JP3459158B2 - 電力系統シミュレーション方法 - Google Patents

電力系統シミュレーション方法

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JP3459158B2 JP33734496A JP33734496A JP3459158B2 JP 3459158 B2 JP3459158 B2 JP 3459158B2 JP 33734496 A JP33734496 A JP 33734496A JP 33734496 A JP33734496 A JP 33734496A JP 3459158 B2 JP3459158 B2 JP 3459158B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電力系統過渡現
象を電気系と機械系とに分離して正しい解析結果を得る
ことのできる電力系統シミュレーション方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】電力系統過渡現象を解析するための従来
一般に行われている手法は、「電力系統過渡解析論」
(関根泰次、オーム社、1984)に示されている。こ
の手法の特徴は電力系統の交流電気回路ベクトル変数を
実数に変換する。このため、過渡状態同期発電機交流電
気回路方程式のみで電気系の解が得られず、電力系統電
気系の過渡現象を解明できない。そこで電気系定数にい
くつかの補正設定を施し、電力系統電気系と電力系統機
械系の連立方程式で電気系および機械系の過渡現象を解
明する。
【0003】図12は、この「電力系統過渡解析論」に
示されている電力系統過渡現象を解析するための従来の
手法をもとにした電力系統シミュレーション方法の構成
を示すフローチャートである。このフローチャートによ
れば、先ず、電力系統の初期潮流を計算し(ステップS
T1)、さらに電力系統の発電機諸量の初期値を計算す
る(ステップST2)。そして、電力系統の状態変化を
計算し(ステップST3)、電力系統各部分の電圧、電
流を計算し(ステップST4)、電力系統微分方程式を
計算し(ステップST5)、さらに前記計算した電力系
統微分方程式で次のステップを計算し(ステップST
6)、電力系統シミュレーションが終了するまでステッ
プST4からステップST6までの処理を繰り返す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の電力系統シミュ
レーション方法は以上のように構成されていたので、時
定数の異なる電力系統電気系と電力系統機械系とを分離
することができず、電力系統過渡現象を正しく解析する
ことが困難であり、電力系統の送電限界を求める場合な
どに障害となる課題があった。また、電力系統電気系解
析において電気回路の解析解が得られないため、電気系
の過渡現象が不明確な状態で電力系統シミュレーション
を行うため、電力系統の最適な高速制御を行うための正
しいシミュレーションが実現できない課題があった。
【0005】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたもので、時定数の異なる電力系統電気系
と電力系統機械系とを分離し電力系統過渡現象を正しく
解析し、さらに電力系統の最適な高速制御を行うための
シミュレーションを実現する電力系統シミュレーション
方法を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係
る電力系統シミュレーション方法は、電力系統の電気系
過渡現象の解析にスパイラルベクトル理論を適用し、
【数3】 により、前記電力系統の電流一般解の解析を行う電力系
統電気系解析過程と、該電力系統電気系解析過程による
解析結果をもとに、
【数4】 により、前記電力系統の機械系の解析を行う電力系統機
械系解析過程と、該電力系統機械系解析過程による解析
結果をもとに、前記電力系統電気系解析過程で得られた
解析結果の各定数を修正して前記電力系統機械系解析過
程による解析結果を前記電力系統電気系解析過程へ反映
させる反映過程とを備えるようにしたものである。
【0007】 請求項記載の発明に係る電力系統シミュ
レーション方法は、シミュレートしようとする状況につ
いての電力系統の初期状態に応じた定数を設定する初期
条件設定過程を有し、該初期条件設定過程で前記定数が
設定された前記初期状態に応じた前記状況発生時の過渡
現象について前記電力系統の電気系の解析を行う電力系
統電気系解析過程と、該電力系統電気系解析過程による
前記状況発生時の解析結果をもとに前記状況発生時の前
記電力系統の機械系の解析を行う電力系統機械系解析過
程とを備えるようにしたものである。
【0008】 請求項記載の発明に係る電力系統シミュ
レーション方法は、電力系統で発生する負荷変動の発生
条件初期状態に応じた定数を設定する初期条件設定過程
を有し、該初期条件設定過程で前記定数が設定された負
荷変動発生の際の条件である初期状態に応じた負荷変動
発生時の過渡現象について前記電力系統の電気系の解析
を行う電力系統電気系解析過程と、該電力系統電気系解
析過程による前記負荷変動発生時の解析結果をもとに前
記負荷変動発生時の前記電力系統の機械系の解析を行う
電力系統機械系解析過程とを備えるようにしたものであ
る。
【0009】 請求項記載の発明に係る電力系統シミュ
レーション方法は、負荷変動発生以降の過渡現象につい
ての電力系統の電気系の解析結果から得られた電力系統
同期機の発生出力を求める電力系統同期機発生出力演算
過程と、前記電力系統同期機発生出力演算過程で求めた
前記電力系統同期機の発生出力をもとに電力系統機械系
の状態変化量を求める状態変化量演算過程と、前記状態
変化量演算過程で求めた状態変化量に応じて電力系統電
気系解析過程で得られた解析結果の各定数を修正するこ
とで、電力系統機械系解析過程による解析結果を前記電
力系統電気系解析過程へ反映させる反映過程とを備える
ようにしたものである。
【0010】 請求項記載の発明に係る電力系統シミュ
レーション方法は、電力系統における事故の発生する条
件である初期状態に応じた定数を設定する初期条件設定
過程を有し、前記初期条件設定過程で前記定数が設定さ
