JP3444059B2 - アリルアルコール類の製造方法 - Google Patents

アリルアルコール類の製造方法

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JP3444059B2 JP30252195A JP30252195A JP3444059B2 JP 3444059 B2 JP3444059 B2 JP 3444059B2 JP 30252195 A JP30252195 A JP 30252195A JP 30252195 A JP30252195 A JP 30252195A JP 3444059 B2 JP3444059 B2 JP 3444059B2
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アリルアルコール
類の製造方法に関する。詳しくは、パラジウム化合物と
リン化合物とを含む触媒の存在下にジアリルエーテル類
を熱処理してアリルアルコール類に変換することからな
るアリルアルコール類の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルカジエノール類、特に、オクタ−
2,7−ジエン−1−オールを初めとするオクタジエノ
ール類は、n−オクタノール又はそのエステル等を製造
するための中間体として、工業的に重要な化合物であ
る。従来、アルカジエノール類の製造法としては、パラ
ジウム化合物とリン化合物とよりなる触媒および必要に
応じて二酸化炭素の存在下、共役アルカジエンと水とを
水和二量化反応させる方法が知られている。例えば、特
公昭50−10565号公報には、パラジウム化合物の
配位子としてトリフェニルホスフィンを使用した水和二
量化反応が記載されている。しかしながら、アルカジエ
ノール類の収率および選択率は十分ではなく、ジアリル
エーテル類(例えばジアルカジエニルエーテル類)等の
高沸点物質が副生する。
【0003】高沸点物質の副生は、原料である共役アル
カジエンを無駄に消費して目的物のアリルアルコール類
(例えばアルカジエノール類)の収率を低下させる上、
触媒液を循環使用する場合には、循環触媒液中に高沸点
副生物が蓄積して触媒活性に対して化学的な抑制作用を
示したり、循環触媒液の粘度を上昇させて反応の進行を
著しく阻害する等の不利益を生じる。
【0004】また、特開平2−88536号公報には、
共役アルカジエンと水とからアルカジエノール類を生成
させ、次いで、得られた反応液からアルカジエノール類
と溶媒とを分離することにより、ジアルカジエニルエー
テル類とパラジウム化合物とを含む溶液を得、当該溶液
を90℃以上に熱処理してジアルカジエニルエーテル類
をアルカトリエン等に分解する方法が示されている。し
かしながら、特開平2−88536号公報に記載された
方法は、高沸点副生物であるジアルカジエニルエーテル
類を分解除去する効果を有するが、分解生成物は水とア
ルカトリエン等であり、ジアルカジエニルエーテル類の
分解によって有用成分を回収する方法ではない。
【0005】しかも、特開平2−88536号公報に記
載された方法においては、目的物のアルカジエノール類
もアルカトリエン等に分解されるため、熱処理に先立
ち、1.8mmHgの様な工業的には極めて困難な条件
下でアルカジエノール類を蒸留分離しなければならない
欠点がある。更に、この場合、高真空下の蒸留とそれに
伴う加熱処理により、処理液の分解物が留出する。その
結果、パラジウム及びリン化合物が濃縮されて析出し、
工業的な操作が極めて困難となる。以上のことから、従
来、ジアリルエーテル類(例えばジアルカジエニルエー
テル類)を有効に利用することが出来るアリルアルコー
ル類(例えばアルカジエノール類)の製造方法が切望さ
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、ジアリルエーテ
ル類を原料とするアリルアルコール類の製造方法であっ
て、副生物としてジアリルエーテル類を含有する水和二
量化反応液にも適用し得る工業的に有利なアリルアルコ
ール類の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の第1の要
旨は、パラジウム化合物とリン化合物とを含む触媒の存
在下にジアリルエーテル類を熱処理してアリルアルコー
ル類に変換することからなるアリルアルコール類の製造
方法において、下記式で表される関数Fの値が0≦F<
100の範囲であり、かつ変換反応液中のアリルアルコ
ール類の濃度が20重量%以下、変換反応液中のPd濃
度が0.005〜1.0重量%の範囲内の変換反応条件
下に熱処理を行うことを特徴とするアリルアルコール類
の製造方法、に存する。
【0008】
【数4】F=θt・[Pd]・(T−100)
【0009】(但し、θtは変換反応時間(時間)、
[Pd]は変換反応液中のPd濃度(重量%)、Tは変
換反応温度(℃)を表す。) また、本発明の第2の要旨は、パラジウム化合物とリン
化合物とを含む触媒および必要に応じて二酸化炭素の存
在下、共役アルカジエンと水とを水和二量化反応させ、
アリルアルコール類と副生物としてのジアリルエーテル
類を含有する水和二量化反応液を得、次いで、該反応液
中のジアリルエーテル類を熱処理してアリルアルコール
類に変換反応させるにあたり、下記式で表される関数F
の値が0≦F<100の範囲であり、かつ変換反応液中
のアリルアルコール類の濃度が20重量%以下、変換反
応液中のPd濃度が0.005〜1.0重量%の範囲内
の変換反応条件下に熱処理を行うことを特徴とするアリ
ルアルコール類の製造方法、に存する。
【0010】
【数5】F=θt・[Pd]・(T−100)
【0011】(但し、θtは変換反応時間(時間)、
[Pd]は変換反応液中のPd濃度(重量%)、Tは変
換反応温度(℃)を表す。) さらに、本発明の第3の要旨は、パラジウム化合物とリ
ン化合物とを含む触媒および必要に応じて二酸化炭素の
存在下、溶媒中、共役アルカジエンと水とを水和二量化
反応させ、アリルアルコール類と副生物としてのジアリ
ルエーテル類を含有する水和二量化反応液を得、次い
で、該反応液中のジアリルエーテル類を熱処理してアリ
ルアルコール類に変換反応させるにあたり、該反応液か
らアリルアルコール類を蒸留により分離する際、下記式
で表される関数Fの値が0≦F<100の範囲であり、
かつ変換反応液中のアリルアルコール類の濃度が20重
量%以下、変換反応液中のPd濃度が0.005〜1.
