JP3421192B2 - 限界電流式ガスセンサによる水蒸気濃度測定方法とその方法を利用した水蒸気濃度測定装置 - Google Patents

限界電流式ガスセンサによる水蒸気濃度測定方法とその方法を利用した水蒸気濃度測定装置

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JP3421192B2
JP3421192B2 JP10319096A JP10319096A JP3421192B2 JP 3421192 B2 JP3421192 B2 JP 3421192B2 JP 10319096 A JP10319096 A JP 10319096A JP 10319096 A JP10319096 A JP 10319096A JP 3421192 B2 JP3421192 B2 JP 3421192B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解質を用い
て、その内部を移動するイオンに基づく限界電流値から
水蒸気濃度を検出する限界電流式ガスセンサによる水蒸
気濃度測定方法及びそれを用いた測定装置に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、図9に示すように、ジルコニ
ア等の固体電解質基板30の表面に陰陽一対の電極3
1,32を設けるとともに、外気から陰極32に通じる
気体流入口を微小な孔33とし、陰極32に向かう気体
拡散を制限することにより、その制限された気体が陰極
32表面でイオン化されて固体電解質基板30内部を移
動する際に生じる限界電流値から、ガス濃度を検出する
センサ(以下、「限界電流式ガスセンサ」という。)が
知られている。
【0003】この限界電流式ガスセンサは、ガス濃度に
応じて正勾配をもって線形的に変化する限界電流を出力
する。従って、水蒸気センサとして利用する場合、既知
の水蒸気濃度とその限界電流値との対応関係を予め把握
しておけば、センサを測定雰囲気においたときの限界電
流値から水蒸気濃度を検出して濃度表示装置に表示する
ことができる。
【0004】ところが、限界電流式ガスセンサを用いた
検出装置において、測定雰囲気によっては長期間使用す
ると、センサの劣化により印加電圧に対する出力が低下
して測定誤差を生じる。すなわち、測定ガスが水蒸気で
あるときは、同一水蒸気濃度に対して限界電流値が低下
することとなり、実際の水蒸気濃度よりも低濃度を表示
する。
【0005】このように劣化したセンサの出力を補正す
る従来の方法は、次のようなものである。(1)センサを
湿度発生槽等の既知の水蒸気濃度の雰囲気に入れて出力
を補正する。(2)同じ限界電流式ガスセンサを用いて酸
素濃度を測定するときも、同一酸素濃度に対して限界電
流値が低下していることから、表示酸素濃度が大気中の
酸素濃度である20.8%となるようにアンプの可変抵
抗等を調整することにより出力を補正する(特開平6−
317559号段落番号0019)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記(1)の補
正方法では、湿度発生槽等の大がかりな装置が必要であ
るから、センサの取り付け場所で補正することができな
い。また、上記(2)の方法では、濃度対限界電流値の線
形関係を平行移動させることはできるが、勾配を補正す
ることはできない。
【0007】それ故、この発明の第1の目的は、限界電
流式ガスセンサを用いて、連続して正確に水蒸気濃度を
測定できる方法とその方法を利用した簡易な測定装置と
を提供することにある。第2の目的は、センサを特性の
異なる別のものと交換した場合でも、センサ取り付け場
所で短時間で出力を補正し継続して水蒸気濃度を測定で
きる方法とその方法を利用した水蒸気濃度測定装置を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の限界電流式ガスセンサによる水蒸気濃度
測定方法は、酸素イオン伝導性の固体電解質基板、それ
に密着した陰陽一対の電極及び陰極への気体拡散を制限
する気体拡散制限手段を有するセンサを用い、それら電
