JP3460241B2 - 負イオン注入装置 - Google Patents

負イオン注入装置

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JP3460241B2
JP3460241B2 JP00336593A JP336593A JP3460241B2 JP 3460241 B2 JP3460241 B2 JP 3460241B2 JP 00336593 A JP00336593 A JP 00336593A JP 336593 A JP336593 A JP 336593A JP 3460241 B2 JP3460241 B2 JP 3460241B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イオン照射対象物に負
イオンを注入する負イオン注入装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】イオン注入装置は、拡散したい不純物を
イオン化し、電界によりイオンを引き出してイオンビー
ムを形成した後、磁界を用いた質量分析法による所望イ
オンからなるビームの形成、電界によるイオンの加速等
を行い、イオンビームをイオン照射対象物に照射するこ
とで、イオン照射対象物内に不純物を注入するものであ
り、半導体プロセスにおいてデバイスの特性を決定する
不純物を任意の量および深さに制御性良く注入できるこ
とから、現在の集積回路の製造に重要な装置になってい
る。
【0003】上記イオン注入装置としては、正イオン源
より正イオンを引き出して正イオンビームを形成し、イ
オン照射対象物内に正の不純物イオンを注入する正イオ
ン注入装置が実用化されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記正イオン注入装置
において、正の不純物イオンが、例えばポリシリコン膜
を有したシリコン基板からなるビーム照射対象物に照射
された場合には、不純物のビーム照射対象物への注入と
共に、ビーム照射対象物のポリシリコン膜を正極性に帯
電させることになる。さらに、正イオンビームのビーム
照射対象物への照射に伴って、照射面から2次電子が飛
び出す。飛び出した2次電子の一部は再びポリシリコン
膜に戻り、それ以外の2次電子はビーム照射対象物から
放出されてしまう。この放出される2次電子により、ポ
リシリコン膜はさらに正極性に帯電することになる。そ
して、ポリシリコン膜の帯電電圧が耐圧を越えた場合に
は、放電が発生し(チャージアップ現象)、デバイスを
破壊するという問題を有している。
【0005】このように、正イオン注入装置を用いた正
イオン注入処理では、チャージアップ現象が生じ易いの
に対し、負の不純物イオンを注入する負イオン注入処理
では、チャージアップ現象が生じ難い。これは、負イオ
ン注入処理の場合、ポリシリコン膜の負イオン照射部位
では、注入される負イオンにより負電荷が蓄積されると
同時に、イオン照射面から2次電子が放出されるため、
結果的に、ポリシリコン膜における電荷の蓄積は殆ど生
じないためである。したがって、負イオン注入処理は、
デバイスを作成する上で非常に有効である。
【0006】しかしながら、負イオン注入処理を行うに
際し、負イオン源で発生された大電流の負イオン(即
ち、負イオンビーム)を、ビーム照射対象物が配置され
る注入位置まで効率良く輸送するのは、正イオンの輸送
に比べて非常に困難である。これは、次の理由による。
【0007】即ち、イオン注入装置内のビーム通過経路
は真空排気されているものの、いくらかの残留ガスが存
在しているため、この残留ガスに輸送されているイオン
が衝突することにより、残留ガス分子が正イオンと電子
とに電離する。この電離により生じた正イオンは、非常
に速度が遅く、生成された直後にビーム通過経路を形成
するビーム管の側壁に吸収されてしまい、空間(ビーム
通過経路)には電離により生じた電子のみが残ることに
なる。
【0008】ここで、上記の輸送されているイオンが正
イオンの場合、電離により生じた電子が正イオンビーム
内に入ることにより、結果的に、ビームの電気的な中和
が保たれ、正イオンビームは拡がることなく輸送され
る。