れた初期状態に応じた事故発生時の過渡現象について前
記電力系統の電気系の解析を電力系統電気系解析過程で
行い、前記電力系統電気系解析過程による前記事故発生
時の解析結果をもとに前記事故発生時の前記電力系統の
機械系の解析を電力系統機械系解析過程で行うようにし
たものである。
【0011】 請求項記載の発明に係る電力系統シミュ
レーション方法は、事故発生以降の過渡現象についての
電力系統の電気系の解析結果から電力系統同期機の発生
出力を求める電力系統同期機発生出力演算過程と、該電
力系統同期機発生出力演算過程で求めた前記電力系統同
期機の発生出力をもとに電力系統機械系の状態変化量を
演算し求める状態変化量演算過程と、該状態変化量演算
過程で求めた状態変化量に応じて電力系統電気系解析過
程で得られた解析結果の各定数を修正することで、前記
電力系統機械系解析過程による解析結果を前記電力系統
電気系解析過程へ反映させる反映過程とを備えるように
したものである。
【0012】 請求項記載の発明に係る電力系統シミュ
レーション方法は、状態変化量演算過程で求めた電力系
統機械系の状態変化量を所定の閾値と比較する比較過程
と、前記状態変化量演算過程で求めた状態変化量が前記
所定の閾値を越えているとの比較結果が前記比較過程で
得られると電力系統電気系解析過程で得られた解析結果
の各定数を修正し、前記電力系統機械系解析過程による
解析結果を前記電力系統電気系解析過程へ反映過程が反
映させるようにしたものである。
【0013】 請求項記載の発明に係る電力系統シミュ
レーション方法は、状態変化量演算過程で求めた状態変
化量が所定の閾値を越えていないとの比較結果が前記比
較過程で得られると、電力系統同期機発生出力演算過程
での電力系統同期機の発生出力の演算を行い、この電力
系統同期機の発生出力をもとに前記状態変化量演算過程
で求めた状態変化量と前記所定の閾値との比較を前記比
較過程で行う再比較過程を備えるようにしたものであ
る。
【0014】 請求項記載の発明に係る電力系統シミュ
レーション方法は、電力系統同期機発生出力演算過程で
求めた電力系統同期機の発生出力をもとに電力系統機械
系の位相角である状態変化量を電力系統機械系解析過程
の状態変化量演算過程が求めるようにしたものである。
【0015】 請求項10記載の発明に係る電力系統シミ
ュレーション方法は、事故発生以降および線路開放以降
の系統状態の急変の有無について判定する系統状態急変
判定過程を備えるようにしたものである。
【0016】 請求項11記載の発明に係る電力系統シミ
ュレーション方法は、系統状態急変判定過程により系統
状態の急変があったことが判定されたときの電力系統電
気系の過渡現象について解析を行う系統状態急変時電気
系解析過程と、該系統状態急変時電気系解析過程の解析
結果をもとに前記電力系統が急変したときの前記電力系
統の機械系の解析を行う電力系統機械系解析過程とを備
えるようにしたものである。
【0017】 請求項12記載の発明に係る電力系統シミ
ュレーション方法は、初期条件設定過程で定数が設定さ
れた初期状態に応じた事故発生時の過渡現象について過
渡直流電流を含む電力系統の電気系の解析を行う電力系
統電気系解析過程を備えるようにしたものである。
【0018】 請求項13記載の発明に係る電力系統シミ
ュレーション方法は、複数の電力系統同期機を有した電
力系統の電力系統電気系解析過程および電力系統機械系
解析過程における演算にそれぞれ並列演算ノードを設定
し、前記電力系統電気系解析過程による電力系統電気系
の解析および前記電力系統機械系解析過程による電力系
統機械系の解析を並列的に行うようにしたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
説明する。 実施の形態1. この実施の形態1の電力系統シミュレーション方法は、
同期発電機は、事故、負荷変動などに対し電気的出力に
より対応していることから、電力系統電気系の解析結果
を電力系統機械系に反映させ、前記電力系統機械系へ反
映させた前記同期発電機電気的出力などの反映結果(機
械系解析結果)をさらに前記電力系統電気系へフィード
バックするなどの手法を用い、前記電力系統電気系と前
記電力系統機械系とを別々に解析するものである。
【0020】 図1は、この実施の形態1の電力系統事故
発生時の電力系統シミュレーション方法の構成を示すフ
ローチャートである。このフローチャートによれば、先
ず電力系統の潮流計算を行い(ステップST11)、電
力系統事故発生条件初期状態による定数を求める(ステ
ップST12)(初期条件設定過程)。スパイラルベク
トル理論による電力系統電気系解析解を求め(ステップ
ST13)(電力系統電気系解析過程)、さらに電力系
統それぞれの同期発電機の機械系微分方程式を解くこと
で同期機電気系の電気的出力より電力系統機械系の位相
角変化分を演算して求める(ステップST14)(電力
系統機械系解析過程,電力系統同期機発生出力演算過
程,状態変化量演算過程)。この演算は数値積分法によ
り求める。そして、線路遮断器の操作により線路を開放
するなどして電力系統の事故をクリアした後に系統状態
急変が発生したか否かを判定し(ステップST15)
(系統状態急変判定過程)、電力系統シミュレーション
の終了時間経過を判定する(ステップST16)。
【0021】 ステップST16における判定の結果、電
力系統シミュレーションの終了時間を経過していなけれ
ば電力系統機械系の同期発電機の位相角の変化とその位
相角の変化についての閾値とを比較する(ステップST
17)(比較過程)。また、ステップST16において
電力系統シミュレーションの終了時間を経過したときに
は電力系統シミュレーションを終了する。
【0022】 ステップST17における閾値は、電力系
統シミュレーションを行う際の計算精度を追及する場合
には0.001ラジアン以下、計算速度を追及する場合
には0.1ラジアン以上が好ましい。また、計算精度や
計算速度のバランスを考慮する場合には0.01ラジア
ン程度が良いが、電力系統シミュレーションの目的によ
りこの閾値を変えるようにするのが望ましい。
【0023】 ステップST17における判定の結果、前
記位相角の変化が前記閾値を越える場合には、スパイラ