極間に直流電圧を印加したときの出力信号に基づいて水
蒸気濃度を測定する方法において、該センサが一定の酸
素濃度PO応じて示す酸素濃度出力信号SL1とその後
にセンサが同一酸素濃度POに応じて示す酸素濃度出力
信号SL1’との比SL1/SL1’を求めてそれを酸素濃度
補正係数kとし、センサが水蒸気濃度PHに応じて示す
水蒸気濃度出力信号SL2’に酸素濃度補正係数kを乗じ
て補正信号k*SL2’を算出し、水蒸気濃度PHと劣化
前のセンサの水蒸気濃度出力信号SL2との対応関係PH
=f(SL2)[f:関数記号]を参照して補正信号k*
L2’から水蒸気濃度を演算することを特徴とする。
【0009】同じく、この発明の水蒸気濃度測定装置
は、酸素イオン伝導性の固体電解質基板、それに密着し
た陰陽一対の電極及び陰極への気体拡散を制限する気体
拡散制限手段を有するセンサと該センサが一定の酸素濃
度POに応じて示す酸素濃度出力信号SL1とその後にセ
ンサが同一酸素濃度POに応じて示す酸素濃度出力信号
L1’との比SL1/SL1’を求めてそれを酸素濃度補正
係数kとし、センサが水蒸気濃度PHに応じて示す水蒸
気濃度出力信号SL2’に酸素濃度補正係数kを乗じて補
正信号k*SL2’を算出する出力補正演算手段と、水蒸
気濃度PHと劣化前のセンサの水蒸気濃度出力信号SL2
との対応関係PH=f(SL2)[f:関数記号]を参照
して補正信号k*SL2’から水蒸気濃度を演算する出力
演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】尚、酸素濃度補正係数kに代えて、該セン
サが一定の水蒸気濃度PHに応じて示す水蒸気濃度出力
信号SHとその後にセンサが同一水蒸気濃度PHに応じて
示す水蒸気濃度出力信号SH’との比SH/SH’を求め
てそれを補正係数k(この場合は水蒸気濃度補正係数と
なる)とし、センサが水蒸気濃度PHに応じて示す水蒸
気濃度出力信号SL2’に水蒸気濃度補正係数kを乗じて
補正信号k*SL2’を算出してもよいが、水蒸気濃度の
補正の度に一定の水蒸気濃度を設定することはわずらわ
しいので、kを酸素濃度補正係数として求めるのが好ま
しい。
【0011】本発明者等は、限界電流式ガスセンサの印
加電圧対限界電流値特性において、図5に示すように、
酸素濃度に対し、第1の平坦部F1に現れる第1の拡散
制限電流値IL1と水蒸気濃度に対し、第2の平坦部F2
に現れる第2の拡散制限電流値IL2は、各センサ素子毎
にまたセンサ素子の劣化の程度に応じて異なるものであ
るが、IL1/IL2比は、同一酸素濃度下で同一温度では
センサあるいはその劣化の程度が異なっても一定であ
り、水蒸気濃度に応じてのみ変化するものであることを
見出し、前記IL1/IL2比に基づいて水蒸気濃度を求め
ることを提案した(特開平4−50763号公報)。
【0012】本発明は、IL1/IL2比が一定である原理
を利用して、さらに例えば大気中の酸素濃度が一定であ
ることを利用し、上記特徴を備えることにより水蒸気濃
度を長期的に正確に測定することを可能にする。すなわ
ち、IL1/IL2比が一定であるということは、センサの
交換あるいはセンサの劣化に伴って、第1の平坦部F1
に現れる拡散制限電流値及び第2の平坦部F2に現れる
拡散制限電流値がそれぞれIL1’及びIL2’に変化して
も、その比IL1’/IL2’は交換前又は劣化前のIL1
L2比に等しい。式に表せばIL1/IL2=IL1’/
L2’である。従ってIL1/IL1’=IL2/IL2’(=
k)も常に成り立つ。
【0013】さて、水蒸気濃度に応じた、劣化センサの
第2の拡散制限電流値IL2’を補正する場合、劣化する
前の第2の拡散制限電流値IL2を基準にして劣化後のI
L2’がどれだけ変化したかを比(α=IL2’/IL2)で
求め、このαの逆数を補正係数(k=1/α)として用
いることもできるが、この補正方法は劣化前のIL2を測
定したときと同じ測定雰囲気条件(同一水蒸気濃度、同
一温度及び同一酸素濃度)を必要とする。
【0014】一方、本発明においては、劣化センサのI
L2’を補正する場合、劣化前の第1の拡散制限電流値I
