JP3471059B2 - 熱障壁、その作成方法および使用材料 - Google Patents
熱障壁、その作成方法および使用材料Info
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Description
よび使用材料、およびその用途に関する。
部品、たとえはターボコンプレッサー、燃焼エンジン、
化学反応器などの主要な構成部分である。従ってそれ
は、それがないとその表面温度が許容限界を超えてその
結果表面溶融が起こったりあるいはその性質が劣化する
おそれのあるような或る種の、一般には金属製の構成部
分の過度の加熱を防ぐためのものである。
物または酸化物の混合物からなり、そのような酸化物ま
たは酸化物の混合物の化学的または物理的方法(たとえ
ば、陰極スパッタリングやプラズマトーチ)により保護
される基体上に沈着させることにより作られる。最も多
く使用される酸化物は酸化イットリウムで安定化された
ジルコニアであり、これは非常に高い温度に耐えうる。
ジルコニアの沈着はその粉状材料を使用する従来技術に
よりプラズマスパッタリングによって行う。ジルコニア
は低い熱拡散性を示す(α=10-6 m2 /s)。しかしな
がら、それは比較的高い密度ρを持ち、そのため或る種
の用途には不利である。そのうえ、その或る種の機械的
性質、たとえば硬度および擦れや磨耗に対する抵抗性は
低い。熱障壁として使用しうるもう1つの酸化物として
は、別の酸化物、たとえば二酸化チタニウムTiO2 で
安定化されたアルミナがある。アルミナはジルコニアよ
りも低い密度を持ちそしてジルコニアよりも高い拡散性
および比熱をもっているが、その機械的性質は満足しう
るものではない。
用して熱障壁を作ることもまた知られている。これらは
断熱性があるが密度が高い。熱障壁を備えた装置の多く
において、その温度サイクル変化はその熱障壁の寿命と
信頼性を決定する要素である。実際、後者は大きな振幅
(静止温度から名目上の作動温度まで)のまた長い周期
性(たとえば数時間)の温度変化に曝されるが、しかし
これはたとえば燃焼エンジンをスタートさせる時のよう
な非常に短い間に作ることができる。振幅が小さいがし
かし非常に速いサイクルの温度変調が、たとえばそこで
燃焼/排気サイクルが数十ヘルツの単位の間に行われる
自動車のエンジンにおけるようなこれらの急激な変化の
上に重ねられるのが普通である。
り、他方は熱障壁を構成する材料であるこれらの熱膨張
の違いにより発生する周期的な機械的応力が原因となっ
て、その熱障壁の疲労は非常に大きくなる。膨張係数の
違いは特にそれが酸化物からなる場合にその熱障壁の引
っ張り応力を増加させると思われるので、その損傷は一
般にその下の金属基材よりもむしろ熱障壁に非常に大き
な影響を与える。損傷は基材/熱障壁界面の近くの熱障
壁に集中し、そしてここでその剪断応力が最も高くな
る。こうして界面に平行な亀裂がおこり熱障壁が剥がれ
ることとなる。その保護能力の喪失は破滅的な結果とな
り、たとえばその下の金属が溶融することとなる。この
ような欠点を少なくしあるいはなくすために、これまで
金属基材と熱障壁との間に金属物質からなる結合層を配
置することが提案された。基材の膨張係数と熱障壁を構
成する材料の膨張係数との中間の膨張係数を持つ金属材
料を選択することにより、その界面における温度傾斜を
少なくすることができる。その界面応力が熱障壁の性質
に対して脅威となるような温度範囲において塑性を示す
ような金属合金を選択することにより、界面における温
度傾斜の作用を実際になくすことができる。当業界にお
いて最も一般的に使用されている材料はMCrAlYの
群に属するものであり、ここでMはニッケルのような金
