JP3458688B2 - 地下水汚染の修復方法及びその装置 - Google Patents

地下水汚染の修復方法及びその装置

Info

Publication number
JP3458688B2
JP3458688B2 JP01023698A JP1023698A JP3458688B2 JP 3458688 B2 JP3458688 B2 JP 3458688B2 JP 01023698 A JP01023698 A JP 01023698A JP 1023698 A JP1023698 A JP 1023698A JP 3458688 B2 JP3458688 B2 JP 3458688B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
injection
injected
ozone
dissolved
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP01023698A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11207375A (ja
Inventor
亮三 牛尾
明子 北川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP01023698A priority Critical patent/JP3458688B2/ja
Publication of JPH11207375A publication Critical patent/JPH11207375A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3458688B2 publication Critical patent/JP3458688B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

Landscapes

  • Biological Treatment Of Waste Water (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Treatment Of Biological Wastes In General (AREA)
  • Activated Sludge Processes (AREA)
  • Aeration Devices For Treatment Of Activated Polluted Sludge (AREA)
  • Treatment Of Water By Oxidation Or Reduction (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機化合物の浸透
により汚染された地下水を、好気性微生物もしくは通性
嫌気性微生物の好気的微生物活動による汚染物質の分解
除去によって修復する方法、及びそのための修復装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】有機化合物による地下水汚染の修復方法
としては、揚水曝気と活性炭吸着との組合せ法、簡易的
な揚水処理法、又はエアースパージング法等の物理的修
復方法が一般的に用いられている。また最近では、これ
らの物理的修復方法に加えて、微生物による汚染物質の
分解を利用する生物学的修復方法、即ちバイオレメディ
エーションによる浄化処理が検討されている。
【0003】特に、汚染地下水を地上まで揚水せずに、
地下で処理する原位置処理としてのバイオレメディエー
ションでは、地下水中の汚染物質を原位置において恒久
的に分解除去することを目指している。この方法は、揚
水曝気と活性炭吸着との組合せ法のように、低濃度域に
なるまで修復が進んでから修復スピードが低下すること
が無く、エアースパージング法に比べてもより簡便なシ
ステムで広い修復対象域をカバーできる点で優れてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記原位置処理のバイ
オレメディエーションでは、汚染箇所である地下領域に
汚染物質の分解能力を持つ微生物を増殖させる必要があ
るため、地上より注入井戸を通して地下水に栄養物質を
補給する必要がある。
【0005】ところが、微生物が必要とする栄養物質を
含む注入水を地中に注水すると、地下水に注入された栄
養物質や酸素等の注入物質は一般には自然に四方に拡散
