JP3456691B2 - 可変吸音装置 - Google Patents

可変吸音装置

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JP3456691B2
JP3456691B2 JP32327597A JP32327597A JP3456691B2 JP 3456691 B2 JP3456691 B2 JP 3456691B2 JP 32327597 A JP32327597 A JP 32327597A JP 32327597 A JP32327597 A JP 32327597A JP 3456691 B2 JP3456691 B2 JP 3456691B2
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    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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    • GPHYSICS
    • G10MUSICAL INSTRUMENTS; ACOUSTICS
    • G10KSOUND-PRODUCING DEVICES; METHODS OR DEVICES FOR PROTECTING AGAINST, OR FOR DAMPING, NOISE OR OTHER ACOUSTIC WAVES IN GENERAL; ACOUSTICS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G10K11/00Methods or devices for transmitting, conducting or directing sound in general; Methods or devices for protecting against, or for damping, noise or other acoustic waves in general
    • G10K11/16Methods or devices for protecting against, or for damping, noise or other acoustic waves in general

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弾性波の伝搬経路
に挿入し、吸音特性を電気的に変化させることができる
可変吸音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の吸音装置、例えば消音器は、管路
の内部に吸音材を内張りし、或いは途中に挿入して、伝
搬する音波を減衰させ、出口から放射される音響パワー
を低減する装置である。消音器には、吸音材として多孔
質層,繊維質層を用いた抵抗形と、ハニカムと孔開き板
とを組み合わせたリアクティブ形(又は共鳴形)とがあ
る。抵抗形は、媒質の粘性,熱伝導に基づくエネルギー
散逸により、エネルギーを散逸させ、リアクティブ形
は、媒質の運動に基づく壁面摩擦,運動量による損失に
より、エネルギーを散逸させるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の吸音装
置では、その吸音特性は、装置を構成する吸音材の特性
や、ハニカム,孔開き板の形状及び寸法により決定され
る。そのため、温度・圧力等の環境変化による特性変化
はあるが、人為的にその特性を変化させることはできな
かった。
【0004】一方、弾性波の伝搬経路に吸音装置を挿入
し、この装置の吸音特性、すなわち弾性波の反射及び透
過特性を自由に制御することができれば、オーディオ機
器、音響装置、防音装置、等への応用が考えられ、その
応用分野は多岐にわたるものであることが期待される。
【0005】この課題を達成するために、本願発明の発
明者等は、先に、「圧電性物質の弾性率の制御方法」を
創案し出願した(特願平8−230491号、未公
開)。この方法は、圧電性物質に電極を設けておき、こ
の電極に回路素子を接続して、圧電性物質の弾性率と損
失率を変化させるものであり、弾性率と損失率の変化に
より、吸音等の特性を制御できるものである。
【0006】本発明は、この未公開の方法を更に改善
し、吸音装置に適用したものである。すなわち、本発明
の目的は、吸音特性を電気的に大きく変化させることが
