JP3416071B2 - 脂肪酸の不飽和化酵素遺伝子が導入された高等植物細胞および高等植物の作出方法 - Google Patents

脂肪酸の不飽和化酵素遺伝子が導入された高等植物細胞および高等植物の作出方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂質に結合した脂
肪酸のΔ9位を不飽和化する活性を有するタンパク質
(以下、Δ9位不飽和化酵素という)をコードする遺伝
子、当該遺伝子を含むベクター、当該遺伝子が導入され
た植物およびその作出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生物の生体膜を構成する脂質である膜脂
質は外界温度の低下に伴って、液晶状態から固体状態へ
と変化(相分離)する。そして、かかる相分離に伴い生
体膜の性質が変化する。すなわち、膜脂質が固体状態で
は物質透過の選択性がなくなるため、生体膜が本来の機
能を果たせなくなり、その結果細胞に傷害(低温傷害)
が生ずると考えられている。
【0003】液晶状態から固体状態あるいはその逆に変
化する温度である膜脂質の相転移温度は、主に脂質に結
合している脂肪酸アシル基の不飽和度(炭素鎖中の二重
結合の数)によって決定付けられる。すなわち、結合し
ている脂肪酸アシル基が二つとも飽和脂肪酸である場
合、この脂質分子種の相転移温度は室温よりも高いが、
結合した脂肪酸アシル基に二重結合を少なくとも1個持
つような脂質分子種の相転移温度は、ほぼ0℃以下であ
る(Santaren, J.F.et al., Biochim. Biophys.Acta,68
7:231,1982)。
【0004】なお、一般に脂肪酸の二重結合の位置は、
そのカルボキシル基末端から二重結合のある炭素までの
炭素数をΔ(デルタ)に続いて示す。また、二重結合の
総数は全炭素数の後にコロンに続いて記載する。例え
ば、リノール酸は18:2Δ9,12と記述され、その構造は CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CH(CH2)7
OOH である。また、二重結合の位置をω(オメガ)に続いて
記載する場合があるが、これは脂肪酸のメチル基末端か
ら二重結合のある炭素までの炭素数を示している。
【0005】高等植物の膜脂質の中で、飽和分子種が比
較的多いのはホスファチジルグリセロール(PG)のみ
であり、植物の低温傷害の起因がPGの相転移によるこ
と(Murata,N.et al.,Plant Cell Physiol.,23:1071,19
82; Roughan,P.G.,Plant Physiol.,77:740,1985 )、ま
たPGの分子種組成が葉緑体に存在するグリセロール−
3−リン酸アシルトランスフェラーゼ(以下ATase)の
基質選択性によって決められていること(Frentzen,M.e
t al.,Eur.J.Biochem.,129:629,1983; Murata,N.,Plant
Cell Physiol.,24:81,1983; Frentzen,M.et al.,Plant
Cell Physiol., 28:1195,1988) が強く示唆されてい
た。
【0006】これらの仮定に基づき西澤らは、低温に強
い植物のシロイヌナズナから取得したATase遺伝子をタ
バコに導入・発現することによりPGの飽和分子種含量
を下げ、タバコを野生株よりも低温に対して強くするこ
とができることを示した(PCT特許出願:PCT/JP92/0
0024,1992)。しかし、ATaseは元の植物中にも存在し、
かりに外来のATaseを植物中で大量発現させたとして
も、内在性のATaseと競合しあうことは避けられず、外
来のATaseの効果が希釈される可能性は否めない。例え
ば、作成した形質転換タバコのうちシロイヌナズナのAT
aseを最も大量に発現しているクローンの葉のPGの飽
和分子種含量は約28%でありタバコ野生株よりも約8%
少ないが、シロイヌナズナ野生株よりも約8%多かった
(PCT特許出願:PCT/JP92/00024,1992)。
【0007】さらに、一般にプラスチドで作られるアシ
ル-ACPは主に16:0-ACPと18:1-ACPであり、またそれらの
割合はほぼ等量であると考えられているが、組織によっ
ては16:0-ACPや18:0-ACPの割合が18:1-ACPより高いこと
も考えられる(Toriyama,S.et al.,Plant Cell Physio
l.,29:615,1988)。このような組織では外来のATaseによ
って飽和分子種含量を充分に減少させることが困難であ
るとも考えられる。
【0008】ところで、光合成細菌のシアノバクテリア
(ラン藻)の膜脂質の組成は、高等植物の葉緑体を構成
している膜系の脂質組成と類似している(Murata,N.et
al.,in“The Biochemistry of Plants",Academic Pres
s,1987)。またラン藻では、膜脂質に結合した脂肪酸の
不飽和度は、脂質に結合した脂肪酸を不飽和化する酵素
によって制御されている。そして、脂質に結合した脂肪
酸に二重結合を1つしか入れられないAnacystis nidula
ns(別名 Synechococcus PCC 7942)は低温感受性である
が(Ono,T.et al.,Plant Physiol.,67:176,1981)、2つ
以上入れられるSynechocystis PCC6803 は低温耐性であ
ることが知られていた(Wada,H.et al.,Plant Cell Phy
siol.,30:971,1989) 。
【0009】また、ラン藻における脂肪酸の不飽和化酵
素は、すべて脂質を基質とし、脂質に結合した脂肪酸に
二重結合を導入する。従って、ラン藻は16:0/16:0-およ
び18:0/16:0-の飽和分子種からなる膜脂質のPG、SQ
DG、MGDGおよびDGDGの脂肪酸にcis-型の二重
結合を導入することが可能である(Murata,N.et al.,in
“The Biochemistry of Plants",Academic Press, 198
7)。かかる点は脂肪酸不飽和化酵素として、ステアロ
イル-ACP(18:0-ACP)のΔ9位に二重結合を導入する酵
素を有し、一旦16:0/16:0-(および、わずかに存在する
18:0/16:0-)の飽和分子種からなるPGおよびSQDG
が合成されると、それらの脂肪酸に決してcis-型の二重
結合を導入しない高等植物と大きく異なる点である。
【0010】現在、Synechocystis PCC6803 のΔ12位不
飽和化酵素遺伝子をAnacystis nidulansに導入・発現さ
せることにより本来Anacystis nidulansには存在しない
16:2Δ9,12および18:2Δ9,12を生産させることが可能で
あり、結果として本来低温感受性であるAnacystis nidu