していったり、地下水流がある場合には、その流れに乗
って周囲に広がりながら拡散していく。従って、注入物
質の濃度は、注入地点で最も高いが、一般に注入地点か
ら離れれるほど低くなり、拡散性が良ければ距離の2乗
以上に比例して低減していく。
【0006】更に、このような拡散による注入物質の濃
度低下に加えて、地中に広く分布する微生物によって注
入物質が摂取される。このため、注入地点からの距離に
応じた注入物質の濃度減少率は、この摂取量が加わる分
だけ、より一層大きなものとなる。この結果、注入され
た栄養物質濃度の高い注入地点近くでは微生物の活発な
増殖により汚染物質が分解されるが、注入地点から離れ
るほど微生物による汚染分解の分解が急速に低下すると
いう欠点があった。
【0007】このような注入物質の地中での濃度減少を
少なくし、注入地点から遠方まで注入物質を到達させや
すくして、所定の修復対象範囲において注入物質が一定
の濃度以上を保って行き渡るようにするための方法とし
ては、次に挙げるような方法が考えられる。
【0008】第1は、注入水中の栄養物質類の濃度を高
くするか、又は注入水量自体を大きくする方法である。
しかし、これらの方法により注入物質量を増やしたとし
ても、上記の理由により、注入物質の濃度分布は注入地
点を頂点として距離的に離れるほど漸減していくことが
容易に推測される。そこで、一定の注入物質濃度を遠方
にまで到達させるためには、注入物質量の設定に際し
て、修復対象範囲に均一に分散するという仮定で計算さ
れる当量分よりも相当に過剰な量を設定して注入するこ
とが必要になる。この過剰量分は汚染修復規模が大きく
なるに従って増加するので、これによるランニングコス
トの上昇は修復規模が大きいほど顕在化してくる。
【0009】更に重要なことは、一般的に注入地点近く
の領域ほど微生物の増殖が先行して起こる傾向がある
が、この注入地点近傍での微生物の増殖が大きな弊害を
もたらすことである。一般に地下環境中では地下水の流
動速度は速い場所でも1日当たり数m以下であるので、
地下環境を微生物反応槽と考えたときの地下水流の空間
移動速度は、地上のいかなる種類の微生物反応槽よりも
十分に小さいと言うことができる。つまり、水処理能力
的な比較として考えると、注入地点付近の地下環境は、
注入地点から投入される栄養成分濃度が低減される際の
低減化効率が理想的となっている。
【0010】従って、注入地点の近くで微生物濃度が先
行して上昇した場合、例えば半径2m以内の地下帯水層
内において好気性従属栄養細菌数で10の9乗個/ml
以上の微生物濃度に達した場合には、仮にどのように多
くの栄養物質を注入したとしても、地下水中での極めて
低速な物質移動速度下にある限り、注入地点から十分に
遠くの周辺域まで拡散する以前の段階で、例えば2m以
内の比較的に注入地点に近い領域において、栄養物質は
増殖した微生物により十分な時間的余裕を持って補足吸
収されてしまう。その結果、注入地点から数メートルも
離れていない範囲内で、既に注入物質の殆どが消費尽く
されてしまうという事態の発生さえ起こりうるのであ
る。
【0011】第2の解決策としては、注入地点の分散化
を図ることである。多数の注入地点から分散して注入で
きれば、修復対象領域のほぼ全体で均等な注入物質濃度
を実現することが容易なはずである。しかし、注入地点
を多数増やせるかどうかは、修復場所の立地条件に大き
く左右され、常に採用できる解決方法とは限らない。特
に日本の都市部のように、建築物が密集して建て込んで
いるような場所で微生物利用による原位置修復を行う場
合などには、注入物質の入り口である注入井戸の設置場
所を確保するに際して既存の建築物による大きな位置的
制約を受け、施工が困難となる場合が多い。
【0012】本発明は、このような従来の事情に鑑み、
地中へ注入する酸素や栄養物質等の注入物質が注入地点
から遠距離にまで拡散することを促し、修復対象領域の
ほぼ全体で微生物の増殖活動に必要な注入物質濃度を維
持して汚染物質の効率的な分解を起こすことのできる地
下水汚染の修復方法、及びそのための装置を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、微生物用栄養組成物を含む注入水を注入
井戸より汚染地下水帯に注水し、微生物により汚染物質
を分解する地下水汚染の修復方法において、前記注入水
にオゾンを溶存させて注水するか、又は前記注入水と溶
存オゾン水とを注水することを特徴とする。
【0014】この地下水汚染の修復方法においては、前
