JP3453319B2 - 延伸仮撚の管理システム及びそのための装置 - Google Patents

延伸仮撚の管理システム及びそのための装置

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JP3453319B2
JP3453319B2 JP02169599A JP2169599A JP3453319B2 JP 3453319 B2 JP3453319 B2 JP 3453319B2 JP 02169599 A JP02169599 A JP 02169599A JP 2169599 A JP2169599 A JP 2169599A JP 3453319 B2 JP3453319 B2 JP 3453319B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、延伸仮撚機の解撚
張力を測定し、測定した解撚張力情報をもとに延伸仮撚
機自体の異常と延伸仮撚された加工糸の品質を管理する
システムと、そのための装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹
脂からなる合成繊維を延伸仮撚するための延伸仮撚機
は、供給される未完全延伸糸条(以下、単に「供給糸
条」という)を、加熱ヒータ内を通過させ、仮撚ユニッ
トによって撚りを加えながら延伸することによって、仮
撚加工糸を生産する目的で多用されている。その際、前
記の加撚ユニットは、回転する摩擦体に対して糸条に一
定の角度をもたせて接触走行させることによって加撚す
るために設けられるが、この加撚ユニットの加撚方式と
しては、スピンドル加撚方式、ベルト加撚方式、あるい
はフリクションディスク加撚方式等が知られている。こ
れらいずれの加撚方式にせよ、加撚ユニットによって仮
撚が掛けられた供給糸条は、掛けられた仮撚を加熱手段
によって熱セットし、その後、解撚することで仮撚形状
が付与され、仮撚加工糸として加工される。
【0003】ところで、このような延伸仮撚工程におい
ては、例えば断糸や毛羽等の供給糸条欠陥が、解撚張力
の変化として現れる。このために、特開平7−1388
28号公報に記載の技術のように、解撚張力を時系列的
にモニタリングすることによって、延伸仮撚機での品質
管理を行なうことが常套手段として行われている。
【0004】また、最近では特開平6−264318号
公報に記載の技術のように、解撚張力を張力センサで検
出して測定し、その結果によって巻取られた延伸仮撚糸
条パッケージの品質の格付けを行なうことが行われてい
る。更には、これに加えて張力制御手段を付設して、解
撚張力が目標管理範囲内に入るように、仮撚ユニットで
の糸送り力と加撚力とを調整するようなことも行われる
ようになってきた。
【0005】しかしながら、本発明者がこの解撚張力に
ついて鋭意検討してきた結果、供給糸条の糸物性によっ
て解撚張力レベルは±5g程度変化することがあるのを
確認している。もし、このような大きな張力変動が生じ
た場合においては、延伸仮撚工程以外の工程において、
供給糸条が通常の条件とは異なる何らかの異常な処理を
受けている可能性が高い。
【0006】それにもかかわらず、前記の特開平6−2
64318号公報で示されるような張力制御手段によっ
て一律に解撚張力レベルを管理範囲内に抑えこむこと
は、延伸仮撚工程に供する供給糸条が何らかの異常な条
件下で製糸された場合が有るにもかかわらず、異常な製
造履歴を見落とすことになる。しかも、最悪の場合、こ
のような異常な供給糸条をそのまま仮撚加工して、加工
糸パッケージとして市場へ供給してしまう結果ともな
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上に述べたような背
景から、本発明者は、仮撚工程における解撚張力の変動
の要因について鋭意解析を行なった結果、その変動は供
給原糸のデニール斑、配向斑などの糸物性と大きな関係
があることを究明した。そして、従来のような単に解撚
張力の値そのものを経時的にオンラインでモニタリング
する実時間領域での解撚張力モニタシステムでは、下記
