JP3450905B2 - ポリビニルアルコール系繊維の製造法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系繊維の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は,産業資材用,特にベル
ト用に適した高強力,高耐熱水性ポリビニルアルコール
(以下,PVAと略記する。)系繊維の製造法に関する
ものである。 【0002】 【従来の技術】PVA系繊維は,ナイロン繊維やポリエ
ステル繊維等の汎用繊維素材に比べ,強度,弾性率が高
く,熱に対する寸法安定性もよく,また接着性も良好で
あり,産業資材用繊維として極めて優れた特性を有して
いる。また,最近は,その強度,弾性率をさらに高めよ
うとする試みが種々なされており,その結果,いわゆる
ゲル紡糸法によるポリエチレン繊維には及ばないもの
の,高強度・高弾性率繊維の代表とされるポリパラフェ
ニレンテレフタルアミド繊維に匹敵する強度・弾性率の
繊維が得られている。 【0003】しかしながら,ナイロン繊維やポリエステ
ル繊維が熱水に不溶であるのに対し,PVA系繊維は熱
水に溶解するため,その適用分野が限られていた。この
欠点を解消するため,これまでに古くはホルマリンなど
でアセタール化する方法が提案され,また最近では,例
えば特開平2-133605号公報に見られるように,アクリル
酸系重合体をブレンド紡糸する方法や,特開平4-126829
号公報にあるように脱水反応促進用触媒を付与した後,
熱処理して脱水反応を行わせることにより耐熱水性を改
良する方法などが提案されている。 【0004】一方,伝動ベルトで代表されるリブVベル
ト,タイミングベルトなどは,製造工程を簡略化してコ
ストを低減するために,予め筒状に成型され,加硫され
たPVA系繊維補強ゴム複合体を輪切り状に切断して製
品化されている。しかし,繊維軸方向に切断されたベル
ト側面に露出されたPVA系繊維から単糸がほつれ,毛
羽状に突出することがある。その場合,製品の品位が低
下するばかりか,そのままプーリーにセットして運転す
ると,この単糸のほつれた部分がプーリーに摩擦されて
ほつれた単糸が飛び散ったり,このほつれが原因となっ
てベルトの耐久性を低下させるという問題がある。 【0005】この問題を解決する方法として,PVA系
繊維に撚を掛けてコードとした後,このコードにエポキ
シ系接着剤及び/又はイソシアネート系接着剤を含浸
し,熱処理を施すことによってPVA系繊維の単糸間を
接着する方法がある。しかし,従来の紡糸油剤,例えば
脂肪族エステル系化合物主体の油剤を主成分とし,鉱物
油を希釈剤とするいわゆるストレート油剤を付与したも
のは,油剤と接着剤との相溶性が乏しく,油剤と接着剤
とが分離したり,接着剤が繊維の内部まで浸透しなかっ
たりして十分な効果が得られない。一方,このような問
題のない紡糸油剤,例えば脂肪族アミド化合物,脂肪族
アミン化合物,脂肪族アルコール又は脂肪酸のエチレン
オキシド及び/又はプロピレンオキシド付加物などを用
いると,PVA系繊維の製造工程において,供給ローラ
や延伸ローラ上での糸条間に集束性がないため,単糸切
れが多発するという問題がある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は,高強力・高
弾性率で耐熱水性に優れ,コードにしてエポキシ系接着
剤及び/又はイソシネート系接着剤で処理し,通常のレ
ゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(以下,RFL
と略記する。)処理を行うだけでゴムとの接着性が良好
となり,かつ,このコードを用いてPVA系繊維補強ゴ
ム複合体を作成し,繊維軸方向に切断したとき,切断面
に露出したPVA系繊維の単糸のほつれや,切断面から
ほつれが毛羽状に突出することのないPVA系繊維を操
業性よく製造する方法を提供することを技術的な課題と
するものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは,上記の課
題を解決するために鋭意研究した結果,PVAを有機溶
媒に溶解して調製した紡糸原液を,凝固浴中に乾湿式紡
糸して凝固糸条を得,この凝固糸条に脱水反応促進用触
媒を混合した油剤を付与した後,乾熱延伸して高強力,
高耐熱水性PVA系繊維を製造するに際し,前記油剤と
して特定の組成の油剤を付与すれば,この目的を達成で