記注入水と溶存オゾン水とを、別の注入井戸より注水す
るか、又は時間間隔を置いて交互に注入井戸より注水す
ることができる。また、注入井戸より注水する際の初期
溶存オゾン濃度が0.2〜10mg/lであることが好
ましい。
【0015】上記地下水汚染の修復方法を実施するため
の本発明の装置は、前記注入水又は前記注入水以外の水
にオゾンを溶存させる溶存オゾン製造器を備え、少なく
ともオゾンが溶存した注入水又は溶存オゾン水を注入井
戸に供給する送水設備が気密構造になっていることを特
徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明が修復対象とする汚染物質
は特に限定されるものではないが、例えばガソリン、軽
油、灯油、重油、原油、機械油、潤滑油、有機塩素系洗
浄剤等の石油化学製品があり、それらの成分としてはベ
ンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ケトン
類などの非塩素系有機化合物、あるいはトリクロロエチ
レン、テトラクロロエチレン、ジクロロエチレン、ダイ
オキシン、PCB、PCP(ペンタクロロフェノール)
等の塩素系有機化合物が含まれる。
【0017】また、微生物用栄養組成物とは、従来から
地下水汚染の微生物学的修復法に利用されている栄養組
成物であってよく、窒素源やリン源となる無機化合物を
含む塩類、pH調節剤等を含んでいる。修復対象汚染物
質を微生物による共代謝作用で分解する場合には、上記
の窒素源やリン源等の他に、更にその微生物が主に代謝
する炭化水素類を含める。
【0018】本発明では、微生物用栄養組成物を含む注
入水以外に、溶存オゾンをこの注入水に含ませるか又は
溶存オゾン水として汚染地下水に注水する。そのため、
地上部に溶存オゾン製造器を設置し、溶存オゾンが外気
に逃げないように気密構造の送水設備を使用して注入井
戸から注水する。溶存オゾン製造器はオゾン発生器と溶
存オゾン化槽を備えたものでも良い。溶存オゾン製造器
又はオゾン発生器のオゾン発生方式には紫外線式、放電
式、水電解式の3つがあるが、任意の方式を採用でき
る。比較的低コストな紫外線式のものでも良いし、大規
模な放電式のオゾナイザーを用いても良い。
【0019】栄養組成物を含む注入水と溶存オゾン水と
を注水する場合、両者を同時に注水しても良いし、必要
に応じて時間的に間を置いて交互に地中に注入する方式
をとることもできる。また、注入ポイントを2箇所以上
とれる場合には、溶存オゾン水と注入水を別々の注入井
戸から地中に注入することも可能である。尚、溶存オゾ
ン水と注入水との注水を分けて行う場合については、そ
の注入間隔等に関する条件は、汚染修復対象領域内での
個々の注入物質の地下帯水層中での最適な混合状態を実
現できるように、予め地下データの解析やシミュレーシ
ョン等を利用して決定すると良い。
【0020】修復対象である汚染物質を分解する微生物
に必要な栄養物質の全てが、溶存オゾンにより化学反応
を起こさない種類である場合には、溶存オゾンとそれら
の栄養物質とを分けて注入する必要はなく、栄養組成物
を含む注入水と溶存オゾン水を同じ注入井戸から同時に
注水したり、注入水に更に溶存オゾンを含ませることも
可能である。
【0021】地下水中での微生物の増殖のためには、上
記の栄養組成物以外に酸素が必要である。地下水に送り
込む注入水のうち、特に溶存オゾン水と分けて注水する
注入水については、微生物の増殖に必要な酸素量を確保
するため、予め溶存酸素濃度を人為的に増加させておく
ことが望ましい。ただし、注入水の貯水槽中で、大気か
らの酸素分圧を受けて自然に飽和させるだけでもかまわ
ない。
【0022】また、溶存オゾン水や溶存オゾンを含む注
入水の製造が、各種のオゾナイザーで発生させた気体オ
ゾンを溶存オゾン化槽により溶存化させる方式である場
合には、オゾナイザーの能力によっては曝気時の溶存酸
素濃度が曝気前に比べ低下するケースもありうる。その
場合でも、溶存酸素から置き換わった溶存オゾンは、地
下水に注入された後、拡散する過程で徐々に分解して酸
素に変わるので、供給する実質の酸素量が低下すること
にはならない。
【0023】本発明の修復装置の一具体例として、図1
に栄養組成物を含む注入水と溶存オゾン水とを注入井戸
に注水する場合を示した。地下の不飽和帯水層A又は飽
和帯水層Bに達する注入井戸1を設け、この注入井戸1
に注入水及び溶存オゾン水を注水する注水管2を挿入し
てある。地上には、栄養組成物等を溶解した注入水を調
整し且つ蓄える注入水貯溜槽3と共に、溶存オゾン製造
