JP3456490B2 - 環状オレフィン系樹脂組成物よりなるシート状体 - Google Patents

環状オレフィン系樹脂組成物よりなるシート状体

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JP3456490B2
JP3456490B2 JP20414193A JP20414193A JP3456490B2 JP 3456490 B2 JP3456490 B2 JP 3456490B2 JP 20414193 A JP20414193 A JP 20414193A JP 20414193 A JP20414193 A JP 20414193A JP 3456490 B2 JP3456490 B2 JP 3456490B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、環状オレフィン系樹脂組
成物から形成されるシート状体(即ちシートまたはフィ
ルム、本発明において同様)に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来から使用されているポリオレ
フィンは、耐薬品性および耐溶剤性に優れた樹脂である
が、充分な透明性、耐熱性、剛性を有しているとはいえ
ない。
【0003】このため、ポリオレフィンの透明性、耐熱
性および剛性を改善するために造核剤を添加する方法、
あるいは溶融状態にあるポリオレフィンを徐冷して結晶
化度を上げる方法が採られているが、その効果は充分で
あるとは言い難い。
【0004】このような従来のポリオレフィンとは別
に、エチレンと嵩高なモノマーとを反応させることによ
って得られる共重合体が、従来のポリオレフィンと比較
して耐熱性等の諸特性に優れていることが報告されてい
る(例えば米国特許第883,372号明細書、特開昭46-1491
0号公報参照)。
【0005】そして、本出願人は、嵩高なモノマーとし
て特定の環状オレフィンを使用し、この環状オレフィン
とエチレンとを共重合させて得られた環状オレフィン系
ランダム共重合体が透明性、耐熱性、剛性に優れる合成
樹脂であることを見いだし既に出願している(特開昭60
-168708号、同61-120816号、同61-115912号、同61-1159
16号、同61-271308号、同61-272216号、同62-252406
号、同62-252407号の公報参照)。
【0006】また、上記の環状オレフィン系ランダム共
重合体は、透明性、耐熱性、剛性に優れるだけでなく、
水蒸気バリアー性が高く、保水性の必要なシートなどと
して適していることが判った。
【0007】しかしながら、用途によっては衝撃強度が
不足する場合があった。そこで、本出願人は以前に環状
オレフィン系共重合体にエラストマーを添加したり、架
橋構造を形成して、衝撃強度を改良する方法を開示して
いる(例えば、特開平2-167318号、同3-122157号、同4-
170454号、同3-072546号、同3-72547号、同3-52939号、
同4-226147号、同5-9350号、同3-281646号、同1-318052
号、同3-122148号および同4-353540号の公報参照)。
【0008】上記公報に示された方法によれば確かに衝
撃強度は改良されるが、シートまたはフィルムの透明性
が失われるといった問題があった。
【0009】
【発明の目的】本発明は、上記のような環状オレフィン
系樹脂を含む組成物から形成され、ガスバリヤー性に優
れると共に、適度な引き裂き強度を有するシート状体
(即ちシートまたはフィルム)を提供することを目的と
している。
【0010】
【発明の概要】本発明に係るシート状体は、 [A]サーマルメカニカルアナライザーで測定した軟化
温度が50〜100℃であり、ガラス転移点(Tg)が
40〜90℃である下記[A-1]、[A-2]、[A-3]お
よび[A-4]からなる群から選ばれる少なくとも1種の
環状オレフィン系樹脂;99〜50重量部と、 [B]23℃における密度が0.92〜0.98g/c
3のエチレン系重合体1〜50重量部とからなる環状
オレフィン系樹脂からなることを特徴としている。
【0011】[A-1]エチレンと下記一般式[I]また
は[II]で表される環状オレフィンとを共重合させて得
られるエチレン・環状オレフィンランダム共重合体。 [A-2] 下記式[I]または[II]で表される環状オ
レフィンの開環重合体または共重合体。
【0012】[A-3] 上記[A-2]開環重合体または共
重合体の水素化物。 [A-4] 上記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフ
ト変性物。
【0013】
【化3】
【0014】…[I] ただし、上記式[I]において、nは0または1であ
り、mは0または正の整数であり、qは0または1であ
り、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立
に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる
群から選ばれる原子または基を表し、この炭化水素基は
ハロゲンで置換されていてもよく、R15〜R18は、互い
に結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ
該単環または多環が二重結合を有していてもよく、また
15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基
を形成していてもよい。
【0015】
【化4】
【0016】…[II] ただし、上記式[II]において、pおよびqは0または
正の整数であり、mおよびnは0、1または2であり、
1〜R19はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原
子、炭化水素基およびアルコキシ基よりなる群から選ば
れる原子または基を表し、この炭化水素基はハロゲンで
置換されていてもよく、R9またはR10が結合している
炭素原子と、R13が結合している炭素原子またはR11
結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜3の
アルキレン基を介して結合していてもよく、またn=m
=0のときR15とR12またはR15とR19とは互いに結合
して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
【0017】上記のように環状オレフィン系樹脂と特定
のエチレン系樹脂とからなる環状オレフィン系樹脂組成
物から形成される本発明のシート状体は良好なガスバリ
ヤー性を有すると共に、適度な引き裂き強度を有するの
で、包装材料として有用性が高い。
【0018】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るシート状体に
ついて具体的に説明する。本発明に係るシート状体は、
環状オレフィン系樹脂[A]とエチレン系重合体[B]
からなる組成物を所定の形状に賦形することにより形成
される。
【0019】まず、本発明に係るシート状体を形成する
環状オレフィン系樹脂組成物の各成分について説明す
る。環状オレフィン系樹脂[A] 本発明で使用される環状オレフィン系樹脂[A]は、
[A-1]エチレンと下記式[I]または[II]で表され
る環状オレフィンとのランダム共重合体、[A-2]下記
