JP3476035B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子

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JP3476035B2
JP3476035B2 JP02265395A JP2265395A JP3476035B2 JP 3476035 B2 JP3476035 B2 JP 3476035B2 JP 02265395 A JP02265395 A JP 02265395A JP 2265395 A JP2265395 A JP 2265395A JP 3476035 B2 JP3476035 B2 JP 3476035B2
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    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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    • H10K50/171Electron injection layers

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は有機エレクトロルミネッ
センス(以下、ELと略記する)素子に関し、さらに詳
しくは、導電性薄膜と島状電子注入域とからなり、耐食
性に優れるとともに作製の容易な陰極を有するものであ
って、低電圧での駆動が可能な高効率の有機EL素子に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】電界発光を利用したEL素子は、自己発
光のため視認性が高く、かつ完全固体素子であるため、
耐衝撃性に優れるなどの特徴を有することから、各種表
示装置における発光素子としての利用が注目されてい
る。このEL素子には、発光材料に無機化合物を用いて
なる無機EL素子と有機化合物を用いてなる有機EL素
子とがあり、このうち、有機EL素子は、印加電圧を大
幅に低くしうるために、次世代の表示素子としてその実
用化研究が積極的になされている。上記有機EL素子
は、発光層を少なくとも含む有機化合物層と、この有機
化合物層を挟持する一対の電極とを備えたものであっ
て、具体的には、陽極/発光層/陰極の構成を基本と
し、これに正孔注入輸送層や電子注入輸送層を適宜設け
たもの、例えば陽極/正孔注入輸送層/発光層/陰極
や、陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/
陰極などの構成のものが知られている。該正孔注入輸送
層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能
を有し、また、電子注入輸送層は陰極より注入された電
子を発光層に伝達する機能を有している。そして、該正
孔注入輸送層を発光層と陽極との間に介在させることに
よって、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入さ
れ、さらに、発光層に陰極又は電子注入輸送層より注入
された電子は、正孔注入輸送層が電子を輸送しないの
で、正孔注入輸送層と発光層との界面に蓄積され発光効
率が上がることが知られている。
【0003】このような有機EL素子においては、陰極
材料として、従来Mg,Na,K,Caなどの金属が用
いられてきたが、これらは水分や酸素などに対して弱
く、腐食しやすいという問題があった。そこで、この腐
食性の問題を解決するために、Mg−Agなどの合金が
陰極材料として用いられてきたが、やはり腐食性につい
ては必ずしも満足しうるものではなかった。一方、ヨー
ロッパ特許第461542号明細書には、電子注入金属
と有機化合物からなる陰極が開示されている。しかしな
がら、この技術においては、有機化合物に対して70〜
99重量%の電子注入金属が必要であり、かつ陰極の耐
食性が充分ではない上、電子注入金属を島状の状態で用
いることについてはなんら説明されていない。
【0004】また、特開平5−121172号公報にお
いては、Al−Li合金を用い、かつLi濃度を0.01
〜0.1重量%の範囲にして形成された陰極が開示されて
いる。しかしながら、この技術においては、該陰極が易
電子注入性であるため、低電圧での駆動が可能な高効率
の素子が得られるものの、Liの濃度制御を厳密に行う
