JP3472658B2 - アニオン交換樹脂の回生方法 - Google Patents

アニオン交換樹脂の回生方法

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JP3472658B2 JP01577496A JP1577496A JP3472658B2 JP 3472658 B2 JP3472658 B2 JP 3472658B2 JP 01577496 A JP01577496 A JP 01577496A JP 1577496 A JP1577496 A JP 1577496A JP 3472658 B2 JP3472658 B2 JP 3472658B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アニオン交換樹脂
の回生方法、詳しくはスルホン酸基を含む高分子有機物
で汚染されたアニオン交換樹脂の回生方法に関する。
【0002】
【従来技術】沸騰水型原子炉(BWR)や新型転換炉
(ATR)の原子力発電所では、原子炉−タービンの間
で水(蒸気)を循環させる給・復水系統において炉水の
水質を高純度に維持するため、冷却・凝縮させた復水中
の微粒子,イオン等の不純物を除去する浄化処理をした
のち原子炉に給水する。この浄化処理の手段としては一
般に復水脱塩装置が用いられるが、場合により復水脱塩
装置の前段に濾過装置を配置する場合もある。
【0003】上記の復水脱塩装置には、復水中の陰イオ
ン(アニオン)を除去するアニオン交換樹脂と陽イオン
(カチオン)を除去するカチオン交換樹脂とを混合した
混床式の脱塩塔が用いられ、また、イオン交換性能を監
視しながら所定のタイミングであるいは定時の期間ごと
にイオン交換樹脂を再生処理して再使用するために通水
系外に再生設備が設けられている。ここで「再生処理」
というのは、通水により復水中のイオンを交換吸着して
低下したイオン交換樹脂のイオン交換能力を、酸又はア
ルカリの再生剤でイオン交換基を−H型、−OH型に戻
すための処理をいう。
【0004】また再生処理を行っても、イオン交換樹脂
は経時的に劣化(酸化劣化)することから、次第に脱塩
能力(イオン除去能力)が低下したイオン交換樹脂は所
定期間ごとに交換される。
【0005】ところで、イオン交換樹脂が酸化劣化する
場合、劣化に伴って分解した高分子有機物がイオン交換
樹脂から溶出し、溶出した高分子有機物は、対をなすイ
オン交換樹脂に吸着されてイオン交換樹脂の脱塩能力を
大きく低下させることが最近分かってきた。その詳細な
実態は必ずしも明らかではないが、カチオン交換樹脂か
らの溶出物は対をなすアニオン交換樹脂に、またアニオ
ン交換樹脂からの溶出物は対をなすカチオン交換樹脂に
吸着されて、それぞれのイオン交換樹脂を汚染し脱塩能
力を低下させる。
【0006】このようなイオン交換樹脂から高分子有機
物が溶出するという問題は、使用によるイオン交換樹脂
の経時的な酸化劣化に伴う場合のみならず、製造過程で
の未反応物や副生物を含んでいる新品樹脂についてもそ
の洗浄除去が十分に行えないために問題となり、特公平
5−30504号公報では、新品樹脂を使用した場合に
高分子有機物が原子炉への給水中に漏洩して含まれるこ
との弊害を防ぐという観点から、むしろ積極的に、対を
なす一方のイオン交換樹脂から溶出する高分子有機物を
他方のイオン交換樹脂に吸着させて固定させる提案をし
ている。
【0007】また、カチオン交換樹脂の酸化劣化に伴っ
て溶出したスルホン酸基を含む高分子有機物でアニオン
交換樹脂が汚染され、脱塩能力が低下すると、その回復
は困難であるため、汚染の原因となるカチオン交換樹脂
の劣化を防止する提案もされている(特開平7−181
296号公報)。
【0008】更に又、混床状態で保管されるなどのため
に回復困難な汚染が進行するイオン交換樹脂の合理的な
運用を図るために、対をなすイオン交換樹脂からの溶出
高分子有機物の吸着によるイオン交換樹脂の脱塩性能劣
化がその吸着量に比例するという知見に基づいて、イオ
ン交換樹脂の溶出量と溶出物の分子量の測定結果から脱
塩性能低下割合を評価するという提案もある(特開平7
−159587号)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、対をなすイオ