L1を基準にして劣化後の第1の拡散制限電流値IL1’が
この基準に対してどれだけ変化したかを比(IL1’/I
L1=1/k)で求め、このkを補正係数に用いて劣化後
の第2の拡散制限電流値IL2’又はIL2’に関連する水
蒸気濃度(後述のSL2’)等のデータを補正するもので
あり、有利な点は上述の方法に比べて、同一の水蒸気濃
度を必要としないことにある。
【0015】つまり、IL1は、水蒸気濃度に対して独立
したパラメータであり、大気中の酸素濃度が20.8%
と一定であることから、それを基準として水蒸気濃度を
容易且つ確実に補正することができる。
【0016】そこで、劣化前のセンサが例えば大気中の
ように既知の酸素濃度POに応じて示す第1の拡散制限
電流値IL1と、その後に交換され又は経時的に劣化した
センサが同一酸素濃度POに応じて示す第1の拡散制限
電流値IL1’との比IL1/IL1’を求めてそれを酸素濃
度補正係数kとする。ここで、酸素濃度補正係数kは、
比であって、各々の拡散制限電流値の絶対値を求めるこ
とは重要ではない。従って、拡散制限電流値の比に限ら
ず、拡散制限電流値を増幅した値の比であっても良い
し、電圧信号やデジタル信号に変換した値の比であって
も良い。よって、kを酸素濃度出力信号の比SL1
L1’とする。
【0017】そして、交換され又は経時劣化したセンサ
が水蒸気濃度PHに応じて示す水蒸気濃度出力信号
L2’に酸素濃度補正係数kを乗じて補正信号k*
L2’を算出する。ここでも水蒸気濃度出力信号SL2
及び後述の水蒸気濃度出力信号SL2は、第2の拡散制限
電流値、その増幅値、電圧値及びそれらのデジタル化値
のいずれでもよい。次に、水蒸気濃度PHと初期のセン
サの水蒸気濃度出力信号SL2との対応関係PH=f(S
L2)[f:関数記号]を参照する。既述の通りIL1/I
L2=SL1/SL2=一定であるから、SL2/SL2’=α=
kすなわちSL2=k*SL2’となり、補正信号k*
L2’に基づいて水蒸気濃度を演算することができる。
従って、予めPH=f(SL2)を求めておけば、センサ
が交換され又は劣化して出力がSL2からSL2’に変化し
ても、SL2を出力している初期状態と同じ水蒸気濃度が
表示される。
【0018】
【発明の実施の形態】出力補正演算手段及び出力演算手
段は、通常マイコン内にデジタル回路として組まれる
が、アナログ回路でも良い。マイコン内に組むときは、
マイコンの入力側にA/Dコンバータ、出力側にD/A
コンバータを接続する。センサからの出力信号として電
圧信号を用いるときは、センサから出力される電流信号
をプリアンプにて増幅し、電圧信号に変換する。
【0019】センサは経時的に劣化するから、劣化後の
酸素濃度出力信号SL1’及び水蒸気濃度出力信号SL2
も時間とともに変化する。従って、センサには水蒸気濃
度測定用電圧Va及び酸素濃度測定用電圧Vbのいずれ
かが自在に印加されるようにしておくとともに、センサ
作動スイッチとは別個に出力補正スタートスイッチを設
け、出力補正スタートスイッチをONする度に酸素濃度
測定電圧に基づいて酸素濃度の出力補正を行う出力補正
演算手段により酸素濃度補正係数kを更新するようにし
ておくと好ましい。こうすることで、理論的には永久に
正確な水蒸気濃度を測定することができる。また、出力
補正スタートスイッチが測定装置の作動時に自動的に作
動するように回路を構成しても良い。
【0020】
【実施例】この発明の限界電流式ガスセンサ(以下、単
に「センサ」という。)による水蒸気濃度測定方法及び
水蒸気濃度測定装置の実施例を図面とともに説明する。
図1は、実施例に係わる限界電流式ガスセンサを示す斜
視図、図2は、図1のAA断面図、図3は、図2の変形
例を示す断面図、図4は、図1のセンサの下部に固着さ
れるセラミックヒータを示す一部破断斜視図である。
【0021】センサ1は、板状のセラミックヒータ20
とその主面に一体的に設けられる酸素イオン伝導性を示
す固体電解質板である安定化ジルコニア板10とこの安
定化ジルコニア板10中に並べられて埋設される陽電極
3、陰電極2及びガス出口孔8とを備える。
【0022】安定化ジルコニア板10は酸化ジルコニウ