lansを低温耐性へと転換可能であることが示されている
(Wada,H.et al.,Nature,347:200,1990)。
【0011】なお、これまでにラン藻の不飽和化酵素の
うちΔ6位(Reddy,A.S.et al.,Plant Mol.Biol.,27:29
3,1993)およびΔ12位(Wada,H.et al.,Nature,347:20
0,1990)不飽和化酵素の遺伝子が取得されている。しか
し、Δ9位に二重結合が導入されていなければ、Δ6位
およびΔ12位不飽和化酵素は、それぞれΔ6位とΔ12位
を不飽和化することはできない。また、Δ9位とΔ12位
がともに不飽和化されていなければΔ15位不飽和化酵素
はΔ15位を不飽和化することはできない。従って、脂肪
酸のΔ9位を不飽和化する酵素の遺伝子を高等植物に導
入し発現させれば、高等植物における飽和分子種含量を
低下させ、その結果として該高等植物を低温耐性にする
ことができるはずである。しかしながら、現在まで、脂
肪酸のΔ9位を不飽和化する酵素の遺伝子は得られてい
なかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、脂
肪酸のΔ9位を不飽和化する酵素の遺伝子およびその一
部を含むポリヌクレオチドを提供することを目的とす
る。また、本発明は、脂肪酸のΔ9位を不飽和化する酵
素の遺伝子またはその一部を含むポリヌクレオチドを含
むベクターを提供することも目的とする。さらに、本発
明は、脂肪酸のΔ9位を不飽和化する酵素の遺伝子また
はその一部を含むポリヌクレオチドが導入された植物細
胞および植物を提供することも目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者は、Anacystis 属に属するラン藻のゲノム
DNAからΔ9位不飽和化酵素をコードする遺伝子をク
ローニングし、該遺伝子を組み込んだベクターDNAを
得た後、該ベクターDNAで植物細胞を形質転換し、こ
れを分化させて植物体を再生させることにより、植物に
低温耐性を付与することに成功し、本発明を完成させる
に至った。すなわち、本発明は、以下の事項を要旨とす
るものである。
【0014】(1)脂質に結合した脂肪酸のΔ9位を不
飽和化する活性を有するタンパク質をコードする遺伝
子。 (2)脂質に結合した脂肪酸のΔ9位を不飽和化する活
性を有するタンパク質が実質的に配列番号4に記載され
たアミノ酸配列を有するものである1に記載の遺伝子又
は当該遺伝子の一部を含むポリヌクレオチド。 (3)脂質に結合した脂肪酸のΔ9位を不飽和化する活
性を有するタンパク質をコードする遺伝子が配列番号3
に記載の塩基配列を含むDNA鎖である1に記載の遺伝
子又は当該遺伝子の一部を含むポリヌクレオチド。
【0015】(4)1乃至3のいずれかに記載の遺伝子
又は当該遺伝子の一部を含むポリヌクレオチドを含むベ
クター。 (5)1乃至3のいずれかに記載の遺伝子又は当該遺伝
子の一部を含むポリヌクレオチドが導入された植物細
胞。 (6)5に記載の植物細胞を分化させて植物体を再生さ
せることを特徴とする植物の作出方法。 (7)1乃至3のいずれかに記載の遺伝子又は当該遺伝
子の一部を含むポリヌクレオチドが導入された植物。 尚、本発明の遺伝子には、脂質に結合した脂肪酸のΔ9
位を不飽和化する活性を有する限りにおいて、当該活性
を有するタンパク質をコードする遺伝子の一部を含むも
のとする。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明にいう、Δ9位不飽和化酵
素は、上記「従来の技術」等に記載したごとく本来ラン
藻に存在する酵素である。Δ9位不飽和化酵素の化学構
造は、マウス(Kaestner,K.H.et al.,J.Biol.Chem.,26
4:14755,1989)、ラット(Mihara,K.,J.Biochem.,108:10
22,1990) 及び酵母(Stukey,J.E.et al.,J.Biol.Chem.,
265:20144,1990 )のステアロイル−CoA不飽和化酵
素の化学構造と局所的に類似しているが全体的には大き
く異なる。また既知のラン藻の脂質に結合した脂肪酸の
Δ6位およびΔ12位の不飽和化酵素及び高等植物の脂質
に結合した脂肪酸のω3位の不飽和化酵素(Yadav,N.S.
et al.,Plant Physiol.,103:467,1993)の化学構造とは
全く類似していない。本発明遺伝子を天然素材から製造
する場合は、ラン藻を原材料として使用するとよい。こ
こで用いられるラン藻は特に限定されず、例えばAnacys
tis属、Synechocystis属、Anabaena属等に属するラン藻
を挙げることができる。なお、以下の理由により、高等
植物の飽和分子種を不飽和化するためにはAnacystis型
(Murata,N.et al., Plant Cell Physiol., 33: 933, 1
992 。この文献で言うグループ1型のラン藻)のΔ9位
不飽和化酵素の方がAnabaena型及びSynechocystis型の
酵素よりも好ましい。
【0017】すなわち、Synechocystis PCC6803 とAnab
aena variabilisでは、その膜脂質のほとんどがsn-1とs
n-2にそれぞれ炭素数18の脂肪酸(C18)と炭素数16の
脂肪酸(C16)を結合している(Sato,N.et al.,Biochi
m.Biophys.Acta,710:279,1982; Wada,H.et al.,Plant C
ell Physiol.,30:971,1989)のに対して、Anacystisnid
ulansではほとんどがsn-1とsn-2ともにC16を結合して
いる(Bishop,D.G.etal.,Plant Cell Physiol.,27:159
3,1986)。従って、AnabaenaとSynechocystisのΔ9位
不飽和化酵素は主に18:0/16:0-の分子種を基質としてsn
-1の18:0を18:1Δ9に不飽和化する活性を有すると思わ
れる。これに対してAnacystisのΔ9位不飽和化酵素は
主に16:0/16:0-の分子種を基質としてsn-1の16:0を16:1
Δ9に不飽和化する活性を有すると思われる。さらに、
高等植物に多く見られる飽和分子種が16:0/16:0-である
ことから、高等植物の飽和分子種を不飽和化するために
はAnacystis型のΔ9位不飽和化酵素のほうがAnabaena
およびSynechocystis型の酵素より適切である。
【0018】本発明遺伝子は後述する実施例に示すよう
に、実質的に配列番号4に記載されたアミノ酸配列を有
するΔ9位不飽和化酵素をコードするものを含み、縮重
コドンにおいてのみ異なっていて同一のポリペプチドを
コードすることのできる縮重異性体を含むものである。
本発明遺伝子は、主にDNA鎖としての具体的形態を有
