JP3430928B2 - オルガノオキシジクロロホスフィン - Google Patents

オルガノオキシジクロロホスフィン

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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は新規なオルガノオキ
シジクロロホスフィンに関するものであり、本発明のオ
ルガノオキシジクロロホスフィンは、例えば、DNA合
成試薬の中間原料として有機合成化学、生化学および医
薬産業上有用な化合物である。 【0002】 【従来の技術】これまで、オルガノオキシジクロロホス
フィンとしては、2−シアノエトキシジクロロホスフィ
ン(NCCH2CH2OPCl2)が知られている[モナ
・ジェイ・ニーマー(Mona J. Nemer)、カナディアン
・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Can. J. Che
m.),58,2688(1980);エイチ・ケスター(H.Koeste
r)ら、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Let
t.),52,5843(1983)]。 【0003】上記2−シアノエトキシジクロロホスフィ
ンを、DNA合成試薬の中間原料として用いる場合に
は、ジクロロホスフィン体をビス(ジアルキルアミノ)
誘導体に導き、これと5’−O,塩基保護−ヌクレオシ
ドとを反応させ、同ヌクレオシドの3’−O−アミダイ
ト体(DNA合成試薬)とするのが一般的である。しか
しながら、前記方法では、純度良く目的物を得るため
に、各反応段階で、副生成物および不純物を除去するこ
とが必要であり、そのため操作上の煩雑さが生じ、DN
A合成試薬の製造コストが嵩む等の問題点がある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、DN
A合成試薬の製造において各段階における精製工程を省
くことができる、DNA合成試薬の中間原料である新規
なオルガノオキシジクロロホスフィンを提供することで
ある。 【0005】 【問題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を行った結果、下記式(1)で表
されるオルガノオキシジクロロホスフィンをDNA合成
試薬の中間原料に用いた場合に、前記課題が解決される
ことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明は式(1)で表されるオルガノオキシジクロロホ
スフィンである。 【0006】 【化2】 【0007】(式中、R1は水素原子またはフェニル
基、R2およびR3は水素原子、またはヘテロ原子を含ん
でもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基も
しくはアラルキル基を示す。ただし、R1が水素原子
で、かつ、R2およびR3が水素原子、メチル基またはエ
チル基である場合を除く。) 【0008】 【発明の実施の形態】本発明におけるオルガノオキシジ
クロロホスフィンは、前記式(1)で表される化合物で
あり、式(1)におけるR1は水素原子およびフェニル
基であり、R2およびR3の具体例としては、水素原子、
メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピ
ル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャ
リーブチル基、ノルマルペンチル基、1−エチルプロピ
ル基、シクロヘキシル基、ノルマルノニル基、2−フェ
ニルエチル基、2−(メチルチオ)エチル基、フェニル
基、1,1−ジエチル−3−ブテニル基および1,1−
ジメチル−2−フェニルエチル基などが挙げられる。た
だし、前記式(1)においてR1が水素原子で、かつ、
2およびR3が水素原子、メチル基またはエチル基の化
合物は除く。 【0009】本発明におけるオルガノオキシジクロロロ
ホスフィンは、下記式(2)で表されるオルガノオキシ
トリメチルシランと三塩化リンとの反応により下記式
(3)に示すとおり容易に製造することができる[畑
辻明ら、ヌクレイック・アッシッズ・リサーチ(Nuclei
c Acids Res.),17,8581(1989)]。 【0010】 【化3】 【0011】(式中、R1、R2およびR3は式(1)と
同じ。) 【0012】 【化4】 【0013】(式中、R1、R2およびR3は式(1)と
同じ。) 【0014】上記反応は、例えば、前記オルガノオキシ
トリメチルシランとこれに対し2〜5当量の三塩化リン
とを0℃の温度条件で混合させ、室温で1時間〜10日間
静置することにより達成され、得られたものを常法に従
って減圧蒸留すれば、前記式(1)で表されるオルガノ
オキシジクロロホスフィンが得られる。 【0015】一方、前記式(2)で表されるオルガノオ
キシトリメチルシランは、下記式(4)で表される2−
シアノエタノール誘導体と1,1,1,3,3,3−ヘ
キサメチルジシラザンとの反応[下記式(5)]、また
は下記式(6)で表されるアルデヒドもしくはケトン
と、シアノメチルリチウムなどのシアノメチルアルカリ
金属化合物もしくはa−シアノベンジルリチウムなどの
a−シアノベンジルアルカリ金属化合物との反応生成物
に、クロロトリメチルシランを反応[下記式(7)]さ
せて、容易に製造することができる。 【0016】 【化5】 【0017】(式中、R1、R2およびR3は式(1)と
同じ。) 【0018】 【化6】 【0019】(式中、R1、R2およびR3は式(1)と
同じ。) 【0020】 【化7】 【0021】(式中、R2およびR3は式(1)と同
じ。) 【0022】 【化8】 【0023】(式中、R1、R2およびR3は式(1)と
同じ。 【0024】また、前記シアノメチルアルカリ金属化合
物およびα−シアノベンジルアルカリ金属化合物は、ア
セトニトリルやベンジルシアニドのシアノ基に隣接した
活性水素を、ノルマルブチルリチウムなどを用いてアル
カリ金属化することにより容易に製造することができる
[下記式(8)]。 【0025】 【化9】 【0026】(式中、R1は水素原子またはフェニル基を
示す。) 【0027】前記式(5)で表される反応は、例えば、
2−シアノエタノール誘導体とこれに対し1〜2当量の
1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンおよ
び0.005〜0.1当量のイミダゾールを混合し、1
〜5時間かきまぜながら加熱・還流させることにより達
成され、得られた化合物を常法に従って減圧蒸留すれ
ば、オルガノオキシトリメチルシランが得られる。 【0028】また、前記式(8)で表される反応は、−
80〜−60℃の温度条件に、ノルマルブチルリチウム
のノルマルヘキサン/テトラヒドロフラン(1/2)溶
液にこれに対し1.0〜1.2当量のアセトニトリルま
たはベンジルシアニドを加え、0.5〜2時間かき混ぜ
て反応させることにより達成され、シアノメチルリチウ
ムまたはα−シアノベンジルリチウムのノルマルヘキサ
ン/テトラヒドロフラン溶液を得る。さらに、前記式
(7)で表される反応においては、−80〜−60℃の
温度条件で、前記シアノメチルリチウムまたはα−シア
ノベンジルリチウムのノルマルヘキサン/テトラヒドロ
フラン溶液に対し1.0〜1.2当量の前記式(6)で
表されるアルデヒドもしくはケトンを加えて、反応温度
を0.5〜1時間かけて室温に戻した後、1.2〜1.
