JP3474517B2 - 4G−α−D−グルコピラノシルルチンを含有せしめた抗感受性疾患剤 - Google Patents

4G−α−D−グルコピラノシルルチンを含有せしめた抗感受性疾患剤

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JP3474517B2 JP2000123298A JP2000123298A JP3474517B2 JP 3474517 B2 JP3474517 B2 JP 3474517B2 JP 2000123298 A JP2000123298 A JP 2000123298A JP 2000123298 A JP2000123298 A JP 2000123298A JP 3474517 B2 JP3474517 B2 JP 3474517B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下記化学式1で示
される新規物質4−α−D−グルコピラノシルルチン
を含有せしめた抗感受性疾患剤に関する。
【0002】
【化2】
【0003】
【従来の技術】ルチンは、下記化学式2で示される化学
構造を有し、毛細血管の強化、出血予防、血圧調整など
の生理作用を持つビタミンPとして、また、黄色色素と
して古くから知られ、食品、医薬品、化粧品などに利用
されている。
【0004】
【化3】
【0005】ビタミンPは、生体内で、ビタミンCの生
理活性、例えば、生体結合組織の主成分であるコラーゲ
ンの合成に必要なプロリンやリジンのヒドロキシル化反
応に関与し、また、例えば、チトクロームCのFe
+++を還元してFe++にするなどの酸化還元反応に
関与し、更には、白血球増加による免疫増強作用に関与
するなどの活性を増強することが知られており、生体の
健康維持、増進に重要な役割をなしている。
【0006】ルチンの用途は、単に栄養素としてのビタ
ミンP強化剤にとどまらず、その化学構造、生理作用か
ら、単独でまたは他のビタミンなどと併用して、例え
ば、黄色着色剤、酸化防止剤などとして飲食物などに、
また、循環器疾患など感受性疾患の予防剤、治療剤すな
わち抗感受性疾患剤に、更には、黄色着色剤、紫外線吸
収剤などの美肌剤、色白剤などとして化粧品にまで及
び、その範囲は極めて広い。
【0007】しかしながら、ルチンは水に難溶性で、室
温では8Lの水にわずか1g程度(約0.01W/V
%)しか溶けず、使用上困難を極めている。
【0008】これを改善する方法としては、例えば、特
公昭25−1677号公報に示されるごとく、ルチンに
アミノ基を有する脂肪族化合物を加えて水溶性を増大す
る方法、また特公昭26−2724号公報に示されるご
とく、ルチンにモノハロゲン酢酸を作用させ酢酸ソーダ
化合物にして水溶性を増大する方法、また、特公昭29
−1285号公報に示されるごとく、ルチンにロンガリ
ットを作用させ亜硫酸化合物にして水溶性を増大する方
法などが知られていた。
【0009】しかしながら、これらの方法は、いずれも
アミノ化合物、モノハロゲン酢酸、亜硫酸化合物などが
用いられ、生成物質に他の生理活性、毒性が懸念され、
またその精製も困難である。
【0010】そこで、本発明者等は、先に、特公昭54
−32073号公報で、より安全性の高い生合成反応を
利用した水溶化の方法として、糖転移酵素の作用によ
り、ルチンに澱粉部分加水分解物からグルコース残基を
等モル以上転移させ、α−グリコシル ルチンを生成せ
しめて、その水溶性を改善する方法を提案した。
【0011】この方法で得られるα−グリコシル ルチ
ンは、特公昭54−32073号公報で記載しているよ
うに、ルチンの水溶性を向上させるために、ルチンにグ
ルコース残基を等モル以上結合させたルチン配糖体混合
物に変換したものであって、配糖体それぞれの理化学的
性質を解明しているものではない。
【0012】このことは、同公報第3頁の表で、「配糖
体名は推定であって、グルコースの新転移の位置は不明
である。」としていることからも明らかである。
【0013】α−グリコシル ルチンのより広範な用途
を拓く上で、配糖体それぞれの理化学的性質の解明が待
たれており、化学構造の特定された新規配糖体の実現が
鶴首されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、理化
学的性質の解明された特定の新規α−グリコシル ルチ
ンの工業化が待たれており、未だ、その実現を見ていな
い。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためになされたものであって、とりわけ、糖転移
酵素により生成されるα−グリコシル ルチンのうち、
最も分子量の小さいα−グルコシル ルチンに着目し、
その理化学的性質を解明するとともにその製造方法並び
に用途について鋭意研究した。
【0016】その結果、化学式1で示される新規物質4
−α−D−グルコピラノシル ルチンを明らかにする
とともにその製造方法並びに各種組成物および酸化防止
方法への用途を確立して本発明を完成した。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の4−α−D−グルコピ
ラノシル ルチンは、水溶性が極めて高く、ルチンの場
合と比較して、約3万倍以上に高まり、その分子吸光係
数(黄色度)は、ルチンのそれと実質的に同一であり、
強い抗酸化能を有しており、その上、生体内のα−グル
コシダーゼによって容易に加水分解されてルチン本来の
生理効果を発揮するという理想的な物質であることが判
明した。加えて、4−α−D−グルコピラノシル ル
チンの過飽和有機溶媒溶液から晶出、分離することによ
る高純度の4−α−D−グルコピラノシル ルチンの
製造方法を確立したことにより、より高純度で実質的に
非吸湿性の安定した粉末の製造も容易となり、その工業
的生産を極めて容易にするものである。
【0018】本発明の4−α−D−グルコピラノシル
ルチンの製造方法は、ルチンと澱粉質とを含有する溶
液に糖転移酵素とグルコアミラーゼとを作用させ、4
−α−D−グルコピラノシル ルチンを生成せしめ、こ
れを採取すればよいことが判明した。
【0019】以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】本発明に用いるルチンは、一般に精製され
たルチンが望ましく、必要ならば、ルチンを含有してい
る各種植物由来の抽出物、またはその部分精製物などが
適宜使用できる。
【0021】植物組織としては、例えば、ソバの葉茎、
エンジュのつぼみ(槐花または槐米)、エニシダのつぼ
み、ユーカリの葉茎、イチョウの葉茎、柑橘類果実な
ど、更にはこれら植物の組織培養物などが有利に利用で
きる。
【0022】本発明に用いる澱粉質は、同時に用いる糖
転移酵素によってルチンにグルコース残基を等モル以上
結合したα−グリコシル ルチンを生成することのでき
るものであればよく、例えば、アミロース、デキストリ
ン、シクロデキストリン、マルトオリゴ糖などの澱粉部
分加水分解物、更には、液化澱粉、糊化澱粉などが適宜
選ばれる。
【0023】従って、α−グリコシル ルチンの生成を
容易にするためには、糖転移の作用に好適な澱粉質が選
ばれる。
【0024】例えば、糖転移酵素として、α−グルコシ
ダーゼ(EC 3.2.1.20)を用いる際には、マ
ルトース、マルトトリオース、マルトテトラオースなど
のマルトオリゴ糖、またはDE約10乃至70の澱粉部
分加水分解物などが好適であり、シクロマルトデキスト
リン グルカノトランスフェラーゼ(EC 2.4.
1.19)を用いる際には、シクロデキストリンまたは
DE1以下の澱粉糊化物からDE約60の澱粉部分加水
分解物などが好適である。α−アミラーゼ(EC3.