式[I]または[II]で表される環状オレフィンの開環
重合体または共重合体、[A-3]上記[A-2]開環重合体
または共重合体の水素化物、または[A-4]上記[A-
1]、[A-2]または[A-3]のグラフト変性物のいずれ
かである。
【0020】本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂
[A]は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度
[η]が、通常0.05〜10dl/g、好ましくは0.3
〜2.0dl/g、さらに好ましくは0.4〜1.2dl/g
である。
【0021】またこの環状オレフィン系樹脂[A]は、
サーマル・メカニカルアナライザーで測定した軟化温度
(TMA)が、10〜120℃(ガラス転移点(Tg)
は通常0〜110℃)であることが必要であり、さらに
好ましくは20〜110℃(Tg:10〜100℃)、
さらに好ましくは50〜100℃(Tg:40〜90
℃)である。環状オレフィン系樹脂[A]のTMAが1
0℃未満の場合、製品の耐熱する傾向があるため好まし
くなく、TMAが120℃を超える場合は製品の透明性
が低下する傾向があるため好ましくない。
【0022】さらに環状オレフィン系樹脂[A]につい
てX線回折法によって測定した結晶化度は、通常は0〜
20%、好ましくは0〜2%である。ここでまず、上記
のような環状オレフィン系樹脂を形成する際に用いられ
る式[I]または[II]で表される環状オレフィンにつ
いて説明する。
【0023】
【化5】
【0024】…[I] ただし、上記式[I]において、nは0または1であ
り、mは0または正の整数であり、qは0または1であ
る。なおqが1の場合には、RaおよびRbは、それぞれ
独立に、下記の原子または炭化水素基を表し、qが0の
場合には、それぞれの結合手が結合して5員環を形成す
る。
【0025】上記式[I]において、R1〜R18ならび
にRa、Rbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原
子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子または
基を表す。
【0026】ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。また炭化水
素基としては、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20の
アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基ま
たは芳香族炭化水素基を挙げることができる。より具体
的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オ
クチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基
を挙げることができ。またこれらアルキル基がフッ素原
子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換されて
いてもよい。
【0027】シクロアルキル基としては、シクロヘキシ
ル基を挙げることができ、芳香族炭化水素基としては、
フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。さら
に、上記式[I]において、R15とR16とが、R17とR
18とが、R15とR 17とが、R16とR18とが、R15とR18
とが、あるいはR16とR17とがそれぞれ結合して(互い
に共同して)、単環または多環を形成していてもよく、
しかもこのようにして形成された単環または多環が二重
結合を有していてもよい。ここで形成される単環または
多環の構造としては、具体的に以下のような構造を挙げ
ることができる。
【0028】
【化6】
【0029】なお上記例示において、1または2の番号
を賦した炭素原子は、式[I]においてそれぞれR
15(R16)またはR17(R18)が結合している炭素原子
を表す。また、R15とR16とで、またはR17とR18とで
アルキリデン基を形成していてもよい。このようなアル
キリデン基は、通常は炭素原子数2〜20のアルキリデ
ン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例と
しては、エチリデン基、プロピリデン基およびイソプロ
ピリデン基を挙げることができる。
【0030】
【化7】
【0031】…[II] ただし、式[II]において、pおよびqは0または正の
整数であり、mおよびnは0、1または2である。
【0032】また、R1〜R19はそれぞれ独立に、水素
原子、ハロゲン原子、炭化水素基およびアルコキシ基か
らなる群から選ばれる原子または基を表す。ここでハロ
ゲン原子は、上記式[I]におけるハロゲン原子と同じ
意味でである。
【0033】また炭化水素基としては、それぞれ独立
に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜
20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシ
クロアルキル基または芳香族炭化水素基を挙げることが
できる。より具体的には、アルキル基としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基お
よびオクタデシル基を挙げることができる。またこれら
アルキル基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨ
ウ素原子で置換されていてもよい。
【0034】シクロアルキル基としては、シクロヘキシ
ル基を挙げることができ、芳香族炭化水素基としては、
アリール基およびアラルキル基を挙げることができ、具
体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジ
ル基およびフェニルエチル基などを挙げることができ
る。
【0035】アルコキシ基としては、メトキシ基、エト
キシ基およびプロポキシ基などを挙げることができる。
ここで、R9およびR10が結合している炭素原子と、R
13が結合している炭素原子またはR11が結合している炭
素原子とは直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン
基を介して結合していてもよい。すなわち、上記二個の
炭素原子がアルキレン基を介して結合している場合に
は、R9およびR13で表される基が、または、R10およ
びR11で表される基が互いに共同して、メチレン基(-CH
2-) 、エチレン基(-CH2CH2-)またはプロピレン基(-CH2C
H2CH2-)の内のいずれかのアルキレン基を形成してい
る。
【0036】さらに、n=m=0のとき、R15とR12
たはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳
香族環を形成していてもよい。この場合の単環または多
環の芳香族環の例としては、n=m=0のときR15とR
12がさらに芳香族環を形成している以下に記載する基を
挙げることができる。
【0037】
【化8】
【0038】ここで、qは式[II]におけるqと同じ意
味である。上記のような式[I]または[II]で表され
る環状オレフィンとしては、具体的には、ビシクロ[2.