属である。しかしながら、実際の熱障壁を構成する材料
層と組み合せて結合層が必要であるということは、温度
衝撃に曝される最終製品の寸法が一定の上限を超えるこ
とができなくなるという欠点がある。すなわち結合層を
付加するということは基材の寸法を小さくすることにな
り、これはその製品のその他の性質に対して悪影響を及
ぼすことになる。
る準結晶性アルミナ合金を熱保護成分として使用するこ
とが提案された。これは、その熱拡散性がジルコニアの
それに近いかあるいはそれよりも低くさえあり、しかも
650°C以上になると超塑性となるものであり、その
中には約1200°Cまでこの超塑性を維持するような
ものもある。
であるかあるいはそれに近似した相である1つまたはそ
れ以上の準結晶性相からなる合金である(デュボワ(Du
bois)らのヨーロッパ特許公開第521, 138号)。
厳密な意味での準結晶性相は置換対称とは一般に一致し
ない回転対称、すなわち5、8、10および12の準位
の回転軸の対称をもつ相であり、これらの対称は放射線
回折により露呈される。たとえば、点群m35の20面
体相および点群10/mm の10方晶相を挙げることがで
きる。
結晶構造が置換対称として残っていることから純結晶で
あるが、電子回折パターンではその対称が5、8、10
または12重回転軸に近い回折図を示すものである。
Fe10Cr5 の原子組成をもつ合金に特徴的な正斜方晶
相O1 を挙げることができる。ここでnm単位で表したそ
の単位格子定数は、a 0 (1) =2. 366, b 0 (1) =
1. 267, c 0 (1) =3.252である。この正斜方
晶相O1 は10方晶相に近似していることで知られてい
る。さらにまたそれはあまりに後者に近似していること
から、そのX線回折パターンを10方晶相のそれと区別
することが不可能である。
これはa R =3. 208 nm,α=36°の定数を持ち、
原子数で表してAl64Cu24Fe12に近似した組成の合
金中に存在する。この相は20面体相に近似した相であ
る。
とができる。これらはそれぞれナノメーター(nm)単位
で、a 0 (2) =3. 83, b 0 (2) =0. 41, c 0
(2) =5. 26およびa 0 (3) =3. 25, b 0 (3) =
0. 41, c 0 (3) =9. 8の定数をもち、原子数で表
してAl63Cu17.5Co 17.5Si2 の組成を持つ合金中
に存在する。さらにまた、正斜方晶相O4 を挙げること
ができる。これはナノメーター(nm)単位で、a 0 (4)
=1. 46, b 0 (4) =1. 23, c 0 (4) =1. 24
の定数をもち、原子数で表してAl63Cu8 Fe12Cr
12の組成を持つ合金中に形成される。
ができる。これは純準結晶性相またはそれに近似した相
と非常にしばしば共存して見られる。ある種のAl−C
u−FeおよびAl−Cu−Fe−Cr合金中に形成さ
れるこの相は、アルミニウム部位上の合金元素の化学的
準位によれば超構造からなるものである。その後者はC
s−Cl 型構造を形成してa 1 =0. 297 nm の格子
定数を持つ。この立方晶相の回折パターンとしては原子
数で表してAl65Cu20Fe15の組成を持つ純立方晶相
の1つのサンプルが開示されている。さらにまた、六方
晶構造の相H を挙げることができる。これは、Cおよび
H相の結晶間の電子顕微鏡により観察されるエピタキシ
ャルな関係により示されるようにそしてまた結晶格子定
数に関連づける基本的な関係、すなわち、a H =√2・
a 1 /√3(4. 5%以内まで)およびc H =3√3・
a 1 /2(2. 5%以内まで)により示されるように、
C相から直接に誘導される。この相は、ΦAlMnで表
