JP3418668B2 - アクチュエータ、並びにそれを備えた顕微鏡及びマイクロマシン - Google Patents

アクチュエータ、並びにそれを備えた顕微鏡及びマイクロマシン

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JP3418668B2
JP3418668B2 JP26612197A JP26612197A JP3418668B2 JP 3418668 B2 JP3418668 B2 JP 3418668B2 JP 26612197 A JP26612197 A JP 26612197A JP 26612197 A JP26612197 A JP 26612197A JP 3418668 B2 JP3418668 B2 JP 3418668B2
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  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)
  • Length Measuring Devices With Unspecified Measuring Means (AREA)
  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対向する壁面空間
内を、上下に微少移動するアクチュエータに関するもの
で、例えば、ニアフィールド顕微鏡、走査型トンネル顕
微鏡等の試料とプローブの間隔で得られる信号を出力す
る装置の、試料とプローブの間隔を制御するアクチュエ
ータに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種技術分野においてサブミクロ
ン、ミクロンオーダーの微細加工、微細変位、微細移動
が可能である装置が強く要望されている。エレクトロニ
クス、メカトロニクス等の分野において、微細加工、微
小移動などの必要性からマイクロマシンの研究が盛んに
進められるようになってきた。マイクロマシンの定義は
明確に決まっていないが、運動又は移動などが微少に動
くことの可能なマシン又は、機械自体の微小化したマシ
ン等が対象となっている。
【0003】本発明は、微少な運動、移動などが可能な
マシンに関する発明であるが、ここではマイクロマシン
とせず、アクチュエータとして説明している。
【0004】微少移動が可能なアクチュエータの応用と
して、実空間にて原子レベルの微小微細試料の構造を観
察できる走査型トンネル顕微鏡(STM)や、原子間力
顕微鏡(AFM)、ニアフィールド顕微鏡(フォトント
ンネリング顕微鏡:PTM)のプローブと試料間隔を制
御できるアクチュエータがよく知られている。特に、こ
の10年ぐらいでSTM、AFMは研究開発が進み、既
に商品が発売されるまでに至っている。それに伴い急速
にいろいろな分野にも応用範囲が拡大している。
【0005】これらの顕微鏡は競合する技術、原理は非
常に多く、プローブと試料との間を制御する装置は、い
ずれの顕微鏡でも使用しており、かつ、最も重要部分の
技術である。いずれの顕微鏡でも課題は同じである。現
在すでに商品化され一番進んでいるSTMにて説明を加
える。STMの検出信号は、トンネル電流である。ST
Mのプローブは探針であり、探針と試料との間を1nm
程度の距離まで近づけるとトンネル電流が流れ始める
が、両者の距離に対して非常に敏感な出力電流は指数関
数的に変化する。従って、プローブと試料間の制御つま
り、接近方法は非常に難しいものである。
【0006】従来のプローブ制御は、図13に示すよう
に、円筒形状の円環水平微動部110にプローブが固定
され、上記円環水平微動部110を変形させることで固
定されたプローブ先端を移動させている。しかし高さ方
向は、顕微鏡を見ながらマイクロメータ1111によっ
て手動で近づけたり、DCモーター1112によって近
づけたりしている。
【0007】従来技術として、一般的に用いられている
プローブの試料への接近方法は、拡大鏡などで確認し
ながら、手動によってマイクロメータを回しながら徐々
に近づけていく第一段階の接近方法。DCモータによ
ってマイクロメータを微妙に近づけていく第二段階の接
近方法。圧電素子等の微小変位が可能な変位部によっ
て、トンネル電流が流れ始めるまでさらに近づけていく
第三段階の接近方法で、測定者が神経をつかいながら徐
々に近づけていく接近方法。「走査型トンネル顕微鏡の
試作」固体物理(Vol.28 No.3 1993)
「走査型トンネル顕微鏡の製作」九州大学工学集報(第
64巻 第5号 平成3年10月)、「走査型トンネル顕
微鏡の試料傾斜補正方式」(特願平1−147474号
公報)、「圧電素子制御装置」(特願昭62−3550
9号公報)等には、詳しくプローブと試料の間隔調整に
使用している装置が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように、プローブの探針と、試料との間を1nm程度の
距離まで近づけることが可能になってきているが、熟練
した測定者によって、プローブの探針と試料との間を1
nm程度の距離まで近づけており、広く一般に利用され
るまでの完成された技術に至っていない。従来のSTM
装置のプローブ微動部は、例えば、試料を変えたとき
は、信号検出状態が良好になるようなブローブと試料と
の位置関係、又は角度関係等を捜すために、プローブと
試料との間隔を変化させ、又、移動させたい場合に、各
段階を追って徐々に近づけて行く必要があり、操作性が
考慮されておらず、測定者は非常に手間のかかる調整を
必要としていた。
【0009】特に、一度、プローブを試料から離し、再
度、接近させて行くのは改めて各段階を順に行う必要が
あった。また、プローブを試料に近づけて行くまでの第
一段階等は拡大鏡を見ながら手動で行っており、調整に
人間が携わることでプローブを試料にぶつけてしまう失
敗もあった。また、非常に微かな移動を必要とする時、
拡大鏡による手動操作は、経験を積んだ測定者しか不可
能である。
【0010】本願発明は、このような課題を解決するた
めになされたものであって、各段階を追う調整ではな
く、できるだけ人間が介入せずに、確実にプローブと試
料間隔の調整を行うことができるアクチュエータを提供
することにある。また、本願発明の他の目的は、各段階
を追う調整が無くても、プローブと試料間隔の調整範囲
を広くできることである。また、ユーザー側でアクチュ
エータの移動範囲を変えられるアクチュエータを提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のアクチュエータ
は、上記の課題を解決するために、向かい合う壁面に移
動可能に、内接された複数の圧電素子で構成された運動
部と、上記圧電素子を伸縮させるための特定電圧を出力
する駆動部と、上記駆動部に対して、特定電圧の出力を
制御する制御手段とを備え、上記制御手段の制御によ
り、上記駆動部から上記圧電素子に特定電圧を供給し、
上記運動部が伸縮を反復して、上記壁面を上下に微動で
きるとともに、上記運動部は、上記壁面に対して水平方
向に伸縮する圧電素子からなる3段以上の水平微動部
と、上記各水平微動部用の一対の圧電素子の間に挿入さ
れた支持部材と、上記支持部材に挟まれた、上記壁面に
沿って伸縮する圧電素子からなる複数の垂直微動部とで
構成され、上記3段以上の水平微動部 及び複数の垂直
微動部を構成する圧電素子が個々に、伸縮運動する一
方、 上記運動部は、壁面を上下に微動するときは、先
ず、進行方向に対して後側の水平微動部を構成する圧電
素子を、壁面に対して水平方向に伸張させて運動部の後
端部を壁面に固定し、次に、垂直微動部を構成する圧電
素子を伸張させ、次に、運動部の前側の水平微動部を構
成する圧電素子を、壁面に対して水平方向に伸張させて
運動部の先端部を壁面に固定し、次に、先に伸張させて
壁面に固定した 後側の水平微動部の圧電素子を収縮させ
て固定状態を解除し、垂直微動部の圧電素子を収縮させ
て、後側の水平微動部を前側の水平微動部に引き寄せ、
その後、再び後側の水平微動部の圧電素子を伸張させ
て、後側の水平微動部を壁面に固定することを特徴とし
ている。
【0012】本願発明によれば、試料にプローブが接近
させるとき、目標の間隔まで自動的移動させて、徐々に
接近させることができる。
【0013】すなわち、非常に離れた位置にプローブが
あっても、運動部を壁面に沿って移動させ、確実に試料
の近くまで到達させることがてきる。特に、従来のよう
に、予めある程度、プローブと試料表面との間を近付け