器4と貯水槽5が設置してあり、貯水槽5から供給した
水にオゾンを溶存させて溶存オゾン水を製造するように
なっている。注入水及び溶存オゾン水は、各送水ポンプ
6a、6bにより各送水管7a、7bを通って注水管2
に供給され、注入井戸1から地下水中に注水される。
尚、この装置では、溶存オゾン水が通る送水管7b等の
送水設備は気密構造になっている。
【0024】本発明においては、栄養組成物や酸素等の
通常の注入物質と共に溶存オゾンを注入することによっ
て、注入地点から離れた領域でも溶存酸素濃度の低下が
抑制される。即ち、一般に溶存酸素濃度は地中での拡散
により注入地点から離れるほど減少するが、拡散に伴っ
てオゾンが徐々に分解するので、拡散により減少する酸
素と相殺されるように酸素が生成される。このため、従
来方法での溶存酸素分布と比較して、注入地点から離れ
た周辺部で溶存酸素濃度の低下を抑制した分布状況を作
り出すことができる。
【0025】また同時に、地下でオゾン濃度が存在する
範囲では、微生物はオゾンの強い酸化作用の影響を受け
て増殖活動が抑制され、当然のことながら窒素やリン等
の栄養成分の摂取も抑えられる。この傾向は溶存オゾン
の拡散が少ない注入地点に近いほど大きいため、注入地
点の近くほど酸素及び栄養物質の消費が抑制される。こ
れはバイオレメディエーションの実施においては逆説的
に聞こえるかもしれないが、本発明では、この性質を利
用することによって、注入水に由来する酸素及び注入水
に含まれる栄養組成物の遠距離到達性を高め、広い範囲
で微生物による汚染物質の分解を促進させることができ
る。
【0026】注入井戸への注入時における溶存オゾン濃
度は、修復環境や修復規模に応じて任意に変化させるこ
とができるが、初期溶存オゾン濃度で0.2〜10mg
/lの範囲内にあることが望ましい。注入時の溶存オゾ
ン濃度が0.2mg/l未満では上記したオゾン注入の
効果が殆ど得られず、逆に10mg/lを越える高濃度
では、注入水量によっては、注入地点を中心として地中
での微生物活動をぼ完全に停止させてしまう範囲が過度
に拡大し、かえって修復効率を低下させる恐れがあるた
めである。また、初期溶存オゾン濃度の設定を高めるほ
ど、必要なオゾン関連機材の設備コストが高くなり不経
済である。
【0027】年間を通じて15℃程度の水温に保たれて
いる地下水中では、オゾンが酸素に変わる半減期は温度
変化の大きい地表環境と比べて安定しているが、注入水
や溶存オゾン水のpHを中性域中でも可能な限り低く調
整することにより、溶存オゾンの半減期を更に延ばし、
酸素や栄養組成物の遠距離到達性を一層高めることが可
能である。逆に、注入井戸近傍でのオゾン分解を促進さ
せたい場合には、注入水や溶存オゾン水を可能な限りア
ルカリ性側にpH調整すると良い。これらいずれの場合
でも、pHは微生物の生理条件に適合する範囲内で調整
されていることが必要である。
【0028】尚、地下水に注入された溶存オゾンは、地
中でやがて完全に酸素に変化するので、それ以降の流域
の微生物活動や汚染修復対象領域の外の地下環境に影響
を及ぼすことはない。また、オゾンの酸素への分解反応
に伴っては、他の種類の酸化剤での反応のような大きな
pH変化を誘発することもない。
【0029】更に、本発明では、水に溶けた状態でのオ
ゾンを環境中に作用させるため、気体としてのオゾンが
地上で放出されることはない。従って、汚染現場付近の
地表空気中のオゾン濃度を、日本での作業安全基準で設
定されている0.1ppmあるいはWHOでの基準0.0
5ppm以下に保つことは容易である。また、気体とし
てのオゾンと比較して、水に溶けた溶存オゾンは周囲の
水が介在する分だけ大気中よりも速く分解反応が進むた
め、地下水中の溶存オゾンが再びオゾンガスとして地表
に上昇して悪影響を及ぼすことはない。
【0030】修復ケースによっては、汚染物質自体がオ
ゾンにより直接化学作用を受け、易分解性物質に変化す
ることが期待できる。例えば、エチレン結合を持つ不飽
和炭化水素類が汚染物質となっている場合には、その二
重結合部分にオゾンが付加した後、この箇所が水との作
用により切れてケトン又はアルデヒドが生成する。ただ
し、例えば多環芳香族系化合物の一部の種類では、オゾ
ンの化学作用により更に毒性の高い水溶性中間物質が副
次的に発生する場合がある。このような場合には本発明
方法の適用は慎重に行うべきであるが、その中間生成物
が化学反応的に速やかに次の段階に変化していくような
場合は、この限りではない。
