JP3457288B2 - プラズマディスプレイパネル及びその製造方法 - Google Patents
プラズマディスプレイパネル及びその製造方法Info
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Description
レイパネル及びその製造方法に関するものである。
DPと記載する)は、小さい奥行きで大画面を実現する
ことが可能なディスプレイとして注目されており、大別
して直流型(DC型)と交流型(AC型)とに分けられ
るが、現在ではAC型が主流となっている。
示す概略断面図である。本図において、41は前面ガラ
ス基板(フロントカバープレート)であって、この前面
ガラス基板41の表面上に表示電極42が形成され、そ
の上から、誘電体ガラス層43及び酸化マグネシウム
(MgO)誘電体保護層44がコートされている。
ート)であって、この背面ガラス基板45の表面上に
は、アドレス電極46および隔壁47、蛍光体層50〜
52が設けられている。この蛍光体層50〜52は、カ
ラー表示のために、赤50,緑51,青52の3色の蛍
光体層が順に配置されている。前面ガラス基板41と背
面ガラス基板45とは、電極42,46どうしが対向す
るように配されて封着されており、隔壁47間には放電
ガスが封入されて放電空間49が形成されている。
電によって波長の短い紫外線(波長147nm)を発生
し、各蛍光体層50〜52を励起発光させることによっ
て、赤,緑,青の各色を発光するようになっている。こ
のようなPDPにおいて、蛍光体層は、紫外線で励起発
光する蛍光体粒子を含むインキやシートをパネル基板上
に配設し、その後、500℃前後で焼成し、インキやシ
ート中に存在する有機バインダー成分を焼失させる工程
を通して形成される。各色の蛍光体粒子としては、母体
材料を構成する金属元素が部分的にEuやMnなどの付
活剤で置換された構造のものが多く用いられている。
焼成プロセスにおいて、蛍光体層を形成する蛍光体粒子
は熱変化を起こし、蛍光体層の輝度や色度が劣化するこ
とが知られている。特に、付活剤としてEu2+イオンを
含む青色蛍光体は、焼成による輝度や発光色度の劣化が
顕著である。
を改善する工夫もなされている。例えば、光技術コンタ
クトVol.34 No.1(1996)P.23〜2
4には、従来からBaMgAl14O23:Eu2+が優れた
青色蛍光体として知られていたが、パネル動作中の劣化
と色度変化が問題となっていたことや、この点を改善す
るものとしてBaMgAl10O17:Eu2+が開発され、
パネル製作時の焼成による輝度劣化も改善されたことが
記載されている。
の要求が高まる中で、PDPにおいても、輝度や画質を
向上させるために、更に蛍光体層の輝度や色度の劣化を
抑えて、発光強度(輝度を色度のy値で割った値)を向
上させる技術が望まれている。本発明は、このような背
景のもとになされたものであって、輝度や発光強度の良
好な蛍光体層の形成を可能とし、PDP等の高輝度化や
高画質化を実現することを目的とする。
め、本発明は、PDPにおいて、母体材料中の置換対象
の元素がEu2+イオンで置換された蛍光体材料、特に組
成式がBaMgAl10O 17:Eu2+またはBaMgAl
14O23:Eu2+で表される蛍光体を用い、置換対象の元
素(Ba)に対するEu2+イオンの置換量を8at%以
下(好ましくは1〜6at%)に設定した。
される蛍光体をはじめとして、母体材料中の置換対象の
元素が付活剤としてのEu2+イオンで置換された構造の
青色蛍光体材料において、従来は、置換対象の元素に対
するEu2+イオンの置換量が10〜15at%のものが
用いられてきたが、上記本発明の蛍光体材料を用いて蛍
光体層を形成することによって、従来よりも輝度並びに
発光強度を向上させることができる。そして、このよう