のような大きな問題を有することも究明した。
【0008】すなわち、単に解撚張力を経時的に測定
し、その張力レベル値を一定の範囲以内に管理するか、
あるいは変動する張力の周期とその振幅の大きさを管理
して工程の安定性を判断しているだけでは、供給原糸が
どのような異常な処理をどのような工程において受けた
のかを判断するには全く無力であることを究明したので
ある。
【0009】このため、延伸仮撚工程中において、解撚
張力の変動がおこっても、その要因が延伸仮撚工程に供
される糸条が製糸されるどの段階で不具合が発生してい
たのか、或いは延伸仮撚機自体にどのような異常がどの
ような箇所で起こっているのかを判定することは非常に
難しく、事実、解撚張力によってこれらの要因を探る試
みは今まで全く為されていない。
【0010】したがって、延伸仮撚工程で延伸仮撚機自
体が異常となったり、異常な加工糸が発生したとして
も、その原因調査のために多大な労力と時間を費やすこ
ととなる。そればかりか、原因を究明した後の製糸側の
対応は数週間と遅れることになったり、或いは仮撚機自
体に異常が起こっているにもかかわらず、延伸仮撚機の
異常に気付かずに、異常な状態のまま延伸仮撚加工を更
に続けてしまうことともなる。
【0011】更には、モニタする解撚張力変動の値に
は、延伸仮撚機の機械振動によるノイズ等供給糸条の糸
物性とは全く無関係の変動も存在しており、この影響に
よって獲得したい情報を誤認識する危険性もある。
【0012】本発明の目的は、以上に述べたような現状
に鑑みなされたもので、「延伸仮撚機の解撚張力という
情報を基に、延伸仮撚機を構成する各要素の異常発生箇
所を即座に、かつ正確に把握し、延伸仮撚工程の安定化
を行なえる延伸仮撚機の管理システムと、そのための装
置とを提供する」ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】ここに、本発明の「延伸
仮撚の管理システム」として、 (請求項1) 仮撚りが施された糸条の解撚張力をオン
ラインで測定し、測定した解撚張力信号を高速フーリエ
変換し、該解撚張力信号の変化を周波数領域で監視する
ことによって、延伸仮撚機自体の異常と延伸仮撚された
加工糸の品質とを管理することを特徴とする延伸仮撚の
管理システム、 (請求項2) 請求項1記載の延伸仮撚の管理システム
において、高速フーリエ変換された解撚張力信号のパタ
ーンと、予め設定された基準パターンとを比較照合する
ことによって、延伸仮撚機自体の異常と延伸仮撚された
加工糸の品質とを管理することを特徴とする延伸仮撚の
管理システム、 (請求項3) 請求項2記載の延伸仮撚の管理システム
において、高速フーリエ変換された前記解撚張力信号の
パターンが一個所又は複数箇所の特定の特定周波数帯域
を指定して求めた各周波数帯域での張力変動寄与度の積
分値及び/又はピーク値であり、該積分値及び/又はピ
ーク値に対して閾値を基準パターンとしてそれぞれ設定
し、求められた積分値及び/又はピーク値が各閾値を越
えた場合に異常であると判定することを特徴とする延伸
仮撚の管理システム、 (請求項4) 請求項1〜3の何れか一項に記載の延伸
仮撚の管理システムにおいて、高速フーリエ変換された
解撚張力信号の特定周波数帯域を一個所又は複数箇所で
監視して、延伸仮撚機における異常発生場所及び/又は
異常内容を判定するための異常判定手段を設けたことを
特徴とする延伸仮撚の管理システム、及び (請求項5) 請求項1〜4の何れか一項に記載の延伸
仮撚の管理システムにおいて、高速フーリエ変換された
解撚張力信号の特定周波数帯域を一個所又は複数箇所で
監視して、延伸仮撚機へ供する糸条の製糸時における不
具合発生場所及び/又は異常内容を判定するための異常
判定手段を設けたことを特徴とする延伸仮撚の管理シス
テムが提供される。
【0014】また、本発明の「延伸仮撚機の管理装置」
として、下記のA〜Dの要素を同時に含む「延伸仮撚の
管理装置」が提供される。
【0015】A.延伸仮撚機で仮撚加工される糸条の解
撚張力をオンラインで測定するための張力検出器、 B.張力検出器で検出された解撚張力信号を離散化する