ン交換樹脂からの溶出高分子有機物を吸着して汚染され
たイオン交換樹脂は、単純な洗浄処理や通常の薬品再生
処理によっては殆ど除去できず、回生のための適当な処
理方法も従来ないため、汚染により低下した脱塩能力を
回復させて樹脂寿命を延長させることはできなかった。
なお、イオン交換樹脂の上記「回生処理」とは、高分子
有機物の吸着により再生処理では回復しない汚染により
イオン交換能力が適切に発揮できない状態となって脱塩
能力が低下したイオン交換樹脂について、低下した脱塩
能力をその汚染の除去等により回復させる処理をいう。
【0010】上記の対をなすイオン交換樹脂からの溶出
高分子有機物により汚染されたイオン交換樹脂の脱塩能
力を回復させる回生が容易でないのは、例えばカチオン
交換樹脂からの溶出物であるスルホン酸基を含む高分子
有機物が、イオン交換能力を阻害するようにアニオン交
換樹脂に吸着固定した状態からの復元が容易でないため
と推定される。
【0011】本発明者は、以上のようなイオン交換樹脂
からの溶出高分子有機物を吸着して汚染されたイオン交
換樹脂、特にアニオン交換樹脂の脱塩能力を回復させる
方法について鋭意研究を行った結果、脱塩能力の低下し
たアニオン交換樹脂を高温の温水に長時間に渡り浸漬し
た場合に顕著な脱塩能力の回復が得られるという事実を
知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0012】かかる知見に基づいてなされた本発明の目
的とするところは、スルホン酸基を含む高分子有機物に
より汚染されたアニオン交換樹脂の回生方法を提供する
ところにある。
【0013】また本発明の別の目的は、原子力発電所の
復水脱塩装置でカチオン交換樹脂と混合して用いられて
いるアニオン交換樹脂の脱塩能力を回復し、これにより
イオン交換樹脂の寿命延長を可能とし、廃棄物量を削減
することに有効なアニオン交換樹脂の回生方法を提供す
るところにある。
【0014】更に本発明の別の目的は、回生処理におい
て用いる洗浄水等が少なく、従って原子力発電所の復水
系からの排水量が少ないという利点のあるアニオン交換
樹脂の回生方法を提供するところにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を実現する本発
明となるアニオン交換樹脂の回生方法の特徴は、スルホ
ン酸基を含む高分子有機物で汚染されたアニオン交換樹
脂を50〜60℃の温水に12時間以上、好ましくは2
4時間以上、最適には24〜36時間の間、接触させる
ところにある。
【0016】上記の「温水」は、純水,超純水と呼ばれ
る高純度な水を用いることが好ましい。アニオン交換樹
脂の温水との接触は、一般的には静水に浸漬することを
いうが、浸漬途中で温水を交換することを除外するもの
ではなく、例えば所定時間毎に交換するようにしてもよ
い。また温水を連続的に通水して接触させることもでき
るが、排水量が多くなるため、排水量をできるだけ少な
くすることが望まれる用途にあっては連続通水せずに浸
漬する方式を採ることが好ましい。
【0017】上記の静水状態の温水にアニオン交換樹脂
を浸漬させる場合には、例えば窒素ガス等のバブリング
により温水を攪拌することも好ましい。
【0018】浸漬する温水の温度が50℃未満である
と、汚染物質の除去が遅く常温では極めて長時間に渡っ
て浸漬しても実質的に除去が進行しない。また温度が6
0℃を越えると、アニオン交換樹脂の劣化を招く傾向が
現れるので好ましくない。また温水に浸漬する時間が1
2時間未満であると汚染物質の除去が不十分であり、ア
ニオン樹脂の脱塩能力の回復が小さいために12時間以
上浸漬することが必要である。またあまり長時間浸漬し
ても脱塩能力の回復には限度があるので、72時間以下
の浸漬で足りる。
【0019】上記のスルホン酸基を含む高分子有機物
は、カチオン交換樹脂の一般的な酸化劣化に伴って溶出
するものの他、原子炉冷却水が復水系に流入して原子炉
冷却水中の過酸化水素がカチオン交換樹脂と接触して生
じた急激な劣化に伴って溶出したものが代表的であり、
カチオン交換樹脂と混合して用いられる場合のアニオン
交換樹脂の脱塩能力を低下させる汚染物質の代表的な高
分子有機物である。
【0020】本発明方法によるアニオン交換樹脂の回生