できる可変吸音装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、外周部
が固定され圧電性を有する圧電性物質と、該圧電性物質
の両対面に設けられた少なくとも1対の電極と、該電極
間を接続する少なくとも1つの回路素子と、を備え、前
記圧電性物質は湾曲した平板状であり、かつ前記回路素
子の電気的特性が可変に構成されており、これにより圧
電性物質の弾性率(弾性率の実数部)および損失率(弾
性率の虚数部)を変化させる、ことを特徴とする可変吸
音装置が提供される。
【0008】上記本発明の構成によれば、圧電性物質の
両面に設けられた電極間が、電気的特性が可変な回路素
子で接続されるので、これにより圧電性物質の弾性率
(弾性率の実数部)および損失率(弾性率の虚数部)を
変化させることができる。従って、回路素子の電気的特
性を変化させることにより、圧電性物質の弾性損失を増
減させ、音の吸収を増減することができる。
【0009】しかし、単に平板状の薄い圧電性物質(例
えばフィルム)を音源に対し垂直に置いただけでは、全
体が一様に振動するだけであり、質量の小さいフィルム
では吸音効果は期待できない。更に、枠に固定してフィ
ルムを張った場合でも、フィルムの太鼓振動の固有振動
数以下では弾性的効果は期待されるが、それはフィルム
本来の弾性的性質によるものだけであり、圧電効果を利
用した吸音特性の増大は、期待できない。すなわち、音
圧により膜が振動するとき、圧が下がり引かれる場合
と、圧が上がり押される場合のどちらにおいても、膜に
は伸ばす力が加わる。従って、圧電効果を生じさせる張
力変化は音圧の二乗に比例することになり、音圧のよう
に圧力振幅が小さい場合は効果も二乗で小さくなること
を意味し、そのために、現実に期待できるほどの圧電結
合の効果をもたらさない。
【0010】これに対して、本発明の構成によれば、圧
電性物質の外周部が固定され、かつこの圧電性物質が湾
曲した平板状なので、音圧により圧電性物質が伸び縮み
すると、圧電性物質に引張力と圧縮力が交互に作用す
る。従って、音のエネルギーに比例して圧電物質内での
エネルギー散逸が増大する様になり、音の大小に関わら
ず、減衰量を増大させることができる。
【0011】本発明の好ましい実施形態によれば、前記
回路素子は、負性容量を呈する回路である。かかる負性
容量を用いることにより、後述するように、圧電性物質
の弾性率を0から無限大まで変化させることができ、薄
い圧電性物質を用いて非常に大きな吸音特性を得ること
ができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
を図面を参照しつつ説明する。なお、各図において、共
通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略
する。
【0013】図1は、圧電性物質の特性説明図である。
この図を用いて、圧電性物質の一般的特性について説明
する。一般に、圧電性物質は、力が加えられると起電力
が発生し(「機械−電気結合効果」と称される)、そし
て、発生した起電力によって、本来の力を加えたことに
よる変形に上乗せして、更に、変形が生じることになる
(「電気−機械結合効果」と称される)。
【0014】この場合、上乗せされた変形は、本来の力
を加えたことによる変形とは逆向きに生じるため、圧電
性物質が堅くなったようにみえる。また、発生した起電
力は、図1(a)のように圧電性物質10の圧電気発生
面に電極12を設けておけば、電極12を介して電圧と
して観測できることになる。そして、この電極12を、
電気的に短絡したり開放したりすると、電気→機械の反
作用の大きさが変化し、圧電性物質の見かけの堅さの変
化として観測される。
【0015】しかし、このように圧電性物質の圧電気発
生面に設けた電極12を、電気的に短絡したり開放した
りするだけでは、圧電性物質10の弾性率は高々数%変
化するにすぎない。これは、通常の圧電性物質の場合、
この効果の大きさが、電気機械結合係数kの二乗に比例
し、kは高々0.2程度であるためである。すなわち、
このように、高々数%程度の弾性率の変化は、誤差範囲
内に入る程度の変化であり、弾性率の変化のダイナミッ
クレンジを大幅に拡大して、各種の応用分野への適用が
有望なデバイスを提供することを望んでも、圧電性物質
の弾性率を大幅に変化させることが従来できなかった。
【0016】図1(b)には、通常観測される圧電性物
質の弾性共振に対応した、誘電的圧電共鳴分散の様子を