ムに安定化剤として酸化イットリウムを添加固溶させた
固体電解質であり、本実施例では厚さ0.3mm、縦5
mm、横23mmの大きさで、厚さ方向に貫通した通気
口9が中央に設けられている。なお、セラミックヒータ
20と安定化ジルコニア板10とは、ガス出口孔8を除
く他は平面視同一形状で、通気口9に整合する通気口1
5がセラミックヒータ20にも設けられている。
【0023】陽電極3、陰電極2は多孔質の白金層(厚
さ数十μm)であり、一辺約2mmの電極部3a,2
a、長寸のリード部3b,2b及び取り出し部3c,2
cからなる。リード部2bは、その中間で白金層が分岐
して安定化ジルコニア板10の側面に導出しており、ガ
ス導入部6を形成している。そして、リード部2bのう
ち、このガス導入部6から陰電極部2aに至るまでの長
さ分がガス拡散制限部7となる。
【0024】ガス出口孔8は、陽電極部3aの位置に対
応して安定化ジルコニア板10に設けられた孔であり、
陽電極部3aと外部とを連通する。なお、ガス出口孔8
は陽電極部3aと外部とが通じていればどんな形状、大
きさであっても良い。次に、センサ1の製造方法を述べ
る。
【0025】セラミックヒータ20は、焼成後に通気口
15となる孔を打ち抜いた無機成分中のアルミナ含有率
が96重量%のグリーンシートの上面に白金ペーストで
ヒータパターン12を印刷し、端部に白金端子13,1
4をのせた後、同質のアルミナグリーンシートを被せ、
これを焼成一体化して製造される(図4)。
【0026】一方、焼成後に通気口9となる孔をあけた
ジルコニア92モル%及びイットリア8モル%の固体電
解質を含むグリーンシート上に、焼成後に陽電極3、陰
電極2となるように白金ペーストを印刷し、端部に白金
端子4,5をのせた後、同質のグリーンシートを積層
し、約1500℃で一体焼成することにより、安定化ジ
ルコニア板10、陰陽電極2,3及び白金端子4,5か
らなるセンサ素子を製造する。2枚のグリーンシート
は、断面を観察しても図2のように一体化して見分けが
つかなくなる。
【0027】なお、白金ペーストの印刷されるグリーン
シートは、酸素イオン伝導性固体電解質を主成分とする
ことが必要であるが、その上に積層されるグリーンシー
トは、それに限らず、例えばアルミナを主成分とするも
ののように同様に密封でき焼成できるものであれば良
い。その場合は、断面を観察すると、図3のように両シ
ートの境界線が残る。
【0028】センサ素子は、封着ガラス等を用いてセラ
ミックヒータ20の表面に約800℃で固着されセンサ
1となる。次にセンサ1の動作を説明する。
【0029】センサ1を測定ガス中に配置し、各電極部
2a,3aが局所的に約500℃となるようにセラミッ
クヒータ20に通電した後、陽電極3と陰電極2の間に
電圧を印加する。すると、陰電極2の陰電極部2a内部
の酸素は、イオン化されて酸素イオンとなり、印加電圧
Vに応じて陰電極2から陽電極3に輸送される。この
時、安定化ジルコニア板10のうち陰電極部2aに隣接
する部分のみが局所的に加熱され、ガス拡散制限部7に
隣接する部分は酸素イオン伝導性を示す程充分に加熱さ
れていないため、ガス導入部6から導入された酸素は安
定化ジルコニア板10内を伝導することなくガス拡散制
限部7を通って陰電極部2a内に拡散する。そして、各
電極部2a,3aの付近のジルコニアは前記の通り充分
に加熱されているので、酸素イオン伝導性を示し、ガス
導入部6から陰電極部2aに拡散してきた酸素成分をイ
オン化して電極部3aに輸送し、ガス出口孔8より排出
する。従って、陽電極3−陰電極2間に流れる電流I
は、図5に示すように変化する。
【0030】印加電圧VがV1より低いときは印加電圧
Vに応じて酸素イオンが伝導するので、電流値もそれに
比例して変化するが、印加電圧Vが電圧値V1〜V2に
おいては、陰電極部2a内への酸素拡散量が陰電極2の
ガス拡散制限部7で制御され、測定ガス中の酸素濃度に
応じた値となるため、それに伴い電流値は制限されて第
1の拡散制限電流値IL1となり第1の平坦部F1として
現れる。印加電圧Vが第1の拡散制限電流値IL1が得ら