きることを見出して本発明に到達した。 【0008】すなわち,本発明は,PVAを有機溶媒に
溶解して調製した紡糸原液を,凝固浴中に乾湿式紡糸し
て凝固糸条を得,この凝固糸条に脱水反応促進用触媒
(以下, 触媒と略記する。) を混合した油剤を付与した
後,乾熱延伸して高強力,高耐熱水性PVA系繊維を製
造するに際し,前記油剤として次のA,B,C3成分か
らなる組成物を主体とする油剤を用いることを特徴とす
るPVA系繊維の製造法を要旨とするものである。 A:脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステルもしくはそのエチレンオ キシド及び/又はプロピレンオキシド付加物 …5〜30重量% B:脂肪族アルコールのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド付加物 …20〜80重量% C:脂肪族アミン化合物のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド付加 物 …10〜50重量% 【0009】以下,本発明について詳細に説明する。 【0010】本発明で用いるPVAの重合度やケン化度
は特に限定されるものではないが,重合度は1500以上,
7000以下,また,ケン化度は99モル%以上であることが
好ましい。PVAを溶解する有機溶媒としては,ジメチ
ルスルホキシド(以下,DMSOと略記する。),グリ
セリン,エチレングリコール等を挙げることができ,中
でもDMSOが好ましい。また,紡糸原液中のPVAの
濃度は,その重合度に応じて適宜調整すればよいが,重
合度が1500〜7000の場合, 5〜24重量%に調整するのが
好ましい。本発明においては,この紡糸原液に架橋剤,
顔料,耐熱剤等を適宜混入して用いてもよい。 【0011】本発明では,この紡糸原液を凝固浴中に乾
湿式紡糸し,未延伸糸を形成する。乾湿式紡糸する際の
エアーギャップは20mm以上,100mm以下とするのが好まし
い。また,凝固浴液としては,メタノール,エタノー
ル,アセトン等を用いることができ,特にメタノールが
好ましい。本発明においては,この凝固浴液にPVAの
溶媒を混合してもよい。 【0012】乾湿式紡糸に用いる紡糸口金は特に限定さ
れるものではないが,吐出線速度v(cm/sec),紡糸口
金の孔径d(cm),紡糸原液の粘度μ(g/cm・sec)及び
密度ρ(g/cm3) によって下記式で定義されるレイノイズ
数(Re)が0.05〜200 となるように孔径及び吐出線速
度を選択するのが好ましい。 Re=(d・v・ρ)/μ 【0013】本発明においては,このようにして形成さ
れた凝固糸条をさらに溶媒で洗浄してから乾燥し,未延
伸糸とする。洗浄に用いる溶媒は凝固浴液として用いた
ものと同じものを用いるのが好ましい。また,洗浄の方
法は,溶媒を凝固糸条の進行方向と逆方向に流し,これ
に接触させて行うのがよい,この洗浄の間,凝固糸条を
いわゆる湿延伸してもよいが,その倍率は8倍未満とす
るのがよい。 【0014】次いで,洗浄後の糸条に触媒を混合した油
剤を付与するが,その際,糸条の含液率(糸条全体の重
量に対する糸条中の上記洗浄溶媒の重量の比率。)が5
重量%以上,30重量%未満,特に7〜25重量%として油
剤を付与するのが好ましい。糸条の含液率が5重量%未
満であったり,逆に30重量%以上であると,触媒の糸条
への浸透が不十分となり,高い耐熱水性が得難くなる。
この理由は明確ではないが,糸条は乾燥するのに伴い収
縮するため,含液率が5重量%未満まで乾燥が進むと,
糸条が収縮し過ぎて触媒の浸透が不十分になるものと考
えられる。逆に含液率が30重量%以上の場合には触媒が
浸透すべきスペースを溶媒が占有しているため,触媒が
浸透し難くなるものと認められる。 【0015】糸条の含液率をこの範囲とするためには,
溶媒での洗浄と触媒付与との間で乾燥を行うのが好まし
いが,含液率を上記の範囲にできるものであれば,その
方法は特に限定されるものではなく,例えば,加熱気体
中に糸条を通したり,表面を加熱したドラムに糸条を接
触させて乾燥することができる。 【0016】本発明で用いることのできる触媒として
は,リン酸,塩酸などの無機酸,パラトルエンスルホン
酸,テレフタル酸などの有機酸が挙げられ,特にリン酸
やパラトルエンスルホン酸が好適に用いられる。 【0017】また,触媒は油剤と共に,すなわち,油剤
に触媒を混合し,これを糸条に付与する。触媒と油剤を