【0009】これに対し、上記の輸送されているイオン
が負イオンの場合、ビームを中性化する正の荷電粒子が
存在しない。同一極性の荷電粒子(負イオン)が高密度
に集中した荷電粒子ビームでは、荷電粒子同士間に作用
するクーロン力によって荷粒子同士が反発し合い、拡が
りを持ったビームになろうとする。したがって、負イオ
ンビームの輸送過程において、負イオンビームは、ビー
ム下流になる程拡がりを持ったビームになるため、多く
の負イオンはビーム管の側壁に吸収されてしまい、注入
位置に到達できる負イオンの量は極僅かとなってしまう
のである。
【0010】そこで、負イオンを輸送するに際して、正
イオンによりビームを電気的に中性化(プラズマ化)す
ることで、注入位置までビームが拡がることなく効率良
く輸送する方法が考えられるが、この方法を用いた場
合、中性化されたイオンビームを注入することになり、
注入位置に到達するビーム電流を計測することができな
くなってしまう。通常、イオン注入装置においては、注
入位置においてビーム電流を測定し、この測定値に基づ
いてイオン注入量の制御を行うようになっているが、ビ
ーム電流の測定が行えなければ、正確な注入量制御が行
えないという問題が生じる。
【0011】したがって、負イオン注入処理を行う負イ
オン注入装置は、未だ実用化に到っていないのが現状で
ある。
【0012】本発明は、上記に鑑みなされたものであ
り、その目的は、正イオン注入装置よりもチャージアッ
プ現象が生じ難くデバイスの作成に有効な負イオン注入
装置を実現することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1および請求項2
の発明に係る負イオン注入装置は、イオン照射対象物内
に負イオンを注入するものであり、上記課題を解決する
ために、それぞれ以下の手段を講じたことを特徴として
いる。
【0014】即ち、請求項1の負イオン注入装置は、負
イオンビームを形成する負イオンビーム形成手段と、上
記負イオンビームに正イオンを供給してビームを電気的
に中性化するビーム中性化手段と、上記イオン照射対象
物の直前に設けられ、電気的中性化状態のイオンビーム
の通過経路に所定の電界を形成し、上記イオンビームを
構成する負イオンと正イオンとを偏向分離する静電偏向
分離手段とを備え、上記ビーム中性化手段がECRイオ
ン源である
【0015】また、請求項2の負イオン注入装置は、負
イオンビームを形成する負イオンビーム形成手段と、上
記負イオンビームに正イオンを供給してビームを電気的
に中性化するビーム中性化手段と、上記イオン照射対象
物の直前に設けられ、電気的中性化状態のイオンビーム
の通過経路に所定の磁界を形成し、上記イオンビームを
構成する負イオンと正イオンとを偏向分離する磁界偏向
分離手段とを備え、上記ビーム中性化手段がECRイオ
ン源である
【0016】
【作用】上記請求項1および請求項2の構成によれば、
負イオンビーム形成手段によって形成された負イオンビ
ームは、ビーム中性化手段から供給される正イオンによ
って電気的に中性化された状態で、イオン照射対象物の
直前まで輸送されるので、負イオンを効率よくイオン照
射対象物の直前まで輸送することができる。
【0017】そして、請求項1の構成では、上記のイオ
ン照射対象物の直前まで輸送された電気的中性化状態の
イオンビームが、静電偏向分離手段の形成する電界によ
り、負イオンと正イオンとに偏向分離されるので、負イ
オンのみをイオン照射対象物に注入することができ、結
果として負イオンのみのドーズ量を測定することが可能
となる。
【0018】また、請求項2の構成では、上記のイオン
照射対象物の直前まで輸送された電気的中性化状態のイ
オンビームが、磁界偏向分離手段の形成する磁界によ
り、負イオンと正イオンとに偏向分離されるので、負イ
オンのみをイオン照射対象物に注入することができ、結
果として負イオンのみのドーズ量を測定することが可能
となる。
【0019】したがって、上記請求項1および請求項2
の構成により、注入量の制御性のよい大電流の負イオン
注入が可能となり、正イオン注入よりもチャージアップ
現象が生じ難くデバイスの作成に有効な負イオン注入処
理を実現することができる。
【0020】
【実施例】
〔実施例1〕請求項1の発明の一実施例を図1ないし図
