JP3471011B2 - 靴のソール構成要素 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、靴のソール及び靴のソール構成要素、及び
靴のソール及び靴のソール構成要素の製造方法に関す
る。更に詳細には、本発明は、可撓性高重合体樹脂製の
靴のソール又はソール構成要素、及び靴のソール又はソ
ール構成要素を熱成形するための方法に関する。

靴は、一般的には、二つの基本的な部品、即ちアッパ
ー及びソールからなる。アッパーは、一般的には、足を
包み、足に対して緩衝を提供するように設計されてい
る。更に、アッパーは、代表的には、足の裏に対して支
持及び緩衝を最初に与えるインソールを有する。アッパ
ーは、主に足の裏に対する追加の保護及び緩衝を提供す
るソールに取り付けられる。ソールは、更に、靴に対し
て安定性を与える。

ウォーキング、ランニング、ハイキング、テニス、バ
スケットボール、及び多くの他の非常に活動的なスポー
ツのような、スポーツ及び屋外活動用の靴に対する要求
の高まりにより、靴の設計において、足、踝、脚、臀
部、等に対する保護及び快適さを改善する多くの進歩が
促された。靴を改善しようとする努力は、靴の重量を軽
くすること及び緩衝性、可撓性、及び安定性を改善する
ことに主眼が置かれていた。更に、靴のソールは、記
憶、衝撃分散能力及びエネルギの返しが改善されている
のが望ましい。

改善された靴を設計しようとする努力により、ランニ
ング、バスケットボール、及び他の運動のような特定の
運動と関連した足の力学の研究が促されてきた。靴を調
査に次ぐ調査に基づいて設計することによって、特定の
運動について設計された靴をつくった。例えば、歩いて
いるときに足がソールに及ぼす圧力は、走っているとき
やテニスをしているとき等に足が及ぼす圧力とは異な
る。従って、最新の運動靴の設計では、特定の運動で使
用するための靴の特定の要求が斟酌されている。更に、
最新の運動靴の設計は、体重、足幅、及び内回及び外回
のような、個々の性質などの個人の特定の必要を斟酌し
ようとしている。かくして、靴の重量、緩衝性、可撓
性、及び安定性のような一般的な配慮が、特定の運動及
び個人の必要に対し、運動靴の設計で斟酌されている。
靴の機能特性が一番重要であるが、全ての消費者を満足
させるためには、靴の製造費用や外観のような他の要因
を斟酌しなければならない。

運動靴の改善は特にソールに集中して行われている。
運動靴のソールは、代表的には、二つの構成要素、即ち
ミッドソール及び外ソールを有する。外ソールは、ソー
ルの地面と接触する部分であり、トラクションを発生
し、ソールの残りの部分に対して保護を与える。従っ
て、外ソールは、トラクション及び大きな耐摩耗性を提
供するゴムのような丈夫な材料でつくられている。ミッ
ドソールは、足の安定性に寄与し、主として、ソールの
衝撃吸収部材である。ミッドソールは、全体として、外
ソールよりも軟質であり且つ可撓性が大きい材料でつく
られている。ミッドソールが、安定性や衝撃吸収といっ
た要因について重要であるため、運動靴の製造者は、ミ
ッドソールの設計にかなりの注意を払ってきた。

代表的には、ミッドソールの製造は、プラスチックを
発泡させてフォームにし、次いでこれを靴のアッパーと
適合するように多くの方法で成形することであった。次
いで、フォーム材料製のミッドソールを、通常はゴムで
ある更に丈夫な外ソール材料のシートで覆い、適当な耐
磨耗性及びトラクションを持つソールを提供する。外ソ
ールにフォーム材料製のミッドソールを取り付けること
は、一般に、労働集約的なプロセスである。例えば、ゴ
ム製の外ソールをミッドソールに取り付けるには、ミッ
ドソールの表面を荒らし、この表面を溶剤で洗い、接着
剤を付けたミッドソール及び外ソールの両表面を重ね、
接合し、次いで、処理がなされた表面を、通常は熱で、
活性化する。これに続いて、小さな修正による処理仕上
げプロセス及び装飾プロセスを行う。

フォーム材料製のミッドソールは、それだけでは、一
般的には、最新の運動靴についての安定性及び緩衝性の
要求を満たすには不適である。現在のソールで使用され
ているフォームは、それだけでは、ソールに及ぼされた
圧力に応じて必要な安定化力を提供する外面張力が不十
分である。これは、重量を軽減するために使用される極
めて低密度のフォームで特に言えることである。更に、
現在のフォーム材料製のミッドソールは、緩衝を適切に
行うその能力を、迅速に、大抵の場合は靴の寿命の20％
程で失ってしまう。

フォーム材料製のミッドソールを使用することと関連
した安定性及び緩衝性の問題点に対し、ミッドソールの
安定性を高め、緩衝特性を長期に亘って保持するように
する幾つかの試みがなされてきた。安定性を改善しよう
とする努力は、稠密フォーム製のプラグ又は固形熱可塑
性樹脂製の挿入体のような、主ミッドソール構成要素よ
りも密度が高く且つ剛性の高い挿入体を使用することに
主眼が置かれてきた。これらは、フォーム材料製のミッ
ドソールに硬化前に直接挿入されるか或いは、硬化後に
別の労働集約的プロセスにより所定の場所に接着される
かのいずれかである。適当な安定性を保持したまま緩衝
性を改善する努力は、可撓性熱可塑性樹脂製の挿入体及
び液体又はガスを充填した挿入体を使用することに主眼
が置かれてきた。一般的には、これらの挿入体もまた、
主ミッドソール構成要素内に封入されている。かくし
て、靴の最新の設計は、ソールの選択された領域に可変
程度の可撓性を持つソールをつくることに主眼が置かれ
てきた。例えば、挿入体は、主ミッドソール構成要素よ
りも硬質の又は軟質の材料でできた発泡材料製のプラグ
を含むことができる。上述のように、挿入体は、代表的
には、大きな安定性が所望の場所に可撓性の小さい領域
をつくり、大きな緩衝性が所望の場所に可撓性の大きい
領域をつくるように、ミッドソール材料に封入されてい
る。他の方法には、ミッドソールを球体の周りで成形す
る又は射出成形することによってミッドソールに埋設さ
れた弾性の球体を使用することが含まれる。靴の踵領域
に組み込まれたトランポリン装置も試されたが、費用の
点及び外観の点でこのアイデアの使用は制限された。更
に、緩衝性及びエネルギの返しを高め且つ長期に亘って
保持するようにするため、種々のゲル及びガスがミッド
ソールに組み込まれた。しかしながら、ゲルや空気のよ
うなガスを組み込んだソールは製造に費用がかかり、そ
の機能特性を予想することが比較的困難であった。