する。なお、「実質的に配列番号4に記載されたアミノ
酸配列」とは、配列番号4に記載されたアミノ酸配列に
加えて、Δ9位不飽和化酵素活性を有するかぎり、配列
番号4に記載されたアミノ酸配列の一部に欠失、置換、
付加などがあってもよいアミノ酸配列を含むものであ
る。本発明遺伝子は、上記ラン藻細胞から通常公知の手
法を用いて製造することができる。
【0019】すなわち、ラン藻細胞を培養して集積し、
当該ラン藻細胞からエタノール沈澱法等の通常公知の手
法によりゲノムDNAを調製し、当該ゲノムDNAを基
にした遺伝子ライブラリーを調製し、当該ライブラリー
より所望の遺伝子を含むクローンを選抜し、これを増幅
することで製造することが可能である。ここで用いる遺
伝子ライブラリー作成用ベクターとしては、当該ベクタ
ーとして通常用いられるものを挙げることができる。具
体的には、λDASH II (Stratagene)等のファージ;pWE1
5 (Stratagene)等のコスミド;pBluescript II(Stratag
ene)等のファージミド等を挙げることができる。上記ベ
クターへの具体的な遺伝子導入方法は、それぞれのベク
ターに応じた通常公知の方法を用いることができる。
【0020】このようにして調製した遺伝子ライブラリ
ーから本発明遺伝子が導入されたクローンを選抜する。
当該選抜方法としては通常公知の選抜方法、例えば抗体
によるプラークハイブリダイゼーション法若しくはコロ
ニーハイブリダイゼーション法等の免疫学的方法又はヌ
クレオチドプローブによるプラークハイブリダイゼーシ
ョン法若しくはコロニーハイブリダイゼーション法等を
用いることができる。なお、上記ヌクレオチドプローブ
の選択基準として、本発明遺伝子に類似すると推測され
る塩基配列の一部(例えば、第1図のMSCD2のアミノ酸
配列番号260から295の一部を塩基配列に読みかえたも
の)をプローブとして用いるのが好ましい。
【0021】このようにして選抜したクローンにおける
本発明遺伝子の塩基配列の決定及び確認は、通常公知の
方法を用いて行うことができる。例えば、マキサム−ギ
ルバート法(Maxam-Gilbert,Methods Enzymol.,65:499,
1980)やM13 ファージを用いるジデオキシヌクレオチド
鎖終結法(Messing,J. et al.,Gene,19:269,1982)等によ
り行うことができる。なお、Δ9位不飽和化酵素が実際
に発現しているか否かの確認は例えば、和田らの方法
(J.Bacteriol.,175:6056,1993)に従って行うことがで
きる。
【0022】上記のようにして塩基配列が決定された本
発明遺伝子は、通常公知の手段、例えばホスファイト法
を用いた市販のDNAシンセサイザーで合成することも
可能である。本発明遺伝子又は本発明遺伝子の一部を含
みΔ9位不飽和化活性を有するポリペプチドをコードす
るポリヌクレオチドを上記クローンから分離し、これを
植物体への遺伝子導入用ベクターに組み込み、このベク
ターを植物細胞へ導入し、Δ9位不飽和化酵素を植物体
中で発現させることにより、所望の植物に低温耐性を付
与することができる。なお、上記の遺伝子導入が可能な
植物の種類には特に制限はない。
【0023】ここでいう遺伝子導入用ベクターは、Δ9
位不飽和化酵素遺伝子が植物体中で安定に発現しうるよ
うに構成されることが必要である。具体的には、プロモ
ーター、翻訳調節領域をコードするDNA鎖、葉緑体へ
の転移ペプチドをコードするDNA鎖、本発明遺伝子又
は本発明遺伝子の一部を含みΔ9位不飽和化活性を有す
るポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、翻訳終
止コドンをコードするDNA鎖及びターミネーターが適
切な位置関係で組み込まれていることが必要である。な
お、本発明遺伝子以外の遺伝子導入用ベクターの構成要
素としては通常公知のものを用いることができる。上記
葉緑体への転移ペプチドをコードするDNA鎖として
は、例えばエンドウのリブロース−1,5−二リン酸カ
ルボキシラーゼの小サブユニット遺伝子を当該転移ペプ
チドをコードするDNA鎖として好適に用いることがで
きる。プロモーターとしては、例えばカリフラワーモザ
イクウイルスの35Sプロモーターを、またターミネータ
ーとしては、例えばノパリン合成酵素のターミネーター
を用いることができる。
【0024】植物細胞への遺伝子導入方法としては、通
常公知の方法、例えば「“Plant genetic transformati
on and gene expression; a laboratory manual",Drape
r,J.et al.eds.,Blackwell Scientific Publications,1
988」記載の方法を用いて行うことができる。その例と
しては、生物的方法であるウィルスを用いる方法、アグ
ロバクテリウムを用いる方法など、物理・化学的方法で
あるエレクトロポレーション法、ポリエチレングリコー
ル法、マイクロインジェクションなどが挙げられる。こ
れらのうち、タバコを初めとする双子葉植物に対して
は、安定な形質転換を確実に行える点から、アグロバク
テリウムを用いる方法が好ましい。アグロバクテリウム
を用いる方法には、野生型腫瘍プラスミドを用いる中間
ベクター法(Nature, 287 (1980), p.654; Cell, 32 (19
83) p.1033; EMBO J., 3 (1984) P.1525) 、T−DNA
上の腫瘍形成遺伝子領域を欠損させたベクターを利用す
る中間ベクター法(EMBO J., 2 (1983) P.2143; Bio/Tec
hnology, 3 (1985) p.629)、バイナリーベクター法(Bio
/Technology, 1 (1983) p.262; Nature, 303 (1983)p.1
79; Nucl. Acids Res., 12 (1984) p.8711)などがあ
り、これらのいずれの方法を用いてもよい。アグロバク
テリウムを植物に感染させる方法としては、培養細胞へ
の直接接種法、プロトプラスト共存培養法、リーフディ
スク法等が挙げられるが、直接かつ容易に多数の形質転
換植物体を作成することができるという点から、リーフ
ディスク法を使用することが好ましい。
【0025】さらに、植物体を再分化させるには、MS-
HF培地等の公知の培地に選択用の抗生物質や植物生長ホ
ルモン等を添加した培地で培養すればよい。発根した幼
植物体を土壌に移植して栽培すれば、完全な植物体にま
で成長させることができる。完全な植物体にまで成長さ
せた形質転換植物が低温耐性を有しているか否かについ
ては、以下のようにして検討することができる。低温傷
害を受けない温度(例えば25℃)で検定植物を栽培し
た後、一時的に(例えば一週間)低温下(例えば4℃)
で栽培し、植物への傷害、例えば葉のクロロシスや稔性