ルベクトル理論により電力系統電気系の解析解を修正す
る(ステップST19)(反映過程)。一方、ステップ
ST17における判定の結果、前記位相角の変化が前記
閾値を越えない場合には、ステップST14へ戻り、ス
テップST14以降の処理を実行する(再比較過程)。
そして、これらステップST14からステップST17
までの処理を、電力系統シミュレーションの終了時間経
過まで繰り返す。以上の説明におけるスパイラルベクト
ルとは、図2に示すように複素平面上で反時計回りで減
衰しながら回転するベクトル
【数5】 をいう。
【0024】 次に、図3に示す電力系統図をもとに図1
のフローチャートに示す動作について説明する。図3に
おいて、R1は同期発電機の電機子抵抗、Rは線路抵
抗、Lsは同期発電機の同期インダクタンス、Lは線路
インダクタンス、CB1,CB2,CB3,CB4は線
路遮断器、Fは事故点を示している。事故点Fにおける
地絡事故を想定し、一定時間後に線路の線路遮断器CB
1,CB2を動作させ、線路を開放するというシミュレ
ーションを行う。
【0025】 同期発電機の内部電圧をe1 、同期発電機
の端子電圧をv1 、端子電流をi1(無限大母線電圧を
b )と仮定すると、次式(1)および次式(2)が成
立する。ここで、全ての変数がスパイラルベクトルであ
る。
【0026】1 =v1 +i1 1 +Ls pi1 (1) v1 =vb +i1 (R/2)+(L/2)pi1 (2)
【0027】 電力系統の定常状態においては、スパイラ
ルベクトルの大きさと回転速度は一定であるので、次式
(3)および次式(4)が成立する。
【0028】
【数6】 ここで、E1 は電力系統同期機内部電圧定常ベクトル、
1 は電力系統同期機端子電圧定常ベクトル、Vb は電
力系統無限大母線定常ベクトル、I1 は電力系統同期機
端子電流定常ベクトル、ωは電力系統定常角速度であ
り、式(3)および式(4)により図4に示すベクトル
図が成立する。
【0029】 事故発生後および線路遮断器による線路の
開放で事故をクリアした後の電力系統の過渡状態では、
スパイラルベクトル理論による電流一般解i1sは次式
(5)の通りである。
【0030】
【数7】
【0031】ここで、λは減衰定数、I1sは電流定常
解、Aは初期条件により決定する任意定数である。この
ようにして事故中(事故発生後および線路遮断器による
線路の開放で事故をクリアした後)における電力系統電
気系の過渡現象は解析解より解析することが可能であ
る。この式(5)は、事故発生後および線路遮断器によ
る線路の開放で事故をクリアした後に電力系統が変った
ときには相応の解析解となる(ステップST18)。そ
して、式(5)と前記初期条件により次式(6)に示す
同期機電気的出力Peを求めることができる。
【0032】
【数8】
【0033】電力系統に複数の同期発電機が存在してい
るときには、このようにして求めた各同期発電機の同期
機電気的出力Pei(i は1,2,3・・・Nであり同期
発電機の数)を次式(7)へ代入することで、各同期発
電機の電力系統機械系の1ステップにおける位相角変化
分Δδi を求める(ステップST14)。
【0034】
【数9】
【0035】ここで、δは同期発電機の位相角、Pm
同期機機械的入力、Pe は同期機電気的出力、Mは同期
機慣性定数、ωは基本角速度である。そして、事故クリ
ア、負荷脱落などによる系統状態の急変があるか否かを
判定する(ステップST15)。この判定の結果、系統
状態の急変があったときには新しい系統についての電力
系統電気系の解析的な解を再度スパイラルベクトル理論
により得て(ステップST18)、ステップST14へ
戻る。一方、ステップST15において系統状態の急変
がないと判定されると、系統の構成は変わっていないの
で、ステップST16へ進んでシミュレーション終了時
間が経過したか否かを判定する。この結果、シミュレー
ション終了時間が経過していなければ、シミュレーショ
ンを継続して電力系統機械系の各同期発電機の位相角の
変化Δδi がそれぞれの同期発電機のある一定の閾値δ
0i(i は1,2,3・・・Nであり同期発電機の数)を
越えているか否かを判定する(ステップST17)。ス
テップST16において、シミュレーション終了時間を
経過していれば電力系統シミュレーションを終了させ
る。
【0036】 ステップST17において、前記位相角の
変化Δδi が前記一定の閾値δ0iを越えている同期発電
機があれば、当該同期発電機の前記位相角の変化Δδi
を電力系統電気系に反映させ、電力系統電気系の修正処
理を行い、次式(5)で示される電力系統電気系の解析
解の各定数を修正し、系統状態の急変のない同じ系統の
当該同期発電機について新たな電気系の解析的な解をス
パイラルベクトル理論により得る。そして、機械系の位
相角の変化δi を零として(ステップST19)、ステ
ップST14へ戻る。一方、ステップST17において
前記位相角の変化Δδi が前記一定の閾値δ0iを越えて
いる同期発電機がなければ、電力系統機械系の位相角の
変化分が小さく、現在の電力系統電気系の解析結果の精
度が充分高いとみなして、ステップST19で行うよう
な電力系統電気系の修正処理を行わず、電力系統機械系
の位相角の変化分の演算処理であるステップST14へ
戻る。
【0037】 以上説明したように、この実施の形態1に
よれば、スパイラルベクトルという現実に即した変数を
用い、電力系統機械系と時定数の異なる電力系統電気系
の過渡現象を解明し、その解明した電力系統電気系の過
渡現象をもとに機械系の過渡現象を解明し、さらにその
解明した機械系の過渡現象をもとに前記電力系統電気系
の解析解の各定数を修正して新しい解析解を得るという
手法を用いるため、電力統過渡現象について現実の現
象に忠実な正しい解析結果が得られる効果がある。
【0038】 実施の形態2. この実施の形態2では、電力系統事故直後における過渡
直流電流を再現したシミュレートを行うことで、電力系
統事故直後におけるより現実的な電力系統シミュレーシ
ョンの可能な電力系統シミュレータを実現するための電
力系統シミュレーション方法について説明する。図5
は、この実施の形態2の電力系統過渡状態における動揺