更に、ミッドソールは、ポリエーテル、ポリウレタ
ン、又はポリエステルポリウレタンのような低密度合成
フォームを封入し且つ保護するように設計された熱可塑
性エラストマー製のシェルで製造された。ソールの縁部
に沿ったシェル材料の褶曲部によってソールの周囲に沿
って剛性が高められる。内部フォーム構成要素の剛性が
高いのが望ましい場合、稠密なフォームでできたプラグ
が主フォーム構成要素に組み込まれる。更に、このよう
なシェルは、一般に、熱可塑性材料をブロー成形するこ
とによってつくられる。ブロー成形には、高価な金型が
必要とされ、これらの金型は大きさが制限されており、
設計変更の数を制限する。更に、金型の価格は、靴の各
モデルについて多くのサイズを揃える場合、大きな要因
となる。これは、ソールユニットの価格に跳ね返る。か
くして、ブロー成形技術によって製造された靴はシェル
式ソールの内部がフォーム材料でできており、その緩衝
効果を比較的短期間で失うため、フォーム材料製のミッ
ドソールを使用した従来の運動靴に対する性能の上昇が
特に顕著でないけれども、高価な靴に限定される。この
ようなソールは、製造に費用がかかるため、主に踵構成
要素に限定して使用される。性能及び対費用効果が改善
された靴のソール構成要素が望まれている。

本発明は、可撓性高重合体樹脂製のソール構成要素本
体部材からなる靴のソール構成要素である。このソール
構成要素は、靴のアッパーに直接的に又は間接的に連結
できるトップフットプラットホーム部材を持つことを特
徴とする。この構成要素は、接地部材として使用できる
又は外ソール材料へ取り付けるための部材として使用で
きる対応する底部材を更に有する。ソール構成要素の内
部支持部材は、トップ部材及び底部材の一方又は両方に
設けられた窪みによって形成される。これらの窪みは、
トップ部材と底部材との間の間隔内に延び、向き合った
構成要素部材と接触するか或いはこれを橋渡しする。可
撓性ソール構成要素材料に設けられた窪みによって形成
された支持部材は、ソール構成要素に及ぼされる圧縮力
に対して可変の抵抗を提供する。構成要素は、更に、ト
ップ部材及び底部材と同延の壁部材を有する。

靴のソール構成要素は、靴のソールに組み込むための
賦形材を形成するような形状を持ち且つ材料に支持部材
用の窪みを形成するような突出部を備えた金型内でプラ
スチック樹脂シートを成形することによって製造でき
る。本発明のソール構成要素を形成するための一つの機
構は、熱成形を使用することである。一般的には、熱成
形は、樹脂を所望の形態に成形するのに十分に柔軟にな
る温度までプラスチックのシート又はフィルムを加熱
し、次いで材料を片側金型に押付けることによるプラス
チック樹脂成形プロセスである。本発明のソール構成要
素は、好ましくは、（１）第１の熱可塑性シートをその
成形温度まで加熱し、（２）第２の熱可塑性シートをそ
の成形温度まで加熱し、（３）トップフットプラットホ
ーム部材を持つ上ソール構成要素半部を形成するような
形状を持つ第１金型に第１の熱可塑性シートを押し込
み、底部材を持つ下ソール構成要素半部を形成するよう
な形状を持つ第２金型に第２の熱可塑性シートを押し込
み、（４）二つの金型半部を結合、糊付け、溶接、融
着、連結、等によって互いに接合することによって製造
される。金型半部は、トップ部材及び底部材のいずれか
又は両方に、選択された位置で窪みを形成し、内部支持
部材を形成するような形状を有する。特に好ましい製造
方法は、材料がその成形温度にあるときにソール構成要
素半部がその接触点で互いに融着する又は溶接するよう
に金型半部を互いに閉じることである。

支持部材は、安定性及び緩衝性のため、種々の程度の
可撓性を特定の領域に提供するため種々の形状及び大き
さに熱成形できる。例えば、内方に差し向けられた窪み
は、トップ部材又は底部材のいずれかから延び向き合っ
た部材と係合する円錐台形状のピン（conal−shaped pi
n）の形体をとるのがよい。これらのピンは、例えばソ
ールのフォアフット（forefoot）領域及び踵領域のよう
に、足が大きな圧力を及ぼす領域について大きな抵抗が
必要な場所では、互いに密集した群をなしているのがよ
い。これらのピンは、重量支持領域では、緩衝性を高め
るため、比較的疎らな群をなしているか或いは大きな支
持部材に代えられているのがよい。更に、支持部材は、
トップフットプラットホーム部材から延び且つ底部材か
らの対応する窪みと接触する窪みによって構成されるの
がよい。対応する窪みは、ソール構成要素のトップ部材
と底部材とを橋渡しする内部支持部材組み合わせを形成
するため熱成形プロセス中に互いに融着又は溶接されて
いるのがよい。

更に、熱可塑性樹脂性の二つのシートからソール構成
要素を形成することによって、ソール構成要素を性質の
異なる二つの異なる材料で製造でき、これによって、単
一の材料を使用しては達成が困難な種々の機能的な応答
を作りだすことができる。例えば、底部材を、厚味があ
り従って剛性の熱可塑性樹脂でつくり、トップ部材を薄
く可撓性の大きな熱可塑性樹脂でつくることができる。
更に、異なる材料でつくられたトップ部材及び底部材か
ら延びる対応する窪みによって形成された支持部材は、
二つの性質を持つ支持部材を提供できる。例えば、剛性
の大きい熱可塑性材料からつくられた支持部材の下部分
は剛性の大きい支持部材部分を形成し、及びかくして、
ソールの底部分に及ぼされた力に対して大きな抵抗を提
供する。薄く可撓性の高い材料からつくられた窪みが形
成する支持部材の上部分は、大きな可撓性を示し、従っ
てソール構成要素のトップ部分に及ぼされた圧力に応じ
た緩衝性が大きい。設計者は、支持部材の形状及び大き
さ、及び使用される熱可塑性材料の性質を変化させるこ
とによって、ソール構成要素全体に亘る安定性及び緩衝
性を制御できる。