の低下を測定すること、あるいは、低温下での生長量を
対照植物と比較することにより検討できる。
【0026】
【実施例】以下実施例をあげて本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例によって限定されるもので
はない。 〔実施例1〕Anabaena variabilisのΔ12位不飽和化酵
素遺伝子(desA)の上流に隣接してあるオープンリーデ
ィングフレームのDNA断片のクローニング Anabaena variabilis IAM M−3(東京大学分子細
胞生物学研究所より分譲)を、約100mlのBG−11培地
(“Plant Molecular Biology",Shaw,C.H.ed.,p.279,IR
L PRESS,1988)で培養した。25℃、1,000luxの蛍光灯下
で毎分120回振とうし、充分菌を生育させた。培養液を
室温で5,000で10分間遠心分離することにより菌体を
沈殿物として回収した。
【0027】ゲノムDNAを調製するため、菌体を50ml
のA液(50mM Tris-HCl,1mM EDTA,pH8.0)に懸濁して洗
浄し、遠心分離することにより菌体を沈殿物として回収
した。次に、15mlのB液(50mM Tris-HCl,20mM EDTA,50
mM NaCl,0.25 M sucrose,pH8.0)に懸濁し、B液で溶解
した40mgのリゾチーム(Sigma)を加え37℃で1時間振
とうした。次にプロテナーゼKを15mgとSDSを終濃度
で1%になるように加え37℃で1晩振とうした。その
後、NaClO4を終濃度で1Mになるように加え、さらに20
mlのクロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)を加
えて10分間振とうした後、遠心分離により水層を回収し
た。クロロホルム/イソアミルアルコール(24: 1)によ
り再抽出した後、水層に50mlのエタノールを加え、ゲノ
ムDNA調製物をガラス棒に巻き付けて回収した。この
DNA調製物を20mlのA液に溶かし、NaClを終濃度で0.
1Mにし、さらにRNaseを終濃度で50mg/mlになるように加
え、37℃で1時間インキュベートした。次に、A液で飽
和した等量のフェノールで2回抽出した後、水層中のゲ
ノムDNAをエタノールを加えることにより沈殿物とし
て回収し、70%エタノールで洗浄後、1mlのA液に溶か
しAnabaena variabilis のゲノムDNA溶液とした。
【0028】坂本らはAnabaena variabilis 由来の膜脂
質に結合した脂肪酸のΔ12位不飽和化酵素遺伝子のクロ
ーニングについて発表(1993年日本植物生理学会年会、
講演要旨集、No.3aF04)した際、Δ12位不飽和化酵素遺
伝子の上流に隣接してオープンリーディングフレーム
(ORF)が存在し、これが不飽和化酵素と何らかの関
係を有する可能性を報告したが、その機能は同定されて
いなかった。本発明者らはそのORFおよび機能に関心
をもち、そのORFのDNA鎖中の3箇所の塩基配列に
着目して、4本のプライマー(配列番号5〜配列番号
8)を合成し、Anabaena variabilisのゲノムDNAを
鋳型としてPCRを行なった。
【0029】上記4本のプライマーのうち、配列番号5
と6に示された塩基配列を有するプライマーがセンス
鎖、配列番号7と8に示された塩基配列を有するプライ
マーがアンチセンス鎖をコードし、配列番号6と7に示
された塩基配列は同一のアミノ酸配列に由来している。
センス鎖およびアンチセンス鎖からそれぞれ任意に1種
類ずつのプライマーを選び、計4種類のプライマーの組
み合わせでPCRを行なった。反応は、100μlの反応液
中にプライマーを各20μM、Anabaena variabilisのゲノ
ムDNAを1μg入れ、GeneAmp PCR Kit(宝酒造)を用
いて行なった。反応の温度制御は、95℃(1分)、45℃
(1分)、72℃(2分)を1サイクルとして35サイクル
行なった。但し、1サイクル目の95℃は3分間とした。
反応終了後、反応液10μlを2%アガロースゲルで電気
泳動して合成されたDNAを分離し分析した。その結
果、配列番号6と8に示された塩基配列を有するプライ
マーの組み合わせで合成されたDNA中に、予想される
大きさ(約190bp)のDNA断片が主要なバンドとして
検出された。このDNA(以下、des 9 var という) 断
片の両末端をKlenowフラグメントで平滑化した後、プラ
スミドpTZ18R(Pharmacia)のSmaI部位にクローニング
し、蛍光DNAシーケンサー(Applied Biosystems)を
用いて塩基配列を決定した。得られた塩基配列を配列番
号1に示す。この塩基配列から推定されるアミノ酸配列
(配列番号2)は、マウスのステアロイル-CoA不飽和化
酵素と有意な相同性を示した〔図1:des 9 var 断片が
コードするアミノ酸配列とマウスのステアロイル−Co
A不飽和化酵素(MSCD2)のアミノ酸配列の比較を
示す〕。
【0030】次に、des 9 var 断片をプローブとして、
Anacystis nidulansのゲノムDNAをサザン分析した。
制限酵素XhoI,PstIおよびBamHIの各々を単独で用い
て約0.1μg のAnacystis nidulansのゲノムDNAを切
断し、0.8%アガロースゲル電気泳動でDNA断片を分
離後、ナイロンメンブレン(Hybond-N+; Amersham)に
ブロッティングした。プローブDNAはMultiprime DNA
labelling Kit(Amersham)を用いて〔α−32P〕dC
TPで標識した。6×SSPE[1×SSPEは10mMリン酸緩衝
液(pH7.0),1mM EDTA,0.15M NaCl],0.2%SDSおよ
び100μg/mlニシン***DNAから成る液中で55℃、16
時間インキュベーションしてプローブDNAとメンブレ
ンを反応させた。その後、メンブレンを2×SSC 〔1×
SSCは0.15M NaCl,15mMクエン酸ナトリウム〕中で室温、
15分を2回、次いで0.1×SSC中で40℃、15分を2回振と
うして洗い、オートラジオグラフィーを行なった。その
結果、いずれの制限酵素で切断した場合も1本のDNA
断片のみが検出された(図2:図中、NonはゲノムD
NAを制限酵素で切断していないことを示す)。
【0031】〔実施例2〕des 9 var 断片と相同性の高
いAnacystis nidulansゲノム中のDNA鎖のクローニン
グ Anacystis nidulans R2-SPc (東京大学分子細胞生物学
研究所より分譲)の培養およびゲノムDNAの調製は、
Anabaena variabilis の場合と同様に行なった。約100
μgのゲノムDNAをSau3AIで部分消化した後、Molecul