2.1.1)を用いる際には、DE1以下の澱粉糊化物
からDE約30のデキストリン、澱粉部分加水分解物な
どが好適である。
【0025】また、反応時の澱粉質濃度は、ルチンに対
して約0.5乃至50倍の範囲が好適である。
【0026】本発明でいうルチンと澱粉質とを含有する
溶液とは、ルチンをできるだけ高濃度に含有するものが
望ましく、例えば、懸濁状で高濃度に、または、pH
7.0を越えるアルカリ側pHで溶解若しくは有機溶媒
水溶液で溶解させた溶液状で高濃度に含有する溶液など
が適しており、その濃度は、ルチンとして約0.5W/
V%以上の高濃度、望ましくは、約1.0乃至20.0
W/V%含有している溶液が適している。
【0027】本発明に用いる糖転移酵素は、ルチンとこ
の酵素に好適な性質の澱粉質とを含有する溶液に作用さ
せる時、ルチンを分解せずにα−グリコシル ルチンを
生成するものであればよい。
【0028】例えば、α−グルコシダーゼは、ブタの肝
臓、ソバの種子などの動植物組織由来の酵素、または、
ムコール(Mucor)属、ペニシリウム(Penic
illium)属などに属するカビ、またはサッカロミ
セス(Saccharomyces)属などに属する酵
母などの微生物を栄養培地で培養し得られる培養物由来
の酵素が、シクロマルトデキストリン グルカノトラン
スフェラーゼは、バチルス(Bacillus)属、ク
レブシーラ(Klebsiella)属などに属する細
菌培養物由来の酵素が、α−アミラーゼは、バチルス属
などに属する細菌、または、アスペルギルス(Aspe
rgillus)属などに属するカビ培養物由来の酵素
などが適宜選択できる。
【0029】これらの糖転移酵素は、前記の条件を満足
しさえすれば、必ずしも精製して使用する必要はなく、
通常は、粗酵素で本発明の目的を達成することができ
る。
【0030】必要ならば、公知の各種方法で精製して使
用してもよい。また、市販の糖転移酵素を利用すること
もできる。
【0031】反応時のpHと温度は、糖転移酵素が作用
してα−グリコシル ルチンが生成すればよく、通常、
pH3乃至10、温度10乃至90℃から選ばれる。
【0032】使用酵素量と反応時間とは、密接な関係が
あり、通常は、経済性の点から約5乃至80時間で反応
を終了するように酵素量が選ばれる。
【0033】また、固定化された糖転移酵素をバッチ式
で繰り返し、または連続式で反応に利用することも適宜
選択できる。
【0034】更に、必要ならば、糖転移酵素を有する微
生物や動物、植物の組織を、澱粉質とルチンとを含有す
る培地に培養してα−グリコシル ルチンを生成させる
こともできる。
【0035】本発明の反応方法は、ルチンと澱粉質とを
含有する溶液に糖転移酵素とグルコアミラーゼ(EC
3.2.1.3)とを作用させればよい。
【0036】グルコアミラーゼとしては、微生物、植物
など各種起源のものが利用できる。通常、アスペルギル
ス(Aspergillus)属、リゾープス(Rhi
zopus)属に属する微生物起源の市販のグルコアミ
ラーゼが有利に利用できる。
【0037】4−α−D−グルコピラノシル ルチン
を生成させるに際しては、糖転移酵素とグルコアミラー
ゼとを同時に作用させることもできる。
【0038】一般的には、使用する澱粉質を有効に利用
するため、予め、糖転移酵素を作用させてグルコース残
基を等モル以上転移させたα−グリコシル ルチンを生
成せしめ、次いで、グルコアミラーゼを作用させて4
−α−D−グルコピラノシルルチンを蓄積生成させるの
が望ましい。また、グルコアミラーゼとともに、必要に
応じて他の酵素、例えば、β−アミラーゼ(EC 3.
2.1.2)、α−L−ラムノシダーゼなどを併用する
ことも随意である。
【0039】まず、糖転移酵素の反応方法について説明
する。
【0040】反応に際しては、ルチンをできるだけ高濃
度に含有させて反応させるのが工業的に有利である。
【0041】例えば、ルチンを高濃度懸濁状で反応せし
める場合には、約0.5W/V%以上、望ましくは、約
1.0乃至5.0W/V%の懸濁状ルチンと適量の澱粉
質とを含有するルチン高含有液を、pH約4.5乃至
6.5とし、糖転移酵素の作用しうるできるだけ高温、
具体的には、約65乃至90℃に維持し、これに糖転移
酵素を作用させると、ルチンがα−グリコシル ルチン
に変換するにつれて懸濁状ルチンが徐々に溶解し、同時
に、ルチンにグルコースが等モル以上結合したα−グリ
コシル ルチンが容易に高濃度に生成する。
【0042】また、例えば、ルチンをpH7.0を越え
るアルカリ側で溶解させた高濃度溶液状で反応せしめる
場合には、pH約7.5乃至10.0の水に約0.5W
/V%以上、望ましくは、約1.0乃至5.0W/V%
のルチンを加熱溶解し、これに適量の澱粉質を溶解して
得られるルチン高含有液を、糖転移酵素の作用しうるで
きるだけ高pH、高温、具体的には、pH約7.5乃至
10.0、温度約50乃至80℃に維持し、これに糖転
移酵素を作用させるとα−グリコシル ルチンが容易に
高濃度に生成する。
【0043】この際、アルカリ性溶液中のルチンは、分
解を起しやすいので、これを防ぐため、できるだけ遮
光、嫌気下に維持するのが望ましい。必要ならば、L−
アスコルビン酸、エリソルビン酸などの酸化防止剤を共
存させてもよい。
【0044】また、例えば、ルチンを有機溶媒水溶液中
で溶解させた高濃度溶液状で反応せしめる場合には、ル
チンを、予め、有機溶媒に加熱溶解し、次いで、これを
澱粉質水溶液と混合し、これに糖転移酵素を加えるか、
または、ルチンと澱粉質とを有機溶媒水溶液に加熱して
溶解させ、所定温度に冷却し、これに糖転移酵素を加え
るなどして反応させるとα−グリコシル ルチンが高濃
度に生成する。
【0045】更に、前記条件を組み合せる方法、例え
ば、約2.0乃至20.0W/V%の懸濁状ルチンと適
量の澱粉質とを含有するルチン高含有液をpH約7.5
乃至10.0、温度約50乃至80℃に維持し、これに
糖転移酵素を作用させると、同様に、α−グリコシル
ルチンが容易に高濃度に生成する。
【0046】また、ルチンとして、例えば約0.1乃至
1.0規定のカセイソーダ水溶液、カセイカリ水溶液、
炭酸ソーダ水溶液、水酸化カルシウム水、アンモニア水
などの強アルカリ性水溶液に約5.0乃至20.0W/
V%の高濃度に溶解させたものを用い、これに塩酸、硫
酸などの酸性水溶液を加えて酵素の作用しうるpHに調
整するとともに澱粉質を加え、直ちに糖転移酵素を作用
させることは、α−グリコシル ルチンを容易に高濃度
に生成させることとなるので極めて好都合である。
【0047】このようにして糖転移反応により生成せし
めたα−グリコシル ルチンから本発明の4−α−D
−グルコピラノシル ルチンを製造するには、糖転移反
応液にそのまま、または、糖転移酵素を加熱失活した後
などにグルコアミラーゼを作用させればよい。グルコア
ミラーゼの作用によって、α−グリコシル ルチンの高
分子物が加水分解を受け、D−グルコースと4−α−
D−グルコピラノシルルチンとを蓄積生成する。
【0048】このようにして、4−α−D−グルコピ
ラノシル ルチンを生成せしめた反応溶液は、通常、4
−α−D−グルコピラノシル ルチンとともに比較的
少量の未反応ルチンおよび大量のグルコースを含有して
おり、そのままで4−α−D−グルコピラノシル ル
チン製品にすることもできる。一般的には、反応溶液を
濾過、濃縮してシラップ状の、更には、乾燥、粉末化し
て粉末状の4−α−D−グルコピラノシル ルチン製
品にする。
【0049】本製品は、ビタミンP強化剤としてばかり
でなく、安全性の高い天然型の黄色着色剤、抗酸化剤、
安定剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤な
どとして、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患
剤、化粧品、プラスチック製品など各種組成物への用途
に有利に利用できる。更に、精製された4−α−D−
グルコピラノシル ルチン製品を製造する場合には、例
えば、多孔性合成吸着剤による吸着性の差を利用して4
−α−D−グルコピラノシル ルチンとグルコースな
どの夾雑物とを分離、精製すればよい。
【0050】本発明でいう多孔性合成吸着剤とは、多孔