れる電圧値V2(通常1.2V)よりさらに高くなる
と、測定ガス中の水蒸気が電気分解され、その分解で生
じた酸素イオンがさらに増加し陽電極3にポンピングさ
れるため、水蒸気も陰電極2のガス導入部6から陰電極
部2a内へ拡散し、拡散量に応じて電流値が増大する。
【0031】印加電圧Vをさらに高くすると電流値は水
蒸気濃度に応じてさらに増大するが、電圧値V3〜V4
に達すると、陰電極2のガス拡散制限部7で水蒸気の拡
散量が制限され、それに伴い電流値も制限され、測定ガ
ス中の水蒸気濃度に応じた第2の拡散制限電流値IL2
なり第2の平坦部F2を示す。IL1/IL2比は、測定ガ
スの成分の量が同じであれば原理的に常に一定である。
【0032】この第2の拡散制限電流値IL2は酸素濃度
一定の場合(例えば大気中)、水蒸気濃度に応じて図6
のように右上がりに線形的に変化する。従って、第2の
拡散制限電流値IL2又はそれと比例関係にある出力電圧
を検出信号として取り出すことにより、水蒸気濃度を測
定することができる。
【0033】このセンサを用いて図7のような回路構成
の検出装置で出力を取り出すようにする。検出装置は、
センサ1と、センサ1の電極2,3間に印加する電圧を
通常計測時に用いる水蒸気濃度測定用電圧Va(約2.
0V)又は出力補正時に用いる酸素濃度測定用電圧Vb
(約1.0V)に切り換えるセンサ電圧切り換え回路7
1と、センサ1から出力される電流信号を増幅し電圧信
号に変換するプリアンプ72と、その電圧信号をデジタ
ル化するA/Dコンバータと、デジタル化された信号を
演算するマイコン73と、マイコン73から出されたデ
ータをアナログ化するD/Aコンバータと、アナログ化
された信号を水蒸気濃度表示部74に送る出力回路75
と、水蒸気濃度表示部74を備える。
【0034】マイコン73は、CPUと、主として出力
演算部及び出力補正演算部の2つのプログラムが格納さ
れたROM、RAM等のメモリーとからなる。出力演算
部には、予め水蒸気濃度PHと製造直後のセンサ1から
水蒸気濃度に応じてプリアンプ72及びA/Dコンバー
タを通して入力された水蒸気濃度出力信号SL2との対応
関係PH=f(SL2)が記憶されており、その後に水蒸
気濃度に応じて入力される水蒸気濃度出力信号SL2’を
H=f(SL2)のSL2に代入して水蒸気濃度PHを演算
できるようになっている。
【0035】また、出力補正演算部には予め、製造直後
のセンサ1から酸素濃度POに応じてプリアンプ72及
びA/Dコンバータを通して入力された酸素濃度出力信
号の初期値SL1が記憶されており、その後に出力補正ス
タートスイッチONの状態で同一酸素濃度POに応じて
酸素濃度出力信号SL1’が入力されたとき、(SL1/S
L1’)=kを算出し、さらに上記水蒸気濃度出力信号S
L2’に酸素濃度補正係数kを乗じて補正信号k*SL2
を算出できるようになっている。そして、酸素濃度補正
係数kが算出されたときは、それ以後にマイコンに入力
される水蒸気濃度出力信号SL2’は、一旦出力補正演算
部で常に補正信号k*SL2’に補正されてから出力演算
部に戻り、補正信号k*SL2’から水蒸気濃度が演算さ
れる。ただし、酸素濃度補正係数kを算出するプログラ
ムは、出力補正スタートスイッチをONする度に実行さ
れ、酸素濃度補正係数kが更新される。なお、出荷時は
k=1に設定されている。
【0036】センサ印加電圧Vは、通常測定時には水蒸
気濃度に応じた拡散制限電流値IL2の得られるVa(=
V3〜V4)に設定される。すると、この拡散制限電流
値IL2は、プリアンプ72にて増幅され電圧信号に変換
され、続いてA/Dコンバータにてデジタル化されて水
蒸気濃度出力信号SL2としてマイコン73に送られる。
マイコン73内では入力された水蒸気濃度出力信号SL2
を対応関係PH=f(SL2)と照合して水蒸気濃度を演
算し、出力する。その出力データはD/Aコンバータに
てアナログ化され、出力回路75にて水蒸気濃度表示部
74に送られる。次に上記の水蒸気濃度測定装置におい
てセンサ1が劣化した場合に水蒸気濃度出力を補正する
方法を説明する。
【0037】先ず、センサ1が劣化する前の初期状態す
なわち製造直後の状態でセンサ印加電圧Vを酸素濃度に
応じた第1の拡散制限電流値IL1の得られるVb(=V
1〜V2)に設定したとき、濃度表示部が測定ガス中の
酸素濃度(大気中の場合20.8%)を表示するように
調整しておく。ここで、センサ1の劣化によって、同一
酸素濃度に応じて出力する第1拡散制限電流がIL1から
L1’に変化したとする(図8(a))。そのとき、前記
の同一酸素濃度の雰囲気(例えば大気)にセンサ1を配
置し、出力補正スタートスイッチをONにする。センサ
印加電圧はVaからVbに切り替わり、IL1’に対応し
た酸素濃度出力信号SL1’がマイコン73に入力され
る。この信号SL1’と初期にマイコン73に記憶されて
いた酸素濃度出力信号SL1を基に酸素濃度補正係数kが
更新され、マイコン73に記憶される。
【0038】出力補正スタートスイッチをOFFにし
て、センサ印加電圧VをVaに切り換え、通常の水蒸気
濃度を測定する状態に戻す。このときにセンサ1に劣化
があると、水蒸気濃度に応じて出力する第2の拡散制限
電流値がIL2からIL2’に変化する(図8(b))。
L2’に対応した水蒸気濃度出力信号SL2’がマイコン
73に入力され、酸素濃度補正係数kが乗じられて、補
正信号k*SL2’がSL2に代わってPH=f(SL2)と
照合され、水蒸気濃度が補正演算されて水蒸気濃度表示
部74に表示される。
【0039】既述の通り、IL1/IL2=一定であるから
L1/SL2=一定である。従って、SL1/SL1’=SL2
/SL2’=kとなる。こうしてk*SL2’=SL2である
から、センサの劣化の程度に係わらず水蒸気濃度出力は
補正されて正しい値となる。
【0040】本例では、センサとして図1に示す構造の
ものを用いたが、図9や図10に示すような他の構造の
センサにも適用可能であることはいうまでもない。図9
に示すセンサは、冒頭で既に説明したが、図10に示す
センサは、陰極32を覆う箱体34自体を多孔質とし
て、これを拡散制限手段に用いるものであり、箱体34
を図9の微小な孔33に相当する気体拡散制限孔と兼ね
る構造のものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の水蒸気濃度測定装置に用いる限界電流
式ガスセンサを示す斜視図である。
【図2】図1のAA断面図である。
【図3】図2の変形例を示す断面図である。
【図4】図1の限界電流式ガスセンサに用いるセラミッ
クヒータを示す一部破断斜視図である。
【図5】限界電流式ガスセンサに印加される電圧対その
センサに流れる電流の特性を示すグラフである。
【図6】限界電流式ガスセンサによる水蒸気濃度対第2
の拡散制限電流の関係を示すグラフである。
【図7】実施例の水蒸気濃度測定装置の回路システムの
構成を示す図である。
【図8】限界電流式ガスセンサに印加される電圧対その
センサに流れる電流の特性の劣化状況を示すグラフであ
る。
【図9】この発明に適応可能な他の限界電流式ガスセン
サを示す断面図である。
【図10】この発明に適応可能な他の限界電流式ガスセ
ンサを示す断面図である。
【符号の説明】
1 ガスセンサ 2 陰電極 2a 陰電極部 2b リード部 2c 取り
出し部 3 陰電極 3a 陽電極部 3b リード部 3c 取り
出し部 6 ガス導入部 7 ガス拡散制限部 4,5,13,14 白金端子 8 ガス出口孔 9,15 通気孔 10 安定化ジルコニア板 20 セラミックヒータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−50763(JP,A) 特開 平4−264249(JP,A) 特開 平6−317559(JP,A) 特開 平5−87773(JP,A) 実開 平4−45964(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/41 G01N 27/416

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸素イオン伝導性の固体電解質基板、それ
    に密着した陰陽一対の電極及び陰極への気体拡散を制限