3に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0021】本実施例に係る負イオン注入装置は、図3
に示すように、基本的には、負イオンビームを形成する
負イオンビーム形成部(負イオンビーム形成手段)1、
電界によって負イオンを所定エネルギーまで加速する加
速管2、負イオンビームを電気的に中性化するための正
イオンを生成する中性化用正イオン源(ビーム中性化手
段)3、所定の注入イオンのみを選別して取り出す質量
分析部4、注入直前にイオンビームを電界により偏向す
るビーム偏向部(静電偏向分離手段)5、負イオン注入
が行われるエンドステーション部6、および正イオンを
吸収する正イオン吸収チャンバ7から構成されている。
【0022】上記負イオンビーム形成部1は、基本的に
は、プラズマチャンバ内で所望の負イオンを含むプラズ
マを生成する負イオン源11と、電界によりチャンバ内
から真空中に負イオンを引き出して負イオンビームを形
成する引き出し電極12とから構成されている。
【0023】上記負イオン源11としては、例えばPI
G(Penning Ionization Gauge)型やマイクロ波型等の
イオン源を用いることができるが、これに限定されるも
のではなく、所望の負イオンを含むプラズマを生成する
ことができるものであれば、いかなる構成のものであっ
てもよい。
【0024】上記中性化用正イオン源3は、加速管2の
後段に設けられている。本実施例では、上記中性化用正
イオン源3として、電子サイクロトロン共鳴(ECR:
Electron Cyclotron Resonance)条件の磁界中でマイク
ロ波放電を生じさせてプラズマを生成するマイクロ波型
のイオン源(ECRイオン源)を使用している。
【0025】この中性化用正イオン源3は、図2に示す
ように、例えば2.45GHzのマイクロ波を出力するマ
グネトロン31と、このマグネトロン31を作動させる
マグネトロン電源32とを有している。上記マグネトロ
ン31には、マイクロ波が通過可能な高い誘電率を有す
る材質、例えばアルミナ(Al2 3 )等の材質で形成
された円柱状のウェイブガイド33の一端が接続されて
いる。上記ウェイブガイド33の他端は、プラズマ生成
室37を形成するプラズマチャンバ34に接続されてお
り、ウェイブガイド33は、マグネトロン31から出力
されたマイクロ波をプラズマ生成室37へと伝導するよ
うになっている。
【0026】上記プラズマチャンバ34には、動作ガス
導入管35が接続され、ガスボンベ36に充填された動
作ガスが、プラズマ生成室37内に導入されるようにな
っている。また、プラズマチャンバ34の内壁面には、
例えばBN等の材質で形成されたライナー38が設けら
れている。
【0027】また、プラズマチャンバ34の周囲には、
図示しないソースマグネット電源よりソースマグネット
電流が供給されるソレノイドコイルを備えたソースマグ
ネット39が配設されており、このソースマグネット3
9は、プラズマ生成室37内に、正イオンが引き出され
る方向と平行な磁界を形成するようになっている。
【0028】上記プラズマチャンバ34におけるウェイ
ブガイド33との接続部と対向する側は、ビーム通過経
路を形成するビーム管10に接続されており、プラズマ
生成室37とビーム通過経路とは、イオン引出孔34a
を介して連通している。これにより、ビーム管10内を
通過している負イオンビームの負のポテンシャルによ
り、プラズマ生成室37内で生成されたプラズマから、
正イオンがイオン引出孔34aを介してビーム管10内
へ引き出される。したがって、中性化用正イオン源3よ
りもビーム進行方向下流では、負イオンビームは、正イ
オンによって電気的に中性化された状態で輸送されるこ
とになる。
【0029】本実施例において中性化用正イオン源3と
して上記ECRイオン源を用いたのは、次の理由によ
る。即ち、プラズマから引き出された正イオンのエネル
ギーが高いと、正イオンがビーム管10の内壁に突入
し、コンタミネーションの原因になるため、中性化用正
イオン源3において生成されるプラズマのエネルギーは
できるだけ小さい方が望ましい。この点、ECRイオン
源において生成されるプラズマのエネルギーは、数ev