第１図は、本発明の一実施例によるソール構成要素を
持つ運動靴の側面図である。

第２図は、第１図に示す運動靴の分解図である。

第３図は、第２図に示すソール構成要素のトップ部材
の平面図である。

第４図は、第２図に示すソール構成要素の底部材の底
面図である。

第５図は、第２図に示すソール構成要素の内部構造を
示す未接合のソール構成要素半部の斜視図である。

第６図は、第２図のＡ−Ａ線でのソール構成要素の実
施例の断面図である。

第７図は、第２図のＢ−Ｂ線でのソール構成要素の実
施例の断面図である。

第８図は、本発明の一実施例による接合されていない
内部支持部材の斜視図である。

第９図は、第８図に示す内部支持部材の接合された状
態での斜視図である。

第10図は、カップソール実施例を示す本発明の一実施
例の斜視図である。

第11図は、双シート熱成形プロセスを示す概略図であ
る。

第12図は、ソール構成要素金型、対応する下ソール構
成要素部分、及び本発明の一実施例による外ソール部材
の部分断面分解斜視図である。

第13図は、第12図に示す本発明の実施例による外ソー
ル部材を備えたソール構成要素の下半部の斜視図であ
る。

第14図は、金型内で凹所をなし且つソール構成要素材
料と係止係合した第12図に示す金型の断面図である。

第15図は、ソール構成要素材料と係止係合した複数の
突出部を持つ外ソール部材の断面図である。

第16図は、本発明の一実施例による取り付け手段の一
方の半部を示す、靴のアッパーの底面図である。

第17図は、第16図に示す取り付け手段と対応する取り
付け手段を示す本発明の一実施例によるソール構成要素
の平面図である。

第18図は、第16図及び第17図に示す靴のアッパーの取
り付け手段及びソール構成要素の取り付け手段の側断面
図である。

第19図は、変形例の取り付け手段の一方の半部を示
す、本発明の一実施例による靴のアッパーの底面図であ
る。

第20図は、第19図に示す取り付け手段と対応した取り
付け手段を示す本発明の一実施例によるソール構成要素
の平面図である。

第21図は、第19図及び第20図の示す靴のアッパーの取
り付け手段及びソール構成要素の取り付け手段の側断面
図である。

本発明は、高重合体プラスチック樹脂でできた靴のソ
ール構成要素である。このソール構成要素は、靴のソー
ル全体を構成してもよいし、ミッドソール、踵区分、ア
ーチ区分、又はフォアフット区分のようなソールの一部
を構成してもよい。構成要素をどのように使用するのか
に応じて、構成要素の全体形状を靴のソールに組み込む
ように形成する。例えば、ソール構成要素が靴のソール
全体を構成する場合には、構成要素を靴のアッパーと協
働するように、例えば、ソールを靴のアッパーと合うよ
うに形成する。構成要素がソールの一部を構成する場合
には、構成要素は、ソールの他の部分と協働するように
形成され、ソールを完成する。例えば、ソール構成要素
は、従来のエチレン酢酸ビニル共重合体（EVA）フォー
ム製のミッドソール部分及び外ソール材料のような他の
ソール材料と関連したソールの踵部分を形成してもよ
い。ソール構成要素がミッドソールである場合には、こ
のミッドソールは、靴のアッパー及び外ソールと適合す
るように形成される。

ソール構成要素は、一般に、熱及び圧力で成形できる
一つ又はそれ以上の、一般的には合成の高重合体ででき
ている。好ましくは、高重合体は熱可塑性重合体、又は
成形に続いて熱硬化性重合体にできる熱可塑性重合体で
ある。重合体は、靴のソールとして又は靴のソールの一
部として使用するように形成された本体部材に形成され
る。ソール構成要素の特定の役割に関わらず、本体部材
は、一般的には、トップフットプラットホーム部材及び
これと向き合った底部材からなる。トップフットプラッ
トホーム部材は、靴のアッパーに向かって配向された本
体部材の表面である。他の種々の中間材料をトップ部材
とアッパーとの間に配置できる。本体部材は、更に、ソ
ールの接地部分に向かって配向された構成要素本体部材
の部分である底部材を有する。底部材は、トップ部材に
対して少なくとも部分的に同延の関係にある。ここで
「同延」とは、同じに延びていることを意味し、即ち外
縁が揃っていることを意味する。以下の説明及び請求項
中における「同延」の語は同様な意味で使用する。トッ
プ部材及び底部材が同延の関係にあるため、トップ部材
と底部材の間に対応する部分が構成される。更に、トッ
プ部材及び底部材は、互いに対して少なくとも部分的に
間隔を隔てられた関係に配置される。例えば、本体部材
がソール又はミッドソールとして機能する場合には、ト
ップ部材及び底部材は、全体に平行な平らな関係で踵領
域から構成要素のミッド区分を通して間隔を隔てられ
る。しかしながら、トップ部材及び底部材がフォアフッ
ト領域を通して延びているため、これらの部材は互いに
向かってテーパし、最終的には合一する。いずれにせ
よ、これらの部材は互いに対して少なくとも部分的に間
隔を隔てられており、この間隔を隔てられた関係により
トップ部材と底部材との間に所定の間隔が構成される。

トップ部材と底部材との間の間隔には複数の支持部材
が配置されている。これらの支持部材は、トップ部材及
び底部材の一方又は両方に設けられた内方に差し向けら
れた窪みからなる。本体部材の窪み部分は、向き合った
部材の対応する部分と隣接した箇所まで間隔内に延び
る。隣接したという用語は、本発明を説明する上で使用
されているように、窪みが、向き合った部材の対応する
部分と少なくとも最も近い箇所まで延び、前記向き合っ
た部分と係合できるということを意味する。係合は固定
されていてもよいし固定されていなくてもよい。本発明
の一実施例では、トップ部材及び底部材を同延であり且
つ間隔を隔てられた関係に保持するため、一つ又はそれ
以上の支持部材が、向き合った部材の対応する部分と固
定的に係合しているか又はこれに接合されている。本発
明の別の実施例では、トップ部材と底部材との間を延び
る連結部材によってトップ部材と底部材とを間隔を隔て
られ且つ同延の関係に保持することができる。この場合
には、支持部材は、設計基準に示されている通りに固定
された又は固定されていない関係にあるのがよい。

本発明の別の実施例では、本体部材は、トップ部材及
び底部材の周囲の少なくとも一部と同延の壁部材を更に
有する。この実施例では、壁部材はトップ部材と底部材
とを接合してこれらの部材を間隔を隔てられ且つ同延の
関係に保持する。更に、壁部材がトップ部材及び底部材
の周囲に沿って連続している場合には、トップ部材、底
部材、及び壁部材は、内方に差し向けられた窪みから形
成された内部支持部材を持つシェルを構成するように協
働する。この場合、窪みは、シェルの内部に延びてお
り、向き合った部材の対応する部分と隣接している。