別々に付与すると,工程が煩雑となり好ましくない。触
媒の油剤に対する混合量は,酸濃度が 0.005〜0.5規定
となるように触媒を油剤に混合するのが好ましい。 【0018】触媒を混合する油剤は,前記したA,B及
びCの3成分からなる組成物を主体とし,好ましくは上
記組成物を80重量%以上含有するものを付与する。な
お,油剤成分の以後の説明において,EOはエチレンオ
キシド,POはプロピレンオキシド,POEはポリオキ
シエチレン化を意味し,かっこ内の数値は付加モル数を
表わす。 【0019】まず,A成分は,脂肪族アルコールと脂肪
族カルボン酸とのエステルもしくはそのEO及び/又は
PO付加物であり,製糸工程での糸条の集束性を高める
作用をするものである。脂肪族アルコール及び脂肪族カ
ルボン酸としては,炭素数6〜22のものが好ましく,E
O及び/又はPO付加モル数は4〜20が好ましい。ま
た,耐熱性を上げるために,硫黄原子やリン原子などを
導入したものでもよい。A成分の具体例としては,ジオ
レイルアジペート,オレイルオレエート,ラウリルオレ
エート,イソステアリルオレエート,イソトリデシルパ
ルミテート,ジグリシドールジオレエート,ジオレイル
チオジプロピオネート,POE(20) グリセリンジオレエー
ト,POE(20) 硬化ヒマシ油などが挙げられる。A成分の
配合量は,5〜30重量%,特に10〜25重量%が好まし
い。この量が5重量%より少ないと製糸性が低下し,30
重量%より多いとほつれ防止効果が低下する。 【0020】B成分は,脂肪族アルコールのEO及び/
又はPO付加物であり,コードにして接着剤で処理する
際に,接着剤を深部まで浸透させる作用をするものであ
る。脂肪族アルコールとしては,炭素数が4〜22のもの
が好ましく,EO及び/又はPOの付加モル数は4〜20
が好ましい。B成分の具体例としては,POE(6)ステアリ
ルエーテル,POE(6)オレイルエーテル,POE(10) オレイ
ルエーテル,POE(10) セチルエーテル,POE(8)ラウリル
エーテル,PO(5)/EO(5) モノブチルエーテル,POE(20)
グリセリンエーテルなどが挙げられる。B成分の配合量
は,20〜80重量%,特に25〜70重量%が好ましい。この
範囲を外れると,ほつれ防止効果が低下する。 【0021】さらに,C成分は,脂肪族アミン化合物の
EO及び/又はPO付加物であり,コードにして接着剤
で処理する際に,接着剤を深部まで浸透させるととも
に,接着剤を硬化させる作用をするものである。脂肪族
アミン化合物としては,炭素数4〜22のものが好まし
く,EO及び/又はPOの付加モル数は4〜20が好まし
い。C成分の具体例としては,POE(20) ラウリルアミノ
エーテル,POE(8)ステアリルアミノエーテル,EO(5)/PO
(5) エタノールアミノエーテル,POE(10) ラウリルアミ
ノエーテル,POE(10) ステアリルアミノエーテル,POE
(15) ラウリルエタノールアミン,POE(15) ラウリルジ
エタノールアミンなどが挙げられる。C成分の配合量
は,10〜50重量%,特に15〜45重量%が好ましい。この
範囲を外れると,ほつれ防止効果が低下したり,製糸性
が低下する。 【0022】本発明で使用する油剤は,A,B,Cの3
成分が 100重量%となるようにし,この組成物を好まし
くは80重量%以上となるようにし,20重量%以下の範囲
で,乳化剤,静電防止剤,耐熱剤,触媒などを配合して
用いられる。油剤は,通常,低粘度鉱物油,メタノー
ル,エタノールなどで希釈したストレート油剤(非水油
剤)の形で使用されるが,水性エマルジョン油剤として
もよい。 【0023】油剤は,通常のローラ式給油法やノズル式
給油法により糸条に付与されるが,油剤の付与量は0.05
〜1.0重量%,特に0.1〜0.5重量%が好ましい。 【0024】油剤を付与した糸条は,いったん巻き取っ
た後,あるいは巻き取ることなく連続して乾熱延伸する
と同時に脱水反応を行わせるが,この乾熱延伸の際,乾
熱延伸倍率を15倍以上とすることが好ましい。乾熱延伸
倍率が15倍未満では,本発明の他の目的である高強力P
VA系繊維が得られ難くなる。 【0025】乾熱延伸での糸条の加熱方法としては,熱
風加熱炉を用いる方法,接触型ヒータを用いる方法,輻
射熱ヒータを用いる方法,加熱ローラを用いる方法など
を採用することができ,また,これらのいくつかを組み
合わせて用いてもよい。乾熱延伸時の温度は特に限定さ
れるものではないが,例えば熱風加熱炉で延伸する場