〜数十evと比較的小さく、上記ECRイオン源は中性
化用正イオン源3として適当である
【0030】上記ビーム偏向部5は、図1に示すよう
に、ビーム管10内においてイオンビームの通過経路を
挟んで対向配置された一対の偏向電極51・52を有し
ている。上記偏向電極51には、電源53より所定の正
電圧が印加され、偏向電極52には、電源54より所定
の負電圧が印加される。これにより、電気的に中性化さ
れたイオンビームがビーム偏向部5を通過する際、イオ
ンビームを構成する負イオンおよび正イオンは、偏向電
極51・52間に生じる電界によって異なる方向に偏向
され、分離されるようになっている。
【0031】上記ビーム偏向部5において偏向された負
イオンの進行方向には、上記エンドステーション部6
が、また、ビーム偏向部5において偏向された正イオン
の進行方向には、上記正イオン吸収チャンバ7がそれぞ
れ設けられている。
【0032】上記エンドステーション部6には、シリコ
ンウエハ等のイオン照射対象物61を保持する保持部材
62が設けられている。この保持部材62は、熱伝導性
に優れたアルミニウム合金等の金属材料により形成され
ている。そして、この保持部材62には、図示しない上
記ビーム電流測定部が接続されている。
【0033】また、上記保持部材62に保持されたイオ
ン照射対象物61の前方(イオン進行方向上流側)に
は、負イオンビームの通過経路を囲むようにして形成さ
れた円筒状のファラデーカップ63が設けられている。
このファラデーカップ63は、イオン照射対象物61お
よび保持部材62における負イオンビームの照射面から
放出される2次電子や2次イオンをコレクトするもので
あり、このファラデーカップ63にも、上記ビーム電流
測定部が接続されている。このファラデーカップ63に
より、2次電子や2次イオンの影響の少ない正確なビー
ム電流測定が可能となっている。
【0034】また、上記負イオン注入装置は、上記ビー
ム電流測定部により測定されるビーム電流に基づいてイ
オン注入量の制御を行う注入コントローラ(図示せず)
を備えている。
【0035】上記の構成において、負イオン注入装置の
動作を以下に説明する。
【0036】先ず、負イオンビーム形成部1において負
イオンビームが形成され、この負イオンビームが加速管
2を通過することによって所望のエネルギーまで加速さ
れる。
【0037】一方、中性化用正イオン源3において、プ
ラズマ生成室37内にプラズマが生成される。即ち、図
示しない真空排気手段によって高真空状態にされたプラ
ズマ生成室37内に、ガスボンベ36に充填されている
動作ガスが導入される。さらに、ソースマグネット36
によってプラズマ生成室37内に正イオンが引き出され
る方向と平行な磁界が形成されると共に、マグネトロン
31から出力されるマイクロ波電力が、ウェイブガイド
33を介してプラズマ生成室37に導入されることによ
り、プラズマ生成室37内でECR現象によるマイクロ
波放電が起き、上記の動作ガスがプラズマ化される。
【0038】そして、ビーム管10内を通過している負
イオンビームの負のポテンシャルにより、上記プラズマ
生成室37内で生成されたプラズマを構成する正イオン
が、プラズマ生成室37からビーム管10内へ引き出さ
れる。そして、この正イオンが負イオンビーム内に引き
込まれ、負イオンビームは、正イオンによって中性化さ
れる。これにより、中性化用正イオン源3よりもビーム
進行方向下流では、負イオンビームは、正イオンによっ
て電気的に中性化された状態で、拡がることなく効率よ
く輸送されることになる。
【0039】尚、上記中性化用正イオン源3において生
成される正イオンとしては、イオン照射対象物61に対
する影響がなく、プラズマを得やすいものが好ましく、
例えばイオン照射対象物61としてシリコンウエハを使
用する場合では、水素イオン(H+ )を用いることがで
きる。
【0040】この後、上記のように電気的に中性化され
たイオンビームは、略90°に曲折されたビーム通過経
路を有する質量分析部4においてビーム構成イオンが磁
界によって質量分析されることにより、所望の負イオン
以外の負イオンが除去されたイオンビームとされる。こ
こで、正イオンは、負イオンに比べて速度が非常に遅い