【0031】本発明の地下水汚染の修復では、注入井戸
近くの地下領域が未修復のまま残る場合がある。そのよ
うな場合には、周辺部の修復が完了した後に、溶存オゾ
ン水の注入を停止するか、注入する溶存オゾン濃度を減
少させることにより、注入井戸付近で微生物活動を再開
させれば良い。もともと永続的な毒性物質を地中に注入
しているわけではないので、注入地点近傍での微生物の
増殖環境を復活させることは、これらの操作のみで容易
に行い得る。
【0032】尚、修復処理終了以降は、地下で増殖した
微生物も栄養注入が絶たれるため、1〜3ケ月程度で数
を減じて元の微生物状態に戻る。しかし、何らかの理由
によって、修復作業の終了直後に、増殖した微生物を急
速に死滅に追いやりたい場合には、修復終了時に溶存オ
ゾン濃度を最大にして注入井戸に投入することによりあ
る程度対応することが可能である。
【0033】
【実施例】実施例1 飽和炭化水素系化合物により地下4mの帯水層部分が汚
染されているサイトを模して、全深さで帯水層を形成す
るようなライシメータ実験設備において、以下のような
実験を行った。即ち、微生物用栄養組成物として窒素及
びリンを含む無機塩類を所定濃度で添加した注入水を調
整し、この注入液に更にオゾンを溶存させたうえで、汚
染源の中心部に設置した注入井戸より連続的に注水し
て、地下水汚染の微生物学的修復を試みた。
【0034】注入水の組成は、溶存オゾン濃度が初期濃
度で2.0mg/l、硝酸カリウム濃度が25mg/
l、リン酸水素二カリウム濃度が40mg/lとした。
この溶存オゾンを含む注入水を、毎時20リットルの注
水速度で注入井戸より地下4mの帯水層内に連続注水
し、定期的に各注入成分の拡散の程度を注入井戸周辺に
設置した複数の観測井戸からの採水により調査した。
尚、注入前の地下水中の溶存酸素濃度は平均で1.8m
g/lであった。また、注入井戸内及び観測井戸内にお
ける好気性従属栄養細菌数については、それぞれからサ
ンプル水を採取して別途行った標準寒天培地による平板
希釈培地法により計測した。
【0035】実験開始前の各観測井戸での地下4mにお
ける総好気性従属栄養細菌数は、注入井戸から水平距離
でそれぞれ1m、3m、6m離れた地点の3つの観測井
戸内では、いずれも1ml当たり10の6乗個台で一致
していた。
【0036】実験の結果、注入開始から4週間後の時点
での各観測井戸での総好気性従属栄養細菌数は、注入井
戸から水平距離でそれぞれ1m、3m、6m離れた地点
の3つの観測井戸内で、それぞれ1ml当たり10の6
乗個台、10の8乗個台、10の7乗個台となってい
た。また、溶存酸素濃度は、同様にそれぞれ4.0mg
/l、4.5mg/l、4.0mg/lでほぼ均等であっ
た。この結果、微生物による汚染物質の分解は、修復対
象地下領域である注入井戸から半径6m以内においてほ
ぼ均等に進行していることが解った。
【0037】実施例2 汚染物質を有機塩素系化合物とし、このため注入する栄
養組成物にメタンを加え、更にオゾンが直接メタンを酸
化しないように、栄養組成物を含む注入水とは別に溶存
オゾン水を調整して、注入水と溶存オゾン水を時間をず
らして8時間毎に交互に注水した。これらの条件変更を
行った以外は実施例1と同様にして、再度修復実験を行
った。尚、注入水中の溶存酸素濃度は、大気中酸素によ
る飽和により、平均で8.5mg/lであった。
【0038】注入井戸内及び観測井戸内での微生物濃度
の計測は、総好気性従属栄養細菌数については実施例1
と同様に平板希釈培地法により行い、メタン資化性菌に
ついては各段階希釈試料におけるメタン資化増殖の判定
を行った上で、それぞれ5−5−5MPN法により計測
した。
【0039】実験開始前の各観測井戸での地下4mの地
下水中における総好気性従属栄養細菌数は、注入井戸か
ら水平距離でそれぞれ1m、3m、6m離れた地点の各
観測井戸で、それぞれ共に1ml当たり10の6乗個台
で一致していた。また、メタン資化性菌については、同
様に水平距離1m、3m、6m離れた各地点で、それぞ
れで共に1ml当たり10の1乗個以下の検出限界以下
であった。
【0040】実験の結果、注入開始から4週間後の時点
での各観測井戸での総好気性従属栄養最菌数は、注入井
戸からの水平距離でそれぞれ1m、3m、6mの各観測
井戸内で、それぞれ1ml当たり10の6乗個台、10
の8乗個台、10の7乗個台となっていた。また、注入
開始から2週間後の時点での各観測井戸でのメタン資化
性菌数は、同様に1m、3m、6mの地点で、それぞれ
1ml当たり10の3乗個台、10の4乗個台、10の