2.1]ヘプト-2-エン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.
12,5.17,10]-3- ドデセン誘導体、ヘキサシクロ[6.6.
1.13,6.110,13.02,7.09,14]-4-ヘプタデセン誘導体、
オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.0
12,17]-5-ドコセン誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.
13,6.02,7.09,14]-4-ヘキサデセン誘導体、ヘプタシク
ロ-5-エイコセン誘導体、ヘプタシクロ-5-ヘンエイコセ
ン誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導
体、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-ウンデセン誘導体、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4-ペンタデセ
ン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペン
タシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ペンタデセン
誘導体、ペンタシクロ[8.7.0.1.3.6.110,17.112,15.0
2,7.011,16]-4-エイコセン誘導体、ノナシクロ[10.9.
1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]-5-
ペンタコセン誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12,3.
19,12.08,13]-3-ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ
[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5-ヘンエ
イコセン誘導体、ノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.1
16,19.02,11.04,9.013,22.015,20]-5-ヘキサコセン誘
導体、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレン
誘導体、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロア
ントラセン誘導体、シクロペンタジエン-アセナフチレ
ン付加物などを挙げることができる。
【0039】以下に上記のような式[I]または[II]
で表される環状オレフィンのより具体的な例を示す。
【0040】
【化9】
【0041】
【化10】
【0042】
【化11】
【0043】
【化12】
【0044】
【化13】
【0045】
【化14】
【0046】
【化15】
【0047】
【化16】
【0048】
【化17】
【0049】
【化18】
【0050】
【化19】
【0051】
【化20】
【0052】
【化21】
【0053】
【化22】
【0054】
【化23】
【0055】
【化24】
【0056】
【化25】
【0057】
【化26】
【0058】
【化27】
【0059】
【化28】
【0060】
【化29】
【0061】
【化30】
【0062】
【化31】
【0063】上記のような一般式[I]または[II]で
表される環状オレフィンは、シクロペンタジエンと対応
する構造を有するオレフィン類とを、ディールス・アル
ダー反応させることによって製造することができる。
【0064】これらの環状オレフィンは、単独であるい
は2種以上組み合わせて用いることができる。本発明で
用いられる環状オレフィン系樹脂は、上記のような式
[I]または[II]で表される環状オレフィンを用い
て、たとえば特開昭60-168708号、同61-120816号、同61
-115912号、同61-115916号、同61-271308号、同61-2722
16号、同62-252406号および同62-252407号などの公報に
おいて本出願人が提案した方法に従い、適宜条件を選択
することにより製造することができる。[A-1]エチレン・環状オレフィンランダム共重合体 [A-1]エチレン・環状オレフィンランダム共重合体
は、エチレンから誘導される構成単位を通常は52〜9
0モル%、好ましくは55〜80モル%の量で、環状オ
レフィンから誘導される構成単位を通常は10〜48モ
ル%、好ましくは20〜45モル%の量で含有してい
る。なお、エチレン組成および環状オレフィン組成は、
13C−NMRによって測定される。
【0065】この[A-1]エチレン・環状オレフィンラ
ンダム共重合体では、上記のようなエチレンから誘導さ
れる構成単位と環状オレフィンから誘導される構成単位
とが、ランダムに配列して結合し、実質的に線状構造を
有している。この共重合体が実質的に線状であって、実
質的にゲル状架橋構造を有していないことは、この共重
合体が有機溶媒に溶解した際に、この溶液に不溶分が含
まれていないことにより確認することができる。たとえ
ば後述するようにして極限粘度[η]を測定する際に、
この共重合体が135℃のデカリンに完全に溶解するこ
とにより確認することができる。
【0066】本発明で用いられる[A-1]エチレン・環
状オレフィンランダム共重合体において、上記式[I]
または[II]で表される環状オレフィンの少なくとも一
部は、下記式[III]または[IV]で示される繰り返し
単位を構成していると考えられる。
【0067】
【化32】
【0068】…[III] ただし、上記式[III]において、n、m、q、R1〜R
18ならびにRa、Rbは式[I]におけるのと同じ意味で
ある。
【0069】
【化33】
【0070】…[IV] ただし、上記式[IV]において、n、m、p、qおよび
1〜R19は式[II]におけるのと同じ意味である。
【0071】また本発明で用いられる[A-1]エチレン