ための離散化手段、 C.該離散化された解撚張力信号の高速フーリエ変換手
段、 D.高速フーリエ変換された解撚張力信号パターンと予
め設定された基準パターンとを比較し、比較されたデー
タによって、仮撚延伸機自体及び/又は延伸仮撚に供さ
れる供給原糸の異常を判定する異常判定手段。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の延伸仮撚
の管理システムとそのための装置を適用する延伸仮撚工
程を模式的に表わした概略説明図である。また、図2は
本発明の延伸仮撚機の異常診断方法(管理システム)を
例示したブロック図である。そして、図3〜図5は延伸
仮撚機の解撚張力を測定し、測定した張力を高速フーリ
エ変換した後の周波数グラフを示す。
【0017】ここで、前記の図1において、1は供給糸
条パッケージであって、供給ローラ2よって糸条Yが供
給糸条パッケージ1から引き出され、延伸仮撚機本体へ
と供給される。このようにして、供給された糸条Yは、
送りローラ3の上流側に配設された仮撚ユニット4によ
って加撚され、撚り止めガイド5まで仮撚が遡及する。
そして、該撚り止めガイド5まで遡及した仮撚は、加熱
装置6によって熱セットされ、仮撚形状が賦型される。
なお、冷却装置8a及び8bは加熱された糸条Yの冷却
を行なう。この際、第二加熱装置7は加工糸の物性を調
整するために必要に応じて適用される。そして、最終的
に仮撚形状が賦型された糸条Yは、送りローラ9及び1
0によって巻取機11に送られ、延伸仮撚加工された糸
条パッケージ12として巻取られる。
【0018】以上の様に構成された延伸仮撚工程におい
て、本発明の「延伸仮撚の管理システムとそのための装
置」では、延伸仮撚加工される糸条の解撚張力をオンラ
インで測定して、測定した解撚張力から各種の情報を引
き出し、その内容を解析して、問題点(異常)を特定す
ることに一大特徴を有している。
【0019】すなわち、延伸仮撚加工時においては、張
力検出器13によって検出される解撚張力には、供給さ
れる糸条の物性と大きな相関関係を有する延伸による張
力、加熱による熱収縮力、ガイドでの摩擦力等、或いは
延伸仮撚機自体の不具合で生じた張力変動などの様々な
要因が重畳された複合力である解撚張力を検出している
ことになる。したがって、これらの様々な要因が重畳さ
れた複合力である解撚張力を解析することによって、そ
れぞれの要因を分離することができるならば、解析した
情報から分離した各要因に関して異常があったのかどう
かを見極めることができるのである。本発明は、正にこ
れを高速フーリエ変換という手段によって具現化したこ
とを一大特徴とするものである。
【0020】したがって、本発明では、先ず各種の要因
がその中に重畳された解撚張力をオンラインで正確に測
定する必要がある。この目的を達成するために、解撚張
力を連続的に検知するための、図1に符号13で示した
張力検出器(センサ)を仮撚ユニット4の下流側に設け
る。なお、この張力検出器13としては、例えば、加工
中の糸条の解撚張力を反力として検出するためのセラミ
ック製の張力ピックアップガイド等により、解撚張力を
検出し、検出した反力を電気信号へと変換する物が一般
に使用されている。なお、その検出回路には一般に付加
された力に応じた電圧などの電気信号を発生するホール
素子、あるいは付加された力によって生じた変位を電圧
などの電気信号に変換する接触式又は非接触式ポテンシ
ョメータなどの公知の張力検出器を利用することができ
る。この場合、加工中の糸条の物性或いは作業性に悪影
響を及ぼさないようにするために、張力ピックアップガ
イドの材質、形状、設置位置等を考慮すべきことは当然
のことである。
【0021】以上に述べたようにして、検出された解撚
張力を高速フーリエ変換して、その情報を種々に加工す
ることで延伸仮撚機自体の異常や供給糸条の異常を監視
して管理するのであるが、これに関しては、図2を参照
しながら、以下に更に詳細に説明する。
【0022】該図2において、仮撚ユニット4の下流に
配設された張力検出器13によってオンラインで時系列
的に検出された解撚張力信号(アナログ信号)は、電気
信号に変換されて管理装置14内に取り込まれ、アンプ