され、40重量%のMnを含有するAl−Mn合金中に
発見された、六方晶相と同一構造型のものである。
される相は近似した組成を持つ準結晶性相に近似した相
の群を構成する。
て使用できる。さらに、それらは超塑性を有する故に、
あるものは場合によっては約1200°Cまでも、酸化
物からなる従来の熱障壁の結合層としてもまた使用でき
る。しかしながら、これらの合金の融点は保護されるべ
き或る種の製品が熱サイクルの間に到達する温度よりも
低い。この場合この熱障壁は破壊されてしまう。従っ
て、これらの材料は或る種の用途にのみ熱障壁を形成す
るのに適当である。
技術の熱障壁に使用された材料による熱保護と少なくと
も同程度に良好である熱保護を確実なものとし、しかも
高温においてもなお使用することのできる熱障壁を提案
することにより上記の短所を解決することである。
る。
方法を提供することにある。
の作成に使用する材料を提供することにある。
色々な用途に使用することにもある。
くとも1個の熱拡散性の低い耐火性酸化物と少なくとも
1個の準結晶性のアルミニウム合金とからなり、その準
結晶性合金の割合が約2ないし約30体積%である材料
からなることを特徴とする。耐火性酸化物は好ましくは
5mm2/sよりも低い、より好ましくは2mm2/sよりも低
い熱拡散性をもつ。ジルコニアおよびアルミナは本発明
の熱障壁を構成する材料として特に好ましい耐火性酸化
物である。ジルコニアはそれだけでまたはMgO,Ca
OまたはY2 O3 のような安定化用酸化物と混合して使
用することができる。好ましくは、それはそれだけで使
用するかまたは3重量%よりも少ないかまたはそれに等
しい量の安定化用酸化物と混合する。アルミナはTiO
2 を加えて安定化する。
は少なくとも80体積%の1つまたは多数の準結晶性相
からなるアルミニウム合金である。ここでその準結晶性
相は厳密な意味での準結晶性相であってもまた上記した
ような近似した相であってもよい。本発明の熱障壁を形
成する材料中の準結晶性合金の割合は好ましくは約5な
いし約20体積%である。
すものから選択するのが有利である。ここでその割合は
原子数基準である。
Ru, Rh, Ni, Mg, W, Siおよび希土類から選
択した少なくとも1個の元素であり、Iは不可避的な製
造工程による不純物であり、そして原子数基準で、0≦
g≦2, 14≦b≦30, 7≦c≦20, 0≦e≦1
0, c+e≧10およびa+b+c+e+g=100%
である。
した少なくとも1個の元素であり、YはV, Mo, T
i, Zr, Nb, Cr, Mn, Ru, Rh, Ni,Mg,
W, Hf, Taおよび希土類から選択した少なくとも
1個の元素であり、Iは不可避的な製造工程による不純
物であり、そして原子数基準で、0≦g≦2, 14≦b
≦30, 7≦c≦20, 0≦d≦5, 21≦b+c+e
≦45およびa+b+c+d+e+g=100%であ
る。
た少なくとも1個の半金属であり、YはFe, Mn,
V, Ni, Cr, Zr, Hf, Mo, W, Nb, Ti,
Rh, Ru, ReおよびTaから選択した少なくとも1
個の金属であり、Tは少なくとも1個の希土類であり、
Iは不可避的な製造工程による不純物であり、そして原
子数基準で、a+b+c+d+e+f+g=100原子
%, 15≦b≦25, 6≦c≦16, 21≦b+c+e
≦45, 0≦f≦4, 0≦g≦2, 0≦d≦5である。
た少なくとも1個の半金属であり、YはFe, Mn,
V, Ni, Cr, Zr, Hf, Mo, W, Nb, Ti,
Rh, Ru, Reから選択した少なくとも1個の金属で
あり、Tは少なくとも1個の希土類であり、Iは不可避
的な製造工程による不純物であり、そして原子数基準