必要があり、陰極の形成、特に大面積の陰極形成が困難
である上、安定性についても、Mg−Ag合金に比べて
改善されているがまだ不充分である。
【0005】特開平6−163158号公報には、有機
発光層と陰極との間にアルカリ土類金属酸化物の薄膜を
介在させたものが開示されているが、この場合、アルカ
リ土類金属酸化物の薄膜の厚さを5〜20Å程度に制御
する必要があり、やはり作製が困難であるという問題を
有している。特開平6−188073号公報には、島状
態のAgを形成し、さらに金属膜の陰極を形成したもの
が開示されている。しかしながら、この陰極において
は、島状態のAgより電子注入を行うものであるが、A
gの仕事関数が大きくて易電子注入性とはいえず、高効
率の素子は得られない。さらに、特開平6−45074
号公報においては、島状態の高仕事関数金属の間を、低
仕事関数のMgなどで埋めた構造の陰極が開示されてい
るが、この陰極は低仕事関数のMgの比率が大きく、耐
食性に劣るという欠点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下で、耐食性に優れ、かつ作製が容易な陰極を有す
る低電圧での駆動が可能な高効率の有機EL素子を提供
することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の好
ましい性質を有する有機EL素子を開発すべく鋭意研究
を重ねた結果、導電性薄膜と島状電子注入域とからなる
陰極は、作製が容易であり、かつ島状電子注入域が導電
性薄膜により保護されているので耐食性に優れる上、電
子注入性が大きいので、低電圧での駆動が可能な高効率
の素子を与えることを見出した。本発明は、かかる知見
に基づいて完成したものである。すなわち、本発明の目
的は、陽極と陰極との間に、少なくとも発光層を含む有
機化合物層を挟持する有機EL素子において、該陰極が
(a)導電性酸化物膜又は半導体薄膜からなる導電性薄
膜、及び(b)この導電性薄膜と隣接する有機化合物層
内部の導電性薄膜側の界面近傍に存在する島状電子注入
域からなり、該島状電子注入域が、仕事関数3.9eV以
下の金属,酸化物,ホウ化金属及び窒化金属の中から選
ばれる少なくとも一種類からなることを特徴とする有機
EL素子を提供することにある。
【0008】本発明の有機EL素子においては、陰極と
して、導電性薄膜と島状電子注入域とからなるものが用
いられる。また、該島状電子注入域は、(1)導電性薄
膜と有機化合物層の界面に存在する場合と(2)導電性
薄膜と隣接する有機化合物層内部の導電性薄膜側の界面
近傍に存在する場合の二つの態様があるが、本発明は
(2)の態様である。図1は、有機EL素子において、
島状電子注入域が、導電性薄膜と有機化合物層との界面
に存在する場合の一例の構成を示す断面図であり、図2
は、本発明の有機EL素子において、島状電子注入域
が、導電性薄膜と隣接する有機化合物層内部の導電性薄
膜側の界面近傍に存在する場合の一例の構成を示す断面
図である。図1及び図2において、1は基板、2は導電
性薄膜、3は島状電子注入域、4は有機化合物層及び5
は陽極である。
【0009】本発明の有機EL素子において、陰極が導
電性薄膜のみの場合は、このものは易電子注入性ではな
いので高効率の素子が得られず、一方、島状電子注入域
のみの場合は、このものは通常導電性でないので、電極
として作用することができない。電子注入域を島状に形
成するのは、電子注入性の界面の表面積を増加させるた
めであり、そして、導電性薄膜は、この島状電子注入域
に電子を伝達する役割を有している。ここで、島状と
は、例えば図1で示すように、導電性薄膜の表面上に、
不連続に電子注入性化合物が形成されていて、この電子
注入性化合物は導電性薄膜の表面を覆いつくすことがな
いことを意味する。すなわち、不連続であるため、島内
部では導電性であったとしても、島間では導電性が悪い
ため、電極として作用するには、導電性薄膜の存在が必
要となる。また、この島状電子注入域が低仕事関数金属
からなる場合は酸化されやすいが、該導電性薄膜が、基
板や外界から島状電子注入域に水分,酸素などが侵入す
るのを防ぎ、酸化を抑える役割を果す。
【0010】本発明の素子においては、上記導電性薄膜
として高耐食性のものが好ましく用いられ、このような
ものとしては、例えば酸化及び水酸化されにくい金属膜
や、導電性酸化物膜,ドープされた共役系高分子薄膜、
さらには半導体薄膜などが挙げられる。ここで、金属膜