モードを示す説明図である。この説明図に示されている
ように電力系統過渡状態においては全ての動揺モードを
大きく2種類に分類することが可能である。第1の動揺
モードは、電力系統電気系モードであり時定数は数ミリ
秒オーダである。第2の動揺モードは、電力系統機械系
モードであり時定数は数秒オーダである。
【0039】 図6は、これら電力系統電気系動揺モード
と電力系統機械系動揺モードのモード特性を示す説明図
である。この説明図に示すように、電力系統電気系動揺
モードは電力系統電気回路の抵抗、インダクタンス、同
期機の突極性などと関係しているが、電力系統同期機の
慣性定数、潮流量などとの関連は希薄である。一方、電
力系統機械系動揺モードは、電力系統同期機の慣性定
数、潮流量などと密接に関係している。なお、電力系統
電気系動揺モードに対しては磁束連続定理により過渡状
態と定常状態との電流の連続性を保つことが必要であ
り、また電力系統機械系動揺モードに対しては、エネル
ギー不変の観点から位相角の連続性が必要である。
【0040】 図5,図6に示す電力系統電気系動揺モー
ドと電力系統機械系動揺モードの比較において、両者間
では時定数の値が大きく異なっている。この特性を利用
して機械系変数の変化が無視できる時間領域については
この値を一定と仮定し、スパイラルベクトル理論に基づ
き電力系統電気系の解析解を求める。そして、この解を
用いて機械系の解析解を求める。さらに一定時間後の電
力系統機械系の変化を電力系統電気系に反映させ、新し
い解析的な解が求められる。図3に示す電力系統のF点
の事故直後において、電力系統電気系モードは次式
(8)により示される。
【0041】
【数10】
【0042】ここで、λは減衰定数、I1Sは電流定常
解、Aは初期条件により決定する任意定数である。
【数11】 は電力系統電気系の過渡減衰直流であり、
【数12】 は電力系統電気系の定常交流成分である。ある一定の時
間、例えば数10ミリ秒において電力系統同期機の位相
角を一定と仮定し、(8)式より電力系統電気系モード
を解析的に求めることができる。一方、電力系統機械系
モードは次式(9)により表わされる。
【0043】
【数13】
【0044】ここで、δは電力系統同期機位相角、Pm
は電力系統同期機機械的入力、i1は電力系統同期機の
電流、R1 は電力系統同期機電機子抵抗、Mは電力系統
同期機慣性定数であり、数値積分で(9)式を解くこと
ができる。このようにして電力系統電気系モードと電力
系統機械系モードの分離を実現して解析を可能にしてい
る。
【0045】 従って、従来ではディジタル発電機モデル
を模擬する電力系統シミュレータにおいては、電力系統
電気系と電力系統機械系とを区別しないことにより事故
直後に発生する過渡直流電流を再現できず、実際の事故
発生の現象を正確に再現できないのに対し、本実施の
形態の電力系統シミュレーション方法では事故直後に発
生する過渡直流電流を再現でき、精度の良い電力系統シ
ミュレータの実現に寄与できる効果がある。
【0046】 実施の形態3. 図7は、図3に示した電力系統図において全ての電気抵
抗を無視したときの1機無限大母線系統図である。図7
において図3と同一または相当の部分については同一の
符号を付し説明を省略する。この系統図においてF点で
地絡事故を発生させ、一定の時間が経過した後、線路遮
断器CB1と線路遮断器CB2を動作させ地絡事故の発
生した線路を開放するシミュレーションを行う。同期機
の内部電圧をe1 、同期機の端子電圧をv1 、同期機の
電流をi1 (無限大母線電圧をvb )と仮定する。この
結果、次式(10),(11)が成立する。ここで全て
の変数がスパイラルベクトルである。
【0047】1 =v1 +Ls pi1 (10) v1 =vb +(L/2)pi1 (11)
【0048】 事故前の定常状態においては、スパイラル
ベクトルの大きさと回転速度は一定であるので、式(1
0),式(11)は次式(12),(13)となる。図
8は事故前の定常状態における定常ベクトル図である。
【0049】
【数14】
【0050】ここで、E1 は電力系統同期機内部電圧定
常ベクトル、V1 電力系統同期機端子電圧定常ベクト
ル、Vb は電力系統無限大母線定常ベクトル、I1 は電
力系統同期機端子電流定常ベクトル、ωは電力系統定常
角速度である。一方、電力系統内部電圧、電流、無限大
母線電圧の瞬時値は次式(14),(15),(16)
により表わすことができる。
【0051】
【数15】
【0052】また、電力系統同期機の有効電力Peおよ
び無効電力Qeは次式(17),(18)により求める
ことができる。
【0053】
【数16】
【0054】電力系統の過渡状態において、スパイラル
ベクトル理論より式(10),(11)の同期機電流一
般解i1sは次式(19)になる。
【0055】
【数17】
【0056】ここで、I1sは電流定常解、Aは初期条件
により決定する任意定数である。事故発生直後において
同期機電流定常解は次式(20)の通りである。
【0057】
【数18】
【0058】この式(20)と初期条件により式(1
9)の任意定数Aの値を決定することができる。また、
内部電圧e1の大きさは一定とする。一方、力学系の位
相角は式(7)により求められる。式(19)から明ら
かなように、電力系統の電気抵抗を無視すれば電力系統
電気系の過渡現象は発生しない。この場合、電力系統の
過渡状態において電力系統機械系過渡現象のみ存在す
る。
【0059】 以上のように、この実施の形態3によれ
ば、電力系統電気系の電気抵抗を無視することで、電力
系統電気系の過渡現象を無視することができ、電力系統
過渡状態において電力系統機械系の過渡現象に対応する
モードを算出することができるため、電力系統の解析や
安定化装置の設定の際の指針を与えることが可能となる
効果がある。
【0060】 実施の形態4. この実施の形態4では、スパイラルベクトル理論を電力
系統シミュレーションに用いることで、電力系統電気系
過渡現象を解析的に解明できることを説明する。図3に
示した電力系統図においてF点で地絡事故を発生させ、
一定の時間が経過した後に線路遮断器CB1と線路遮断
器CB2を動作させ、線路を開放したときのシミュレー
ションを行ったときの、同期機の内部電圧e1 、同期機
