JP3461669B2 - 熱間連続圧延鋼板の製造方法 - Google Patents

熱間連続圧延鋼板の製造方法

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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、熱間圧延において
粗圧延後の鋼材(以下粗バーと称する)を複数本つなぎ
合わせて、破断なく連続的に仕上圧延を行って熱延鋼板
を製造する方法に係り、特に、板厚の異なる粗バーのロ
ットを編成する圧延スケジュールに従い連続圧延する熱
間圧延鋼板の製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の熱延ラインでは、加熱炉で加熱し
たスラブ(鋳片)を1本ずつ粗圧延−仕上圧延を行って
いたが、この方法では圧延される材料の先端・後端部分
の熱延時の温度制御や冷却制御が困難なため、材質ばら
つきが起こり易く、さらにこの部分は、張力がない状態
で仕上げ圧延後巻取りまでの冷却ゾーンを移動するた
め、不安定なバタツキをおこして疵が発生しやすくなり
歩留まり低下を招いていた。 【0003】そこで、近年ではこの問題の解決のため
に、仕上圧延機の入側において粗バーの先行材の後端部
と後行材の先端部をシャーで直線に切断し、両端面を同
一平面で突き合わせて、粗バー溶接機等で突き合わせ面
を接合することにより、粗バーの複数本をまとめて仕上
圧延を行う方式が採用されるようになってきた。 【0004】例えば、熱間圧延鋼材の連続化のための接
合方法としては、特開昭61−144201号公報が提
案されている。この接合方法では先行圧延材の後端部と
後行圧延材の先端部を同一平面で突き合わせて両端を圧
接・接合する方法や上面からの溶接により接合する方法
が開示されている。 【0005】しかし、特開昭61−144201号公報
のごとき両端接合では中央部が非圧着のため破断発生が
多く、その対策として破断発生の原因となる非圧着部で
のスケール発生防止のためには高価な設備が必要という
問題がある。また、突き合わせ部の上面から溶接する方
法では、鋼材の温度低下防止のため高速溶接が必要であ
り、また溶融部が突き抜けないように溶接深さを調節す
る必要があり、この難しさから、全厚を接合することが
できない。このため、接合部の裏面位置に非接合部部分
ができ、両端接合の場合と同じようにスケール発生防止
策を講じないと圧延による圧着が難しくなり、圧延時に
接合部の破断が発生するという問題がある。 【0006】また、このような熱間連続圧延において
は、設備を休止させないようにするため、板厚の異なる
粗バーを接続して圧延する必要が生じるが、従来板厚の
異なる粗バーを連続圧延することについては考慮が払わ
れていなかった。その理由は、板厚の異なる粗バーを接
続して圧延する場合には、圧延時に接合部の破断が同じ
板厚の粗バーを接続して圧延する時よりも顕著に発生す
るという問題があり、また、圧延機と加熱炉とが直結し
ている熱間連続圧延ラインでは、圧延時に圧延材に破断
が生じるとラインを停止しなければならず、仕掛材料の
損失が非連続圧延である通常の圧延ラインに較べてはる
かに大きくなるという問題があるからである。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は前記
問題を解決し、板厚の異なる粗バーを生産性の高い熱延
連続化プロセスで熱延鋼板とすることを可能にするこ
と、即ち、板厚の異なる粗バーの先行材の後端部と後行
材の先端部とを接合して、スケール防止策などの大きな
設備を必要とせずに圧延時に破断を起こさないようにし
た熱間連続圧延鋼板の製造方法を提供することを課題と
する。 【0008】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
本発明者は、板厚の異なる粗バーのロット編成及び板厚
の異なる粗バーの接合部の構造について検討し、発明を
完成した。 【0009】本発明の具体的解決手段は、以下の通りで
ある。 【0010】(1)粗バーの先行材の後端部および後行
材の先端部を切断したのち、先行材と後行材を突き合わ
せて、突き合わせ上下部の一方から他方に向けて溶接し
て接合した後、圧延することを特徴とする連続熱間圧延
鋼板の製造方法において、接合する粗バーに異なるバー
厚の粗バーが存在する場合には、粗バーの圧延の順番
を、後行材バー厚を先行材バー厚よりも厚くし、かつ、
突き合わせによって接触する最端部の高さを後行材の方
が先行材より1mm以上溶接側に高く設定して溶接して
接合を行うと共に、同様順に接合する粗バーの編成を行
うことを特徴とする連続熱間圧延鋼板の製造方法。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明者らは、バー厚の異なる粗
バーを溶接した後圧延するには、圧延スケジュールとし