としては、例えばAg,Al,Cr,Mo,Taなどの
高融点金属膜が好ましく挙げられ、特に基板上に形成さ
れた高融点金属膜であって、表面が平坦でかつ基板密着
性に良いものが好適である。この意味で、AuやPtな
どは好ましくない。また、導電性酸化物膜としては、例
えばインジウムチンオキサイド(以下、ITOと略記す
る),ZnO−Al,SnO2 −Sbなどの透明導電性
酸化物の薄膜や、Cr2 3,Pr2 5,NiO,MnO
2,Mn25 などの有色ないし黒色の導電性酸化物膜が
好ましく挙げられる。さらに、ドープされた共役系高分
子薄膜としては、例えばアルカリ金属,ハロゲン,ハロ
ゲン化金属,アリールスルホン酸などがドープされたポ
リアニリンや、ポリアリーレンビニレンなどの薄膜が好
ましく挙げられる。次に、半導体薄膜としては、例えば
単結晶シリコン,アモルファスシリコン,ポリシリコ
ン,マイクロクリスタルシリコン,単結晶SiC,アモ
ルファスSiC,マイクロクリスタルSiC,ZnS,
ZnSe,ZnSSe,CaS,CaSe,CdTeS
などの薄膜が挙げられるが、これらの中で、基板上に大
面積で製膜が可能なポリシリコン,アモルファスシリコ
ン,マイクロクリスタルシリコン,アモルファスSi
C,マイクロクリスタルSiCなどの薄膜が好ましく、
特に1mA/cm2 以上の電流が流れるため、これに対
する耐性を有する、ポリシリコン,マイクロクリスタル
シリコン,マイクロクリスタルSiCなどの薄膜が好適
である。また、これらの半導体薄膜はn型及P型のいず
れであってもよい。
【0011】一方、島状電子注入域は、例えば仕事関数
3.9eV以下の低仕事関数の金属,酸化物,ホウ化金
属,窒化金属などを島状に不連続に形成させたものであ
り、その形状及び大きさについては特に制限はないが、
微粒子状又は微結晶状であって、大きさが5Å〜5μm
程度のものが好ましい。この電子注入域は、決して薄膜
状を指すものではないし、また孤立原子分散の状態を示
すものでもなく、上記の低仕事関数の金属又は化合物
が、粒子状の形態で導電性薄膜上又有機化合物層内に分
散されている状態を指す。このような分散により、有機
化合物層と接触している面積が大きくなり、電子注入性
が高まる。
【0012】上記島状電子注入域を構成する低仕事関数
の金属としては、仕事関数が3.7eV以下のものが好ま
しく、例えばCa,Li,Na,K,Mg,Ba,S
r,Ybなどが挙げられ、さらにはこれらと他金属との
合金、具体的にはAl−Li,Mg−Ag,Mg−I
n,In−Li,Pb−Li,Sn−Liなども、Li
やMgの量比(原子数比)を問わず、好ましいものとし
て挙げることができる。また、低仕事関数の酸化物とし
ては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物が好
ましく、特にCaO,BaO,SrOなどが好適であ
り、また、これらと他の金属酸化物との固容体も好まし
く挙げることができる。さらに、低仕事関数のホウ化金
属や窒化金属としては、例えば希土類金属のホウ化物,
TiNなどが好ましく挙げられる。次に、本発明の有機
EL素子における陰極の作製方法について説明する。
【0013】まず、導電性薄膜が金属膜で、島状電子注
入域がアルカリ土類金属で形成されている場合を例に挙
げて説明すると、ガラスなどの透明な基板上に、スパッ
タリングや蒸着などの方法により、金属膜を膜厚10n
m〜10μm程度に形成させたのち、この金属膜上にア
ルカリ土類金属を微量蒸着する。この際の蒸着量は、薄
膜として形成されると仮定した場合、その膜厚が0.05
〜15nm程度になるように選ぶのがよい。このように
して、図1に示すように、基板1上に導電性薄膜である
金属膜2及びアルカリ土類金属の島状電子注入域3から
なる陰極が形成される。次に、導電性薄膜が金属膜で、
島状電子注入域がAl−Li合金で形成されている場合
を例に挙げて説明すると、ガラスなどの透明な基板上
に、スパッタリングや蒸着などの方法により、金属膜を
膜厚10nm〜10μm程度に形成させたのち、EL素
子に用いられる有機化合物の蒸着源とAl−Li合金の
蒸着源を同時に加熱して、二元同時蒸着を行い、Al−
Li合金微粒子が分散された有機化合物薄膜を上記金属
膜上に形成させる。このようにして、図2に示すよう
に、基板1上に導電性薄膜である金属膜2、及び有機化
合物層4内に存在する島状電子注入域3からなる陰極が
形成される。このようにして作製された陰極は、電子を