ておく粗動の機構部等が必要なくなり小型化できる。ま
た、予めある程度近づけておく等の人間の操作を必要と
せず、セラミックスよりなる圧電素子で構成しているこ
とで、複雑な機構系を必要とせず、小型で、軽量な移動
部分を形成でき、微少範囲の移動に適している。円筒形
状等のパイプの内部、角柱形状の内部、平行状態に近い
ある程度間隔の狭い壁の間、等を移動するマイクロマシ
ンにも利用できる。
【0014】また、本発明では、上記運動部は、上記壁
面に対して水平方向に伸縮する圧電素子からなる3段以
上の水平微動部と、上記水平微動部用の一対の圧電素
子の間に挿入された支持部材と、上記支持部材に挟まれ
た、上記壁面に沿って伸縮する圧電素子からなる複数の
垂直微動部とで構成され、上記3段以上の水平微動部、
及び複数の垂直微動部を構成する圧電素子が個々に伸縮
運動する。
【0015】そして、運動部は、壁面を上下に微動する
ときは、先ず、進行方向に対して後側の水平微動部を構
成する圧電素子を、壁面に対して水平方向に伸張させて
運動部の後端部を壁面に固定し、次に、垂直微動部を構
成する圧電素子を伸張させ、次に、運動部の前側の水平
微動部を構成する圧電素子を、壁面に対して水平方向に
伸張させて運動部の先端部を壁面に固定する。次に、先
に伸張させて壁面に固定した後側の水平微動部の圧電素
子を収縮させて固定状態を解除し、垂直微動部の圧電素
子を収縮させて、後側の水平微動部を前側の水平微動部
に引き寄せる。その後、再び後側の水平微動部の圧電素
子を伸張させて、後側の水平微動部を壁面に固定する。
このように、各圧電素子の伸縮運動を繰り返すことによ
って、運動部は壁面に沿って徐々に移動させることがで
きる。
【0016】また、本発明のアクチュエータは、上記課
題を解決するために、上記記載のアクチュエータにおい
て、上記運動部の圧電素子は、ペロブスカイト結晶構造
を持つ多結晶体のチタン酸バリウム又は、チタン酸鉛又
は、チタン酸ジルコン酸鉛のいずれかの材料によって構
成されていることを特徴とする。
【0017】すなわち、運動部がある程度の移動が可能
な変位量が得られることが必要である。圧電性が確認さ
れている材料は、圧電体として使用するには圧電効果が
小さい材料が多い。そこで、ペロブスカイト結晶構造を
持つ多結晶体の強誘電体を用いて運動部を設計すること
で、変位量の大きい圧電セラミックスを作ることができ
る。変位量を大きくして運動部の移動量を大きくするこ
とでプローブの先端と試料表面とを短時間で接近でき
る。また、小型で大きな力を発生でき、応答性が早く、
変位精度が高い、且つ軽量、低価格の運動部が可能にな
る。
【0018】また、本発明のアクチュエータは、上記課
題を解決するために、上記記載のアクチュエータにおい
て、上記運動部は、上記壁面に接触する圧電素子の端部
に、壁面との摩擦抵抗を大きくするための弾力部材を取
着していることを特徴とする。
【0019】すなわち、運動部と壁面との摩擦抵抗を高
め、壁面から滑り落ちることがないようにしている。特
に、水平微動部が壁面を押す時に、弾力部材を使用する
ことにより、壁面に食い込むかのごとく固定され、滑落
を防ぐことができる。
【0020】また、本発明のアクチュエータは、上記課
題を解決するために、上記記載のアクチュエータにおい
て、上記駆動部は、上記運動部の伸縮運動に必要な信号
を発生する信号発生部と、前記信号発生部からの信号に
より水平方向の伸縮信号及び、垂直方向の伸縮信号を生
成する信号生成部と、前記信号生成部からの信号を特定
電圧まで増幅させる増幅部と、前記増幅部からの信号を
複数の圧電素子へ個々に伝える切換部とを備えているこ
とを特徴とする。
【0021】すなわち、運動部の伸縮運動に必要な信号
が容易に得られ、運動部を壁面にそって、自由に上下さ
せられる。また、比較的高い電圧を必要とする圧電素子
の信号を容易に得られる。また、切換部を利用すること
で複数の圧電素子を同時に、確実に動作させられる。
【0022】また、本発明のアクチュエータは、上記課
題を解決するために、上記記載のアクチュエータにおい
て、上記運動部には、前記壁面の有無を確認するため
に、壁面へ信号を反射させて検知する壁面確認センサー
を備え、上記運動部が、上記壁面の終端まで移動した
時、上記運動部の移動を停止することを特徴とする。す
なわち、運動部の上部又は、下部にセンサーを備えるこ
とで、運動部の壁面からの脱落を防止できる。特に、運
動部の先端に備えたプローブの先端を保護することがで
き、プローブの寿命を伸ばすことになる。
【0023】また、本発明のアクチュエータは、上記課
題を解決するために、上記記載のアクチュエータにおい
て、上記複数の水平微動部と、上記複数の垂直微動部
は、壁面間の距離、壁面に沿った移動量及び、アクチュ
エータの使用状態に合わせ、必要な移動量が得られるよ
うに、それぞれの微動部が交換自在であることを特徴と
する。
【0024】すなわち、複数の各微動部は、移動量によ
って個々交換ができる。特にセラミックス系の材料であ
ることから割れた時に個々交換が可能である。
【0025】また、ユーザーが変更可能な、操作性に優
れたアクチュエータにすることができる。
【0026】今回のアクチュエータ利用としては、変位
量の大きい微動部に交換して動かせることでより短時間
で接近させられることになる。勿論、最も変位量の小さ
い微動部に交換して使用できるようにしたことで、プロ
ーブ先端と試料表面との極微小接近が可能となる。特
に、対面する壁面の間隔が変化したときには水平微動部
を、また、運動部の移動を速めたり遅くしたりしたいと
きには垂直微動部を交換できることが大きな長所であ
る。
【0027】また、本発明のアクチュエータは、上記課
題を解決するために、上記記載のアクチュエータにおい
て、上記複数の水平微動部を構成する圧電素子は、個々
伸縮量を異ならせることにより、静止時の壁面に対する
運動部の傾斜が自在であることを特徴とする。
【0028】すなわち、対面する壁面が平行でなく、ゆ
がんでいても運動部の姿勢を壁面に対して真っすぐに維
持することができる。特に、運動部にプローブが設置さ
れているときは、試料に対してプローブを垂直に保持す
ることができる。
【0029】また、本発明のアクチュエータは、上記課
題を解決するために、上記記載のアクチュエータおい
て、上記制御手段は、上記複数の水平微動部と、複数の
垂直微動部の全てを同時に収縮するように制御し、上記
運動部が壁面から容易に取外しできることを特徴とす
る。
【0030】すなわち、nmからμmオーダーの微動移
動しかできない運動部を早急に壁面から取外すことを可
能にする。圧電素子の伸縮によって、運動部を取り外し
可能な壁面の端まで移動させていたのでは、余りにも時
間を要するため、このような機能が必要である。特に、
微動部の交換、プローブの交換などの作業時間を大幅に
短縮することができる。
【0031】また、本発明のアクチュエータは、上記課
題を解決するために、上記記載のアクチュエータおい
て、上記運動部は、姿勢及び、位置を検知するための姿
勢位置検知センサーを備え、上記運動部は、移動中の壁
面に対する運動部の姿勢及び、上記試料までの距離が検
知できることを特徴とする。
【0032】すなわち、運動部に搭載したセンサーより
信号を発して、反射してきた信号によって壁面と運動部
との平行関係、運動部の角度、目的までの距離関係を確
認できる。
【0033】また、本発明のアクチュエータは、上記課
題を解決するために、上記記載のアクチュエータにおい
て、上記制御手段は、予め複数の圧電素子で構成された
運動部の各圧電素子の動作をバイナリ信号に設定し、上
記運動部のコマンドとして出力することを特徴としてい
る。
【0034】すなわち、運動部の動作状態をデジタル化
してコマンドで送ることで、複雑な動作であっても簡単
に送ることができる。特に複数の微動部をもつ運動部に
は、それぞれの動作指令があり、各微動部に1ビットを
割り当てることで確実に信号が伝えることができる。ま
た、微動部の数がさらに増えた複雑な運動をする運動部
であってもバイナリ信号であれば簡単に対応ができる。
また、予め運動部の動作を記憶させて自動的に移動させ
たい時にバイナリ信号は簡単に記憶させることができ
る。
【0035】また、本発明のアクチュエータは、上記課
題を解決するために、上記記載のアクチュエータにおい
て、上記複数の水平微動部は、上記垂直微動部を挟さむ
ように積層した構造とし、上記複数の水平微動部は、そ
れぞれ異なる方角の壁面を押圧して、上記運動部の姿勢