処理は、アニオン交換樹脂とスルホン酸基を有するカチ
オン交換樹脂とが混合充填された原子力発電所の復水脱
塩装置のイオン交換樹脂、特にアニオン交換樹脂を回生
処理する方法として好適に適用される。この回生処理
は、既設の原子力発電所においては、イオン交換樹脂の
再生設備を用いて実施することもでき、また再生処理と
は別個に実施できる他、再生処理時に、再生処理と併せ
て実施することもできる。例えば、脱塩塔内のイオン交
換樹脂を逆洗分離塔に移送して、樹脂に付着したクラッ
ド等の懸濁物質を逆洗除去した後、両イオン交換樹脂を
逆洗分離し、上層に分離したアニオン交換樹脂をアニオ
ン樹脂再生塔に移送して再生処理する際に、まずアニオ
ン交換樹脂に再生剤(例えばNaOH溶液)を通薬して
再生し、再生剤を水に置換し十分に洗浄した後、上述し
た温度範囲の温水をアニオン樹脂再生塔に充填してアニ
オン交換樹脂を12時間以上浸漬させる。なお温水の温
度変動は上記範囲内であれば差し支えないが、該温度範
囲を外れるまで変動とすると、必要な浸漬時間の延長や
樹脂の劣化等の弊害を招くので、適宜の温調手段を用い
るか適宜の時間で温水を置換することで、上記温度範囲
に温水温度を維持するようにすることがよい。温水に浸
漬したアニオン交換樹脂は、再洗浄した後、逆洗分離塔
に戻し、カチオン交換樹脂と混合される。アニオン交換
樹脂の再洗浄は、常温〜60℃の水を用いて行うことが
できる。
【0021】また、上記アニオン交換樹脂の再生,回生
処理の際に、逆洗分離したカチオン交換樹脂を、逆洗分
離塔内において再生剤を通薬して再生処理してもよく、
この場合には通常の再生,洗浄を行うことができる。
【0022】本発明方法により復水脱塩装置のイオン交
換樹脂を再生,回生処理するためには、以上説明した逆
洗分離塔、アニオン樹脂再生塔を有する再生設備で実施
できる他、既知のいずれの構成を有する再生設備であっ
ても、アニオン交換樹脂をカチオン交換樹脂と分離した
状態で50〜60℃の温水に12時間以上接触させるこ
とができるものであれば、特に例外なく実施することが
できる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下本発明を図面に基づいて更に
説明する。
【0024】図1は、BWR型原子力発電所の復水系に
おける復水脱塩装置と再生設備の関係を示したものであ
り、この図において1は復水脱塩装置の脱塩塔であり、
復水器(図示せず)で水にもどされた復水が塔上部の復
水入口から導入され、アニオン交換樹脂とカチオン交換
樹脂が混合された混床ベッド2を通ってイオン交換処理
等により該水中に含まれる不純物イオン等を除去した
後、復水出口から原子炉側に返送される。
【0025】3は分離塔を兼ねたカチオン樹脂再生塔で
あり、上記脱塩塔1から移送管4により混合樹脂が塔上
部から送り込まれるように連結されていると共に、戻し
移送管5により塔底部から塔内の樹脂を脱塩塔1に戻し
移送できるように連結されている。また塔の上下方向中
間部から、その上部の樹脂を取り出して移送管6を介し
てアニオン樹脂再生塔7に送り込むことができるように
連結されている。8はアニオン樹脂再生塔7の底部から
塔内の樹脂をカチオン樹脂再生塔3に戻し移送できるよ
うに連結された戻し移送管である。
【0026】9はカチオン樹脂再生塔3の塔内上部に設
けられた再生剤通液手段(デストリビュータ)であり、
再生用水供給管10の通水時にエゼクタ11によりカチ
オン交換樹脂再生剤品(例えば硫酸溶液)を混合して通
薬するようになっている。12は通液した再生剤の排出
管である。なおその他このカチオン樹脂再生塔3には、
樹脂の逆洗分離のための逆洗手段、樹脂移送のためのラ
イン等が設けられるが、図示を省略している。
【0027】13はアニオン樹脂再生塔7の塔内上部に
設けられた再生剤通液と温水充填とに兼用される通液手
段(デストリビュータ)であり、再生用水弁23、アニ
オン再生塔通液入口弁17及び再生剤(例えばNaO
H)出口弁22を開とし、ミキシングエゼクタ21によ
り再生剤(例えばNaOH)を吸引、又はポンプ24
より導き、更に蒸気出口弁20開により蒸気を導き、再
生用水により適当な濃度に稀釈された再生剤(例えばN
aOH)を消音器(サイレンサ)19内で蒸気により5