上述のように、支持部材はソール構成要素のトップ部
材及び底部材を形成する重合体材料の内方に差し向けら
れた窪みからなる、ソール構成要素の一体の部分であ
る。支持部材は、材料の潰れを制御して緩衝領域をつく
りだし、構成要素に安定性を与える機械的なレバーを構
成する。支持部材は、トップ部材と底部材との間の間隔
内に延び、向き合った対応する部分と隣接するように形
成されている。窪みは、トップ部材及び底部材の一方又
は両方に形成されているのがよい。更に、向き合った対
応する部分自体が、内方に延びる窪み部分であってもよ
い。この場合には、向き合った対応する支持部材は間隔
内に延び、互いに隣接している。この場合も、対応する
窪み部分は互いに対して少なくとも最も近く、互いに固
定された関係で又は固定されていない関係で係合でき
る。トップ部材及び底部材の窪み部分は、ソール構成要
素として使用するための適当な支持を提供するのに十分
なトップ部材及び底部材の窪みが設けられていない表面
積を保持する任意の程度まで設けられているのがよい。
例えば、窪み部分を約50％持つ構成要素が考えられる。
本発明を更に詳細に例示するため、ソール構成要素が靴
のソールのミッドソール部分である好ましい実施例を参
照する。

第１図及び第２図を参照すると、代表的なランニング
靴のような靴１は、アッパー２及びソール３を持つよう
に示してある。靴のアッパーは、ソールと協働係合する
ように形成された下面を有する。図示のように、ソール
はミッドソール部分４及び外ソール部分５を有する。ミ
ッドソールは、靴のアッパーのソール係合面と協働する
ように形成されている。図示の実施例では、ミッドソー
ル４はトップフットプラットホーム部材６、底部材７、
及び壁部材８からなるシェルである。トップ部材及び底
部材は、ソールの踵区分及び中央区分で互いにほぼ平行
な平らな関係であり、ミッドソールがフォアフット領域
に向かってトップ部材と底部材とが合一するミッドソー
ルの前部分上に近づくに従って互いに向かってテーパし
ている。トップ部材及び底部材は同延の関係にあり、ト
ップ部材と底部材との間に間隔を構成するため互いから
部分的に間隔を隔てられている。連続した壁部材８がト
ップ部材及び底部材の縁部を接合して内部空間を持つシ
ェルを形成する。トップ部材及び底部材に設けられた内
方に差し向けられた複数の窪み９は、向き合った部材に
向かって延び、この部材と隣接し、ソール構成要素構造
に内部支持体を形成するのに役立つ。上述のように、こ
れらの窪みはトップ部材及び底部材の一方又は両方に設
けられているのがよい。

第３図及び第４図は、トップ部材及び底部材を示し、
第５図は未接合のソール構成要素半部を示し、第６図及
び第７図は、第２図のＡ−Ａ線及びＢ−Ｂ線に沿ったミ
ッドソール４の断面を示し、これらの図には内方に延び
る支持部材が更に詳細に示してある。図示のように、窪
みは、内部支持部材を形成するため種々の形状をとるこ
とができる。フォアフット領域では、窪みをなした円錐
台形状のピン10がトップ部材40から延び、対応する円錐
台形状のピン11が底部材41から延び、これらのピンはト
ップ部材と底部材との間の間隔内に延びている。フォア
フット領域に亘って延びるチャンネルが撓み溝12を上ソ
ール構成要素半部に形成し、対応する撓み溝13を下ソー
ル構成要素半部に形成する。撓み溝12及び13は、これら
の構成要素半部を接合したときソール構成要素の内部で
も協働し、リブをなした支持部材を形成する。アーチ領
域即ちソール構成要素の中央区分では、内方に延びるコ
ナル形状ピン14が延び、プラットホーム部材15と協働す
る。プラットホーム部材15は下ソール構成要素半部に設
けられた窪みによって形成されている。踵領域は、大き
なピン部材18を持つように示してあり、このピン部材
は、上ソール構成要素半部から内方に下ソール構成要素
半部の対応するピン部材19に向かって延びる。更に、上
ソール構成要素半部及び下ソール構成要素半部の内方に
延びるチャンネル16及び17は、ソール構成要素の中央区
分の横部分から後方に大きなピン部材18及び19の周りに
延びるリブをなした内部支持部材を形成するように協働
する。図示の実施例では、大きなピン／ピン構成が同心
円をなして配置されたチャンネルと協働してソール構成
要素の踵に「ドーナッツ」を形成する。側壁部材８は、
垂直な褶曲部20を有するように図示してあり、この褶曲
部は、下構成要素半部の周囲に沿って設けられた対応す
る褶曲部21と協働して構成要素の周囲に沿って追加の構
造的支持体を形成する。

図示のように、支持部材は、上ソール構成要素半部及
び下ソール構成要素半部の対応する窪み間の接触によっ
て協働できる。第８図及び第９図は、窪みをなした二つ
の材料間の接触点を示し、これは、第３図乃至第７図に
示す上ソール構成要素半部及び下ソール構成要素半部を
接合したときに本発明の一実施例による協働支持部材を
形成する。第８図及び第９図を参照すると、上ソール構
成要素半部40に形成された上円錐台形状部材10は下ソー
ル構成要素半部41に形成された対応する円錐台形状部材
11と接触する。接触点は固定されていてもよいし固定さ
れていなくてもよい。固定されている場合には、窪み
を、それらの接触点で糊付け、融着、溶接、等で接合す
るのがよい。

幾つかの場合では、内方に差し向けられた窪みは、向
き合ったソール構成要素部材又は向き合ったソール構成
要素部材の対応する窪みと接触し、又はこれに載止する
が、向き合った部材の対応する点に取り付けられておら
ず接合されていない。例えば、トップ部材のアーチ領域
のピン14はソールの内部に底部材の窪みをなしたプラッ
トホーム15に向かってこのプラットホームの近くまで延
びることができるが、プラットホームから外れたままで
ある。幾つかの場合では、窪みと向き合った部材の対応
する部分とを接触させるのに十分な量の圧力がトップソ
ール構成要素部材又は底ソール構成要素部材に加えられ
るまで、窪みが向き合った部材と係合しないような設計
になっている。