4乗個台となっていた。
【0041】また同様に、溶存酸素濃度は、注入井戸か
らの水平距離1m、3m、6mの各観測井戸の地下4m
水で、それぞれ4.5mg/l、5.0mg/l、4.5
mg/lであり、ほぼ均等であった。これらの結果か
ら、微生物による汚染物質の分解は、修復対象地下領域
である半径6m以内で、ほぼ均等に分解が進行している
ことが解った。
【0042】比較例1 前記実施例1の条件中で、栄養組成物を含む注入水にオ
ゾンを溶存させずに酸素だけを溶存させておき、その他
の条件は実施例1と全く同様にして修復実験を行った。
尚、注入前の地下水の溶存酸素濃度は実施例1と同じ地
下4m部分で平均で1.8mg/lであり、注入前の注
入水中の溶存酸素濃度は平均で8.5mg/lであっ
た。
【0043】実験開始前の各観測井戸での地下4mにお
ける総好気性従属栄養最菌数は、注入井戸から水平距離
でそれぞれ1m、3m、6m離れた地点の各観測井戸内
で、それぞれで共に1ml当たり10の6乗個台で一致
し、これも実施例1と同じ条件であった。
【0044】実験の結果、注入開始から4週間後の時点
での各観測井戸の地下4m部分での総好気性従属栄養細
菌数は、注入井戸から水平距離1m、3m、6mの各地
点で、それぞれ1ml当たり10の8乗個台、10の6
乗個台、10の6乗個台となっており、水平距離で3m
以上離れた各地点では微生物分解活性が高まっていなか
った。
【0045】また、溶存酸素濃度は、同様に各地点でそ
れぞれ4.0mg/l、1.9mg/l、1.8mg/l
であり、水平距離3m以上の各地点ではバックグラウン
ドの溶存酸素濃度のままであった。この結果から、微生
物による汚染物質の分解は、注入井戸から半径1m程度
の範囲内でしか進んでいないことが解った。
【0046】比較例2 比較例1の条件中で、地上での注入水の調整時に純酸素
ガスの使用により酸素溶存量を初期濃度20mg/lに
上昇させ、その他の条件は実施例1と全く同様にして修
復実験を行った。
【0047】尚、注入前の地下水の溶存酸素濃度は、実
施例1及び比較例1と同じく地下4m部分において平均
で1.8mg/lであった。また、実験開始前の各観測
井戸での地下4mにおける総好気性従属栄養菌数も、注
入井戸から水平距離でそれぞれ1m、3m、6m離れた
地点の観測井戸で、共に1ml当たり10の6乗個台で
あり、実施例1及び比較例1と同じであった。
【0048】実験の結果、注入開始から4週間後の時点
での各観測井戸の地下4m部分での総好気性従属栄養細
菌数は、注入井戸から水平距離でそれぞれ1m、3m、
6m離れた各観測井戸で、それぞれ1ml当たり10の
8乗個台、10の7乗個台、10の6乗個台となってお
り、水平距離6mの地点では微生物分解活性が高まって
いなかった。
【0049】また、溶存酸素濃度は、同様に各地点でそ
れぞれ8.0mg/l、2.8mg/l、1.8mg/l
であり、水平距離6mの地点ではバックグラウンドの溶
存酸素濃度と一致し、それ以上には高まっていなかっ
た。これらの結果から、微生物による汚染物質の分解
は、注入井戸から半径3m程度の範囲内でしか促進され
ないことが解った。
【0050】更に悪いことには、実験期間中に注入井戸
内における総好気性従属栄養細菌数が1ml当たり10
の9乗個以上に増加したため、これが原因と見られる土
壌の閉塞化現象が注入井戸近傍の帯水層中土壌で進行し
た。その結果、注入水が帯水層最上部流域に一旦上昇し
てから流れるなど注入水の不均一な流れが起こり、それ
以降の注入水の地下分散状態に悪影響が生じた。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、地中に注入した溶存オ
ゾンが拡散に伴って徐々に分解されるため、注入井戸か
ら離れた地点で溶存酸素の発生が得られ、且つオゾンの
持つ微生物増殖抑制効果により注入地点の近くほど微生
物濃度の増加が抑制され、注入地点での酸素消費量の極
端な上昇が防止される。また、同じくオゾンの微生物増
殖抑制効果によって、酸素以外の注入物質である栄養塩
類等の栄養組成物についても、注入地点近傍での微生物
による比較的早期の摂取が抑えられる。
【0052】従って、本発明によれば、注入井戸から距
離的に離れるに従って溶存酸素濃度及び栄養組成物濃度
が急速に低下することを防止でき、これらの地下での遠
距離到達性を大きく改善することができる。その結果、
より広い地下範囲において、微生物を利用して汚染物質
を分解除去するバイオレメディエーションの適用が可能