ar Cloning 2ndedition,pp.2.85-2.87(Sambrook,J.et a
l.eds.,Cold Spring Harbor Laboratory,1989)の方法
に従って、ショ糖密度勾配下での超遠心分離により約9
から23kbpのDNA断片を回収した。これをBamHIとHin
dIIIで切断したラムダファージベクターλDASH II(Stra
tagene)にクローニングした後、ファージ粒子にパッケ
ージングしAnacystis nidulansのゲノムDNAライブラ
リーを得た。このファージライブラリーを大腸菌P2392
に感染させ、NZYM培地を入れた直径約15cmのシャー
レにまいて総数約10万個のプラークを形成させた後、ナ
イロンメンブレン(Hybond-N+; Amersham)にブロッテ
ィングした。上記のサザン分析と同様に、〔α−32P〕
dCTPで標識したdes 9 var 断片をこのメンブレンと
反応させ、オートラジオグラフィーによって検出した陽
性ファージを再度同様にスクリーニングすることによ
り、シグナル強度の異なる約30個のファージクローンを
得た。この中から任意に12クローンを選び、常法に従っ
てファージDNAを得た。得られたファージDNAを数
種類の制限酵素で切断し、0.8%アガロースゲル電気泳
動で分離後、ナイロンメンブレンにブロッティングし
た。このメンブレンを上記のスクリーニングと同じ条件
でサザン分析し、プローブDNAとハイブリダイズする
DNA断片の長さとそのシグナル強度を比較した。その
結果、λ5とλ15の2クローンが最も強いシグナルを示
し、またインサートDNA断片の長さもそれぞれ11およ
び15kbpであったため目的のORF全体を含むのに十分
と判断し、この2クローンのインサートDNAにつき更
に幾つかの制限酵素で切断してサザン分析を行なった。
その結果XhoIで切断しハイブリダイズすると、2クロー
ンとも約5kbpのDNA断片が検出されたので、これをp
Bluescript SK-(Stratagene)のXhoIサイトにサブクロ
ーニングし、λ5とλ15由来のDNA断片をそれぞれ含
むプラスミドp5Xとp15Xを得た。p5Xとp15Xの
詳細な制限酵素地図を作り比較したところ、ともに同一
のゲノムDNA断片を含むと判断された〔図3:λ5、
λ15およびp15XのインサートDNA断片の相互関係を
示す。網かけした長方形はスクリーニングの過程でプロ
ーブのdes 9 var 断片がハイブリダイズしたDNA断片
を示す。太い矢印はdes 9 nid(後述)の領域とセンス
鎖の方向を示す。細い矢印はdes 9 nid を含む領域のシ
ーケンスの方向を示す。5,1.25および0.5kbpの各バーは
左の各図におけるサイズマーカーを示す。制限酵素の略
号は、B,BamHI;H,HindIII;N,NotI;Hp,HpaI;RI,EcoRI;R
V,EcoRV;S,SalI;P,PstI;X,XhoIを示す〕。
【0032】そこで、制限酵素あるいはExoIIIによるデ
ィリーションプラスミドをp15Xより作成し、des 9 va
r 断片がハイブリダイズする領域を含む約2kbpのDN
A断片の塩基配列を蛍光DNAシーケンサーを用いて決
定した(図3)。その結果そのDNA断片中には834bp
からなるORF(des 9 nid)が存在し(配列番号
3)、278残基のアミノ酸がコードされていると推定さ
れた(配列番号4)。先にクローニングしたAnabaena v
ariabilis 由来のdes 9 var 断片がコードしているアミ
ノ酸配列(配列番号2)との相同性は約80%であった。
さらに、核酸およびアミノ酸配列の解析ソフト(GEN
ETYX;ソフトウエア開発)と核酸およびアミノ酸配
列のデータベース(EMBLおよびDDBJ)を用いて
相同性の高いアミノ酸配列の検索を行なったところ、マ
ウスのステアロイル−CoA不飽和化酵素との相同性が
全体では約30%であるが局所的に非常に高いこと〔図
4:des9 nidとマウスのステアロイル−CoA不飽和化
酵素(MSCD2)のアミノ酸配列の比較〕から、取得
したdes 9 nidは脂肪酸を不飽和化する酵素をコードす
ることが強く示唆された。
【0033】〔実施例3〕 des9nid遺伝子の大腸菌で
の発現による活性測定 Anacystis nidulansは不飽和化酵素として脂質に結合し
た飽和脂肪酸の9位を不飽和化するΔ9位不飽和化酵素
活性しか持たない(Bishop,D.G.et al., PlantCell Phy
siol., 27:1593,1986)ため、des9nidがコードするポ
リペプチドを大腸菌で発現させ活性測定することを試み
た。p15Xから直接発現させることは困難なので、大腸菌
での発現用のベクターを作成した。即ち、ベクターとし
てpET3a(Novagen)用い、そのNdeIとBamHIの間にdes9ni
dをアミノ末端に余計なアミノ酸を付けない用にしてク
ローニングすることを以下のようにして行なった。des
9nidのコードするタンパクのC末端側直後にBamHIサイ
トを入れるために、C末端を鋏む2箇所の塩基配列を使
ってPCR反応を行なった。即ち、 センスプライマー;5'-ACGTCATGGCCTGCAGT(下線はPstI
サイト)(配列番号9) アンチセンスプライマー;5'-CGCGGATCCT TAGTTGTTTGGAG
ACG(1重線はBamHIサイト、2重線はストップコドン)
(配列番号10)
【0034】p15Xを鋳型として上記の2つのプライマー
を用いてPCR反応を行なうと約140bpの産物が得
られ、これをpUC19のSmaI部位にサブクローニングして
塩基配列に間違いのないことを確認した。この結果得ら
れたプラスミドのBamHIの下流にはEcoRI部位が生じた。
これをEcoRIとPstIで順に切断し、一方、p15Xも同じ制
限酵素で切断することにより、ストップコドンの直後に
BamHI部位を導入した。このプラスミドをSalIで切断し
た後、4種のdNTP存在下でDNAポリメラーゼKlenow断片
を用いてFilll in反応を行ない、引き続きHindIIIで切
断した。これに、以下の2種の合成DNAから成るアダプ
ターを導入する事によりアミノ末端側にNdeI部位を導入
した。即ち、 5'-CATATGACCCTTGCTATCCGACCCA(下線はNdeI)(配列番
号11)及び 5'-AGCTTGGGTCGGATAGCAAGGGTC ATATG(1重線はNdeIサイ
ト、2重線はHindIIIの一部)(配列番号12) を等モル量混合しアダプターとした。以上のようにして
出来たプラスミド(pDes9Nde)を、常法(Molecular cl
oning pp.250-251; 1982)に従って調整した大腸菌株BL
21(DE3) (Novagen)のコンピテントセルに導入し、アン
ピシリン耐性による選別により形質転換株BLDES1
を得た。