性で広い吸着表面積を有し、かつ非イオン性のスチレン
−ジビニルベンゼン重合体、フェノール−ホルマリン樹
脂、アクリレート樹脂、メタアクリレート樹脂などの合
成樹脂であり、例えば、市販されているRohm &
Haas社製造の商品名アンバーライトXAD−1、ア
ンバーライトXAD−2、アンバーライトXAD−4、
アンバーライトXAD−7、アンバーライトXAD−
8、アンバーライトXAD−11、アンバーライトXA
D−12、三菱化成工業株式会社製造の商品名ダイヤイ
オンHP−10、ダイヤイオンHP−20、ダイヤイオ
ンHP−30、ダイヤイオンHP−40、ダイヤイオン
HP−50、IMACTI社製造の商品名イマクティS
yn−42、イマクティSyn−44、イマクティSy
n−46などがある。
【0051】本発明の4−α−D−グルコピラノシル
ルチンを生成せしめた反応液の精製方法は、反応液
を、例えば、多孔性合成吸着剤を充填したカラムに通液
すると、4−α−D−グルコピラノシル ルチンおよ
び比較的少量の未反応ルチンが多孔性合成吸着剤に吸着
するのに対し、多量に共存するグルコースなどの水溶性
糖類は吸着されることなくそのまま流出する。
【0052】とりわけ、反応溶液に有機溶媒を含有して
いる場合には、その有機溶媒濃度を低減せしめて、その
溶液と多孔性合成吸着剤とを接触させ、同様に、反応溶
液に含まれる4−α−D−グルコピラノシル ルチン
とルチンとを吸着させて精製すればよい。
【0053】必要ならば、糖転移酵素とグルコアミラー
ゼとの反応を終了後、多孔性合成吸着剤に接触させるま
での間に、例えば、反応液を加熱して生じる不溶物を濾
過して除去したり、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ア
ルミン酸マグネシウムなどで処理して反応液中の蛋白性
物質などを吸着除去したり、強酸性イオン交換樹脂(H
型)、中塩基性または弱塩基性イオン交換樹脂(OH
型)などで処理して脱塩するなどの精製方法を組み合せ
て利用することも随意である。
【0054】前述のようにして、多孔性合成吸着剤カラ
ムに選択的に吸着した大量の4−α−D−グルコピラ
ノシル ルチンと比較的少量の未反応ルチンとは、希ア
ルカリ、水などで洗浄した後、比較的少量の有機溶媒ま
たは有機溶媒と水との混合液、例えば、メタノール水、
エタノール水などを通液すれば、まず、4−α−D−
グルコピラノシル ルチンが溶出し、通液量を増すか有
機溶媒濃度を高めるかすれば未反応ルチンが溶出してく
るので、この4−α−D−グルコピラノシルルチン高
含有画分、望ましくは、純度75W/W%以上の高含有
画分を採取すればよい。
【0055】この4−α−D−グルコピラノシル ル
チン高含有溶出液を蒸溜処理して、まず有機溶媒を溜去
した後、適当な濃度にまで濃縮すれば4−α−D−グ
ルコピラノシル ルチンを主成分とするシラップ状製品
が得られる。更に、これを乾燥し粉末化することによっ
て、4−α−D−グルコピラノシル ルチンを主成分
とする粉末状製品が得られる。
【0056】この有機溶媒による4−α−D−グルコ
ピラノシル ルチンおよび未反応ルチンの溶出操作は、
同時に、多孔性合成吸着剤の再生操作にもなるので、こ
の多孔性合成吸着剤の繰り返し使用を可能にする。
【0057】また、本発明の多孔性合成吸着剤による精
製は、グルコースなどの水溶性糖類だけでなく、水溶性
の塩類などの夾雑物も同時に除去できる特長を有してい
る。
【0058】また、必要ならば、4−α−D−グルコ
ピラノシル ルチンの精製に際して、前述の多孔性合成
吸着剤を利用する方法とは別の方法、例えば、溶解度分
別法、分子量分画法、膜分離法、高速液体クロマトグラ
フィー、カラムクロマトグラフィーなどの方法を採用す
るか、または、これらの1種または2種以上の方法を多
孔性合成吸着剤を利用する方法と併用して、更に高純度
の4−α−D−グルコピラノシル ルチンを調製する
ことも随意である。
【0059】次に、4−α−D−グルコピラノシル
ルチンの過飽和有機溶媒溶液から晶出させ、この結晶を
分離して更に高純度の4−α−D−グルコピラノシル
ルチンを製造する方法について述べる。
【0060】本発明で使用する晶出用4−α−D−グ
ルコピラノシル ルチン有機溶媒溶液は、それが過飽和
溶液であって、4−α−D−グルコピラノシル ルチ
ンが晶出すればよく、4−α−D−グルコピラノシル
ルチンの製造方法は問わない。
【0061】通常、過飽和度が、1.05乃至1.5程
度で具体的に述べれば純度80W/W%以上の4−α
−D−グルコピラノシル ルチンを望ましくは、濃度約
15乃至50W/W%有機溶媒溶液とし、その溶液温度
は製造工程上熱損失および有機溶媒損失の比較的少ない
0乃至80℃の範囲が望ましい。有機溶媒溶液として
は、例えば、メタノール、エタノール、アセトンなどが
適宜選ばれるが、必要に応じて水を適量併用することも
随意である。
【0062】また晶出方法は、通常、比較的高温の過飽
和液を助晶缶にとり、これに種晶を望ましくは、0.1
乃至5.0W/W%共存せしめて、ゆっくり攪拌しつつ
徐冷し、晶出を促してマスキットにすればよい。
【0063】このようにして、晶出させたマスキットか
ら高純度4−α−D−グルコピラノシル ルチン粉末
を採取する方法は、例えば、分蜜方法によって、マスキ
ットをバスケット型遠心分離機にかけ、結晶性4−α
−D−グルコピラノシル ルチンと蜜(母液)とを分離
する方法で、必要により、該結晶品に少量の冷有機溶媒
などをスプレーして洗浄することも容易であり、より高
純度の結晶性4−α−D−グルコピラノシル ルチン
を採取し、更に、加熱乾燥するなどして有機溶媒を完全
に除去し、高純度の4−α−D−グルコピラノシル
ルチン粉末を採取すればよい。このようにして得られる
高純度4−α−D−グルコピラノシルルチンは、その
純度によって多少変動するものの、実質的に非吸湿性で
あり、流動性であり、粘着、固着の懸念もなく、その優
れた特長は次の通りである。
【0064】(1)室温での水溶性は、1mLの水に約
4.3gも溶解し、ルチンが8Lの水にわずか1gしか
溶けないのと比較して、約3万倍以上に向上している。 (2)分子吸光係数(黄色度)は、ルチンのそれと実質
的に同一である。 (3)強い抗酸化能を有している。抗酸化剤として、油
性飲食物、油性抗感受性疾患剤、油性化粧品などの酸化
防止に有利に利用できる。とりわけ、抗感受性疾患剤に
利用される場合には、抗酸化剤として、活性酸素の除
去、過酸化脂質の生成抑制などの効果を発揮し、各種感
受性疾患の予防、治療、健康の維持、増進に好都合であ
る。また、チアミン、リボフラビン、ビタミンC、ビタ
ミンEなど他のビタミンや抗酸化剤の場合とは違って、
実質的に無味、無臭であって、変色、褐変、異臭の懸念
もなく安心して利用でき、4−α−D−グルコピラノ
シル ルチンを、ビタミンや抗酸化剤の1種または2種
以上と併用することも好都合である。 (4)体内の酵素により、ルチンとグルコースとに加水
分解され、ルチン本来の生理活性(ビタミンP)を示
す。ビタミンCとの併用によりそれらの持つ生理活性を
増強することができる。 (5)グルコースを含有する製品の場合には4−α−
D−グルコピラノシル ルチンの効果を発揮するのみな
らず、グルコースが賦形、増量効果や、甘味効果を発揮
することができ、また、グルコースを除去した精製製品
の場合には、ほとんど賦形、増量することなく4−α
−D−グルコピラノシル ルチンの効果を発揮すること
ができ、また、実質的に無味、無臭なので自由に調味、
調香することができる。
【0065】これらの特長から、4−α−D−グルコ
ピラノシル ルチンは安全性の高い天然型のビタミンP
強化剤としてばかりでなく、単独でまたは他の1種類若
しくは2種類以上の成分と併用して、黄色着色剤、抗酸
化剤、安定剤、品質改良剤、ウィルス性疾患、細菌性疾
患、循環器疾患、悪性腫瘍など感受性疾患の予防剤、治
療剤、紫外線吸収剤などとして、飲食物、嗜好物、飼
料、餌料、抗感受性疾患剤、美肌剤、色白剤など化粧
品、更には、プラスチック製品など各種組成物に配合し
て、望ましくは0.001W/W%以上配合して、有利
に利用することができる。この際、4−α−D−グル
コピラノシル ルチンとともに、ケルセチン、イソケル
シトリン、ルチン、マルトシル ルチン、マルトトリオ