の端子電圧v1 、同期機の電流をi1 (無限大母線電圧
をvb )と仮定すると、式(1)および式(2)が成立
し、また電力系統の定常状態においては式(3)および
式(4)が成立し、その定常ベクトル図は図4に示され
ることは前記実施の形態1で既に述べたところである。
そして、事故発生後および線路遮断器による線路の開放
で事故をクリアした後の電力系統の過渡状態では、スパ
イラルベクトル理論による電流一般解i1sは式(5)の
通りであることも述べた。式(5)において
【数19】 は電力系統電気系の過渡直流減衰分、
【数20】 は電力系統電気系の定常交流分である。図9の(a)に
過渡直流減衰分、同図(b)に電力系統電気系の定常交
流分、同図(c)にi1sの波形をそれぞれ示す。このよ
うに、スパイラルベクトル理論を適用することで得られ
た解により電力系統過渡状態における電力系統過渡現象
を解析的に分析することが可能になる。以上説明したよ
うに、スパイラルベクトル理論を用いることで電力系統
電気系過渡現象を解析することができ、電力系統の高速
安定化制御の実施を可能にする効果がある。
【0061】 実施の形態5. この実施の形態5では、電力系統同期機至近端事故直後
における逆動揺現象が同期機電機子抵抗にあることを説
明する。図3に示す電力系統図のF点地絡事故直後の電
力系統機械系の運動方程式は、次式(21)で表わすこ
とができる。
【0062】
【数21】
【0063】ここで、δは電力系統同期機位相角、Pm
は電力系統同期機機械的入力、i1は電力系統同期機の
電流、R1 は電力系統同期機電機子抵抗、Mは電力系統
同期機慣性定数である。数十ミリ秒程度のスパンで見た
場合、この時間内での電力系統機械系の変数であるPm
は一定とみなすことができる。一方、電力系統電気系の
変数である
【数22】 の変動は大きい。その値はPm より大きくなることも可
能であり、この結果、事故後ある一定時間内この現象を
続けると、電力系統同期機位相角δの値は事故直後にお
いて事故前の値よりも小さくなり、電力系統同期機位相
角δは安定しなくなって動揺する。これを電力系統同期
機逆動揺現象と言う。
【0064】 一方また、図7に示した電気抵抗を無視し
た電力系統図におけるF点地絡事故直後の電力系統機械
系の運動方程式も式(21)で表わすことができる。し
かしながら、電力系統同期機の電機子抵抗を無視したた
め式(21)の右辺の第2項は零である。従って、電力
系統同期機の電機子抵抗を無視できれば逆動揺現象は発
生しない。このことから、電力系統同期機至近端事故直
後における逆動揺現象の原因は同期機電機子抵抗にある
ことが明らかになる。
【0065】 図10は、電力系統同期機至近端事故直後
における位相角の変化を示す特性図である。δ0 は事故
発生前の電力系統同期機位相角、曲線A−B−Cは電力
系統同期機の電機子抵抗の影響で逆動揺現象が発生した
ときの位相角の変化を示す特性曲線、曲線A−D−Eは
電力系統同期機の電機子抵抗を無視したため逆動揺が発
生していないときの位相角の変化を示す特性曲線であ
る。
【0066】 以上説明したように、この実施の形態5で
は、電力系統同期機至近端事故直後における逆動揺現象
の原因は同期機の電機子抵抗であることが判明し、これ
を電力系統同期機の設計や試験に際しての指針として用
いることが可能になる効果がある。
【0067】 実施の形態6. この実施の形態6では、電力系統電機系をスパイラルベ
クトル理論を適用して解析し、電力系統機械系を数値積
分により解析する解析手法により、並列演算処理を行う
ことが可能になって、リアルタイムな電力系統シミュレ
ーションや電力系統シミュレータの実現に寄与すること
を説明する。
【0068】 図11は、同期発電機Aおよび同期発電機
Bを有した電力系統における電力系統電気系および電力
系統機械系の各演算部分に並列演算ノードを設定したと
きの説明図である。図において、100は電力系統電気
系演算部分に設定された並列演算ノード、200は電力
系統同期発電機Aの機械系演算部分に設定された並列演
算ノード、300は電力系統同期発電機Bの機械系演算
部分に設定された並列演算ノード、400は電力系統誘
導機の機械系演算部分に設定された並列演算ノードを示
す。このような各並列演算ノードを設定して電力系統電
気系をスパイラルベクトル理論により解析し、電力系統
機械系は数値積分により解析する。この際に並列演算技
術を用いることでリアルタイムな電力系統シミュレーシ
ョン、電力系統シミュレータを実現できる。
【0069】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明によ
れば、電力系統の電気系過渡現象の解析にスパイラルベ
クトル理論を適用し、
【数23】 により、前記電力系統の電流一般解の解析を電力系統電
気系解析過程により行い、前記電力系統電気系解析過程
による解析結果をもとに、
【数24】 により、前記電力系統の機械系の解析を電力系統機械系
解析過程で行い、この電力系統機械系解析過程による解
析結果を前記電力系統電気系解析過程で得られる解析結
果の各定数を修正して前記電力系統機械系解析過程によ
る解析結果を前記電力系統電気系解析過程へ反映過程で
反映させるように構成したので、スパイラルベクトル理
論の適用により現実に忠実な電力系統電気系の解析を行
うことができ、さらにこの現実に即した電力系統電気系
の解析結果により前記電気系の解析と同様に前記電力系
統の機械系の解析を現実に忠実に行うことができる効果
がある。また、反映過程で前記電力系統の機械系の解析
結果を電力系統電気系の解析に反映させるため前記電気
系と前記機械系とが互いに関連し合って電力系統で発生
する過渡現象を現実に忠実に模擬できる効果がある。ま
た、さらに電力系統電気系と電力系統機械系とを別々に
解析するため、電力系統シミュレーションを行う際の計
算機利用に対しての適合性が良い効果があり、さらに、
時定数の異なる前記電力系統の機械系と電気系の過渡現
象の解析およびそのシミュレーションを現実に忠実に行
うことができる効果がある。
【0070】 請求項記載の発明によれば、シミュレー
トしようとする状況についての電力系統の初期状態に応
じた定数を設定する初期条件設定過程を有し、該初期条