ために磁界の影響をあまり受けることなく、高い負のポ
テンシャルを有する負イオンビームに絡みついて質量分
析部4を通過することになる。したがって、イオンビー
ムは、質量分析部4通過後も電気的中性化状態が保持さ
れる。
【0041】この後、上記イオンビームは、電気的中性
化状態のまま輸送され、エンドステーション部6の直前
に設けられたビーム偏向部5において、負イオンと正イ
オンとに分離されることになる。即ち、電気的中性化状
態のイオンビーム中の負イオンは、偏向電極51・52
間に生じる電界により、電源53から正電圧が印加され
ている偏向電極51側に偏向される一方、イオンビーム
中の正イオンは、電源54から負電圧が印加されている
偏向電極52側に偏向される。
【0042】上記ビーム偏向部5で偏向分離された正イ
オンの進行方向には、正イオン吸収チャンバ7が設けら
れており、正イオンは正イオン吸収チャンバ7に衝突し
て該チャンバ7に吸収されてしまう。
【0043】一方、上記ビーム偏向部5で偏向分離され
た負イオンの進行方向には、エンドステーション部6が
設けられており、該エンドステーション部6でイオン照
射対象物61への負イオン注入がなされる。即ち、上記
負イオン(負イオンビーム)は、エンドステーション部
6に具備されたファラデーカップ63内に入射した後、
保持部材62に保持されたイオン照射対象物61に注入
される。
【0044】このイオン照射対象物61に照射される負
イオンビームの電流量は、上記ファラデーカップ63お
よび保持部材62に接続されたビーム電流測定部(図示
せず)により測定され、この測定値に基づいたイオン注
入量の制御が、注入コントローラ(図示せず)によりな
される。
【0045】以上のように、本実施例の負イオン注入装
置は、負イオンビームを形成する負イオンビーム形成部
1と、負イオンビームを電気的に中性化するための正イ
オンを生成する中性化用正イオン源3と、注入位置の直
前でイオンビームを構成する負イオンおよび正イオンを
電界により偏向分離するビーム偏向部5とを備えてい
る。
【0046】これにより、負イオンビーム形成部1にお
いて形成された負イオンビームは、中性化用正イオン源
3のプラズマ生成室37から引き出された正イオンによ
って電気的に中性化された状態で輸送されるので、負イ
オンを効率よく注入位置の直前まで輸送することができ
る。そして、電気的中性化状態のイオンビームは、注入
位置の直前においてビーム偏向部5によって負イオンと
正イオンとに偏向分離されるので、負イオンのみをイオ
ン照射対象物61に注入することができ、負イオンのみ
のドーズ量を測定することが可能となる。したがって、
上記構成により、注入量の制御性のよい大電流の負イオ
ン注入が可能となり、正イオン注入よりもチャージアッ
プ現象が生じ難くデバイスの作成に有効な負イオン注入
処理を実現できる。
【0047】〔実施例2〕請求項2の発明の一実施例を
図3ないし図5に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。
【0048】本実施例に係る負イオン注入装置は、前記
実施例1におけるイオンビームを電界により偏向するビ
ーム偏向部5の代わりに、イオンビームを磁界により偏
向するビーム偏向部5′が用いられている以外は、基本
的には、図3に示す前記実施例1の構成と同一であり、
上記ビーム偏向部5′以外の構成部材には、前記実施例
1と同一の参照番号を付記し、その説明を省略する。
【0049】本実施例の負イオン注入装置のビーム偏向
部5′は、図4に示すように、ビーム通過経路を形成す
るビーム管10を挟んでN極とS極とが対向配置された
一対のマグネット55a・55bから構成されており、
上記一対のマグネット55a・55bは、中性化用正イ
オン源3によって電気的に中性化されたイオンビームの
進行方向と略垂直な磁界を形成するようになっている。
これにより、電気的に中性化されたイオンビームが上記
ビーム偏向部5′を通過する際、イオンビームを構成す
る負イオンおよび正イオンは、上記ビーム進行方向と略
垂直な磁界によって異なる方向に偏向され、分離される
ようになっている。
【0050】上記ビーム偏向部5′において偏向された
負イオンの進行方向には、エンドステーション部6が、