0重量%の範囲内の変換反応条件下に熱処理を行うこと
を特徴とするアリルアルコール類の製造方法、に存す
る。
【0012】
【数6】F=θt・[Pd]・(T−100)
【0013】(但し、θtは変換反応時間(時間)、
[Pd]は変換反応液中のPd濃度(重量%)、Tは変
換反応温度(℃)を表す。)
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
先ず、第1の要旨に係る本発明について説明する。原料
のジアリルエーテル類は下記一般式(I)で示される。
【0015】
【化1】 R1 −CH=CH−CH2 −O−CH2 −CH=CH−R2 (I)
【0016】(式中、R1 及びR2 は水素原子、飽和炭
化水素基または不飽和炭化水素基であり、R1 及びR2
は同一でも異なっていてもよい) 上記式(I)中、R1 及びR2 が炭化水素基である場
合、その炭素数は、通常1〜12、好ましくは1〜10
である。式(I)で表わされる化合物の例としては、ジ
プロペニルエーテル、ジブテニルエーテル、ジペンテニ
ルエーテル、ジヘキセニルエーテル、ジヘプテニルエー
テル、ジオクテニルエーテル、ジノネニルエーテル、ジ
デセニルエーテル、プロペニルブテニルエーテル、プロ
ペニルヘキセニルエーテル、プロペニルオクテニルエー
テル、プロペニルデセニルエーテル、ブテニルペンテニ
ルエーテル、ブテニルヘキセニルエーテル等のジアルケ
ニルエーテル類;ジペンタジエニルエーテル、ジヘキサ
ジエニルエーテル、ジヘプタジエニルエーテル、ジオク
タジエニルエーテル、ジノナジエニルエーテル、ジデカ
ジエニルエーテル、ペンタジエニルヘキサジエニルエー
テル、ペンダジエニルヘプタジエニルエーテル、ペンタ
ジエニルオクタジエニルエーテル、ペンタジエニルノナ
ジエニルエーテル、ペンタジエニルデカジエニルエーテ
ル等のジアルカジエニルエーテル類;プロペニルペンタ
ジエニルエーテル、ブテニルペンタジエニルエーテル、
ペンテニルペンタジエニルエーテル、ヘキセニルペンタ
ジエニルエーテル、ヘプテニルペンタジエニルエーテ
ル、プロペニルオクタジエニルエーテル、ブテニルオク
タジエニルエーテル、ペンテニルオクタジエニルエーテ
ル、ヘキセニルオクタジエニルエーテル、ヘプテニルオ
クタジエニルエーテル、オクテニルオクタジエニルエー
テル等のアルケニルアルカジエニルエーテル類が挙げら
れる。
【0017】上記のジアリルエーテル類は、パラジウム
化合物とリン化合物とを含む触媒の存在下の熱処理によ
りアリルアルコール類を与える。即ち、ジアリルエーテ
ル類は、アリルアルコール類とアルカジエン、アルカト
リエン等の不飽和炭化水素類とに変換される。本発明の
目的物であるアリルアルコール類は、下記一般式(II)
で示される。
【0018】
【化2】R3 −CH=CH−CH2 OH (II)
【0019】(式中、R3 は水素原子、飽和炭化水素基
または不飽和炭化水素基である) 本発明においては、原料のジアリルエーテル類として、
ジアルカジエニルエーテル類を使用するのが有利であ
る。何故ならば、ジアルカジエニルエーテル類から得ら
れるアルカジエノール類は、各種の中間物として工業的
に重要だからである。そして、ジアルカジエニルエーテ
ル類としては、特にジオクタジエニルエーテルが有利に
使用される。
【0020】本発明において、触媒として使用するパラ
ジウム化合物の形態およびその原子価状態は限定されな
い。パラジウム化合物の例としては、パラジウム黒、担
体付パラジウム金属などの金属パラジウム;ビス(t−
ブチルイソニトリル)パラジウム(0)、ビス(t−ア
ミルイソニトリル)パラジウム(0)、ビス(シクロヘ
キシルイソニトリル)パラジウム(0)、ビス(フェニ
ルイソニトリル)パラジウム(0)、ビス(p−トリル
イソニトリル)パラジウム(0)、ビス(2,6−ジメ
チルフェニルイソニトリル)パラジウム(0)、トリス
(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、
(1,5−シクロオクタジエン)(無水マレイン酸)パ
ラジウム(0)、ビス(ノルボルネン)(無水マレイン
酸)パラジウム(0)、ビス(無水マレイン酸)(ノル
ボルネン)パラジウム(0)、(ジベンジリデンアセト
ン)(ビピリジル)パラジウム(0)、(p−ベンゾキ
ノン)(o−フェナンスロリン)パラジウム(0)等の
0価パラジウム錯体;テトラキス(トリフェニルホスフ
ィン)パラジウム(0)、トリス(トリフェニルホスフ
ィン)パラジウム(0)、ビス(トリトリルホスフィ
ン)パラジウム(0)、ビス(トリキシリル)バラジウ
ム(0)、ビス(トリメシチルホスフィン)パラジウム
(0)、ビス(トリテトラメチルフェニル)パラジウム
(0)、ビス(トリメチルメトキシフェニルホスフィ
ン)パラジウム(0)等のホスフィン化合物を配位子と
して持つテトラキス(ホスフィン)パラジウム、トリス
(ホスフィン)パラジウム、ビス(ホスフィン)パラジ
ウム錯体および対応するホスファイト化合物を配位子と
して持つテトラキス(ホスファイト)パラジウム、トリ
ス(ホスファイト)パラジウム、ビス(ホスファイト)
パラジウム錯体;塩化パラジウム(II)、硝酸パラジウ
ム(II)、テトラアンミンジクロロパラジウム(II)、
ジナトリウムテトラクロロパラジウム(II)等のパラジ
ウム無機塩;酢酸パラジウム(II)、安息香酸パラジウ
ム(II)、α−ピコリン酸パラジウム(II)等のパラジ
ウムカルボン酸塩;ビス(アセチルアセトン)パラジウ
ム(II)、ビス(8−オキシキノリン)パラジウム(I
I)等のパラジウムキレート化合物;ビス(アリル)パ
ラジウム(II)、(η−アリル)(η−シクロペンタジ
エニル)パラジウム(II)、(η−シクロペンタジエニ
ル)(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)
テトラフルオロ硼酸塩、ビス(ベンゾニトリル)パラジ
ウム(II)酢酸塩、ジ−μ−クロロ−ジクロロビス(ト
リフェニルホスフィン)二パラジウム(II)、ビス(ト
リ−n−ブチルホスフィン)パラジウム(II)酢酸塩、
2,2−ビピリジルパラジウム(II)酢酸塩などの2価
パラジウム錯体が挙げられる。