注入できる界面が大きいため、特に電子注入性が高く、
低電圧の駆動が可能な高効率の素子を与えることができ
る。さらに、耐酸化性及び耐水性などに優れるため、陰
極の劣化したところで発生する無発光点(ダークスポッ
ト)の経時的な増加を低減できる。
【0014】また、本発明によると、導電性薄膜をエッ
チングしたのち、島状電子注入域を形成できるため、パ
ターン化された陰極を容易に与えることができる。従来
のMg−Ag,Al−Liなどの合金陰極は、エッチン
グを行うと活性な表面が酸化され、素子の性能が著しく
低下したが、本発明における陰極はこのような現象は生
じない。さらに、本発明の素子において、基板上に形成
された陰極は、水分や酸素などが侵入しにくく、耐食性
に優れたものとなる。本発明の有機EL素子において、
陽極と陰極との間に挟持する有機化合物層は、少なくと
も発光層を含むものであり、発光層のみからなる層であ
ってもよく、また、発光層とともに、正孔注入輸送層,
電子注入輸送層などを積層した多層構造のものであって
もよい。この有機EL素子の素子構成としては、例えば
陰極/発光層/陽極,陰極/発光層/正孔注入輸送層/
陽極,陰極/電子注入輸送層/発光層/陽極,陰極/電
子注入輸送層/発光層/正孔注入輸送層/陽極などを挙
げることができる。
【0015】この有機EL素子において、発光層は
(1)電界印加時に、陽極又は正孔注入輸送層により正
孔を注入することができ、かつ陰極又は電子注入層より
電子を注入することができる注入機能、(2)注入した
電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる輸送機能、
(3)電子と正孔の再結合の場を発光層内部に提供し、
これを発光につなげる発光機能などを有している。この
発光層に用いられる発光材料の種類については特に制限
はなく、従来有機EL素子における発光材料として公知
のものを用いることができる。また、正孔注入輸送層
は、正孔伝達化合物からなる層であって、陽極より注入
された正孔を発光層に伝達する機能を有し、この正孔注
入輸送層を陽極と発光層との間に介在させることによ
り、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入される。
その上、発光層に陰極又は電子注入層により注入された
電子は、発光層と正孔注入輸送層の界面に存在する電子
の障壁により、この発光層内の界面付近に蓄積されEL
素子の発光効率を向上させ、発光性能の優れたEL素子
とする。この正孔注入輸送層に用いられる正孔伝達化合
物については特に制限はなく、従来有機EL素子におけ
る正孔伝達化合物として公知のものを使用することがで
きる。さらに、電子注入輸送層は、陰極より注入される
電子を発光層に伝達する機能を有している。この電子注
入輸送層に用いられる電子伝達化合物については特に制
限はなく、従来有機EL素子における電子伝達化合物と
して公知のものを使用することができる。この有機化合
物層は、各有機材料を蒸着やスパッタリングなどの方法
により、積層して薄膜を形成させることにより、作製す
ることができる。
【0016】このEL素子における陽極としては、仕事
関数の大きい(4eV以上)金属,合金,電気伝導性化
合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好まし
く用いられる。このような電極物質の具体例としてはA
uなどの金属,CuI,ITO,SnO2 ,ZnOなど
の誘電性透明材料が挙げられる。該陽極は、これらの電
極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜
を形成させることにより作製することができる。この電
極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大
きくすることが望ましく、また、電極としてのシート抵
抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にも
よるが、通常10nm〜1μm,好ましくは10〜20
0nmの範囲で選ばれる。このようにして得られた本発
明の有機EL素子に、直流電圧を印加する場合には、陽
極を+,陰極を−の極性として電圧1〜30V程度を印
加すると、発光が透明又は半透明の電極側より観測でき
る。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れず発