15によって該信号を増幅した後、帯域フィルタ16に
よって不要な高周波成分や低周波成分を除去する前処理
が施される。
【0023】そして、このような前処理が施された解撚
張力信号(アナログ信号)は、その後、A/Dコンバー
タ(アナログ/デジタル変換器)17によって所定のサ
ンプリング間隔で、アナログ信号を離散化及び量子化す
ることでデジタル信号に変換される。そして、高速フー
リエ変換手段18によって時間領域データから周波数領
域データへと変換され、これによって、周波数領域での
解撚張力信号パターンを得る。このようにして、得られ
た解撚張力信号パターンは、比較手段19により基準パ
ターンと比較され、その結果は、ディスプレイ20に出
力されたり、上位コンピュータ(図示せず)等の異常判
定手段に入力されて、異常の有無を判断される。なお、
上位コンピュータ(図示せず)には、解析したデータを
記憶蓄積させておいて、更なる情報解析のための基礎デ
ータとして利用される。
【0024】本発明においては、前述の様に、様々な要
因が重畳された複合力である解撚張力を解析することに
よって、重畳された各要因を再び分離して取り出し、そ
の異常を正確に特定することが肝要である。このため
に、その前処理として不要なノイズを取り除くことが必
要であるが、これは張力検出器13によって検出された
解撚張力信号を、電気信号に変換して管理装置14に取
り込み、アンプ15で増幅した後、帯域フィルタ16に
よって不要なノイズ成分を除去することで行われる。な
お、この時、高速フーリエ変換処理で発生するエイリア
シングを除去するために、アンチエイリアシングフィル
タを積極的に導入してもよい。
【0025】次に、前述のような前処理を施された解撚
張力信号は、A/Dコンバータ17で、離散化(標本
化)され、さらに量子化されるが、この離散化は高速フ
ーリエ変換手段18で設定されたサンプリング周波数で
実施される。当然のことながら、このサンプリング周波
数は公知のサンプリング定数に則って、測定周波数レン
ジの2倍以上の周波数に設定されており、しかも、解撚
張力に重畳された各種の情報を分離して抽出可能な周波
数である必要がある。
【0026】このようにして、離散化、さらに量子化さ
れた解撚張力信号からなるデータを基に高速フーリエ変
換手段18によって高速フーリエ変換を行ない、解撚張
力信号を時間領域から周波数領域へと変換する。そし
て、このようにして周波数領域へ変換した解撚張力信号
は、延伸仮撚機を構成する各要素部での異常の発生箇
所、あるいは供給糸条パッケージ1から供給される糸条
Yの製糸時の異常原因と発生箇所を診断するための解析
データとして最終的に使用されるのである。
【0027】以上に述べた解撚張力データの解析処理で
は、先ず、高速フーリエ変換した解撚張力信号の各周波
数に対する張力変動寄与度のパターンを求める。なお、
このようなパターンとしては、例えば、該特定周波数帯
域に渡って張力変動寄与度を積分して求めた積分値(面
積値)、或いは特定周波数帯域内での張力変動寄与度の
ピーク値などを挙げることができる。
【0028】また、これらの他に、ある一つの異常な現
象が生じた場合に、二つ以上の要因が互いに密接に関係
している場合には、一個所の特定周波数帯域だけを監視
していただけでは、異常を判断できない場合がある。こ
のような場合には、複数の特定周波数帯域を同時に監視
する必要がある。この場合、各周波数に対する張力変動
寄与度の小さな変動を無視して、大きな変動の波形パタ
ーンだけを取り出し、この大きな変動パターンを代表パ
ターンとして、比較することもできる。すなわち、各周
波数に対する張力変動寄与度の大きさの形状パターンを
各種用意しておき、これらの形状パターンを比較するこ
ともできる。このようなパターンは、上位コンピュータ
に予め入力されているプログラムにしたがって、演算処
理され、その結果が予めインプットされた基準パターン
と比較されることにより行われる。
【0029】ただし、積分値(面積値)やピーク値など
の閾値を比較パターンとして用いる場合には、上位コン
ピュータを使用しなくても、単に一つの値を比較するだ