支持部材の大きさ、種類、及び組分けを、使用された
熱可塑性材料の一般的な物理的性質を考慮して、所期の
ソールの機能上の要求によって決定する。例えば、足が
ソールに及ぼす圧力は、親指の付けね及び踵の下で最も
大きい。従って、材料、支持部材、及び支持部材の位置
は、ソールのこれらの領域で緩衝効果及び安定性が優れ
ているように選択される。同様に、比較的大きな剛性を
必要とするソールの領域は、剛性を高める材料、支持部
材、及び支持部材の位置を使用する。例えば、足がソー
ルに及ぼす圧力が最も大きく、従って更に大きな抵抗が
必要とされると考えられるところではピンを互いに近接
してまとめるのがよい。別の例は、互いに関して形状の
異なる支持部材を使用して精密な緩衝−支持領域を提供
することである。例えば、ソールの踵領域におけるよう
に足によって及ぼされる圧力が最も大きい領域のピンを
比較的大きくし、踵が当たる位置での緩衝を大きくす
る。緩衝が施された踵当たり領域を、比較的大きな密度
で一群にされた比較的小さなピンによって、又はリブを
なした支持部材によって取り囲み、踵領域の周囲での踵
安定性を高める。横方向安定性は、トップ部材の周囲に
沿って上方に延びる壁を加えることによって高めること
ができる。例えば、第10図に示すように、壁22及び23を
加えることによって形成されたカップソールをソール構
成要素に成形し、横方向支持が追加されたテニスのよう
な運動用の一体のソール構成要素を提供できる。

上述のように、本発明を構成するために選択された重
合体は、ソール構成要素として機能するのに十分可撓性
でなければならない。一般的には、可撓性は、曲がる、
即ち、その硬化させた状態において、亀裂が入ったり破
損したりすることなく、加えられた力に応答する、成形
重合体構成要素を意味する。本発明で使用するのに特に
好ましい重合体は、伸び率の高いエラストマーである。
一般的には、伸び率が大きければ大きい程、ソール構成
要素の屈曲寿命及びレジリエンスが大きい。更に、良好
な伸び率特性は、ソールに適切な範囲の緩衝をつくりだ
す上で、並びに運動用ソールについて周知のように直快
適性をつくりだす上で望ましい。例えば、ASTM Ｄ 63
8に従って計測した破断点伸びが約250％乃至約300％又
はそれ以上の重合体が、本発明で使用するのに望ましい
重合体の例である。好ましくは、ソール構成要素は少な
くとも約50,000回の屈曲寿命を有する。このような所望
の屈曲寿命の表示は、例えば、イングランドのノーサン
プトンシア州ケタリングのサトラフットウェア技術セン
ターが製造しているサトラ／ベータベルト屈曲機のよう
な屈曲機を使用することによって決定できる。実際の使
用では、好ましいソール構成要素は、少なくとも約1,00
0,000回の足の打撃に耐えなければならない。

更に、ソールの一体性、横方向安定性、等のようなソ
ール構成要素の所望の性質にとって、材料の硬さが重要
である。更に、比較的硬質の材料では、ソール構成要素
をつくるのに比較的薄い材料を使用でき、及びかくして
構成要素の重量を低減できる。一般的には、好ましい重
合体は、ショアーＡスケールで約70からショアーＣスケ
ール（ASTM Ｄ 2240）で約55までの範囲の硬さを有す
る。ソール構成要素材料の他の好ましい性質には、
（１）二次成形適性、即ち、材料を所望の構成要素形状
に形成できる性質、（２）耐磨耗性、（３）透明度、
（４）良好な引裂強さ、（５）低い密度、（６）良好な
引張強さ、（７）現在のフットウェア製造法への材料の
適応性、（８）材料の着色性、及び（９）費用、があ
る。高い引張強さは、ランニングのような活動量の大き
な使用中に遭遇する大きな剪断力に対処する上で望まし
い。更に、高い引張強さは、ソールを薄く成形できるよ
うにする。透明度は、受入れることのできるソール装飾
に極めて重要な色彩の鋭いコントラストを得る上で重要
である。透明度は、靴の外観上の設計がファッション及
び産業のトレンドが示すようにソールの透明部分を含
む、別の問題である。現在のフットウェア製造法への材
料の適応性は、構成要素の他の靴材料への固定の容易さ
のような要因を含む。

上述のように、ソール構成要素は、好ましくは、熱可
塑性樹脂でつくられている。好ましい材料は、所望の可
撓性ソール構成要素形状に容易に熱成形可能な材料であ
る。成形後に熱硬化でき且つ可撓性を保持する、本発明
のソール構成要素用の材料は、好ましい熱成形可能な材
料の範囲内に含まれる。熱硬化性樹脂は、加熱時に、重
合体鎖間の架橋により不可逆的に固化し即ち硬化する。
架橋は、成核剤、材料成形温度以上の金型温度、放射
線、等を使用することによって行うことができる。一度
硬化した熱硬化性樹脂は、加熱によって再び軟化させる
ことができない。熱硬化性樹脂は、一般的には、温度安
定性が高く、寸法安定性が高く、剛性及び硬度が高く、
ポリエステル及びウレタンのような樹脂を含む。

熱可塑性樹脂は結晶質であってもよいし非晶質であっ
てよく、加熱することによって繰り返し軟化させること
ができる。非晶質熱可塑性樹脂には、アクリロニトリル
−ブタジエン−スチレン（ABS）共重合体、スチレン、
セルロース繊維、及びポリカーボネートが含まれる。結
晶質熱可塑性樹脂には、ナイロン、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、及びポリウレタンが含まれる。本発明で使
用するのに特に好ましい材料の例には、熱可塑性ポリウ
レタン、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ
アミド、等が含まれる。

以下の説明は、本発明で使用するのに望ましい材料の
種類を更に例示する。熱可塑性ポリウレタンは、優れた
屈曲寿命を特に比較的高い硬度で示し、耐磨耗性に優
れ、容易に接着でき、伸び率及び透明度が優れている。
特に好ましい熱可塑性ポリウレタンの例は、ニュージャ
ージー州パーシッパニーのバスフ社が製造している重合
体のエラストラン（Elastollan）1100（エラストランは
登録商標である）シリーズである。例示のエラストラン
重合体の性質を以下の表に示す。

ナイロンは、良好な引張強さを持ち、及びかくして薄
く成形できる。更に、ナイロンは密度が低く、及び従っ
て軽量であり、屈曲寿命が長い。本発明で使用するため
の好ましいナイロン重合体の例は、デラウェア州ウィル
ミントンのデュポン社が製造しているザイテル714であ
る。ザイテル714の例示の性質を以下の表に示す。

ポリエステルは、低密度であり、容易に接着でき、引
張強さ及び伸び率が良い。好ましいポリエステル重合体
の例は、デュポン社が製造している熱可塑性エラストマ
ーのハイトレルシリーズの種々の重合体である。ハイト
レル重合体は、ポリブチレンテレフタレート及び長鎖ポ
リエーテルグリコールのブロック共重合体である。ハイ
トレル重合体の例示の例の性質を以下の表に示す。

ポリアミドは引裂強さが良好で、レジリエンスが高
く、低密度で屈曲寿命が長く、透明である。好ましいポ
リアミド材料の例は、ポリエーテルブロックアミド熱可
塑性エラストマーである、フランス国パリのアトケム社
が製造しているペバックスである。例示のペバックス重
合体の性質を以下の表に示す。