    する気体拡散制限手段を有するセンサを用い、それら電
    極間に直流電圧を印加したときの出力信号に基づいて水
    蒸気濃度を測定する方法において、 該センサが一定の酸素濃度POに応じて示す酸素濃度出
    力信号SL1とその後にセンサが同一酸素濃度POに応じ
    て示す酸素濃度出力信号SL1’との比SL1/SL1’を求
    めてそれを酸素濃度補正係数kとし、 センサが水蒸気濃度PHに応じて示す水蒸気濃度出力信
    号SL2’に酸素濃度補正係数kを乗じて補正信号k*S
    L2’を算出し、水蒸気濃度PHと劣化前のセンサの水蒸
    気濃度出力信号SL2との対応関係PH=f(SL2
    [f:関数記号]を参照して補正信号k*SL2’から水
    蒸気濃度を演算することを特徴とする限界電流式ガスセ
    ンサによる水蒸気濃度測定方法。
  2. 【請求項2】酸素イオン伝導性の固体電解質基板、それ
    に密着した陰陽一対の電極及び陰極への気体拡散を制限
    する気体拡散制限手段を有するセンサと該センサが一定
    の酸素濃度POに応じて示す酸素濃度出力信号SL1とそ
    の後にセンサが同一酸素濃度POに応じて示す酸素濃度
    出力信号SL1’との比SL1/SL1’を求めてそれを酸素
    濃度補正係数kとし、センサが水蒸気濃度PHに応じて
    示す水蒸気濃度出力信号SL2’に酸素濃度補正係数kを
    乗じて補正信号k*SL2’を算出する出力補正演算手段
    と、 水蒸気濃度PHと劣化前のセンサの水蒸気濃度出力信号
    L2との対応関係PH=f(SL2)[f:関数記号]を
    参照して補正信号k*SL2’から水蒸気濃度を演算する
    出力演算手段とを備えたことを特徴とする限界電流式ガ
    スセンサによる水蒸気濃度測定装置。
  3. 【請求項3】更に、酸素濃度出力信号SL1が変動したと
    きにセンサへの印加電圧を切り換える電圧切り換え手段
    を備えた請求項2に記載の水蒸気濃度測定装置。
  4. 【請求項4】酸素イオン伝導性の固体電解質基板、それ
    に密着した陰陽一対の電極及び陰極への気体拡散を制限
    する気体拡散制限手段を有するセンサを用い、それら電
    極間に直流電圧を印加したときの出力信号に基づいて水
    蒸気濃度を測定する方法において、 該センサが一定の水蒸気濃度PHに応じて示す水蒸気濃
    度出力信号SHとその後にセンサが同一水蒸気濃度PH
    応じて示す水蒸気濃度出力信号SH’との比SH/SH
    を求めてそれを水蒸気濃度補正係数kとし、 センサが水蒸気濃度PHに応じて示す水蒸気濃度出力信
    号SL2’に水蒸気濃度補正係数kを乗じて補正信号k*
    L2’を算出し、水蒸気濃度PHと劣化前のセンサの水
    蒸気濃度出力信号SL2との対応関係PH=f(SL2
    [f:関数記号]を参照して補正信号k*SL2’から水
    蒸気濃度を演算することを特徴とする限界電流式ガスセ
    ンサによる水蒸気濃度測定方法。
  5. 【請求項5】酸素イオン伝導性の固体電解質基板、それ
    に密着した陰陽一対の電極及び陰極への気体拡散を制限
    する気体拡散制限手段を有するセンサと該センサが一定
    の水蒸気濃度PHに応じて示す水蒸気濃度出力信号SH
    その後にセンサが同一水蒸気濃度PHに応じて示す水蒸
    気濃度出力信号SH’との比SH/SH’を求めてそれを
    水蒸気濃度補正係数kとし、センサが水蒸気濃度PH
    応じて示す水蒸気濃度出力信号SL2’に水蒸気濃度補正
    係数kを乗じて補正信号k*SL2’を算出する出力補正
    演算手段と、 水蒸気濃度PHと劣化前のセンサの水蒸気濃度出力信号
    L2との対応関係PH=f(SL2)[f:関数記号]を
    参照して補正信号k*SL2’から水蒸気濃度を演算する
    出力演算手段とを備えたことを特徴とする限界電流式ガ
    スセンサによる水蒸気濃度測定装置。
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