JP3450597B2 - フッ素樹脂成形体 - Google Patents

フッ素樹脂成形体

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JP3450597B2 JP16254996A JP16254996A JP3450597B2 JP 3450597 B2 JP3450597 B2 JP 3450597B2 JP 16254996 A JP16254996 A JP 16254996A JP 16254996 A JP16254996 A JP 16254996A JP 3450597 B2 JP3450597 B2 JP 3450597B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、帯電防止性を有す
る新規なフッ素樹脂成形体に関する。詳しくは、イオン
交換基を実質的に含有しないフッ素樹脂よりなる基材の
表層に、イオン交換基を存在させることによって表面抵
抗率が1013Ω以下に調整されたフッ素樹脂よりなる帯
電防止層を有することにより、フッ素樹脂固有の特性を
維持しながら、良好な帯電防止効果を有し、且つ汚染性
が極めて低いフッ素樹脂成形体である。
【0002】
【従来の技術】フッ素樹脂は耐薬品性、耐熱性、電気的
絶縁特性、耐汚染性に優れており、広い産業分野におい
て使用されている。ところが、フッ素樹脂の表面抵抗は
極めて高いために静電気を帯電し易いという大きな欠点
を有する。
【0003】例えば、半導体製造工程に用いられるフッ
素樹脂製のウエハーキャリアーは、フッ素樹脂の有する
帯電性により、雰囲気中の微粒子を吸着し易く、その結
果、ウエハーキャリアーに吸着した微粒子が、これに保
持されるウエハーを汚染し、該ウエハーを使用して得ら
れる製品の不良率を高くするといった問題を有する。
【0004】また、可燃性液体を移送するパイプにおい
ては、該パイプ内を可燃性液体が通過することによる摩
擦で静電気が発生し、これによる着火の危険性がある。
【0005】従来、フッ素樹脂成形体に帯電防止性を付
与することを目的として、フッ素樹脂に導電性粉末を配
合した樹脂組成物および該組成物より成る成形体が知ら
れている。例えば、特開昭61−37842号公報、特
開昭62−223255号公報、特開平2−25575
1号公報には、テトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂
に炭素粉末と炭素繊維粉末、繊維状導電性酸化チタンと
酸化亜鉛などの導電性粉末を混合した樹脂組成物により
成形体を得る方法が開示されている。
【0006】また、特開平8−59864号公報には、
フッ素樹脂成形体の表層をプラズマ処理することによ
り、C−F結合を切断したC=C結合とすることによ
り、表面を導電性としたフッ素樹脂成形体が開示されて
いる。
【0007】また、フッ素樹脂成形体に親水性を付与す
ることを目的として、特開平1−98641号公報に
は、放射線照射により、イオン交換基を含有する親水性
モノマーをフッ素樹脂の多孔質チューブの表面にグラフ
ト重合させる方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
うち、導電性粉末を混合した樹脂組成物により得られる
成形体は、帯電防止能を付与するために多量の導電性粉
末を混合することが必要であり、そのため、得られるフ
ッ素樹脂成形体より導伝性粉末又はそれに含まれる不純
物が溶出するといった問題を有する。かかる問題は、該
成形体と接触する物質を汚染するという現象を招き、特
に、該フッ素樹脂成形体をウエハーキャリアーに使用し
た場合、該溶出した導電性粉末に起因するパーティクル
等により、該ウエハーキャリアーに保持されるウエハー
が汚染されるという現象を招く。また、流体の移送用パ
イプの用途においては、該流体の汚染という現象を招く
おそれがある。
【0009】また、成形体の全体が該導電性粉末を含む
フッ素樹脂で構成されることにより、フッ素樹脂の特性
である電気的絶縁特性、耐汚染性が損なわれ、かかる特
性が要求される用途において使用が制限される。
【0010】一方、親水性を付与する目的で、親水性モ
ノマーをグラフト反応によって導入する方法の場合、フ
ッ素樹脂は本来このような反応においては分解型の樹脂
に属し、モノマー等を定量的に且つ大量に導入すること
が難しく、表面より数百オングストローム程度の極薄い
厚さでイオン交換基が付与されるに止まる。また、フッ
素樹脂成形体の表面を放射線照射することにより、分解
した樹脂がパーティクル発生の原因となることも懸念さ
れる。
【0011】その結果、上記フッ素樹脂成形体は、表面
抵抗が十分に低下せず、帯電防止効果、汚染性等におい
て未だ改良の余地があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、良好
な帯電防止効果を有し、且つ内部からのパーティクル等
の汚染物質の溶出が極めて少ないフッ素樹脂成形体を提
供することを目的とする。
【0013】本発明によれば、上記目的は、実質的にイ
オン交換基を含有しないフッ素樹脂よりなる基材の表面
に、特定の表面抵抗を示すようにイオン交換基を存在さ
せたフッ素樹脂よりなる帯電防止層を形成させることに
より達成することができる。
【0014】即ち、本発明は、イオン交換基の量が、イ
オン交換基を含む単量体に換算して0.20モル%未満
フッ素樹脂よりなる基材の表層に、パーフルオロスル
ホン酸基又はパーフルオロカルボン酸基よりなるイオン
交換基を存在させることによって表面抵抗率が1013
Ω以下に調整されたフッ素樹脂よりなる帯電防止層を有
するフッ素樹脂成形体である。
【0015】本発明において、基材となるフッ素樹脂よ
り成る基材は、実質的にイオン交換基を含有しないもの
である。即ち、基材としてイオン交換基を有する樹脂を
使用した場合、溶剤や薬液等に浸漬した場合に成形体の
膨潤による寸法変化が生じたり、イオンや無機物、或い
は有機物を吸着、透過するため、ウエハーキャリアーの
用途に使用した場合、これに接触するウエハーの汚染の
問題が生じる虞がある。例えば、基材にイオン交換基を
有するフッ素樹脂として、フッ素系のイオン交換膜やイ
オン交換樹脂が知られているが、これらの樹脂はイオン
の透過、吸着を目的としたものであり、通常イオン交換
基を十数モル%程度含有している。そのため、上記ウエ
ハーキャリアーのようにフッ素樹脂の特徴である耐汚染
性が要求される分野においては、フッ素系のイオン交換
膜やイオン交換樹脂が有する、有機物やイオン等の吸着
特性は好ましくない。また、帯電防止能が要求されるフ
ッ素樹脂よりなるフィルム、チューブの成形体の用途に
おいても、イオン、水等の無機物、アルコール等の有機
物を透過、吸着させるものは好ましくない。
【0016】従って、イオン交換基を含有しないか、上
記のような問題が発生する量以下でイオン交換基を含有
している、即ち、イオン交換基を実質的に含有しないフ
ッ素樹脂であれば、本発明の基材として制限なく用いる
ことができる。かかる基材となるフッ素樹脂中のイオン
交換基の量は、用途によって要求される寸法安定性や吸
着、透過性が異なるため、一概に限定することはできな
いが、一般には、イオン交換基を含む単量体に換算して
0.20モル%未満、特に、0.1モル%以下が好適で
ある。
【0017】尚、本明細書において、フッ素樹脂中に含
まれるイオン交換基の量は、イオン交換基の全モノマー
の単量体単位に対する組成で表す。
【0018】また、本発明の基材を構成するフッ素樹脂
は、成形体を使用時の汚染性の面から、前記導電性物質
のように、添加成分が溶出する充填材をも実質的に含有
しないものが好適に使用される。また、溶出しない充填
剤を添加する場合は、フッ素樹脂基材の特性を著しく低
下させない量で使用することが望ましい。
【0019】本発明において、基材として好適に使用さ
れるフッ素樹脂を具体的に例示すれば、ポリテトラフル
オロエチレン、テトラフルオロエチレンとアルキルビニ
ルエーテル及び/又は後述するイオン交換基に変換可能
な官能基を有するモノマー(以下、前駆体モノマーとい
う。)との共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサ
フルオロプロピレン及び/又は前駆体モノマーとの共重
合体、ポリモノクロロトリフルオロエチレン、テトラフ
ルオロエチレンとパーフルオロジメチルジオキソールと
の共重合体、ポリパーフルオロアルケニルビニルエーテ
ル等が挙げられる。
【0020】上記アルキルビニルエーテルは、パーフル
オロアルキルビニルエーテルまたは一部に水素原子を有
するポリフルオロアルキルビニルエーテルである。具体
的には、一般式、 Rf(CH2lOCF=CF2 (但し、Rfはパーフルオロアルキル基、lは0または
1である。) 該アルキルビニルエーテルは、得られる共重合体中に占
める水素原子の割合が0.2重量%以下、好ましくは、
0.15重量%以下の範囲で使用することが好ましい。
【0021】前記したフッ素樹脂のうち、ポリテトラフ
ルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとパーフルオ
ロアルキルビニルエーテルとの共重合体、テトラフルオ
ロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体等
のパーフルオロカーボン系樹脂が、耐熱性、耐薬品性、
耐汚染性等の面で好適に使用される。
【0022】本発明において、上記基材表面に形成され
る帯電防止層は、イオン交換基を存在させることによっ
て表面抵抗率が1013Ω未満、好ましくは、1010Ω以
下、に調整されたフッ素樹脂よりなる。
【0023】尚、本発明において、表面抵抗率は、JI
S K−6911に記載の方法に準じて行った。
【0024】かかる帯電防止層をイオン交換基を実質的
に含有しないフッ素樹脂よりなる基材の表面に存在さ
せ、表面抵抗率を下げることにより、従来の導電性物質
を添加して帯電防止性を付与する手段に対して、その表
面からのパーティクルの発生が極めて少なく、ウエハー
キャリアー等のこれに接触する物品に対する汚染性が問
題とされる用途において、有用である。また、基材とな
るフッ素樹脂に多量の添加物を含有しないため、フッ素
樹脂成形体の強度も十分あり、上記ウエハーキャリアー
等の物理的負荷のかかる用途に対して最適である。ま
た、全体にイオン交換基を有するイオン交換樹脂に比べ
て、不純物イオンが内部まで浸透しないため、不純物イ
オンの吸着量が少なく、得られるフッ素樹脂成形体に接
触する物品に対する不純物イオンの汚染性が極めて少な
い。
【0025】本発明のフッ素樹脂成形体について、後述
する方法で測定した薬液吸着量は、50ppb/cm3以下、
特に10ppb/cm3以下である。
【0026】このことからも、本発明のフッ素樹脂成形
体が前記ウエハーキャリアーのように汚染性が問題とさ
れる用途に最適であることが理解される。
【0027】前記フッ素樹脂にイオン交換基を存在させ
た帯電防止層の表面抵抗率が1013Ωより大きい場合、
得られるフッ素樹脂成形体の帯電防止効果が不十分であ
り、例えば、フッ素樹脂成形体がウエハーキャリアーで
ある場合、表面に静電気が蓄積し、クリーンルーム内に
僅かに存在するパーティクルを集塵し、これに保持され
るウエハーが該パーティクルによって汚染するという問
題を有する。
【0028】上記帯電防止層に存在させるイオン交換基
は、パーフルオロスルホン酸基、またはパーフルオロカ
ルボン酸基である。これらのイオン交換基はパーフルオ
ロ炭素鎖又はパーフルオロエーテル鎖を介して化学的に
フッ素樹脂に結合している。
【0029】
【0030】これらイオン交換基を更に詳しく説明すれ
ば、パーフルオロスルホン酸基は下記一般式 −CFRFSO3M (但し、RFはF又はCF3であり、Mは水素原子、アル
カリ金属、又はNR'4で示される基(但しR'は水素原
子又は低級アルキル基である。)である。)で示され、
又パーフルオロカルボン酸基は、下記一般式 −CFRFCO2M (但し、RF及びMは前記と同じである。)で示され
る。
【0031】これらイオン交換基のうち、陽イオン交換
基に較べ陰イオン交換基は一般には耐薬品性が低いため
陽イオン交換基の方が好適である。また、パーフルオロ
スルホン酸基は、パーフルオロカルボン酸基に対して耐
熱性が良く、結合する対イオンが水素イオンの場合、パ
ーフルオロカルボン酸基に比べて帯電防止能が高いため
好適である。
【0032】本発明において、上記イオン交換基による
帯電防止効果は、電圧減衰率によって確認することがで
き、一般に、10kVの電圧を1分間かけ、その後1秒
後の電圧減衰率が70%以上、好ましくは、90%以上
のものが好適である。
【0033】帯電防止層の表面抵抗率を上記範囲に調整
する手段は、フッ素樹脂にイオン交換基を含有させるこ
とによるものであれば特に制限されるものではない。一
般に、該帯電防止層において、フッ素樹脂中のイオン交
換基の濃度が0.25モル%以上、好ましくは、0.2
5モル〜20モル%、更に好ましくは0.25〜18モ
ル%の層を有することが効果的である。即ち、イオン交
換基の量が0.25モル%未満の層の場合は、その厚み
を増しても帯電防止能が十分発揮されず、安定して帯電
防止性を付与することが難しい。また、20モル%を越
えると帯電防止能は高いが、水や不純物イオン等の吸着
を過度に起こしたり、水、アルコール等との接触により
膨潤し、フッ素樹脂成形体の変形や、帯電防止層の部分
的な剥離を起こす場合があり、好ましくない。
【0034】本発明の帯電防止層では、フッ素樹脂の側
鎖にイオン交換基が化学的に結合して含有されているた
め、帯電防止効果が著しく長期にわたって持続されてお
り、液体との接触が長期間にわたって行われた場合にも
その効果が失われ或いは低減されることはない。
【0035】更に、上記帯電防止層において、イオン交
換基を存在させる態様は、帯電防止層の深さ方向に均一
に存在させても良く、また表面より帯電防止層の深さ方
向に連続又は段階的に濃度が下がるように存在させても
良い。後者の場合、帯電防止層は、イオン交換基の存在
量が0.25モル%以上のフッ素樹脂によって形成され
る層を含むような濃度勾配を設けられる。
【0036】以上の態様において、帯電防止層のイオン
交換基を0.25モル%以上の濃度で含有する層の厚み
は、1μm以上、好ましくは10μm以上であることが
前記表面抵抗率を達成するために好ましい。即ち、該層
の厚みが1μm未満の場合、帯電防止層の帯電防止能は
十分ではなく、フッ素樹脂成形体に帯電防止性を安定し
て付与することが難しい。また、上記帯電防止層の厚み
に特に上限はなく、余り厚い場合でも、帯電防止性の点
からは特に問題はない。
【0037】しかし、帯電防止層のイオン交換基を0.
25モル%以上の濃度で含有する層の厚みは、あまり厚
くすると、フッ素樹脂成形体の強度が低下したり、イオ
ン交換基が内部にまで存在するために水や不純物イオン
等の吸着を起こすという問題を有する。
【0038】そのため、本発明のフッ素樹脂成形体を後
記のウエハーキャリアー等の用途に使用する場合、上記
帯電防止層のイオン交換基を0.25モル%以上の濃度
で含有する層の厚みの上限は、基材の厚みに対して50
%以下、好ましくは40%以下、更に好ましくは30%
以下とすることが好ましい。特に、該層の厚みの上限
は、絶対的な厚みで、500μm以下とすることが更に
好ましい。
【0039】また、フッ素樹脂成形体を後記のフィル
ム、シートなどの薄物、チューブ、パイプ等の用途に使
用する場合、フッ素樹脂の有する絶縁性、イオンの不透
過性、耐薬品性等の特性を十分発揮するため、基材の厚
みを10μm以上確保するように該層の厚みの上限を制
御することが好ましい。
【0040】本発明において、帯電防止層は成形体の全
表面に存在させるのが一般的であるが、用途によっては
成形体表面の一部に存在させても良い。
【0041】例えば、フィルム、シート等々の薄物の片
面、チューブ、パイプ状物の内面または外面に帯電防止
層を有し、他の面には帯電防止層を有さない構造となっ
ていても良い。例えば、フッ素樹脂成形体の片面で静電
気が問題とされ、他面では静電気が問題とされないとい
った用途に対しては充分使用することができる。
【0042】本発明の帯電防止層の厚み、イオン交換基
の存在量及び基材の厚みは赤外吸収スペクトル(以下I
Rスペクトルと略称する。)を測定することによって知
ることができる。即ち、本発明のフッ素樹脂成形体の表
面から垂直に数十〜数百μmの厚みでフィルムを切り出
し、IRスペクトルを表面より、数μmの間隔で透過、
又は反射スペクトルを測定することにより、或いは本発
明のフッ素樹脂成形体の表面から数〜数十μmで削りそ
の切削面の反射スペクトルを測定するすることにより、
イオン交換基が存在する場合はその基に由来する特性吸
収、例えば1060cm-1付近、1680cm-1付近、
及び1780cm-1付近にそれぞれパーフルオロスルホ
ン酸塩基(−SO3Na)、パーフルオロカルボン酸塩
基(−CO2Na)、及びパーフルオロカルボン酸基
(−CO2H)が観測され、これらの吸収のある部分が
帯電防止層の厚みとして、また吸収強度からイオン交換
基の存在量が決定できる。
【0043】一方、イオン交換基が存在しない場合はこ
れらの特性吸収は観測されずにポリテトラフルオロエチ
レン、テトラフルオロエチレンとアルキルビニルエーテ
ルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフル
オロプロピレンとの共重合体、ポリモノクロロトリフル
オロエチレンに由来する吸収が1200〜1300cm
-1に、イオン交換基に変換可能な基に由来する吸収とし
て1420cm-1付近、1710cm-1付近、1780
cm-1付近、及び2100cm-1付近にそれぞれパーフ
ルオロスルホン酸フルオライド基(−SO2F)、パー
フルオロカルボン酸クロライド基(−CO2Cl)、パ
ーフルオロカルボン酸エステル基(−CO2CH3)、及
びパーフルオロシアノ基(−CN)が観測され、その吸
収のある部分をそれぞれの層の厚みとすることができ
る。
【0044】本発明にかかるフッ素樹脂成形体の具体的
形状は特に制限されるものではない。例えば、前記図1
に示した構造のウエハーキャリアーのような構造体、チ
ューブ、パイプ等の管状体、シート、フィルム等の薄物
成形体などが挙げられる。
【0045】本発明のフッ素樹脂成形体の製造方法は特
に限定はされないが、好適な製造方法を例示すれば、下
記の方法が挙げられる。
【0046】1.イオン交換基に変換できる基を有する
フッ素樹脂(以下単に前駆体と称する)により成形体を
成形し、次いでこの成形体の表面から所定の厚さの範囲
に存在する前駆体中に存在するイオン交換基に変換でき
る基をイオン交換基に変換して帯電防止層を形成するこ
とにより、基材が前駆体より成り、その表面に帯電防止
層が形成されたフッ素樹脂成形体を製造する方法(製造
方法1)、 2.前駆体と実質的にイオン交換基に変換できる基およ
びイオン交換基を有さないフッ素樹脂の混合物から成形
体を成形し、次いでこの成形体の表面から所定の厚さの
範囲に存在する前駆体中に存在するイオン交換基に変換
できる基をイオン交換基に変換することにより、基材が
前駆体とイオン交換基に変換できる基およびイオン交換
基を実質的に有さないフッ素樹脂の混合物から成り、そ
の表面に帯電防止層が形成されたフッ素樹脂成形体を製
造する方法(製造方法2)、 3.イオン交換基に変換できる基およびイオン交換基を
実質的に有さないフッ素樹脂を用いて成形体を得た後、
その表面に、前記の前駆体を所定の厚みで融着し、その
後、該前駆体中のイオン交換基に変換できる基をイオン
交換基に変換することにより、イオン交換基に変換でき
る基およびイオン交換基を実質的に有さないフッ素樹脂
よりなる基材の表面に帯電防止層が形成されたフッ素樹
脂成形体を製造する方法(製造方法3)、 4.イオン交換基に変換できる基およびイオン交換基を
実質的に有さないフッ素樹脂と前駆体とを共押出によっ
て多層成形し、その後、前駆体中のイオン交換基をイオ
ン交換基に変換して帯電防止層を形成することにより、
イオン交換基に変換できる基およびイオン交換基を実質
的に有さないフッ素樹脂よりなる基材の表面に所定の厚
みで帯電防止層が形成された多層フッ素樹脂成形体を製
造する方法(製造方法4)等が挙げられる。
【0047】従って、本発明のフッ素樹脂成形体の製造
においては、その使用目的、用いる樹脂の種類等によっ
て適した製造方法を選択すれば良い。この場合、帯電防
止層を厚み精度良く形成するためには、上記製造方法の
うち、製造方法3、及び製造方法4の方法が好適であ
る。
【0048】以下、上記の製造方法について詳細に説明
する。
【0049】帯電防止層を構成するイオン交換基を有す
るフッ素樹脂の形成方法は、例えば、イオン交換基に変
換できる基を有するモノマーとフルオロオレフィンを共
重合した後、該イオン交換基に変換できる基をイオン交
換基に変換する方法が挙げられる。この方法によって得
られたイオン交換基を有するフッ素樹脂は下記一般式
【0050】
【化1】
【0051】(但し、Rはパーフルオロ炭素鎖、又はパ
ーフルオロエーテル鎖からなり、具体的には −(CF2m− (但しmは2〜10の整数である。)、又は
【0052】
【化2】
【0053】(但しnは1〜3の整数である。)であ
り、RFは前述したとおりであり、ZはSO3M、又はC
2M(但し、Mは前述したとおりである。)であり、
Aは−CF3、−O(CF2dCF3、−OCH2(C
2eCF3(但し、dは、0または1〜7の正数、e
は1〜7の正数である。)、又は塩素原子である。)で
示される。
【0054】具体的に製造方法1で好適に用いられるイ
オン交換基に変換できる基を有するフッ素樹脂は、テト
ラフルオロエチレンとイオン交換基に変換できる基を有
するモノマーとの共重合によって製造される。この場
合、共重合体の成形性、物性の改善の目的でテトラフル
オロエチレンに対して30モル%以下のヘキサフルオロ
プロピレン、下記一般式 CF2=CFO(CH2ab2b+1 (但し、aは0又は1であり、bは1〜10の整数であ
る。)で示されるアルキルビニルエーテル類、またはモ
ノクロロトリフルオロエチレンを混合して使用すること
ができる。
【0055】またイオン交換基に変換できる基を有する
モノマーとしてはパーフルオロスルホン酸イオン交換基
に変換できる基を有するモノマーとして下記一般式 CF2=CFO〔CF2CF(CF3)O〕oCF2CFRF
SO2X (但し、XはF又はClであり、RFはF又はCF3であ
り、oは1〜3の整数である。)で示されるモノマー
が、又パーフルオロカルボン酸イオン交換基に変換でき
る基を有するモノマーとしては、下記一般式 CF2=CFO〔CF2CF(CF3)O〕p(CF2qY (但し、YはCO2R(但しRは低級アルキル基であ
る。)、CN、COF、COClあり、pは1〜3の整
数であり、qは2〜8の整数である。)又は、 CF2=CFO(CF2rOCF(CF3)Y (但し、YはCO2R(但しRは低級アルキル基であ
る。)、CN、COF、COClあり、rは2〜8の整
数である。)で示されるモノマーが好適に用いられる。
これらイオン交換基に変換できる基を有するモノマーを
更に具体的に例示すれば、CF2=CFOCF2CF2
2F、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2
SO2F、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2
F(CF3)OCF2CF2SO2F、CF2=CFOCF2
CF(CF3)SO2F、CF2=CFOCF2CF(CF
3)OCF2CF(CF3)SO2F、CF2=CFO(C
23ー8CO2CH3、CF2=CFOCF2CF2OCF2
CF(CF3)CO2CH3を挙げることができる。
【0056】更にこれらのモノマーは単独で用いても良
く、また混合して用いても何等差しつかえ無い。
【0057】テトラフルオロエチレンとイオン交換基に
変換できる基を有するモノマーとの共重合は公知の方法
を何等制限なく用いることができる。即ち、溶液重合
法、懸濁重合法、及び乳化重合法のうち共重合性等の条
件を考慮して最適な重合方法を選択すれば良い。
【0058】何れの場合もイオン交換基に変換できる基
を有するモノマーの分散液又は溶液にテトラフルオロエ
チレンを加圧下に溶解させて共重合がおこなわれるが、
イオン交換基に変換できる基を有するモノマーやテトラ
フルオロエチレンに加えて他のモノマーを用いる場合、
そのモノマーがヘキサフルオロプロピレン等の気体であ
ればテトラフルオロエチレンに混合して、アルキルビニ
ルエーテル等の液体であればイオン交換基に変換できる
基を有するモノマーへ混合して重合すれば良い。
【0059】乳化重合、有機溶媒を使用しない懸濁重合
の場合、分散媒としては水が好適である。一方溶液重
合、有機溶媒を使用する懸濁重合の場合、有機溶媒が連
鎖移動剤として作用し、重合体の分子量を低下させ、そ
の結果得られた共重合体の物性が劣ることがあるため、
用いる溶媒はフッ素系の液体が好ましい。具体的には、
パーフルオロブタン、パーフルオロペンタン、パーフル
オロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオ
クタン等のパーフルオロアルカン類、パーフルオロシク
ロブタン、パーフルオロシクロヘキサン等のパーフルオ
ロシクロアルカン類、パーフルオロエーテル類、パーフ
ルオロトリブチルアミン等のパーフルオロ3級アミン
類、パーフルオロモルホリン類、トリフルオロモノクロ
ロエタン等のクロロフルオロエタン類等が好適に用いら
れる。
【0060】重合開始剤としては乳化重合の場合過硫酸
アンモニウム等の過硫酸塩が好適に用いられ、また溶液
重合、懸濁重合の場合は公知の有機系ラジカル発生剤が
用いられるが、得られる共重合体の耐熱性を考慮する
と、フッ素系のジアシルパーオキシド類が好適に用いら
れ、具体的には次のものが挙げられる。
【0061】(CF3CF2CO22、(HCF2CF2
22、(ClCF2CF2CO22、(CF3CF2CF
2CO22、(CF3CF2CF2OCF(CF3)CO2
2 また、重合時のフルオロオレフィンの圧力はモノマー組
成、重合温度により一概には決定できないが、1〜30
kg/cm2−Gが好ましい。また重合温度は用いる重
合開始剤の分解温度によって異なるため、一概には決定
できないが通常0〜100℃であり、重合開始剤として
フッ素系のジアシルパーオキシドを用いた場合は0〜5
0℃が好ましい。
【0062】この様にして得られたテトラフルオロエチ
レンとイオン交換基に変換できる基を有するモノマーの
共重合体は射出成形、押出成形、トランスファー成形、
圧縮成形等により型物、チューブ、パイプ、シート及び
フィルム等に成形することができる。フルオロオレフィ
ンとイオン交換基に変換できる基を有するモノマーの共
重合体はその組成により、成形体の剛性が異なり、その
剛性によって適宜その用途にあった組成を選択すれば良
い。
【0063】次に、本発明フッ素樹脂成形体の製造方法
2では、製造方法1で具体的に説明したイオン交換基に
変換できる基を有するフッ素樹脂とイオン交換基を有さ
ないフッ素樹脂、即ち基材樹脂で説明したフッ素樹脂と
を混合後、成形し、成形体を得ることができる。
【0064】但し、基材樹脂としてポリテトラフルオロ
エチレンを用いた場合は、通常の射出、押出成形はでき
ないが、圧縮成形を基本としたポリテトラフルオロエチ
レンの成形方法によって成形することができる。
【0065】また、本発明フッ素樹脂成形体の製造方法
3では、前駆体の粉末又は分散液を基材の表面に静電塗
布法、或いは浸漬塗布法、スプレー塗布法等により塗布
した後、加熱によって融着し、成形することができる。
【0066】更に、基材の形状に合わせて内面を成形し
た金属製の型枠中に前駆体の粉末または分散液を前述し
た静電塗装法等の方法により塗布して前駆体の層を形成
した後、基材を該型枠に入れて加熱し、該前駆体の層と
基材とを融着させる方法も可能である。
【0067】この場合、用途によっては基材樹脂の形状
を変化させることなく加熱融着させる為、テトラフルオ
ロエチレンとイオン交換基に変換できる基を有するモノ
マーとの共重合体の融点を基材樹脂の融点より10℃、
好ましくは20℃程低くしておく必要がある。このよう
な共重合体を得るためにはテトラフルオロエチレンとイ
オン交換基に変換できる基を有するモノマーとの2元共
重合体の場合はイオン交換基に変換できる基を有するモ
ノマーの含有量が4モル%以上、好ましくは6モル%以
上20モル%以下とすれば良い。また、この系にアルキ
ルビニルエーテル、ヘキサフルオロプロピレン等の成分
を加えることによって融点を所望のものに低下させるこ
とができる。シート状の成形体の場合は、予めシート状
に成形した製造方法1で得られた共重体と基材樹脂とを
張り合わせた後、加熱融着することによっても製造する
ことができる。
【0068】更に本発明のフッ素樹脂成形体の製造方法
4では、製造方法1で具体的に説明したイオン交換基に
変換できる基を有するフッ素樹脂の粉末又は分散液を、
基材樹脂とを共押出成形することによって積層体を得る
ことができる。この場合、基材樹脂として通常の溶融押
出成形のできない樹脂、例えば、ポリテトラフルオロエ
チレンを用いた場合は予め成形したポリテトラフルオロ
エチレン上に製造方法1で具体的に説明したイオン交換
基に変換できる基を有するフッ素樹脂を押出ラミネート
する方法が選択でき、基材樹脂として通常の溶融成形で
きる樹脂を用いた場合は上記押出ラミネート法の他に、
2種の樹脂を溶融押出しつつ積層する共押出法を採用す
ることもできる。また、必要に応じて、3層以上の積層
体もこの製造方法で作ることができる。
【0069】以上で説明した製造方法によって製造した
フッ素樹脂成形体中のイオン交換基に変換できる基の陽
イオン交換基への変換は、通常用いられるアルカリ条件
下での加水分解反応が好ましい。この加水分解反応は、
数〜数十%のNaOH、KOH、テトラアルキルアンモ
ニウムハイドロオキシド等のアルカリを含む水溶液に成
形体を浸漬し、数時間〜百数十時間、室温〜100℃で
加熱すれば良い。この加水分解を促進する為に、メタノ
ール、エタノール、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒
を添加することは有効である。
【0070】本発明においては帯電防止層の厚みは、前
記したように、本発明の効果を発現する上で重要であ
り、製造方法1及び製造方法2の場合はイオン交換基に
変換できる基が厚み方向に均一に分布しており、帯電防
止層の厚みは、加水分解条件によって調整される。しか
しながら、この加水分解反応の条件は用いるアルカリの
濃度、温度、有機溶媒の種類、量、イオン交換基に変換
できる基の存在量、樹脂の組成等によって一概には決定
できない。従って、予め加水分解条件と加水分解によっ
て生成する帯電防止層の厚さ方向での濃度を測定してお
けば、本発明の範囲に帯電防止層の厚みを調節すること
ができる。上記製造方法1及び2の場合、表面がイオン
交換基の濃度が高く、厚み方向にイオン交換基の濃度が
低くなる濃度勾配が形成されるが、イオン交換基の濃度
が0.25モル%以上の濃度である層の厚みが1μm以
上であるのがよく、この帯電防止層の下にはイオン交換
基の濃度が0.20モル%未満、特に0.10モル%以
下の基体が存在すべきである。もちろん、帯電防止層と
基体との間には、イオン交換基の濃度が、それらの中間
にある遷移層が存在していても何ら差し支えない。
【0071】また本発明の製造方法3では本発明の効果
の発現に好ましい厚み以上となるようにイオン交換基に
変換できる基を有するフッ素樹脂を塗布、融着した後、
加水分解条件によって帯電防止層の厚みを調節すれば良
い。
【0072】製造方法3及び4の場合、前駆体層を全厚
みにわたって一様なイオン交換基濃度となるように変換
処理を行ってもよく、また、製造方法1及び2に述べた
のと同様に、イオン交換基の濃度勾配が形成されるよう
にイオン交換基への変換処理を行ってもよい。
【0073】加水分解はフッ素樹脂成形体の全表面でお
こなうことが好ましいが、用途によっては片面、または
一部の加水分解をおこなっても良い。
【0074】加水分解後の陽イオン交換基の対イオンは
Naイオン、Kイオンまたは水素イオンとなっている
が、他の金属イオン、水素イオン、アンモニウムイオン
への変換は公知の方法がなんら問題なく採用される。
【0075】
【発明の効果】以上の説明により理解されるように、通
常のフッ素樹脂は1016Ω以上の表面抵抗を有し、1時
間後の電圧減衰率は数%であるのに対し、本発明のフッ
素樹脂成形体の表面抵抗は1013Ω未満であり、また電
圧減衰率は数秒以内にほぼ100%となり、実質的にほ
とんど帯電しない。
【0076】本発明によって得られる帯電防止層を有し
たフッ素樹脂成形体は、現状のフッ素樹脂と異なり静電
気の発生がほとんど無く、また、静電気が発生した場合
の失散も速い。また、本発明のフッ素樹脂成形体は、基
材に実質的にイオン交換基を有していないので、薬液に
浸漬した場合、イオンや無機物又は有機物の吸着、透過
が無いため、薬液からの汚染が無く、また、このフッ素
樹脂成形体を他の薬液や水に移動した時にこれらの薬液
や水を必要以上に汚染することも無く、更には成形体の
寸法変化も無いなど、フッ素樹脂が本来有している優れ
た物性を保持することができる。
【0077】従って、本発明の成形体は、半導体製造工
業、食品工業、化学工業、或いは一般の理化学分野等で
の静電気の発生を嫌う分野において好適に用いることが
できる。
【0078】具体的には、静電気による埃等の付着が無
いため、薬液移送チューブ、継ぎ手、バルブ、ストレー
ナー、薬液容器、真空ピンセットのチップ、そのほか半
導体製造時の周辺部品、ウエハーキャリアー等の治具と
して好適に用いることができる。特に本発明のフッ素樹
脂成形体より成るウエハーキャリアーは、帯電防止性に
優れるため、静電気による使用雰囲気中の微粒子のウエ
ハーへの付着が十分効果的に抑えられるばかりでなく、
パーティクルの発生、不純イオンによる汚染等の問題も
なく、その結果、ウエハーの不良率を低く抑えることが
できるといった効果をもたらす。
【0079】また、本発明のチューブ(パイプを含む)
を用いて可燃性液体を移送した場合、帯電防止の効果に
よって静電気の発生、蓄積が防止され、従って着火の危
険性を防止することができるばかりでなく、パーティク
ルの発生、移送液体による膨潤、さらには移送液体の透
過の問題もなく、極めて有用である。
【0080】更に、食品製造分野においては本発明の成
形体を用いることにより、衛生上問題となる埃の付着を
防ぐことができる。
【0081】
【実施例】以下、本発明を詳細に説明するために実施例
を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0082】尚、フッ素樹脂成形体の表面抵抗率、電圧
減衰率、及び薬液吸着量は次のようにして求めた。
【0083】(1)表面抵抗率 JIS K−6911に準じて測定し、次の式によって
表面抵抗率を算出した。
【0084】
【数1】
【0085】ここで、 ρs:表面抵抗率(Ω) d :表面電極の内円の外径(cm) D :表面の環状電極の内径(cm) Rs:表面抵抗(Ω) 電圧 500V 測定時間 30秒 3回平均 (2)電圧減衰率 スタティック−ホネストメーター S−5109(宍戸
商会製)を用いて、電圧10kVを1分間かけ、電圧を
切ってからの電圧を測定した。 樹脂サイズ:40×40×0.25mm 減衰率=(初期電圧−t時間後の電圧)/初期電圧(単
位:%) (3)薬液吸着量 20分間の超純水リンスをおこなった試験片を洗浄済み
1lの石英容器にいれ、電子工業用硫酸500mlを加
え、室温で10分間保持して硫酸を該試験片に吸着させ
た。次いで、試験片を取り出し、超純水で20分間リン
スした後、超純水500mlを入れ、80℃で加熱し
た。2時間経過後、超純水をサンプリングし、イオンク
ロマトで分析し、該超純水に含まれる硫酸の量を試験片
表面積1cm2当たりで算出し、薬液の吸着量とした。
【0086】参考例1 攪拌機を有したステンレス製の500ml反応器に予め
蒸留により精製した1,1,2-トリクロロトリフルオロエタ
ン320gを入れた後、内部を脱気し、その後、窒素ガ
スで大気圧とした。反応器内にメタノール0.039g
及び、33.5gのCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fを入
れた後、攪拌モーターの回転数を800回転とし、テト
ラフルオロエチレンを導入し圧力を4kg/cm2−G
にした。
【0087】次いで、反応器内を25℃に保ちつつ、ビ
ス(ヘプタフルオロブチリル)ペルオキシドの1,1,2-ト
リクロロトリフルオロエタン溶液(5重量%)1.77
gを導入して重合を開始した。重合中、重合温度は25
℃に保った。反応開始120分後、反応器内の圧力を放
出し、反応器を冷却トラップを介し、真空ポンプに接続
し攪拌しつつ減圧にし、溶媒、未反応モノマー等の低沸
点成分をトラップ内に回収した。留出後、反応器を解体
し、共重合体を取り出し、150℃で12時間真空乾燥
したところ24gの共重合体が得られた。
【0088】核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクト
ルの測定結果より、上記共重合体中に、テトラフルオロ
エチレンに基づく単量体単位が95.7モル%、CF2=CF
OCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fに基づく単量体単位が4.3モ
ル%共重合したものであることが確認された。また、こ
の共重合体の372℃での比溶融粘度は、4.6×10
6ポアズであった。
【0089】実施例1 参考例1で得られた共重合体を厚さ0.25mmのフィ
ルムに溶融成形し、次いで、NaOH/DMSO/H2O=15/25/60wt
%の溶液に浸漬し、100℃で24時間加水分解を行っ
て帯電防止層を形成した。このフィルムのイオン交換基
の存在量を調べたところ表面では約4.3モル%、表面
から10μmのところでは約0.28モル%であり、表
面から20μm、及び中心付近では0.08モル%、
0.02モル%であった。従って、帯電防止層における
イオン交換基の濃度が0.25モル%以上である層の厚
みは10μmである。
【0090】次に、このフィルムの表面抵抗率を測定し
たところ5.4×108Ωであり、電圧減衰率を測定し
たところ1秒で100%減衰した。また、このフィルム
の薬液吸着を測定したところ1.0ppb/cm2であ
った。このフィルムをイオン交換水中に一夜浸漬したと
ころ膨潤による伸びは観測されなかった。
【0091】また、上記の方法によって得られた0.2
5mmのフィルムについて、パーティクルの発生テスト
を実施した。即ち、先ず、該フィルムを5cm×10c
mのサンプルに切り出し、クラス1000のクリーンル
ーム内で超純水で10分間リンスした。その後、容器に
電子工業用イソプロピルアルコールを入れ、5分間振と
う後放置した。1日後電子工業用イソプロピルアルコー
ルを入れ替え、5分間振とう後放置した。同様な入れ替
え操作を繰り返し1日後、7日後、14日後のイソプロ
ピルアルコールに含まれる0.3〜2μmのパーティク
ル数をパーティクルカウンター(リオン社製、KL−2
2)を用いて測定したところ。1日後で750個/m
l、7日後で90個/ml、14日後で45個/mlの
パーティクルが観測された。
【0092】なお、この実験でもちいた電子工業用イソ
プロピルアルコールに含まれるパーティクルは20〜4
0個/mlであった。
【0093】上記フィルムに対して、比較のため、PF
Aと90重量%に対し、導電性カーボン5重量%、炭素
繊維粉末5重量%を350℃に加熱されたニーダブラベ
ンダーで20分混合し、ついで350℃で溶融し、加圧
下冷却することによって0.25mm厚のシートを成形
した。
【0094】上記シートから切りだした5cm×10c
mのサンプル5枚を、実施例25と同様な操作をおこな
った。1日後で1250個/ml、7日後で1140個
/ml、14日後で960個/mlのパーティクルが観
測された。
【0095】実施例2〜4、比較例1 参考例1の共重合体の製造方法に準じて、イオン交換基
に変換できる基の含有率を変えて4種類の共重合体を
得、実施例1と同様にして厚さ0.25mmのフィルム
に溶融成形した。次いで、NaOH/DMSO/H2O=15/25/60wt%
の溶液に浸漬し、100℃で24時間加水分解を行って
帯電防止層を形成した。
【0096】加水分解後のフィルムの、帯電防止層にお
ける表面のイオン交換基濃度、イオン交換基の濃度が
0.25モル%以上の層の厚み、表面抵抗率及び、1秒
後の電圧減衰率、薬液吸着量、及び純水での膨潤による
伸びを測定した結果を表1に示した。
【0097】
【表1】
【0098】実施例5〜7 参考例1の共重合体の製造方法において、イオン交換基
に変換できる基を有するモノマーとして表2に示すもの
を使用した以外は参考例1と同様にして共重合体を得
た。
【0099】次に、実施例1と同様に厚さ0.25mm
のフィルムに溶融成形し、NaOH/DMSO/H2O=15/25/60wt%
の溶液に浸漬し、100℃で24時間加水分解を行っ
た。
【0100】また、帯電防止層表面におけるイオン交換
基の含有量、イオン交換基の濃度が0.25モル%以上
の層の厚み、表面抵抗率、1秒後の電圧減衰率、薬液吸
着量、及び純水での膨潤による伸びを測定した結果を表
2に示した。
【0101】
【表2】
【0102】実施例8 参考例1で得られた共重合体を厚さ0.25mmのフィ
ルムに溶融成形し、NaOH/DMSO/H2O=15/25/60wt%の溶液
に浸漬し、100℃で120時間加水分解を行った。得
られたフィルムの帯電防止層におけるイオン交換基の濃
度が0.25モル%以上の層の厚みは40μmであっ
た。
【0103】上記フィルムの表面抵抗率を測定したとこ
ろ1.6×108Ωであり、電圧減衰率を測定したとこ
ろ1秒で100%減衰した。また、このフィルムの薬液
吸着を測定したところ1.1ppb/cm2であった。
このフィルムをイオン交換水中に一夜浸漬したところ膨
潤による伸びは0.1%であった。
【0104】比較例2 参考例1で得られた共重合体を厚さ0.25mmのフィ
ルムに溶融成形し、NaOH/DMSO/H2O=15/25/60wt%の溶液
に浸漬し、100℃で1時間加水分解を行った。得られ
たフィルムの帯電防止層の厚みは0.5μmであった。
また、上記フィルムについて表面抵抗率を測定したとこ
ろ>1×1014Ωであった。さらに、1秒後の電圧減衰
率を測定したところ5分で4%減衰した。また、このフ
ィルムの薬液吸着を測定したところ0.8ppb/cm
2であった。このフィルムをイオン交換水中に一夜浸漬
したところ膨潤による伸びは0%であった。
【0105】実施例9 参考例1で得られた共重合体を厚さ0.25mmのフィ
ルムに溶融成形し、KOH/DMSO/H2O=15/25/60wt%の溶液
に浸漬し、100℃で24時間加水分解を行った。得ら
れたフィルムの帯電防止層におけるイオン交換基の濃度
が0.25モル%以上の層の厚みは10μmであった。
表面抵抗率を測定したところ4.4×108Ωであっ
た。さらに、電圧減衰率を測定したところ1秒で100
%減衰した。
【0106】実施例10 参考例1で得られた共重合体を厚さ0.25mmのフィ
ルムに溶融成形し、次いで、NaOH/DMSO/H2O=15/25/60wt
%の溶液に浸漬し、100℃で24時間加水分解を行っ
た。これを1規定の塩酸溶液に浸漬し30℃で24時間
攪拌した。得られたフィルムの帯電防止層におけるイオ
ン交換基の濃度が0.25モル%以上の層の厚みは10
μmであった。上記フィルムの表面抵抗率を測定したと
ころ1.1×109Ωであった。さらに、1秒後の電圧
減衰率を測定したところ1秒で100%減衰した。
【0107】実施例11 実施例10で得られたフィルムをアンモニア水に浸漬し
24時間攪拌した。得られたフィルムの表面抵抗率を測
定したところ3.1×109Ωであった。さらに、1秒
後の電圧減衰率を測定したところ1秒で100%減衰し
た。
【0108】実施例12〜14 ポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称す
る。)、またはテトラフルオロエチレンとアルキルビニ
ルエーテルとの共重合体(以下PFAと称する。)、ま
たはテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレ
ンとの共重合体(以下FEPと称する。)と実施例4で
得られた共重合体とを粉の状態で混合し、厚さ0.25
mmのフィルムに溶融成形し、NaOH/DMSO/H2O=15/25/60
wt%の溶液に浸漬し、100℃で24時間加水分解を行
った。
【0109】基材とイオン交換基に変換できる基を有す
るフッ素樹脂の混合割合、得られたフィルムの帯電防止
層における表面のイオン交換基の含有量、イオン交換基
の濃度が0.25モル%以上の層の厚み、表面抵抗率、
1秒後の電圧減衰率、薬液吸着量、及び純水での膨潤に
よる伸びを測定し、その結果を表3に示した。
【0110】
【表3】
【0111】実施例15〜17 PTFE、PFA、テトラフルオロエチレンとCF2=CFOC
H2CF2CF3との共重合体(テトラフルオロエチレンを94
モル%含む)の成形体フィルムの表面に、参考例1で得
られた共重合体の粉体を均一に付着させた後、加熱雰因
気の電気炉に入れフィルムの表面の粉のみを溶融させ付
着させた。これを、NaOH/DMSO/H2O=15/25/60wt%の溶液
に浸漬し、100℃で24時間加水分解を行って帯電防
止層を形成した。
【0112】得られたフィルムの帯電防止層におけるイ
オン交換基の濃度が0.25モル%以上の層の厚み、表
面抵抗率1秒後の電圧減衰率、薬液吸着量、及び純水で
の膨潤による伸びを測定した結果を表4に示した。
【0113】
【表4】
【0114】実施例18 実施例6で得られたフィルムを1規定の塩酸に浸漬し、
30℃で24時間攪拌してイオン交換基を酸型とした。
このフィルムの表面抵抗率を測定したところ2.1×1
12Ωであった。また1秒後の電圧減衰率は76%であ
った。
【0115】参考例2 参考例1の製造方法に準じてCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2
SO2F 4.8モル%とテトラフルオロエチレン 95.
2モル%との共重合体を製造した。
【0116】実施例19 参考例2で得られた共重合体から、射出成形法によって
6インチ用ウエハーキャリアー(25枚容量:図1に略
図を示した。)を成形した。このウエハーキャリアー
を、NaOH/DMSO/H2O=15/25/60wt%の溶液に浸漬し、10
0℃で24時間加水分解を行った。
【0117】得られたウエハーキャリアーの一部を切り
出し、帯電防止層におけるイオン交換基の濃度が0.2
5モル%以上の層の厚みを測定した結果、15μmであ
った。
【0118】このウエハーキャリアーにウエハーをセッ
トした後、クラス1000クリーンルーム内に24時間
放置した。この間、ウエハーキャリアーの最端部に保持
されたウエハー全面に付着した0.3μm以上のパーテ
ィクルは5個であった。
【0119】次に、このウエハーキャリアーの表面抵抗
率を測定したところ1.8×108Ωであった。またウ
エハーキャリアーの一部を切り出して電圧減衰率を測定
したところ1秒で100%であった。
【0120】比較例3 市販PFAをもちいた他は実施例19と同様にしてウエ
ハーキャリアーを成形し、ウエハーをセットした後、ク
ラス1000クリーンルーム内で24時間放置したとこ
ろ、ウエハーキャリアーの最端部に保持されたウエハー
に付着した0.3μm以上のパーティクルは約300個
であった。
【0121】次に、このウエハーキャリアーの表面抵抗
率を測定したところ>1×1014Ωであった。またウエ
ハーキャリアーの一部を切り出して電圧減衰率を測定し
たところ5分後で0.8%、30分後で6%であった。
【0122】実施例20 市販PFAを用い、射出成形法によって実施例19と同
じ型のウエハーキャリアーを成形した。このウエハーキ
ャリアーに合わせたSUS製の型枠の内側に参考例2で
得られた共重合体を静電塗布し、次いで型枠にウエハー
キャリアーを入れ、350℃に加熱した電気炉に入れ、
前駆体をウエハーキャリアー表面に融着した。このウエ
ハーキャリアーを(CH3)4N+OH-/DMSO/H2O=15/25/60wt%の
溶液に浸漬し、100℃で24時間加水分解をおこなっ
た。ウエハーキャリアーから数カ所切り出して、イオン
交換基の濃度を測定した。その結果、表面付近、また表
面から約80μm、及び100μmでの濃度は平均4.
8モル%、3.8モル%、0.05モル%であり、これ
より帯電防止層の厚みは約95μmであるといえる。
【0123】また、表面抵抗率は2.1×108Ωであ
り、電圧減衰率は1秒で100%であった。次に該ウエ
ハーキャリアーの一部を切り出し、薬液吸着試験をおこ
なったところ、1.8ppb/cm2であった。
【0124】実施例21 実施例20と同様にして、ウエハーキャリアーを製造し
た。このウエハーキャリアーから数カ所切り出して、イ
オン交換基の濃度を測定した。その結果、表面付近、ま
た表面から約300μm及び340μmでの濃度は平均
4.8モル%、4.1モル%、0.1モル%であり、こ
れより帯電防止層の厚みは約330μmであるといえ
る。該ウエハーキャリアーの表面抵抗率は2.1×10
8Ωであり、電圧減衰率は1秒で100%であった。ま
た薬液吸着量は35ppb/cm2であった。
【0125】実施例22 市販PFAと参考例2で得られた共重合体を用い、2層
押出成形法によって外形8mm、内径6mmのチューブ
を成形した。この場合、市販PFAの厚みは、2.95
mm、参考例2で得られた共重合体の厚み(帯電防止層
の厚み)は50μmであった。このチューブを、NaOH/D
MSO/H2O=15/25/60wt%の溶液に浸漬し、100℃で24
時間加水分解を行った。チューブを切り開いて、表面抵
抗率を測定したところ4.1×108Ωであり、電圧減
衰率は1秒で100%であった。また、このチューブの
イオン交換基の濃度は表面付近、表面から約50μm及
び70μmでの濃度は平均4.7モル%、3.8モル
%、0.1モル%であり、これより帯電防止層の厚みは
約65μmであるといえる。
【0126】また、このチューブを純水中に一夜浸漬し
たところ、長さ方向、直径方向の膨潤による伸びは観察
されなかった。
【0127】更に、該チューブ10cmに電子工業用硫
酸を入れ、超純水の入った200mlの石英容器に入
れ、室温で保持し、24時間後に、超純水をイオンクロ
マトで分析し、薬液透過量を算出したところ、5×10
-12g・cm/cm2・sであった。
【0128】比較例4 参考例2で得られた共重合体を用い、押出成形法によっ
ての外形8mm、内径6mmのチューブを成形した。こ
のチューブを、NaOH/DMSO/H2O=15/25/60wt%の溶液に浸
漬し、100℃で7日間加水分解を行った。該チューブ
を切り開いて、表面抵抗率を測定したところ4.0×1
8Ωであり、電圧減衰率は1秒で100%であった。
またほぼ中心部のイオン交換基の含有率は3.2モル%
であった。また、このチューブを純水中に一夜浸漬した
ところ、長さ方向、直径方向の膨潤による伸びは、各々
4.8%、5.3%であり、また薬液透過量は7×10
-9g・cm/cm2・sであった。
【0129】実施例23 比較例1と同様にしてCF2=CFOCF2CF2CF2CO2CH3とテトラ
フルオロエチレンとの共重合体を得た。この共重合体は
CF2=CFOCF2CF2CF2CO2CH3に由来する単量体単位を4.2
モル%含んでいた。この共重合体を溶融成形によって厚
さ0.35mmのフィルムとした。このフィルムを五塩
化リン/オキシ塩化リン中で120℃24時間加熱し
た。次に、この膜を洗浄、乾燥した後乾燥エーテル中
で、ジメチルアミンとの反応をおこなった。次いでこの
膜を乾燥ジクライム中、水素化ホウ素ナトリウムで10
0℃18時間反応をおこない還元した後、メタノール溶
液中でヨウ化メチルとの反応を60℃で16時間をおこ
ない、陰イオン交換基へ変換した。IR分析の結果、表
面付近、表面から75μm、120μmのイオン交換基
の濃度は3.8モル%、0.26モル%、0モル%であ
り、帯電防止層は75μmであった。また得られたフィ
ルムの表面抵抗率を測定したところ4.5×108Ωで
あり、1秒後の電圧減衰率は100%であった。
【0130】実施例24 参考例1で得られた共重合体を厚さ0.25mmのフィ
ルムに溶融成形し、NaOH/DMSO/H2O=15/25/60wt%の溶液
に浸漬し、100℃で72時間加水分解を行った。IR
スペクトル測定の結果、フィルム表面、及び表面から5
0μm、60μm、70μmでのイオン交換基存在量は
3.8モル%、3.7モル%、0.25モル%、0.0
1モル%であり、中心付近ではイオン交換基は検出され
なかった。従ってこのフィルムの帯電防止層の厚みは6
0μmといえる。このフィルムの表面抵抗率を測定した
ところ5.2×108Ωであり、電圧減衰率を測定した
ところ1秒で100%減衰した。また薬液吸着は0.9
ppb/cm2であり、イオン交換水中に一夜浸漬した
ところ膨潤による伸びは0.1%であった。
【0131】比較例5 参考例1で得られた共重合体を厚さ0.25mmのフィ
ルムに溶融成形し、NaOH/DMSO/H2O=15/25/60wt%の溶液
に浸漬し、100℃で168時間加水分解を行った。I
Rスペクトル測定の結果、フィルム表面、表面から50
μm、中心付近でのイオン交換基存在量は4.3モル
%、1.0モル%、0.8モル%であった。表面抵抗率
を測定したところ3.8×108Ωであり、電圧減衰率
を測定したところ1秒で100%減衰した。また薬液吸
着は65ppb/cm2であり、イオン交換水中に一夜
浸漬したところ膨潤によって約4.5%伸びていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のフッ素樹脂成形体によって構成され
るウエハーキャリアーの代表的な構造を示す斜視図
【符号の説明】
1 ウエハーキャリアー本体 2 ウエハー保持用の溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29K 27:12 C08L 27:12 C08L 27:12 B65D 85/38 S (56)参考文献 特開 昭55−41810(JP,A) 特開 昭62−276049(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/12 B29D 23/00 C08J 7/04 H01L 21/68 B65D 85/86

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン交換基の量が、イオン交換基を含
    む単量体に換算して0.20モル%未満のフッ素樹脂よ
    りなる基材の表層に、パーフルオロスルホン酸基又はパ
    ーフルオロカルボン酸基よりなるイオン交換基を存在さ
    せることによって表面抵抗率が1013Ω以下に調整さ
    れたフッ素樹脂よりなる帯電防止層を有するフッ素樹脂
    成形体。
  2. 【請求項2】 帯電防止層が、パーフルオロスルホン酸
    基又はパーフルオロカルボン酸基よりなるイオン交換基
    がパーフルオロ炭素鎖又はパーフルオロエーテル鎖を介
    して化学的にフッ素樹脂に結合している請求項1記載の
    フッ素樹脂成形体。
  3. 【請求項3】 帯電防止層が0.25モル%以上の濃度
    でイオン交換基を含有するフッ素樹脂よりなる層を含む
    請求項1記載のフッ素樹脂成形体。
  4. 【請求項4】 10kVの電圧を1分間かけて、1秒後
    の電圧減衰率が70%以上である請求項1記載のフッ素
    樹脂成形体。
  5. 【請求項5】 帯電防止層において、0.25モル%以
    上の濃度でイオン交換基を含有するフッ素樹脂よりなる
    層の厚みが、1〜500μmである請求項1記載のフッ
    素樹脂成形体よりなるウエハーキャリアー。
  6. 【請求項6】 内面および/または外面に帯電防止層が
    形成され、且つ基材の厚みが10μm以上である請求項
    1記載のフッ素樹脂成形体よりなるチューブ。
  7. 【請求項7】 少なくとも一面に帯電防止層が形成さ
    れ、且つ基材の厚みが10μm以上である請求項1記載
    のフッ素樹脂成形体よりなるフィルム。
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