【0035】BLDES1及びpET3aのみを有するBL21
株(BL1)を100mlのM9培地(200μg/mlのアンピシリ
ン, 4 mg/ml グルコース、10μM FeCl3, 0.5μg/mlビ
タミンB1, 1 mg/mlカザミノ酸を含む)に接種し、37
℃で培養した。培養液の濁度が、波長600nmで0.5O.D.に
なるまで培養を続けた後、イソプロピルチオガラクトシ
ド(IPTG)を最終濃度1mMになるように加えた。更に1時
間培養し、Δ9位不飽和化酵素遺伝子の発現を誘導し
た。回収した大腸菌ペレットを1.2% NaCl で洗った後、
脂質を抽出した。脂質はBlighとDyerの方法(Can J. Bi
ochem. Physiol.,37: 911, 1959)に従って抽出し、2.5
mlの5%塩酸メタノールで完全密封化して85℃2時間
半反応させ脂肪酸をメチル化した。生じた脂肪酸メチル
エステルを2.5 mlのヘキサンで4回抽出し、窒素ガスで
溶媒を除去して濃縮した。脂肪酸メチルエステルの分析
には、ガスクロマトグラフィーを用いた。脂肪酸の同定
は標準脂肪酸メチルとの保持時間を比較して行なった。
定量にはクロマトパックC-R7A plus(島津製作所)を用
いた。結果を次の表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】ここで時間はIPTGによるタンパクの誘導時
間を示す。BLDES1では16:1が増加しているこ
とが明らかである。即ち、本遺伝子は16:0への不飽
和化活性を有することが示された。また、これらの菌株
を0.1 mMのステアリン酸を含むM9培地で培養し、同様に
比較したところ、BL1株に比べBLDES1では1
6:1のみならず、18:1(9)も生成し、des 9 ni
d がコードするポリペプチドは16:0ばかりでなく1
8:0も基質として不飽和脂肪酸を作出することが示さ
れた。
【0038】〔実施例4〕 des9nid遺伝子のタバコ植
物体への導入 Anacystis nidulans由来のdes9nid遺伝子を次のように
してタバコに組み込んだ。 (1)植物発現用ベクタープラスミドの構築 pDes9NdeをSacIとSalIで切断する事により両酵素の切断
部位で挾まれたdes9nid遺伝子断片が得られる。一方、
エンドウのRuBisCO遺伝子を含むクローンpSNIP9(Schre
icherら、EMBO J. 4,25(1985))から葉緑体へのtransit
配列をHindIIIとSphIで切り出し、それと同一の制限酵
素で切断したpUC118にクローニングすることにより、tr
ansit配列の下流にマルチクローニングサイトを有する
プラスミド(pTRA3)を得た。このHindIIIサイトを切断
後Klenow酵素でFill inしXbaIリンカーをいれた(pTRA3
X)。このプラスミドpTRA3XをSal IとSac Iで切断し、
さきに同一の制限酵素で切断する事によって得たdes9n
id遺伝子断片を挿入した(pTRA3Xdes9)。このプラスミ
ドではRuBisCOのtransit配列に引き続き、それと同一の
読み枠でdes9nid遺伝子が翻訳される。これをSac IとX
ba Iで切断して次に述べる植物用のベクターに挿入す
る。植物発現型バイナリープラスミドpBI121(Clonetec
h)を制限酵素SacIとXbaIで切断して得たプラスミドpBI
(-GUS)はβ-Glucuronidase遺伝子(GUS遺伝子)を含ん
でおらず、これにカリフラワーモザイクウイルスの35S
プロモーターとノパリン合成酵素(NOS)ターミネータ
ーの間に前述した導入遺伝子を挿入することにより、植
物への導入用ベクター(pBI121(-GUS)Rbsc-des9)を得
た。
【0039】(2)pBI121(-GUS)Rbsc-des9のアグロバ
クテリウムへの導入 Agrobacterium tumefaciens LBA4404 (Clonetech)を50m
lのYEB培地(1l当たりビーフエキス5g、酵母エキス1
g、ペプトン1g、ショ糖5g、2mM MgSO4(pH7.4))に接
種し、28℃で24時間培養後、培養液を3,000rpm、4℃、
20分の遠心で集菌した。菌体を 10mlの1 mM Hepes-KOH
(pH7.4)で3回洗った後、3 mlの10%グリセロールで1
回洗い、最終的に3mlの10%グリセロールに懸濁してD
NA導入用アグロバクテリウムとした。
【0040】このようにして得た菌液50μl及び前記の
プラスミドpBI121(-GUS)Rbsc-des91μgをキュベットに
入れ、エレクトロポレーション装置(Gene Pulser; Bio
Rad)を用いて 25μF、 2500V、 200Ωの条件で電気パ
ルスをかけ、プラスミドDNAをアグロバクテリウムに
導入した。この菌液をエッペンドルフチューブに移し、
800μlの SOC培地(1 l当たりトリプトン 20 g、酵母
エキス5 g、 NaCl 0.5g、2.5 mM KCl、10 mM MgSO4, 1
0 mM MgCl2, 20 mM グルコース、 pH7.0)を加え、28
℃で 1.5時間静置培養した。この培養液 50μlを、 100
ppmのカナマイシンを含む YEB寒天培地(寒天 1.2%)
上にまき、 28℃で2日間培養した。
【0041】得られたコロニー群からシングルコロニー
を選び、このコロニーからアルカリ法でプラスミドDN
Aを調整した。このプラスミドDNAを適当な制限酵素
で消化後、1%アガロースゲル電気泳動によりDNA断
片を分離し、32Pでラベルしたdes9nid遺伝子断片をプ
ローブとしたサザン分析により、プラスミドpBI121(-GU
S)Rbsc-des9を含んでいることを確認した。このAgrobac
terium tumefaciensをALBBSDESと呼ぶ。
【0042】(3)タバコの形質転換 上記の菌株ALBBSDESを、50ppmのカナマイシンを含むLB
液体培地で28℃、2日振とう培養した。培養液1.5 mlを
10,000rpm、3分間遠心して集菌後、カナマイシンを除
くために1mlのLB培地で洗浄した。更に10,000rpm、3
分間遠心して集菌後、1.5 mlのLB培地に再懸濁し感染用
菌液とした。タバコへの感染に当たっては、若い葉を採
取し、0.5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液に10分間浸せき
後、滅菌水で3回洗い、滅菌済みの濾紙上で水を拭って
感染用の葉とした。この葉を1片が1cm2 になるように
メスで無菌的に切断し、上記のアグロバクテリウムの菌
液上に葉の裏を上にして置き、2分間静かに振とうした
後、滅菌済みの濾紙上に葉を置いて過剰のアグロバクテ
リウムを除いた。シャーレ内のMS-B5培地(ベンジルア
デニン1.0 ppm、ナフタレン酢酸 0.1 ppm、及び寒天 0.
8 %を含む)( Murashige, T. and Skoog, F. Plant Ph
ysiol., 15: 473, (1962))上に、ワットマン No. 1濾
紙(φ 7.0 cm)を置き、この濾紙に裏を上にして葉を
置いた。シャーレをパラフィルムでシールし、 16時間
明、8時間暗の周期で 25℃、2日間培養した。ついで
クラフォラン 250 ppmを含む MS-B5培地上に移し、同様
に 10日間培養してアグロバクテリウムを除去した。更
にクラフォラン 250 ppm及びカナマイシン 100 ppmを含
む MS-B5培地上に置床し、同様に7日間培養した。この
間に葉片の周囲がカルス化し、シュート原基が生じた。
更に 10日間培養後、伸張したシュートをクラフォラン
250 ppm及びカナマイシン 100 ppmを含む MS-HF培地
(ベンジルアデニン及びナフタレン酢酸を含まない MS-
B5培地)に置床した。 10日間培養後、発根したシュー
トをカナマイシン耐性の形質転換体とし、プラントボッ
クス内のクラフォラン 250 ppmを含む MS-HF培地に移植
した。
【0043】〔実施例5〕形質転換タバコのゲノムサザ
ン及びノーザン分析 目的遺伝子の導入を確認するため、カナマイシン耐性の
タバコからDNAを抽出し、サザン及びノーザン分析を
行った。ゲノムDNAの抽出法はCTAB法で成書(Ro
gers, S. O. & Bendich, A. J.; Plant Molecular Biol
ogy Manual A6;1(1988))に従って行なった。即ち、2
gのタバコの葉を液体窒素内で粉砕し、CTAB抽出緩
衝液でゲノムDNAを得た。10μgのDNAを制限酵
素EcoRIとXbaIで切断後0.7%アガロースゲルで電気泳動
し、その後ナイロン膜(Hybond N+; Amersham)に0.4 N
NaOHで転写した。この膜にpTRA3Xdes9からtransit付き
の不飽和化酵素遺伝子をプローブとして、、65℃で1
6時間ハイブリダイゼーションすることにより目的遺伝
子がタバコゲノムに組み込まれていることを確認した。
【0044】また、導入遺伝子の発現を調べるために、
タバコの葉約2gからRNAの分析を行なった。方法は
グアニジウムチオシアン酸による抽出を行ない(Nagy,
F.ら: Plant Molecular Biology Manual B4; 1 (198
8))、poly(A)+RNAをホルムアルデヒド入りのアガロー
スゲルで電気泳動後、ナイロン膜(Hybond N; Amersha
m)に転写し、サザン法と同様のハイブリダイゼーショ
ンにより分析した。様々の量のRNAを発現している個
体があったが、その中から発現量の多い個体について脂
質分析を行なった。
【0045】〔実施例6〕形質転換タバコの脂質の脂肪
酸分析 実施例5でRNAの高発現が確認されたタバコ形質転換
体、及び対照としてpBI121で形質転換したタバコの葉か
ら、以下の方法によりホスファチジルグリセロール(P
G)、スルフォキノボシルジアシルグリセロール(SQ
DG)等の脂質を調整し、その脂肪酸組成を分析した。
なお、一部の個体からは根の脂質も分析した。
【0046】(1)全脂質の抽出 脂質の抽出はBligh-Dyer法(Can J. Biochem. Physio
l., 37: 911, 1959)で行なった。湿重量2gの葉(一
部の根を試料とするときは1g)をメスで細断し、これ
に20 mlのクロロホルム:メタノール(1:2、体積
比)を加え、ホモジナイザーで葉を破砕後、 15分間静
置した。これにクロロホルム 12ml及び蒸留水12ml を加
え激しく混合した後、3000rpm 、4℃、30分間の遠心で
水層と有機層の2層に分け、有機層(下層)を回収し
た。これに適当量のエタノールを加えて、ロータリーエ
バポレーターを用い、30℃減圧下で溶媒を除いた。これ
を2 mlのクロロホルム:メタノール(1:4、体積
比)に溶かし、全脂質抽出物とした。この一部を5%メ
タノール性塩酸を用いて後述の方法により処理すること
で、メチル化脂肪酸を得た。
【0047】(2)脂質の分画 DEAE-Toyopearl 650C(東ソー)の懸濁液2.5mlを1 M酢
酸ナトリウム水溶液 (pH7.0)25 mlと混ぜ酢酸型とし
た。これを、蒸留水、メタノールで順次洗浄し、最後に
メタノールに懸濁して、内径2 cmのカラムに高さ1.5cm
まで詰め、更に50mlのクロロホルム:メタノール(1:
4、体積比)で洗浄した。次に、全脂質抽出物をカラム
にかけ、50 mlのクロロホルム:メタノール(1:4、
体積比)でモノガラクトシルジアシルグリセロール(M
GDG)、ジガラクトシルジアシルグリセロール(DG
DG)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホ
スファチジルコリン(PC)を溶出して、中性脂質(M
GDG、DGDG、PE、PC)画分とした。次に5ml
の酢酸でホスファチジルセリン(PS)を溶出して除
き、20mlのクロロホルム:メタノール(1:4、体積
比)で酢酸を洗浄した後、50 mlのクロロホルム:メタ
ノール:10 M酢酸アンモニウム水溶液(20:80:0.2、体
積比)でPG、SQDG、ホスファチジルイノシトール
(PI)を含む画分を得た。この画分に 15mlのエタノ
ールを加え、減圧下で溶媒を除いた。これを0.2mlのク
ロロホルム:メタノール(2:1、体積比)に溶かし、
酸性脂質(PG、SQDG、PI)画分とした。
【0048】MGDG、DGDG、PE、PC画分は、
ケイ酸カラムクロマトグラフィー(イアトロビーズ、ヤ
トロン社)により、さらに分画した。即ち、クロロホル
ム1mlに溶かした試料をクロロホルムで平衡化したカラ
ムにかけ、クロロホルム:アセトン(4:1)、アセト
ン、メタノールで順に溶出すると、糖脂質(MGDG、