で、a+b+c+d+e+f+g=100原子%, 14
≦b≦27, 8≦c≦24, 28≦b+c+e≦45,
0≦f≦4, 0≦d≦5, 0≦g≦2である。
した少なくとも1個の元素であり、YはV, Mo, C
r, Mn, Fe, Co,Ni, Ru, RhおよびPdか
ら選択した少なくとも1個の元素であり、Iは不可避的
な製造工程による不純物であり、そして原子数基準で、
0≦g≦2, 0≦d≦5, 18≦e≦29およびa+d
+e+g=100%である。
o, V, Mg, ZnおよびPdから選択した少なくとも
1個の元素であり、NはW, Ti, Zr, Hf, Rh,
Nb, Ta, Y, Si, Geおよび希土類から選択した
少なくとも1個の元素であり、そして原子数基準で、a
≧50, 0≦b≦14, 0≦b’≦22, 0≦b+b’
≦30, 0≦c≦5, 8≦d≦30およびc+d≧10
である。
ができる。
性酸化物と準結晶性合金との混合物を気相で沈着させる
ことによって作成する。気相での混合は陰極スパッタリ
ングによって行うことができる。この操作は2個の異な
るターゲット、すなわち1つは耐火性酸化物でありもう
1つは準結晶性合金である出発物を使用するか、あるい
は適当な割合の耐火性酸化物と準結晶性アルミニウム合
金との混合物からなる材料から得た1個のターゲットを
出発物として使用して行う。
の沈着を、溶融状態の耐火性酸化物と準結晶性アルミニ
ウム合金との混合物から行うものである。この溶融状態
の混合物は適当な装置を使用して粉末を溶融することに
よって得ることができ、これを基材の表面にスプレーす
る。この方法を行うための特に有利な装置は耐火性酸化
物、特にジルコニアを容易に溶かすことのできるプラズ
マトーチである。適当な割合の耐火性酸化物粉末と準結
晶性アルミニウム合金粉末との混合物からなる粉末を使
用するのが特に有利である。また耐火性酸化物と準結晶
性合金とを別々にプラズマ中に注入することもできる。
この場合、注入のための方法および材料の相対的割合に
よって熱障壁の均質度を制御することができる。
への沈着を、耐火性酸化物と上記した1つまたは多数の
準結晶性合金とを含有する可撓性のコードを使用して材
料を供給する酸素ガストーチを使用して行うものであ
る。ここで準結晶性合金の割合は30体積%を超えない
ものである。このコードはたとえばフランス特許公開第
2, 673, 871号に記載の方法により、上記した耐
火性酸化物と上記した1つまたは多数の準結晶性合金と
を出発物質として使用して作る。ここで、これらの構成
成分は例えば破砕することによってあらかじめ粉末とし
ておき、その耐火性酸化物の粒径はできるだけ細かいも
のとしそして準結晶性合金のそれは好ましくは10ない
し40μm の準位のものであるようにしておく。有機助
剤および有機性の外装を使用してこのコードに良好な機
械的性質を付与する。コードの一端がトーチの炎中に入
り込むと、準結晶性粒が溶けてしっかり酸化物粒の被覆
となり、次いで密着した熱障壁を作りそしてこれは熱衝
撃に対して抵抗性のあるものとなる。このコード中の準
結晶性体の体積割合は15ないし20体積%の間にある
のが特に好ましい。
好ましくは2mm2/sよりも低い熱拡散性を有する少
なくとも1つの耐火性酸化物の粉末と上記した少なくと
も1つの準結晶性アルミニウム合金の粉末との混合物か
らなる材料を出発物質として使用して有利に行うことが
できる。ここでこの材料中の準結晶性合金の体積割合は
約2ないし約30体積%であり、そしてこれら粉末はそ
の混合物が良く流動するような粒径を持ちしかも10な
いし45μmの範囲の粒径分布を持つ。熱障壁を作成す
るのに特に有利な材料は、その中において耐火性酸化物
が純粋なジルコニアであるかまたは少量の安定化用酸化