・環状オレフィンランダム共重合体は、本発明の目的を
損なわない範囲で必要に応じて他の共重合可能なモノマ
ーから誘導される構成単位を有していてもよい。
【0072】このような他のモノマーとしては、上記の
ようなエチレンまたは環状オレフィン以外のオレフィン
を挙げることができ、具体的には、プロピレン、1-ブテ
ン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-
メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1
-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘ
キセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセ
ン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-
ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタ
デセンおよび1-エイコセンなどの炭素数3〜20のα-
オレフィン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘ
キセン、3,4-ジメチルシクロペンテン、3-メチルシクロ
ヘキセン、2-(2-メチルブチル)-1-シクロヘキセンおよ
びシクロオクテン、3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-メタ
ノ-1H-インデンなどのシクロオレフィン、2-ノルボルネ
ン、5-メチル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネ
ン、5-イソプロピル-2-ノルボルネン、5-n-ブチル-2-ノ
ルボルネン、5-イソブチル-2-ノルボルネン、5,6-ジメ
チル-2-ノルボルネン、5-クロロ-2-ノルボルネンおよび
5-フルオロ-2-ノルボルネンなどのノルボルネン類、1,4
-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル
-1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペン
タジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネンおよび5-ビニ
ル-2-ノルボルネンなどの非共役ジエン類を挙げること
ができる。
【0073】これらの他のモノマーは、単独であるいは
組み合わせて用いることができる。[A-1]エチレン・
環状オレフィンランダム共重合体において、上記のよう
な他のモノマーから誘導される構成単位は、通常は20
モル%以下、好ましくは10モル%以下の量で含有され
ていてもよい。
【0074】本発明で用いられる[A-1]エチレン・環
状オレフィンランダム共重合体は、エチレンと式[I]
または[II]で表される環状オレフィンとを用いて上記
公報に開示された製造方法により製造することができ
る。これらのうちでも、この共重合を炭化水素溶媒中で
行ない、触媒として該炭化水素溶媒に可溶性のバナジウ
ム化合物および有機アルミニウム化合物から形成される
触媒を用いて[A-1]エチレン・環状オレフィンランダ
ム共重合体を製造することが好ましい。
【0075】また、この共重合反応では固体状IVB族メ
タロセン系触媒を用いることもできる。ここで固体状IV
B族メタロセン系触媒とは、シクロペンタジエニル骨格
を有する配位子を含む遷移金属化合物と、有機アルミニ
ウムオキシ化合物と、必要により配合される有機アルミ
ニウム化合物とからなる触媒である。ここでVI族の遷移
金属としては、ジルコニウム、チタンまたはハフニウム
であり、これらの遷移金属は少なくとも1個のシクロペ
ンタジエニル骨格を含む配位子を有している。ここで、
シクロペンタジエニル骨格を含む配位子の例としてはア
ルキル基が置換していてもよいシクロペンタジエニル基
またはインデニル基、テトラヒドロインデニル基、フロ
オレニル基を挙げることができる。これらの基は、アル
キレン基など他の基を介して結合していてもよい。ま
た、シクロペンタジエニル骨格を含む配位子以外の配位
子は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基等である。
【0076】さらに有機アルミニウムオキシ化合物およ
び有機アルミニウム化合物は、通常オレフィン系樹脂の
製造に使用されるものを用いることができる。このよう
な固体状IVB族メタロセン系触媒については特開昭61-2
21206号、同64-106号および特開平1-173112号公報等に
記載されている。[A-2]環状オレフィンの開環重合体または共重合体 環状オレフィンの開環重合体または開環共重合体におい
て、上記式[I]または[II]で表される環状オレフィ
ンの少なくとも一部は、下記式[V]または[VI]で表
される繰り返し単位を構成していると考えられる。
【0077】
【化34】
【0078】…[V] ただし上記式[V]において、n、m、qおよびR1
18ならびにRaおよびRbは式[I]におけるのと同じ
意味である。
【0079】
【化35】
【0080】…[VI] ただし上記式[VI]において、n、m、p、qおよびR
1〜R19は式[II]におけるのと同じ意味である。
【0081】このような開環重合体または開環共重合体
は、前記公報に開示された製造方法により製造すること
ができ、例えば、上記式[I]で表される環状オレフィ
ンを開環重合触媒の存在下に、重合または共重合させる
ことにより製造することができる。
【0082】このような開環重合触媒としては、ルテニ
ウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、インジウム
または白金などから選ばれる金属のハロゲン化物、硝酸
塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる
触媒、あるいは、チタン、パラジウム、ジルコニウムま
たはモリブテンなどから選ばれる金属のハロゲン化物ま
たはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合
物とからなる触媒を用いることができる。[A-3]開環重合体または共重合体の水素化物 本発明で用いられる[A-3]開環重合体または共重合体
の水素化物は、上記のようにして得られる開環重合体ま
たは共重合体[A-2]を、従来公知の水素添加触媒の存
在下に水素化して得られる。
【0083】この[A-3]開環重合体または共重合体の
水素化物において、式[I]または[II]で表される環
状オレフィンのうち少なくとも一部は、下記式[VII]
または[VIII]で表される繰り返し単位を有していると
考えられる。
【0084】
【化36】
【0085】…[VII] ただし、上記式[VII]において、n、m、qおよびR1
〜R18ならびにRaおよびRbは式[I]におけるのと同
じ意味である。
【0086】
【化37】
【0087】…[VIII] ただし上記式[VIII]において、n、m、p、q、R1
〜R19は式[II]におけるのと同じ意味である。[A-4]グラフト変性物 環状オレフィン系樹脂のグラフト変性物は、上記の[A-
1]エチレン・環状オレフィンランダム共重合体、[A-
2]環状オレフィンの開環重合体または共重合体、また
は、[A-3]開環重合体または共重合体の水素化物のグ
ラフト変性物である。
【0088】ここで変性剤としては、無水マレイン酸な
どの不飽和カルボン酸、これらの酸無水物または不飽和
カルボン酸のアルキルエステル等の誘導体などを挙げる
ことができる。
【0089】本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂
のグラフト変性物における変性率は、通常10モル%以
下である。このような環状オレフィン系樹脂のグラフト
変性物は、所望の変性率になるように環状オレフィン系
樹脂に変性剤を配合してグラフト重合させ製造すること
もできるし、予め高変性率の変性物を調製し、次いでこ
の変性物と未変性の環状オレフィン系樹脂とを混合する
ことにより製造することもできる。
【0090】本発明で環状オレフィン系樹脂[A]とし
ては、上記のような[A-1]、[A-2]、[A-3]および
[A-4]のいずれをも使用することができ、またこれら
を組み合わせて使用することもできる。[B]エチレン系重合体 本発明で用いられるエチレン系共重合体[B]は、エチ
レンの単独重合体またはエチレンと少なくとも1成分の
α-オレフィンとからなる共重合体のいずれかである。
【0091】ここでエチレン・α-オレフィン共重合体
を構成するα-オレフィンとしては、炭素原子数3〜2
0のα-オレフィンを挙げることができる。具体的に、
プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メ
チル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペ
ンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、
4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、
4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテ
ン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサ
デセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなど、およびこ
れらの混合物を挙げることができる。これらのうち、炭
素原子数3〜10のα-オレフィンが好ましく、プロピ
レン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1
-ペンテン、1-オクテン、1-デセンなどが好ましい。
【0092】上記のようなエチレン・α-オレフィン共
重合体において、α-オレフィンの含量は、α-オレフィ
ンの種類によっても異なるが、通常20モル%以下、好
ましくは15モル%以下である。
【0093】また、本発明で用いられるエチレン系重合
体の密度は0.92〜0.98g/cm3であり、好まし
くは0.93〜0.98g/cm3、より好ましくは0.9
5〜0.98g/cm3である。
【0094】エチレン系重合体[B]の密度が上記範囲
を逸脱すると製品の透明性が低下する傾向がある。ま
た、X線回折法により測定される結晶化度が通常は30
%以上、好ましくは50%以上のエチレン系重合体が使
用される。
【0095】特に本発明では高密度ポリエチレンが好ま
しい。また、本発明で用いられるエチレン系重合体は、
変性剤でグラフト変性されていてもかまわない。
【0096】変性剤としては、無水マレイン酸などの不
飽和カルボン酸、これらの酸無水物または不飽和カルボ
ン酸のアルキルエステル等の誘導体などを挙げることが
できる。
【0097】このグラフト変性エチレン系重合体の変性
率は、通常10モル%以下である。このような変性エチ
レン系重合体は、所望の変性率になるようにエチレン系
重合体に変性剤を配合してグラフト重合させて製造する
こともできるし、予め高変性率の変性物を調製し、次い
でこの変性物と未変性のエチレン系重合体とを混合して
所望の変性率になるように希釈して製造することもでき
る。環状オレフィン系樹脂組成物 本発明のシート状体は、上述したように[A]環状オレ
フィン系樹脂と[B]エチレン系重合体とからなる環状
オレフィン系樹脂組成物から形成される。
【0098】ここで使用される環状オレフィン系樹脂組
成物は、[A]環状オレフィン系樹脂が99〜50重量
部、好ましくは88〜70重量部。さらに好ましくは9
5〜80重量部と、[B]エチレン系重合体が1〜50
重量部、好ましくは2〜30重量部、さらに好ましくは
5〜20重量部とからなる。
【0099】なお、環状オレフィン系樹脂[A]とエチ
レン系重合体[B]との合計は100重量部である。ま
た、この環状オレフィン系樹脂組成物は、本発明の目的
を損なわない範囲で他の成分、たとえば架橋剤、架橋助
剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ
剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔
料、鉱物油系軟化剤、石油樹脂、ワックスなどを含有し
ていてもよい。
【0100】たとえば任意成分として配合される安定材
としては、テトラキス[メチレン−3-(3,5-ジ-t-ブチル
-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β-
(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン
酸アルキルエステル、2,2'-オギザミドビス[エチル-3-
(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト等のフェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜鉛、ス
テアリン酸カルシウム、1,2-ヒドロキシステアリン酸カ
ルシウムなどの脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレ
ート、グリセリンジステアレート、ペタエリスリトール
モノステアレート、ペタエリスリトールジステアレー
ト、ペタエリスリトールトリステアレートなどの多価ア
ルコール脂肪酸エステルなどを挙げることができる。こ
れらは単独で配合してもよいが、組み合わせて配合して
もよい。これらの添加材を組み合わせて使用する例とし
ては、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]メタンとステアリ
ン酸亜鉛またはステアリン酸カルシウムとの組み合わせ
を挙げることができる。
【0101】また、有機充填材および無機充填材として
は、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マ
グネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ド
ロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バ
リウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、
アスベスト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カ
ルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファ
イト、アルミニウム粉、硫化モリブデンなどを挙げるこ
とができる。
【0102】また、ポリアミド、ポリエステル等の高分
子材料をシート状体の透明性が損なわれない範囲の量で
含有することも可能である。この環状オレフィン系樹脂
組成物は、例えば、環状オレフィン系樹脂[A]とエチ
レン系重合体[B]を単純に混練する方法、環状オレフ
ィン系樹脂[A]およびエチレン系重合体[B]の少な
くともいずれか一方に架橋構造を形成させながら混練す
る方法を採用して製造することができる。
【0103】架橋構造を形成する具体的な方法として
は、有機過酸化物を用いる方法、[A]成分および/ま
たは[B]成分に予めカルボキシル基、酸無水基、水酸
基あるいはエポキシ基等の官能基を導入したものを用い
樹脂組成物を製造した後、カルボキシル基、酸無水基に
対してはアミノ基または水酸基を有する化合物を、水酸
基に対してはカルボキシル基または酸無水基を有する化
合物を、エポキシ基に対してはアミノ基または酸無水基
を有する化合物をそれぞれ反応させることにより架橋す
る方法を挙げることができる。
【0104】ここで使用される有機過酸化物の例として
は、メチルエチルケトンパーオキシドおよびシクロヘキ
サンパーオキシドなどのケトンパーオキシド類;1,1-ビ
ス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサンおよび2,2-ビス
(t-ブチルパーオキシ)オクタン等のパーオキシケター
ル類;t-ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパー
オキシドおよび2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロキ
シパーオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロパ
ーオキシド等のヒドロパーオキシド類;ジ-t-ブチルパ
ーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキ
シ)ヘキサンおよび2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパー
オキシ)ヘキシン-3等のジアルキルパーオキシド類;ラ
ウロイルパーオキシドおよびベンゾイルパーオキシド等
のジアシルパーオキシド類;t-ブチルパーオキシアセテ
ート、t-ブチルパーオキシベンゾエートおよび2,5-ジメ
チル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等のパー
オキシエステル類を挙げることができる。
【0105】これらの有機過酸化物は、樹脂組成物中に
おける樹脂重量100重量部に対して、通常は0.01
〜1重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部の範囲内
の量で使用される。
【0106】上記のような有機過酸化物を用いて架橋構
造を形成するに際しては、2個以上の重合性不飽和化合
物を有する化合物を使用することが好ましい。ここで使
用される2個以上の重合性不飽和化合物を有する化合物
としてはジエン化合物を挙げることができ、このジエン
化合物の例としては、ジビニルベンゼン、アクリル酸ビ
ニル、メタクリル酸ビニル、トリアリルイソシアヌレー
ト、ジアリルフタレート、エチレンジメタクリレートお
よびトリメチロールプロパントリメタクリレートを挙げ
ることができる。これらの中では特に芳香族ジエン化合
物、さらにジビニルベンゼンを使用することが好まし
い。