て粗バーのロット編成をバー厚の薄い粗バーからバー厚
の厚い粗バーへ順番に接合して圧延する方が、圧延機の
制御に有利であるとの観点のもと、先行材後端部と先行
材よりもバー厚が厚い後行材先端部とを突き合わせ、レ
ーザー溶接やアーク溶接等の溶接によって予備接合した
後、圧延を行い、その圧延状況を観察するとともに圧延
後に接合部の引張試験を行い、その接合状況を調べた。 【0012】このとき同一バー厚の場合、先行材の後端
と後行材の先端との突き合わせ位置を変化させ溶接−圧
延を繰り返した。その結果、圧延後の接合状況は、極度
に良好になる場合と、極度に悪くなる場合があることに
気がついた。その接合端面の組み合わせについて整理し
てみると、以下のようになった。 【0013】1)圧延方向に対して、接合部の溶接側の
後行材の先端の高さが、溶接側の先行材の後端の高さよ
り高い場合は、接合状況が良好となる傾向がある。 【0014】2)逆に、接合部の溶接側の先行材の高さ
が溶接側の後行材の後端の高さより高い場合は、接合状
況が悪化する傾向がある。 【0015】そこで、さらに実験室圧延機を用いて観察
を行い、上述の1)2)の条件の違いが圧延時にどのよ
うに現れるかを調べた。図1は、実験室圧延機による圧
延時の板厚の異なる粗バー接合部の状態を模式的に示す
図である。その結果、上述の1)の場合は、図1の
(a)に示すように圧延における噛み込み時に溶接側よ
り見て後行材2の下面の先端部3よりも後行材2の上面
の高い先端部4が圧延ロール5と接触して非溶接部を抑
え込み矢印の様に非溶接面に圧着応力が作用するように
して圧延され、逆に2)の場合は、図1の(b)の示す
ように後行材2の非溶接側、即ち下面の先端部4が最初
に圧延ロール6と接触するために矢印に示す様に非接合
部を開く状態で圧延される事が明らかになった。 【0016】このように、接合部の突き合わせ状態の違
いにより、接合後最初の圧延時に非接合部が開口状態に
なるか、押し付け状態になるかが決まる。図2は図1の
(a)(b)に示す状態で圧延した粗バーの接合部の長
手方向断面の顕微鏡写真である。図1の(b)に示す状
態で40%の接合率で圧延した材料は、図2の(b)に
示すように1パス時には非接合部9が開口した状態とな
り、2パス目以降はフラットになるため、非接合部9が
開口した材料は圧着せず、圧延が進むとスタンド間の張
力などの影響で破断を起こすことがある。しかし、図1
の(a)に示す状態で40%の接合率で圧延した材料
は、非接合部8が押し付けられて圧延され、図2の
(a)に示すように1パス時には非接合部8が閉じられ
た状態となり、圧延の進行と共にスケールを破砕・延伸
しながら圧着が進んでいくため、破断を起こす事がな
い。 【0017】上述のように、溶接側の後行材先端部が非
溶接側の先端部よりも先に圧延ロールと接触させる状態
を作り出すためには、予備接合時の高さ位置を変えて、
高低差をつける方法を採用することができる。 【0018】図3の(a)は、後行材が厚い異厚の粗バ
ーの接合部の斜視図であり、図3(b)は、後行材が厚
い異厚の粗バーの接合部の長手方向断面を模式的に示し
た断面図である。 【0019】即ち、図3に示すように、粗バーの切断部
はシャー切断機の種類により種々の形状の切断部が形成
されるが、いずれの切断部の形状においても、図3
(b)に示すように、先行材1のバー厚T1よりも後行
材のバー厚T2が厚い場合(T2>T1)には、先行材1
の後端面に後行材2の先端面を突き合わせて、両者が接
触する最端部を後行材の方が先行材よりも少なくとも1
mm以上、好ましくはh≧T2−T1≧1mmの条件を満
たすように溶接側(図3では上側)に高く段差hを設定
して溶接を行えばよい。それによって、溶接側の後行材
の上側先端部が、圧延ロールと最初に接触するようにな
る。 【0020】本発明では、先行材よりも後行材の突き合
わせ面の最端部をlmm以上高く段差hを設定したが、
lmm未満の段差では、溶接側の後行材先端部(図3で
は上側)が、非溶接側の先端部(図3では下側)よりも
先に圧延ロールと接触させる状態を作り出すことが困難
であるため、段差の高さをlmm以上としたが、2mm
以上とすることが好ましい。 【0021】なお、段差の高さ上限は溶接による接合率
30%以上確保できれば特に制限を加えるものではな
い。 【0022】そこで、これらの高低差をつけた状態で圧
延実験を行い、観察した結果、いずれの場合において
も、非接合部か押し付けられて圧延され、接合部の強度
が上昇する事が確認された。 【0023】本発明を実施する場合の概要を図4にもと
ずいて説明する。 【0024】図4は、粗バーの先行材とバー厚の厚い後
行材とを接合し、連続圧延して熱延鋼板を製造する工程
の概要図である。 【0025】図4に示すように、連続鋳造で得られた鋼
スラブ(鋳片)は、加熱炉10で熱間圧延温度に加熱
し、バー厚が厚い粗バーが後行材となるようにロット編