けであるため、容易かつ迅速にデータ処理できる上に、
予想される「異常」に対して、万能ではないが、その多
くを的確に判定することができる。この場合、求めた積
分値(面積値)とピーク値に対して、予め設定してある
積分値(面積値)とピーク値の閾値とを比較し、求めた
積分値(面積値)とピーク値とが設定した各閾値を越え
ている場合に、延伸仮撚システムが「異常」であると判
断する。このように、本発明においては、解撚張力信号
の各周波数に対する張力変動寄与度のパターンとして、
積分値(面積値)やピーク値などの閾値を好ましく使用
することができる。そして、本発明の「延伸仮撚の管理
システムとそのための管理装置」によって、従来の技術
では不可能であった延伸仮撚機自体の異常や供給糸条の
異常を初めて監視でき、延伸仮撚システムを正常に管理
維持することができるのである。
【0030】なお、監視する前記の「特定の周波数帯
域」は、延伸仮撚機の加工速度、綾振り速度、あるいは
糸導のガイド設置位置等の設定条件によって一意に決ま
る。したがって、解析したい要因に対応する特定の周波
数帯域を予め任意に設定することで、監視したい要因に
対する異常を判断できる。また、積分値やピーク値の閾
値などのパターンも同様に任意に設定可能であることは
言うまでもない。
【0031】ここで、これらの解析に使用するデータ
は、複雑なパターンを比較判定する場合においては、延
伸仮撚機を構成する各要素の異常発生場所の異常判定手
段としての上位コンピュータにインプットし、該コンピ
ュータによるデータ解析処理によって遂行する。つま
り、複数の特定周波数帯からなる異常データと判断すべ
き積分値やピーク値などの各種パターンデータに対し
て、それぞれ基準となるパターンをコンピュータに予め
インプットしておき、これらの基準パターンと照合し
て、異常を判断することができる。ただし、ある特定の
閾値(パターン)を越えたかどうかを判断するような簡
単な場合には、上位コンピュータでパターンの抽出や比
較をするための複雑な演算をしなくても、電気的に簡単
な比較回路を異常判定手段として構成し、これによって
異常を判断させることもできる。なお、解析に使用する
特定の周波数帯域データとしては、各種の周期的な変動
を伴う現象であれば、延伸仮撚機自体及び/又は供給糸
の異常解析用データとして採用することができる。
【0032】以上に述べた本発明の管理システムとその
ための装置によって、前記の特定周波数帯を監視するこ
とで延伸仮撚機の異常がどの箇所で発生しているかその
要因や発生箇所などを早期に発見することが可能となる
訳である。つまり、本発明者が解撚張力について鋭意検
討した結果、供給糸条の糸物性によって解撚張力レベル
は±5g程度変化することもあるが、このような解撚張
力の変動に含まれる情報中の特定周波数帯を監視するこ
とで、延伸仮撚工程における異常を診断することが可能
となったのである。
【0033】以下、本発明の管理システムを適用した具
体例について、図3〜図5を参照しながら詳細に説明す
る。なお、図3において、グラフ(1)は、延伸仮撚工
程に供給される糸条の製糸工程において、異常事態が生
じたもの、グラフ(2)は、正常な処理条件で製造され
たものをそれぞれ示す。
【0034】まず図3では、延伸仮撚工程に供給される
糸条Yの冷却不良によるU%異常(糸条の長手方向での
繊度斑の異常)に注目した場合の高速フーリエ変換処理
の例を示す。この場合、延伸仮撚機の加工速度は100
0m/分、延伸倍率は1.795倍、供給糸条Yは30
00m/分で紡糸された部分配向糸条(POY)であ
り、冷却不良の(1)の場合のU%は0.83であり、
適正に冷却された場合の(2)のU%は0.47であっ
た。この延伸仮撚工程に供給される糸条Yの紡糸工程に
おける冷却不良を監視するための特定周波数帯として、
図示した0.1Hz(f0)〜0.3Hz(f1)の周
波数領域の範囲を設定してある。そして、この設定した
f0〜f1までの周波数帯域の積分値(面積値)あるい
はピーク値に対して、その閾値を予め設定しておく。こ
こでは、この積分値(面積値)に対する閾値を0.6に
設定している。このようにして、設定した閾値(0.