【0021】上記のパラジウム化合物中では、テトラキ
ス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス
(トリトリルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(ト
リキシリル)パラジウム(0)、ビス(トリメチルメト
キシフェニルホスフィン)パラジウム(0)、酢酸パラ
ジウム(II)、ビス(アセチルアセトン)パラジウム
(II)が好ましい。
【0022】本発明において、触媒として使用するリン
化合物としては、各種のホスフィン類、ホスフィナイト
類、ホスホナイト類、ホスファイト類が挙げられる。こ
れらの具体例としては、トリオクチルホスフィン、トリ
ブチルホスフィン、ジメチルオクチルホスフィン等のト
リアルキルホスフィン;トリシクロヘキシルホスフィン
等のトリシクロアルキルホスフィン;トリフェニルホス
フィン、トリトリルホスフィン、トリキシリルホスフィ
ン、トリメシチルホスフィン、トリス(テトラメチルフ
ェニル)ホスフィン、ジフェニル−p−クロロフェニル
ホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィ
ン等のトリアリールホスフィン;ジフェニルエチルホス
フィン、ジメチルフェニルホスフィン、ビス(ジフェニ
ルホスフィン)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホス
フィン)エタン等の第3アルキルアリールホスフィン;
ジオクチルオクトキシホスフィン、ジブチルブトキシホ
スフィン等のアルキルホスフィナイト、ジフェニルフェ
ノキシホスフィン、ジトリルトリルオキシホスフィン、
ジキシリルキシリルオキシホスフィン等のアリールホス
フィナイト、ジフェニルエトキシホスフィン、ジエチル
フェノキシホスフィン等のアルキルアリールホスフィナ
イト;オクチルジオクトキシホスフィン、ブチルブトキ
シホスフィン等のアルキルホスホナイト;フェニルジフ
ェノキシホスフィン、トリルジトリルオキシホスフィ
ン、キシリルジキシリルオキシホスフィン等のアリール
ホスホナイト;フェニルジエトキシホスフィン、エチル
ジフェノキシホスフィン等のアルキルアリールホスホナ
イト;トリオクチルホスファイト、トリブチルホスファ
イト、ジメチルオクチルホスファイト等のトリアルキル
ホスファイト;トリジクロロヘキシルホスファイト等の
トリシクロアルキルホスファイト;トリフェニルホスフ
ァイト、トリトリルホスファイト、トリキシリルホスフ
ァイト等のトリアリールホスファイト;ジフェニルエチ
ルホスファイト、ジメチルフェニルホスファイト等のア
ルキルアリールホスファイトが挙げられる。
【0023】上記のリン化合物の中では、トリフェニル
ホスフィン、トリトリルホスフィン、トリキシリルホス
フィン、トリメシチルホスフィン、トリス(テトラメチ
ルフェニル)ホスフィン等の疎水性ホスフィンが好まし
い。また、下記式(III)で示される水溶性ホスフィン類
も使用し得る(式中、Aはフェニル基、Mはアルカリ金
属を示し、mは0〜2の整数、nは1〜3の整数を表
し、m+n=3である)。
【0024】
【化3】
【0025】更に、下記式(IV)又は(V)で示される
環式ホスファイト類も使用し得る(式中、R4 、R5
びR6 は、それぞれ、メチル、エチル、ノニル等のアル
キル基、フェニル、トリル、ナフチル等のアリール基、
ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシペン
チル等のヒドロキシアルキル基、エトキシメチル等のア
ルコキシアルキル基、フェノキシメチル等のアリーロキ
シアルキル基、アセトキシメチル、アセトキシペンチル
等のアシルオキシアルキル基を表わす)。
【0026】
【化4】
【0027】パラジウム化合物の使用量は、変換反応液
中のパラジウム濃度として、0.005〜1.0重量
%、好ましくは0.01〜0.5重量%の範囲内にする
必要がある。また、リン化合物の使用量は、変換反応液
中のリン濃度として、通常0.005〜2.5重量%、
好ましくは0.05〜2.2重量%、更に好ましくは
0.1〜1.5重量%の範囲内とされる。パラジウム及
びリンの濃度が高いと変換反応中に析出が起こり、液の
抜き出し操作が出来なくなる。パラジウム濃度が低いと
反応が遅く、長時間を要するという欠点があり、またリ
ンの濃度が低いとパラジウムがメタル化し析出してしま
うという問題がある。
【0028】変換反応は反応溶媒の存在下に行ってもよ
い。反応溶媒としては、ジアリルエーテル類、パラジウ
ム化合物およびリン化合物を少くとも部分的に溶解し得
る全ての溶媒が使用可能である。反応溶媒の例として
は、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラ
ン、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチ
レングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセ
トン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイ
ソプロピルケトン、エチル−n−ブチルケトン等のケト
ン類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニト
リル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、
エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキ
サン、ヘプタン等のアルカン類、ヘキセン、オクテン等
のアルケン類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド
類、スルホラン等のスルホン類、ニトロベンゼン、ニト
ロメタン等のニトロ化合物、ピリジン、α−ピロリン等
のピリジン誘導体、トリエチルアミン等のアミン類、ア
セトアミド、プロピオンアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジ
エチルアセトアミド等のアミド類、メタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタ
ノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−オクタ
ノール等のアルコール類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、
酪酸などのカルボン酸類が挙げられる。これらは、単独
または混合溶媒として使用される。
【0029】本発明は、ジアリルエーテル類の変換反応
がアリルアルコールを経由してアルカジエン、アルカト
リエン類などの不飽和炭化水素類に分解する逐次反応で
あるとの新規な知見に基づき完成されたものである。即
ち、ジアリルエーテル類の変換反応は下記反応式で表す
ことが出来る。
【0030】
【化5】 R1 −CH2 −CH=CH−CH2 −O−CH2 −CH=CH−CH2 −R2 →R1 −CH2 −CH=CH−CH2 OH+CH2 =CH−CH=CH−R2 1 −CH2 −CH=CH−CH2 OH →CH2 =CH−CH=CH−R1 +H2
【0031】そして、上記の反応式から明らかな様に、
本発明の目的物であるアリルアルコール類は、ジアリル
エーテル類が不飽和炭化水素類に分解する過程の中間生
成物である。従って、変換反応における熱処理条件は、
適切な範囲に設定することが重要であり、特に、変換反
応液中のパラジウムの濃度と変換反応温度とに応じて変
換反応(熱処理)時間を適切に設定することが必要であ
る。すなわち、反応時間が長すぎると反応生成物はアル
カジエン、アルカトリエン等の不飽和炭化水素類になり
アリルアルコール類は取得できない。
【0032】本発明の特徴は、特定条件下の変換反応に
より、高収率でジアリルエーテル類のアリルアルコール
類への変換を実現した点にある。本発明においては、変
換反応の熱処理条件として、下記式で表される関数Fの
値が0≦F<100の範囲、好ましくは0≦F<70、
更に好ましくは0<F<50、最も好ましくは0.1<
F<50となる条件を採用することが重要である。
【0033】
【数7】F=θt・[Pd]・(T−100)
【0034】(但し、θtは変換反応時間(時間)、
[Pd]は変換反応液中のPd濃度(重量%)、Tは変
換反応温度(℃)を表す。) また、アリルアルコール類は不飽和炭化水素類に分解す
るため、アリルアルコール類の濃度制御が必要である。
すなわち、変換反応液中のアリルアルコール類の濃度
は、変換反応初期のみならず、反応継続中常に20重量
%以下、好ましくは18重量%以下、更に好ましくは1
5重量%以下、最も好ましくは10重量%以下に制御す
る必要がある。
【0035】変換反応温度は、通常100〜150℃程
度であり、好ましくは110〜140℃、更に好ましく
は113〜135℃、最も好ましくは118〜128℃
である。変換反応温度が低すぎると反応に長時間を要す
る欠点があり、高すぎるとパラジウム触媒がメタル化す
る欠点がある。変換反応は、加圧、減圧の何れでも実施
可能であり、回分式でも連続式でも良好に実施される。
特に、反応蒸留の様に、変換反応により生成するアリル
アルコール類を抜き出しながら実施するのが好ましい。
変換反応圧力は、3mmHgから10kg/cm2 の範
囲が好ましく、更に5mmHgから常圧の範囲が好まし
い。圧力が低すぎると工業的に困難であり、また、ジア
リルエーテル類等が留出し、変換反応液が濃縮されすぎ
てパラジウム又はリンの濃度が上昇し、その結果、これ
らが析出して液の抜き出しが困難となる。
【0036】回分式での変換反応時間および連続式での
変換反応液の滞留時間は、通常10時間以下程度であ
り、好ましくは0.1〜8時間、更に好ましくは0.3
〜5時間、最も好ましくは0.35〜3時間である。反
応時間が短すぎるとアリルアルコール類の生成量が少な
く、長すぎるとPdがメタル化する欠点がある。次に、
第2の要旨に係る本発明について説明する。この発明
は、要約すれば、ジアリルエーテル類を副生物として含
有する水和二量化反応液に前述の変換反応を適用した発
明である。共役アルカジエンと水との水和二量化反応、
即ち、パラジウム化合物とリン化合物より成る触媒およ
び必要に応じて二酸化炭素の存在下、共役アルカジエン
と水とを反応させ、アリルアルコール類(例えばアルカ
ジエノール類)を製造する方法は、例えば、特公昭50
−10565号公報、特開昭54−144306号公報
などに例示されている。
【0037】原料の共役アルカジエンとしては、1,3
−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,
3−ジメチル−1,3−ブタジエン、イソプレン、1,
3−ペンタジエン、クロロプレン、1,3−オクタジエ
ン等が挙げられる。そして、容易に入手可能な1,3−
ブタジエン原料としては、精製1,3−ブタジエンの
他、いわゆるBBP(ブタン−ブタジエン留分)、即
ち、ナフサ分解生成物中のC4 留分混合物などが挙げら
れる。
【0038】BBPを原料とする場合は、原料BBP中
に含有されているアセチレン類およびアレン類を予め分
解除去しておくことが望ましい。1,3−ブタジエン原
料(BBP)中のアセチレン類およびアレン類の総濃度
は、可能な限り低いことが望ましいが、通常、1,3−
ブタジエンに対して約1.0重量%以下とされる。アセ
チレン類およびアレン類を低減化する方法は、特に限定
されず、公知の方法が適宜採用可能である。
【0039】他の原料である水としては、水和二量化反
応に影響を与えない程度の純度の水が使用される。水の
使用量については、特に限定されないが、共役アルカジ
エン1モルに対し、通常0.5〜10モル、好ましくは
1〜5モルの範囲から選択される。パラジウム化合物と
しては、水和二量化反応に使用される公知の種々のパラ
ジウム化合物を使用することが出来る。具体的には、前
記の変換反応において例示したパラジウム化合物が挙げ
られ、前記の変換反応における好ましいパラジウム化合
物は、水和二量化反応においても同様に好ましい。
【0040】パラジウム化合物の使用量は、共役アルカ
ジエン1モル当たりパラジウム原子に換算して通常0.
00001〜1モル、好ましくは0.0001〜0.5
モルの範囲で適宜決定される。リン化合物としては、水
和二量化反応に使用される公知の種々のリン化合物を使
用することが出来る。具体的には、前記の変換反応にお
いて例示したリン化合物が挙げられ、前記の変換反応に
おける好ましいリン化合物は、水和二量化反応において
も同様に好ましい。特に、リンの各結合手に7個以上の
炭素原子を有する基を持つリン化合物は、アリルアルコ
ール類(例えばアルカジエノール類)の選択率の観点か
ら好ましい。
【0041】上記のリン化合物としては、例えば、トリ
トリルホスフィン、トリス(エチルフェニル)ホスフィ
ン、トリキシリルホスフィン、トリメシチルホスフィ
ン、トリス(テトラメチルフェニル)ホスフィン、トリ
ス(メチルメトキシフェニル)ホスフィン等の疎水性ホ
スフィン及び対応するホスファイトが挙げられる。これ
らの中では、トリトリルホスフィン、トリキシリルホス
フィン、トリメシチルホスフィン、トリス(テトラメチ
ルフェニル)ホスフィン等が好ましい。これらのリン化
合物は、水和二量化反応においてアリルアルコール類
(例えばアルカジエノール類)を高選択率で与えると共
に前記の変換反応においてジアリルエーテル類(ジアル
カジエニルエーテル類)を効率的にアリルアルコール類
に変換する効果を有する。
【0042】リン化合物は、通常、パラジウム原子1モ
ルに対して約0.1〜100モル、好ましくは約1〜5
0モルの割合で使用されるが、必ずしも、上記範囲に限
定されるものではない。水和二量化反応は、反応を円滑
に行うために反応溶媒の存在下に行うのが好ましい。反
応溶媒としては、共役アルカジエン及び水を少くとも部
分的に溶解し得る全ての溶媒が使用可能である。前記の
変換反応において例示した溶媒は、何れも使用すること
が出来るが、後工程での溶媒の蒸留分離の容易さより、
蒸留時に水より沸点の低くなる溶媒を用いるのが有利で
ある。
【0043】水和二量化反応の温度は、室温から約18
0℃までの広い範囲から選択することが出来るが、好ま
しくは50〜130℃、更に好ましくは60〜100℃
の範囲である。また、反応圧力は、常圧から約200k
g/cm2 までの広い範囲から選択することが出来る
が、3〜70kg/cm2 が好ましい。反応に際して
は、特公昭50−10565号公報に開示されている様
に、反応系内にCO2 を共存させてもよく、ヘリウム、
アルゴン等の不活性ガスを共存させることも可能であ
る。
【0044】水和二量化反応液中には、主生成物である
アリルアルコール類、副生成物のジアリルエーテル類や
アルカトリエン類、未反応の共役アルカジエン、触媒、
水、溶媒などが含まれている。共役アルカジエンが1,
3−ブタジエンの場合、主生成物としては、オクタ−
2,7−ジエン−1−オール、副生物としては、オクタ
−1,7−ジエン−3−オール、オクタトリエン類、ジ
オクタジエニルエーテル類が挙げられる。これら反応副
生物の生成量は、二量化反応の条件に依存して異なる
が、通常、共役アルカジエン基準でそれぞれ数モルパー
セント内外である。
【0045】水和二量化反応液は、通常、蒸留によって
主生成物であるアリルアルコール類を分離し、副生成物
のジアリルエーテル類などの高沸点物質および触媒を含
む液(以下、触媒液という)に分離される。本発明にお
いては、反応液からアリルアルコール類を蒸留により分
離する際に、前記の変換反応を適用するのが有利であ
り、パラジウム化合物、リン化合物及びジアリルエーテ
ル類が共存する塔底部でこの変換反応を行い、生成した
アリルアルコール類は塔頂部から抜出すのが、アリルア
ルコール類の選択率を高くするのに望ましい方法であ
る。例えば、水和二量化反応液から蒸留により溶媒を留
去し、塔底液を油水分離して、触媒、アリルアルコール
類及びジアリルエーテル類を含む反応生成液を得、次い
で該反応生成液からアリルアルコール類を蒸留により分
離する際、蒸留塔の塔底部で変換反応を行ってもよい
し、また、水和二量化反応液からアリルアルコール類の
少なくとも一部を分離した後に得られる反応生成液から
アリルアルコール類を蒸留により分離しながら蒸留塔の
塔底部で変換反応を行ってもよい。勿論、蒸留、抽出な
どの操作を組み合せて触媒成分と分離した後の副生成物
のジアリルエーテル類に対して前記の変換反応を適用し
てもよい。
【0046】触媒液に対して前記の変換反応を適用する
場合は、触媒液に既にパラジウム化合物、リン化合物
(例えば、ホスフィン類、ホスファイト類)が含まれて
いるため、変換反応のためにこれらを別途に添加する必
要がない利点がある。触媒成分と分離した後のジアリル
エーテル類に対して前記の変換反応を適用する場合は、
パラジウム化合物を触媒として添加して変換反応を行え
ばよい。また、必要に応じ、触媒液と分離したジアリル
エーテル類に、再度、触媒液を混合して使用することも
可能である。
【0047】そして、上記の何れの場合においても、変
換反応の熱処理条件として、前記の数式で表される関数
Fの値が0≦F<100の範囲、好ましくは0≦F<7
0、更に好ましくは0<F<50、最も好ましくは0.