また、ビーム偏向部5′において偏向された正イオンの
進行方向には、正イオン吸収チャンバ7がそれぞれ設け
られている。
【0051】上記の構成において、負イオン注入装置の
動作を以下に説明する。
【0052】上記イオンビームがビーム偏向部5′に到
達するまでは、前記実施例1と同様であり、図2に示す
負イオンビーム形成部1において形成された負イオンビ
ームは、中性化用正イオン源3のプラズマ生成室37か
ら引き出された正イオンによって電気的に中性化された
状態で輸送される。
【0053】そして、上記電気的中性化状態のイオンビ
ームは、エンドステーション部6の直前に設けられたビ
ーム偏向部5′において、負イオンと正イオンとに分離
されることになる。即ち、上記イオンビームがビーム偏
向部5′を通過する際、図5に示すように、上記イオン
ビームを構成する負イオンには、次式に示される同図中
1 方向の力F11 =−q1 1 ×B が作用する。ここで、q1 は負イオンの電荷、v1 は負
イオンの速度、Bは磁束密度である。一方、イオンビー
ムを構成する正イオンには、次式に示される同図中A2
方向の力F22 =q2 2 ×B が作用する。ここで、q2 は正イオンの電荷、v2 は正
イオンの速度、Bは磁束密度である。
【0054】上記ビーム偏向部5′で偏向分離された正
イオンの進行方向には、正イオン吸収チャンバ7が設け
られており、正イオンは正イオン吸収チャンバ7に衝突
して該チャンバ7に吸収されてしまう。
【0055】一方、上記ビーム偏向部5で偏向分離され
た負イオンの進行方向には、エンドステーション部6が
設けられており、該エンドステーション部6でイオン照
射対象物61への負イオン注入がなされる。
【0056】以上のように、本実施例の負イオン注入装
置は、負イオンビームを形成する負イオンビーム形成部
1と、負イオンビームを電気的に中性化するための正イ
オンを生成する中性化用正イオン源3と、注入位置の直
前でイオンビームを構成する負イオンおよび正イオンを
磁界により偏向分離するビーム偏向部5′とを備えてい
る。
【0057】これにより、負イオンビーム形成部1にお
いて形成された負イオンビームは、中性化用正イオン源
3のプラズマ生成室37から引き出された正イオンによ
って電気的に中性化された状態で輸送されるので、負イ
オンを効率よく注入位置の直前まで輸送することができ
る。そして、電気的中性化状態のイオンビームは、注入
位置の直前においてビーム偏向部5′によって負イオン
と正イオンとに偏向分離されるので、負イオンのみをイ
オン照射対象物61に注入することができ、負イオンの
みのドーズ量を測定することが可能となる。したがっ
て、上記構成により、注入量の制御性のよい大電流の負
イオン注入が可能となり、正イオン注入よりもチャージ
アップ現象が生じ難くデバイスの作成に有効な負イオン
注入処理を実現できる。
【0058】尚、上記の実施例1および2では、中性化
用正イオン源3が加速管2のすぐ後段に設けられている
が、その設置位置はこれに限定されるものではなく、例
えば、質量分析部4のすぐ後段に設けられてもよい。
【0059】上記の実施例は、あくまでも、本発明の技
術内容を明らかにするものであって、そのような具体例
にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本
発明の精神と特許請求事項の範囲内で、いろいろと変更
して実施することができるものである。
【0060】
【発明の効果】請求項1の発明に係る負イオン注入装置
は、以上のように、負イオンビームを形成する負イオン
ビーム形成手段と、上記負イオンビームに正イオンを供
給してビームを電気的に中性化するビーム中性化手段
と、上記イオン照射対象物の直前に設けられ、電気的中
性化状態のイオンビームの通過経路に所定の電界を形成
し、上記イオンビームを構成する負イオンと正イオンと
を偏向分離する静電偏向分離手段とを備え、上記ビーム
中性化手段がECRイオン源である構成である。
【0061】それゆえ、負イオンを効率よく輸送するこ
とができると共に、負イオンのみをイオン照射対象物に
注入することができ、結果として負イオンのみのドーズ
量を測定することが可能となる。したがって、注入量の