となる。しかも、地上障害物等の場所的制約により、少
ない本数の注入井戸しか設置できない場合でも、広い修
復範囲を容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の地下水汚染修復装置の一具体例を示す
概略の断面図である。
【符号の説明】
1 注入井戸 2 注水管 3 注入水貯溜槽 4 溶存オゾン製造器 5 貯水槽 6a、6b 送水ポンプ 7a、7b 送水管
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 3/12 C02F 3/00 C02F 7/00 B09C 1/10 WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物用栄養組成物を含む注入水を注入
    井戸より汚染地下水帯に注水し、微生物により汚染物質
    を分解する地下水汚染の修復方法において、前記注入水
    にオゾンを溶存させて注水するか、又は前記注入水と溶
    存オゾン水とを注水することを特徴とする地下水汚染の
    修復方法。
  2. 【請求項2】 前記注入水と溶存オゾン水とを、別の注
    入井戸より注水するか、又は時間間隔を置いて交互に注
    入井戸より注水することを特徴とする、請求項1に記載
    の地下水汚染の修復方法。
  3. 【請求項3】 注入井戸より注水する際の初期溶存オゾ
    ン濃度が0.2〜10mg/lであることを特徴とす
    る、請求項1又は2に記載の地下水汚染の修復方法。
  4. 【請求項4】 微生物用栄養組成物を含む注入水を注入
    井戸より汚染地下水帯に注水して、微生物により汚染物
    質を分解する装置であって、前記注入水又は前記注入水
    以外の水にオゾンを溶存させる溶存オゾン製造器を備
    え、少なくともオゾンが溶存した注入水又は溶存オゾン
    水を注入井戸に供給する送水設備が気密構造になってい
    ることを特徴とする地下水汚染の修復装置。
JP01023698A 1998-01-22 1998-01-22 地下水汚染の修復方法及びその装置 Expired - Fee Related JP3458688B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP01023698A JP3458688B2 (ja) 1998-01-22 1998-01-22 地下水汚染の修復方法及びその装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP01023698A JP3458688B2 (ja) 1998-01-22 1998-01-22 地下水汚染の修復方法及びその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11207375A JPH11207375A (ja) 1999-08-03
JP3458688B2 true JP3458688B2 (ja) 2003-10-20

Family

ID=11744673

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP01023698A Expired - Fee Related JP3458688B2 (ja) 1998-01-22 1998-01-22 地下水汚染の修復方法及びその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3458688B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4671073B2 (ja) * 2001-02-28 2011-04-13 清水建設株式会社 有機物汚染土壌の原位置修復法
JP2010240594A (ja) * 2009-04-07 2010-10-28 Shimizu Corp 汚染土壌および汚染地下水の分解処理方法
WO2011148509A1 (ja) * 2010-05-28 2011-12-01 エコサイクル株式会社 有機塩素化合物汚染媒体の浄化剤及び浄化方法
WO2012157340A1 (ja) * 2011-05-16 2012-11-22 学校法人福岡大学 環境修復装置及び環境修復方法
CN105731628A (zh) * 2016-02-05 2016-07-06 环境保护部环境规划院 用于地下水氯代烃污染的原位化学氧化修复***及方法