光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加する場合に
は、陽極が+,陰極が−の状態になったときのみ発光す
る。なお、印加する交流の波形は任意でよい。図3は
機EL素子の一例の構成を示す断面図であって、基板
1上に導電性薄膜層2,島状電子注入域3,電子注入輸
送層6,発光層7,正孔注入輸送層8及び陽極5が順次
積層されている。なお、この場合、有機合物層は電子注
入輸送層6,発光層7及び正孔注入輸送層8からなる多
層構造のものである。
【0017】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。参考例 1 5mm×25mm×1mmのガラス基板上に、ITOを
100nmの膜厚で製膜したもの(ジオマティック社
製)を、基板上に導電性薄膜が製膜してあるものとし
た。次に、これをイソプロピルアルコール中に浸漬し、
超音波洗浄を行ったのち、サムコインターナショナル社
製UV−300にて、紫外線とオゾンを併用して洗浄を
行った。次いで、このITO付基板を市販の真空蒸着装
置の中に入れ、基板ホルダーに取付け、真空槽を5×1
-4Paまで減圧した。なお、予め、真空蒸着装置の抵
抗加熱ボートには、それぞれCu配位のフタロシアニン
(以下、CuPcと略記する)、N,N’−ビス(3−
メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−(1,1’
−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(以下、TPDと
略記する)及び8−キノリノールアルミニウム錯体(以
下Alqと略記する)を各200mgずつ入れ、また抵
抗加熱フィラメントにはAl−Li合金(Li2重量
%)を入れておいた。まず、Al−Li合金入りのフィ
ラメントを加熱し、蒸着速度4Å/秒でAl−Li合金
を水晶振動子による測定で50Åだけ蒸着した。なおこ
れは、Al−Li合金が薄膜状に形成されたことを示す
ものではなく、薄膜が形成されたと仮定して50Åだけ
の量が付着したことを示している。次に発光層を形成さ
せるため、Alq入りのボートを加熱し、蒸着速度1〜
3Å/秒で膜厚700Å蒸着した。さらにTPD入りの
ボートを加熱し、蒸着速度1〜3Å/秒で膜厚40nm
蒸着した。最後にCuPc入りのボートを加熱し、蒸着
速度1〜3Å/秒で膜厚20nm蒸着した。
【0018】次に、以上の製膜を終えた基板を、ITO
をスパッタリングするために市販のスパッタ装置(日電
アネルバ社製マグネストロンスパッタ装置)に装着し、
スパッタ電位280V、基板温度50℃の条件で、市販
のITOターゲット(三井金属社製)をスパッタし、I
TO膜を1000Å製膜した。このEL素子の断面を透
過型電子顕微鏡にて観察したところ、電子注入領域であ
るAl−Li合金が、粒径20〜400Åの微粒子状島
状構造であることが確認された。また、この素子に、導
電性薄膜を陰極,ITOを陽極として直流電圧を印加
し、発光試験を行った。結果を第1表に示す。さらに、
この素子を室温、湿度70%RHの雰囲気下に700時
間放置し、無発光点の状況を観察したところ、肉眼では
全く無発光点はみることができなかった。
【0019】参考例参考例 1において、ガラス基板上の導電性薄膜として、
ITOの代わりにAl薄膜が膜厚500Åで予め蒸着さ
れてあるものを用いた以外は、参考例1と同様にしてE
L素子を作製した。このEL素子の断面を透過型電子顕
微鏡にて観察したところ、電子注入領域であるAl−L
i合金が、粒径20〜200Åの微粒子状島状構造であ
ることが確認された。また、この素子に、導電性薄膜を
陰極,ITOを陽極として直流電圧を印加し、発光試験
を行った。結果を第1に示す。さらに、この素子を室
温、湿度70%RHの雰囲気下に700時間放置し、無
発光点の状況を観察したところ、肉眼では全く無発光点
はみることができなかった。
【0020】実施例 参考例 1において、Al−Li合金の島状電子注入域を
形成する代わりに、AlqとAl−Li合金を同時蒸着
し、重量比1:1にて混合した層を膜厚10nm形成し
た。このEL素子の断面を透過型電子顕微鏡にて観察し
たところ、電子注入領域であるAl−Li合金が、粒径
1000〜4000Åの微粒子状島状構造であることが
確認された。また、この素子に、導電性薄膜を陰極,I
TOを陽極として直流電圧を印加し、発光試験を行っ
た。結果を第1表に示す。さらに、この素子を室温、湿
度70%RHの雰囲気下に700時間放置し、無発光点
の状況を観察したところ、肉眼では全く無発光点はみる
ことができなかった。
【0021】比較例1参考例 1と同じITO基板を用い、CuPc,TPD及
びAlqの順で蒸着した。蒸着速度及び膜厚は参考例
と同じである。次に、Al−Li合金(Li2重量%)
の蒸着を行い、膜厚2000ÅのAl−Li合金膜を形
成させた。これは完全な薄膜として形成されており、単
独で陰極とした。この素子については、発光試験を行っ
た。結果を第1表に示す。また、この素子を室温、湿度
70%RHの雰囲気下に700時間放置し、無発光点の
状況を観察したところ、無発光点が多く存在していた。
この無発光点は陰極の酸化により生じることが知られて
おり、したがって、この比較例の素子は、本発明の素子
に比べて陰極の耐酸化性に劣ることが分かる。
【0022】
【表1】
【0023】第1表から、本発明の素子は、比較例のも
のに比べて、高効率で電子注入性が良いことが分かる。
【0024】実施例 実施例において、AlqとAl−Li合金を同時に蒸
着する代わりにAlqと、Caを重量比1:1に同時蒸
着し、膜厚100Åの層を形成させた。この素子に、直
流電圧4.5Vを印加したところ、電流値2.8mA/cm
2 ,輝度120cd/m2 ,効率3.0ルーメン/Wであ
った。
【0025】
【発明の効果】本発明の有機EL素子は、陰極が導電性
薄膜と島状電子注入域とからなるもので、作製が容易
で、かつ耐食性に優れており、その上高効率で低電圧で
の駆動が可能である。本発明の有機EL素子は、例えば
情報産業機器のディスプレイなどに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 機EL素子において、島状電子注入域が、
導電性薄膜と有機化合物層との界面に存在する場合の一
例の構成を示す断面図である。
【図2】 本発明の有機EL素子において、島状電子注
入域が、導電性薄膜と隣接する有機化合物層内部の導電
性薄膜側の界面近傍に存在する場合の一例の構成を示す
断面図である。
【図3】 機EL素子の一例の構成を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1:基板 2:導電性薄膜 3:島状電子注入域 4:有機化合物層 5:陽極 6:電子注入輸送層 7:発光層 8:正孔注入輸送層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−188073(JP,A) 特開 平6−45074(JP,A) 特開 平4−132189(JP,A) 特開 平4−363896(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 33/00 - 33/28

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極と陰極との間に、少なくとも発光層
    を含む有機化合物層を挟持する有機エレクトロルミネッ
    センス素子において、該陰極が(a)導電性酸化物膜又
    は半導体薄膜からなる導電性薄膜、及び(b)この導電
    性薄膜と隣接する有機化合物層内部の導電性薄膜側の界
    面近傍に存在する島状電子注入域からなり、該島状電子
    注入域が、仕事関数3.9eV以下の金属,酸化物,ホウ
    化金属及び窒化金属の中から選ばれる少なくとも一種類
    からなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセン
    ス素子。
  2. 【請求項2】 仕事関数3.9eV以下の金属が、アルカ
    リ金属,アルカリ土類金属,含アルカリ金属合金又は含
    アルカリ土類金属合金である請求項1に記載の有機エレ
    クトロルミネッセンス素子。
  3. 【請求項3】 島状電子注入域が微粒子状に形成された
    ものである請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミ
    ネッセンス素子。
  4. 【請求項4】 陰極が基板上に形成されている請求項1
    のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス
    素子。
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