物で安定化されたジルコニアであるような上記した粉末
である。安定化用酸化物はCaO,MgOおよびY2O
2から選択され、そしてその量は3重量%よりも少ない
かまたはそれと同じであるのが有利である。
特殊な粉状材料を使用するが、これはそれらの基材上へ
の沈着をプラズマトーチを使用して行う場合に特に好ま
しいものである。
と準結晶性合金)の熱伝導度が等しいので、熱伝導に関
して均質である材料からなる。一方において、準結晶性
合金は非常に高温では超塑性となるかあるいは液状でさ
えもあるが酸化物は固状のしかし脆い物質のままである
ので、これらは高温における機械的性質に関する限り不
均質である。従って酸化物が熱障壁の機械的性質を確固
たるものにしている。準結晶性合金は超塑性かまたは液
状となることによって、熱衝撃の際高温で熱障壁/基材
界面ならびに酸化物粒子との結合部において発生する応
力を吸収し、従ってその混合物が微視的にみて物理的に
均質であるよりもより良いわけである。このような性質
があることから、酸化物だけからなる従来の熱障壁にお
いて使用されていた結合層の厚さを実質的に薄くし、あ
るいはこの層を使用しないことさえ可能である。
部分、航空または航空宇宙用構成品、自動車のエンジン
の構成部分、化学反応器、あるいは家庭電化製品の保護
に特に有用である。
明しよう。なおこれら実施例は限定的なものではない。
を、同組成を持つ液状合金をアルゴン粒と一緒に従来法
によりスプレーすることにより粉末形として製造した。
こうして得られた粉末は35ないし40μm に中心を持
つ粒径分布を持つ。この合金の熱拡散度αは大気温度に
おいて0. 7×10-6 m2 /sである。
物を使用した。1つは20重量%の酸化イットリウムY
2 O3 を含むジルコニア(サンプル番号Z0, Z2, Z
5およびZ15)で、もう1つは3重量%の二酸化チタ
ンTiO2 を含むアルミナ(サンプル番号T0, T2,
T5およびT15)である。その粒径分布は35ないし
40μm を中心とするものであった。
て試料を作成した。合金粉末と酸化物粉末とを別々に、
プラズマの各々の側に設けた2つの注入器によってプラ
ズマ炎の頂部に注入した。熱障壁のこれら2つの成分は
プラズマ内部で混合された。準結晶性合金粉末用の注入
器の流速をいろいろに変えることによって、熱障壁中の
合金の体積割合をそれぞれ0%, 2%, 5%および15
%に近い値になるようにした。酸化物粉末用の注入器は
全サンプルとも同じ流速とした。
法によりセット して行った。すなわち、下記の通りであ
る。
径と2mmの厚さを持つ。
気温度で測定した。これはHg−Cd−Te半導体検知
器とレーザーフラッシュ法とを組み合せた実験室装置を
使用して測定した。レーザーは5×10-4秒間に20J
ないし30Jの出力パルスを与え、そして試料の前面を
加熱するように使用した。半導体温度計を使用して試料
の反対側の熱応答を検知した。熱拡散度は、エイ・ジョ
バンニ(A. Degiovanni )著の「ハイ・テンパラチャー
・ハイ・プレッシャー(High Temp.− High Pressure)
17(1983)、683ページに記載の方法を使用し
て実験結果から演繹した。筒状の試料の特性および測定
結果を下記の表1に比較して示した。これから、ジルコ
ニア/準結晶性合金混合物の熱伝導性はジルコニアだけ
のそれに非常に近似していることがはっきりと分かる。
さらに、アルミナ/準結晶性合金混合物の熱伝導性はア
ルミナだけのそれよりも低いことも分かる。
て熱拡散度を測定した。加熱速度を5°C/分にセット
し、20°Cないし1150°Cの温度範囲において測
定した。結果を図1および2に比較して示した。図1は
サンプル番号Z0(図中黒丸の曲線)およびサンプル番