な蛍光体材料を青色蛍光体材料として用いると、PDP
の画質及び輝度を向上が可能となる。
料を塗布した後、焼成してバインダを焼失させて蛍光体
層を形成するが、その後パネルを封着する工程でも焼成
がなされるので、蛍光体材料は2度以上焼成にさらされ
ることになり、このような条件下では、Eu2+イオンの
置換量を上記のように従来より小さい範囲に設定してお
く方が、高輝度及び高発光強度が得られるためである。
上述したように、PDPの蛍光体層には、母体材料を構
成する金属元素が部分的に付活剤で置換された構造の蛍
光体材料が多く用いられている。例えば、BaMgAl
10O17:Eu2+で表される青色蛍光体材料においては、
母体材料であるBaMgAl10O17を構成するBa元素
がEu2+イオンで置換された構造となっている。
において、上記したとおり、置換対象の元素(Ba)に
対するEu2+イオンの置換量が10〜15at%程度に
設定されていたが、その理由は以下のように考察され
る。蛍光体層は、基本的に、蛍光体材料からなる粒子を
バインダと混合して塗布し、その後、500℃前後で焼
成を行いバインダを焼失させるという工程を通して行わ
れる。
うな蛍光体材料においては、Eu2+イオンの置換量を大
きく設定するほど、蛍光体材料の初期の輝度は向上する
一方、耐熱性が低下するため焼成に伴う蛍光体の輝度や
発光強度の低下が大きくなる傾向があるので、この点を
考慮した上で、焼成後の蛍光体層の輝度及び発光強度が
優れた値をとるように、Eu2+イオンの置換量が上記範
囲(10〜15at%)に設定されていたものと考えら
れる。
は、蛍光体層を形成した後に、前面パネルと背面パネル
と封着するために通常400℃程度の温度で焼成が行わ
れる。即ち、蛍光体層の蛍光体は、2度焼成にさらされ
ることになる。従来は、この封着時の焼成は、蛍光体層
を形成するときの焼成温度(500℃前後)と比べると
かなり低い温度でなされるので、蛍光体にあまり影響を
及ぼないと考えられていたが、本発明者等は、この2度
目の焼成によっても蛍光体層の発光強度にかなり影響が
及ぶことを発見した。
材料が焼成にさらされる場合には、蛍光体材料のEu.
2+イオンの置換量を従来より低い8at%以下に設定し
たものを用いる方が、蛍光体層の輝度及び発光強度が優
れ、特にEu2+イオンの置換量を1〜6at%の範囲に
設定することが好ましいことがわかった。以下、本発明
の実施の形態について説明する。
面放電型PDPの概略を示す断面図である。図1ではセ
ルが1つだけ示されているが、赤,緑,青の各色を発光
するセルが多数配列されてPDPが構成されている。こ
のPDPは、前面ガラス基板(フロントカバープレー
ト)11上に表示電極12と誘電体ガラス層13、保護
層14が配された前面パネルと、背面ガラス基板(バッ
クプレート)15上にアドレス電極16、可視光反射層
17、隔壁18および蛍光体層19が配された背面パネ
ルとが貼り合わせられ、前面パネルと背面パネルとの間
に形成される放電空間内に放電ガスが封入された構成と
なっており、以下に示すように作製される。
ガラス基板11上に表示電極12を形成し、その上を鉛
系の誘電体ガラス層13で覆い、更に誘電体ガラス層1
3の表面に保護層14を形成することによって作製す
る。本実施の形態では、表示電極12は銀電極であっ
て、銀電極用のペーストをスクリーン印刷で塗布した後
に焼成する方法で形成する。
ス材料を含むペーストをスクリーン印刷法で塗布し焼成
することによって形成する。ガラス材料の組成は、例え
ば、酸化鉛[PbO]70重量%,酸化硼素[B2O3]
15重量%,酸化硅素[SiO2]15重量%とする。次
に、上記の誘電体ガラス層13上に、CVD法(化学蒸
着法)で酸化マグネシウム(MgO)の保護層14を形
成する。
上に、銀電極用のペーストをスクリーン印刷しその後焼
成する方法によってアドレス電極16を形成し、その上
に、TiO2粒子と誘電体ガラス粒子とを含むペーストを
スクリーン印刷法で塗布して焼成することによって可視
光反射層17を形成し、同じくガラス粒子を含むペース
トをスクリーン印刷法を用いて所定のピッチで繰返し塗
布した後、焼成することによって隔壁18を形成する。
赤色蛍光体,緑色蛍光体,青色蛍光体の中の1つをバイ
ンダと共に配設し、空気中で焼成してバインダを焼失さ
せることによって、蛍光体粒子が膜状に結着してなる蛍
光体層19を形成する。この蛍光体層19の形成方法お
よび用いる蛍光体材料については後で詳述する。尚、本
実施の形態では、40インチクラスのハイビジョンテレ
ビに合わせて、誘電体ガラス層13の膜厚は約20μ
m、保護層14の膜厚は1.0μm程度とする。また、
隔壁18の高さは0.1〜0.15mm、隔壁ピッチは
0.15〜0.3mm、蛍光体層19の膜厚は5〜50
μmとする。
次に、このように作製した前面パネルと背面パネルと
を、前面パネルの表示電極と背面パネルのアドレス電極
とが直交するように重ね合わせると共に、封着用ガラス
を介挿させ、450℃前後で10〜20分間焼成して封
着する。そして、一旦パネル内部のガスを抜くために、
パネル内を高真空(8×10-7Torr)に排気しなが
らパネルを焼成する(例えば、350℃程度で1時
間)。そして、放電ガスを封入することによってPDP
が作製される。
Ne−Xe系で、Xeの含有量は5体積%とし、封入圧
力は500〜800Torrの範囲に設定する。 (蛍光体層の形成方法及び用いる蛍光体について)図2
は蛍光体層19を形成する際に用いるインキ塗布装置2
0の概略構成図である。図2に示されるように、インキ
塗布装置20において、サーバ21には蛍光体インキが
貯えられており、加圧ポンプ22は、このインキを加圧
してヘッダ23に供給する。ヘッダ23には、インキ室
23aおよびノズル24が設けられており、加圧されて
インキ室23aに供給されたインキは、ノズル24から
連続的に噴射されるようになっている。
上を走査されるようになっている。このヘッダ23の走
査は、本実施の形態ではヘッダ23を直線駆動するヘッ
ダ走査機構(不図示)によってなされるが、ヘッダ23
を固定して背面ガラス基板15を直線駆動してもよい。
ヘッダ23を走査しながら、ノズル24からインキを連
続的なインキ流25(ジェットライン)を形成するよう
に噴射することによって、背面ガラス基板15上の隔壁
18と隔壁18の間に、蛍光体インキが均一的に塗布さ
れる。
粒子と有機バインダーと溶剤とが混合され適度な粘度
(25℃で10〜1000センチポアズ)となるように
調合されたものであり、必要に応じて、更に界面活性
剤,シリカ等を添加混合してもよい。赤色蛍光体として
は、例えば、 YBO3:Eu3+や(YaGd1-a)B
O3:Eu3+を挙げることができる。
O3を構成するY元素がEu3+で置換された構造であ
り、(YaGd1-a)BO3:Eu3+は、母体材料である
(YaGd 1-a)BO3を構成するY元素及びGd元素が
Eu3+で置換された構造である。緑色蛍光体としては、
例えば、Zn2SiO4:Mn2+やBaAl12O19:Mn
2+を挙げることができる。
Zn2SiO4を構成するZn元素がMn2+イオンで置換
された構造であり、BaAl12O19:Mn2+は、母体材
料であるBaAl12O19を構成するBa元素がMn2+で
置換された構造である。これらの赤色,緑色蛍光体は、
PDPにおいて一般的に用いられているものをそのまま
用いる。
10O17:Eu2+で表わされるものを用いる。母体材料で
あるBaMgAl10O17を構成するBa元素に対するE
u2+の置換量が10〜15%程度のものはPDPにおい
ても既に用いられているが、本実施の形態では、Ba元
素に対するEu2+の置換量が、従来よりも低い8at%
以下に設定されたものを用いる。
粒径1〜7μmの粒子状のものを用いる。バインダとし
ては、エチルセルローズやアクリル樹脂を用い(インキ
の0.1〜10重量%)、溶剤としてターピネオール
(C10H18O)を用いることが好ましい。また、これ以
外にも、バインダーとしてはPMMAやポリビニルアル
コールなどの高分子を、溶剤としてはジエチレングリコ
ールメチルエーテルなどの有機溶剤や水を用いる事がで
きる。
を配設した後、背面ガラス基板15を焼成炉に入れて、
500℃前後の温度で10〜20分間焼成する。この焼
成によって、蛍光体インキ,ペーストに含まれる有機バ
インダあるいはシートの樹脂が焼失し、蛍光体粒子が膜
状に結着してなる蛍光体層19が形成される。
ら吐出させながら走査する方法で蛍光体を配設したが、
これ以外に、蛍光体ペーストをスクリーン印刷法で塗布
する方法でも蛍光体を配設することはできる。またこの
他に、各色の蛍光体材料を含有する感光性樹脂のシート
を作製し、これを背面ガラス基板15の隔壁18を配し
た側の面に貼り付け、フォトリソグラフィでパターニン
グし現像することにより不要な部分を除去する方法によ
っても蛍光体を配設することができる。
蛍光体は、例えば以下の方法で製造することができる。 青色蛍光体であるBaMgAl10O17:Eu2+の製法:
原料として、炭酸バリウム(BaCO3),炭酸マグネ
シウム(MgCO3),酸化アルミニウム(α−Al2O
3)及び酸化ユーロピウム(Eu2O3)を、(Baのモ
ル数とEuのモル数の和)とMgのモル数とAlのモル
数の比が、1:1:10となるように混合する。
比率は、目的とする蛍光体のBa元素に対するEu2+イ
オンの置換量に基づいて設定する。例えば、Ba元素に
対するEu2+イオンの置換量を8at%に設定する場
合、Baのモル数とEuのモル数との比率は、92:8
である。従って、配合する炭酸バリウムと酸化ユーロピ
ウムと炭酸マグネシウムと酸化アルミニウムのモル比
は、92:4:100:500に定める。
ス(AlF2,BaCl2)を加えてボールミルで混合す
る。そして、弱還元性雰囲気(H2,N2中)の下で、1
400℃〜1650℃の温度で所定時間(例えば0.5
時間)焼成することによって、所定のEu2+イオンの置
換量を持つBaMgAl10O17:Eu2+の粒子が得られ
る。
法:原料として水酸化イットリウムY2(OH)3と硼酸
(H3BO3)と酸化ユーロピウム(Eu2O3)を、(Y
のモル数とEuのモル数の和)とBのモル数との比が、
1:1となるように配合する。ここで、Yのモル数とE
uのモル数との比率は、目的物である蛍光体のY元素に
対するEu3+イオンの置換量に基づいて設定する。
スを加えてボールミルで混合する。そして、空気中で、
1200℃〜1450℃の温度で所定時間(例えば1時
間)焼成することによって、所定のEu3+イオン置換量
を持つYBO3:Eu3+の粒子が得られる。緑色蛍光体
であるZn2SiO4:Mn2+の製法:原料として、酸化
亜鉛(ZnO)、酸化珪素(Si02)及び酸化マンガン
(Mn2O3)を、(Znのモル数とMnのモル数との
和)とSiのモル数との比が、2:1になるように配合
する。
比率は、目的物である蛍光体のZn元素に対するMn2+
の置換量に基づいて定める。次に、ボールミルで混合す
る。その後、空気中で1200℃〜1350℃の温度で
所定時間(例えば0.5時間)焼成することによって、
所定のMn2+の置換量を持つZn2SiO4:Mn2+の粒
子が得られる。
を作製した。緑色蛍光体は、Zn2SiO4:Mn2+(M
nの含有量は2.3重量%)、赤色蛍光体は、YB
O3:Eu3+(Y元素に対するEu3+の置換量は0.
1)を用いた。
2+であって、母体材料のBa元素に対するEu2+イオン
の置換量は、表1のNo.1〜4に示すように、0.5
,2.0 ,5.0 ,8.0at%の各値に設定し
たものを用いた。なお、表1においては、青色蛍光体の
組成が、Ba1-xMgAl10O17:Euxと表現されてい
る。これはBaMgAl10O17:Eu2+と同じ蛍光体を
表わすが、母体材料のBa元素に対するEu2+イオンの
置換量を示すx値が式中に記載されているものである。
層作製後の焼成は520℃で10分間、パネル張り合わ
せ時の焼成は460℃で10分間行った。また、蛍光体
層の膜厚は20μm、放電ガス圧は500Torrに設
定した。なお、表1のパネルNo.5は、比較例のPD
Pに関するものであって、Ba元素に対するEu2+イオ
ンの置換量を0.100at%に設定した以外は実施例
と同様に作製したPDPである。
及び比較例の各PDPについて、色温度無調整輝度並び
に色温度調整輝度を測定した。色温度無調整輝度とは、
3色に同じ信号を入力させて(即ち3色の各放電空間で
同等の紫外線を発生させて)白色表示した場合の輝度で
あり、色温度調整輝度は、各色の信号を調整して色温度
9500度の白色を表示した場合の輝度である。
0V、周波数30kHzの放電条件で行った。そして、
その測定結果は上記表1に示されている。表1の測定結
果を見ると、色温度無調整輝度については、No.1〜
4(x=0.005〜0.080)と比べてNo.5
(x=0.100)の方が高い値を示しているが、色温
度調整輝度については、No.5(x=0.100)と
比べてNo.1〜4(x=0.005〜0.080)の
方が高い値を示している。
のx値を従来よりも小さい0.08以下に設定すること
によって、従来よりもパネル輝度を向上できることを示
している。特にNo.2(x=0.020)及びNo.
3(x=0.050)の色温度調整輝度は高い値を示し
ている。
Pにおいて画質を向上させるためには白バランスを取る
必要があることを考慮して行っており、色温度調整輝度
が高いほど画質を保ちながら高い輝度が得られる。そし
て、上記のように青色蛍光体のx値を0.08以下に設
定することにより高いパネル輝度が得られるようになっ
たのは、青色蛍光体の発光強度が高くなったためと考え
られる。
バランスで色温度を9000度以上とすることが要求さ
れるが、青色蛍光体は、通常、他の色の蛍光体と比べて
輝度が低いので、すべての色を同じ信号で点灯させた場
合、色温度は6000度前後となり良好な画質が得られ
ない。色温度を9000度以上とするためには、信号調
整を行って、青色と比べて緑色と赤色の輝度を落とす必
要があるが、青色の蛍光体の発光強度が高いほど、緑色
と赤色の輝度を落とす度合は少なくなり、色温度調整輝
度は高い値を得ることができる。
No.2(x=0.020)よりも色温度調整輝度は低
くなっているが、これは、青色蛍光体のEu2+イオンの
量が少なすぎて、紫外線の励起確率が低いためと考えら
れる。 〈実験2〉青色蛍光体材料であるBaMgAl10O17:
Eu2+について、以下のようにして、Eu2+イオンの置
換量と耐熱性との関係を調べた。
2+を作製するに際して、酸化ユーロピウム(Eu2O3)
の添加量を変化させることによって、様々なx値(Eu
2+イオンの置換量)を持つBa1-xMgAl10O17:E
uxを作製した。そして、作製した各蛍光体材料を用い
て、蛍光体ペーストを作製して基板上に塗布し、空気中
で520℃にて10分間焼成することによって、蛍光体
層を形成した。そして、形成した蛍光体層を、更に空気
中で460℃にて10分間焼成した。
時)、520℃で焼成した後(1回焼成後)、460℃
で焼成した後(2回焼成後)において、蛍光体層にUV
ランプで紫外線を照射しながら蛍光体層の輝度及び発光
強度を調べた。輝度は、輝度計を用いて測定した。発光
強度は、分光光度計を用いて蛍光体層からの発光スペク
トルを測定し、この測定値から色度のy値を算出し、こ
の色度のy値と輝度の測定値とから求めた(輝度/色度
のy値)。
て、(a)はx値と相対輝度との関係、(b)はx値と
相対発光強度を示す特性図である。各図中において、実
線は未焼成時、破線は1回焼成後、一点鎖線は2回焼成
後の特性を示している。また図3(a),(b)におけ
る相対輝度および相対発光強度の値はいずれも、x=
0.1の蛍光体で未焼成時についての値を100とした
ときの指標で表示してある。
ことがわかる。 *未焼成時では、x値が大きいほど輝度も高くなってい
るが、発光強度はx値が0.1付近で最高となってい
る。 *1回焼成後では、輝度はx値が0.1より少し大きい
ところで最高となっており、発光強度は、x値が0.1
以下の範囲ではほぼ一定の値であるが、x値が0.1を
越えるとx値が増加するに従って低下している。
て判定する場合には、従来のようにx値を0.1〜0.
15程度に設定することが、高性能の蛍光体層を得るの
適しているということが導かれる。 *2回焼成後では、輝度は、x値が0.1より少し小さ
いところで最高値を示し、x値がかなり小さい0.01
程度まで高い値を保っている。発光強度は、x=0.0
3〜0.06付近で最も高く、x=0.08を越えた範
囲ではかなり低下する。
8以下、特に0.01〜0.06、その中でも0.03
〜0.06の範囲が好ましいことがわかる。 *特に注目すべきことは、x値が0.08より大きい範
囲と0.08以下の範囲とでは、焼成により発光強度に
及ぶ影響が逆の傾向を示していることである。即ち、x
値が0.08より大きい範囲では、未焼成時に比べて焼
成後の方が発光強度が低くなっているのに対して、x値
が0.08以下の範囲ではむしろ、未焼成時よりも焼成
後の方が発光強度が高くなっており、更に1回焼成後よ
りも2回焼成後の方が輝度及び発光強度が高くなってい
る。
るのに伴って、Eu2+イオンが酸化される一方、水分な
どの不純物が除去されたり結晶性が向上し、これが発光
強度の向上に寄与するが、x値が0.08より大きい範
囲では、前者の影響の方が大きいのに対して、x値が
0.08以下では、後者の影響が大きいために生じるも
のと考えられる。
に460℃で焼成する場合について調べたが、500℃
程度で焼成した後に350℃程度で焼成する場合や、同
程度の温度(例えば460℃)で2回焼成を行う場合に
おいても、ほぼ同様の結果が得られる。また、図3で
は、520℃で焼成した後に460℃焼成するという2
回焼成後までの測定結果を示したが、更に、460℃以
下の温度で3回目の焼成を行ってその後に測定を行った
場合にも、2回焼成後の結果と同様の傾向を示す結果が
得られた。
回焼成後の輝度及び発光強度の傾向は、更に焼成を加え
てもあまり変動しないことがわかった。 (その他の事項)上記実施の形態では、Eu2+イオンを
付活剤として含有する青色蛍光体の例として、BaMg
Al10O17:Eu2+で表される蛍光体を示したが、本発
明はこれに限られず、BaMgAl14O23:Eu2+やB
aaSr1-aMgAl10O17:Eu 2+といった青色蛍光体
を用いる場合においても適用可能である。
Ba元素に対するEu2+イオンの置換量を、BaaSr
1-aMgAl10O17:Eu2+では、Ba元素とSr元素
の和に対するEu2+イオンの置換量を、8at%以下
(好ましくは1〜6at%)に設定することによって、
同様の効果を得ることができる。また、上記実施の形態
では、AC型のPDPを例にとって説明したが、DC型
のPDPについても同様のことが言える。
体は、必ずしもPDPだけに用いられるものではなく、
例えば蛍光燈にも用いることができる。そして、その場
合も同様の効果を奏する。
て、母体材料中の置換対象の元素がEu 2+イオンで置換
された蛍光体材料、特に組成式がBaMgAl10O17:
Eu2+或はBaMgAl14O23:Eu2+で表される蛍光
体を用い、置換対象の元素(Ba)に対するEu2+イオ
ンの置換量を8at%以下、好ましくは1〜6at%に
設定することによって、従来よりも耐熱性の高い蛍光体
膜を形成し、蛍光体層の輝度並びに発光強度を向上させ
ることを可能とした。
体材料として用いると、PDP作製時の焼成プロセスに
おける蛍光体層の熱劣化が抑えられ、PDPの画質及び
輝度を向上させることができる。
示す概略断面図である。
ンキ塗布装置の概略構成図である。
性図である。
面図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 前面パネルと背面パネルとの間に形成さ
れる放電セル内で紫外線を放射し蛍光体層で可視光に変
換するプラズマディスプレイパネルであって、前記蛍光
体層の中の少なくとも一色の蛍光体層は、 BaMgAl14O23:Eu2+で表され、且つBaMgA
l14O23のBa元素に対するEu2+イオンの置換量が8
at%以下である蛍光体材料により形成されているプラ
ズマディスプレイパネル。 - 【請求項2】 前記前面パネルと前記背面パネルとは、 ガラスによって封着された請求項1記載のプラズマディ
スプレイパネル。 - 【請求項3】 前記BaMgAl14O23のBa元素に対
するEu2+イオンの置換量が1〜6at%である請求項
1または2記載のプラズマディスプレイパネル。 - 【請求項4】 第1のパネル基板上に、BaMgAl10
O17:Eu2+で表され、且つBaMgAl10O17のBa
元素に対するEu2+イオンの置換量が8at%以下であ
る蛍光体材料を、バインダと共に配設する蛍光体配設ス
テップと、 前記蛍光体材料を配設した第1のパネル基板を焼成する
焼成ステップと、 前記焼成ステップ後の第1のパネル基板に第2のパネル
基板を封着剤を介して重ね、焼成することによって封着
する封着ステップとを備えるプラズマディスプレイパネ
ルの製造方法。 - 【請求項5】 前記BaMgAl10O17のBa元素に対
するEu2+イオンの置換量が1〜6at%である請求項
4記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 【請求項6】 第1のパネル基板上に、BaMgAl14
O23:Eu2+で表され、且つBaMgAl14O23のBa
元素に対するEu2+イオンの置換量が8at%以下であ
る蛍光体材料を、バインダと共に配設する蛍光体配設ス
テップと、 前記蛍光体材料を配設した第1のパネル基板を焼成する
焼成ステップと、 前記焼成ステップ後の第1のパネル基板に第2のパネル
基板を封着剤を介して重ね、焼成することによって封着
する封着ステップとを備えるプラズマディスプレイパネ
ルの製造方法。 - 【請求項7】 前記BaMgAl14O23のBa元素に対
するEu2+イオンの置換量が1〜6at%である請求項
6記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 【請求項8】 前記蛍光体配設ステップでは、 前記蛍光体材料からなる粒子とバインダとを混合したイ
ンキまたはシートを、前記第1の基板上に配設する請求
項4〜7のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネ
ルの製造方法。
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