件設定過程で前記定数が設定された前記初期状態に応じ
た前記状況発生時の過渡現象について前記電力系統の電
気系の解析を行う電力系統電気系解析過程を備えるよう
に構成したので、前記初期状態に応じた前記状況につい
ての電力系統電気系の解析を行うことができる効果があ
る。
【0071】 請求項記載の発明によれば、電力系統で
発生する負荷変動の発生条件初期状態に応じた定数を設
定する初期条件設定過程を有し、該初期条件設定過程で
前記定数が設定された負荷変動発生の際の条件である初
期状態に応じた負荷変動発生時の過渡現象について前記
電力系統の電気系の解析を行う電力系統電気系解析過程
と、該電力系統電気系解析過程による前記負荷変動発生
時の解析結果をもとに前記負荷変動発生時の前記電力系
統の機械系の解析を行う電力系統機械系解析過程とを備
えるように構成したので、前記発生条件初期状態に応じ
た負荷変動時の状況についての電力系統電気系の解析を
行うことができる効果がある。
【0072】 請求項記載の発明によれば、負荷変動発
生以降の過渡現象についての電力系統の電気系の解析結
果から得られた前記電力系統同期機の発生出力を求める
電力系統同期機発生出力演算過程と、該電力系統同期機
発生出力演算過程で求めた前記電力系統同期機の発生出
力をもとに電力系統機械系の状態変化量を求める状態変
化量演算過程と、該状態変化量演算過程で求めた状態変
化量に応じて電力系統電気系解析過程で得られた解析結
果の各定数を修正することで、電力系統機械系解析過程
による解析結果を前記電力系統電気系解析過程へ反映さ
せる反映過程とを備えるように構成したので、前記電力
系統同期機の発生出力と前記電力系統機械系の状態変化
量とをもとに、負荷変動発生以降の過渡現象について互
いに関連し合う電力系統電気系および電力系統機械系の
解析を行うことができる効果がある。
【0073】 請求項記載の発明によれば、電力系統に
おける事故の発生する条件である初期状態に応じた定数
を設定する初期条件設定過程と、該初期条件設定過程で
前記定数が設定された初期状態に応じた事故発生時の過
渡現象について前記電力系統の電気系の解析を行う電力
系統電気系解析過程と、該電力系統電気系解析過程によ
る前記事故発生時の解析結果をもとに前記事故発生時の
前記電力系統の機械系の解析を行う電力系統機械系解析
過程とを備えるように構成したので、前記初期状態に応
じた前記電力系統の事故についての電力系統電気系の解
析を行うことができる効果がある。
【0074】 請求項記載の発明によれば、事故発生以
降の過渡現象についての電力系統の電気系の解析結果か
ら電力系統同期機の発生出力を求める電力系統同期機発
生出力演算過程と、該電力系統同期機発生出力演算過程
で求めた前記電力系統同期機の発生出力をもとに電力系
統機械系の状態変化量を演算し求める状態変化量演算過
程と、該状態変化量演算過程で求めた状態変化量に応じ
て電力系統電気系解析過程で得られた解析結果の各定数
を修正することで、電力系統機械系解析過程による解析
結果を前記電力系統電気系解析過程へ反映させる反映過
程とを備えるように構成したので、初期状態に応じた前
記電力系統の事故について、前記電力系統同期機の発生
出力と前記電力系統機械系の状態変化量とをもとに、負
荷変動発生以降の過渡現象について互いに関連し合う電
力系統電気系および電力系統機械系の解析を行うことが
できる効果がある。
【0075】 請求項記載の発明によれば、状態変化量
演算過程で求めた電力系統機械系の状態変化量を所定の
閾値と比較する比較過程と、前記状態変化量演算過程で
求めた状態変化量が前記所定の閾値を越えているとの比
較結果が前記比較過程で得られると電力系統電気系解析
過程で得られた解析結果の各定数を修正し、前記電力系
統機械系解析過程による解析結果を前記電力系統電気系
解析過程へ反映させる反映過程を備えるように構成した
ので、電力系統機械系の状態変化量が電力系統シミュレ
ーション結果に影響する量変化した場合に電力系統シミ
ュレーションの次のステップへ進むことになり、精度の
よい電力系統シミュレーションを行うことができる効果
がある。
【0076】 請求項記載の発明によれば、状態変化量
演算過程で求めた状態変化量が所定の閾値を越えていな
いとの比較結果が前記比較過程で得られると、電力系統
同期機発生出力演算過程での電力系統同期機の発生出力
の演算を行い、この電力系統同期機の発生出力をもとに
前記状態変化量演算過程で求めた状態変化量と前記所定
の閾値との比較を前記比較過程で行う再比較過程を備え
るように構成したので、電力系統機械系の状態変化量が
電力系統シミュレーション結果に影響する量変化してい
ない場合には電力系統シミュレーションの次のステップ
へ進むことなく、前記状態変化量が電力系統シミュレー
ション結果に影響する量変化するまで待って電力系統シ
ミュレーションの次のステップへ進むことになり、精度
のよい電力系統シミュレーションを行うことができる効
果がある。
【0077】 請求項記載の発明によれば、電力系統同
期機発生出力演算過程で求めた電力系統同期機の発生出
力をもとに電力系統機械系の位相角である状態変化量を
状態変化量演算過程が求めるように構成したので、初期
状態に応じた電力系統の負荷変動や事故について、前記
電力系統同期機の発生出力と前記電力系統機械系の状態
変化量とをもとに、負荷変動発生以降や事故発生以降の
過渡現象について、互いに関連し合う電力系統電気系お
よび電力系統機械系の解析を行うことができる効果があ
る。
【0078】 請求項10記載の発明によれば、事故発生
以降および線路開放以降の系統状態の急変の有無につい
て判定する系統状態急変判定過程を備えるように構成し
たので、前記系統状態の急変の有無に応じた電気系と機
械系とが互いに関連し合って電力系統で発生する過渡現
象を現実に忠実に模擬できる効果がある。
【0079】 請求項11記載の発明によれば、系統状態
急変判定過程により系統状態の急変があったことが判定
されたときの電力系統電気系の過渡現象について解析を
行う系統状態急変時電気系解析過程と、該系統状態急変
時電気系解析過程の解析結果をもとに前記電力系統が急
変したときの前記電力系統の機械系の解析を行う電力系
統機械系解析過程とを備えるように構成したので、前記