5当量のクロロトリメチルシランを加えてかき混ぜるこ
とが好適な反応条件である。なお、有機溶媒は乾燥剤で
乾燥後、蒸発精製したものを用いた方が良い。反応終了
後、得られた化合物を常法に従って減圧蒸留すれば、前
記式(2)で表されるオルガノオキシトリメチルシラン
が得られる。 【0029】本発明におけるオルガノオキシジクロロホ
スフィンは、DNAオリゴマーを化学合成する際の中間
原料として有用である。例えば、本発明におけるオルガ
ノオキシジクロロホスフィンの1例である2−シアノ−
1−(1,1−ジエチル−3−ブテニル)エトキシジク
ロロホスフィンは、トリメチルシリル−4−メチルイミ
ダゾールとの反応で、ビス(4−メチルイミダゾリル)
ホスフィン体となり、これと5’−O−(4,4’−ジ
メトキシトリチル)チミジンとの反応で得られる、その
3’−O−4−メチルイミダゾリルホスフィン誘導体
は、単離精製することなくそのままDNA合成試薬とし
て用いることができる。 【0030】 【実施例】以下、実施例により本発明の化合物について
詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。 (実施例1) ・2−シアノ−1−ノルマルプロピルエトキシジクロロ
ホスフィンの合成 室温下に、三塩化リン12.36g(90mmol)と
2−シアノ−1−ノルマルプロピルエトキシトリメチル
シラン8.34g(45mmol)を加え、反応させ
た。反応が完結したことを1H−NMRスペクトルで確
認した後、過剰の三塩化リンおよび副生したクロロトリ
メチルシランを室温で減圧下(約10mmHg)留去し
た。残さを減圧蒸留し、2−シアノ−1−ノルマルプロ
ピルエトキシジクロロホスフィン7.15gを得た(収
率74%)。得られた化合物の沸点および1H−NMR
スペクトルおよび31P−NMRスペクトルの各ケミカル
シフト(δ)は次のとおりである。b.p.77−79
℃/0.1mmHg、1H−NMR(TMS、CDCl3δ;1.0
(dt,3H, J=2.0,7.5Hz. 1.35-1.5(m,2H). 1.75-1.95(m,
2H),2.75(ddd,1H,J=2.0,4.0,17.0Hz), 2.9(ddd,1H,J=1.
5,6.0,17.0Hz), 4.85-4.95(m,1H) ppm, 31P−NMR
((MeO)3P,CDCl3δ;176ppm. 【0031】(実施例2〜20) 実施例1と同様の操作により、表1、表2および表3に
示したNo.2−No.20のオルガノオキシジクロロ
ホスフィンを合成した。各オルガノオキシジクロロホス
フィンの単離収率、b.p.、1H−NMRスペクトル
および31P−NMRスペクトルの各ケミカルシフト
(δ)を表1、表2および表3に示した。なお、1H−
NMRは400MHzNMR測定装置で測定(内部標
準:TMS=0ppm)、31P−NMRは161.
HzNMR測定装置で測定した(外部標準:(MeO)
3P=140ppm).また、δ値は0.05ppm間
隔で表示し、結合定数(J値)は0.5Hz間隔で表示
した。 【0032】 【表1】 【0033】 【表2】【0034】 【表3】 【0035】 【発明の効果】本発明のオルガノオキシジクロロホスフ
ィンは、DNA合成試薬の中間原料として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記式(1)で表されるオルガノオキシ
    ジクロロホスフィン。 【化1】 (式中、R1は水素原子またはフェニル基、R2およびR
    3は水素原子、またはヘテロ原子を含んでもよいアルキ
    ル基、シクロアルキル基、アリール基もしくはアラルキ
    ル基を示す。ただし、R1が水素原子で、かつ、R2およ
    びR3が水素原子、メチル基またはエチル基である場合
    を除く。)
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