好ましい重合体の別の例は、デュポン社が製造してい
るサーリンである。サーリンは、エチレン及びメタクリ
ル酸共重合体のイオン架橋した熱可塑性重合体（アイオ
ノマー）であり、引裂強さに優れ、低密度で屈曲寿命が
長い。サーリンの性質を以下の表に示す。

上述のように、特定の重合体の性質の説明は、本発明
のソール構成要素で使用するのに所望の性質を持つ重合
体の種類を例示する目的のためである。同様の性質を持
つ多くの他の重合体が、本発明で使用するのに適してい
る。更に、上掲のデータは、入手可能な情報に基づいて
おり、重合体を直接比較するのには使用できないし、正
確な設計仕様書をつくるのに使用できない。例えば、AS
TM試験は、性質データを得るための別の方法を可能にす
る。更に、重合体に加えられた増量剤、強化剤、着色剤
等のような他の配合剤により性質が変わることがある。

本発明のソール構成要素をつくるための好ましい方法
は、可撓性高重合体プラスチック樹脂でできたシートを
成形し、上ソール構成要素半部及び下ソール構成要素半
部を形成し、次いでこれらの半部を接合してソール構成
要素を完成する。上述のように、好ましい材料は、可撓
性熱可塑性樹脂でできたシートであり、これらのシート
は加熱して所望のソール構成要素形状に成形できる。特
に好ましい熱可塑性シート材料の一例は、マサチューセ
ッツ州グリーンフィールドのアルゴテック社から入手で
きるショアーＡ硬度が94の熱可塑性ポリウレタンシート
である。これらのシートの厚さは、一般的には、約0.25
4mm（約0.010インチ）である。シートの厚さは設計基準
に従って選択されるが、一般的には、材料の特定の性質
に応じて約1.016mm乃至約2.54mm（約0.040インチ乃至約
0.100インチ）の範囲である。例えば、ショアーＡ硬度
が94の熱可塑性ポリウレタンについての特に好ましい厚
さは、約1.524mm乃至約2.032mm（約0.060インチ乃至約
0.080インチ）の範囲である。

本発明の一実施例では、第１の可撓性熱可塑性材料で
できたシートをその成形温度まで加熱し、次いで、トッ
プフットプラットホーム部材を持つ上ソール半部をこの
材料から形成するような形状を持つ対応する第１金型で
成形する。第２の可撓性熱可塑性材料でできたシートを
その成形温度まで加熱し、底ソール構成要素部材を持つ
下ソール半部をこの材料から形成するような形状を持つ
対応する第２金型で成形する。更に、これらの金型は、
これらの金型の一方又は両方に設けられた対応する突出
部から形成されたトップ部材及び底部材の一方又は両方
に窪みを付けるような形状になっている。例えば、第３
図、第４図、及び第５図は、成形されているが接合され
ていないソール構成要素半部を示し、これらの図では、
上ソール構成要素半部40及び下ソール構成要素半部41
は、複数の窪み形成突出部を持つ上金型及び下金型を反
映する。ひとたび成形されると、上ソール構成要素半部
及び下ソール構成要素半部は、金型からの取り出しを行
うのに十分冷却され、次いで、糊付け、融着、溶接、リ
ベット等のような別体の連結部材による連結、又は他の
適当な取り付け手段によって互いに接合される。

本発明の形成方法の一つの利点は、一つの材料では不
可能な種々の機能値をつくりだすのに性質の異なる二つ
の異なる材料を使用できるということである。例えば、
ソール構成要素を厚さの異なる材料でつくることができ
る。更に、ソール構成要素に機能をつくりだすのに使用
される賦形材を全て成形プロセス中に連結できる。これ
は、適当な緩衝性及び安定性を持つソール構成要素の費
用のかかる追加の作業を行わずにつくる場合に非常に有
利である。例えば、本発明のソール構成要素の特に好ま
しい形成方法は、特別に設計した双シート熱成形金型及
び技術を使用して行われる。

一般に、熱成形は、プラスチック樹脂製のシート又は
フィルムを、樹脂を所望の形態に成形するのに十分柔軟
にするのに十分な温度まで加熱することによって熱可塑
性樹脂を成形する工程である。一般的には、材料は、そ
の通常の成形温度まで均等に加熱される。通常の成形温
度は、材料が取り扱いに十分な高温強度を未だ持ってい
るが材料の劣化温度以下の最も高い温度まで材料を加熱
することによって決定される。好ましくは、材料は、材
料を金型上に及び金型の周りに均等に延伸するのに適当
な高温引張強さを有する。次いで、成形温度の材料の縁
部をクランプし、材料の金型側に負圧を加えることによ
って片側金型、代表的には温度制御式アルミニウム金型
に押し込む。代表的には、材料の金型側とは反対側の材
料の表面に正の空気圧を更に加え、材料を金型内にしっ
かりと押圧するのを助ける。シート材料がその成形温度
にある場合、この材料は、本質的に焼鈍される（応力解
放される）。応力が加わった状態での成形を避けるた
め、負圧及び空気圧を加えることによって高温のシート
をできるだけ迅速に金型に押付けなければならない。ひ
とたび成形されると、部品はその硬化温度まで冷却され
る。硬化温度は、部品が、成形した部品を金型から変形
させずに取り出すことができるのに十分硬化する温度で
ある。次いで、成形部品から余分の材料を切除して整形
する。余分の材料は、一般的には、成形品がクランプさ
れていた成形品の縁部に存在する。所望であれば、余分
の材料はリサイクルされる。

双シート熱成形は、特に、成形温度まで加熱した二つ
のシート材料を使用する。上側のシートは上金型半部内
に押し上げられ、下側のシートは対応する下金型半部内
に押し下げられる。二つの金型半部は互いに押付けら
れ、成形温度のシートを互いに押付ける二つの金型の圧
力が二つの材料をそれらの接触点で互いに効果的に溶接
する。第３図乃至第７図に示すように、接触点は、上ソ
ール構成要素半部及び下ソール構成要素半部の周囲に沿
って、向き合った部材の窪みと対応する部分との間に設
けられているのがよい。更に、接触点は対応する窪み間
に設けられているのがよい。図示のように、材料を金型
にしっかりと押し込むのを助けるため、空気圧をシート
間に加えるのがよい。双シート熱成形について特に好ま
しい材料は、良好な比熱を持っていなければならない。
即ち、高温のシートは、表面をその接触点で容易に接合
するため、プロセス中、十分な時間に亘ってその温度を
保持する。例えば、熱可塑性ポリウレタンは良好な比熱
を持っている。