系統状態の急変があったときの前記電気系と前記機械系
とが互いに関連し合って電力系統で発生する過渡現象を
現実に忠実に模擬できる効果がある。
【0080】 請求項12記載の発明によれば、初期条件
設定過程で定数が設定された初期状態に応じた事故発生
時の過渡現象について過渡直流電流を含む電力系統の電
気系の解析を行う電力系統電気系解析過程を備えるよう
に構成したので、現実の現象に忠実な過渡直流電流を含
む電力系統シミュレーションを実現できる効果がある。
【0081】 請求項13記載の発明によれば、複数の電
力系統同期機を有した電力系統の電力系統電気系解析過
程および電力系統機械系解析過程における演算にそれぞ
れ並列演算ノードを設定し、前記電力系統電気系解析過
程による電力系統電気系の解析および前記電力系統機械
系解析過程による電力系統機械系の解析を並列的に行な
うように構成したので、計算機利用、特にマルチタスク
処理を行うことのできる計算機を有効利用して電力系統
シミュレーションを行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1における電力系統事
故発生時の電力系統シミュレーション方法の構成を示す
フローチャートである。
【図2】 この発明の実施の形態1による電力系統シミ
ュレーション方法におけるスパイラルベクトルを示す説
明図である。
【図3】 この発明の実施の形態1における電力系統シ
ミュレーション方法が適用される電力系統図である。
【図4】 この発明の実施の形態1による電力系統シミ
ュレーション方法が適用される図3に示す電力系統の定
常状態における電力系統同期機内部電圧および電力系統
同期機端子電圧を示すベクトル図である。
【図5】 この発明の実施の形態2による電力系統過渡
状態における動揺モードを示す説明図である。
【図6】 この発明の実施の形態2による電力系統過渡
状態における電力系統電気系動揺モードと電力系統機械
系動揺モードとの比較を示す説明図である。
【図7】 この発明の実施の形態3による電力系統シミ
ュレーション方法における電力系統の全ての電気抵抗を
無視したときの1機無限大母線系統図である。
【図8】 この発明の実施の形態3による事故前の定常
状態における電力系統同期機内部電圧および電力系統同
期機端子電圧を示すベクトル図である。
【図9】 この発明の実施の形態4における価値直流減
衰分、定常交流分および過渡電流を示す波形図である。
【図10】 この発明の実施の形態5における電力系統
同期機至近端事故直後の電力系統同期機の位相角の変化
を示す特性図である。
【図11】 この発明の実施の形態6による同期発電機
Aおよび同期発電機Bを有した電力系統における電力系
統電気系および電力系統機械系の各演算部分に並列演算
ノードを設定したときの説明図である。
【図12】 従来の電力系統シミュレーション方法の構
成を示すフローチャートである。
【符号の説明】
ステップST12 初期条件設定過程、ステップST1
3 電力系統電気系解析過程、ステップST14 電力
系統機械系解析過程,電力系統同期機発生出力演算過
程,状態変化量演算過程)、ステップST15 系統状
態急変判定過程、ステップST17 比較過程,再比較
過程、ステップST18 系統状態急変時電気系解析過
程、ステップST19 反映過程。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−256528(JP,A) 迎久雄、他、スパイラルベクトル理論 による同期機モデルの三相短絡事故解 析,電気学会論文誌B 電力・エネルギ ー部門誌,日本,社団法人電気学会、 1995年 5月20日,Vol.115−B, p.624−630 番場隆治、他,スパイラルベクトル理 論による同期機モデルを用いた系統解析 (その1),工学院大学研究報告,日 本,工学院大学,1993年 4月30日,第 74号,p.125−132 番場隆治、他,スパイラルベクトル理 論を用いた系統解析(その2),工学院 大学研究報告,日本,工学院大学,1995 年 4月30日,第78号,p.135−142 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02J 3/00 - 5/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電力系統の電気系過渡現象の解析にスパ
    イラルベクトル理論を適用し、【数1】 により、前記電力系統の電流一般解の解析を行う電力系
    統電気系解析過程と、 該電力系統電気系解析過程による解析結果をもとに 【数2】 により、前記電力系統の機械系の解析を行う電力系統機
    械系解析過程と、 該電力系統機械系解析過程による解析結果をもとに、
    記電力系統電気系解析過程で得られた解析結果の各定数
    を修正して、前記電力系統機械系解析過程による解析結
    果を前記電力系統電気系解析過程へ反映させる反映過程
    とを備えた電力系統シミュレーション方法。
  2. 【請求項2】 電力系統電気系解析過程では、 シミュレートしようとする状況についての電力系統の初
    期状態に応じた定数を設定する初期条件設定過程を有
    し、該初期条件設定過程で前記定数が設定された前記初
    期状態に応じた状況発生時の過渡現象について前記電力
    系統の電気系の解析を行い、 電力系統機械系解析過程では、前記電力系統電気系解析
    過程による前記状況発生時の解析結果をもとに前記状況
    発生時の前記電力系統の機械系の解析を行うことを特徴
    とする請求項1記載の電力系統シミュレーション方法。
  3. 【請求項3】 電力系統電気系解析過程では、 電力系統で発生する負荷変動の発生条件初期状態に応じ
    た定数を設定する初期条件設定過程を有し、該初期条件
    設定過程で前記定数が設定された負荷変動発生の際の条
    件である初期状態に応じた負荷変動発生時の過渡現象に
    ついて前記電力系統の電気系の解析を行い、 電力系統機械系解析過程では、前記電力系統電気系解析
    過程による前記負荷変動発生時の解析結果をもとに前記
    負荷変動発生時の前記電力系統の機械系の解析を行うこ