を安定させるため、設置角度を違えていることを特徴と
している。
【0036】すなわち、運動部の移動において、壁面で
の安定性は非常に重要であり、壁面から滑り落ちないよ
うにする為に、壁面を押す複数の水平微動部の伸縮方向
を異なる方向として、異なる方向の壁面を押せるように
した。特に、円筒状の壁面や角筒状の壁面を移動するに
当たり、各面を押せるようにすることで運動部は安定し
て運動部自身が傾いたり、脱落したりすることを防ぐこ
とができる。
【0037】また、本発明のアクチュエータは、上記課
題を解決するために、上記記載のアクチュエータにおい
て、上記運動部は、上記壁面に接触する上記水平微動部
の端部に、予め壁面に形成された壁面電極と接触可能な
運動部電極を備え、壁面から運動部に信号が伝達できる
ことを特徴としている。
【0038】すなわち、運動部に信号線をつなぎ信号を
伝えるのではなく、壁面を利用して信号を外部より壁面
に沿って伝達する。これにより、運動部に信号線を必要
とせずに外部より信号を運動部に送れ、非常にシンプル
な運動部を構成できる。特に非常に小さい運動部にとっ
て、複数の信号線の重さは移動していくのに負担となっ
ており、場合によっては運動部よりも信号線の方が重
く、耐え切れずに壁面から滑り落ちることが課題となっ
ていました。この信号伝達方法は以上の課題を解決し、
小型で、軽量な運動部の滑落を防ぐことができる。
【0039】また、本発明のアクチュエータは、上記課
題を解決するために、上記記載のアクチュエータにおい
て、上記運動部は、円筒状壁面に対して水平方向に伸縮
し、且つ、運動部全体で受け止められるように円環状を
した一つの圧電素子からなる複数の水平微動部と、円筒
状壁面に対して垂直方向に伸縮する圧電素子からなる複
数の垂直微動部とを備え、上記円環状の水平微動部の中
心に、垂直微動部が挿入されていることを特徴としてい
る。
【0040】すなわち、運動部の移動において壁面での
安定性は非常に重要であり、壁面から滑り落ちないよう
にする為に、壁面との接触面積を増やした構造としてい
る。また、水平微動部を単体にすることで信号線を減ら
すことができる。また、垂直微動部を直接水平微動部と
接続することでシンプルな運動部を形成できる。特に、
円筒状の壁面においては効果を発揮して壁面全体を押せ
るようにすることで運動部は安定して運動部自身が傾い
たり、脱落したりすることを防ぐことができる。円筒形
状等のパイプの内部等を移動するマイクロマシンへの利
用に効果が高い。
【0041】また、本発明のアクチュエータは、上記課
題を解決するために、上記記載のアクチュエータにおい
て、上記運動部は、上記壁面内部の移動状態の画像を得
るためのモニター用のカメラを備え、上記運動部が、外
部から見えない壁面内部を移動していく過程及び、上記
運動部が目的の場所に達したことを確認できることを特
徴としている。
【0042】すなわち、壁面内部で目的の位置に達して
いるのかを確認するためにCCDなどを搭載して、運動
部の追突、運動部に搭載しているブロープの追突を防ぐ
ことができる。勿論、壁面の状態を確認することもでき
る。特に、装置内の真空状態での移動は見ることができ
ないため、このような目を備えることが必要になる。
【0043】また、本発明のアクチュエータは、上記課
題を解決するために、上記記載のアクチュエータにおい
て、上記運動部は、運動方向前方の障害物を見地するに
触覚センサーを備えていることを特徴としている。
【0044】すなわち、微小移動しかできない運動部の
目的地に達するまでの時間を短くするために、触覚セン
サーから信号がえられるまでは制御信号の周波数をあげ
て動作させ、触覚センサーから信号が得られた段階で慎
重に運動部を動かすことができるようになる。
【0045】また、本発明のアクチュエータは、上記課
題を解決するために、上記記載のアクチュエータにおい
て、上記触覚センサーは、機械的エネルギーを電気的エ
ネルギーに可逆可能な圧電材料からなる圧電素子で構成
されていることを特徴としている。
【0046】すなわち、障害物に触覚センサーが触れる
ことで変位して簡単に電気信号を得ることができる。
【0047】また、本発明の顕微鏡は、上記課題を解決
するために、上記記載のアクチュエータを備えたことを
特徴としている。
【0048】また、本発明のマイクロマシンは、上記課
題を解決するために、上記記載のアクチュエータを備
え、円筒形状等のパイプの内部、又は平行状態に近い間
隔の壁の間を移動する。
【0049】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るアクチュエー
タの実施形態について、図面に基づいて詳細に説明す
る。
【0050】[実施形態1] 図1は、本発明のアクチュエータの実施形態1の概略構
成を示す断面図である。図1に示すアクチュエータは、
プローブ11と試料12との間隔を縮めたり、離したり
するための運動部1と、運動部1が移動できるように駆
動信号を生成する駆動部2と、運動部1が上昇(プロー
ブ11と試料12の間隔が離れる)、下降(プローブ1
1と試料12の間隔が接近する)等の制御信号を上記駆
動部2に出力する制御手段3とから構成させている。制
御手段3には、運動部1の移動速度や、移動変化量等の
制御信号を出力するようになっている。又、駆動部2
は、運動部1を構成している複数の微動部に、それぞれ
の必要とする駆動信号を同時に出力できるようになって
いる。
【0051】このように、制御手段3の制御に従って、
複数の駆動信号を出力する駆動部2は、運動部1より離
れた所より運動部1を制御できるよう構成されており、
壁面10の内部に運動部1が侵入して移動していく状態
を示している。運動部1は制御手段3からの指令に従っ
て、壁面10に沿って徐々に試料12に接近して行く。
壁面10は、従来技術の図13に示している円筒形状の
筒110に相当する。
【0052】本実施例は、直径3cm程度の筒であり、対
面する壁面間隔3cm程度の透き間を運動部1が移動して
行くことになる。筒は、円筒状でなくてもよい。例え
ば、角柱の内壁、単なる平行にある壁でもよい。運動部
1にもよるが、比較的狭い間隔を保って向かい合う壁が
あればよい。この向かい合う壁を運動部1が内部から外
に向かって押すように固定される。
【0053】図2は、図1に示す運動部1の拡大図であ
る。運動部1は、複数の水平微動部A,B,Cと、複数
の垂直微動部a,bとが、支持部材20を介して固定さ
れ、一体化された構成である。さらに水平微動部A,
B,Cは、一方の壁面と、他方の対面する壁面を広げる
かのごとく壁面に対して直角となる水平方向に伸縮す
る、それぞれ2つの独立した微動部イ、ロと、ハ、ニ
と、ホ、ヘとを備えている。
【0054】2つの独立した微動部を備えた水平微動部
A,B,Cは、3段に積層した状態にある。水平微動部
と水平微動部との間には、壁面10に対して垂直方向に
伸縮する微動部a,bを備えている。
【0055】この状態をさらに詳しく説明する。上記微
動部イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘは、いずれも電気エネルギ
ーと機械的エネルギーとを可逆的に変換できる圧電材料
からなる圧電素子で構成している。上記微動部イ、ロ、
ハ、ニ、ホ、ヘは、印加電圧によって変位を生じる圧電
素子を使用しているため、小型でも大きな力を発生で
き、応答性が早く、変位精度が高い、且つ軽量、低価格
化が可能となる。上段の水平微動部Aは、微動部イ、支
持部材20、微動部ロからなる。中段の水平微動部B
は、微動部ハ、支持部材20、微動部ニからなる。下段
の水平微動部Cは、微動部ホ、支持部材20、微動部へ
からなる。
【0056】この下段の微動部ホと、微動部へに挟まれ
た支持部材20には、プローブ11が搭載されている。
上段の水平微動部Aの支持部材20と、中段の水平微動
部Bの支持部材20との間には垂直微動部aを挟む。こ
の時、各微動部イ、ロ、ハ、ニの伸縮の妨げにならない
ように支持部材20の部分に固定する。同じように中段
の水平微動部Bの支持部材20と、下段の水平微動部C
の支持部材20との間には垂直微動部bを挟む。この時
も、各微動部ハ、ニ、ホ、ヘの伸縮の妨げにならないよ
うに部材の部分に固定する。このようにイ〜への6箇所
の微動部からなる水平微動部と、aとbの2つの垂直微
動部とが一体になって運動部1が構成される。
【0057】図3に運動部の一実施例として、円筒状の
壁面10を移動する運動部1′を示す。壁面10′は、
一方の壁面と、対面する他方の壁面とは、弧を描くよう
に丸みを帯びていることから、3段に積層した水平微動
部A1,B1,C1の中段B1は、上段の水平微動部A1及
び下段の水平微動部C1に対して所定角度ずらした状態
にしている。図3では、所定角度は90度にしている
が、この角度に限定されることはなく、運動部1′が円
筒の壁面10′に安定して固定できる角度であればよ
い。また、円筒の壁面10′は弧を描くように丸みを帯
びていることから、壁面10′に接触する各水平微動部
の先端部分30は接触面積を増やすために、壁面10′
の形状に添わせて丸みをつけている。さらに、壁面1
0′に対する摩擦抵抗を高めるために、ゴムのような弾
力性のある材料を使用している。
【0058】図2に示した運動部1は、複数の水平微動
部A,B,Cが平行状態に構成されているのに対して、
図3の運動部1′は、中段の水平微動部B1を、上段及
び下段の水平微動部に対して、直角にずらしているのが
特徴である。図2の運動部1は平行状態の壁面10に適
応し、図3の運動部1′は円筒状の壁面10′に適応す
る。尚、図3を構成している複数の水平微動部の各微動
部及び、複数の垂直微動部は図2と同じ構成である。
【0059】図2及び、図3に示す運動部を移動させる
には、信号に忠実に、確実に、応答して変位する微動部
が必要であり、この微動部を作り出す材料として、次の
材料が望ましい。チタン酸バリウム(BaTiO3)構
造ABO3(AはBa2+、BはTi4+、OはO2-のイオ
ンの結晶構造)型化合物の一つで強誘電体でペロブスカ
イト型結晶構造からなる高い圧電性を持つ材料である。
【0060】或は、チタン酸鉛(PbTiO3)構造A
BO3(AはPb2+、BはTi4+、OはO2-のイオンの
結晶構造)型化合物も高い圧電性を持つ材料がよく、こ
れは、一軸方向に強い異方性があり、利用することで歪
み量を稼ぐことができる。又は、チタン酸ジルコン酸鉛
(Pb(Zr−Ti)O3)でも良く、分極も比較的容
易で高い圧電定数をもつ圧電セラミックが可能になる。
材料の混合比を変えることにより歪量を制御しやすい長
所がある。
【0061】微動部は、壁面から離す距離、移動させる
一度のステップ距離、運動部の自重による安定性、ヒス
テリシスによる移動量の直線性等、微動部の変位量を慎
重に制御しなくてはならず、材料によって受ける影響は
大きい。したがって、材料の選定は重要な要素である。
【0062】以上説明した運動部を移動させる一実施例
を図4に基づいて説明する。図4において、運動部に信
号を出力する駆動部の一実施例の説明をする。信号発生
部40より、運動部1、1′を移動させる信号を出力す
る信号生成部48へ信号を送る。上記信号発生部40か
らの信号は扱いやすいように低い電圧で出力するように
している。例えば、ファンクションジェネレータの発生
器でよい。上記信号生成部48は、運動部1、1′の水
平微動部と垂直微動部を単独に動作させられるように、
それぞれの駆動信号として水平方向信号生成部41、垂
直方向信号生成部42より出力する。運動部1、1′の
移動設計にあった信号に生成する。
【0063】例えば、壁面からどの程度離すのか、一回
のステップ移動にどの程度移動させるのか、運動部又
は、プローブの自重に耐えられるように壁面へどの程度
伸ばすことによる押付ができるか、等を含めた信号生成
する。上記水平方向信号生成部41からは、圧電素子を
伸ばすための信号と、縮めるための信号を別々に出力す
るようにする。上記垂直方向信号生成部42も同じよう
に、圧電素子を伸ばすための信号と、縮めるための信号
を別々に出力するようにする。圧電素子を伸ばすための
信号は伸信号増幅部43、45へ入力する。圧電素子を
縮めるための信号は縮信号増幅部44、46へ入力す
る。各増幅部43、44、45、46では、運動部を構
成している圧電素子が比較的高い電圧を必要とするた
め、生成信号を増幅する。増幅されたそれぞれの信号は
切換部47によって運動部の複数の圧電素子に導かれ
る。
【0064】図2の運動部1を一例に示すと各増幅部4
3、44は水平微動部イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘに、各増
幅部45、46は垂直微動部a,bの電極に接続され
る。図4に示す切り換え状態に接続したとすると、微動
部イは縮む信号、微動部ロは縮む信号、微動部ハは伸び
る信号、微動部ニは伸びる信号、微動部ホは縮む信号、
微動部ヘは縮む信号、垂直微動部aは伸びる信号、垂直
微動部bは縮む信号が運動部に入力される。この状態
は、図8のに示す運動部の動きに相当する。このよう
に運動部の移動状態にあった信号を生成しながら、必要
な微動部に的確に入力することでアクチュエータとして
運動部が動くことになる。
【0065】切換部47から運動部1、1′の各微動部
につながる線は、できるだけ細い線が望ましい。線の応
力によってアクチュエータの移動量に誤差を生じる心配
がある。また、線の自重によってアクチュエータの姿勢
が安定しないことがある。これらを避けるための一対策
として細い線を用いている。ただし、やや高圧であるの
で注意が必要である。
【0066】図5と図8に基づいて、制御手段から駆動
部に出力する信号の一実施例を説明する。図5は、図1
に示した制御手段3から駆動部2に出力する、運動部1
を動かすための制御信号の一例を示す。今回の実施例と
しての制御手段3は、図4に示した移動方向司令部49
としてパーソナルコンピュータを利用してバイナリーデ
ータを順次、切換部47へ送り出す。
【0067】図8は、図2に示した運動部1が移動して
いく過程を示している。勿論、図3の運動部1′におい
ても同じ過程にて移動して行く。図5は、図8に示した
動作順にそった指令をバイナリーで送り出す例である。
【0068】図8の運動部動作状態を示している状態
からをメモリテーブルの縦軸に記憶できるようにす
る。メモリテーブルの横軸は、運動部1の水平微動部の
微動部イからへ及び、垂直微動部aとbを記憶できるよ
うにする。微動部イ〜ヘを伸ばす指令信号は”1”、微
動部イ〜ヘを縮める指令信号は”0”として、テーブル
を作成する。
【0069】図8の状態は微動部イに”1”、微動部
ロに”1”、微動部ハに”1”、微動部ニに”1”、微
動部ホに”1”、微動部へに”1”、垂直微動部aに”
1”、垂直微動部bに”0”、として記憶する。
【0070】状態として微動部イから垂直微動部bに
向かって”00110010”、状態として微動部イ
から垂直微動部bに向かって”00110001”、状
態として微動部イから垂直微動部bに向かって”11
111101”、状態として微動部イから垂直微動部
bに向かって”11001101”、状態として微動
部イから垂直微動部bに向かって”11001110”
を記憶する。動作を継続させるときは、繰り返して記憶
させる。このように作成した運動部の移動テーブルは微
動部イのデータをMSBとして、垂直微動部bのデータ
をLSBとしてバイナリーデータとして順次送り出す。
送り出し先は、切換部47である。このバイナリーデー
タによって切換部47を切り換えて、駆動部2からの駆
動信号を運動部1に導く。
【0071】次に、運動部1が移動していく過程を図8
に基づいて詳しく説明する。
【0072】運動部1が標準状態として壁面に固定され
ている状態をとする。状態について説明する。運動
部の構成は図2にて説明しているのでここでは省略す
る。水平微動部の微動部イ、ロ、ハ、ニ、ホ及び、へ
は、圧電素子を伸ばした状態に維持している。垂直微動
部aの圧電素子は伸ばした状態に、垂直微動部bの圧電
素子は縮ませた状態に維持している。
【0073】水平微動部の役目は、壁面を押し広げるよ
うにして運動部を固定することであり、垂直微動部の働
きは運動部を移動させることである。状態は水平微動
部の微動部イ、ロ、ハ、ニ、ホ及び、へを伸ばすこと
で、運動部を壁面に固定した状態になっている。
【0074】運動部を移動させるための次のステップと
して状態にする。水平微動部A及び、Cの微動部イ、
ロ、ホ及び、への圧電素子を伸ばした状態から縮めた状
態にする。微動部ハ、ニは伸びた状態のままにして壁面
に運動部を固定された状態を維持する。微動部イ、ロ、
ホ及び、へは縮めることにより壁面から離れる。壁面か
ら離れた水平微動部A及び、Cは移動に備える。
【0075】次のステップとして状態にする。水平微
動部は伸縮はせず、維持したままで、垂直微動部aの圧
電素子は伸ばした状態から縮め、垂直微動部bの圧電素
子は縮ませた状態から伸ばす。これにより、水平微動部
A及び、Cの微動部イ、ロ、ホ、へ部分は下方に点線8
4で示すように移動することになる。
【0076】次のステップとして状態にする。垂直微
動部は維持したままで、水平微動部A及び、Cの微動部
イ、ロ、ホ、への圧電素子を縮んでいる状態から伸ば
す。この一連で運動部1が下に点線84で示すように移
動したことになる。また水平微動部の微動部イ、ロ、
ハ、ニ、ホ及び、へをすべて伸ばすことで壁面10に、
運動部1がしっかり固定される。
【0077】次のステップとして状態にする。ここで
は次の運動部1の移動に備え各微動部が標準状態に戻
すまでの動作である。水平微動部Bの微動部ハ、ニの圧
電素子を伸ばした状態から縮めた状態にする。微動部
イ、ロ、ホ及び、へは伸びた状態のままにして、壁面1
0に運動部1を固定された状態を維持する。微動部ハ、
ニは縮めたことで壁面10から離れる。壁面10から離
れた水平微動部Bは移動に備える。
【0078】次の状態にて水平微動部Bの微動部ハ、
ニの圧電素子を縮めた状態のままで、垂直微動部aの圧
電素子は縮めた状態から伸ばし、垂直微動部bの圧電素
子は伸びた状態から縮める。これにより、水平微動部B
の微動部ハ、ニ部分は下方に移動することになる。だだ
し、この動作は運動部1を移動させるのではなく、標準
状態に戻すことにある。
【0079】次に状態とするために、垂直微動部は維
持したままで、水平微動部Bの微動部ハ、ニの圧電素子
を縮んでいる状態から伸ばす。この一連動作で標準状
態に戻ったことになる。つまり、運動部が標準状態
の時に壁面に固定されていた位置より下に点線84で示
すように移動して、標準状態に戻ったことになる。
【0080】標準状態は、水平微動部の微動部イ、
ロ、ハ、ニ、ホ及び、へをすべて伸ばすことで壁面10
に、運動部がしっかり固定され状態であり、プローブ1
1での測定はこの状態の時が望ましい。
【0081】また、設計時に中段の水平微動部Bの微動
部ハ、ニの圧電素子は、壁面との接触面積を増やす構造
の方が運動部が安定する。特に状態では中段の水平
微動部Bだけでささえているため、壁面との接触面積を
増やすことは大きな効果が期待できる。
【0082】以上の説明で、図1の運動部1が移動して
行き、プローブ11が試料12へ徐々に接近することに
なる。
【0083】尚、実施例として、運動部1が、標準状態
である水平微動部の微動部イ、ロ、ハ、ニ、ホ及び、
へをすべて伸ばして壁面にしっかりと捕らえている状態
から、微動部イ、ロ、ハ、ニ、ホ及び、へをすべて縮め
た状態にすることで、壁面間に位置している運動部1を
一気に壁面より離し、取り出せるようにした。プローブ
11の取り替えなどで運動部1を一時的に取り外したい
場合に、各微動部を動作させて運動部1が出てくるのを
待つには、微小移動のため時間がかかり過ぎる。そこで
壁面より微動部が、一斉に離れるように各微動部へ縮め
る信号を印加できるようにする。但し、この場合には、
運動部1が落下しないように手で受け止めると共に、落
下防止のための安全装置が動作しないように、セットし
ておく必要がある。
【0084】[実施形態2] ここで、実施形態2として、壁面検知センサーについ
て、図9に基づいて説明する。
【0085】運動部1は壁面10に沿って移動して行く
が、壁面10の終端を行き過ぎると、運動部1を支える
部分がなくなり、壁面10から(円筒形状内部から)脱
落することになる。勿論、残りの壁面10の終端までの
距離を把握して移動信号を送るようにすれば良いが、す
べての状態をカバーすることはなかなかできないことか
ら、壁面の有無を検知する安全装置92を運動部1に搭
載した。
【0086】図9において、運動部1の上端に安全装置
として、壁面検知センサー92を搭載した。壁面検知セ
ンサー92は、発信信号反射型のセンサーであれば、光
センサー、赤外線センサー、超音波センサーいずれでも
よい。本実施例には光センサーを用いた。壁面検知セン
サー92は、発光部と受光部を搭載している。壁面10
に発光した光を放射し、壁面10から反射光を受光す
る。点線で示した状態は壁面検知センサー92がON状
態で、壁面内で運動部1が問題なく移動している状態を
示す。
【0087】実線で示した状態は、壁面10に反射した
光が帰ってこなくなった状態で、壁面10の上端91に
運動部1が達したことを示す。壁面検知センサー92は
OFF状態となり、駆動信号をON/OFFする切換部
90にOFF信号を送り、駆動部から運動部1への信号
経路を遮断する。したがって、壁面10からの運動部1
の脱落を防ぐことができる。また、運動部1の一部が壁
面10の上端91より突出することで姿勢が不安定にな
ることを防ぐ。勿論、運動部1の脱落を防ぐことは運動
部1の破損を防止し、プローブの破損も防止することに
なる。
【0088】また、壁面検知センサー92は、運動部1
の下部(下端水平微動部)にも搭載することで、さらに
安全性を高めることができる。
【0089】[実施形態3] 以上のように移動する運動部の説明をしているが、プロ
ーブの種類、試料表面の状態、測定環境の変化等に、合
わせてアクチュエータの各微動部を取り換えできるよう
な構成とする。
【0090】水平微動部は向かい合う壁面の間隔によっ
て、第1段から第3段までの微動部を、必要な伸縮量に
合わせて、それぞれの微動部をユーザーが変更できるよ
うにしている。壁面間隔が広いときは当然変位量の多い
微動部に交換して対応する。
【0091】垂直微動部は、運動部の移動ステップに必
要な変位量が得られる微動部に交換できるようにしてい
る。
【0092】また、移動に必要な時以外にも、微動部
(図1の24又は25)の圧電素子の劣化が確認できた
時にも、ユーザーが変更できるようにしている。
【0093】また、水平微動部を4段、5段としていく
ことで、壁面と運動部との間に安定感が増し、プローブ
の自重に耐えられるだけの力を付けることになる。この
ように、簡単に多段にできるようにしたことを特徴とし
ている。
【0094】このように、ユーザーが必要に応じて微動
部を交換して、また、微動部を増やし、必要な変位量が
えられ、目的の移動が簡単にできるプローブ制御装置の
アクチュエータをユーザー自身が提供することができ
る。
【0095】[実施形態4] さらに、運動部の高さ方向の移動だけでなく、運動部を
停止した後で、水平微動部のそれぞれの微動部を、独自
に変位量を変化させることでプローブの先端が2次元方
向に変化する運動部とする。
【0096】図2を用いて説明する。
【0097】今までは水平微動部の伸縮量は一定として
説明している。したがって壁面に対して、運動部の固定
姿勢は常に一定の状態を保ち、プローブは壁面に平行で
ある。微動部は電圧の値で伸縮する。電圧の値を変化さ
せれば伸縮量(変位量)が変化する。各微動部に一定の
電圧値を入力するのではなく、それぞれ別々の電圧を入
力することで、壁面と運動部の固定状態を変化させら
れ、プローブは壁面に対して平行ではなくなる。つま
り、プローブ11に角度をつけられる。例えば、微動部
イ、ハ、ホの入力電圧を変え、伸びる量を変える。伸び
量は、イ<ハ<ホとする。さらに、ロ>ニ>へとする。
この時、図2で説明するとプローブ11は右にふる。
【0098】反対に伸び量は、イ>ハ>ホとする。さら
に、ロ<ニ<へとする。この時は、図2でプローブ11
は左にふる。このように微動部への入力電圧を制御する
ことで、壁面に対する運動部の姿勢を変化させることが
可能になる。図3を同じように各微動部の入力電圧を変
化させれば2次元方向にプローブ11が動くことにな
る。このように簡単に、請求項8に記載したプローブ1
1に角度が付けられる。
【0099】[実施形態5] 壁面から運動部の脱落については図9で説明している
が、運動部が試料などに追突する危険を防ぐ方法を説明
する。勿論、運動部に搭載したプローブを守ることも大
きな目的である。
【0100】図11を、一実施例として説明する。
【0101】運動部1の下部(最も下の水平微動部)に
は、障害物の接近を知らせるセンサーを搭載する。今回
の実施例としては、発光素子120を取り付ける。運動
部1の移動していく目的方向の終端部には運動部1に取
り付けた発光素子120の直下に受光素子121を取り
付ける。発光素子120から放射された光を真下の受光
素子121でうけることで運動部1の現在位置を受光素
子121からの信号の強弱によってわかるようにする。
また、運動部1に取り付けるプローブ11が試料12に
略垂直に近づいているかどうかの確認ができる。つま
り、運動部1の姿勢状態が確認できる。例えば、前述し
た運動部に角度をつける実施例を行うと発光素子120
からの信号は受光素子121は検出できず、運動部にあ
る角度があることがわかる。
【0102】また、角度を必要としない移動を試みてい
る時は、運動部1の移動前の受光素子121からの出力
信号と、移動中及び、移動後の受光素子121からの出
力信号との差異に差が見られない場合は、壁面10に対
して平行に移動したことになる。
【0103】また、前述したように運動部1の各微動部
の変位量を変えて、運動部の姿勢を変化させたい場合に
も受光素子121からの出力信号との差異によって角度
度合を決定することもできる。更に、運動部1の姿勢を
元に戻す場合も、受光素子121からの出力信号を参考
に戻すこともできる。
【0104】勿論、運動部1と終端部との距離の測定も
可能である。発光素子120と受光素子121との距離
を把握することでプローブ11と試料12との距離をつ
かむ重要な情報となる。これは、プローブ11と試料1
2との衝突を防ぐ大きな効果が期待できる。
【0105】尚、ここで用いるセンサーは赤外線センサ
ーや、超音波センサーでもよい。
【0106】このように目的の進行方向にセンサーを取
り付けているが、運動部1は後退もすることから上部
(最も上の水平微動部)にも搭載することで、さらに安
定した確実なアクチュエータを提案できる。
【0107】また、別の方法として運動部1に触覚セン
サー125を搭載させることもできる。本実施では圧電
材料からなる圧電素子を使って、例えば、触覚センサー
125が底面に触れて、しなりながら変位することで電
気信号を出力するようにした。しなりが必要であること
からバイモルフタイプの圧電素子を運動部に搭載するこ
とが望ましい。さらに、運動部1に搭載する触覚センサ
ー125は、他の運動部1に搭載するプローブ11など
の邪魔にならないように配置しておくことが望ましい。
【0108】[実施形態6] 運動部について別の構成を提案する。図10に円筒状の
内部を移動する別の形態として運動部1を提案する。
【0109】円筒内部の壁面を運動部全体で受け止める
ように、3段に積層した水平微動部は円環状(ドーナツ
状)からなる円環水平微動部で構成している。上段の円
環水平微動部110と中段の円環水平微動部113との
間に円柱垂直微動部111を備え、この円柱垂直微動部
111は、円筒内部の壁面に対して平行して伸縮するよ
うにしている。さらに中段の円環水平微動部113と下
段の円環水平微動部114との間にも円柱垂直微動部1
15を備えさせる。
【0110】円環水平微動部110、113、114は
圧電素子を伸ばした状態に維持している。圧電素子は横
効果振動子として円環の広がり振動を利用する。今は伸
ばすことで壁面に固定した状態になっている。
【0111】まず、円環水平微動部110と円環水平微
動部114の圧電素子を伸ばした状態から縮めた状態に
する。円環水平微動部113は伸びた状態のままにして
円筒壁面に運動部を固定させる。
【0112】次は壁面から離れた円環水平微動部11
0、114は移動に備える。円柱垂直微動部111の圧
電素子は伸ばした状態から縮め、円柱垂直微動部115
の圧電素子は縮ませた状態から伸ばす。これにより、円
環水平微動部110、114は下方に移動する。
【0113】そして、円柱垂直微動部111、115は
維持したままで、円環水平微動部110、114の圧電
素子を縮んでいる状態から伸ばす。この一連で運動部が
下に移動したことになる。動作手順は基本的に図8で説
明した通りである。
【0114】このように、順次微動部を動作させること
でプローブ11が移動することになる。
【0115】最後に、微動部に用いた圧電素子について
説明をする。
【0116】圧電素子とは電気エネルギーを機械的エネ
ルギーに可逆的に変換できる素子である。これは、機械
的応力を加えると応力に比例した電界が発生する正圧電
効果と、逆に電界を加えて電界に比例した歪みを生じる
逆圧電効果が現れる素子である。この素子構造は、外部
からある値以上の電界を加えて、結晶軸が全部揃った単
一分域の結晶構造になるように分域を反転させる操作
(分極処理)を行ったセラミックスからなり、分極処理
された圧電セラミックスにより外部からのエネルギーに
応じて圧電効果を示す事になる。このように分極処理し
て分域(ドメイン)を揃えないと圧電効果はおこらな
い。
【0117】分極すると未分極の場合異なって分極方向
に大きな歪みが生じこの歪が外部からの電界に応じて逆
圧電効果を示す。この効果は主に、縦効果の電極方向と
伸縮歪方向が同一方向である場合(圧電定数d33)と、
横効果の電極方向と伸縮歪方向が垂直方向である場合
(圧電定数d31)がある。
【0118】印加電圧と伸縮方向の関係は縦効果または
横効果のいずれを用いた設計にするのかによって決まっ
てくる。
【0119】実際の伸縮の動作について図6で詳しく説
明する。弾性部の一部である、横効果設計した微動部の
圧電素子に電圧を印加した状態を(B)に示す。又、
(B)は(A)の伸縮部62を取り出し、これに電圧を
印加した状態を示す。尚、(A)の伸縮部61、62
は、例えば図2の水平微動部の微動部イ、ロを示す。横
効果設計すると電極方向と伸縮部変位方向が垂直になっ
ている。伸縮部62の分極電極100にプラスの電圧1
02を印加すると、横効果により分極電極100は分極
方向に伸びようとして、結果的に図面での縦方向微動部
と壁面との間隔に相当する方向)は(C)の103のよ
うに縮む105ことになる。
【0120】次に伸縮部62の分極電極100にマイナ
スの電圧102を印加すると、横効果により分極電極1
00は分極方向に縮もうとして、結果的に図面での縦方
向(微動部と壁面との間隔に相当する方向)は(C)の
104のように伸びようとすることになる。この動作を
第一の伸縮部61と第二の伸縮部62で上記のように操
作し、また他の水平微動部を同じように操作することで
運動部を自由に移動できる。
【0121】また、図7にて微動部を駆動する信号を生
成する回路の一例を示しておく。信号94を必要な信号
に増幅して、微動部の圧電素子の共通電極91と、分極
方向電極90に導く回路の一例である。
【0122】尚、ここに微動部の設計方法の一例を示し
ておく。考え方としてはまず最初に、水平微動部の全長
L、分極方向の電極幅tを微動量である変位量から推定
して仮定値を決める。その後計算によって各値をそれぞ
れ絞り込んで行く。この時例えば、分極方向の電極幅t
を厚くすれば耐久性は良くなる反面、電圧値が高くなる
短所があり、薄くすると圧電材料セラミックスが割れや
すい反面、電圧値が低くなる長所が見られるなど仮定値
を決めるのにことを考慮しておく。このような問題点は
それぞれ設計段階で使用目的を検討し最良な状態を選択
して決定する。例えば、微動部イの今回の設計一例の計
算式を示しておく。
【0123】 Δイ=(d31 L V)/t L:長さ、 V:印加電圧、 t:幅、 d31:圧電歪定
数 ただし、変位量を求める式は効果の種類、材料、電極の
構成、微動部の大きさ等によって変わることから上記式
に限らない。
【0124】[実施形態7] 尚、運動部への信号伝達方法として次の方法を提案す
る。運動部は、上記壁面に接触する上記水平微動部の端
部に、予め壁面に形成された壁面電極と接触させられる
運動部電極を備え、壁面から運動部に信号が伝達させら
れる提案をする。すなわち、運動部に信号線をつないで
信号を伝えるのではなく、運動部が移動する壁面を利用
して信号を外部より壁面に沿って伝達する。これによ
り、運動部に信号線を必要とせずに外部より信号を運動
部に送れ、非常にシンプルな運動部を構成できる。特に
非常に小さい運動部にとって、複数の信号線の重さは移
動していくのに負担となっており、場合によっては運動
部よりも信号線の方が重く、耐え切れずに壁面から滑り
落ちることが課題となっていた。
【0125】また、信号の応力によって運動部の移動量
に誤差が含まれることも問題となっていた。この信号伝
達方法は以上の課題を解決し、小型で、軽量な運動部の
滑落を防ぐことができる。常に小さい運動部1にとって
駆動信号を伝達する複数の信号線は非常に重たく、運動
部1の動きを邪魔する結果となっている。そこで、運動
部1から信号線を無くし、壁面から信号を得られるよう
にしたのが図12である。
【0126】微動部と接触する壁面10に沿って壁面電
極131を形成しておく。壁面電極は銅箔等のテープで
もよい。このときに複数の電極が壁面10に沿って走る
ので、各微動部は必要な信号が得られるように、電極の
ある壁面に接触する微動部の必要な部分に運動部電極1
32を備えておく。此のとき、壁面10を押す微動部が
不必要な電極に触れてもよいように運動部電極132を
形成している以外の接触面は絶縁体で構成しておく。ま
た、図12(B)のように壁面10から離れる微動部へ
の信号伝達として電極アーム134を備えておく。伸縮
運動によって壁面10から離れたり接触したりするが、
バネ性のある電極アーム134よって電極部分だけは壁
面10から離れないように引きずって行くようにする。
【0127】さらに運動部には、上記壁面の内部の移動
状態を確認するために、画像信号が得られるようにモニ
ター用のカメラを備え、上記運動部が、見えない壁面内
部を移動していく過程及び、上記運動部が目的の場所に
達したことを確認できるようにする。壁面内部で目的の
位置に達しているのかを確認するためにCCDなどを搭
載して、運動部の追突、運動部に搭載しているブロープ
の追突を防ぐことができる。勿論、壁面の状態を確認す
ることもできる。特に、装置内の真空状態での移動は見
ることができないため、このような目を備えることが必
要になる。
【0128】図12の運動部1に小型カメラ133を搭
載した実施形態を示す。壁面に覆われた状態で、実際に
どのように運動部が壁面内部を移動していくのかは常に
気になることです。特に顕微鏡として使用するときに運
動部1に搭載されたプローブ11が試料にどの程度接近
しているのか把握する必要があります。
【0129】そこで、運動部が目的位置にどの程度達し
たか確認するために、小型カメラ133を運動部1に搭
載する。例えば、CCDカメラ等を搭載する。これによ
り、追突を防いで、運動部1を守るのは勿論、使用者の
運動部操作の不安を解消することができる。また、前述
しているが、触覚センサーによっても追突防止ができ、
2重防止対策によって確実に運動部を保護することがで
きる。以上が、本発明の各実施例である具体的な説明で
ある。
【0130】
【発明の効果】本発明によれば、各種顕微鏡等に必要な
プローブと試料の間隔制御を、容易にまた、確実にでき
るアクチュエータを提供できる。向かい合う壁があれば
移動可能なアクチュエータを提供できる。また、本発明
のアクチュエータは、従来の円筒形状をした微動部の内
部に挿入させ、内部の内壁を伝って移動するマイクロマ
シン的な装置で、比較的微動移動を必要とするプローブ
の制御に適している。また、本発明のアクチュエータ
は、プローブを動的に連結させやすい。
【0131】また、微動部を圧電材料からなる圧電素子
によって構成していることで、電圧によって簡単に微動
させることができる。また、圧電材料からなる圧電素子
であることから、微動量は自由にユーザーが決定でき
る。また、顕微鏡によっては測定条件を真空状態にする
必要があり、一度プローブと試料の間隔を設定したら真
空を破ることができず、何度もやり直しはできなかった
が、本発明のアクチュエータは、前進、後退が自由あ
り、何度でも試料に接近できる大きな特徴がある。また
最も大きな効果として、指令信号にしたがって本発明の
アクチュエータが移動することで、今後開発が進んで来
ると思われるマイクロマシンを先取りした装置を提案で
きることにある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアクチュエータの概略断面図である。
【図2】図1のアクチュエータの運動部の拡大断面図で
ある。
【図3】本発明のアクチュエータの運動部の別の構成を
示す図である。
【図4】本発明のアクチュエータの駆動部の一実施例を
示す図である。
【図5】本発明の移動の手段を示した一実施例である。
【図6】本発明の一実施例である微動部の微動した状態
を示す図である。
【図7】本発明の一実施例である微動部へ印加する信号
を生成する回路図である。
【図8】本発明の一実施例である運動部の移動過程を示
した動作状態を示す図である。
【図9】運動部の脱落防止をした一実施例を示す図であ
る。
【図10】本発明のアクチュエータの運動部の別の構成
を示す図である。
【図11】本発明の一実施例である追突防止を搭載した
状態を示した一例である。
【図12】本発明の一実施例である壁面から信号が得ら
れる状態を示した一例である。
【図13】従来技術の一例である。
【符号の説明】
1、1′ 運動部 2 駆動部 3 制御手段 10、10′ 壁面 11 プローブ 12 試料 20 支持部材 40 信号発生部 47 切換部 48 信号生成部 92 壁面検知センサー 125 触覚センサー A、B、C 水平微動部 a、b 垂直微動部

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】向かい合う壁面に移動可能に、内接された
    複数の圧電素子で構成された運動部と、 上記圧電素子を伸縮させるための特定電圧を出力する駆
    動部と、 上記駆動部に対して、特定電圧の出力を制御する制御手
    段とを備え、 上記制御手段の制御により、上記駆動部から上記圧電素
    子に特定電圧を供給し、上記運動部が伸縮を反復して、
    上記壁面を上下に微動できるとともに、 上記運動部は、上記壁面に対して水平方向に伸縮する圧
    電素子からなる3段以上の水平微動部と、 上記各水平微動部用の一対の圧電素子の間に挿入された
    支持部材と、 上記支持部材に挟まれた、上記壁面に沿って伸縮する圧
    電素子からなる複数の垂直微動部とで構成され、 上記3段以上の水平微動部 及び複数の垂直微動部を構
    成する圧電素子が個々に、伸縮運動する一方、 上記運動部は、壁面を上下に微動するときは、 先ず、進行方向に対して後側の水平微動部を構成する圧
    電素子を、壁面に対して水平方向に伸張させて運動部の
    後端部を壁面に固定し、次に、垂直微動部を構成する圧
    電素子を伸張させ、次に、運動部の前側の水平微動部を
    構成する圧電素子を、壁面に対して水平方向に伸張させ
    て運動部の先端部を壁面に固定し、次に、先に伸張させ
    て壁面に固定した後側の水平微動部の圧電素子を収縮さ
    せて固定状態を解除し、垂直微動部の圧電素子を収縮さ
    せて、後側の水平微動部を前側の水平微動部に引き寄
    せ、その後、再び後側の水平微動部の圧電素子を伸張さ
    せて、後側の水平微動部を壁面に固定すること を特徴と
    するアクチュエータ。
  2. 【請求項2】請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記運動部の圧電素子は、ペロブスカイト結晶構造を持
    つ多結晶体のチタン酸バリウム又は、チタン酸鉛又は、
    チタン酸ジルコン酸鉛のいずれかの材料によって構成さ
    れていること を特徴とするアクチュエータ。
  3. 【請求項3】請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記運動部は、上記壁面に接触する上記水平微動部の圧
    電素子の端部に、壁面との摩擦抵抗を大きくするための
    弾力部材を取着していること を特徴とするアクチュエー
    タ。
  4. 【請求項4】請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記駆動部は、上記運動部の伸縮運動に必要な信号を発
    生する信号発生部と、上記信号発生部からの信号により
    水平方向の伸縮信号及び、垂直方向の伸縮信号を生成す
    る信号生成部と、上記信号生成部からの信号を特定電圧
    まで増幅させる増幅部と、上記増幅部からの信号を複数
    の圧電素子へ個々に伝える切換部とを備えていること
    特徴とするアクチュエータ。
  5. 【請求項5】向かい合う壁面に移動可能に、内接された
    複数の圧電素子で構成された運動部と、上記圧電素子を
    伸縮させるための特定電圧を出力する駆動部と、上記駆
    動部に対して、特定電圧の出力を制御する制御手段とを
    備え、上記制御手段の制御により、上記駆動部から上記
    圧電素子に特定電圧を供給し、上記運動部が伸縮を反復
    して、上記壁面を上下に微動できるとともに、 上記運動部には、上記壁面の有無を検知するために、壁
    面に信号を反射させて検知する壁面検知センサーを備
    え、上記運動部が、上記壁面の終端まで移動した時、上
    記運動部の移動を停止すること を特徴とするアクチュエ
    ータ。
  6. 【請求項6】向かい合う壁面に移動可能に、内接された
    複数の圧電素子で構成された運動部と、上記圧電素子を
    伸縮させるための特定電圧を出力する駆動部と、上記駆
    動部に対して、特定電圧の出力を制御する制御手段とを
    備え、上記制御手段の制御により、上記駆動部から上記
    圧電素子に特定電圧を供給し、上記運動部が伸縮を反
    して、上記壁面を上下に微動できるとともに、 上記運動部は、上記壁面に対して直角となる水平方向に
    伸縮する圧電素子からなる複数の水平微動部と、上記水
    平微動部用の一対の圧電素子の間に挿入された支持部材
    と、上記支持部材に挟まれた、上記壁面に対して平行と
    なる垂直方向に伸縮する圧電素子からなる複数の垂直微
    動部とで構成され、上記複数の水平微動部及び、複数の
    垂直微動部を構成する圧電素子が個々に伸縮運動する一
    方、 上記複数の水平微動部と、上記複数の垂直微動部は、壁
    面間の距離、壁面に沿った移動量及び、アクチュエータ
    の使用状態に合わせ、必要な移動量が得られるように、
    それぞれの微動部が交換自在であること を特徴とするア
    クチュエータ。
  7. 【請求項7】向かい合う壁面に移動可能に、内接された
    複数の圧電素子で構成された運動部と、上記圧電素子を
    伸縮させるための特定電圧を出力する駆動部と、上記駆
    動部に対して、特定電圧の出力を制御する制御手段とを
    備え、上記制御手段の制御により、上記駆動部から上記
    圧電素子に特定電圧を供給し、上記運動部が伸縮を反復
    して、上記壁面を上下に微動できるとともに、 上記運動部は、上記壁面に対して直角となる水平方向に
    伸縮する圧電素子からなる複数の水平微動部と、上記水
    平微動部用の一対の圧電素子の間に挿入された支持部材
    と、上記支持部材に挟まれた、上記壁面に対して平行と
    なる垂直方向に伸縮する圧電素子からなる複数の垂直微
    動部とで構成され、上記複数の水平微動部及び、複数の
    垂直微動部を構成する圧電素子が個々に伸縮運動する一
    方、 上記複数の水平微動部を構成する圧電素子は、個々
    の伸縮量を異ならせれることにより、静止時の壁面に対
    する運動部の傾斜が自在であること を特徴とするアクチ
    ュエータ。
  8. 【請求項8】向かい合う壁面に移動可能に、内接された
    複数の圧電素子で構成された運動部と、上記圧電素子を
    伸縮させるための特定電圧を出力する駆動部と、上記駆
    動部に対して、特定電圧の出力を制御する制御手段とを
    備え、上記制御手段の制御により、上記駆動部から上記
    圧電素子に特定電圧を供給し、上記運動部が伸縮を反復
    して、上記壁面を上下に微動できるとともに、 上記制御手段は、上記複数の水平微動部と、複数の垂直
    微動部の全てを同時に収縮するように制御し、上記運動
    部が壁面から取外し容易であること を特徴とするアクチ
    ュエータ。
  9. 【請求項9】向かい合う壁面に移動可能に、内接された
    複数の圧電素子で構成された運動部と、上記圧電素子を
    伸縮させるための特定電圧を出力する駆動部と、上記駆
    動部に対して、特定電圧の出力を制御する制御手段とを
    備え、上記制御手段の制御により、上記駆動部から上記
    圧電素子に特定電圧を供給し、上記運動部が伸縮を反復
    して、上記壁面を上下に微動できるとともに、 上記運動部は、姿勢及び、位置を検知するための姿勢位
    置検知センサーを備え、上記運動部は、移動中の壁面に
    対する運動部の姿勢及び、上記試料までの距離が検知で
    きること を特徴とするアクチュエータ。
  10. 【請求項10】向かい合う壁面に移動可能に、内接され
    た複数の圧電素子で構成された運動部と、上記圧電素子
    を伸縮させるための特定電圧を出力する駆動部と、上記
    駆動部に対して、特定電圧の出力を制御する制御手段と
    を備え、上記制御手段の制御により、上記駆動部から上
    記圧電素子に特定電圧を供給し、上記運動部が伸縮を反
    復して、上記壁面を上下に微動できるとともに、 上記制御手段は、予め複数の圧電素子で構成された運動
    部の各圧電素子の動作をバイナリ信号に設定し、上記運
    動部のコマンドとして出力すること を特徴とするアクチ
    ュエータ。
  11. 【請求項11】請求項1記載のアクチュエータにおい
    て、上記各水平微動部は、上記第1垂直微動部及び第2垂直
    微動部をそれぞれ挟さむように積層した構造とし、上記
    各水平微動部は、それぞれ異なる方向の壁面を押圧し
    て、上記運動部の姿勢を安定させるため、設置角度を違
    えていること を特徴とするアクチュエータ。
  12. 【請求項12】向かい合う壁面に移動可能に、内接され
    た複数の圧電素子で構成された運動部 と、上記圧電素子
    を伸縮させるための特定電圧を出力する駆動部と、上記
    駆動部に対して、特定電圧の出力を制御する制御手段と
    を備え、上記制御手段の制御により、上記駆動部から上
    記圧電素子に特定電圧を供給し、上記運動部が伸縮を反
    復して、上記壁面を上下に微動できるとともに、 上記運動部は、上記壁面と接触する上記水平微動部の端
    部に、予め壁面に形成された壁面電極と接触可能な運動
    部電極を備え、壁面から運動部に信号が伝達できること
    を特徴とするアクチュエータ。
  13. 【請求項13】向かい合う壁面に移動可能に、内接され
    た複数の圧電素子で構成された運動部と、上記圧電素子
    を伸縮させるための特定電圧を出力する駆動部と、上記
    駆動部に対して、特定電圧の出力を制御する制御手段と
    を備え、上記制御手段の制御により、上記駆動部から上
    記圧電素子に特定電圧を供給し、上記運動部が伸縮を反
    復して、上記壁面を上下に微動できるとともに、 上記運動部は、円筒状壁面に対して直角となる水平方向
    に伸縮し、且つ、運動部全体で受け止められるように円
    環状をした一つの圧電素子からなる複数の水平微動部
    と、円筒状壁面に対して垂直方向に伸縮する圧電素子か
    らなる複数の垂直微動部と、を備え、上記円環状の水平
    微動部の中心に、垂直微動部が挿入されていること を特
    徴とするアクチュエータ。
  14. 【請求項14】向かい合う壁面に移動可能に、内接され
    た複数の圧電素子で構成された運動部と、上記圧電素子
    を伸縮させるための特定電圧を出力する駆動部と、上記
    駆動部に対して、特定電圧の出力を制御する制御手段と
    を備え、上記制御手段の制御により、上記駆動部から上
    記圧電素子に特定電圧を供給し、上記運動部が伸縮を反
    復して、上記壁面を上下に微動できるとともに、 上記運動部は、上記壁面内部の移動状態確認用の画像を
    得るためのモニター用のカメラを備え、上記運動部が、
    外部から見えない壁面内部を移動していく過程及び、上
    記運動部が目的の場所に到達したことを確認できること
    を特徴とするアクチュエータ。
  15. 【請求項15】向かい合う壁面に移動可能に、内接され
    た複数の圧電素子で構成された運動部と、上記圧電素子
    を伸縮させるための特定電圧を出力する駆動部と、上記
    駆動部に対して、特定電圧の出力を制御する制御手段と
    を備え、上記制御手段の制御により、上記駆動部から上
    記圧電素子に特定電圧を供給し、上記運動部が伸縮を反
    復して、上記壁面を上下に微動できるとともに、 上記運動部は、移動方向前方の障害物を検知する触覚セ
    ンサーを備えていること を特徴とするアクチュエータ。
  16. 【請求項16】請求項15記載のアクチュエータにおい
    て、 上記触覚センサーは、機械的エネルギーを電気的エネル
    ギーに可逆的に変換可能な圧電材料からなる圧電素子で
    構成されていること を特徴とするアクチュエータ。
  17. 【請求項17】請求項1〜16のいずれか1項に記載の
    アクチュエータを備えたことを特徴とする顕微鏡。
  18. 【請求項18】請求項1〜16のいずれか1項に記載の
    アクチュエータを備えたことを特徴とする円筒形状等の
    パイプの内部、又は平行状態に近い間隔の壁の間を移動
    するマイクロマシン。
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