模式的に示している。また、この観測対象は、図1
(a)に示すように、圧電性物質10と、その圧電気発
生面に設けた電極12と、電極12に接続して電線15
と、を有するものであり、電線15に交流電源14が供
給する電圧を印加して、誘電的圧電共鳴分散を観測して
いる。また、図1(a)の点線で、電圧印加による圧電
性物質10の変形の様子を模式的に示している。
【0017】更に図1(b)において、横軸は交流電圧
の周波数、縦軸は誘電率であり、周波数を低い状態から
高くしていくと、誘電率がピークを有して変化して、そ
の後、誘電率の値が負になってから大きくなっていく、
いわゆる誘電的圧電共鳴分散が観測される。
【0018】なお、電極12としては、アルミニウム、
金等の導電性材料、圧電性物質10としては、PZTで
代表されるようなセラミック圧電体、セラミック粉末と
ゴムとの複合体、セラミック粉末とプラスチックとの複
合体、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン/トリ
フロロエチレン共重合体で代表されるような、強誘電性
高分子、ポリメチルグルタメート、ポリベンジルグルタ
メート、ポリ乳酸などで代表されるポリアミノ酸、セル
ロースおよびその誘電体、木材、およびコラーゲンで代
表される天然高分子等が挙げられる。
【0019】図2は、特願平8−230491号(未公
開)に開示した発明の説明図である。図2(a)に示す
ように、この発明を用いた可変吸音装置は、圧電性物質
20と、その圧電気発生面に設けた電極22と、電極2
2に電線15を介して接続した付加回路24とを有して
いる。なお、電極22としては、アルミニウム、金等の
導電性材料、圧電性物質20としては、上述のような物
質が考えられる。そして、付加回路24として、図2
(a)では、インダクタンス素子を示しているが、イン
ダクタンス素子、抵抗素子、キャパシタンス素子(容量
素子)、負性抵抗素子、負性容量素子等の回路素子を単
独に用いるか、あるいは、回路素子を複数接続して構成
した回路を採用することが考えられる。また、インダク
タンス機能、抵抗機能、キャパシタンス機能等を有する
回路を付加回路24として採用してもよい。
【0020】図2(b)において、横軸は機械的振動の
周波数、縦軸は弾性率の大きさを示している。機械的振
動を与える方向、すなわち、弾性率の測定方向は、図2
(a)中、矢印で示す方向、すなわち、圧電性物質20
の長手方向である。図2(b)から分かるように、周波
数を低い状態から高くしていくと、弾性率の値が負にな
り、その後、ピークを有するように弾性率が変化し、更
に、弾性率が徐々に小さくなっていく、弾性的圧電共鳴
分散が観測される。
【0021】図3は、先行発明の基本原理図である。付
加回路24を備えることによって、弾性率が変化する理
由について、付加回路として容量Cを採用した場合を例
に取り、図3を参照して説明する。図3中、符号Cで示
す円は、容量Cの大きさを表現するものであり、円上の
位置によって、容量の大きさが変化する。円の上端点で
は、「C=∞」、すなわち「電極ショート」の状態に相
当し、この点から右周り方向に行くにしたがって正の値
(C>0)をとりながら、値が小さくなっていき、円の
下端点では、「C=0」、すなわち「電極オープン」の
状態に相当し、更に、この点から右周り方向に行くにし
たがって負の値(C<0)をとりながら、その絶対値が
大きくなっていいき、前記上端点に戻る。
【0022】ここで、弾性率が電極間の付加回路24
(シャントインピーダンス)により変化することについ
て、理論的に説明する。まず、圧電の基本式は、次の
(1)、(2)により表現される。 S=sE T+dE...(1)、D=dT+εT E...(2) ここで、Sは歪み、sE は電界一定における弾性コンプ
ライアンス(弾性率の逆数)、Tは応力、dは圧電定
数、Eは電界、Dは電気変位、εT は応力一定における
誘電率である。また、電気機械結合係数kは、次式
(3)で表される。
【0023】k2 =d2 /(sE εT )...(3) 電極間にシャントする外部素子のサセプタンスを圧電耐
の誘電率で規格化した値をαとすると、α=C/Cs
(Csは、圧電性物質自体の容量)であり、更に、D/
E=−αεT ...(4)なる条件が加わる。ここで電
極間をショートすることは、「α=∞」に相当し、電極
間をオープンにすることは、「α=0」に相当する。そ
して、式(4)を用いて、式(1)、(2)からD,E