CN114850201B (zh) * 2022-05-26 2024-02-06 北京博诚立新环境科技股份有限公司 一种包气带和饱和带联合治理的原位生物修复方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11207375A (ja) 1999-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Englert et al. Bioremediation of petroleum products in soil
ES2417010T3 (es) Composiciones para eliminar hidrocarburos e hidrocarburos halogenados de entornos contaminados
Lee et al. Biorestoration of aquifers contaminated with organic compounds
Spain et al. Excessive bacterial decomposition of H2O2 during enhanced biodegradation
US5560737A (en) Pneumatic fracturing and multicomponent injection enhancement of in situ bioremediation
CA1332082C (en) Microbiological decomposition of chlorinated aliphatic hydrocarbons
CN106495318B (zh) 一种利用强化厌氧生物技术原位修复地下水中石油烃的渗透反应墙***与方法
JP5205010B2 (ja) 汚染地下水の原位置浄化方法
CN213763431U (zh) 一种污染土壤原位好氧生物修复***
JP3458688B2 (ja) 地下水汚染の修復方法及びその装置
JP3565476B2 (ja) 汚染地下水及び/又は汚染地層の浄化方法及びその装置
CN108328856B (zh) 一种低浓度有机污染地下水的原位修复工艺及其应用
CN113290035A (zh) 一种用于土壤地下水污染的原位低耗组合接力修复装置
US7255791B2 (en) In situ method and apparatus for biodegradation of alkyl ethers and tertiary butyl alcohol
JPH10216696A (ja) 汚染土壌修復における空気供給方法およびその装置
JP2007268401A (ja) 汚染土壌及び/又は地下水の原位置浄化方法及び原位置浄化システム
JP3051047B2 (ja) 土壌微生物を用いた汚染土壌の浄化方法及び浄化システム
Brown et al. The evolution of a technology: hydrogen peroxide in in situ bioremediation
JP2004025158A (ja) 汚染地層浄化方法およびその装置
JP2009136767A (ja) 地下水汚染修復方法及びその装置
JP3623080B2 (ja) 汚染地下水及び汚染地層の浄化方法及びその装置
JP3374228B2 (ja) 汚染地下水、土壌の修復方法
JP6212842B2 (ja) 汚染土壌の浄化方法
JPH11216457A (ja) 汚染土の浄化方法
JP2009154057A (ja) 油汚染土壌及び地下水の浄化方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070808

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080808

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090808

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100808

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100808

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110808

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees