JP3450594B2 - 液体吐出ヘッド、液体吐出装置および液体吐出記録方法 - Google Patents

液体吐出ヘッド、液体吐出装置および液体吐出記録方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギーを液
体に作用させることで起こる気泡の発生によって、所望
の液体を吐出する液体吐出ヘッドに係るものであり、特
に、気泡の発生を利用して変位する可動部材を有する液
体吐出ヘッドに関するものである。
【0002】なお、本発明における、「記録」とは、文
字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与
することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像
を付与することをも意味するものである。
【0003】
【従来の技術】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわ
ゆるバブルジェット記録方法が従来知られている。この
バブルジェット記録方法を用いる記録装置には、USP
4,723,129等の公報に開示されているように、
インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に連通す
るインク流路と、インク流路内に配されたインクを吐出
するためのエネルギー発生手段としての電気熱変換体が
一般的に配されている。
【0004】この様な記録方法によれば、品位の高い画
像を高速、低騒音で記録することができると共に、この
記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出
口を高密度に配置することができるため、小型の装置で
高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得る
ことができるという多くの優れた点を有している。この
ため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利
用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムに
まで利用されるようになってきている。
【0005】このようにバブルジェット技術が多方面の
製品に利用されるに従って、次のような様々な要求が近
年さらにたかまっている。
【0006】例えば、吐出効率の向上の要求に対する検
討としては、保護膜の厚さを調整するといった発熱体の
最適化が挙げられている。この手法は、発生した熱の液
体への伝搬効率を向上させる点で効果がある。
【0007】また、高画質な画像を得るために、インク
の吐出スピードが速く、安定した気泡発生に基づく良好
なインク吐出を行える液体吐出方法等を与えるための駆
動条件が提案されたり、また、高速記録の観点から、吐
出された液体の液流路内への充填(リフィル)速度の速
い液体吐出ヘッドを得るために流路形状を改良したもの
も提案されている。
【0008】この流路形状の内、流路構造として図6
(a),(b)に示すものが、特開昭63−19997
2号公報等に記載されている。この公報に記載されてい
る流路構造やヘッド製造方法は、気泡の発生に伴って発
生するバック波(吐出口18へ向かう方向とは逆の方向
へ向かう圧力、即ち、液室54へ向かう圧力)に着目し
た発明である。このバック波は、吐出方向へ向かうエネ
ルギーでないため損失エネルギーとして知られている。
【0009】図6(a),(b)に示す発明は、発熱素
子2が形成する気泡の発生領域よりも離れ且つ、発熱素
子2に関して吐出口18とは反対側に位置する弁55を
開示する。
【0010】図6(b)においては、この弁55は、板
材等を利用する製造方法によって、液流路10の天井に
貼り付いたように初期位置を持ち、気泡の発生に伴って
液流路10内へ垂れ下がるものとして開示されている。
この発明は、上述したバック波の一部を弁55によって
制御することでエネルギー損失を抑制するものとして開
示されている。
【0011】しかしながら、この構成において、吐出す
べき液体を保持する液流路10内部に、気泡が発生した
際を検討するとわかるように、弁55によるバック波の
一部を抑制することは、液体吐出にとっては実用的なも
のでないことがわかる。
【0012】もともとバック波自体は、前述したように
吐出に直接関係しないものである。このバック波が液流
路10内に発生した時点では、図6(b)に示すよう
に、気泡のうち吐出に直接関係する圧力はすでに液流路
10から液体を吐出可能状態にしている。従って、バッ
ク波のうち、しかもその一部を抑制したからといって
も、吐出に大きな影響を与えないことは明らかである。
【0013】また、記録液のリフィルを向上させ、周波
数応答性に優れたヘッドの発明が、特開昭63−199
972号公報に記載されている。この発明によれば、副
流路を設け、ノズルのヒーター近傍で連通させてある。
リフィル時、この副流路からもインクを供給し、リフィ
ルの時間短縮を図ったものである。
【0014】しかしながら、このような構成のヘッドで
は、発泡時に発生する吐出力の一部が副流路に逃げてし
まうため、吐出効率の低下が起ってしまうおそれがあっ
た。他方、バブルジェット記録方法においては、発熱体
がインクに接した状態で加熱を繰り返すため、発熱体の
表面にインクの焦げによる堆積物が発生するが、インク
の種類によってはこの堆積物が多く発生することで、気
泡の発生を不安定にしてしまい、良好なインクの吐出を
行うことが困難な場合があった。また、吐出すべき液体
が熱によって劣化しやすい液体の場合や十分に発泡が得
られにくい液体の場合においても、吐出すべき液体を変
質させず、良好に吐出するための液体吐出ヘッドが望ま
れていた。
【0015】このような観点から、熱により気泡を発生
させる液体(発泡液)と吐出する液体(吐出液)とを別
液体とし、発泡による圧力を吐出液に伝達することで吐
出液を吐出する方法が、特開昭61−69467号公
報、特開昭55−81172号公報、USP4,48
0,259号等の公報に開示されている。これらの公報
では、吐出液であるインクと発泡液とをシリコンゴムな
どの可撓性膜で完全分離し、発熱体に吐出液が直接接し
ないようにすると共に、発泡液の発泡による圧力を可撓
性膜の変形によって吐出液に伝える構成をとっている。
このような構成によって、発熱体表面の堆積物の防止
や、吐出液体の選択自由度の向上等を達成している。
【0016】しかしながら、前述のように吐出液と発泡
液とを完全分離する構成のヘッドにおいては、発泡時の
圧力を可撓性膜の伸縮変形によって吐出液に伝える構成
であるため、発泡による圧力を可撓性膜がかなり吸収し
てしまう。また、可撓性膜の変形量もあまり大きくない
ため、吐出液と発泡液とを分離することによる効果を得
ることはできるものの、吐出効率や吐出力が低下してし
まう虞があった。
【0017】上述の様に、近年、バブルジェット技術を
用いた多方面への展開が成されつつあるが、こうした
中、粘度や熱的性質を含む吐出液体の特性の選択の自由
度を広げ、良好な吐出を行なうことができる液体吐出ヘ
ッドが望まれている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、基本的に従
来の気泡(特に膜沸騰に伴う気泡)を液流路中に形成し
て液体を吐出する方式の、根本的な吐出特性を、従来で
は考えられなかった観点から、従来では予想できない水
準に高めることを主たる課題とする。
【0019】発明者達の一部は、液滴吐出の原理に立ち
返り、従来では得られなかった気泡を利用した新規な液
滴吐出方法及びそれに用いられるヘッド等を提供すべく
鋭意研究を行った。このとき、流路中の可動部材の機構
の原理を解析すると言った液流路中の可動部材の動作を
起点とする第1技術解析、及び気泡による液滴吐出原理
を起点とする第2技術解析、さらには、気泡形成用の発
熱体の気泡形成領域を起点とする第3解析を行うことに
した。
【0020】これらの解析によって、可動部材の支点と
自由端の配置関係を吐出口側つまり下流側に自由端が位
置する関係にすること、また可動部材を発熱体もしく
は、気泡発生領域に面して配することで積極的に気泡を
制御する全く新規な技術を確立するに至った。
【0021】つぎに、気泡自体が吐出量に与えるエネル
ギーを考慮すると気泡の下流側の成長成分を考慮するこ
とが吐出特性を格段に向上できる要因として最大である
との知見に至った。つまり、気泡の下流側の成長成分を
吐出方向へ効率よく変換させることこそ吐出効率、吐出
速度の向上をもたらすことも判明した。このことから、
発明者達の一部は気泡の下流側の成長成分を積極的に可
動部材の自由端側に移動させるという従来の技術水準に
比べ極めて高い技術水準に至った。
【0022】さらに、気泡を形成するための発熱領域、
例えば電気熱変換体の液体の流れ方向の面積中心を通る
中心線から下流側、あるいは、発泡を司る面における面
積中心等の気泡下流側の成長にかかわる可動部材や液流
路等の構造的要素を勘案することも好ましいということ
がわかった。
【0023】発明者達の一部及び本出願人は、このよう
に研究で得られた知見および、総合的観点から優れた液
体の吐出原理を出願していますが、本発明者達は、この
発明を前提に、より好ましい着想を想起するに至った。
【0024】特に本発明で注目したことは、可動部材の
配置と液供給路の構造を考慮することで、リフィルを大
幅に向上させるといった、極めて有効、かつ、合理的な
技術を導き出すに至った。
【0025】本発明の主たる目的は以下の通りである本
発明の第1の目的は、可動部材の弁機構によって、バッ
ク波を防止すると同時に、吐出液が液流路から受ける抵
抗を少なくし、リフィルを向上させた液体吐出ヘッドを
提供することにある。
【0026】本発明の第2の目的は、バック波による液
体供給方向とは逆方向への慣性力が働くのを抑えると同
時に、可動部材の弁機構によって、メニスカス後退量を
低減させることで、リフィル周波数を高め、印字スピー
ド等を向上させた液体吐出ヘッドを提供することにあ
る。
【0027】本発明の第3の目的は、可動部材の弁機構
が気泡の発生により作動する際、液流路から受ける抵抗
を少なくし、吐出効率を向上させた液体吐出ヘッドを提
供することにある。
【0028】第4の目的は、発生した気泡を根本的に制
御することで極めて新規な液体吐出ヘッドを提供するこ
とにある。
【0029】本発明の第5の目的は、吐出効率、吐出圧
力の向上を図りつつ、発熱体上の液体への蓄熱を大幅に
軽減できると共に、発熱体上の残留気泡の低減を図るこ
とで、良好な液体の吐出を行いうる液体吐出ヘッドを提
供することにある。
【0030】本発明の第6の目的は、発熱体上への堆積
物を低減すると共に、吐出用液の用途範囲を広げること
ができ、しかも吐出効率や吐出力が十分に高い液体吐出
ヘッドを提供することにある。
【0031】本発明の第7の目的は、吐出する液体の選
択自由度を高くできる液体吐出ヘッドを提供することに
ある。
【0032】本発明の第8の目的は前述のような液体吐
出ヘッドの製造を容易に成しうる液体吐出ヘッドの製造
方法を提供することにある。
【0033】本発明の第9の目的は複数の液体を供給す
るための液体導入路を少ない部品点数で構成することで
製造が容易で安価なヘッドを提供すること、また小型化
が図れた液体吐出ヘッドを提供することである。
【0034】
【課題を解決するための手段】上述のような目的を達成
するための本発明の代表的な要件は、次のようなもので
ある。
【0035】液体を吐出する吐出口と、液体に気泡を発
生させる気泡発生領域と、前記気泡発生領域に面して配
され、第1の位置と該第1の位置よりも前記気泡発生領
域から遠い第2の位置との間を変位可能な可動部材とを
有し、該可動部材は、前記気泡発生領域での気泡の発生
に基づく圧力によって、前記第1の位置から前記第2の
位置へ変位すると共に、前記可動部材の変位によって前
記気泡を吐出口に向かう方向の上流よりも下流に大きく
膨張させることで液体を吐出する液体吐出ヘッドであっ
て、前記吐出口と連通している複数の第1の液流路を有
し、 前記第1の液流路に液体を供給する第1の共通液室
は、前記第1の液流路より静止状態の可動部材を含む面
と垂直方向に高く、前記可動部材の支点が、前記第1の
共通液室に存在し、静止状態における自由端が、前記第
1の液流路内に存在する液体吐出ヘッド。
【0036】もしくは、液体を吐出する吐出口と、液体
に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる発熱体と
該発熱体に沿った該発熱体より上流側から前記発熱体上
に液体を供給するための供給路とを有する液流路と、前
記発熱体に面して設けられ吐出口側に自由端を有し前記
気泡の発生による圧力に基づいて前記自由端を変位させ
て前記圧力を吐出口側に導く可動部材と、を有する液体
吐出ヘッドであって、前記液流路は、前記吐出口と連通
している複数の第1の液流路を含み、 前記第1の液流路
に液体を供給する第1の共通液室は、前記第1の液流路
より静止状態の可動部材を含む面と垂直方向に高く、前
記可動部材の支点が、前記第1の共通液室に存在し、静
止状態における自由端が、前記第1の液流路内に存在す
る液体吐出ヘッド。
【0037】もしくは、液体を吐出する吐出口と、液体
に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる発熱体
と、前記発熱体に面して設けられ吐出口側に自由端を有
し前記気泡の発生による圧力に基づいて前記自由端を変
位させて前記圧力を吐出口側に導く可動部材と、前記可
動部材の前記発熱体に近い面に沿った上流側から前記発
熱体上に液体を供給する供給路と、を有する液体吐出ヘ
ッドであって、前記吐出口と連通している複数の第1の
液流路を有し、 前記第1の液流路に液体を供給する第1
の共通液室は、前記第1の液流路より静止状態の可動部
材を含む面と垂直方向に高く、前記可動部材の支点が、
前記第1の共通液室に存在し、静止状態における自由端
が、前記第1の液流路内に存在する液体吐出ヘッド。
【0038】もしくは、吐出口に連通した複数の第1の
液流路と、液体に熱を加えることで該液体に気泡を発生
させる気泡発生領域を有する第2の液流路と、前記第1
の液流路と前記気泡発生領域との間に配され、吐出口側
に自由端を有し、前記気泡発生領域内での気泡の発生に
よる圧力に基づいて該自由端を前記第1の液流路側に変
位させて前記圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導く
可動部材とを有する液体吐出ヘッドであって、前記第1
の液流路に液体を供給する第1の共通液室は、前記第1
の液流路より静止状態の可動部材を含む面と垂直方向に
高く、前記可動部材の支点が、前記第1の共通液室に存
在し、静止状態における自由端が、前記第1の液流路内
に存在する液体吐出ヘッド。
【0039】もしくは、液体を吐出するための複数の吐
出口と、それぞれの吐出口に対応して直接連通する複数
の第1の液流路を構成するための複数の溝と、前記複数
の第1の液流路に液体を供給するための第1の共通液室
を構成する凹部とを一体的に有する溝付き部材と、液体
に熱を与えることで液体に気泡を発生させるための複数
の発熱体が配された素子基板と、前記溝付き部材と該素
子基板との間に配され、前記発熱体に対応しており液体
に気泡を発生させる気泡発生領域を有する第2の液流路
の壁の一部を構成すると共に、前記発熱体に面した位置
に前記気泡の発生に基づく圧力によって前記第1の液流
路側に変位する可動部材とを具備した分離壁と、を有す
る液体吐出ヘッドであって、前記第2の液流路の複数に
液体を供給するための第2の共通液室を有し、 前記第1
の共通液室は、前記第1の液流路より静止状態の可動部
材を含む面と垂直方向に高く、前記可動部材の支点が、
前記第1の共通液室に存在し、静止状態における自由端
が、前記第1の液流路内に存在する液体吐出ヘッド。
【0040】上述したような、極めて新規な吐出原理に
基づく本発明の液体吐出ヘッドによると、可動部材の支
点を、第1共通液室に存在させることで、可動部材が変
位する際の、吐出流路の天井壁からの抵抗を最小限にす
ることができるため吐出効率を、更に向上することがで
きる。
【0041】また、第1の液流路が短く、吐出液の流路
抵抗が少ないので、特に今までリフィルが問題とされて
いた、高粘度記録液の吐出をも可能とした。
【0042】また、特に本発明のリフィル特性を向上し
た構成によれば、連続吐出時の応答性、気泡の安定成
長、液滴の安定化を達成して、高速液体吐出による高速
記録また高画質記録を可能にすることができた。また、
発生する気泡とこれによって変位する可動部材との相乗
効果を得ることができ、吐出口近傍の液体を効率よく吐
出できるため、従来のバブルジェット方式の吐出ヘッド
に比べて、吐出効率を向上できる。例えば本発明の最も
好ましい形態においては2倍以上という飛躍的な吐出効
率の向上を達成できた。
【0043】この発明の特徴的な構成によれば、低温や
低湿で長期放置を行った場合であっても不吐出になるこ
とを防止でき、仮に不吐出になっても、予備吐出や吸引
回復といった回復処理をわずかに行うだけで正常状態に
即座に復帰できる利点もある。
【0044】具体的には64個の吐出口を持つ従来のバ
ブルジェット方式のヘッドの大半が不吐出になるような
長期放置条件においても、本発明のヘッドでは約半分以
下の吐出口が吐出不良になるだけである。また、これら
のヘッドを予備吐出で回復した場合、各吐出口に対して
従来ヘッドで数千発の予備吐出を行う必要があったが、
本発明では100発程度の予備吐出で回復を行うだけで
十分であった。これは、回復時間の短縮や回復による液
体の損失を低減でき、ランニングコストも大幅に下げる
ことが可能であることを意味する。
【0045】本発明のその他の効果については、各実施
例の記載から理解される。
【0046】なお、本発明の説明で用いる「上流」「下
流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(又は可動部
材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、
又はこの構成上の方向に関しての表現として表されてい
る。
【0047】また、気泡自体に関する「下流側」とは、
主として液滴の吐出に直接作用するとされる気泡の吐出
口側部分を代表する。より具体的には気泡の中心に対し
て、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する下流側、
又は、発熱体の面積中心より下流側の領域で発生する気
泡を意味する。
【0048】また、本発明の説明で用いる「実質的に密
閉」とは、気泡が成長するとき、可動部材が変位する前
に可動部材の周囲の隙間(スリット)から気泡がすり抜
けない程度の状態を意味する。
【0049】さらに、本発明でいう「分離壁」とは、広
義では気泡発生領域と吐出口に直接連通する領域とを区
分するように介在する壁(可動部材を含んでもよい)を
意味し、狭義では気泡発生領域を含む流路を吐出口に直
接連通する液流路とを区分し、それぞれの領域にある液
体の混合を防止するものを意味する。
【0050】さらに、本発明でいう「櫛歯」とは、可動
部材の支点部が共通部材になっており、自由端の前方が
解放されている形状を意味する。
【0051】
【実施例】
(原理説明)以下、図面を参照して本発明に適用可能な
吐出原理について詳細に説明する。図1は液体吐出ヘッ
ドを液流路方向で切断した断面模式図を示しており、図
2はこの液体吐出ヘッドの部分破断斜視図を示してい
る。
【0052】図1の液体吐出ヘッドは、液体を吐出する
ための吐出エネルギー発生素子として、液体に熱エネル
ギーを作用させる発熱体2(本実施例においては40μ
m×105μmの形状の発熱抵抗体)が素子基板1に設
けられており、この素子基板上に発熱体2に対応して液
流路10が配されている。液流路10は吐出口18に連
通していると共に、複数の液流路10に液体を供給する
ための共通液室33に連通しており、吐出口から吐出さ
れた液体に見合う量の液体をこの共通液室33から受け
取る。
【0053】この液流路10の素子基板上には、前述の
発熱体2に対向するように面して、金属等の弾性を有す
る材料で構成され、平面部を有する板状の可動部材31
が片持梁状に設けられている。この可動部材の一端は液
流路10の壁や素子基板上に感光性樹脂などをパターニ
ングして形成した土台(支持部材)34等に固定されて
いる。これによって、可動部材は保持されると共に支点
(支点部分)33を構成している。
【0054】この可動部材31は、液体の吐出動作によ
って共通液室33から可動部材31を経て吐出口18側
へ流れる大きな流れの上流側に支点(支点部分;固定
端)33を持ち、この支点33に対して下流側に自由端
(自由端部分)32を持つように、発熱体2に面した位
置に発熱体2を覆うような状態で発熱体から15μm程
度の距離を隔てて配されている。この発熱体と可動部材
との間が気泡発生領域となる。なお発熱体、可動部材の
種類や形状および配置はこれに限られることなく、後述
するように気泡の成長や圧力の伝搬を制御しうる形状お
よび配置であればよい。なお、上述した液流路10は、
後に取り上げる液体の流れの説明のため、可動部材31
を境にして直接吐出口18に連通している部分を第1の
液流路14とし、気泡発生領域11や液体供給路12を
有する第2の液流路16の2つの領域に分けて説明す
る。
【0055】発熱体2を発熱させることで可動部材31
と発熱体2との間の気泡発生領域11の液体に熱を作用
し、液体にUSP4,723,129に記載されているような膜沸騰
現象に基づく気泡を発生させる。気泡の発生に基づく圧
力と気泡は可動部材に優先的に作用し、可動部材31は
図1(b)、(c)もしくは図2で示されるように支点
33を中心に吐出口側に大きく開くように変位する。可
動部材31の変位若しくは変位した状態によって気泡の
発生に基づく圧力の伝搬や気泡自身の成長が吐出口側に
導かれる。
【0056】ここで、本発明に適用される基本的な吐出
原理の一つを説明する。本発明において最も重要な原理
の1つは、気泡に対面するように配された可動部材が気
泡の圧力あるいは気泡自体に基づいて、定常状態の第1
の位置から変位後の位置である第2の位置へ変位し、こ
の変位する可動部材31によって気泡の発生に伴う圧力
や気泡自身を吐出口18が配された下流側へ導くことで
ある。
【0057】この原理を可動部材を用いない従来の液流
路構造を模式的に示した図3と本発明の図4とを比較し
てさらに詳しく説明する。なおここでは吐出口方向への
圧力の伝搬方向をVA、上流側への圧力の伝搬方向をVB
として示した。
【0058】図3で示されるような従来のヘッドにおい
ては、発生した気泡40による圧力の伝搬方向を規制す
る構成はない。このため気泡40の圧力伝搬方向はV1〜
V8のように気泡表面の垂線方向となり様々な方向を向い
ていた。このうち、特に液吐出に最も影響を及ぼすVA
方向に圧力伝搬方向の成分を持つものは、V1〜V4即ち気
泡のほぼ半分の位置より吐出口に近い部分の圧力伝搬の
方向成分であり、液吐出効率、液吐出力、吐出速度等に
直接寄与する重要な部分である。さらにV1は吐出方向V
Aの方向に最も近いため効率よく働き、逆にV4はVAに向
かう方向成分が比較的少ない。
【0059】これに対して、図4で示される本発明の場
合には、可動部材31が図3の場合のように様々な方向
を向いていた気泡の圧力伝搬方向V1〜V4を下流側(吐出
口側)へ導き、VAの圧力伝搬方向に変換するものであ
り、これにより気泡40の圧力が直接的に効率よく吐出
に寄与することになる。そして、気泡の成長方向自体も
圧力伝搬方向V1〜V4と同様に下流方向に導かれ、上流よ
り下流で大きく成長する。このように、気泡の成長方向
自体を可動部材によって制御し、気泡の圧力伝搬方向を
制御することで、吐出効率や吐出力また吐出速度等の根
本的な向上を達成することができる。
【0060】次に図1に戻って、上述した液体吐出ヘッ
ドの吐出動作について詳しく説明する。
【0061】図1(a)は、発熱体2に電気エネルギー
等のエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体が
熱を発生する前の状態である。ここで重要なことは、可
動部材31が、発熱体の発熱によって発生した気泡に対
し、この気泡の少なくとも下流側部分に対面する位置に
設けられていることである。つまり、気泡の下流側が可
動部材に作用するように、液流路構造上では少なくとも
発熱体の面積中心3より下流(発熱体の面積中心3を通
って流路の長さ方向に直交する線より下流)の位置まで
可動部材31が配されている。
【0062】図1(b)は、発熱体2に電気エネルギー
等が印加されて発熱体2が発熱し、発生した熱によって
気泡発生領域11内を満たす液体の一部を加熱し、膜沸
騰に伴う気泡を発生させた状態である。
【0063】このとき可動部材31は気泡40の発生に
基づく圧力により、気泡40の圧力の伝搬方向を吐出口
方向に導くように第1位置から第2位置へ変位する。こ
こで重要なことは前述したように、可動部材31の自由
端32を下流側(吐出口側)に配置し、支点33を上流
側(共通液室側)に位置するように配置して、可動部材
の少なくとも一部を発熱体の下流部分すなわち気泡の下
流部分に対面させることである。
【0064】図1(c)は気泡40がさらに成長した状
態であるが、気泡40発生に伴う圧力に応じて可動部材
31はさらに変位している。発生した気泡は上流より下
流に大きく成長すると共に可動部材の第1の位置(点線
位置)を越えて大きく成長している。このように気泡4
0の成長に応じて可動部材31が徐々に変位して行くこ
とで気泡40の圧力伝搬方向や堆積移動のしやすい方
向、すなわち自由端側への気泡の成長方向を吐出口に均
一的に向かわせることができることも吐出効率を高める
と考えられる。可動部材は気泡や発泡圧を吐出口方向へ
導く際もこの伝達の妨げになることはほとんどなく、伝
搬する圧力の大きさに応じて効率よく圧力の伝搬方向や
気泡の成長方向を制御することができる。
【0065】図1(d)は気泡40が、前述した膜沸騰
の後気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅する状態
を示している。
【0066】第2の位置まで変位していた可動部材31
は、気泡の収縮による負圧と可動部材自身のばね性によ
る復元力によって図1(a)の初期位置(第1の位置)
に復帰する。また、消泡時には、気泡発生領域11での
気泡の収縮体積を補うため、また、吐出された液体の体
積分を補うために上流側(B)、すなわち共通液室側か
ら流れのVD1、VD2のように、また、吐出口側からの流
れVcのように液体が流れ込んでくる。
【0067】以上、気泡の発生に伴う可動部材の動作と
液体の吐出動作について説明したが、以下に本発明に適
用可能な液体吐出ヘッドにおける液体のリフィルについ
て詳しく説明する。
【0068】図1(c)の後、気泡40が最大体積の状
態を経て消泡過程に入ったときには、消泡した体積を補
う体積の液体が気泡発生領域に、第1液流路14の吐出
口18側と第2液流路16の共通液室側13から流れ込
む。可動部材31を持たない従来の液流路構造において
は、消泡位置に吐出口側から流れ込む液体の量と共通液
室から流れ込む液体の量は、気泡発生領域より吐出口に
近い部分と共通液室に近い部分との流抵抗の大きさに起
因する(流路抵抗と液体の慣性に基づくものである)。
【0069】このため、吐出口に近い側の流抵抗が小さ
い場合には、多くの液体が吐出口側から消泡位置に流れ
込みメニスカスの後退量が大きくなることになる。特
に、吐出効率を高めるために吐出口に近い側の流抵抗を
小さくして吐出効率を高めようとするほど、消泡時のメ
ニスカスMの後退が大きくなり、リフィル時間が長くな
って高速印字を妨げることとなっていた。
【0070】これに対して本構成は可動部材31を設け
たため、気泡の体積Wを可動部材31の第1位置を境に
上側をW1、気泡発生領域11側をW2とした場合、消
泡時に可動部材が元の位置に戻った時点でメニスカスの
後退は止まり、その後残ったW2の体積分の液体供給は
主に第2流路16の流れVD2からの液供給によって成さ
れる。これにより、従来、気泡Wの体積の半分程度に対
応した量がメニスカスの後退量になっていたのに対し
て、それより少ないW1の半分程度のメニスカス後退量
に抑えることが可能になった。
【0071】さらに、W2の体積分の液体供給は消泡時
の圧力を利用して可動部材31の発熱体側の面に沿っ
て、主に第2液流路の上流側(VD2)から強制的に行う
ことができるためより速いリフィルを実現できた。
【0072】ここで特徴的なことは、従来のヘッドで消
泡時の圧力を用いたリフィルを行った場合、メニスカス
の振動が大きくなってしまい画像品位の劣化につながっ
ていたが、本構成の高速リフィルにおいては可動部材に
よって吐出口側の第1液流路14の領域と、気泡発生領
域11との吐出口側での液体の流通が抑制されるためメ
ニスカスの振動を極めて少なくすることができることで
ある。
【0073】このように本発明に適用される上述した構
成は、第2液流路16の液供給路12を介しての発泡領
域への強制リフィルと、上述したメニスカス後退や振動
の抑制によって高速リフィルを達成することで、吐出の
安定や高速繰り返し吐出、また記録の分野に用いた場
合、画質の向上や高速記録を実現することができる。
【0074】本発明に適用される上述した構成において
はさらに次のような有効な機能を兼ね備えている。それ
は、気泡の発生による圧力の上流側への伝搬(バック
波)を抑制することである。発熱体2上で発生した気泡
の内、共通液室33側(上流側)の気泡による圧力は、
その多くが、上流側に向かって液体を押し戻す力(バッ
ク波)になっていた。このバック波は、上流側の圧力
と、それによる液移動量、そして液移動に伴う慣性力を
引き起こし、これらは液体の液流路内へのリフィルを低
下させ高速駆動の妨げにもなっていた。本構成において
は、まず可動部材31によって上流側へのこれらの作用
を抑えることでもリフィル供給性の向上をさらに図って
いる。
【0075】次に、更なる特徴的な構造と効果につい
て、以下に説明する。
【0076】第2液流路16は、発熱体2の上流に発熱
体2と実質的に平坦につながる(発熱体表面が大きく落
ち込んでいない)内壁を持つ液体供給路12を有してい
る。このような場合、気泡発生領域11および発熱体2
の表面への液体の供給は、可動部材31の気泡発生領域
11に近い側の面に沿って、VD2のように行われる。こ
のため、発熱体2の表面上に液体が淀むことが抑制さ
れ、液体中に溶存していた気体の析出や、消泡できずに
残ったいわゆる残留気泡が除去され易く、また、液体へ
の蓄熱が高くなりすぎることもない。従って、より安定
した気泡の発生を高速に繰り返し行うことができる。な
お、本実施例では実質的に平坦な内壁を持つ液体供給路
12を持つもので説明したが、これに限らず、発熱体表
面となだらかに繋がり、なだらかな内壁を有する液供給
路であればよく、発熱体上に液体の淀みや、液体の供給
に大きな乱流を生じない形状であればよい。
【0077】また、気泡発生領域への液体の供給は、可
動部材の側部(スリット35)を介してVD1から行われ
るものもある。しかし、気泡発生時の圧力をさらに有効
に吐出口に導くために図1で示すように気泡発生領域の
全体を覆う(発熱体面を覆う)ように大きな可動部材を
用い、可動部材31が第1の位置へ復帰することで、気
泡発生領域11と第1液流路14の吐出口に近い領域と
の液体の流抵抗が大きくなるような形態の場合、前述の
D1から気泡発生領域11に向かっての液体の流れが妨
げられる。しかし、本発明のヘッド構造においては、気
泡発生領域に液体を供給するための流れVD2があるた
め、液体の供給性能が非常に高くなり、可動部材31で
気泡発生領域11を覆うような吐出効率向上を求めた構
造を取っても、液体の供給性能を落とすことがない。
【0078】ところで、可動部材31の自由端32と支
点33の位置は、例えば図5で示されるように、自由端
が相対的に支点より下流側にある。このような構成のた
め、前述した発泡の際に気泡の圧力伝搬方向や成長方向
を吐出口側に導く等の機能や効果を効率よく実現できる
のである。さらに、この位置関係は吐出に対する機能や
効果のみならず、液体の供給の際にも液流路10を流れ
る液体に対する流抵抗を小さくでき高速にリフィルでき
るという効果を達成している。これは図5に示すよう
に、吐出によって後退したメニスカスMが毛管力により
吐出口18へ復帰する際や、消泡に対しての液供給が行
われる場合に、液流路10(第1液流路14、第2液流
路16を含む)内を流れる流れS1、S2、S3に対し、
逆らわないように自由端と支点33とを配置しているた
めである。
【0079】補足すれば、本構成の図1においては、前
述のように可動部材31の自由端32が、発熱体2を上
流側領域と下流側領域とに2分する面積中心3(発熱体
の面積中心(中央)を通り液流路の長さ方向に直交する
線)より下流側の位置に対向するように発熱体2に対し
て延在している。これによって発熱体の面積中心位置3
より下流側で発生する液体の吐出に大きく寄与する圧
力、又は気泡を可動部材31が受け、この圧力及び気泡
を吐出口側に導くことができ、吐出効率や吐出力を根本
的に向上させることができる。
【0080】さらに、加えて上記気泡の上流側をも利用
して多くの効果を得ている。
【0081】また、本構成においては可動部材31の自
由端が瞬間的な機械的変位を行っていることも、液体の
吐出に対して有効に寄与している考えられる。 (実施例1)本実施例においても、主たる液体の吐出原
理については先の説明と同じである。なお、以下の実施
例(実施例およびその他の実施例)においては、第1液
路14と第2液路16とが、以下に説明するように分離
壁30で区分されたヘッドを用いて説明するが、これに
限らず前述した原理説明のようなヘッドにおいても、本
発明を同様に適用することができる。
【0082】本実施例の構成おいては、さらに次のよう
な有効な機能を兼ね備えている。すなわち、第1の液流
路14の流抵抗を最小限にし、高速リファイルを達成す
ることである。本実施例では、先に述べた様に、可動部
材31により、発散している圧を吐出口側へ向けること
ができるので、第1の液流路14は、少なくとも第2の
位置まで変位した可動部材31の自由端よりも吐出口側
だけに存在すればよい。また、そのような構成にするこ
とで、可動部材31が、第2の位置まで変位する際、第
1の液流路天井から受ける反発力を少なくすることがで
きる。
【0083】次に本実施例の更なる特徴的な構成と効果
について以下に説明する。
【0084】図7は、可動部材31の変位に対する、第
1の液流路14の天井の影響について示す。(a)は、
可動部材31が第2の位置に変位した時の、自由端側よ
り、下流側に第1の液流路14がある場合、(b)は、
第1の液流路14が、可動部材31の支点33よりも上
流側まである場合を示す。可動部材31は、変位する
際、共通液室13又は第1の液流路14の天井から変位
する方向と反対向きの反発力を受ける。従って、第1の
液流路14は、(a)の構造の様に、可動部材31が第
2の位置に変位した際の自由端位置よりも、下流側のみ
とするのが好ましい。
【0085】図8〜図12に、可動部材31と、第1の
液流路14及び第1の共通液室13の例を示しており、
(a)が可動部材31と第1の液流路14及び可動部材
31の支点33を固定する柱52または横壁53の位置
関係を示すために、可動部材31を第1の液流路側から
見た断面図を示しており、(b)が第1の液流路14の
横壁53の形状を示すために、ノズルの横断面図を示し
ている。
【0086】図8は、可動部材31が第2の位置に変位
した際の自由端位置より上流側が、第1の共通液室13
で、可動部材31の支点33を固定する柱52を有する
ノズル構造を示している。
【0087】このような構造であれば、可動部材31が
変位する際、天井からの反発力は、無視できる程小さい
ので、発泡パワーをより効率よく吐出力に変換すること
ができる。なお、可動部材31の支点33が、第1の共
通液室33に存在し、可動部材31の素材によっては隣
接可動部材31の影響を受けることもあるので、本実施
例の様に可動部材31の支点33を固定する方が望まし
い。
【0088】図9は、第1の液流路14が、先の実施例
と比べ、更に上流側まである例である。この場合、可動
部材31の支点33は固定されていないが、本実施例の
様に、可動部材31の支点33を、第1の共通液室33
内に存在させるだけでも、リフィル向上、吐出効率向上
に充分な効果を発揮する。発泡液と吐出液が同一の液体
である図13に示した、櫛歯状可動部材等を用いた液体
吐出ヘッドにおいても、効果がある。
【0089】図10は、第1の液流路14の天井が、可
動部材31が第2の位置に変位した自由端の位置より上
流側で高く、隣接ノズル間との第1液流路横壁53は、
可動部材31が最大変位した際の自由端と支点33を結
んだ直線まで高さのあるノズル構造を示す、このような
構造であれば、第1の液流路14に、延在する気泡が横
方向に逃げるのを防止する効果があるため、より一層効
率よく、発泡パワーを吐出力に変換することができる。
【0090】図11は、第1の液流路14の第1液流路
横壁53を、先の実施例に比べ、可動部材31の支点3
3近くまで有する例である。本実施例の様に、第1の液
流路14の天井を高くするだけでも、先の実施例と同
様、可動部材31の反発力低減、リフィル向上、気泡の
横方向逃げ防止に効果を発揮する。
【0091】図12は、可動部材31が最大変位する
際、自由端が、第1の共通液室33に存在するノズル構
造の例である。本実施例のように、少なくとも静止時、
可動部材の自由端が、第1の液流路内に存在する構造に
するだけでも、リフィル向上、吐出効率向上に充分な効
果を発揮する。 (その他の実施例)以上、本発明の液体吐出ヘッドや液
体吐出方法の要部の実施例について説明を行ったが、以
下にこれらの実施例に好ましく適用できる実施態様例に
ついて図面を用いて説明する。但し、以下の説明におい
ては前述の1流路形態の実施例と2流路形態の実施例の
いずれかを取り上げて説明する場合があるが特に記載し
ない限り、両実施例に適用しうるものである。
【0092】図14を用いて本実施例の液体吐出ヘッド
の動作を説明する。
【0093】ヘッドを駆動させるにあたっては、第1液
流路14に供給される吐出液と第2の液流路16に供給
される発泡液として同じ水系のインクを用いて動作させ
た。発熱体2が発生した熱が、第2液流路16の気泡発
生領域11内の発泡液に作用することで、先の実施例で
説明したのと同様に発泡液にUSP4,723,129に記載されて
いるような膜沸騰現象に基づく気泡40を発生させる。
【0094】本実施例においては、気泡発生領域11の
上流側を除く、3方からの発泡圧の逃げがないため、こ
の気泡発生にともなう圧力が吐出圧発生部に配された可
動部材31側に集中して伝搬し、気泡の成長をともなっ
て可動部材31が図14(a)の状態から図14(b)
のように第1液流路14側に変位する。
【0095】また、先の実施例と同様、気泡の発生に伴
い、可動部材31が変位する際、可動部材31には、変
位する方向と、反対向きの抵抗が働くが、図14(c)
の様に可動部材31の支点が、第1の液流路14内にあ
る場合と比べ、抵抗は充分小さい。また、リフィル性も
よいので、特に高い粘度の液体でも、吐出が可能とな
る。
【0096】この可動部材31の動作によって第1液流
路14と第2液流路16とが大きく連通し、気泡の発生
に基づく圧力が第1液流路14の吐出口側の方向(A方
向)に主に伝わる。この圧力の伝搬と、前述のような可
動部材31の機械的変位によって液体が吐出口から吐出
される。
【0097】次に、気泡が収縮するに伴って可動部材3
1が図14(a)の位置まで戻ると共に、第1液流路1
4では吐出された吐出液体の量に見合う量の吐出液体が
上流側から供給される。本実施例においても、この吐出
液体の供給は前述の実施例と同様に可動部材31が閉じ
る方向であるため、吐出液体のリフィルを可動部材31
で妨げることがない。
【0098】<可動部材および分離壁>図15は可動部
材31の他の形状を示すもので、35は、分離壁に設け
られたスリットであり、このスリットによって、可動部
材31が形成されている。同図(a)は長方形の形状で
あり、(b)は支点側が細くなっている形状で可動部材
の動作が容易な形状であり、同図(c)は支点側が広く
なっており、可動部材の耐久性が向上する形状である。
動作の容易性と耐久性が良好な形状として、図14
(a)で示したように、支点側の幅が円弧状に狭くなっ
ている形態が望ましいが、可動部材の形状は第2の液流
路側に入り込むことがなく、容易に動作可能な形状で、
耐久性に優れた形状であればよい。
【0099】先の実施例においては、板状可動部材31
およびこの可動部材を有する分離壁30は厚さ5μmの
ニッケルで構成したが、これに限られることなく可動部
材、分離壁を構成する材質としては発泡液と吐出液に対
して耐溶剤性があり、可動部材として良好に動作するた
めの弾性を有し、微細なスリットが形成できるものであ
ればよい。
【0100】可動部材31の材料としては、耐久性の高
い、銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニュウム、
白金、タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、およ
びその合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、
スチレン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等の
アミド基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキ
シル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基
を持つ樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹
脂、そのほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、
耐インク性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッ
ケル、ステンレス、チタン等の金属、これらの合金およ
び耐インク性に関してはこれらを表面にコーティングし
たもの若しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹
脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリ
エーテルエーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポ
リイミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等
の水酸基を有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有
する樹脂、ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、
エポキシ樹脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂
等のアミノ基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール
基を持つ樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素等の
セラミックおよびその化合物が望ましい。
【0101】分離壁30の材質としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフ
タレート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂、ポリブタジエン、ポリウレタン、ポリエーテルエー
テルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレー
ト、ポリイミド、ポリサルフォン、液晶ポリマー(LC
P)等の近年のエンジニアリングプラスチックに代表さ
れる耐熱性、耐溶剤性、成型性の良好な樹脂、およびそ
の化合物、もしくは、二酸化珪素、チッ化珪素、ニッケ
ル、金、ステンレス等の金属、合金およびその化合物、
もしくは表面にチタンや金をコーティングしたものが望
ましい。
【0102】また、分離壁30の厚さは、分離壁30と
しての強度を達成でき、可動部材と31して良好に動作
するという観点からその材質と形状等を考慮して決定す
ればよいが、0.5μm〜10μm程度が望ましい。
【0103】なお、可動部材31を形成するためのスリ
ット35の幅は本実施例では2μmとしたが、発泡液と
吐出液とが異なる液体であり、両液体の混液を防止した
い場合は、スリット幅を両者の液体間でメニスカスを形
成する程度の間隔とし、夫々の液体同士の流通を抑制す
ればよい。例えば、発泡液として2cP(センチポア
ズ)程度の液体を用い、吐出液として100cP以上の
液体を用いた場合には、5μm程度のスリットでも混液
を防止することができるが、3μm以下にすることが望
ましい。
【0104】本発明における可動部材31としてはμm
オーダーの厚さ(tμm)を対象としており、cmオー
ダーの厚さの可動部材は意図していない。μmオーダー
の厚さの可動部材にとって、μmオーダーのスリット幅
(Wμm)を対象とする場合、製造のバラツキをある程
度考慮することが望ましい。
【0105】スリットを形成する可動部材31の自由端
あるいは/且つ側端に対向する部材の厚みが可動部材の
厚みと同等の場合(図14等)、スリット幅と厚みの関
係を製造のバラツキを考慮して以下のような範囲にする
ことで発泡液と吐出液の混液を安定的に抑制することが
できる。このことは限られた条件ではあるが設計上の観
点として、3cp以下の粘度の発泡液に対して高粘度イ
ンク(5cp、10cp等)を用いる場合、W/t≦1
を満足するようにすることで、2液の混合を長期にわた
って抑制することが可能な構成となった。
【0106】本発明の「実質的な密閉状態」を与えるス
リットとしては、このような数μmオーダであればより
確実である。
【0107】上述のように、発泡液と吐出液とに機能分
離させた場合、可動部材がこれらの実質的な仕切部材と
なる。この可動部材が気泡の生成に伴って移動する際に
吐出液に対して発泡液がわずかに混入することが見られ
る。画像を形成する吐出液は、インクジェット記録の場
合、色材濃度を3%ないし5%程度有するものが一般的
であることを考慮すると、この発泡液が吐出液滴に対し
て20%以下の範囲で含まれても大きな濃度変化をもた
らさない。従って、このような混液としては、吐出液滴
に対して20%以下となるような発泡液と吐出液との混
合を本発明に含むものとする。
【0108】なお、上記構成例の実施では、粘性を変化
させても上限で15%の発泡液の混合であり、5cps
以下の発泡液では、この混合比率は、駆動周波数にもよ
るが、10%程度を上限とするものであった。
【0109】特に、吐出液の粘度を20cps以下にす
ればする程、この混液は低減(例えば5%以下)でき
る。
【0110】次に、このヘッドにおける発熱体と可動部
材の配置関係について、図を用いて説明する。ただし、
可動部材と発熱体の形状および寸法,数は、以下に限定
されるものではない。発熱体と可動部材の最適な配置に
よって、発熱体による発泡時の圧力を吐出圧として有効
に利用することが可能となる。
【0111】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行うインクジェット記録方法、いわゆ
るバブルジェット記録方法の従来技術においては、図1
6に示すように、発熱体面積とインク吐出量は比例関係
にあるが、インク吐出に寄与しない非発泡有効領域Sが
存在していることがわかる。また、発熱体上のコゲの様
子から、この非発泡有効領域Sが発熱体の周囲に存在し
ていることがわかる。これらの結果から、発熱体周囲の
約4μm幅は、発泡に関与されていないとされている。
【0112】したがって、発泡圧を有効利用するために
は、発熱体の周囲から約4μm以上内側の発泡有効領域
の直上が可動部材の可動領域で覆われるように、可動部
材を配置するのが効果的であると、言える。本実施例に
おいては、発泡有効領域を発熱体周囲から約4μm以上
内側としたが、発熱体の種類や形成方法によっては、こ
れに限定されるものではない。
【0113】<素子基板>以下に液体に熱を与えるため
の発熱体が設けられた素子基板の構成について説明す
る。
【0114】図17は本発明の液体吐出ヘッドの縦断面
図を示したもので、図17(a)は後述する保護膜があ
るヘッド、同図(b)は保護膜がないものである。
【0115】素子基板1上に第2液流路16、分離壁3
0、第1液流路14、第1液流路を構成する溝を設けた
溝付き部材50が配されている。
【0116】素子基板1には、シリコン等の基体107
に絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜またはチ
ッ化シリコン膜106を成膜し、その上に発熱体を構成
するハフニュウムボライド(HfB2)、チッ化タンタ
ル(TaN)、タンタルアルミ(TaAl)等の電気抵
抗層105(0.01〜0.2μm厚)とアルミニュウ
ム等の配線電極104(0.2〜1.0μm厚)を図1
3のようにパターニングされている。この2つの配線電
極104から抵抗層105に電圧を印加し、抵抗層に電
流を流し発熱させる。配線電極間の抵抗層上には、酸化
シリコンやチッ化シリコン等の保護層103を0.1〜
2.0μm厚で形成し、さらにそのうえにタンタル等の
耐キャビテーション層102(0.1〜0.6μm厚)
が成膜されており、インク等の各種の液体から抵抗層1
05を保護している。
【0117】特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧
力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性
を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)
等が耐キャビテーション層102として用いられる。
【0118】また、液体、液流路構成、抵抗材料の組み
合わせにより、上述の抵抗層102に保護層103を必
要としない構成でもよくその例を図17(b)に示す。
このような保護層103を必要としない抵抗層105の
材料としてはイリジュウム−タンタル−アルミ合金等が
挙げられる。
【0119】このように、前述の各実施例における発熱
体の構成としては、前述の電極間の抵抗層(発熱部)だ
けででもよく、また抵抗層を保護する保護層を含むもの
でもよい。
【0120】本実施例においては、発熱体として電気信
号に応じて発熱する抵抗層で構成された発熱部を有する
ものを用いたが、これに限られることなく、吐出液を吐
出させるのに十分な気泡を発泡液に生じさせるものであ
ればよい。例えば、発熱部としてレーザ等の光を受ける
ことで発熱するような光熱変換体や高周波を受けること
で発熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0121】なお、前述の素子基板1には、前述の発熱
部を構成する抵抗層105とこの抵抗層に電気信号を供
給するための配線電極104で構成される電気熱変換体
の他に、この電気熱変換素子を選択的に駆動するための
トランジスタ、ダイオード、ラッチ、シフトレジスタ等
の機能素子が一体的に半導体製造工程によって作り込ま
れていてもよい。
【0122】また、前述のような素子基板1に設けられ
ている電気熱変換体の発熱部を駆動し、液体を吐出する
ためには、前述の抵抗層105に配線電極104を介し
て図18で示されるような矩形パルスを印加し、配線電
極間の抵抗層105を急峻に発熱させる。前述の各実施
例のヘッドにおいては、それぞれ電圧24V、パルス幅
7μsec、電流150mA、電気信号を6kHzで加
えることで発熱体を駆動させ、前述のような動作によっ
て、吐出口から液体であるインクを吐出させた。しかし
ながら、駆動信号の条件はこれに限られることなく、発
泡液を適正に発泡させることができる駆動信号であれば
よい。
【0123】<吐出液体、発泡液体>先の実施例で説明
したように本発明においては、前述のような可動部材を
有する構成によって、従来の液体吐出ヘッドよりも高い
吐出力や吐出効率でしかも高速に液体を吐出することが
できる。本実施例の内、発泡液と吐出液とに同じ液体を
用いる場合には、発熱体から加えられる熱によって劣化
せずに、また加熱によって発熱体上に堆積物を生じにく
く、熱によって気化、凝縮の可逆的状態変化を行うこと
が可能であり、さらに液流路や可動部材や分離壁等を劣
化させない液体であれば種々の液体を用いることができ
る。
【0124】このような液体の内、記録を行う上で用い
る液体(記録液体)としては従来のバブルジェット装置
で用いられていた組成のインクを用いることができる。
【0125】一方、本発明の2流路構成のヘッドを用
い、吐出液と発泡液を別液体とした場合には、発泡液と
して前述のような性質の液体を用いればよく、具体的に
は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オク
タン、トルエン、キシレン、二塩化メチレン、トリクレ
ン、フレオンTF、フレオンBF、エチルエーテル、ジ
オキサン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、
アセトン、メチルエチルケトン、水等およびこれらの混
合物が挙げられる。
【0126】吐出液としては、発泡性の有無、熱的性質
に関係なく様々な液体を用いることができる。また、従
来吐出が困難であった発泡性が低い液体、熱によって変
質、劣化しやすい液体や高粘度液体等であっても利用で
きる。
【0127】ただし、吐出液の性質として吐出液自身、
又は発泡液との反応によって、吐出や発泡また可動部材
の動作等を妨げるような液体でないことが望まれる。
【0128】記録用の吐出液体としては、高粘度インク
等をも利用することができる。その他の吐出液体として
は、熱に弱い医薬品や香水等の液体を利用することもで
きる。
【0129】本発明においては、吐出液と発泡液の両方
に用いることができる記録液体として以下のような組成
のインクを用いて記録を行ったが、吐出力の向上によっ
てインクの吐出速度が高くなったため、液滴の着弾精度
が向上し非常に良好な記録画像を得ることができる。
【0130】染料インク(粘度2cP)の組成 (C−1.フードブラック2)染料 3重量% ジエチレングリコール 10重量% チオジグリコール 5重量% エタノール 5重量% 水 77重量% また、発泡液と吐出液に以下に示すような組成の液体を
組み合せて吐出させて記録を行なった。その結果、従来
のヘッドでは困難であった10cP粘度の液体はもちろ
ん150cPという非常に高い粘度の液体で良好に吐出
でき、高画質な記録物を得ることができた。
【0131】発泡液1の組成 エタノール 40重量% 水 60重量% 発泡液2の組成 水 100重量% 発泡液3の組成 イソピルアルコール 10重量% 水 90重量% 吐出液1顔料インク(粘度15cP)の組成 カーボンブラック 5重量% スチレンーアクリル酸ーアクリル酸エステル共重合体 1重量% (酸価140、重量平均分子量8000) モノエタノールアミン 0.25重量% グリセリン 69重量% チォジグリコール 5重量% エタノール 3重量% 水 16.75重量% 吐出液2(粘度55cP)の組成 ポリエチレングリコール200 100重量% 吐出液3(粘度55cP)の組成 ポリエチレングリコール600 100重量% ところで、前述したような従来吐出されにくいとされて
いた液体の場合には、吐出速度が低いために、吐出方向
性のバラツキが助長され記録紙上のドットの着弾精度が
悪く、また吐出不安定による吐出量のバラツキが生じ、
これらのことで高品位画像が得られにくかった。しか
し、上述の実施例の構成においては、気泡の発生を発泡
液を用いることで充分に、しかも安定して行なうことが
できる。このことで、液滴の着弾精度の向上とインク吐
出量の安定化を図ることができ、記録画像品位を著しく
向上させることができた。
【0132】<2流路構成のヘッド構造>図19は、本
発明の液体吐出ヘッドの内、2流路構成のヘッドの全体
構成を示した分解斜視図である。
【0133】アルミ等の支持体70上に前述の素子基板
1が配されている。この上に第2液流路16の壁および
第2の共通液室17の壁が設けられており、その上に可
動部材31を有する分離壁30が設けられている。さら
に、この分離壁30の上に第1の液流路14を構成する
複数の溝、第1の共通液室13、この第1の共通液室1
3に第1の液体を供給するための供給路20および第2
の共通液室17に第2の液体を供給するための供給路2
1が設けられた溝付部材50が設けられており、このよ
うな構成によって2流路の液体吐出ヘッドを構成してい
る。
【0134】<液体吐出装置>図20は、前述の液体噴
射ヘッドを搭載した液体吐出装置の概略構成を示してい
る。本実施例では、特に吐出液体としてインクを用いた
インク吐出記録装置を用いて説明する。液体吐出装置の
キャリッジHCは、インクを収容する液体タンク部90
と、液体吐出ヘッド部200とが着脱可能なヘッドカー
トリッジを搭載しており、被記録媒体搬送手段で搬送さ
れる記録紙等の被記録媒体150の幅方向に往復移動す
る。
【0135】不図示の駆動信号供給手段からキャリッジ
上の液体吐出手段に駆動信号が供給されると、この信号
に応じて液体吐出ヘッドから被記録媒体に対して記録液
体が吐出される。
【0136】また、本実施例の液体吐出装置において
は、被記録媒体搬送手段とキャリッジを駆動するための
駆動源としてのモータ111、駆動源からの動力をキャ
リッジに伝えるためのギア112、113、キャリッジ
軸115等を有している。この記録装置およびこの記録
装置で行う液体吐出方法によって、各種の被記録媒体に
対して液体を吐出することで良好な画像の記録物を得る
ことができた。
【0137】図21は、本発明の液体吐出方法および液
体吐出ヘッドを適用したインク吐出記録を動作させるた
めの装置全体のブロック図である。
【0138】記録装置は、ホストコンピュータ300よ
り印字情報を制御信号として受ける。印字情報は印字装
置内部の入力インタフェイス301に一時保存されると
同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、ヘ
ッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU302に入力され
る。CPU302はROM303に保存されている制御
プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデ
ータをRAM304等の周辺ユニットを用いて処理し、
印字するデータ(画像データ)に変換する。
【0139】また、CPU302は前記画像データを記
録用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに
同期して記録用紙および記録ヘッドを移動する駆動用モ
ータを駆動するための駆動データを作る。画像データお
よびモータ駆動データは、各々ヘッドドライバ307
と、モータドライバ305を介し、ヘッド200および
駆動モータ306に伝達され、それぞれ制御されたタイ
ミングで駆動され画像を形成する。
【0140】上述のような記録装置に適用でき、インク
等の液体の付与が行われる被記録媒体としては、各種の
紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等に用
いられるプラスチック材、布帛、アルミニウムや銅等の
金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合板等
の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポンジ等
の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0141】また、上述の記録装置として、各種の紙や
OHPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コン
パクトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラス
チック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装
置、皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行
う木材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミ
ックス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対
して記録を行う記録装置、また布帛に記録を行う捺染装
置等をも含むものである。
【0142】また、これらの液体吐出装置に用いる吐出
液としては、それぞれの被記録媒体や記録条件に合わせ
た液体を用いればよい。
【0143】なお、本発明は、ヒータ面に対向する位置
に吐出口を有するサイドシュータータイプにも適用可能
な発明であることは言うまでもない。
【0144】
【発明の効果】上述のように、吐出力発生領域に、気泡
発生に伴う圧力によって吐出方向に開口する片持梁状の
可動部材を設け、可動部材の支点を第1の共通液室に存
在せることで、前述のように発生した圧力を可動部材の
変位をさまたげることなく効率的に吐出方向に向わせる
ことができ、また、バック波の影響をも防止し、第1の
液流路の流れ抵抗を最小限にすることができるため、吐
出液体のリフィルを向上させつつ、高吐出効率、高吐出
圧で液体を吐出することができる。特に、液体の吐出を
行なう第1の液流路と、気泡の発生を行なう第2の液流
路とを別流路とし、発泡が行なわれる部分を供給路を有
する室状とすることで発泡効率の向上と上記効果をさら
に高めることができる。
【0145】また、上述したような、可動部材を用いる
新規な吐出原理に基づく本発明の液体吐出ヘッドによる
と、発生する気泡とこれによって変位する可動部材との
相乗効果を得ることができ、吐出口近傍の液体を効率よ
く吐出できるため、従来のバブルジェット方式の吐出ヘ
ッドに比べて吐出効率を向上できる。
【0146】また、本発明の特徴的な構成によれば、低
温や低湿で長期放置を行った場合であっても不吐出にな
ることを防止でき、仮に不吐出になっても予備吐出や吸
引回復といった回復処理をわずかに行うだけで正常状態
に即座に復帰できる利点もある。これに伴い、回復時間
の短縮や回復による液体の損失を低減でき、ランニング
コストも大幅に下げることが可能である。
【0147】また、特に本発明のリフィル特性を向上し
た構成によれば、連続吐出時の応答性、気泡の安定成
長、液滴の安定化を達成して、高速液体吐出による高速
記録また高画質記録を可能にすることができた。
【0148】また、2流路構成のヘッドにおいて発泡液
として、発泡しやすい液体や、発熱体上への堆積物(こ
げ等)が生じにくい液体を用いることで、吐出液の選択
の自由度が高くなり、発泡が生じにくい高粘性液体、発
熱体上に体積物を生じやすい液体等、従来のバブルジェ
ット吐出方法で吐出することが困難であった液体につい
ても良好に吐出することができた。
【0149】さらに、熱に弱い液体等も、この液体に熱
による悪影響を与えず吐出することができた。
【0150】さらに、高粘度であるため塗布等の方法で
しか付与できなかった液体を被記録媒体にドット単位で
付与することができるため、高い品位の記録物を得るこ
とができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体吐出ヘッドの一例を示す模式断面
図である。
【図2】本発明の液体吐出ヘッドの部分破断斜視図であ
る。
【図3】従来のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を示
す模式図である。
【図4】本発明のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を
示す模式図である。
【図5】本発明の液体の流れを説明するための模式図で
ある。
【図6】従来の液体吐出ヘッドの液流路構造を説明する
ための図である。
【図7】本発明の液体吐出ヘッドにおける可動部材が液
流路の天井から受ける反発力を示す模式的断面図であ
る。
【図8】本発明の実施例における液体吐出ヘッドの模式
的断面図である。
【図9】本発明の実施例における液体吐出ヘッドの模式
的断面図である。
【図10】本発明の実施例における液体吐出ヘッドの模
式的断面図である。
【図11】本発明の実施例における液体吐出ヘッドの模
式的断面図である。
【図12】本発明の実施例における液体吐出ヘッドの模
式的断面図である。
【図13】櫛歯状可動部材を説明するための図である。
【図14】可動部材の動作を説明するための図である。
【図15】可動部材の他の形状を説明するための図であ
る。
【図16】発熱体面積とインク吐出量の関係を示す図で
ある。
【図17】本発明の液体吐出ヘッドの縦断面図である。
【図18】駆動パルスの形状を示す模式図である。
【図19】本発明のヘッドの分解斜視図である。
【図20】液体吐出装置の概略構成図である。
【図21】装置ブロック図である。
【符号の説明】
1 素子基板 2 発熱体 3 面積中心 5 配線電極 10 液流路 11 気泡発生領域 12 供給路 13 第1共通液室(共通液室) 14 第1液流路 16 第2液流路 17 第2共通液室 18 吐出口 19 狭窄部 20 第1供給路 21 第2供給路 30 分離壁 31 可動部材 32 自由端 33 支点 34 支持部材 35 スリット 40 気泡 50 溝付き部材 51 オリフィスプレート 52 柱 53 第1液流路横壁 54 液室 55 弁
フロントページの続き (72)発明者 石永 博之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 中田 佳恵 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−31918(JP,A) 特開 平5−124189(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/05 B41J 2/01 B41J 2/175

Claims (57)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を吐出する吐出口と、液体に気泡を
    発生させる気泡発生領域と、前記気泡発生領域に面して
    配され、第1の位置と該第1の位置よりも前記気泡発生
    領域から遠い第2の位置との間を変位可能な可動部材と
    を有し、該可動部材は、前記気泡発生領域での気泡の発
    生に基づく圧力によって、前記第1の位置から前記第2
    の位置へ変位すると共に、前記可動部材の変位によって
    前記気泡を吐出口に向かう方向の上流よりも下流に大き
    く膨張させることで液体を吐出する液体吐出ヘッドであ
    って、 前記吐出口と連通している複数の第1の液流路を有し、 前記第1の液流路に液体を供給する第1の共通液室は、
    前記第1の液流路より静止状態の可動部材を含む面と垂
    直方向に高く、前記可動部材の支点が、前記第1の共通
    液室に存在し、静止状態における自由端が、前記第1の
    液流路内に存在する液体吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記可動部材が最大変位した時、該可動
    部材の自由端と、前記第1の液流路の天井が接触する請
    求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記可動部材が最大変位した時の自由端
    より下流側に第1の液流路を有する請求項1に記載の液
    体吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記可動部材の変位によって、前記気泡
    の下流部分が前記可動部材より下流に成長する請求項1
    の液体吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記可動部材は、支点と、該支点より下
    流側に位置する自由端とを有する請求項1の液体吐出ヘ
    ッド。
  6. 【請求項6】 液体を吐出する吐出口と、液体に熱を加
    えることで該液体に気泡を発生させる発熱体と該発熱体
    に沿った該発熱体より上流側から前記発熱体上に液体を
    供給するための供給路とを有する液流路と、前記発熱体
    に面して設けられ吐出口側に自由端を有し前記気泡の発
    生による圧力に基づいて前記自由端を変位させて前記圧
    力を吐出口側に導く可動部材と、を有する液体吐出ヘッ
    ドであって、 前記液流路は、前記吐出口と連通している複数の第1の
    液流路を含み、 前記第1の液流路に液体を供給する第1の共通液室は、
    前記第1の液流路より静止状態の可動部材を含む面と垂
    直方向に高く、前記可動部材の支点が、前記第1の共通
    液室に存在し、静止状態における自由端が、前記第1の
    液流路内に存在する液体吐出ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記可動部材が最大変位した時、該可動
    部材の自由端と、前記第1の液流路の天井が接触する請
    求項6に記載の液体吐出ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記可動部材が最大変位した時の自由端
    より下流側に第1の液流路を有する請求項6に記載の液
    体吐出ヘッド。
  9. 【請求項9】 液体を吐出する吐出口と、液体に熱を加
    えることで該液体に気泡を発生させる発熱体と、前記発
    熱体に面して設けられ吐出口側に自由端を有し前記気泡
    の発生による圧力に基づいて前記自由端を変位させて前
    記圧力を吐出口側に導く可動部材と、前記可動部材の前
    記発熱体に近い面に沿った上流側から前記発熱体上に液
    体を供給する供給路と、を有する液体吐出ヘッドであっ
    て、 前記吐出口と連通している複数の第1の液流路を有し、 前記第1の液流路に液体を供給する第1の共通液室は、
    前記第1の液流路より静止状態の可動部材を含む面と垂
    直方向に高く、前記可動部材の支点が、前記第1の共通
    液室に存在し、静止状態における自由端が、前記第1の
    液流路内に存在する液体吐出ヘッド。
  10. 【請求項10】 前記可動部材が最大変位した時、該可
    動部材の自由端と、前記第1の液流路の天井が接触する
    請求項9に記載の液体吐出ヘッド。
  11. 【請求項11】 前記可動部材が最大変位した時の自由
    端より下流側に第1の液流路を有する請求項9に記載の
    液体吐出ヘッド。
  12. 【請求項12】 吐出口に連通した複数の第1の液流路
    と、液体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる
    気泡発生領域を有する第2の液流路と、前記第1の液流
    路と前記気泡発生領域との間に配され、吐出口側に自由
    端を有し、前記気泡発生領域内での気泡の発生による圧
    力に基づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位させ
    て前記圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導く可動部
    材とを有する液体吐出ヘッドであって、 前記第1の液流路に液体を供給する第1の共通液室は、
    前記第1の液流路より静止状態の可動部材を含む面と垂