を消去し、式(3)を用いて整理すると、次式(5)が
得られる。
【0024】 S/T=sE (1−k2 /(1+α))...(5) αという値を有する外部素子で、電極間をシャントした
ときの弾性コンプライアンス(弾性率の逆数)をs
(α)とすると、s(α)は次式(6)のように表現さ
れる。 s(α)=S/T=sE (1−k2 /(1+α))...(6)
【0025】そして、式(6)より、以下の式(7)〜
(10)が導かれる。 s(0)=sE (1−k2 )...(7)、s(∞)=sE ...(8) s(−1)=∞...(9)、s(−(1−k2 ))=0...(10)
【0026】すなわち、式(6)から、αが「0<α<
∞」の範囲にあるときには、s(α)は、高々sE
ら、その(1−k2 )倍までしか変化しないが、αの変
化範囲を負の値になるまで拡張すると、s(α)を、0
から無限大の値まで変化させることができ、更に、「−
1<α<−(1−k2 )」とすると、s(α)は負の値
になる。このように、電極間のシャントインピーダンス
を変化させることにより、圧電性物質の弾性率を、大き
く変化させることが可能になる。
【0027】すなわち、図3において、「C=∞」(上
端点)の状態から、「C=0」の状態に向かうと、弾性
領域においていわゆる「柔状態」から「剛状態」に変化
し、圧電性物質の弾性率が変化する。そして、圧電性物
質自体の容量をCsとすると、「C=−(1−k2 )・
Cs」のとき、式(10)が成り立ち弾性率(s(α)
の逆数)が「∞」となり、負性弾性領域(慣性領域)に
入る。更に、「C=−Cs」となると、式(9)が成り
立ち弾性率が0となる。更にこの点より、容量の絶対値
が大きくなると、再度、弾性領域に入ることになる。こ
のように、付加回路である容量Cの値を変化させること
により、弾性率が大きく変化し、更に、弾性率を負にす
ることも可能となる。
【0028】以上の説明は容量を付加し、弾性率を変化
させることについて述べたが、インダクタンス素子、抵
抗素子等の他の素子や各素子を組合わせた回路、更に、
インダクタンス機能や抵抗機能やキャパシンタンス機能
等を有する回路を、付加回路として採用しても、同様
に、圧電性物質の弾性率を変化させることが可能にな
る。
【0029】図4は、付加回路の回路図である。この図
を参照して、インダクタンスが可変な回路と負性容量を
呈する回路を説明する。図4(a)は、両端子間の回路
が、インダクタンス機能(L)を有するものであり、実
際には、両端子をそれぞれ、電極22に接続する。もち
ろん、コイル1個を付加回路として採用してもよいが、
例えば、1(MH)もの大きな値のインダクタンスを有
するように、オペアンプを用いたアクティブ回路で、イ
ンダクタンス機能を実現するためのものである。
【0030】図4(a)に示す回路は、抵抗R1、コン
デンサC2、抵抗R3、抵抗R4、及び抵抗R5を直列
接続し、更に、図示しない両電極に接続されたオペアン
プaの非反転端子及び反転端子のそれぞれを、抵抗R1
の一端(端子側)、コンデンサC2と抵抗R3との接続
点に接続し、出力端子を、抵抗R3と抵抗R4との接続
点に接続している。このとき、この回路のインダクタン
スLは、「L=(C2・R1・R3・R5/R4)」と
して与えられる。また、抵抗R5を可変抵抗として、回
路素子の特性を変化させるようにして、インダクタンス
の値を変化させて、圧電性物質の弾性率を、操作性良く
変化させることができる。
【0031】また、図4(b)、(c)に示す回路は、
負性容量を呈する回路であり、試料の容量をCinとし
て、回路の容量Cの絶対値が、Cinより小さな場合
(|C|<Cin)には、図4(b)に示す回路を用
い、一方、回路の容量Cの絶対値が、Cinより大きな
場合(|C|>Cin)には、図4(c)に示す回路を
用いる。図4(b)に示す回路は、抵抗R1と抵抗R2
からなる可変抵抗器と、コンデンサC1を正帰還ループ
を構成するように接続したオペアンプc(オペアンプc
の電源は図示せず)とを有し、オペアンプcの反転端子
は、可変抵抗器に接続されている。また、図4(c)に
示す回路は、抵抗R1と抵抗R2からなる可変抵抗器
と、コンデンサC1を負帰還ループを構成するように接
続してオペアンプdとを有し、オペアンプd(オペアン
プdの電源は図示せず)の反転端子は、可変抵抗器に接
続されている。図4(b)、(c)の、いずれの回路に
おいても、容量Cは、「C=(c2・R2/R1)」と
して与えられる。そして、可変抵抗器を調節することに