6)と求めた積分値(0.83)とを比較し、求めた積
分値が閾値を越えた場合に、延伸仮撚工程へ供給された
糸条が紡糸工程においてU%の異常を惹起しているとを
判断できるのである。
【0035】つまり、図3の(1)に示した結果(U%
の積分値が0.83)が得られれば、供給糸条の紡糸工
程における冷却条件に不備がある(NG)と判定し、そ
の結果を上位コンピュータ(図示せず)に入力したり、
ディスプレイ20から出力することになる。しかしなが
ら、図3の(2)に示した結果(U%の積分値が0.4
7)であれれば、設定した閾値(0.6)よりも小さい
ため、供給糸条Yは正常な冷却条件で紡糸されたもの
(OK)とみなすことができるのである。
【0036】なお、供給糸条Yの異常判定に使用する特
定の周波数帯域において、前記のU%以外では、例えば
スロート圧変動周波数、供給糸条パッケージ1の巻取幅
周期等を異常判定する要因として挙げることができる。
そして、これらの各要因に対応する「特定の周波数帯
域」は、過去に生じた異常糸の履歴を調査し、これを特
定することによって、各要因毎に確定しておき、問題の
パターンが発生した時に随時オンラインで比較検討す
る。このとき、予め異常値と判断するための基準パター
ン(例えば、積分値やピーク値の閾値)を求めておい
て、その結果を上位コンピュータなどに予めインプット
しておく。そして、解析したデータから各種のパターン
を比較処理することで、異常条件あるいは異常処理を受
けた箇所(異常工程)を見つけ出す。
【0037】このようにして、その供給糸条Yの履歴と
突き合わせることで、延伸仮撚工程よりも前の製糸工
程、例えば紡糸工程における異常な処理と判定するため
のフィードバック情報として、処理条件の適正化への有
効な情報となる。そして、ひとたび問題が発生しても、
それがどのような異常であるかを即座に判定できること
となり、発生した異常を迅速に特定することができ、し
かも、その対処方法も予め設定しておくことができる。
このため、従来の様に、問題が発生してから初めて、そ
の問題を解析し、これに対応するということがなくな
る。
【0038】次に、「延伸仮撚機自体に発生した問題」
を解析し、その問題に迅速に対応するための管理システ
ムの例について、図4及び図5を使用して以下に説明す
る。
【0039】該図4及び図5は、延伸仮撚機の糸条供給
ローラ2などに設けられるニップローラの摩耗に注目し
た場合の高速フーリエ変換処理の例を示したグラフであ
る。該図において、図4はニップローラが未だ摩耗して
いない新品を使用した場合、図5はニップローラの摩耗
品(摩耗量40〜60μm)を使用した場合をそれぞれ
表している。この場合、延伸仮撚機の加工速度は100
0m/分、ニップローラの摩耗量を低減するために、ニッ
プローラによる糸条の把持位置を変更するための、糸条
のトラバース周期は25秒である。このニップローラ摩
耗を監視するための特定周波数帯域f0〜f1は、トラ
バース周期が25秒であることから、0.04Hzを中
心とした0.038〜0.042Hzといった範囲に設
定する。
【0040】そして、このf0〜f1までの特定周波数
帯域における各周波数に対する張力変動の寄与度を積分
した積分値(面積値)、或いは該帯域内での張力変動寄
与度のピーク値を、基準パターンと比較するためのパタ
ーンとして求める。次いで、求めたパターンを予め設定
してある基準パターン(例えば、積分値やピーク値の閾
値)と比較する。このようにすることにより、仮に図5
のような閾値を越えるようなピーク値が求まったとすれ
ば、これによって、延伸仮撚機のニップローラの摩耗量
が増大したと判定し、その結果を上位コンピュータ(図
示せず)に入力したり、ディスプレイ20から出力する
ことになる。このような延伸仮撚機の機械要素(例えば
巻取機の綾振り、糸導ガイド間の距離等)の設定条件で
決定される特定周波数帯域を監視し、随時オンラインで