1<F<50となる条件を採用することが必要である。
また、変換反応液中のアリルアルコール類の濃度は、2
0重量%以下、好ましくは18重量%以下、更に好まし
くは15重量%以下、最も好ましくは10重量%以下に
制御する必要がある。
【0048】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例によって限定されるものではない。 実施例1 200mlの電磁誘導撹拌器付きのステンレス製オート
クレーブに、ビス(2,7−オクタジエニル)エーテル
60g、ヒドロキシオクタジエン5g、ビス(トリ−o
−トリルホスフィン)パラジウム(0)1.0g、トリ
−o−トリルホスフィン7gを仕込んだ。Pd濃度は
0.2重量%である。次いで、N2 雰囲気下、140℃
にて1時間変換反応を行った。この条件における関数F
の値は8である。得られた反応液をガスクロマトグラフ
ィーで分析し、ビス(2,7−オクタジエニル)エーテ
ルの反応量とヒドロキシオクタジエンの生成量を求め
た。その結果を反応条件と共に表−1に示す。
【0049】実施例2 実施例1において、反応温度を120℃、反応時間を3
時間に変更し、関数Fの値を12に変更したこと以外
は、実施例1と同様に変換反応を行った後、反応液を分
析した。その結果を反応条件と共に表−1に示す。
【0050】実施例3 実施例1と同様のオートクレーブに、ビス(2,7−オ
クタジエニル)エーテル60g、ヒドロキシオクタジエ
ン5g、ビス(トリ−2,5−キシリルホスフィン)パ
ラジウム(0)1.5g、トリ−2,5−キシリルホス
フィン7gを仕込んだ。Pd濃度は0.3重量%であ
る。次いで、N2 雰囲気下、130℃にて3時間反応を
行った。この条件における関数Fの値は27である。得
られた反応をガスクロマトグラフィーで分析し、ビス
(2,7−オクタジエニル)エーテルの反応量とヒドロ
キシオクタジエンの生成量を求めた。その結果を反応条
件と共に表−1に示す。
【0051】実施例4 実施例1と同様のオートクレーブに、ビス(2,7−オ
クタジエニル)エーテル60g、ヒドロキシオクタジエ
ン2g、パラジウム(II)アセチルアセトナート0.7
g、トリオクチルホスフィン7gを仕込んだ。Pd濃度
は0.3重量%である。次いで、N2 雰囲気下、130
℃にて2時間変換反応を行った。この条件における関数
Fの値は18である。得られた反応液をガスクロマトグ
ラフィーで分析し、ビス(2,7−オクタジエニル)エ
ーテルの反応量とヒドロキシオクタジエンの生成量を求
めた。その結果を反応条件と共に表−1に示す。
【0052】実施例5 実施例1と同様のオートクレーブに、ビス(2,7−オ
クタジエニル)エーテル60g、トリス(2,5−キシ
リル)ホスフィン0.6g、酢酸パラジウム0.013
gを仕込んだ。Pd濃度は0.01重量%である。次い
でN2 雰囲気下、120℃で3時間変換反応を行った。
この条件における関数Fの値は0.6である。得られた
反応をガスクロマトグラフィーで分析し、ビス(2,7
−オクタジエニル)エーテルの反応量とヒドロキシオク
タジエンの生成量を求めた。反応後のヒドロキシオクタ
ジエンの濃度は1.4重量%であった。その結果を反応
条件と共に表−1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】なお、上記の表中のHODはヒドロキシオ
クタジエンを示し、選択率は、反応物のモル数に対する
生成物のモル数の割合として求めた値である(ビス
(2,7−オクタジエニル)エーテルの分子量:23
4.4、ヒドロキシオクタジエンの分子量:126.
2)。
【0055】比較例1 実施例1において、反応温度を90℃、反応時間を0.
2時間に変更し、関数Fの値を−0.4に変更したこと
以外は、実施例1と同様に変換反応を行った後、反応液
を分析し、ビス(2,7−オクタジエニル)エーテルの
反応量とヒドロキシオクタジエンの生成量を求めた。そ
の結果、ビス(2,7−オクタジエニル)エーテルの反
応量は0.2gであったが、ヒドロキシオクタジエンの
濃度は増加せず生成していなかった。
【0056】比較例2 実施例1と同様のステンレス製オートクレーブに、ビス
(2,7−オクタジエニル)エーテル60g、ヒドロキ
シオクタジエン5g、ビス(トリ−o−トリルホスフィ
ン)パラジウム(0)1.4g、トリ−o−トリルホス
フィン7gを仕込んだ。Pd濃度は0.3重量%であ
り、ヒドロキシオクタジエンの濃度は6.8重量%であ
った。次いで、N2 雰囲気下、140℃にて10時間変
換反応を行った。この条件における関数Fの値は120
である。得られた反応液をガスクロマトグラフィーで分
析し、ビス(2,7−オクタジエニル)エーテルの反応
量とヒドロキシオクタジエンの生成量を求めた。その結
果、ビス(2,7−オクタジエニル)エーテルの反応量
は58.0gであったが、ヒドロキシオクタジエンは検
出されなかった。また、Pd触媒のメタル化が観察され
た。
【0057】比較例3 1,3−ブタジエン0.5モル、水1モル、二酸化炭素
0.6モル、ビス(アセチルアセトン)パラジウム0.
5ミリモル、トリフェニルホスフィン2.0ミリモル及
びジメチルホルムアミド63mlの混合物を内容積0.
3リットルのステンレス製電磁誘導回転式オートクレー
ブ中に仕込み、90℃で3時間水和二量化反応を行っ
た。
【0058】得られた反応液にトリフェニルホスフィン
1.0ミリモルを添加し、浴温90℃、圧力1.8mm
Hgで蒸留してオクタジエニルアルコールを留去した。
このとの釜残のPd濃度は1.41重量%、P濃度は
2.45重量%、ヒドロキシオクタジエン濃度は3重量
%、ビス(2,7−オクタジエニル)エーテル濃度は1
4重量%であった。その後、浴温120℃、圧力1.8
mmHgで加熱蒸留操作を15分行なった結果、釜残中
に析出物が生じた。この析出物を含めた釜残中のPd濃
度は2.2重量%、P濃度は2.56重量%であった。
【0059】比較例4 実施例1と同様のオートクレーブに、ビス(2,7−オ
クタジエニル)エーテル60g、ヒドロキシオクタジエ
ン30g、ビス(トリ−2,5−キシリルホスフィン)
パラジウム(0)1.5g、トリ−2,5−キシリルホ
スフィン7gを仕込んだ。Pd濃度は0.2重量%、ヒ
ドロキシオクタジエン濃度は30重量%である。次い
で、N2 雰囲気下、130℃にて2時間変換反応を行っ
た。この条件における関数Fの値は12である。得られ
た反応液をガスクロマトグラフィーで分析し、ビス
(2,7−オクタジエニル)エーテルの反応量とヒドロ
キシオクタジエンの生成量を求めた。その結果、ビス
(2,7−オクタジエニル)エーテルの反応量は17.