シル ルチン、マルトテトラオシル ルチン、マルトペ
ンタオシル ルチンなどから選ばれる1種または2種以
上と併用することも有利に実施できる。
【0066】また4−α−D−グルコピラノシル ル
チンは、酸味、塩から味、渋味、旨味、苦味などの呈味
を有する各種物質ともよく調和し、耐酸性、耐熱性も大
きいので、普通一般の飲食物、嗜好物、例えば、醤油、
粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、フリカ
ケ、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末す
し酢、中華の素、天つゆ、麺つゆ、ソース、ケチャッ
プ、焼肉のタレ、カレールウ、シチューの素、スープの
素、ダシの素、複合調味料、みりん、新みりん、テーブ
ルシュガー、コーヒーシュガーなどの各種調味料、せん
べい、あられ、おこし、カリントウ、求肥、餅類、まん
じゅう、ういろう、あん類、羊羮、水羊羮、錦玉、ゼリ
ー、カステラ、飴玉などの各種和菓子、パン、ビスケッ
ト、クラッカー、クッキー、パイ、プリン、シュークリ
ーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレ
ート、チューインガム、キャラメル、キャンデーなどの
各種洋菓子、アイスクリーム、シャーベットなどの氷
菓、果実のシロップ漬、氷蜜などのシロップ類、バター
クリーム、カスタードクリーム、フラワーペースト、ピ
ーナッツペースト、フルーツペーストなどのスプレッ
ド、ペースト類、ジャム、マーマレード、シロップ漬、
果糖などの果実、野菜の加工食品類、パン類、麺類、米
飯類、人造肉などの穀類加工食品類、サラダオイル、マ
ーガリンなどの油脂食品類、福神漬、べったら漬、千枚
漬、らっきょう漬などの漬物類、たくあん漬の素、白菜
漬の素などの漬物の素類、ハム、ソーセージなどの畜肉
製品類、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、カマボコ、チク
ワ、ハンペンなどの魚肉製品、ウニ、イカの塩辛、酢コ
ンブ、さきするめ、ふぐのみりん干しなどの各種珍味
類、のり、山菜、するめ、小魚、貝などで製造されるつ
くだ煮類、煮豆、ポテトサラダ、コンブ巻、天ぷらなど
のそう菜食品、錦糸卵、乳飲料、バター、チーズなどの
卵、乳製品、魚肉、畜肉、果実、野菜などのビン詰、缶
詰類、合成酒、増醸酒、果実酒、洋酒などの酒類、コー
ヒー、ココア、ジュース、茶、紅茶、ウーロン茶、炭酸
飲料、乳酸飲料、乳酸菌飲料などの清涼飲料水、プリン
ミックス、ホットケーキミックス、即席ジュース、即席
コーヒー、即席しるこ、即席スープなど即席飲食品など
に、ビタミンP強化剤、黄色着色剤、抗酸化剤、品質改
良剤、安定剤などの目的で有利に利用することができ
る。また、家畜、家禽、蜜蜂、蚕、魚などの飼育動物の
ための飼料、餌料などにビタミンP強化剤、抗酸化剤、
嗜好性向上などの目的で配合して利用することも好都合
である。
【0067】その他、タバコ、トローチ、肝油ドロッ
プ、複合ビタミン剤、口中清涼剤、口中香錠、うがい
薬、経管栄養剤、内服薬、注射剤、練歯みがき、口紅、
アイシャドウ、乳液、化粧水、クリーム、ファウンデー
ション、日焼け止め、シャンプー、リンスなど各種固
状、ペースト状、液状の嗜好物、感受性疾患の予防剤、
治療剤すなわち抗感受性疾患剤、美肌剤、色白剤などの
化粧品などに配合して利用することも有利に実施でき、
更には、紫外線吸収剤、劣化防止剤などとしてプラスチ
ック製品などに配合して利用することも有利に実施でき
る。
【0068】また、本発明でいう感受性疾患とは、4
−α−D−グルコピラノシル ルチンによって予防さ
れ、若しくは治療される疾患であり、それが、例えばウ
ィルス性疾患、細菌性疾患、外傷性疾患、免疫疾患、リ
ューマチ、糖尿病、循環器疾患、悪性腫瘍などであって
もよい。4−α−D−グルコピラノシル ルチンの感
受性疾患予防剤、治療剤は、その目的に応じてその形状
を自由に選択できる。例えば、噴霧剤、点眼剤、点鼻
剤、うがい剤、注射剤などの液剤、軟膏、はっぷ剤、ク
リームのようなペースト剤、粉剤、顆粒、カプセル剤、
錠剤などの固剤などである。製剤に当たっては、必要に
応じて、他の成分、例えば、治療剤、生理活性物質、抗
生物質、補助剤、増量剤、安定剤、着色剤、着香剤など
の1種または2種以上と併用することも随意である。
【0069】投与量は、含量、投与経路、投与頻度など
によって適宜調節することができる。通常、4−α−
D−グルコピラノシル ルチンとして、成人1日当り、
約0.001乃至50.0gの範囲が好適である。
【0070】また、化粧品の場合も、大体、前述の予防
剤、治療剤に準じて利用することができる。
【0071】4−α−D−グルコピラノシル ルチン
を利用する方法としては、それら各種組成物の製品が完
成するまでの工程で、例えば、混和、混捏、溶解、浸
漬、浸透、散布、塗布、噴霧、注入など公知の方法が適
宜選ばれる。
【0072】以下、本発明の4−α−D−グルコピラ
ノシル ルチンについて実験で詳細に説明する。
【0073】
【実験1】<4−α−D−グルコピラノシル ルチン
の調製>ルチン1重量部およびデキストリン(DE1
2)10重量部を80℃の熱水100重量部に混合して
懸濁状のルチン高含有液とし、これにバチルス・ステア
ロサーモフィルス(Bacillus stearot
hermophilus)由来のシクロマルトデキスト
リン グルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物
化学研究所販売)をデキストリングラム当り20単位加
え、pH6.0、75℃に維持し攪拌しつつ64時間反
応させた。反応液を薄層クロマトグラフィーで分析した
ところ、ルチンの大部分が、グルコース残基を等モル以
上結合したα−グリコシル ルチンに転換していた。反
応液を加熱して酵素を失活させ、濾過し、濾液を濃度約
30W/W%に濃縮し、pH5.0に調整し、これにグ
ルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3、生化学工業株
式会社販売)を固形物グラム当り100単位加え、50
℃、5時間反応させた。反応液を薄層クロマトグラフィ
ーで分析したところ、大量のD−グルコース、4−α
−D−グルコピラノシルルチンおよび少量のルチンを含
有していた。
【0074】反応液を加熱して酵素を失活させ、濾過
し、濾液を多孔性合成吸着剤、商品名ダイヤイオンHP
−10(三菱化成工業株式会社販売)のカラムにSV
1.5でかけた。このカラムを水で通液、洗浄してグル
コースなどの夾雑物を除去した後、エタノール水溶液を
通液し、4−α−D−グルコピラノシル ルチンおよ
びルチンを溶出、採取し、減圧濃縮し、粉末化した。本
粉末を熱水で濃度約40W/W%に加熱溶解し、これに
種晶として少量のルチン結晶を加え攪拌しつつ2日間徐
冷し、遠心分離して結晶ルチンを除去し、上清を濃縮、
粉末化して、4−α−D−グルコピラノシル ルチン
高含有粉末を固形物当り原料のルチン重量に対して約7
0%の収率で得た。
【0075】本品は、固形物当り約94%の4−α−
D−グルコピラノシル ルチンを含有していた。
【0076】
【実験2】<高純度4−α−D−グルコピラノシル
ルチンの調製>実験1の方法で得た4−α−D−グル
コピラノシル ルチン粉末をガラス製容器にとり、エタ
ノール水溶液(エタノール:水=4:1)で濃度約35
W/W%になるよう加温溶解し、室温に5日間保ったと
ころ、その内壁に結晶が析出した。
【0077】この結晶を種晶として、同様にエタノール
水溶液で調製した濃度約40W/W%の4−α−D−
グルコピラノシル ルチン溶液に加え、ゆっくり攪拌し
ながら2日間助晶し、得られるマスキットを分蜜し、結
晶に少量のエタノール水溶液をスプレーして洗浄し、結
晶性4−α−D−グルコピラノシル ルチンを得た。
本品を同様にエタノール水溶液に溶解、処理して再結晶
化させ、分蜜して結晶性4−α−D−グルコピラノシ
ル ルチンを採取し、80℃で一夜真空乾燥して純度9
9.8w/w%の4−α−D−グルコピラノシル ル
チン粉末を得た。
【0078】この粉末の理化学的性質を調べたところ、
従来全く知られていない4−α−D−グルコピラノシ