    とを特徴とする請求項記載の電力系統シミュレーショ
    ン方法。
  4. 【請求項4】 負荷変動発生以降の過渡現象についての
    電力系統の電気系の解析結果から得られた電力系統同期
    機の発生出力を求める電力系統同期機発生出力演算過程
    と、 前記電力系統同期機発生出力演算過程で求めた前記電力
    系統同期機の発生出力をもとに電力系統機械系の状態変
    化量を求める状態変化量演算過程を有し、 反映過程では、前記状態変化量演算過程で求めた状態変
    化量に応じて電力系統電気系解析過程で得られた解析結
    果の各定数を修正することで、前記電力系統機械系解析
    過程による解析結果を前記電力系統電気系解析過程へ反
    映させることを特徴とする請求項記載の電力系統シミ
    ュレーション方法。
  5. 【請求項5】 電力系統における事故の発生する条件で
    ある初期状態に応じた定数を設定する初期条件設定過程
    を有し、電力系統電気系解析過程では、前記初期条件設
    定過程で前記定数が設定された初期状態に応じた事故発
    生時の過渡現象について前記電力系統の電気系の解析を
    行い、 電力系統機械系解析過程では、前記電力系統電気系解析
    過程による前記事故発生時の解析結果をもとに前記事故
    発生時の前記電力系統の機械系の解析を行うことを特徴
    とする請求項記載の電力系統シミュレーション方法。
  6. 【請求項6】 事故発生以降の過渡現象についての電力
    系統の電気系の解析結果から電力系統同期機の発生出力
    を求める電力系統同期機発生出力演算過程を有し、 電力系統機械系解析過程は、前記電力系統同期機発生出
    力演算過程で求めた前記電力系統同期機の発生出力をも
    とに電力系統機械系の状態変化量を演算し求める状態変
    化量演算過程を有し、 反映過程では、前記状態変化量演算過程で求めた状態変
    化量に応じて電力系統電気系解析過程で得られた解析結
    果の各定数を修正することで、前記電力系統機械系解析
    過程による解析結果を前記電力系統電気系解析過程へ反
    映させることを特徴とする請求項記載の電力系統シミ
    ュレーション方法。
  7. 【請求項7】 状態変化量演算過程で求めた電力系統機
    械系の状態変化量を所定の閾値と比較する比較過程を備
    え、反映過程では、前記状態変化量演算過程で求めた状
    態変化量が前記所定の閾値を越えているとの比較結果が
    前記比較過程で得られると電力系統電気系解析過程で得
    られた解析結果の各定数を修正し、前記電力系統機械系
    解析過程による解析結果を前記電力系統電気系解析過程
    へ反映させることを特徴とする請求項または請求項
    記載の電力系統シミュレーション方法。
  8. 【請求項8】 状態変化量演算過程で求めた状態変化量
    が所定の閾値を越えていないとの比較結果が前記比較過
    程で得られると、電力系統同期機発生出力演算過程での
    電力系統同期機の発生出力の演算を行い、この電力系統
    同期機の発生出力をもとに前記状態変化量演算過程で求
    めた状態変化量と前記所定の閾値との比較を前記比較過
    程で行う再比較過程を備えていることを特徴とする請求
    記載の電力系統シミュレーション方法。
  9. 【請求項9】 電力系統機械系解析過程の状態変化量演
    算過程は、電力系統同期機発生出力演算過程で求めた前
    記電力系統同期機の発生出力をもとに電力系統機械系の
    位相角である状態変化量を求めることを特徴とする請求
    または請求項から請求項のうちのいずれか1項
    記載の電力系統シミュレーション方法。
  10. 【請求項10】 事故発生以降および線路開放以降の系
    統状態の急変の有無について判定する系統状態急変判定
    過程を備えていることを特徴とする請求項1から請求項
    のうちのいずれか1項記載の電力系統シミュレーショ
    ン方法。
  11. 【請求項11】 系統状態急変判定過程により系統状態
    の急変があったことが判定されたときの電力系統電気系
    の過渡現象について解析を行う系統状態急変時電気系解
    析過程を有し、 電力系統機械系解析過程は、前記系統状態急変時電気系
    解析過程の解析結果をもとに前記電力系統が急変したと
    きの前記電力系統の機械系の解析を行うことを特徴とす
    る請求項10記載の電力系統シミュレーション方法。
  12. 【請求項12】 電力系統電気系解析過程では、初期条
    件設定過程で定数が設定された初期状態に応じた事故発
    生時の過渡現象について過渡直流電流を含む電力系統の
    電気系の解析を行うことを特徴とする請求項から請求
    11のうちのいずれか1項記載の電力系統シミュレー
    ション方法。
  13. 【請求項13】 複数の電力系統同期機を有した電力系
    統の電力系統電気系解析過程および電力系統機械系解析
    過程における演算にそれぞれ並列演算ノードを設定し、
    前記電力系統電気系解析過程による電力系統電気系の解
    析および前記電力系統機械系解析過程による電力系統機
    械系の解析を並列的に行う請求項4、請求項6から請求
    項12のうちのいずれか1項記載の電力系統シミュレー
    ション方法。
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番場隆治、他,スパイラルベクトル理論による同期機モデルを用いた系統解析(その1),工学院大学研究報告,日本,工学院大学,1993年 4月30日,第74号,p.125−132
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迎久雄、他、スパイラルベクトル理論による同期機モデルの三相短絡事故解析,電気学会論文誌B 電力・エネルギー部門誌,日本,社団法人電気学会、1995年 5月20日,Vol.115−B,p.624−630

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