6gであったが、ヒドロキシオクタジエンは生成による
増加とは逆に19gも減少していた。
【0060】比較例5 実施例1と同様のオートクレーブに、ビス(2,7−オ
クタジエニル)エーテル60g、トリ−(2,5−キシ
リル)ホスフィン0.03g、酢酸パラジウム0.01
3gを仕込んだ。反応液中のPd濃度は0.01重量%
であり、リン濃度は0.004重量%であった。次い
で、N2 雰囲気下120℃で8時間変換反応を行った。
この条件における関数Fの値は1.6である。反応液の
分析結果、痕跡程度のヒドロキシオクタジエンの生成は
認められたものの、ビス(2,7−オクタジエニル)エ
ーテルはほとんど反応していなかった。またPdのメタ
ル生成により反応液は黒く濁っていた。
【0061】実施例6 1,3−ブタジエンと水との水和二量化反応を以下の通
り実施した。すなわち、10リットルステンレス製の電
磁誘導撹拌器付きオートクレーブに、1,3−ブタジエ
ン1000g、水320g、ビス(アセチルアセトン)
パラジウム1.4g、トリ(o−トリル)ホスフィン1
7.2g、アセトン2587gを仕込み、二酸化炭素で
20kg/cm2 Gに加圧し、90℃で3時間水和二量
化反応を行った。
【0062】得られた反応液を大気圧下で蒸留し、アセ
トンを主体とする低沸点成分を分離した。蒸留残液を静
置し、水相を分離除去後、薄膜蒸発器でヒドロキシオク
タジエンを分離した。薄膜蒸発器は圧力20mmHg、
ヒーター温度140℃で操作した。得られたジオクタジ
エニルエーテルを主体とする蒸発残液60gを200m
lのステンレス製の電磁誘導撹拌器付オートクレーブに
仕込み、120℃で1時間変換反応を行った。オートク
レーブに仕込んだ蒸発残液中のHOD濃度は3.5重量
%であり、変換反応後のHOD濃度は7.0重量%であ
った。高周波発光分析装置により蒸発残液中のPd濃度
を測定した結果、0.15重量%であり、上記の変換反
応における関数Fの値は3であった。ガスクロマトグラ
フィーで蒸発残液とその反応液を分析し、その結果を表
−2に示す。分析結果から、ジオクタジエニルエーテル
の反応量は9.4gであり、ヒドロキシオクタジエンの
生成量は2.1gであり、選択率は41.5%であっ
た。
【0063】
【表2】
【0064】実施例7 実施例6において、トリ(o−トリル)ホスフィンの代
わりにトリ(2,5−キシリル)ホスフィンを使用し、
薄膜蒸発のヒーターを120℃としたこと以外は、実施
例6と同様にして水和二量化反応から薄膜蒸発までの操
作を行った。次いで、得られたジオクタジエニルエーテ
ルを主体とする蒸発残液をガラス製の単蒸留装置に供給
して連続蒸留を行った。供給速度は86g/Hr、釜温
度は120℃、蒸留圧力は20mmHg、釜内の滞留時
間(反応時間)は1.8時間とした。供給した蒸発残液
中のヒドロキシオクタジエンの濃度は19.8重量%で
あった。
【0065】釜内の液量が70mlとなる様に制御した
結果、平均缶出液量は38g/Hr、平均留出液量は4
8g/Hrであった。缶出液中のヒドロキシオクタジエ
ン濃度は7.3重量%であり、高周波発光分析装置によ
り缶出液中のPd濃度を測定した結果、0.2重量%で
あり、上記の蒸留操作において、釜内の熱処理(変換反
応)における関数Fの値は7.2であった。
【0066】ガスクロマトグラフィーで供給液を分析
し、ジオクタジエニルエーテル及びヒドロキシオクタジ
エンの供給量を求めた結果、それぞれ、49.0g/H
r及び17.0g/Hrであった。また、留出液と缶出
液との混合液についても同様に分析し、ジオクタジエニ
ルエーテル及びヒドロキシオクタジエンの留出缶出量を
求めた結果、それぞれ、37.7g/Hr及び19.7
g/Hrであった。これらの結果から、ジオクタジエニ
ルエーテルの反応量は11.34g/Hrであり、ヒド
ロキシオクタジエンの生成量は2.7g/Hrであり、
選択率は44%であった。
【0067】実施例8 図1に示す装置を用いて、触媒液を循環使用しながら
1,3−ブタジエンと水との反応の連続運転を行った。
反応器1は内容積10Lの誘導撹拌器付ステンレス製オ
ートクレーブを使用し、循環溶媒アセトン、高沸点副生
物を含む循環触媒液、水、1,3−ブタジエンを連続的
に供給した。この時、オートクレーブ内は、二酸化炭素
により10kg/cm2 Gに維持され、反応温度75
℃、反応器内液量5L、反応液の滞留時間は5.1時間
であった。
【0068】また、反応は、酢酸パラジウムとトリス
(2,5−キシリル)ホスフィンを用いて行なった。反
応器から連続的に抜き出された反応液は、気液分離器2
に供給され、1kg/cm2 G、30℃にて分離された
液は蒸留塔3に連続的に供給された。蒸留塔3は、理論
段数15段で、塔頂圧力760mmHg、還流比1で操
作した。蒸留塔3の塔頂から留出した溶媒アセトンは反
応器に戻され、一方缶出液は油水分離器4で油水分離さ
れ、油相は反応生成液として抜き出された。
【0069】オクタジエノールと副生物であるジオクタ
ジエニルエーテルを含有する油相を、蒸留塔5に連続的
に供給してアリルアルコールへの変換反応を行った。蒸
留塔5は、理論段5段で、塔頂圧力20mmHg、塔底
液の温度120℃で操作し、缶出液の液量が1時間あた
り約100gになる様に塔底部の液量を変えて調節し
た。蒸留塔塔底部の滞留時間は0.75hrであり、関
数Fの値は1.5であった。また、蒸留塔5からの缶出
液は触媒液として反応器へ循環した。800時間経過時
の蒸留塔5に関する分析値は表−3の通りであり、ジオ
クタジエニルエーテルの13%が分解し、1−ヒドロキ
シオクタジエンの回収率は101%、3−ヒドロキシオ
クタジエンの回収率は109%であり、ジオクタジエニ
ルエーテルからヒドロキシオクタジエンへの選択率は4
9%であった。
【0070】
【表3】
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、ジアリルエーテル類か
ら対応するアリルアルコール類を製造することが出来