号Z15(図中黒丸のない曲線)について加熱中(実線
の曲線)および冷却中(破線の曲線)における温度関数
としての熱拡散度の変化を示す。図2はサンプル番号T
0(図中黒丸の曲線)およびサンプル番号T15(図中
黒丸のない曲線)について加熱中における温度関数とし
ての熱拡散度の変化を示す。これらから、1つにはジル
コニアに、もう1つにはアルミナに準結晶性合金を加え
た場合でもこれらの材料の熱障壁としての性質を劣化さ
せることはなく、むしろ場合によってはそれらを改善さ
えすることがはっきりと分かる。
した準結晶性合金は実施例1のものである。
いて、その粒径分布は35ないし40μm に中心を持つ
もであった。作成した試料は厚さ2mmの鋼板上に沈着さ
せた5cm×5cmの熱障壁からなるものである。
た。
については、鋼板の表面を常法によりカーボランダム
(炭化珪素)でサンデイングしてから実施例1の合金か
らなる0. 2mmの厚さの結合層を被覆したのちに、実施
例2の方法に従ってその鋼板上に熱障壁の沈着を行っ
た。
は実施例2の方法に従って鋼板上に熱障壁の沈着を行っ
たが、これらの場合は、その表面を常法によりカーボラ
ンダムでサンデイングした後にこれに結合層を被覆する
ことなく、3重量%の酸化マグネシウムを含むジルコニ
アと実施例1の準結晶性合金とからなるあらかじめ作成
した混合物をスプレーした。
壁のサンプルの熱衝撃を与えた。この目的のために、鋼
板を直径80cmの円形の耐火物支持体上に互いに90°
の角度で結び付けた。この支持体を4回転/分の速度で
回転させた。2本の酸素−プロパントーチを互いに10
cm離して配置して支持体が1回転する毎にサンプルがト
ーチの炎に曝されるようにした。
熱障壁から3cm離しておき、2番目のトーチのそれは8
cm離しておいた。ガスの流速は、熱障壁が最初のトーチ
の炎中に滞留する間にその表面温度が1350°Cにな
るように調節した。最初のトーチの炎の衝撃直径は高温
に加熱された面積の寸法から1. 5cmであると推測され
た。
うにした。熱障壁をこの2番目のトーチの領域から離し
た後に空気中の自然対流によって冷却して250°Cの
温度にした後に再びこれらを最初のトーチに触れさせ
た。上記の寸法と回転速度とを考慮すると、熱衝撃中の
加熱速度は約1100°Cの温度において104°C/
秒に近いものであった。さらに、この最高温度は使用し
た準結晶性合金の融点より高いものであることに留意す
るべきである。
なお、熱障壁サンプルZA5a,ZA15a,ZA15b,Z
A5c およびZA15c 、即ち少なくとも5%の準結晶
性合金を含有する材料からなる熱障壁サンプルの全部が
実験を終了するまで400回の熱衝撃に耐えた。熱障壁
サンプルZA2a は約150回の熱衝撃に耐えた。一
方、熱障壁サンプルZA0a とZA0b とはそれぞれ5
回と20回の熱衝撃に耐えた。
の熱衝撃の後で適当に磨いてから通常の顕微鏡で観察し
た。その顕微鏡写真(120倍)から、400回の熱衝
撃の後の材料はもとの材料と全く同じままであったこと
が分かった。これよりこのサンプルが熱衝撃に対して優
れた抵抗性を有していることが分かる。
掛けの表面状態を示す4倍の肉眼図を、ZA0b につい
ては20回の熱衝撃の後に、またZA15b については
400回の熱衝撃の後に作成した。サンプルZA15bの
表面状態にはその肉眼図において劣化は見られないが、
サンプルZA0b にはたくさんの亀裂が見られる。
来技術において熱障壁として使用されていた材料のそれ
と少なくとも同様に低い熱拡散性を有するばかりでな
く、更に、前者は著しく改善された耐熱衝撃性を有する
ことが確認される。この耐熱衝撃性における改善は結合
層がない場合にも達成されている。しかしながら、後者