5℃に加温しながら、アニオン再生塔通液入口弁17を
開とし、供給管15を通して塔内に再生剤(例えばNa
OH溶液)が通液される。16は通液した再生剤等の排
出管である。また、上記ライン構成状態で再生剤(例え
ばNaOH)出口弁22を閉とする(ポンプ24設置の
場合はポンプを停止)とすることにより通水を切り換え
て温水をアニオン再生塔7に供給できるようになってい
る。18は供給する温水の温度を測定するための温度計
である。
【0028】以上の構成の再生設備は、カチオン再生塔
が分離混合塔を兼ねた従来既知の2塔式の再生設備であ
り、かかる構成の再生設備を図2,3で説明するように
運用することで、イオン交換樹脂の再生処理、アニオン
交換樹脂の回生処理を、必要に応じて選択して実施する
ことができる。
【0029】次に、図1の装置を用いて行うイオン交換
樹脂の再生処理と、アニオン交換樹脂の回生処理を併せ
て行う場合の操作一例を図2,3に基づいて説明する。
【0030】まず、再生,回生処理の開始前に、脱塩塔
1内に存在しているアニオン交換樹脂とカチオン交換樹
脂を、分離・混合塔を兼ねたカチオン樹脂再生塔3に移
送する(図2(a)参照)。
【0031】そしてこのカチオン樹脂再生塔3内の両イ
オン交換樹脂は、逆洗によりクラッド等の懸濁物質を除
去し、静置されて分離される。分離後、上部層は比重の
軽いアニオン交換樹脂層、下部層は比重の重いカチオン
交換樹脂層となり、上層に分離されたアニオン交換樹脂
は、アニオン樹脂再生塔7に移送される(図2(b)参
照)。
【0032】次に、アニオン再生塔7において、再生剤
(NaOH)の通薬によりアニオン交換樹脂の再生処理
を行う。この処理は、従来一般的なアニオン交換樹脂の
再生処理と同じ操作であるが、本例では、アニオン交換
樹脂の脱塩効率の回復効果をより向上させるための回生
処理の操作の一部(前段処理)と把握される。なおカチ
オン交換樹脂の再生を行う場合は、カチオン樹脂再生塔
3内でカチオン樹脂再生剤(硫酸)を通液することで再
生することができる(図2(c)参照)。処理操作につ
いては一般的方法に従って行うことができる。
【0033】次いで、再生処理の後、アニオン再生剤を
水で押し出して洗浄を行い、更にこのアニオン樹脂再生
塔7内に、再生処理した全アニオン交換樹脂が浸漬する
ように例えば60℃の温水を充填し、12時間以上静置
する。なおこの静置の間、温水が50〜60℃の温度範
囲に維持されるように、例えば6時間おきに塔内の温水
を排出し、新たに60℃の温水を充填して置換してもよ
い。またカチオン再生塔3内のカチオン交換樹脂は常温
水を充填して浸漬させておく(図3(a)参照)。
【0034】所定時間の経過後、塔内の温水を排出し、
適宜の洗浄を行った後、カチオン樹脂再生塔3に戻し、
再生処理した(又は再生処理しない)カチオン交換樹脂
と混合する(図3(b)参照)。
【0035】混合したイオン交換樹脂は脱塩塔1に戻
し、復水を脱塩するための混床ベッドを形成させる。
【0036】以上の処理を行うことで本発明方法による
イオン交換樹脂の再生処理,回生処理を終了する。
【0037】
【実施例】図1〜図3に基づいて説明した方法により、
アニオン交換樹脂の回生処理により、スルホン酸基を含
む高分子有機物で汚染されたアニオン交換樹脂の脱塩効
率の回復を行った。なお、脱塩効率の測定は下記に示す
シャローベッド試験法により行った。
【0038】(サンプル樹脂の粒径調整)サンプル樹脂
(アニオン交換樹脂)を篩に入れ、脱塩水中で篩を上下
左右に振動させながら篩い分けし、残留したサンプル樹
脂を除いた後、篩の目に詰まった樹脂を脱塩水を勢いよ
く流して外して粒径600μm〜710μmの樹脂だけ
を容器に移し入れる。同じ操作を繰り返して粒径600
μm〜710μmの樹脂だけを得る。
【0039】(通水試験)調整したサンプル樹脂をTa
p法により正確に2mlとり、ビーカーに入れてスラリ
ー状態とし、脱塩水で満たした下部にガラスフィルター
を有する試験用カラムに樹脂スラリーを充填し、温度を
一定(25℃)にして通水を開始する。通水開始と共に
カラムの入口と出口の水質(電気伝導度)を測定し、入
口と出口の水質が安定した段階で測定を終了する。
【0040】(脱塩率の計算)入口水と出口水の電気伝
導度(25℃換算)から脱塩率を求める。すなわち、通