【0107】この2個以上の重合性不飽和化合物を有す
る化合物、好ましくはジエン化合物は、本発明の樹脂組
成物中における樹脂重量100重量部に対して、通常は
1重量部以下、好ましくは0.1〜0.5重量部の量で使
用される。このようにして組成物中に架橋構造を形成す
ることにより、シート状体の機械的特性が向上する。
【0108】環状オレフィン系樹脂組成物は、従来公知
の方法を適用して調製することができる。具体的には、
環状オレフィン系樹脂[A]、エチレン系重合体
[B]、さらに必要に応じ上記他の成分を、押出機、ニ
ーダー、ロールなどで機械的にブレンドする方法、これ
ら各成分を適当な良溶媒、例えばヘキサン、ヘプタン、
デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の溶媒
に溶解し、またはそれぞれ別々に溶解した後混合し、溶
媒を除去する方法、さらにはこれらの方法を組み合わせ
た方法などを挙げることができる。シート状体の成形 上記のようにして調製された環状オレフィン系樹脂組成
物をTダイ法、インフレーション法などのそれ自体公知
の方法を利用してシート状またはフィルム状に成形する
ことにより、本発明のシート状体(即ちシートあるいは
フィルム)を得ることができる。
【0109】本発明のシートまたはフィルムの厚さは、
その用途を考慮して適宜設定することができるが、通常
は1〜10000μm、好ましくは50〜5000μm
である。
【0110】さらに、本発明のシートあるいはフィルム
は、未延伸の状態であってもよく、このような未延伸シ
ートあるいはフィルムは、たとえばプレス成形法を採用
することにより調製することができる。
【0111】また、本発明のシートあるいはフィルム
は、一軸あるいは二軸延伸されていてもよい。たとえ
ば、一軸延伸あるいは二軸延伸する場合には、シートあ
るいはフィルムをガラス転移温度(Tg)以上の温度に
加熱して延伸する方法が採用される。本発明において、
延伸倍率は、例えば要求される強度等の特性を考慮して
適宜設定することができる。また、延伸方法としては、
ロール延伸法、テンター延伸法、インフレーション法
等、一般的に利用されている延伸方法を採用することが
できる。
【0112】本発明のシートまたはフィルムを製造する
方法についてさらに具体的な例を示して説明すると、前
述のように調製された環状オレフィン系樹脂組成物をT
ダイ成形法またはインフレーション成形法などを利用し
て、肉厚0.05〜5mmのシートまたはフィルムを作成
する。このようにして調製したシートあるいはフィルム
は、そのまま使用することができるが、さらに延伸フィ
ルムあるいは延伸シートを調製する場合には、上記のよ
うに調製したシートまたはフィルムを、このシートある
いはフィルムを形成する樹脂組成物のガラス転移温度
(Tg)よりも0〜60℃高い温度、好ましくは10〜
40℃高い温度に加熱する。次いで、この加熱されたシ
ートあるいはフィルムを縦方向および横方向に逐次、あ
るいは両方向に同時に2〜50倍、好ましくは3〜30
倍に延伸することにより、二軸延伸フィルムあるいはシ
ートを得ることができる。
【0113】このようにして得られた本発明のシート状
体は、良好な透明性を有しているとともに、良好な表面
性をも有している。さらに、本発明のシート状体は、ガ
スバリアー性、特に水蒸気バリアー性に優れている。ま
た、本発明のシートあるいはフィルムは耐伸長性および
引き裂き容易性に優れており、ヒートシール性も良好で
ある。また、本発明のシートあるいはフィルムは、それ
自体のヒートシール性はもちろん、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリブテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン等
のポリオレフィンとのヒートシール性も優れている。
【0114】このように本発明のシートあるいはフィル
ムは、優れた特性を有しており、包装材料、特に医薬
品、食品の包装に適している。
【0115】
【発明の効果】本発明のシート状体は、上述のように環
状オレフィン系樹脂組成物で形成されるので、ガスバリ
アー性、特に水蒸気バリアー性に優れ、PTP包装、S
P包装、医薬品包装や食品などの包装材料とした場合に
は、内容物の変質を防ぐ効果が高く、内容物の長期にわ
たる保存が可能となる。
【0116】また、本発明のシート状体は、容易に引き
裂くことができ、このような特性を有するため、例え
ば、包装材料に使用したときの開封やテープに使用した
ときの手切れなどが容易になる。また、透明性にも優れ
る。
【0117】従って、本発明のシート状体は医療品、食
品等の包装材料として有用性が高い。
【0118】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0119】なお、本発明における各種物性の測定方法
および評価方法は次の通りである。 [評価方法] (1)軟化温度(TMA) デュポン社製 Thermal Mechanical Analyzer を用い
て、厚さ1mmのシートの熱変形挙動により測定した。シ
ート上に石英製針を乗せ、荷重49gをかけ、5℃/分
の速度で昇温し、針がシートに0.635mm侵入した温
度をTMAとした。
【0120】(2)ガラス転移温度 SEIKO電子工業(株)製DSC−20を用いて昇温速
度10℃/分で測定した。
【0121】(3)引張試験 実施例で得られた成型品からASTMタイプIVダンベル
型の試験片を打ち抜き、試験温度23℃でASTM-D
638の方法で測定した。
【0122】(4)フィルムインパクト 成形品より100×100mmの試験片を打ち抜き、東洋精機
(株)製フィルムインパクトテスターを用いて23℃で測
定した。衝撃頭:直径1/2インチ。
【0123】(5)引裂強度 JIS-Z-1702に準じ、エルメンドルフ引裂法によ
り測定した。測定温度は23℃である。
【0124】(6)ヘイズ ASTM-D1003に準じて測定した。 (7)光線透過率 ASTM-D1003に準じて測定した。
【0125】(8)ガス透過性 透湿係数:モコン社製 PERMATRAN-W600 型透湿度測定装