(結合層)はその他の性質、たとえば耐腐食性を付与す
るのに有用であろう。耐熱衝撃性における改善はまた純
粋なジルコニアまたは非常に少量の安定化用酸化物を含
有するジルコニアを使用した場合にも達成される。この
ように本発明においては、熱障壁を作成するのにジルコ
ニアを使用する場合に、従来技術において必要とされた
20%程度の酸化イットリウムを使用しなくてもよくな
った。
ンプル番号Z15(図中黒丸のない曲線)について加熱
中(実線の曲線)および冷却中(破線の曲線)における
温度関数としての熱拡散度の変化を示す。
ンプル番号T15(図中黒丸のない曲線)について加熱
中における温度関数としての熱拡散度の変化を示す。
Claims (14)
- 【請求項1】5mm2/sよりも低い熱拡散性をもつ少
なくとも1個の耐火性酸化物と、少なくとも1個の、少
なくとも1つの準結晶性相を少なくとも80体積%含む
準結晶性のアルミニウム合金とからなり、その準結晶性
合金の材料中の割合が2ないし30体積%である材料か
らなることを特徴とする熱障壁。 - 【請求項2】耐火性酸化物が純粋なまたは安定化された
ジルコニアおよび安定化されたアルミナから選択したも
のである、請求項1に記載の熱障壁。 - 【請求項3】耐火性酸化物が3重量%より多くないMg
O,CaOまたはY2O3の添加によって安定化された
ジルコニア、およびTiO2の添加によって安定化され
たアルミナから選択したものである、請求項1に記載の
熱障壁。 - 【請求項4】その構成材料が5ないし20体積%の準結
晶性のアルミニウム合金を含有するものである、請求項
1に記載の熱障壁。 - 【請求項5】準結晶性合金が下記の名目組成(ここでそ
の割合は原子数基準である)の1つを示すものから選択
したものである、請求項1に記載の熱障壁。 AlaCubFecYeIg(I) (ここでYはV,Mo,Ti,Zr,Nb,Cr,M
n,Ru,Rh,Ni,Mg,W,Siおよび希土類か
ら選択した少なくとも1個の元素であり、Iは不可避的
な製造工程による不純物であり、そして原子数基準で、
0≦g≦2,14≦b≦30,7≦c≦20,0≦e≦
10,c+e≧10およびa+b+c+d+e+g=1
00%である。) AlaCubFecXdYeIg(II) (ここでXはB,C,P,S,GeおよびSiから選択
した少なくとも1個の元素であり、YはV,Mo,T
i,Zr,Nb,Cr,Mn,Ru,Rh,Ni,M
g,W,Hf,Taおよび希土類から選択した少なくと
も1個の元素であり、Iは不可避的な製造工程による不
純物であり、そして原子数基準で、0≦g≦2,14≦
b≦30,7≦c≦20,0≦d≦5,21≦b+c+
e≦45およびa+b+c+d+e+g=100%であ
る。) AlaPdbMncXdYeTfIg(III) (ここでXはB,C,Si,Ge,PおよびSから選択
した少なくとも1個の半金属であり、YはFe,Mn,
V,Ni,Cr,Zr,Hf,Mo,W,Nb,Ti,
Rh,Ru,ReおよびTaから選択した少なくとも1
個の金属であり、Tは少なくとも1個の希土類であり、
Iは不可避的な製造工程による不純物であり、そして原
子数基準で、a+b+c+d+e+f+g=100原子
%,15≦b≦25,6≦c≦16,21≦b+c+e
≦45,0≦f≦4,0≦g≦2,0≦d≦5であ
る。) AlaCubCocXdYeTfIg(IV) (ここでXはB,C,Si,Ge,PおよびSから選択
した少なくとも1個の半金属であり、YはFe,Mn,
V,Ni,Cr,Zr,Hf,Mo,W,Nb,Ti,
Rh,Ru,Reから選択した少なくとも1個の金属で
あり、Tは少なくとも1個の希土類であり、Iは不可避
的な製造工程による不純物であり、そして原子数基準
で、a+b+c+d+e+f+g=100原子%,14
≦b≦27,8≦c≦24,28≦b+c+e≦45,
0≦f≦4,0≦d≦5,0≦g≦2である。) AlaXdYeIg(V) (ここでXはB,C,P,Se,GeおよびSiから選
択した少なくとも1個の元素であり、YはV,Mo,C
r,Mn,Fe,Co,Ni,Ru,RhおよびPdか
ら選択した少なくとも1個の元素であり、Iは不可避的
な製造工程による不純物であり、そして原子数基準で、
0≦g≦2,0≦d≦5,18≦e≦29およびa+d
+e+g=100%である。) AlaCubCob´(B,C)cMdNeIf(V
I) (ここでMはFe,Cr,Mn,Ni,Ru,Os,M
o,V,Mg,ZnおよびPdから選択した少なくとも
1個の元素であり、NはW,Ti,Zr,Hf,Rh,
Nb,Ta,Y,Si,Geおよび希土類から選択した
少なくとも1個の元素であり、そして原子数基準で、a
≧50,0≦b≦14,0≦b´≦22,0≦b+b´
≦30,0≦c≦5,8≦d≦30およびc+d≧10
である。) - 【請求項6】請求項1に記載の熱障壁を作成する方法で
あって、耐火性酸化物と準結晶性合金との混合物の沈着
を気相でおこない、気相でのその混合を陰極スパッタリ
ングによって行うものである、前記方法。 - 【請求項7】陰極スパッタリングを、5mm2/sより
も低い熱拡散性を有する耐火性酸化物と準結晶性のアル
ミニウム合金との混合物(ここで準結晶性合金の割合は
2ないし30体積%である)からなる材料から出発して
得た1個のターゲットを出発物質として使用して行うも
のである、請求項6に記載の方法。 - 【請求項8】保護されるべき基材への沈着を、溶融状態
の耐火性酸化物と準結晶性アルミニウム合金との混合物
から出発して行うものであり、なお該溶融状態の混合物
は適当な装置を使用して粉末を溶融して作りそして基材
の表面に発射するものである、請求項1ないし5のいず
れかに記載の熱障壁の作成方法。 - 【請求項9】その装置がプラズマトーチである、請求項
8に記載の方法。 - 【請求項10】基材への沈着を、耐火性酸化物と準結晶
性合金とを含有する可撓性のコード(ここで準結晶性合
金は2ないし30体積%である)を供給する酸素ガスト
ーチを使用して行うものである、請求項1ないし5のい
ずれかに記載の熱障壁の作成方法。 - 【請求項11】5mm2/sよりも低い拡散性を持つ少
なくとも1つの耐火性酸化物の粉末と少なくとも1つの
準結晶性のアルミニウム合金の粉末との混合物からな
り、その準結晶性合金の体積割合が2ないし30体積%
であり、そしてこれら粉末が、10ないし45μmの範
囲の粒径分布を持つものである事を特徴とする、熱障壁
の作成のための材料。 - 【請求項12】耐火性酸化物が純粋なジルコニアである
かまたは少量の安定化用酸化物で安定化されたジルコニ
アであって、後者の場合、安定化用の酸化物はCaO,
MgOおよびY2O3から選択したものであってその含
有量は3重量%よも少ないかまたはそれと等しいもので
ある、請求項11に記載の材料。 - 【請求項13】少なくとも1つの粉末形の準結晶性のア
ルミニウム合金と細かく粉砕した粉末形の純粋なまたは
軽度に安定化したジルコニアとから主としてなる可撓性
のコードの形であることを特徴とし、そしてそのアルミ
ニウム合金が30体積%よりも多くないものである、熱
障壁の作成のための材料。 - 【請求項14】航空機のエンジンの構成部分、航空また
は航空宇宙用構成品、自動車のエンジンの構成部分、化
学反応器、および家庭電化製品の、何れかの保護のため
に用いられる、請求項1に記載の熱障壁を使用する方
法。
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