合,糸条の入口温度を 150℃以上とし,出口温度を 270
℃以下とすることが好ましい。 【0026】触媒を混合した油剤が付与された糸条を乾
熱延伸すると,熱延伸と脱水反応が同時に進行するが,
脱水反応を十分進行させるために乾熱延伸後さらに熱処
理を行ってもよい。熱処理は,乾熱延伸の最高温度より
5〜10℃高い温度で,定長(リラックス率0%)又は10
%以下のリラックス率で行うのが好ましい。 【0027】 【作用】本発明によれば,乾湿式紡糸して得た凝固糸条
に付与する,触媒を混合した油剤として,製糸工程での
糸条の集束性を高める成分と,コードにして接着剤で処
理する際に,接着剤を深部まで浸透させたり,接着剤を
硬化させたりする成分を配合した油剤を用いるので,製
糸性が向上するとともに,得られるPVA系繊維のコー
ドは,通常のRFL処理を行うだけでゴムとの接着性が
良好となる。また,このコードを用いてPVA系繊維補
強ゴム複合体を形成し,この複合体を繊維軸方向に切断
したとき,切断面に露出するPVA系繊維の単糸がほつ
れたり,このほつれが切断面から毛羽状に突出するのを
防止することが可能となる。 【0028】 【実施例】次に,本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお,「部」は重量部を意味し,各物性の測定法は
次のとおりである。 (a) コード強伸度 オートグラフを使用し,JIS-L-1017に準じて測定した。 (b) 製糸性 製糸工程における引き取りローラ及び延伸ローラでの単
糸切れによるローラヘの単糸の巻き付き回数により,次
の3段階で評価した。 ○:0〜3回/1日 △:4〜10回/1日 ×:11回以上/1日 (c) 耐ほつれ性 処理コードを厚さが3mmのゴムシート2枚の間に平行に
並べて挟み,50kg/cm2の圧力下,150℃で30分間加硫し,
ゴムシートとする。このシートを,ゴム中に配列したコ
ードの繊維軸方向にカッターナイフを用いて切断し,切
断面にコード端面が露出するようにする。そして,端面
からのPVA系繊維の単糸の飛び出し状態を肉眼で観察
するとともに,この端面をサンドペーパー(#AA-120)
で10回摩擦し,単糸のほつれ状態を観察し,次の3段階
で評価した。 ○:単糸の飛び出しと単糸のほつれが認められない。 △:単糸の飛び出しはないが,単糸のほつれが認められ
る。 ×:単糸の飛び出しと単糸のほつれが認められる。 (d) 接着性 表1に示した組成のゴム配合物を用い,JIS-L-1017のA
法に準じて測定した。 【0029】 【表1】 【0030】実施例1〜2,比較例1〜3 〔油剤イ〜ホの調製〕RW30秒の低粘土鉱物油75部を40
℃に加温し,各成分を表2に示す割合(部)で配合した
油剤組成物25部を40℃に加温したものをゆっくり添加し
ながら撹拌した後,室温に冷却した。さらに,98重量%
リン酸0.03部をゆっくり添加しながら撹拌した。 【0031】 【表2】【0032】〔イソシアネート系接着剤の調製〕トルエ
ン75部に,固形分濃度27%のトリス(p−イソシアネー
トフェニル)チオホスフェート;「デスモジュール RE
E」(住友バイエルウレタン社商品名)25部をゆっくり
添加しながら撹拌,溶解した。 【0033】〔RFL液の調製〕水 125部に,10%水酸
化ナトリウム水溶液19部を加えた後,レゾルシン17部を
添加して撹拌,溶解し,次いで37%ホルムアルデヒド水
溶液30部を加えて撹拌し,25℃で30分間反応させた。得
られた反応液を固形分濃度41%のVPラテックス;「ピ
ラテックスJ-1904」(住友ダウ社商品名) 190部と固形
分濃度40%のSBRラテックス;「JSR-2108」(日本合
成ゴム社商品名) 190部の混合液に撹拌しながら加え,
さらに,水431部を撹拌しながら加え,10分間撹拌,混
合した後,25℃で24時間熟成させた。 【0034】〔PVA系繊維の製造〕重合度4000,ケン
化度99.9モル%のPVA15部を,DMSO85部に溶解し
て紡糸原液を調製した。この紡糸原液を孔径 0.3mm,孔
数 300の紡糸口金から30mmのエアーギャップを通して,
DMSO15重量%を含むメタノール凝固浴中に乾湿式紡
糸して凝固糸条を得た。吐出条件はレイノズル数が 2と
なるように選定した。この凝固糸条をメタノールで洗浄
した後,加熱ドラムを用いて乾燥し,糸条の含液率を10
重量%としてから,ローラ式給油方式によって表3に示