置を用いて測定した。 酸素透過率:MODERN CONTROL 社製 OX-TRAN 100型酸素
ガス透過測定装置を用いて測定した。
【0126】炭酸ガス透過率;モコン社製 PERMATRAN C
-IV型炭酸ガス透過試験器を用いて測定した。
【0127】
【実施例1】[A]成分としてエチレン含量が78モル
%、260℃、2160gの条件で測定したMFRが3
9g/10分、135℃デカリン中で測定した極限粘度
[η]が0.60dl/g、サーマルメカニカルアナライザ
ーで測定した軟化点温度(以下TMAと略記する)が9
0℃(Tg、80℃)のエチレンとテトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]ドデセン-3(以下TCD−3と略記す
る)とのランダム共重合体80重量部と、[B]成分と
して密度0.968g/cm3、190℃、2160gの条件
で測定したMFRが5.5g/10分のポリエチレンホモ
ポリマー20重量部とを混合し、30mmφの単軸押出機
を用いてTダイ成形法により肉厚100μmのシートを
製造した。
【0128】得られたシートから試験片を作成し、その
物性を測定した。結果を表1に示す。
【0129】
【実施例2】実施例1で用いた[B]成分のポリエチレ
ンの代わりに、密度0.930g/cm3、190℃、216
0gの条件で測定したMFRが1.3g/10分の4-メチ
ルペンテン-1をコモノマーとする線状低密度ポリエチレ
ンを使用した以外は全て実施例1と同様に操作して押出
シートを製造した。
【0130】得られたシートから試験片を作成し、その
物性を測定した。結果を表1に示す。
【0131】
【比較例1】実施例1で用いたのと同じ環状オレフィン
系樹脂([A]成分)の押出シートを製造した。
【0132】得られたシートから試験片を作成し、その
物性を測定した。結果を表1に示す。
【0133】
【比較例2】実施例1で用いた[B]成分のポリエチレ
ンの代わりに、密度0.910g/cm3、190℃、216
0gの条件で測定したMFRが1.0g/10分で4-メチ
ルペンテン-1をコモノマーとする線状低密度ポリエチレ
ンを使用した以外は全て実施例1と同様の操作して押出
シートを得た。
【0134】得られたシートから試験片を作成し、その
物性を測定した。結果を表1に示す。
【0135】
【比較例3】実施例1で用いた[A]成分の代わりに、
エチレン含量が66モル%、260℃、2160gの条
件で測定したMFRが8.5g/10分、135℃デカ
リン中で測定した極限粘度[η]が0.61dl/g、TM
Aが150℃のエチレン・TCD−3ランダム共重合体
を用いた以外は全て実施例1と同様の操作して押出シー
トを得た。
【0136】得られたシートから試験片を作成し、その
物性を測定した。結果を表1に示す。
【0137】
【表1】

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】[A] サーマルメカニカルアナライザー
    で測定した軟化点温度が50〜100℃であり、ガラス
    転移点(Tg)が40〜90℃である下記[A-1]、[A
    -2]、[A-3]および[A-4]からなる群から選ばれる少
    なくとも1種の環状オレフィン系樹脂;95〜50重量
    部と、 [B] 23℃における密度が0.92〜0.98g/
    cm3のエチレン系重合体5〜50重量部とからなる環
    状オレフィン系樹脂組成物よりなることを特徴とするシ
    ート状体; [A-1] エチレンと下記式[I]または[II]で表され
    る環状オレフィンとを共重合させて得られるエチレン・
    環状オレフィンランダム共重合体; 【化1】 [ただし、上記式[I]において、nは0または1であ
    り、mは0または正の整数であり、qは0または1であ
    り、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立
    に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる
    群から選ばれる原子または基を表し、この炭化水素基は
    ハロゲンで置換されていてもよく、R15〜R18は、互い
    に結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ
    該単環または多環が二重結合を有していてもよく、また
    15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基
    を形成していてもよい。]; 【化2】 [ただし上記式[II]において、pおよびqは0または
    正の整数であり、mおよびnは0、1または2であり、
    1〜R19はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原
    子、炭化水素基およびアルコキシ基よりなる群から選ば
    れる原子または基を表し、この炭化水素基はハロゲンで
    置換されていてもよく、R9またはR10が結合している
    炭素原子と、R13が結合している炭素原子またはR11
    結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜3の
    アルキレン基を介して結合していてもよく、またn=m
    =0のときR15とR12またはR15とR19とは互いに結合
    して単環または多環の芳香族環を形成していてもよ
    い。]; [A-2] 上記式[I]または[II]で表される環状オレ
    フィンの開環重合体または共重合体、 [A-3] 上記[A-2]開環重合体または共重合体の水素
    化物、 および [A-4] 上記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフ
    ト変性物。
  2. 【請求項2】 エチレン系重合体[B]が高密度ポリエ
    チレンであることを特徴とする請求項第1項記載のシー
    ト状体。
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