制御性のよい大電流の負イオン注入が可能となり、正イ
オン注入よりもチャージアップ現象が生じ難くデバイス
の作成に有効な負イオン注入処理を実現することができ
るという効果を奏する。
【0062】請求項2の発明に係る負イオン注入装置
は、以上のように、負イオンビームを形成する負イオン
ビーム形成手段と、上記負イオンビームに正イオンを供
給してビームを電気的に中性化するビーム中性化手段
と、上記イオン照射対象物の直前に設けられ、電気的中
性化状態のイオンビームの通過経路に所定の磁界を形成
し、上記イオンビームを構成する負イオンと正イオンと
を偏向分離する磁界偏向分離手段とを備え、上記ビーム
中性化手段がECRイオン源である構成である。
【0063】それゆえ、負イオンを効率よく輸送するこ
とができると共に、負イオンのみをイオン照射対象物に
注入することができ、結果として負イオンのみのドーズ
量を測定することが可能となる。したがって、注入量の
制御性のよい大電流の負イオン注入が可能となり、正イ
オン注入よりもチャージアップ現象が生じ難くデバイス
の作成に有効な負イオン注入処理を実現することができ
るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明に係る負イオン注入装置のビー
ム偏向部、エンドステーション部および正イオン吸収チ
ャンバを示すと共に、中性化イオンビームが偏向分離さ
れる様子を説明する説明図である。
【図2】請求項1および2の発明に係る負イオン注入装
置の中性化用正イオン源を示すと共に、負イオンビーム
が電気的に中性化される様子を説明する説明図である。
【図3】上記負イオン注入装置の全体の構成を示す概略
構成図である。
【図4】請求項2の発明に係る負イオン注入装置のビー
ム偏向部を示す説明図である。
【図5】上記負イオン注入装置のビーム偏向部、エンド
ステーション部および正イオン吸収チャンバを示すと共
に、中性化イオンビームが偏向分離される様子を説明す
る説明図である。
【符号の説明】
1 負イオンビーム形成部(負イオンビーム形成手
段) 2 加速管 3 中性化用正イオン源(ビーム中性化手段) 4 質量分析部 5 ビーム偏向部(静電偏向分離手段) 5′ ビーム偏向部(磁界偏向分離手段) 6 エンドステーション部 7 正イオン吸収チャンバ 10 ビーム管 11 負イオン源 51 偏向電極 52 偏向電極 53 電源 54 電源 55a マグネット 55b マグネット 61 イオン照射対象物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−147074(JP,A) 特公 昭56−7292(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 37/317

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオン照射対象物内に負イオンを注入する
    負イオン注入装置であって、 負イオンビームを形成する負イオンビーム形成手段と、 上記負イオンビームに正イオンを供給してビームを電気
    的に中性化するビーム中性化手段と、 上記イオン照射対象物の直前に設けられ、電気的中性化
    状態のイオンビームの通過経路に所定の電界を形成し、
    上記イオンビームを構成する負イオンと正イオンとを偏
    向分離する静電偏向分離手段とを備え 上記ビーム中性化手段がECRイオン源である ことを特
    徴とする負イオン注入装置。
  2. 【請求項2】イオン照射対象物内に負イオンを注入する
    負イオン注入装置であって、 負イオンビームを形成する負イオンビーム形成手段と、 上記負イオンビームに正イオンを供給してビームを電気
    的に中性化するビーム中性化手段と、 上記イオン照射対象物の直前に設けられ、電気的中性化
    状態のイオンビームの通過経路に所定の磁界を形成し、
    上記イオンビームを構成する負イオンと正イオンとを偏
    向分離する磁界偏向分離手段とを備え 上記ビーム中性化手段がECRイオン源である ことを特
    徴とする負イオン注入装置。
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