    直方向に高く、前記可動部材の支点が、前記第1の共通
    液室に存在し、静止状態における自由端が、前記第1の
    液流路内に存在する液体吐出ヘッド。
  13. 【請求項13】 前記可動部材が最大変位した時、該可
    動部材の自由端と、前記第1の液流路の天井が接触する
    請求項12に記載の液体吐出ヘッド。
  14. 【請求項14】 前記可動部材が最大変位した時の自由
    端より下流側に第1の液流路を有する請求項12に記載
    の液体吐出ヘッド。
  15. 【請求項15】 前記可動部材に面した位置に発熱体が
    設けられており、該可動部材と該発熱体との間が前記気
    泡発生領域である請求項1もしくは請求項12の液体吐
    出ヘッド。
  16. 【請求項16】 前記可動部材の自由端は、前記発熱体
    の面積中心より下流に位置する請求項6、請求項9もし
    くは請求項15の液体吐出ヘッド。
  17. 【請求項17】 前記該発熱体に沿った該発熱体より上
    流から前記発熱体上に液体を供給するための供給路を有
    する請求項15の液体吐出ヘッド。
  18. 【請求項18】 前記供給路は、前記発熱体より上流側
    に実質的に平坦、もしくはなだらかな内壁を有し、該内
    壁に沿って液体を前記発熱体上に供給する供給路である
    請求項6、請求項9もしくは請求項17の液体吐出ヘッ
    ド。
  19. 【請求項19】 前記気泡は前記発熱体が発生する熱に
    よって液体に膜沸騰を生じることで発生する気泡である
    請求項6、請求項9もしくは請求項15の液体吐出ヘッ
    ド。
  20. 【請求項20】 前記可動部材は板状である請求項6、
    請求項9若しくは請求項15の液体吐出ヘッド。
  21. 【請求項21】 前記発熱体の有効発泡領域の総てが前
    記可動部材に面している請求項20の液体吐出ヘッド。
  22. 【請求項22】 前記発熱体の全面が前記可動部材に面
    している請求項20の液体吐出ヘッド。
  23. 【請求項23】 前記可動部材の総面積が前記発熱体の
    総面積より大である請求項20の液体吐出ヘッド。
  24. 【請求項24】 前記可動部材の支点が前記発熱体の直
    上から外れた位置に配されている請求項20の液体吐出
    ヘッド。
  25. 【請求項25】 前記可動部材の自由端は前記発熱体が
    配された液流路を実質的に直交する形状を有する請求項
    20の液体吐出ヘッド。
  26. 【請求項26】 前記可動部材の前記自由端は前記発熱
    体より吐出口側に配されている請求項20の液体吐出ヘ
    ッド。
  27. 【請求項27】 前記可動部材は前記第1の液流路と前
    記第2の液流路との間に配された分離壁の一部として構
    成されている請求項12の液体吐出ヘッド。
  28. 【請求項28】 前記分離壁は、金属材料で構成されて
    いる請求項27の液体吐出ヘッド。
  29. 【請求項29】 前記金属材料は、ニッケル若しくは金
    である請求項28の液体吐出ヘッド。
  30. 【請求項30】 前記分離壁は、樹脂で構成されている
    請求項27の液体吐出ヘッド。
  31. 【請求項31】 前記分離壁は、セラミックスで構成さ
    れている請求項27の液体吐出ヘッド。
  32. 【請求項32】 前記第1の液流路の複数に第1の液体
    を供給するための第1の共通液室と、前記第2の液流路
    の複数に第2の液体を供給するための第2の共通液室と
    が配されている請求項12の液体吐出ヘッド。
  33. 【請求項33】 液体を吐出するための複数の吐出口
    と、それぞれの吐出口に対応して直接連通する複数の第
    1の液流路を構成するための複数の溝と、前記複数の第
    1の液流路に液体を供給するための第1の共通液室を構
    成する凹部とを一体的に有する溝付き部材と、 液体に熱を与えることで液体に気泡を発生させるための
    複数の発熱体が配された素子基板と、 前記溝付き部材と該素子基板との間に配され、前記発熱
    体に対応しており液体に気泡を発生させる気泡発生領域
    を有する第2の液流路の壁の一部を構成すると共に、前
    記発熱体に面した位置に前記気泡の発生に基づく圧力に
    よって前記第1の液流路側に変位する可動部材とを具備
    した分離壁と、を有する液体吐出ヘッドであって、 前記第2の液流路の複数に液体を供給するための第2の
    共通液室を有し、 前記第1の共通液室は、前記第1の液流路より静止状態
    の可動部材を含む面と垂直方向に高く、前記可動部材の
    支点が、前記第1の共通液室に存在し、静止状態におけ
    る自由端が、前記第1の液流路内に存在する液体吐出ヘ
    ッド。
  34. 【請求項34】 前記可動部材が最大変位した時、該可
    動部材の自由端と、前記第1の液流路の天井が接触する
    請求項33に記載の液体吐出ヘッド。
  35. 【請求項35】 前記可動部材が最大変位した時の自由
    端より下流側に第1の液流路を有する請求項33に記載
    の液体吐出ヘッド。
  36. 【請求項36】 前記可動部材の自由端は前記発熱体の
    面積中心より下流側に位置する請求項33の液体吐出ヘ
    ッド。
  37. 【請求項37】 前記溝付き部材には、前記第1の共通
    液室に液体を導入するための第1導入路と、前記第2の
    共通液室に液体を導入するための第2導入路とを有する
    請求項33の液体吐出ヘッド。
  38. 【請求項38】 前記第1の液流路に供給される液体と
    前記第2の液流路に供給される液体とが同じ液体である
    請求項12若しくは請求項33の液体吐出ヘッド。
  39. 【請求項39】 前記第1の液流路に供給される液体と
    前記第2の液流路に供給される液体とが異なる液体であ
    る請求項12若しくは請求項33の液体吐出ヘッド。
  40. 【請求項40】 前記発熱体は電気信号を受けることで
    熱を発生する発熱抵抗体を有する電気熱変換体である
    求項6、請求項9、もしくは請求項15の液体吐出ヘッ
    ド。
  41. 【請求項41】 前記発熱体は電気信号を受けることで
    熱を発生する発熱抵抗体を有する電気熱変換体である請
    求項33の液体吐出ヘッド。
  42. 【請求項42】 前記電気熱変換体は前記発熱抵抗体上
    に、保護膜を配したものである請求項40もしくは請求
    項41の液体吐出ヘッド。
  43. 【請求項43】 複数の前記電気熱変換体が配されてい
    る素子基板上に、前記電気熱変換体に電気信号を伝える
    ための配線と、前記電気熱変換体に選択的に電気信号を
    与えるための機能素子が配されている請求項40の液体
    吐出ヘッド。
  44. 【請求項44】 前記素子基板上には、前記電気熱変換
    体に電気信号を伝え るための配線と、前記電気熱変換体
    に選択的に電気信号を与えるための機能素子が配されて
    いる請求項41の液体吐出ヘッド。
  45. 【請求項45】 前記気泡発生領域もしくは発熱体が配
    された部分の前記第2の液流路の形状は室形状である請
    求項12もしくは請求項33の液体吐出ヘッド。
  46. 【請求項46】 前記発熱体の表面から前記可動部材ま
    での距離が30μm以下である請求項6、請求項9、請
    求項15もしくは請求項33の液体吐出ヘッド。
  47. 【請求項47】 前記吐出口から吐出される液体はイン
    クである請求項6、請求項9、請求項15もしくは請求
    項33の液体吐出ヘッド。
  48. 【請求項48】 請求項1ないし47のいずれか1項に
    記載の液体吐出ヘッドを用いることを特徴とする液体吐
    出記録方法。
  49. 【請求項49】 請求項1ないし47のいずれか1項に
    記載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから液体を
    吐出させるための駆動信号を供給する駆動信号供給手段
    と、を有する液体吐出装置。
  50. 【請求項50】 請求項1ないし47のいずれか1項に
    記載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから吐出さ
    れた液体を受ける被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送
    手段と、を有する液体吐出装置。
  51. 【請求項51】 前記液体吐出ヘッドからインクを吐出
    し、記録紙にインクを付着させることで記録を行なうこ
    とを特徴とする請求項49または50に記載の液体吐出
    装置。
  52. 【請求項52】 前記液体吐出ヘッドから記録液体を吐
    出し、布帛に記録液体を付着させることで記録を行なう
    ことを特徴とする請求項49または50に記載の液体吐
    出装置。
  53. 【請求項53】 前記液体吐出ヘッドから記録液体を吐
    出し、プラスチックに記録液体を付着させることで記録
    を行なうことを特徴とする請求項49または50に記載
    の液体吐出装置。
  54. 【請求項54】 前記液体吐出ヘッドから記録液体を吐
    出し、金属に記録液体を付着させることで記録を行なう
    ことを特徴とする請求項49または50に記載の液体吐
    出装置。
  55. 【請求項55】 前記液体吐出ヘッドから記録液体を吐
    出し、木材に記録液体を付着させることで記録を行なう
    ことを特徴とする請求項49または50に記載の液体吐
    出装置。
  56. 【請求項56】 前記液体吐出ヘッドから記録液体を吐
    出し、皮革に記録液体を付着させることで記録を行なう
    ことを特徴とする請求項49または50に記載の液体吐
    出装置。
  57. 【請求項57】 前記液体吐出ヘッドから複数色の記録
    液体を吐出し、被記録媒体に前記複数色の記録液体を付
    着させることでカラー記録を行なう請求項49または5
    0に記載の液体吐出装置。
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