す紡糸油剤を糸条に対し 0.3重量%になるように付与
し,さらに80℃で乾燥して未延伸糸を得た。次いで,こ
の未延伸糸を表面温度80℃,表面速度10m/分の供給ロ
ーラに掛け,入口温度が 160℃,出口温度が 220℃に設
定された長さ3mの熱風加熱炉を通した後,表面温度 1
60℃,表面速度90m/分の第1延伸ローラとの間で9倍
に延伸し,次いで第1延伸ローラを出た糸条を,入口温
度が 210℃,出口温度が240℃に設定された長さ5mの熱
風加熱炉を通した後, 表面温度 180℃,表面速度190m
/分の第2延伸ローラとの間で2.11倍に延伸した。さら
に,第2延伸ローラを出た糸条を,入口温度が 230℃,
出口温度が 250℃に設定された熱風加熱炉に通した後,
表面温度50℃,表面速度 185m/分の熱処理ローラとの
間で0.97倍の弛緩熱処理を行った後,巻き取り,1500d/
300fのPVA系繊維を得た。 【0035】〔コードの処理〕得られたPVA系繊維を
2本合糸しながら 115回/mの撚りを掛けて下撚りコー
ドとし,次いで下撚りしたコード3本を合糸しながら下
撚りと逆方向に95回/mの撚り数で上撚コードとし,上
記の方法で調製したイソシアネート系接着剤溶液に浸漬
(固形分付着量2.5〜3.5重量%)し,120℃の熱風で乾
燥後, 180℃で100秒間熱処理した。次いで,前記の方
法で調製したRFL浴に浸漬(固形分付着量4.5 〜5.5
重量%)し,120℃で60秒間乾燥した後,180℃で 100秒間
熱処理した。 【0036】このようにして得られた処理コードの強伸
度,耐ほつれ性,接着性及び原糸製造工程の製糸性など
を表3に示す。 【0037】 【表3】【0038】表3から明かなように,本発明の実施例1
では,製糸性,処理コードの耐ほつれ性,接着性のすべ
てにおいて良好であった。また,実施例2では,製糸性
に若干問題は残るものの,処理コードの耐ほつれ性と接
着性は優れたものであった。一方,A成分が本発明を満
足しない比較例1及び3成分とも本発明を満足しない比
較例2では,処理コードの耐ほつれ性と接着性に問題が
あり,また,A成分が本発明を満足しない比較例3で
は,製糸性,処理コードの耐ほつれ性と接着性において
満足できないものであった。 【0039】 【発明の効果】本発明によれば,高強度で,熱に対する
寸法安定性に優れ,コードにしてエポキシ系接着剤及び
/又はイソシアネート系接着剤で処理し,通常のRFL
処理を行うだけでゴムとの接着性が良好となり,かつ,
このコードを用いて繊維補強ゴム複合体を形成し,この
複合体を繊維軸方向に切断したとき,切断面に露出した
繊維の単糸がほつれたり,ほつれが切断面から毛羽状に
突出することのないPVA系繊維を操業性よく製造する
ことが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D06M 15/53 D06M 15/53 // D06M 101:24 101:24 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 11/06 D01F 6/14 D06M 13/00 - 15/72

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ポリビニルアルコールを有機溶媒に溶解
    して調製した紡糸原液を,凝固浴中に乾湿式紡糸して凝
    固糸条を得,この凝固糸条に脱水反応促進用触媒を混合
    した油剤を付与した後,乾熱延伸して高強力,高耐熱水
    性ポリビニルアルコール系繊維を製造するに際し,前記
    油剤として次のA,B,C3成分からなる組成物を主体
    とする油剤を用いることを特徴とするポリビニルアルコ
    ール系繊維の製造法。 A:脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステルもしくはそのエチレンオ キシド及び/又はプロピレンオキシド付加物 …5〜30重量% B:脂肪族アルコールのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド付加物 …20〜80重量% C:脂肪族アミン化合物のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド付加 物 …10〜50重量%
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