ル ルチンであることが判明した。
【0079】以下、本発明物質4−α−D−グルコピ
ラノシル ルチンの理化学的性質について述べる。
【0080】 (1)元素分析 測定値 C=51.2% H=5.3% 理論値 C=51.30% H=5.22% (分子式:C334021) (2)分子量 772.7 (3)融点 232乃至235℃(分解温度)
【0081】
【0082】(5)紫外線吸収スペクトル 本発明物質を、濃度0.04mMに酢酸酸性エタノール
(酢酸:エタノール=1:1,000)で溶解して測定
した。結果は、図1に示す。対照として、ルチンを同一
濃度に溶解、測定し、結果を図2に示す。この図1およ
び図2の結果から、本発明物質の極大吸収362.5n
mでの分子吸光係数はε=3.50×10であって、
この値は、対照ルチンのそれと実質的に同一である。 (6)赤外線吸収スペクトル KBr錠剤法で測定した。結果は、図3で示す。本発明
物質の赤外線吸収スペクトルを(I)で示し、対照のル
チンのそれを(II)で示す。 (7)薬剤に対する溶解性 水、酢酸、0.1N−水酸化ナトリウム、0.1N−塩
酸に易溶。メタノール、エタノールに可溶。クロロホル
ム、酢酸エチルに難溶。 (8)溶解性 25℃で1mLの水に約4.3g溶ける。対照のルチン
の場合には、8Lの水に約1gしか溶けない。従って、
本発明物質は、ルチンの場合と比較して、その溶解性が
約3万倍以上に向上している。 (9)物性、物質の色 ほとんど無味、無臭の黄色粉末。吸湿性なく潮解しな
い。水溶液は中性乃至微酸性を示す。 (10)安定性 水溶液の安定性はpH3〜7で優れている。 (11)呈色反応 アントロン−硫酸反応で緑色を呈する。フェーリング氏
液還元反応は陰性。
【0083】(12)構造 (a)加水分解 i)1N−塩酸で加水分解すると、ケルセチン1モルに
対し、L−ラムノース1モル、D−グルコース2モルを
生成する。 ii)ブタの肝臓由来のα−グルコシダーゼで加水分解
すると、ルチン1モルに対し、D−グルコース1モルを
生成する。 (b)NMR 本発明物質とルチンとについて、NMR測定装置(米国
Varian社製、VXR−500)を用いて測定し
た。測定溶媒は、ジメチルスルフォキシド(DMSO)
を用いた。結果は表1にまとめた。
【0084】
【表1】
【0085】表1の結果から、ルチンのグルコース残基
の4位の炭素にのみ、大きなケミカルシフトが見いださ
れたことより、糖転移したグルコースの結合は、ルチン
の糖部分ルチノース残基のうち、グルコース残基の4位
の炭素の水酸基にエーテル結合しているものと判断され
る。
【0086】以上の理化学的性質から、本発明物質は、
下記化学式1で示される新規物質4 −α−D−グルコ
ピラノシル ルチンであることが判明した。
【0087】
【化4】
【0088】また、これらの結果から、ルチンと澱粉質
とを含有する溶液にシクロマルトデキストリン グルカ
ノトランスフェラーゼを作用させて生成されるルチンに
グルコース残基が等モル以上結合したα−グリコシル
ルチンは、下記化学式3で示される構造を有しているも
のと判断される。
【0089】
【化5】
【0090】
【実験3】<4−α−D−グルコピラノシル ルチン
の抗酸化作用>酸化を受け易い油性食品の例として、ピ
ーナッツバター粉末を用いて、これに与える4−α−
D−グルコピラノシル ルチンの抗酸化作用を調べた。
すなわち、ピーナッツバター100重量部に無水結晶マ
ルトース(林原株式会社製造、登録商標ファイントー
ス)83重量部、水9.6重量部および抗酸化剤とし
て、後述する参考例A−4の方法で調製した高純度4
−α−D−グルコピラノシルルチン粉末0.5重量部ま
たはその4−α−D−グルコピラノシル ルチン粉末
0.5重量部およびクエン酸0.2重量部を加えて混合
し、バットに採り密封して35℃に1日放置して固化さ
せ、これを粉末化してピーナッツバター粉末を得、これ
をアルミ製カップに採り、非密封のままで、35℃の恒
温室に放置し、経時的に過酸化物価を測定した。過酸化
物価(meq/Kg)は、ディー・エイチ・ウィーラー
(D.H.Wheeler)、オイル・アンド・ソープ
(Oil and Soap)、第9巻、第89頁乃至
97頁(1932年)に記載される方法に準じて測定し
た。なお、対照として抗酸化剤の無添加区を設けた。結
果は表2に示す。
【0091】
【表2】
【0092】表2の結果から明らかなように、4−α
−D−グルコピラノシル ルチンは、対照と比較して強
い抗酸化作用を有しており、しかも、その抗酸化作用
は、クエン酸との併用により増強されることが判明し
た。
【0093】
【実験4】<急性毒性>7周齢のdd系マウスを使用し
て、後述する参考例A−3の方法で調製した粉末状4
−α−D−グルコピラノシル ルチン製品を経口投与し
て急性毒性テストをしたところ、体重1kg当たり5g
まで死亡例は見られなかった。従って、本物質の毒性は
極めて低い。
【0094】また、後述する参考例A−4の方法で調製
した高純度4−α−D−グルコピラノシル ルチン粉
末を用いて本テストを行ったところ、同様の結果を得、
毒性は極めて低いことが判明した。
【0095】以下、本発明の参考例として、4−α−
D−グルコピラノシル ルチンの製造例を参考例Aで、
−α−D−グルコピラノシル ルチンの各種組成物
への用途例を参考例Bで述べる。
【0096】
【参考例A−1】<4−α−D−グルコピラノシル
ルチン>ルチン1重量部を50V/V%エタノール水溶
液5重量部に加温懸濁し、別にデキストリン(DE8)
8重量部を水45重量部に加熱溶解し、次いで、これら
溶液を混合し、これに、バチルス・ステアロサーモフィ
ルス(Bacillusstearothermoph
ilus)由来のシクロマルトデキストリングルカノト
ランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所販売)
をデキストリングラム当り10単位加え、pH6.0に
調整して50℃で48時間反応させた。反応液を、薄層
クロマトグラフィーで分析したところ、大部分がグルコ
ース残基を等モル以上結合した4−α−D−グルコピ
ラノシル ルチンに転換していた。
【0097】反応液を、減圧濃縮してエタノールを溜去
した後、酵素を加熱失活させ、pH5.0に調整し、こ
れにグルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3、生化学
工業株式会社販売)を固形物グラム当り100単位加
え、50℃で5時間反応させた。更に、この反応液を加
熱して酵素を失活させ、濾過し、濾液をイオン交換樹脂
(H型およびOH型)にて脱塩、精製、濃縮し、固形物
当り約10w/w%の4 −α−D−グルコピラノシル
ルチンとともに少量のルチンおよび大量のグルコース
を含有するシラップ状製品を固形物当り原料重量に対し
て約95%の収率で得た。
【0098】本品は、水溶性の高いビタミンP強化剤と
して、また、安全性の高い天然型の黄色着色剤、抗酸化
剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤などと
して、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、
化粧品、プラスチック製品など各種組成物への用途に有
利に利用できる。
【0099】また、本品は、大量のグルコースを含有し
ていることから、甘味料としても利用できる。
【0100】
【参考例A−2】<4−α−D−グルコピラノシル
ルチン> (1)α−グルコシダーゼ標品の調製 マルトース4W/V%、リン酸1カリウム0.1W/V
%、硝酸アンモニウム0.1W/V%、硫酸マグネシウ
ム0.05W/V%、塩化カリウム0.05W/V%、
ポリペプトン0.2W/V%、炭酸カルシウム1W/V
%(別に乾熱滅菌して植菌時に無菌的に添加)および水
からなる液体培地500重量部にムコール ジャバニカ
ス(Mucor javanicus)IFO4570
を温度30℃で44時間振盪培養した。培養終了後、菌
糸体を採取し、その湿菌糸体48重量部に対し、0.5
M酢酸緩衝液(pH5.3)に溶解した4M尿素液50
0重量部を加え、30℃で40時間静置した後、遠心分
離した。この上清を流水中で一夜透析した後、硫安0.