る。特に、共役アルカジエンの水和二量化反応によるア
リルアルコール類の製造方法において、副生するジアリ
ルエーテル類をアリルアルコール類に変換することが可
能であり、アリルアルコール類の収率を高めることが出
来、しかも、不要な高沸点生成物を分離の簡単な低沸点
成分に変換することも出来るため、高価な触媒の損失を
回避することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例8で使用した連続反応装置を示すフロー
図である。
【符号の説明】
1:反応器 2:気液分離器 3,5:蒸留塔 4:油水分離器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉田 壮一郎 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化 学株式会社水島開発研究所内 (56)参考文献 特開 平2−88536(JP,A) 特開 平7−179378(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 29/10 C07C 29/44 - 29/46 C07C 33/02 - 33/035

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パラジウム化合物とリン化合物とを含む
    触媒の存在下にジアリルエーテル類を熱処理してアリル
    アルコール類に変換することからなるアリルアルコール
    類の製造方法において、下記式で表される関数Fの値が
    0≦F<100の範囲であり、かつ変換反応液中のアリ
    ルアルコール類の濃度が20重量%以下、変換反応液中
    のPd濃度が0.005〜1.0重量%の範囲内の変換
    反応条件下に熱処理を行うことを特徴とするアリルアル
    コール類の製造方法。 【数1】F=θt・[Pd]・(T−100) (但し、θtは変換反応時間(時間)、[Pd]は変換
    反応液中のPd濃度(重量%)、Tは変換反応温度
    (℃)を表す。)
  2. 【請求項2】 変換反応液中のリン濃度が0.005〜
    2.5重量%の範囲内である請求項1に記載のアリルア
    ルコール類の製造方法。
  3. 【請求項3】 ジアリルエーテル類がジアルカジエニル
    エーテル類であり、アリルアルコール類がアルカジエノ
    ール類である請求項1又は2に記載のアリルアルコール
    類の製造方法。
  4. 【請求項4】 パラジウム化合物とリン化合物とを含む
    触媒および必要に応じて二酸化炭素の存在下、共役アル
    カジエンと水とを水和二量化反応させ、アリルアルコー
    ル類と副生物としてのジアリルエーテル類を含有する水
    和二量化反応液を得、次いで、該反応液中のジアリルエ
    ーテル類を熱処理してアリルアルコール類に変換反応さ
    せるにあたり、下記式で表される関数Fの値が0≦F<
    100の範囲であり、かつ変換反応液中のアリルアルコ
    ール類の濃度が20重量%以下、変換反応液中のPd濃
    度が0.005〜1.0重量%の範囲内の変換反応条件
    下に熱処理を行うことを特徴とするアリルアルコール類
    の製造方法。 【数2】F=θt・[Pd]・(T−100) (但し、θtは変換反応時間(時間)、[Pd]は変換
    反応液中のPd濃度(重量%)、Tは変換反応温度
    (℃)を表す。)
  5. 【請求項5】 共役アルカジエンが1,3−ブタジエン
    である請求項4に記載のアリルアルコール類の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 ジアリルエーテル類がジアルカジエニル
    エーテル類であり、アリルアルコール類がアルカジエノ
    ール類である請求項4又は5に記載のアリルアルコール
    類の製造方法。
  7. 【請求項7】 パラジウム化合物とリン化合物とを含む
    触媒および必要に応じて二酸化炭素の存在下、溶媒中、
    共役アルカジエンと水とを水和二量化反応させ、アリル
    アルコール類と副生物としてのジアリルエーテル類を含
    有する水和二量化反応液を得、次いで、該反応液中のジ
    アリルエーテル類を熱処理してアリルアルコール類に変
    換反応させるにあたり、該反応液からアリルアルコール
    類を蒸留により分離する際、下記式で表される関数Fの
    値が0≦F<100の範囲であり、かつ変換反応液中の
    アリルアルコール類の濃度が20重量%以下、変換反応
    液中のPd濃度が0.005〜1.0重量%の範囲内の
    変換反応条件下に熱処理を行うことを特徴とするアリル
    アルコール類の製造方法。 【数3】F=θt・[Pd]・(T−100) (但し、θtは変換反応時間(時間)、[Pd]は変換
    反応液中のPd濃度(重量%)、Tは変換反応温度
    (℃)を表す。)
  8. 【請求項8】 水和二量化反応液から蒸留により溶媒を
    留去し、塔底液を油水分離して、触媒、アリルアルコー
    ル類及びジアリルエーテル類を含む反応生成液を得、次
    いで、該反応生成液からアリルアルコール類を蒸留によ
    り分離する際、蒸留塔の塔底部で変換反応を行う請求項
    7に記載のアリルアルコール類の製造方法。
  9. 【請求項9】 水和二量化反応の溶媒が、蒸留時に水よ
    り低沸点となる溶媒である請求項7又は8に記載のアリ
    ルアルコール類の製造方法。
  10. 【請求項10】 水和二量化反応液からアリルアルコー
    ル類の少なくとも一部を分離した後に得られる反応生成
    液からアリルアルコール類を蒸留により分離しながら蒸
    留塔の塔底部で変換反応を行う請求項7〜9のいずれか
    に記載のアリルアルコール類の製造方法。
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