比較判定することによって延伸仮撚機の工程管理のフィ
ードバック情報となり、問題が発生した場合には即座に
対応できることとなる。
【0041】ちなみに、本発明は高速フーリエ変換を利
用するという性質上、イベント張力(瞬間的な張力の増
大)、断糸検出という点には適していないため、従来の
解撚張力システムとの併用が好ましい。なお、このよう
な従来システムとの併用に際しては、本発明のシステム
は本質的に解撚張力をオンラインで連続的に測定してい
るため、従来システムとの併用が極めて容易であること
は明らかであって、このような従来のシステムに関して
は、従来の技術の欄で述べたような技術を好適に使用で
きることは言うまでもない。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、延伸仮撚機の解撚張力
信号を高速フーリエ変換処理することで、周波数領域で
解撚張力を監視することによって、オンラインで延伸仮
撚機自体及び/又は供給糸の異常発生場所やその内容を
的確に把握することが可能となる。このため、異常原因
の探索に費やす労力を大幅に低減することができる。し
たがって、延伸仮撚に供される糸条の製糸段階での問題
を発見することができ、製糸工程の改善をすることがで
きる。また、延伸仮撚機の設備トラブルが多発する前に
設備改善や行うことができる。更には、延伸仮撚工程の
安定化及び/又は加工糸の品質の維持管理が容易かつ迅
速にできるという顕著な効果を奏す。
【0043】また、本発明は、工程異常や供給糸異常に
対して、予め予見できた異常を監視して管理する場合に
適用できるばかりではなく、これまで予見することがで
きなかったり、偶発的に検出された異常に対しても対処
できるという利点も有している。すなわち、高速フーリ
エ変換処理により、周波数領域に変換された解撚張力信
号から得られたパターンに、従来見られなかった未知の
異常パターンが現れた場合に、その異常パターンの発生
箇所と原因とを追求して、これを特定することによっ
て、今後同様の現象が生じた場合に、迅速かつ正確に対
処できるという、未知の異常現象に対する備えも有して
いるのである。
【0044】何故ならば、周波数領域で解撚張力を監視
するという本発明の管理システムとそのための装置の性
格上、未知の異常が生じた場合、それが生じた「特定の
周波数帯域」を即座に知見することができる。したがっ
て、この「特定の周波数帯域」情報を基にして、「特定
の周波数帯域」を有する周期的な工程や現象を探すこと
によって、逆に未知の異常が何処で生じているのかを容
易に追求できるのである。しかも、上位コンピュータに
は、これらの情報が、常時、記憶蓄積されているため、
これらの蓄積情報を読み出して再現することができ、こ
れによって、精度の高い延伸仮撚の監視と管理が可能と
なる。
【0045】また、本発明の管理システムとその装置
は、高速フーリエ変換をすることで、周波数領域でデー
タを取り扱うため、既に把握している供給糸条の物性変
化による通常の許容可能な変動、機械振動、電源ノイズ
等を除去することが容易であり、処理データの信頼性も
飛躍的に向上するという効果も奏す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される延伸仮撚機の概略工程図で
ある。
【図2】本発明の管理装置の構成を例示したブロック図
である。
【図3】高速フーリエ変換して得られたパターンから、
供給糸条の異常を判断するための実施形態を例示したグ
ラフである。
【図4】高速フーリエ変換して得られたパターンから、
延伸仮撚機自体の異常を判断するための実施形態を例示
したグラフであって、正常な場合を示したグラフであ
る。
【図5】延伸仮撚機自体の異常を判断するための高速フ
ーリエ変換パターンを例示したグラフであって、「異常
あり」と判断される場合を示したグラフである。
【符号の説明】