9飽和とし、4℃で一夜放置して生成した塩析物を濾取
し、0.01M酢酸緩衝液(pH5.3)50重量部に
懸濁溶解した後、遠心分離して上清を採取し、α−グル
コシダーゼ標品とした。
【0101】(2)4−α−D−グルコピラノシル
ルチンの調製 ルチン4重量部を0.5規定カセイソーダ溶液40重量
部に加熱溶解し、これを5規定塩酸溶液でpH6.5に
調整し、別にデキストリン(DE30)20重量部を水
10重量部に加熱溶解し、次いで、これら溶液を混合し
て懸濁状のルチン高含有液とし、これに(1)の方法で
調製したα−グルコシダーゼ標品10重量部を加え、p
H6.5に維持して攪拌しつつ55℃で40時間反応さ
せた。
【0102】反応液を、参考例A−1と同様に、酵素を
加熱失活させ、pH5.0に調整し、これにグルコアミ
ラーゼを作用させた。更に、この反応液を加熱して酵素
を失活させ、濾過し、濾液を多孔性合成吸着樹剤、商品
名ダイヤイオンHP−10(三菱化成工業株式会社販
売)のカラムにSV2で通液した。その結果、溶液中の
大量の4−α−D−グルコピラノシル ルチンと少量
の未反応ルチンとが多孔性合成吸着剤に吸着し、グルコ
ース、塩類などは吸着することなく流出した。次いで、
カラムを水で通液、洗浄した後、メタノール水溶液を通
液し、4−α−D−グルコピラノシル ルチンおよび
ルチンを溶出、採取し、減圧濃縮、粉末化して純度約7
5w/w%の4−α−D−グルコピラノシル ルチン
とともに他にルチンを含有する粉末製品を原料のルチン
重量に対して約90%の収率で得た。
【0103】本品は、水溶性の高いビタミンP強化剤と
して、また、安全性の高い天然型の黄色着色剤、抗酸化
剤、安定剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収
剤、劣化防止剤などとして、飲食物、嗜好物、飼料、餌
料、抗感受性疾患剤、化粧品、プラスチック製品など各
種組成物への用途に有利に利用できる。
【0104】
【参考例A−3】<4−α−D−グルコピラノシル
ルチン>ルチン1重量部およびデキストリン(DE1
2)10重量部を80℃の熱水98重量部に混合して懸
濁状のルチン高含有液とし、これにシクロマルトデキス
トリン グルカノトランスフェラーゼをデキストリング
ラム当り20単位加え、pH6.0、75℃に維持し攪
拌しつつ64時間反応させた。反応液を薄層クロマトグ
ラフィーで分析したところ、大部分が、グルコース残基
を等モル以上結合したα−グリコシル ルチンに転換し
ていた。反応液を、参考例A−1と同様に、加熱失活さ
せ、pH5.0に調整し、これにグルコアミラーゼを反
応させた。
【0105】反応液を加熱失活し、濾過し、濾液を多孔
性合成吸着剤、商品名ダイヤイオンHP−20(三菱化
成工業株式会社販売)のカラムにSV1.5で通液し
た。その結果、溶液中の4−α−D−グルコピラノシ
ル ルチンと未反応ルチンとが多孔性合成吸着剤に吸着
し、グルコース、塩類などは吸着することなく流出し
た。次いで、カラムを水で通液、洗浄した後、メタノー
ル水溶液を通液し、4−α−D−グルコピラノシル
ルチンおよびルチンを溶出、採取し、減圧濃縮し、粉末
化した。本粉末を熱水で、濃度約50w/w%に加熱溶
解し、これに種晶として少量のルチン結晶を加え攪拌し
つつ助晶し、遠心分離して結晶ルチンを除去し、上清を
濃縮、粉末化して、純度約95w/w%の粉末状の4
−α−D−グルコピラノシル ルチン製品を固形物当り
原料のルチン重量に対して約90%の収率で得た。
【0106】本品は、参考例A−2の場合と同様に、水
溶性の高いビタミンP強化剤としてばかりでなく、安全
性の高い天然型の黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質
改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤な
どとして、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患
剤、化粧品、プラスチック製品など各種組成物の用途に
有利に利用できる。
【0107】
【参考例A−4】<高純度4−α−D−グルコピラノ
シル ルチン>参考例A−3の方法で得た4−α−D
−グルコピラノシル ルチン製品をガラス製容器にと
り、メタノールで25w/w%になるよう加温溶解し、
室温で3日間保ったところ、その内壁に結晶が析出し
た。この結晶を、同様に調製した4 −α−D−グルコ
ピラノシル ルチン製品の濃度約30w/w%メタノー
ル溶液に、種晶として加え、ゆっくり攪拌しながら2日
間助晶し、得られるマスキットを分蜜し、結晶に少量の
メタノールをスプレーして洗浄し、得られる結晶性4
−α−D−グルコピラノシル ルチンを70℃で一夜真
空乾燥して純度約99w/w%の4−α−D−グルコ
ピラノシル ルチン粉末を得た。
【0108】本品は、高純度の4−α−D−グルコピ
ラノシル ルチンであって、水溶性の高いビタミンP強
化剤としてばかりでなく、安全性の高い天然型の黄色着
色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、予防剤、治療
剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤などとして、飲食物、嗜
好物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、化粧品、プラスチ
ック製品など各種組成物への用途に有利に利用できる。
【0109】なお、本参考例でメタノール溶液から晶出
中の結晶写真の一例を図4に示す。
【0110】また、この結晶を粉末X線回折装置(理学
電機株式会社製造、商品名ガィガーフレックスRAD−
IIB、CuKα線使用)により、調べたところ、主な
回折角(2θ)は、4.4°、8.4°、11.5°、
18.2°であった。また、この結晶は、加熱乾燥によ
り、これら回折角を容易に消失し非晶質粉末になること
から、4−α−D−グルコピラノシル ルチンとメタ
ノールとの複合結晶と考えられる。
【0111】
【参考例A−5】<4−α−D−グルコピラノシル
ルチン>ルチン1重量部およびデキストリン(DE8)
5重量部、水50重量部を加え、加熱してできるだけ溶
解させた懸濁状ルチン高含有液を75℃に冷却し、これ
にシクロマルトデキストリン グルカノトランスフェラ
ーゼをデキストリングラム当り30単位加え、pH6.