成し、その圧延スケジュールに従って、圧延機11で熱
間圧延する。粗圧延された粗バーは巻取って粗圧延コイ
ル12とし、巻き戻した先行材よりもバー厚の厚い後行
材の先端部をシャー切断機等の切断機13で切断し溶接
に適する先端開先が形される。そして、同様に切断機l
3で後端部を切断されたバー厚の薄い先行材の先端部と
突き合わせて、鋼板の上面から下面に向けてレーザー或
はアーク溶接等の溶接装置14でもって接合する。 【0026】接合した粗バーは仕上圧延機15でもって
仕上圧延し、ランアウトテーブルに設けた冷却装置16
で巻取温度に冷却した後、巻取機18でコイルに巻取
る。 【0027】鋼板は所定の寸法コイルに巻取ると切断機
17で切断する。切断位置は、接合位置で切断を行うこ
とが望ましい。 【0028】上記の接合工程で40%の接合率で接合し
て、得られた鋼板の接合部の母材強度比(接合部の引張
強度/母材の引張強度)を測定した。その結果、突き合
わせによって接触する最端部の高さhを、後行材の方が
先行材より溶接開始側へ2mm高くして溶接し、圧延し
て得た鋼板の接合部の母材強度比は、約85%であっ
た。 【0029】これに対して、従来のように異厚の粗バー
の先行材と後行材とを同一平面で突き合わせて40%の
接合率で溶接し、圧延して得た鋼板の接合部の母材強度
比は、約50%前後であった。 【0030】 【実施例】本発明の実施例について比較例と対比して述
べる。 【0031】7スタンドのタンデム圧延機を用いて粗バ
ーの接合実験を行った。粗バー厚は、20〜50mmの
鋼材を用い、シャーによって、先行材の後端部及び後行
材の先端部を切断し、そして、両者を突き合わせ、か
つ、突き合わせ高さを種々変えて粗バーの上側からの溶
接(レーザー、アーク溶接)によって予備接合した。後
行材先端部のロール接触が、上部、下部、上下同時の3
の通りに分けて圧延を行い、通板時の破断状況を観察し
た。そして通板した材料は、冷片とした後に引張試験を
行って、母材強度と比較し、母材強度比を求めた。な
お、予備接合率は、いずれも40%とした。この結果を
表1に示す。 【0032】 【表1】以上の実験結果によれば、従来方法に属する比較例では
圧延途中での破断が生じ、また母材強度比も低かった
が、本発明例では、圧延途中での破断はなく、また母材
強度比も高いものとなっていた。 【0033】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法によ
れば、異厚の粗バーを効果的に圧延でき、非接合部であ
った箇所も圧延によって圧着が進むようになり、接合部
の破断がなくなり、生産性の高い異厚の粗バーの熱延連
続化が可能になる。
【図面の簡単な説明】 【図1】実験室圧延機による圧延時の粗バー接合部の状
態を模式的に示す図である。 【図2】圧延した粗バーの接合部の長手方向断面の顕微
鏡写真である。 【図3】(a)は粗バーの接合部の斜視図であり、
(b)は粗バーの長手方向切断面を模式的に示す断面図
である。 【図4】本発明を実施する連続圧延ラインを説明する図
である。 【符号の説明】 l 先行材 2 後行材 3 先端部 4 先端部(最初に圧延ロールと接触する) 5 圧延ロール 6 圧延ロール 7 溶接部 8 非接合部 9 非接合部 10 加熱炉 ll 粗圧延機 12 粗圧延コイル 13 切断機 14 溶接装置 15 仕上圧延機 16 冷却装置 17 切断機 18 巻取機 h 段差 T1 先行材の板厚 T2 後行材の板厚
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−184481(JP,A) 特開 平4−367304(JP,A) 特開 平6−254689(JP,A) 特開 昭57−22805(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 1/00 - 1/46 B21B 15/00 B23K 20/04

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 粗バーの先行材の後端部および後行材の
    先端部を切断したのち、先行材と後行材とを突き合わせ
    て、突き合わせ上下部の一方から他方に向けて溶接して
    接合した後、圧延することを特徴とする連続熱間圧延鋼
    板の製造方法において、接合する粗バーに異なるバー厚
    の粗バーが存在する場合には、粗バーの圧延の順番を、
    後行材バー厚を先行材バー厚よりも厚くし、かつ、突き
    合わせによって接触する最端部の高さを後行材の方が先
    行材より1mm以上溶接側に高く設定して溶接して接合
    を行うと共に、同様順に接合する粗バーの編成を行うこ
    とを特徴とする連続熱間圧延鋼板の製造方法。
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