1 供給糸条パッケージ 2 供給ローラ 4 仮撚ユニット 5 撚り止めガイド 6 加熱装置 13 解撚張力センサ 14 管理装置 18 高速フーリエ変換部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−133534(JP,A) 特開 平10−280226(JP,A) 特開 昭51−119821(JP,A) 特開 平7−133535(JP,A) 特開 平7−138829(JP,A) 特開 平7−138830(JP,A) 特開2000−8231(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 1/00 - 1/02 D02J 1/22

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仮撚りが施された糸条の解撚張力をオン
    ラインで測定し、測定した解撚張力信号を高速フーリエ
    変換し、該解撚張力信号の変化を周波数領域で監視する
    ことによって、延伸仮撚機自体の異常と延伸仮撚された
    加工糸の品質とを管理することを特徴とする延伸仮撚の
    管理システム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の延伸仮撚の管理システム
    において、高速フーリエ変換された解撚張力信号のパタ
    ーンと、予め設定された基準パターンとを比較照合する
    ことによって、延伸仮撚機自体の異常と延伸仮撚された
    加工糸の品質とを管理することを特徴とする延伸仮撚の
    管理システム。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の延伸仮撚の管理システム
    において、高速フーリエ変換された前記解撚張力信号の
    パターンが一個所又は複数箇所の特定の特定周波数帯域
    を指定して求めた各周波数帯域での張力変動寄与度の積
    分値及び/又はピーク値であり、該積分値及び/又はピ
    ーク値に対して閾値を基準パターンとしてそれぞれ設定
    し、求められた積分値及び/又はピーク値が各閾値を越
    えた場合に異常であると判定することを特徴とする延伸
    仮撚の管理システム。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れか一項に記載の延伸
    仮撚の管理システムにおいて、高速フーリエ変換された
    解撚張力信号の特定周波数帯域を一個所又は複数箇所で
    監視して、延伸仮撚機における異常発生場所及び/又は
    異常内容を判定するための異常判定手段を設けたことを
    特徴とする延伸仮撚機の管理システム。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れか一項に記載の延伸
    仮撚の管理システムにおいて、高速フーリエ変換された
    解撚張力信号の特定周波数帯域を一個所又は複数箇所で
    監視して、延伸仮撚機へ供する糸条の製糸時における不
    具合発生場所及び/又は異常内容を判定するための異常
    判定手段を設けたことを特徴とする延伸仮撚の管理シス
    テム。
  6. 【請求項6】 下記のA〜Dの要素を同時に含む延伸仮
    撚の管理装置。 A.延伸仮撚機で仮撚加工される糸条の解撚張力をオン
    ラインで測定するための張力検出器、 B.張力検出器で検出された解撚張力信号を離散化する
    ための離散化手段、 C.該離散化された解撚張力信号の高速フーリエ変換手
    段、 D.高速フーリエ変換された解撚張力信号パターンと予
    め設定された基準パターンとを比較し、仮撚延伸機自体
    及び/又は延伸仮撚に供される供給原糸の異常を判定す
    る異常判定手段。
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