水中の定常時に測定した電気伝導度を各々 (df):入口水電気伝導度(実測値) (dt):出口水電気伝導度(実測値) とすると、サンプル樹脂10mm層高当たりの脱塩率は
下記式で示される。
【0041】(1)NaCl吸着系 脱塩率(α)=[{(dt)-(df) }/{(df)*-(df)}]×
100(%) ただし(df)* は、入口電気伝導度に相当するCaC
3 濃度におけるNaOHaqの電気伝導度・・・μS
/cm×1.92 (2)HCl吸着系 脱塩率(α)=((dt)-(df) /(df))× 100(%) 実施例1 発電所で使用された復水脱塩装置のアニオン交換樹脂を
サンプル樹脂とし、その脱塩率を測定したところ7.3
%であった。
【0042】このアニオン交換樹脂の新品時の脱塩率は
32%であり、また該復水脱塩装置はスルホン酸基をイ
オン交換基として有するカチオン交換樹脂と混合して用
いているものであるから、該サンプル樹脂は使用に伴っ
てカチオン交換樹脂から溶出した高分子有機物で汚染さ
れていると考えられる。
【0043】このサンプル樹脂を、図1のアニオン再生
塔7を模擬した装置を用いて、通薬による再生処理を行
うことなく、55〜60℃の温水に静水状態で24時間
浸漬した後測定したところ、脱塩率は8%に回復した。
また浸漬を更に72時間延長した(通算浸漬時間96時
間)ところ、脱塩率は8.3%に回復した。
【0044】この例におけるアニオン交換樹脂の脱塩率
の回復は1%程度と一見比較的小さな数値であるである
ものの、定検時のイオン交換樹脂の交換を予め設定した
脱塩率の変遷を目安として行っている実際の運用におい
ては極めて有効な意義を有する。
【0045】実施例2 実施例1のサンプル樹脂を、温水に浸漬するに先だっ
て、濃度7%、温度55℃のNaOH溶液で通薬する再
生処理を行い、純水で洗浄する操作を行った後、55〜
60℃の温水に静水状態で24時間浸漬した後測定した
ところ、脱塩率は10.2%に回復した。
【0046】また浸漬を更に72時間延長した(通算浸
漬時間96時間)ところ、脱塩率は12.2%に回復し
た。
【0047】比較例1 比較のために、実施例1の再生処理しないサンプル樹脂
を常温(約25℃)の水に24時間浸漬しした後脱塩率
測定したところ、変化が見られなかった。
【0048】比較例2 また、浸漬溶液の種類による比較のために、実施例2で
再生処理したサンプル樹脂を、再生処理に用いた再生剤
(濃度7%、温度55℃のNaOH溶液)に静水状態で
24時間浸漬させた後脱塩率を測定したところ、その脱
塩率6.5%であり、脱塩率は再生処理のみを行った場
合よりもむしろ低下した。
【0049】実施例3 実施例1とは別の発電所で復水脱塩装置の混合アニオン
交換樹脂として使用されたイオン交換樹脂をサンプル樹
脂として、その脱塩率を測定したところ19%であっ
た。
【0050】このサンプル樹脂を、スルホン酸基をイオ
ン交換基として有するカチオン交換樹脂と混合し、過酸
化水素を含む水を通水した後その脱塩率を測定したとこ
ろ5%に低下した。この脱塩率の大幅な低下は、カチオ
ン交換樹脂が酸化劣化して生じた分解生成物であるスル
ホン酸基を含む高分子有機物により汚染されたことに原
因すると考えられる。
【0051】この汚染されたサンプル樹脂を、純水で洗
浄した後、図1のアニオン再生塔7を模擬した装置を用
いて濃度5%、温度55℃のNaOH溶液で通薬する再
生処理を行い、脱塩率を測定したところ、脱塩率は5%
であった。
【0052】次に、該再生処理したサンプル樹脂を、更
に、55〜60℃の温水に静水状態で12時間浸漬した
後測定したところ、脱塩率は11%に回復した。
【0053】実施例4 実施例3の温水(55〜60℃)への静水状態での浸漬
を36時間まで継続したところ、脱塩率は17%に回復
した。
【0054】比較例3 比較のために、実施例3で再生処理したサンプル樹脂
を、再生処理に用いた再生剤(濃度5%、温度55℃の
NaOH溶液)に静水状態で24時間浸漬させた後脱塩
率を測定したところ、脱塩率は同等ないし低下した。
【0055】
【発明の効果】本発明の方法によれば、従来は脱塩能力
の回復が困難と考えられていたスルホン酸基を含む高分
子有機物により汚染されたアニオン交換樹脂を回生する
ことができ、脱塩能力の回復により該アニオン交換樹脂
の寿命を延長することができるという効果がある。
【0056】また、原子力発電所の復水脱塩装置でカチ
オン交換樹脂と混合して用いられているアニオン交換樹
脂の脱塩能力を回復させることで、イオン交換樹脂の寿
命延長が可能となり、放射性廃棄物量を削減できるとい
う効果が得られる。
【0057】更にまた、本発明方法の回生処理は、用い
る洗浄水等が少なく、従って原子力発電所の復水系から
の排水量が少ないという利点もある。
【0058】尚、以上はBWR型原子力発電所の復水脱
塩装置を例にして説明したが、本発明はこれに限定され
るものではなく、本質的には、PWR型原子力発電所、
火力発電所等、スルホン酸基型カチオン交換樹脂とアニ
オン交換樹脂を混合して使用する復水脱塩装置に共通し
て適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】BWR型原子力発電所の復水系における復水脱
塩装置と再生設備の関係の一例を示した図。
【図2】図1の設備を用いて行うアニオン交換樹脂の回
生処理の手順を説明するための図。
【図3】図1の設備を用いて行うアニオン交換樹脂の回
生処理の手順を説明するための図。
【符号の説明】
1・・・脱塩塔、2・・・混床ベッド、3・・・逆洗分
離兼用カチオン樹脂再生塔、4・・・移送管、5・・・
戻し移送管、6・・・移送管、7・・・アニオン樹脂再
生塔、8・・・戻し移送管、9・・・再生剤通液手段、
11・・・エゼクタ、12・・・排出管、13・・・再
生剤通液と温水充填兼用の通液手段、15・・・供給
管、16・・・排出管、17・・・アニオン再生塔通液
入口弁、18・・・温度計。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−291645(JP,A) 特開 昭54−34545(JP,A) 特開 昭60−5231(JP,A) 特開 昭56−73547(JP,A) 特開 昭54−33884(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/42 B01J 47/00 - 49/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スルホン酸基を含む高分子有機物で汚染
    されたアニオン交換樹脂を50〜60℃の温水に12時
    間以上接触させることを特徴とするアニオン交換樹脂の
    回生方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、アニオン交換樹脂を
    汚染するスルホン酸基を含む高分子有機物が、カチオン
    交換樹脂からの溶出物によるものであることを特徴とす
    るアニオン交換樹脂の回生方法。
  3. 【請求項3】 アニオン交換樹脂と、スルホン酸基を有
    するカチオン交換樹脂とが混合充填された原子力発電所
    における復水脱塩装置において、カチオン交換樹脂から
    溶出したスルホン酸基を有する高分子有機物により汚染
    されて脱塩能力が低下したアニオン交換樹脂を回生する
    方法であって、逆洗分離によりカチオン交換樹脂と分離
    したアニオン交換樹脂を50〜60℃の温水に12時間
    以上接触させた後洗浄し、カチオン交換樹脂と混合する
    ことを特徴とする発電所における復水脱塩装置のイオン
    交換樹脂の回生方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、アニオン交換樹脂を
    50〜60℃の温水に12時間以上接触させるに先立っ
    て、このアニオン交換樹脂に再生剤を通薬し洗浄するこ
    とを特徴とする発電所における復水脱塩装置のイオン交
    換樹脂の回生方法。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4において、アニオン交換
    樹脂と混合するカチオン交換樹脂は、逆洗分離の後、再
    生剤を通薬し次いで洗浄することを特徴とする発電所に
    おける復水脱塩装置のイオン交換樹脂の回生方法。
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