5、70℃に維持して攪拌しつつ40時間反応させた。
【0112】反応液を、参考例A−1と同様に、酵素を
失活させ、pH5.0に調製し、これにグルコアミラー
ゼを反応させた。この反応液を加熱失活し、濾過し、濾
液を多孔性合成吸着剤、商品名アンバーライトXAD−
7(Rohm & Haas社製造)のカラムにSV
1.5で通液した。
【0113】その結果、溶液中の4−α−D−グルコ
ピラノシル ルチンと未反応ルチンとが多孔性合成吸着
剤に吸着し、グルコース、塩類などは吸着することなく
流出した。
【0114】このカラムを水で通液、洗浄した後、エタ
ノール水溶液の濃度を段階的に高めながら通液し、4
−α−D−グルコピラノシル ルチン高含有画分を採取
し、これを濃縮し、粉末化して、純度約93w/w%の
粉末状4−α−D−グルコピラノシル ルチン製品を
原料のルチン重量に対して約85%の収率で得た。
【0115】本品は、参考例A−2の場合と同様に、水
溶性の高いビタミンP強化剤としてばかりでなく、安全
性の高い天然型の黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質
改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤な
どとして、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患
剤、化粧品、プラスチック製品など各種組成物への用途
に有利に利用できる。
【0116】
【参考例A−6】<高純度4−α−D−グルコピラノ
シル ルチン>参考例A−5の方法で得た4−α−D
−グルコピラノシル ルチン製品をエタノール水溶液
(エタノール:水=4:1)で濃度43w/w%になる
よう加温溶解し、これに実験2の方法で得た結晶を種晶
として、0.5w/w%加え、ゆっくり攪拌しながら2
日間助晶し、得られるマスキットを分蜜し、結晶に少量
のエタノール水溶液をスプレーして洗浄し、得られる結
晶性4−α−D−グルコピラノシル ルチンを80℃
で一夜真空乾燥して純度約98w/w%の4−α−D
−グルコピラノシル ルチン粉末を得た。
【0117】本品は、高純度の4−α−D−グルコピ
ラノシル ルチンであって、水溶性の高いビタミンP強
化剤としてばかりでなく、安全性の高い天然型の黄色着
色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、予防剤、治療
剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤などとして、飲食物、嗜
好物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、化粧品、プラスチ
ック製品など各種組成物への用途に有利に利用できる。
【0118】なお、本参考例で有機溶媒溶液(エタノー
ル:水=4:1)から晶出中の結晶写真の一例を図5に
示す。
【0119】また、この結晶を、参考例A−4と同様に
粉末X線回折装置により調べたところ、主な回折角(2
θ)は、6.8°、8.1°、15.4°、17.8°
であって、参考例A−2で得たメタノールから晶出した
結晶とは異なっている。
【0120】また、この結晶は、加熱乾燥により、これ
ら回折角を容易に消失し非晶質粉末になることから、4
−α−D−グルコピラノシル ルチンとエタノールと
の複合結晶と考えられる。
【0121】
【参考例B−1】<ハードキャンディー>還元麦芽糖水
飴(林原商事株式会社販売、登録商標マビット)1,5
00重量部を加熱し、減圧下で水分約2%以下になるま
で濃縮し、これにクエン酸15重量部および参考例A−
3の方法で得た粉末状4−α−D−グルコピラノシル
ルチン製品1重量部および少量のレモン香料を混和し、
次いで、常法に従って、成形、包装してハードキャンデ
ィーを得た。
【0122】本品は、ビタミンPを強化した黄色のレモ
ンキャンディーであって、低う蝕性、低カロリーであ
る。
【0123】
【参考例B−2】<フキの水煮>フキを皮むきし、適当
な長さに切断して、薄い食塩水に数時間浸し、これを参
考例A−5の方法で得た粉末状α−グリコシル ルチン
製品と青色1号とを配合して調製した緑色着色料を含有
する液で煮込んで、緑色の鮮かなフキの水煮を得た。
【0124】本品は、各種和風料理の材料として色どり
を添えるとともに、食物繊維としての生理効果をも発揮
する。
【0125】
【参考例B−3】<求肥>モチ種澱粉1重量部に水1.
2重量部を混合し、加熱糊化しつつ、これに砂糖1.5
重量部、結晶性β−マルトース(林原株式会社製造、登
録商標サンマルト)0.7重量部、水飴0.3重量部お
よび参考例A−2の方法で得た粉末状4−α−D−グ
ルコピラノシル ルチン製品0.02重量部を混和し、
以後、常法に従って、成形、包装して求肥を製造した。
【0126】本品は、風味、口当りとも良好な求肥で、
きびだんご風の和菓子である。
【0127】
【参考例B−4】<混合甘味料>はちみつ100重量
部、異性化糖50重量部、黒砂糖2重量部および参考例
A−1の方法で得たシラップ状4−α−D−グルコピ
ラノシル ルチン製品1重量部を混合して混合甘味料を
得た。
【0128】本品はビタミンPを強化した甘味料で健康
食品として好適である。
【0129】
【参考例B−5】<サンドクリーム>結晶性α−マルト
ース(林原株式会社製造、登録商標ファイントース)
1,200重量部、ショートニング1,000重量部、
参考例A−5の方法で得た粉末状4−α−D−グルコ
ピラノシル ルチン製品10重量部、レシチン1重量
部、レモンオイル1重量部、バニラオイル1重量部を常
法により混和してサンドクリームを製造した。
【0130】本品は、ビタミンP強化、黄色着色したサ
ンドクリームで、油脂の酸化が防止され、口当り、溶け
具合、風味とも良好である。
【0131】
【参考例B−6】<オレンジジュース>オレンジ果汁5
0重量部、クエン酸0.1重量部、砂糖5重量部、参考
例A−6の方法で得た高純度4−α−D−グルコピラ
ノシル ルチン粉末0.1重量部、L−アスコルビン酸
(ビタミンC)0.1重量部、香料適量および水46重
量部を混合し、次いで、常法に従って、容器に充填、殺
菌してオレンジジュース製品を得た。
【0132】本品は、ビタミンP、ビタミンCを強化し
たオレンジジュースであって、色調、風味とも良好であ
る。
【0133】
【参考例B−7】<浴用剤>DL−乳酸ナトリウム21
重量部、ピルビン酸ナトリウム8重量部、参考例A−3
の方法で得た粉末状4−α−D−グルコピラノシル
ルチン製品5重量部及びエタノール40重量部を、精製
水26重量部及び着色料、香料の適量と混合し、浴用剤
を製造した。
【0134】本品は、美肌剤、色白剤として好適であ
り、入浴用の湯に100乃至10,000倍に希釈して
利用すればよい。本品は、入浴用の湯の場合と同様に、
洗顔用水、化粧水などに希釈して利用することも有利に
実施できる。
【0135】
【参考例B−8】<乳液>ポリオキシエチレンベヘニル
エーテル0.5重量部、テトラオレイン酸ポリオキシエ
チレンソルビトール1重量部、親油型モノステアリン酸
グリセリン1重量部、ピルビン酸0.5重量部、ベヘニ
ルアルコール0.5重量部、アボガド油1重量部、参考
例A−4の方法で得た高純度4−α−D−グルコピラ
ノシル ルチン粉末1重量部、ビタミンE及び防腐剤の
適量を、常法に従って加熱溶解し、これにL−乳酸ナト
リウム1重量部、1,3−ブチレングリコール5重量
部、カルボキシビニルポニマー0.1重量部及び精製水
85.3重量部を加え、ホモゲナイザーにかけ乳化し、
更に香料の適量を加えて攪拌混合し乳液を製造した。
【0136】本品は、抗酸化性を有し、安定性が高く高
品質の日焼け止め、美肌剤、色白剤などとして有利に利
用できる。
【0137】
【参考例B−9】<クリーム>モノステアリン酸ポリオ
キシエチレングリコール2重量部、自己乳化型モノステ
アリン酸グリセリン5重量部、参考例A−6の方法で得
た高純度4−α−D−グルコピラノシル ルチン粉末
2重量部、流動パラフィン1重量部、トリオクタン酸グ
リセリル10重量部及び防腐剤の適量を、常法に従って
加熱溶解し、これにL−乳酸2重量部、1,3−ブチレ
ングリコール5重量部及び精製水66重量部を加え、ホ
モゲナイザーにかけ乳化し、更に香料の適量を加えて攪
拌混合しクリームを製造した。
【0138】本品は、抗酸化性を有し、安定性が高く、
高品質の日焼け止め、美肌剤、色白剤などとして有利に
利用できる。
【0139】
【参考例B−10】<抗酸化剤>参考例A−3の方法で
得た粉末状4−α−D−グルコピラノシル ルチン製
品10重量部、ビタミンE2重量部、レシチン0.1重
量部およびクエン酸ナトリウム0.5重量部を混和し、
抗酸化剤を得た。
【0140】本品は、マーガリン、バタークリームなど
油性食品、不飽和脂肪酸、油性ビタミン、油性ホルモン
など抗感受性疾患剤、乳液、クリームなど化粧品などに
約0.01乃至5.0W/W%配合して、抗酸化剤、安
定剤、品質改良剤などとして有利に利用できる。
【0141】
【参考例B−11】<抗酸化剤>参考例A−6の方法で
得た高純度4−α−D−グルコピラノシル ルチン粉
末10重量部およびクエン酸ナトリウム0.2重量部を