靴のソール構成要素を熱成形する本発明のプロセスを
第11図を参照することによって例示する。第11図を参照
すると、熱可塑性シート素材30及び31を二つのロール3
2、33からローラ34上を通ってシート素材ヒータ35に供
給し、シート素材の温度を実質的にその通常の成形温度
まで上昇させる。次いで、シート素材を、上ソール構成
要素金型37及び下ソール構成要素金型38を持つ成形ステ
ーション36まで前進させる。これらの金型半部を互いに
閉鎖し、負圧をこれらの金型半部に加えて上シート材料
を上金型37内に及び下シート材料を対応する下金型38内
に押圧する。更に、空気圧をシート間に加えて材料を金
型内にしっかりと押圧するのを助けるのがよい。金型半
部は、上材料と下材料とをこれらの材料の接触点で互い
に溶接するのに十分な時間に亘って互いに閉鎖した状態
に保持される。厚さが1.524mm乃至2.032mm（0.060イン
チ乃至0.080インチ）のショアーＡ硬度が94の熱可塑性
ポリウレタンについては、例えば、シートは約204.4゜F
（400℃）で成形され、サイクル時間は約20秒である。
次いで金型半部を引っ込め、成形されたソール39を十分
冷却した後に金型から取り出し、整形ラインへ更に下流
に前進させる。

熱成形には、適切な機能を提供できるソール構成要素
を製造する場合、ブロー成形を含む他の種類の成形と比
べて多くの利点がある。熱成形したソールは、他のフォ
ームソール又は部分フォームソールと比べて許容差が小
さい。緩衝性、可撓性、安定性、等は、熱成形で使用し
た材料について更に予言でき、及びかくして靴の設計に
対する足力学の研究の適用を更に可能にする。更に、例
示のように、熱成形した材料は、足によって及び地面と
の接触によって及ぼされる圧力に対し、選択された抵抗
の領域をソールにつくりだすため、種々の所期の形状を
提供する種々の角度に湾曲させることができ即ち曲げる
ことができる。従って、本発明は、設計上の考慮によっ
て指示されたように種々の変形例で実施できる。例え
ば、賦形材は、円錐台形状の「ピン」、押縁、立方体、
プラットホーム、リブ、等のような円錐台形状であるの
がよい。

上述のように、上ソール構成要素半部及び下ソール構
成要素半部は、種類の異なる熱可塑性材料でつくられて
いるのがよい。従って、多数の利点をソールに巧みに組
み込むことができる。例えば、トップ部材は、比較的厚
味があり、重い熱可塑性材料でつくるのがよく、これに
対し、底部材は比較的薄く軽量の熱可塑性材料でつくら
れる。同様に、対応する支持部材を二つの異なる材料で
つくることによって、設計者は、種々の程度の可撓性即
ち抵抗をソール構成要素の特定の領域に組み込む能力が
増大する。引張強さ、材料の厚さ、伸び率のような特定
の性質に関して使用された材料を変えることによって、
及び支持部材を形成する窪みの形体を変化させることに
よって、所望の抵抗及び可撓性を一貫して再現できる多
数の領域を、特定の要求性能と合致するように、ソール
に巧みに組み込むことができる。例えば、ピン／ピン構
成では、厚味のある剛性の高い材料をトップ部材として
使用するのがよく、薄く可撓性の高い材料を底部材とし
て使用するのがよい。トップ部材から剛性の材料から延
びる上ピン部分は、剛性が比較的高い上ピン部分を形成
する。底ソール部材から延びる下ピン部材は可撓性が比
較的大きい「軟質」の下支持部材を提供する。従って、
支持部材の機能的応答を更に精密に処理できるようにす
る二つの性質を持つ協働する支持部材が提供される。更
に、構成要素が壁部材を含む場合には、壁部材を二つの
材料から形成でき、即ち、壁を上ソール構成要素半部及
び下ソール構成要素半部に分割できる。

熱成形は、更に、追加の利点を提供する。熱成形は、
効率的であり且つ対費用効果が優れている。例えば、ブ
ロー成形は、種々の大きさの右側のソール及び左側のソ
ールの全てをつくるのに多数の金型を交換することを必
要とする。このような金型の交換は、経済的には望まし
いものではない。熱成形は、少なくとも五倍乃至十倍の
金型時間利点毎のソールユニットを可能にしなければな
らない。更に、ブロー成形はサイクル毎に金型を一個乃
至四個だけ使用できる。約36金型のソールの大きさの全
範囲を一つのサイクルで熱成形できる。更に、熱成形プ
ロセスは、積層体、即ち成形前にプラスチックシートに
取り付けられた印刷された図柄を使用できる。これによ
って、非常に精密な図柄及び限定されない色彩の使用が
可能になる。例えば、四色写真プロセスを使用できる。
金型は、構成要素材料にテキスチャーを与えるのにも使
用できる。更に、熱成形プロセスは、高温のプラスチッ
クをブロー成形程大きく延伸しない。延伸が制限される
ことは、図柄を受入れ可能に保つ上で重要である。更
に、延伸は、材料の厚さの一貫性に悪影響を及ぼし、こ
れはソール構成要素の機能の一貫性に悪影響を及ぼす。

更に、本発明は、多くの別の設計上の配慮で実施する
ことができる。消費者又は使用者の要求が指示するなら
ば間隔を従来のEVAフォームで満たすのがよい。円形形
状の窪み又はチャンネルのような一つ又はそれ以上の凹
所をソール構成要素に成形し、外ソール材料から突出し
た係止部材と協働するための受けを構成し、外ソールを
ソール構成要素の底部材に取り付けることができる。更
に、外ソールは、成形プロセス中にソール構成要素に取
り付けることができる。これを第12図乃至第15図を参照
して例示する。第12図は、本発明の一実施例による下ソ
ール構成要素金型半部24の部分断面図であり、この図で
は、外ソール部材凹所25が金型に設けられている。合成
ゴム材料のような材料でできた外ソール材料26を、下ソ
ール半部の成形前に対応する凹所25に位置決めする。下
ソール構成要素半部用の材料27を外ソール材料から延び
る突出部の周りに成形し、これによって、外ソール材料
26と係止協働した窪み28を示す第13図に例示されている
ように、ソール構成要素に外ソール材料を係止する。第
14図及び第15図に示すように、凹所に設けられた真空ポ
ート29は、真空ポートと金型内部との間を連通させる外
ソール材料に設けられたチャンネルと協働し、加えられ
た負圧によって高温のソール構成要素材料を外ソール材
料の突出部の周りに引っ張る。第15図は、金型に凹所を
なして設けられた外ソール部材から複数の突出部が延び
る、変形例を例示する。ソール構成要素と外ソール材料
との間で適切な結合がなされるようにするため、外ソー
ル材料に成形前に接着剤を塗布するのがよい。外ソール
材料を収容した窪みは、支持部材としても機能する。好
ましい実施例では、外ソールは、底部材の窪みを覆って
泥等の異物が窪みに入り込まないようにする。