よって、すなわち、回路素子の特性を変化させるように
して、容量Cの値を変化させて、圧電性物質の弾性率を
操作性良く変化させることができる。そして、このよう
に、図4で示した各回路を、付加回路24として用い、
付加回路である容量Cの値を変化させることにより、図
3に示したように、弾性率を大きく変化させ、更に、弾
性率を負にすることも可能となる。
【0032】図5は、本発明による可変吸音装置の構成
図である。この図に示すように、本発明の可変吸音装置
30は、外周部が剛性のある枠31に固定された圧電性
を有する圧電性物質32と、圧電性物質32の両対面
(図では上下面)に設けられた少なくとも1対の電極3
4と、電極34間を接続する少なくとも1つの回路素子
36と、を備える。
【0033】図5に示すように、本発明の可変吸音装置
30を構成する圧電性物質32は、単に圧電性を有する
だけではなく、平板状でありかつ湾曲している。この湾
曲形状は、平板状圧電性物質の少なくとも一方の面が凸
状又は凹状に湾曲していればよく、例えば円筒状、球面
状でもよく、その他の任意の曲面(例えば放物面)であ
ってもよい。また、平板状圧電性物質は、板厚が一様で
なくてもよく、例えば外面と内面の曲率が相違してもよ
い。なお、図5において、圧電性物質32は矩形である
が、この形状は任意であり、後述する実施例のように円
形であってもよい。更に、圧電性物質32の外周部の枠
31への固定は、全周を固定するのが1好ましいが、一
部のみの固定であってもよい。
【0034】また、回路素子36の電気的特性は可変で
あり、これにより圧電性物質の弾性率(弾性率の実数
部)および損失率(弾性率の虚数部)を変化させるよう
になっている。この回路素子36は、図4(b)(c)
に例示した負性容量を呈する回路であるのが好ましい
が、図4(a)に例示したインダクタンスが可変な回路
であってもよい。更にまた、この回路素子36は、図3
で例示した容量Cでもよく、インダクタンス素子、抵抗
素子等の他の素子や各素子を組合わせた回路、更に、イ
ンダクタンス機能や抵抗機能やキャパシンタンス機能等
を有する回路であってもよい。その他の構成は、図2と
同様である。
【0035】図6は、本発明の基本原理図である。この
図において、(A)は本発明の圧電性物質、(B)は図
2の圧電性物質の枠に固定した場合を示している。図2
に示した単に平板状の薄い圧電性物質20(例えばフィ
ルム)を音源に対し垂直に置いただけでは、全体が一様
に振動するだけであり、質量の小さいフィルムでは吸音
効果は期待できない。
【0036】更に、図6(B)のように、枠37に固定
してフィルム20を張った場合でも、フィルムの太鼓振
動の固有振動数以下では弾性的効果は期待されるが、そ
れはフィルム本来の弾性的性質によるものだけであり、
圧電効果を利用した吸音特性の増大は、期待できない。
すなわち、(B)の左図に模式的に示すように、音圧に
より膜が振動するとき、圧が下がり引かれる場合と、圧
が上がり押される場合のどちらにおいても、膜には伸ば
す力が加わる。従って、圧電効果を生じさせる張力変化
(すなわち伸び)は音圧の二乗に比例することになり、
音圧のように圧力振幅が小さい場合は効果も二乗で小さ
くなることを意味し、そのために、現実に期待できるほ
どの圧電結合の効果をもたらさない。
【0037】これに対して、本発明の構成によれば、図
6(A)のように、圧電性物質32の外周部が枠31に
固定され、かつこの圧電性物質32が湾曲した平板状な
ので、音圧により圧電性物質32が伸び縮みすると、
(A)の左図に模式的に示すように振動し、圧電性物質
に引張力と圧縮力が交互に作用する。従って、(A)の
右図に示すように、音圧と面内張力(伸び)がほぼ比例
することになり、音のエネルギーに比例して圧電物質内
でのエネルギー散逸が増大する様になり、音の大小に関
わらず、減衰量を増大させることができる。
【0038】
【実施例】以下、本発明の可変吸音装置の実施例を説明
する。図7は、試作した可変吸音装置の構成部品図であ
り、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は上面
図である。この図に示すように、2cm厚の発泡ウレタ
ンシート38を10cm幅にし、中央を2cm、両端を
1cmの円筒形に加工して蒲鉾形状にし、その表面に圧
電フィルム32(PVFD)を張り付け、更にその両面
に電極34を貼付けたものを制作した。なお、圧電フィ
ルム32には約20μm厚のものを用いた。