混和し、抗酸化剤を得た。
【0142】本品は、マーガリン、バタークリームなど
油性食品、不飽和脂肪酸、油性ビタミン、油性ホルモン
など抗感受性疾患剤、乳液、クリームなど化粧品などに
約0.01乃至5.0W/W%配合して、更には、退色
し易い天然色素を含有する飲食物などに約0.01乃至
2.0W/W%配合して、抗酸化剤、安定剤、退色防止
剤、品質改良剤などとして有利に利用できる。
【0143】以下、本発明の実施例について述べる。
【0144】
【実施例1】<錠剤>アスコルビン酸20重量部に結晶
性β−マルトース13重量部、コーンスターチ4重量部
および参考例A−2の方法で得た粉末状α−グルコシル
ルチン製品3重量部を均一に混合した後、直径12m
m、20R杵を用いて、打錠し錠剤を得た。
【0145】本品は、アスコルビン酸と4−α−D−
グルコピラノシル ルチンとの複合ビタミン剤で、アス
コルビン酸の安定性もよく、飲み易い錠剤である。
【0146】
【実施例2】<カプセル剤>酢酸カルシウム・一水塩1
0重量部、L−乳酸マグネシウム・三水塩50重量部、
マルトース57重量部、参考例A−3の方法で得た粉末
状4−α−D−グルコピラノシル ルチン製品20重
量部及びエイコサペンタエン酸20%含有γ−シクロデ
キストリン包接化合物12重量部を均一に混合し、顆粒
成形機にかけて顆粒とした後、常法に従って、ゼラチン
カプセルに封入して、一カプセル150mg入のカプセ
ル剤を製造した。
【0147】本品は、エイコサペンタエン酸の酸化を防
止し、高品質の血中コレステロール低下剤、免疫賦活
剤、美肌剤などとして、感受性疾患の予防剤、治療剤、
健康増進用食品などとして有利に利用できる。
【0148】
【実施例3】<軟膏>酢酸ナトリウム・三水塩1重量
部、DL−乳酸カルシウム4重量部をグリセリン10重
量部と均一に混合し、この混合物を、ワセリン50重量
部、木ロウ10重量部、ラノリン10重量部、ゴマ油1
4.5重量部、参考例A−4の方法で得た高純度4
α−D−グルコピラノシル ルチン粉末1重量部及びハ
ッカ油0.5重量部の混合物に加えて、更に均一に混和
して軟膏を製造した。
【0149】本品は、抗酸化性を有し、安定性が高く、
高品質の日焼け止め、美肌剤、色白剤などとして、更に
は外傷、火傷の治癒促進剤などとして有利に利用でき
る。
【0150】
【実施例4】<注射剤>参考例A−4の方法で得た高純
度4−α−D−グルコピラノシル ルチン粉末を水に
溶解し、常法に従って、精製濾過してパイロゲンフリー
とし、この溶液を20mL容アンプルに4−α−D−
グルコピラノシル ルチン200mgになるように分注
し、これを減圧乾燥し、封入して注射剤を製造した。
【0151】本注射剤は、単体で、または、他のビタミ
ン、ミネラルなどと混合して筋肉内又は静脈内に投与で
きる。また、本品は、低温貯蔵の必要もなく、使用に際
しての生理食塩水などへの溶解性は極めて良好である。
【0152】本品は、ビタミンP補給としてだけでな
く、抗酸化剤として活性酸素の除去、過酸化脂質の生成
抑制などの効果を発揮し、ウイルス性疾患、細菌性疾
患、循環器疾患、悪性腫瘍など各種疾患の予防剤、治療
剤に有利に利用できる。
【0153】
【実施例5】<注射剤>塩化ナトリウム6重量部、塩化
カリウム0.3重量部、塩化カルシウム0.2重量部、
乳酸ナトリウム3.1重量部、マルトース45重量部及
び参考例A−6の方法で得た高純度4−α−D−グル
コピラノシル ルチン粉末2重量部を水1,000重量
部に溶解し、常法に従って、精製濾過してパイロゲンフ
リーとし、この溶液を滅菌したプラスチック容器に25
0mLずつ充填して注射剤を製造した。
【0154】本品は、ビタミンP補給としてだけでな
く、カロリー補給、ミネラル補給、更には、活性酸素の
除去、過酸化脂質の生成抑制のための注射剤で、病中、
病後の治療促進、回復促進、更には、ウイルス性疾患、
細菌性疾患、循環器疾患、悪性腫瘍など各種疾患の予防
剤、治療剤などに有利に利用できる。
【0155】
【実施例6】<経管栄養剤>結晶性α−マルトース20
重量部、グリシン1.1重量部、グルタミン酸ナトリウ
ム0.18重量部、食塩1.2重量部、クエン酸1重量
部、乳酸カルシウム0.4重量部、炭酸マグネシウム
0.1重量部、参考例A−5の方法で得た粉末状4
α−D−グルコピラノシル ルチン製品0.1重量部、
チアミン0.01重量部及びリボフラビン0.01重量
部からなる配合物を調製する。この配合物24gずつを
ラミネートアルミ製小袋に充填し、ヒートシールして経
管栄養剤を調製した。
【0156】本経管栄養剤は、一袋を約300乃至50
0mLの水に溶解し、経管方法により鼻腔、胃、腸など
への経口的又は非経口的栄養補給液としても有利に利用
できる。
【0157】
【発明の効果】本文で述べたごとく、本発明の新規物質
−α−D−グルコピラノシル ルチンは、ルチンの
分子吸光係数(黄色度)を保持しつつ、水溶性を3万倍
以上に高め、しかも、実質的に無味無臭で、毒性の懸念
もなく、生体内で容易にルチンとD−グルコースとに加
水分解され、ルチン本来の生理活性を発揮する。
【0158】また、この4−α−D−グルコピラノシ
ル ルチンが、ルチンと澱粉質とを含有する溶液に、糖
転移酵素とグルコアミラーゼとを作用させる生化学的手
法により容易に生成できることより、経済性に優れ、そ
の工業実施も容易である。
【0159】また、ルチンの仕込濃度を高めて反応させ
ることができ、4−α−D−グルコピラノシル ルチ
ンを容易に高濃度に生成しうることを見い出し、併せ
て、この反応液の精製に際して、反応液を多孔性合成吸
着剤と接触させて4−α−D−グルコピラノシル ル
チンを精製できることも見い出したことにより、4
α−D−グルコピラノシル ルチンの大量製造を容易に
するものである。
【0160】更に、4−α−D−グルコピラノシル
ルチンの過飽和溶液から晶出、分離することにより、よ
り高純度の4−α−D−グルコピラノシル ルチンの
製造方法を確立したことにより、その工業的実現を極め
て容易にするものである。
【0161】また、このようにして得られる4−α−
D−グルコピラノシル ルチンは、安全性の高い天然型
のビタミンP強化剤としてばかりでなく、黄色着色剤、
酸化防止剤、安定剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫
外線吸収剤、劣化防止剤などとして、飲食物、嗜好物、
飼料、餌料、抗感受性疾患剤、美肌剤、色白剤など化粧
品、更には、プラスチック製品など各種組成物への用途
に有利に利用される。
【0162】従って、本発明による4−α−D−グル
コピラノシル ルチンの確立とその工業的製造法並びに
用途の確立は、飲食品、化粧品、医薬品、プラスチック
産業における工業的意義が極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明4−α−D−グルコピラノシル ルチ
ンの紫外線吸収スペクトル図。
【図2】対照ルチンの紫外線吸収スペクトル図。
【図3】赤外線吸収スペクトルを示し、(I)は本発明
−α−D−グルコピラノシル ルチンの赤外線吸収
スペクトルを示し、(II)は対照ルチンのそれを示
す。
【図4】メタノール溶液から本発明4−α−D−グル
コピラノシル ルチンが晶出している結晶写真(40倍
に拡大)。
【図5】エタノール溶液から本発明4−α−D−グル
コピラノシル ルチンが晶出している結晶写真(40倍
に拡大)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61P 29/00 101 A61P 29/00 101 31/04 31/04 31/18 31/18 35/00 35/00 37/00 37/00 // C07H 17/07 C07H 17/07 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/7048 C07H 17/07 REGISTRY(STN) CA(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化学式1で表される4−α−D−
    グルコピラノシルルチンを含有せしめた、当該4 −α
    −D−グルコピラノシル ルチンが生体内の酵素により
    加水分解されて生成するルチンによって予防若しくは治
    療される疾患のための、抗感受性疾患剤。 【化1】
  2. 【請求項2】 4−α−D−グルコピラノシル ルチ
    ンが結晶である請求項1記載の抗感受性疾患剤。
  3. 【請求項3】 4−α−D−グルコピラノシル ルチ
    ンが、純度75w/w%以上の4−α−D−グルコピ
    ラノシル ルチンである請求項1又は2記載の抗感受性
    疾患剤。
  4. 【請求項4】 4−α−D−グルコピラノシル ルチ
    ンとともに、チアミン、リボフラビン、ビタミンCおよ
    びビタミンEから選ばれるビタミンを含有することを特
    徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の抗感受性疾
    患剤。
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