本発明のソールは、種々の方法でアッパーに取り付け
ることができる。一つの従来の方法は、ソールをアッパ
ーに接着する簡単な方法である。しかしながら、熱成形
は、ソール構成要素をアッパーに取り付けるための特に
有利な手段を提供する。例えば、接着剤を用いない取り
付け機構には、一連の一方向スナップが含まれ、これら
のスナップは、靴のアッパー又はソールのいずれかに設
けられた受けと嵌合して靴のアッパーをソールに係止す
る。好ましくは、ソールのトップ部材に、ソール部材の
トップの上面の周囲に受けを熱成形する。これらの受け
は、靴のアッパーの底の周囲から外方に延びる対応する
一方向スナップを受入れるように設計されている。第16
図、第17図、及び第18図を参照すると、これらの図に
は、ソールの上面の周囲即ち外側縁部に沿ってスナップ
受け51が位置決めされた、本発明によるソール50のトッ
プ部材の上面が示してある。靴のアッパー52の下面は、
靴のアッパーの下面の周囲に沿って、ソールに設けられ
た受けの位置と対応して位置決めされた外方に延びる一
方向スナップ53を有する。

第19図、第20図、及び第21図は、係止チャンネル54が
ソール50のトップ部材の上面にその周囲に沿って成形さ
れ、対応するリップ状リブ部材55が靴のアッパー52の下
面から下方に延びる変形例を例示する。リップは、係止
チャンネルと係合して靴のアッパーをソールに取り付け
る。

以上の説明は、本発明を例示する目的でなされたもの
である。当業者には多くの他の変形が明らかであり、こ
のような変形の全ては本発明の範疇にある。

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A43B 13/00 - 13/42

Claims (14)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】靴のソールに組み込まれるように形成され
   た可撓性高重合体樹脂製の本体部材からなる靴のソール
   構成要素において、前記本体部材は、 （ａ）トップフットプラットホーム部材と、 （ｂ）前記トップフットプラットホーム部材に対して少
   なくとも部分的に同延の関係にある底部材であって、こ
   の同延の関係によって前記トップ部材及び底部材の向き
   合った対応する部分が構成され、前記トップ部材及び底
   部材は、互いに少なくとも部分的に間隔を隔てられた関
   係にあり、その間に間隔を構成する、底部材と、 （ｃ）前記トップ部材及び底部材の両方に設けられた内
   方に差し向けられた窪みを有し、前記トップ部材及び底
   部材の各々の窪みは、それぞれ前記トップ部材及び底部
   材と一体になっており、前記間隔内に延びるように形成
   されており、前記内方に差し向けられた窪みのうちの一
   つ又はそれ以上が前記向き合った対向する部分の窪みに
   当接して前記トップ部材と底部材とを前記同延で且つ間
   隔を隔てられた関係に保持し、底部材の内方に差し向け
   られた窪みの少なくとも一つがそこに位置決めされたゴ
   ム挿入体を有する、複数の支持部材とを有する、ソール
   構成要素。
2. 【請求項２】前記内方に差し向けられた窪みのうちの一
   つ又はそれ以上が実質的に円錐台形状の支持部材を構成
   する、請求項１に記載のソール構成要素。
3. 【請求項３】前記内方に差し向けられた窪みのうちの一
   つ又はそれ以上が内部プラットホーム支持部材を構成す
   る、請求項１に記載のソール構成要素。
4. 【請求項４】前記内方に差し向けられた窪みが内部リブ
   支持部材を構成する、請求項１に記載のソール構成要
   素。
5. 【請求項５】前記トップ部材及び底部材の周囲の少なく
   とも一部と同延の壁部材を有する、請求項１に記載のソ
   ール構成要素。
6. 【請求項６】前記壁部材は、前記トップ部材及び底部材
   のうちの少なくとも一方の一体の部分から形成されてい
   る、請求項５に記載のソール構成要素。
7. 【請求項７】前記可撓性高重合体樹脂は、可撓性熱硬化
   性重合体である、請求項１に記載のソール構成要素。
8. 【請求項８】前記可撓性高重合体樹脂は、可撓性熱可塑
   性重合体である、請求項１に記載のソール構成要素。
9. 【請求項９】前記トップ部材及び底部材は、種類の異な
   る重合体でできている、請求項１に記載のソール構成要
   素。
10. 【請求項１０】前記トップ部材及び底部材は厚さが異な
    る、請求項１に記載のソール構成要素。
11. 【請求項１１】前記底部材の外面の少なくとも一部に取
    り付けられた外ソールを更に有する、請求項１に記載の
    ソール構成要素。
12. 【請求項１２】前記底部材は、一つ又はそれ以上の凹所
    を更に有し、前記外ソールは、前記凹所と係止係合す
    る、前記外ソールと一体の一又はそれ以上の突出部を有
    する、請求項11に記載のソール構成要素。
13. 【請求項１３】前記内方に差し向けられた窪みのうちの
    一つ又はそれ以上が前記向き合った部材の窪みに接合さ
    れている、請求項１に記載のソール構成要素。
14. 【請求項１４】靴のソールに組み込まれるように形成さ
    れた可撓性高重合体樹脂製の本体部材からなる靴のソー
    ル構成要素において、前記本体部材は、 （ａ）トップフットプラットホーム部材と、 （ｂ）前記トップフットプラットホーム部材に対して少
    なくとも部分的に同延の関係にある底部材であって、こ
    の同延の関係によって前記トップ部材及び底部材の向き
    合った対応する部分が構成され、前記トップ部材及び底
    部材は、互いに少なくとも部分的に間隔を隔てられた関
    係にあり、その間に間隔を構成する、底部材と、 （ｃ）前記トップ部材及び底部材の両方に設けられた内
    方に差し向けられた窪みを有し、前記トップ部材及び底
    部材の各々の窪みは、それぞれ前記トップ部材及び底部
    材と一体になっており、前記間隔内に延びるように形成
    されており、前記内方に差し向けられた窪みのうちの一
    つ又はそれ以上が前記向き合った対向する部分の窪みに
    当接して前記トップ部材と底部材とを前記同延で且つ間
    隔を隔てられた関係に保持する、複数の支持部材と、 （ｄ）トップ部材と底部材を接合すると共にそれらの周
    囲に沿った垂直な摺曲部を有する側壁部材とを有する、
    ソール構成要素。