【0039】図8は、試作した可変吸音装置の全体構成
図である。この図に示すように、圧電フィルム32の両
面の電極34間に回路素子36を負荷し、金属管39の
端部に嵌め込み、端面を端板40で閉じて、図で右方向
から所定周波数の音波を導入し、その反射音をマイクロ
フォン41で計測することにより、周知の定在波管法で
吸音率を測定した。
【0040】なお、この試験では、回路素子36として
インダクタンスを接続し、圧電フィルムとインダクタン
スとで共振点を150,200,250Hzに設定し
た。
【0041】図9乃至図11は、この試作した可変吸音
装置の試験結果であり、図9は共振点が150Hzの場
合、図10,図11はそれぞれ200Hz,250Hz
の場合である。これらの図において、横軸は応答周波数
(Hz)、縦軸は減衰量(dB)であり、図中の破線は
ウレタンに圧電フィルムを張り付けただけの場合であ
る。
【0042】図9乃至図11に両矢印で示すように、そ
れぞれ設定した共振点において、実線で示す減衰量(す
なわち吸音量)が破線の場合より大きく上回っている。
すなわち、100〜500Hzの間て、平均8dB、最
大12dBの吸音率の増加効果が得られた。なお、各図
において、数kHzの部分の大きな吸収は、ウレタン自
体によるものと思われる。また、インダクタンスを接続
した場合には、数kHz以上の高周波では、吸音特性が
同じになり、逆に100Hz以下の低い部分でも差がほ
とんどないことが分かった。
【0043】更に、図4に例示した負性容量を負荷する
ことにより、更に減衰量(吸音量)を大幅に増大させる
ことができる。
【0044】なお、本発明は、上述した実施形態及び実
施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しな範囲で種々
に変更できることは勿論である。
【0045】
【発明の効果】上述したように、本発明の可変吸音装置
は、平板状圧電性物質の両面に設けられた電極間が、電
気的特性が可変な回路素子で接続されるので、これによ
り圧電性物質の弾性率(弾性率の実数部)および損失率
(弾性率の虚数部)を変化させることができ、また、圧
電性物質の外周部が固定され、かつこの圧電性物質が湾
曲した平板状なので、音圧により圧電性物質が伸び縮み
すると、圧電性物質に引張力と圧縮力が交互に作用し、
音のエネルギーに比例して圧電物質内でのエネルギー散
逸が増大する様になり、音の大小に関わらず、減衰量を
増大させることができ、従って、吸音特性を電気的に大
きく変化させることができる、等の優れた効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧電性物質の特性の説明図である。
【図2】本願発明者の先行発明(未公開)の説明図であ
る。
【図3】先行発明の基本原理図である。
【図4】付加回路の回路図である。
【図5】本発明による可変吸音装置の構成図である。
【図6】本発明の基本原理図である。
【図7】本発明の可変吸音装置の実施例である。
【図8】本発明の可変吸音装置の試験説明図である。
【図9】本発明の可変吸音装置の試験結果である。
【図10】本発明の可変吸音装置の別の試験結果であ
る。
【図11】本発明の可変吸音装置の更に別の試験結果で
ある。
【符号の説明】
10 圧電性物質 12 電極 14 交流電源 15 電線 20 圧電性物質 22 電極 24 付加回路 30 可変吸音装置 31 枠 32 圧電性物質(圧電フィルム) 34 電極 36 回路素子 37 枠 38 発泡ウレタンシート 39 金属管 40 端板 41 マイクロフォン

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周部が固定され圧電性を有する圧電性
    物質と、該圧電性物質の両対面に設けられた少なくとも
    1対の電極と、該電極間を接続する少なくとも1つの回
    路素子と、を備え、前記圧電性物質は湾曲した平板状で
    あり、かつ前記回路素子の電気的特性が可変に構成され
    ており、これにより圧電性物質の弾性率(弾性率の実数
    部)および損失率(弾性率の虚数部)を変化させる、こ
    とを特徴とする可変吸音装置。
  2. 【請求項2】 前記回路素子は、負性容量を呈する回路
    である、ことを特徴とする請求項1に記載の可変吸音装
    置。
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