゲーマンねじり試験によるT10が
低く、体積変化率が低いことから、高い機械的強度の水
準を保ちながら、耐油性と耐寒性が良好で且つバランス
がとれていることがわかる。さらに、実施例1〜7にお
いては、分子量調整剤PMHTが重合時分割添加されて
いるため、加工性評価結果(表示せず)も良好であり、
機械的強度と加工性とが両立したゴム組成物である。
て汎用の分子量調整剤として知られているt−ドデシル
メルカプタンを(市販品)使用して乳化重合したもの
(共重合体VI、VII、VIII;比較例1〜3)は、十分な
高速加硫性が得られず、機械的強度が低く、反発弾性も
低い。金型汚染性も不良である。また、市販のt−ドデ
シルメルカプタンを使用して得た共重合体についてNM
R測定を行なったが、1,1−ジ(2,2−ジメチルプ
ロピル)−1−エチルチオ基の存在は確認されなかっ
た。
リル基含有高飽和共重合体ゴムと塩化ビニル樹脂とから
なるゴム組成物が有する良好な耐候・オゾン性、耐油
性、耐酸敗ガソリン性および耐熱性を維持したうえ、機
械的強度および耐圧縮永久歪性に優れ、特に高温短時間
の加硫において、優れた高速加硫性を示し、さらに金型
汚染性の問題が改善された、ニトリル基含有高飽和共重
合体ゴムと塩化ビニル樹脂とからなるゴム組成物が提供
される。このゴム組成物は優れた高速加硫性を有するこ
とにより、特に、射出成型用途に好適であって、ゴム製
品の成型における生産性の向上、省力化が可能となる。
によって得た不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体の水
素化物を用いて得た加硫ゴムは、不飽和ニトリルの組成
分布幅△ANが小さく、良好でバランスのとれた耐寒性
と耐油性を有している。さらに、重合時にPMHT(分
子量調製剤)を分割添加することによって得た不飽和ニ
トリル−共役ジエン共重合体の水素化物は、数平均分子
量Mnが35,000以下の低分子量成分を比較的多量
に含み、その加硫ゴム組成物は加工性に優れている。ま
た、共重合体ラテックスの凝固に際して金属硫酸塩のよ
うなハロゲンを含まない凝固剤を用いた場合は高飽和共
重合体ゴムが実質的にハロゲンを含まず、最終的に得ら
れる加硫ゴム組成物は金属腐食の問題を生じることがな
い。
ムと塩化ビニル樹脂とを含むゴム組成物は、優れた高速
加硫性を有し、その加硫物は機械的強度に優れ、良好な
耐油性、耐熱性、耐酸敗ガソリン性、耐候性などを有す
るのでO−リング、ガスケット、オイルシール、フレオ
ンシールなどの各種シール材として好適であり、さら
に、自動車用Vベルト、ポリ・リブベルト、歯付伝導ベ
ルトなどのベルト類;自動車用パワーステアリングホー
ス、建設機械など各種機械の油圧ホースなどの高圧耐油
ホース、自動車用燃料ホースなどのホース類;ロール
類;油井、ガス井で使用されるゴム製品〔パッカー、ブ
ローアウトプリベンター(BOP)、パイププロテクタ
ーなど〕;各種ダイアフラム;自動車用クラッチ板およ
びブレーキシュー(これらはフェノール樹脂またはエポ
キシ樹脂などの熱硬化性樹脂とのその他の配合剤とブレ
ンドし成型される)などを始めとし、各種の防振ゴム、
電気製品、自動車部品、工業用品、はきものなど広範囲
に利用することができる。
製時にエチレン性不飽和カルボン酸単量体を共重合せし
め、さらに、加硫性ゴム組成物調製の際に周期律表第II
族の金属の酸化物を配合したものから得られる加硫物は
耐動的疲労性に優れるため、上記の多種用途の中でも、
特に繰返し変形を受ける用途に有用である。
物、すなわち、不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体の
共役ジエン部分を水素化してなるニトリル基含有高飽和
共重合体ゴムであって、少なくとも3個の第3級炭素原
子およびその中の少なくとも1個の第3級炭素原子に直
接結合した硫黄原子を有する炭素数12〜16のアルキ
ルチオ基を分子内に有し、ムーニー粘度が15〜200
であり、ヨウ素価が80以下であるニトリル基含有高飽
和共重合体ゴムと、塩化ビニル樹脂とを含んでなるゴム
組成物の好ましい具体的態様は以下のとおりである。
と塩化ビニル樹脂との重量比が(95〜50)/(5〜
50)、より好ましくは(80〜60)/(20〜4
0)であるゴム組成物。 (2)該アルキルチオ基を、分子を構成する単量体単位
100モル当り0.03モル以上、より好ましくは0.
07モル以上の割合で分子内に有するニトリル基含有高
飽和共重合体ゴムを含むゴム組成物。 (3)該アルキルチオ基が1,1−ジ(2,2−ジメチ
ルプロピル)−1−エチルチオ基および1−(2,2−
ジメチルプロピル)−1−(2,2,4,4−テトラメ
チルペンチル)−1−エチルチオ基から選ばれる少なく
とも1種であるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを含
むゴム組成物。
(2,2−ジメチルプロピル)−1−エチルチオ基であ
るニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを含むゴム組成
物。 (5)結合不飽和ニトリル量が10〜60重量%である
請求項1記載のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを含
むゴム組成物。 (6)アクリロニトリル10〜60重量%とブタジエン
90〜40重量%との共重合体の水素化物であってムー
ニー粘度20〜90を有するニトリル基含有高飽和共重
合体ゴムを含むゴム組成物。
0以下の低分子量成分を3〜20重量%含有するニトリ
ル基含有高飽和共重合体ゴムを含むゴム組成物。 (8)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)
との比(Mw/Mn)が2.3〜5.5であるのニトリ
ル基含有高飽和共重合体ゴムを含むゴム組成物。
N)が35以下、より好ましくは3〜20であるニトリ
ル基含有高飽和共重合体ゴムを含むゴム組成物。 (10)ハロゲン原子を実質的に含有しないニトリル基
含有高飽和共重合体ゴムを含むゴム組成物。
に、全単量体に基づき1〜80重量%の不飽和カルボン
酸エステル、または不飽和カルボン酸エステルとフッ素
含有ビニル系単量体とを共重合して得られる不飽和ニト
リル共役ジエン共重合体の水素化物であるニトリル基含
有高飽和共重合体ゴムを含むゴム組成物。 (12)全単量体の30〜80重量%の存在下に重合を
開始し、さらに重合転化率が20〜70%に達した時点
で単量体の残量を重合系に添加する方法によって調製さ
れた不飽和ニトリル共役ジエン共重合体の水素化物であ
るニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを含むゴム組成
物。 (13)該アルキルチオ基を有する化合物の全使用量の
10〜95%を重合前の単量体混合物中に含有せしめ、
さらに重合転化率が20〜70%に達した時点で該アル
キルチオ基含有化合物の残量を重合系に添加する方法に
よって調製された不飽和ニトリル共役ジエン共重合体の
水素化物であるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを含
むゴム組成物。
と共役ジエンとを共重合して、共重合体ラテックスを調
製し、該ラテックス中にノニオン界面活性剤を添加し、
次いで、共重合体ラテックスを、金属塩が溶解されてい
る実質的にハロゲンを含まない凝固浴中に入れ、加熱し
て凝固し、得られた不飽和ニトリル−共役ジエン共重合
体を水素化してなるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム
を含むゴム組成物。 (15)金属塩が硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム
および硫酸アルミニウムの中から選ばれた少なくとも一
種である上記(14)記載のゴム組成物。
すなわち、請求項1に記載のゴム組成物および該ゴム組
成物100重量部当り硫黄系加硫剤0.01〜10重量
部を含有してなる加硫性ゴム組成物の好ましい実施態様
は以下のとおりである。 (16)ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが、不飽和
ニトリルと共役ジエンの他にエチレン性不飽和カルボン
酸単量体を用いて共重合してなる共重合体の水素化物で
あって、さらに、該組成物中に周期律表第II族の金属の
酸化物が配合されている加硫性ゴム組成物。 (17)射出成型用である加硫性ゴム組成物。 (18)Oリング用である加硫性ゴム組成物。
ン共重合体Iの1H−NMR測定チャート。
ン共重合体Iの13H−NMR測定チャート。
水素化してなるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムのH
−NMR測定チャート。
Claims (2)
- 【請求項1】 不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体の
共役ジエン部分を水素化してなるニトリル基含有高飽和
共重合体ゴムであって、少なくとも3個の第3級炭素原
子およびその中の少なくとも1個の第3級炭素原子に直
接結合した硫黄原子を有する炭素数12〜16のアルキ
ルチオ基を分子内に有し、ムーニー粘度が15〜200
であり、ヨウ素価が80以下であるニトリル基含有高飽
和共重合体ゴムと、塩化ビニル樹脂とを含んでなるゴム
組成物。 - 【請求項2】 請求項1に記載のゴム組成物および該ゴ
ム組成物100重量部当り硫黄系加硫剤0.01〜10
重量部を含有してなる加硫性ゴム組成物。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP26136794A JP3477848B2 (ja) | 1994-09-30 | 1994-09-30 | ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムと塩化ビニル樹脂とからなるゴム組成物 |
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