DGDG)はアセトンで、リン脂質(PC、PE)はメ
タノールで溶出された。
【0049】(3)薄層クロマトグラフィー(TLC)に
よるPGの単離精製と脂肪酸分析 (2)で得た画分をシリカゲルーTLCプレート#5721(Me
rck)で分離した。展開溶媒としては、酸性脂質の場合
はクロロホルム:アセトン:メタノール:酢酸:水(5
0:20:10:15:5、体積比)を、中性脂質の場合はクロロホ
ルム:メタノール:水(70:21:3、体積比)を用いた。TLC
で分離後、プリムリン(80%アセトン溶液)を噴霧し
て紫外線光下で蛍光発色させ、標準となる脂質と移動度
を比較することにより各クラスの脂質の画分を推定し、
発色した脂質をシリカゲルごと削り取りネジ栓付試験管
に入れた。この脂肪酸組成を推定する場合には、この試
験管に3 mlのメタノール性5%塩酸を加え、完全密封
下85℃で2時間半反応させ、脂肪酸メチル化した。一
方、snー1、2ごとの脂肪酸組成を決めるために、削
り取ったシリカゲルから5mlのクロロホルム:メタノ
ール(2:1)混液で脂質を回収し、乾固した後、1 ml
の50 mM TrisCl (pH 7.2)及び0.05 % Triton X-100 を
加え、激しく攪拌して脂質を分散させて、クモノスカビ
(Rhizopus delemar)由来のリパーゼ(2500U;ベ
ーリンガー社)を加え37℃で30分間保温することに
より選択的にsnー1位の脂肪酸を分解させた。この反
応産物を濃縮後、TLC(クロロホルム:アセトン:メ
タノール:酢酸:水=10:4:2:3:1)により未
反応の脂質、リゾ体、及び脂肪酸に分離した。これらも
ゲルから回収し前述のようにメタノール性塩酸でメチル
化脂肪酸を得た。生じた脂肪酸メチルエステルを3 ml
のヘキサンで4回抽出し、減圧下で溶媒を除去して濃縮
した。脂肪酸メチルの分析には、ガスクロマトグラフィ
ーを用いた。脂肪酸の同定は標準脂肪酸メチルとの保持
時間を比較して行なった。定量にはクロマトパックC-R7
A plus(島津製作所)を用いた。全脂質の結果を表2、
PGについて表3、その他の代表的な脂質ごとの分析結果
を表4に示す。表は、対照植物体については2個体、形
質転換体については独立した2又は3個体の分析値の平
均値を示している。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】PGに結合した脂肪酸分析の結果から、An
acystis nidulans由来の脂肪酸不飽和化酵素を発現して
いる形質転換タバコでは16:0(パルミチン酸)が大
幅に減り、そのかわりに16:1cisが増えている
事、また、少量在った18:0もほとんど無くなり、逆
に18:1が増えているいることが判明した。その結
果、飽和脂肪酸(16:0+16:1trans+1
8:0(ステアリン酸))含量は、対照のタバコでは7
0%であるのに対し、不飽和化酵素の遺伝子を形質転換
したタバコでは55%と著しく低くなっている。PGの
snー1、2位別の分析結果から、snー2は98%以
上飽和脂肪酸(16:0又は16:1trans)で占
められており、新たに遺伝子導入により生成した16:
1はすべてsnー1にあることが判明した。従って、こ
の不飽和化酵素遺伝子を形質転換したタバコのPGのs
nー1位の飽和脂肪酸は極めて少なくなっていることが
明らかである。従って、snー1、2両位共に、飽和脂
肪酸から成る、所謂、飽和分子種の量も大幅に減少し、
脂質の分子種の組成上著しく低温に耐性な型に変化した
事がわかる。
【0054】一方、その他の脂質のMGDG、DGD
G、SQDG、PC、PE、PIでも、16:0の減少
と、それに呼応した16:1の10%前後の増加が明ら
かであり、また、18:0の不飽和化も進んでいた。こ
のうち、MGDGとDGDGについては16:1の生成
は主としてsn−1位にあったが、sn−2位からも少
量検出された。MGDG、DGDG、SQDG及びPG
は主に葉緑体に存在する脂質であり、ラン藻であるAnac
ystis nidulansの不飽和化酵素を高等植物の葉緑体で発
現させることにより驚くほど不飽和化が進展したことが
わかる。それにも増して、これらの4種の脂質はAnacys
tis nidulansの膜にも存在する物であり、不飽和化の基
質になる可能性は高かったが、それ以外のPC、PE及
びPIはAnacystis nidulansの膜には存在しない脂質で
あり、しかも高等植物では主に葉緑体外に存在する脂質
であることから、それらにおいてもパルミチン酸、及び
ステアリン酸が不飽和化されたのは驚くべきことであ
る。
【0055】このように、形質転換タバコの脂質分析の
結果から、Anacystis nidulans由来の脂肪酸不飽和化酵
素が、高等植物であるタバコの形質転換体において、ほ
とんど総ての脂質の16:0と18:0を極めて効率良
く不飽和化できることを本実施例は証明した。また、根
の全脂質について、脂肪酸分析をした結果を表5に示
す。
【0056】
【表5】
【0057】この結果から、Anacystis nidulans由来の
脂肪酸不飽和化酵素は、驚くべきことに、葉のみならず
根においても16:0と18:0の不飽和化を触媒した
ことがわかる。このことは、本発明の脂肪酸不飽和化酵
素遺伝子が植物の低温耐性を変化させる可能性ばかりで
なく、不飽和脂肪酸含量を増やす可能性を有し、植物を
油の原料とする産業においても有用であることを示す。
【0058】〔実施例7〕形質転換タバコの低温耐性試
験 上記のRNAの発現解析及び脂質分析で有望と思われた
個体については、自殖することにより次世代の種子を採
取した。その一部をカナマイシン 800 ppmを含む MS-HF
培地に蒔き、25℃、16時間明、8時間暗の日長で2
週間栽培後にカナマイシン耐性の実生を選抜した。この
実生をプラントボックスに移植して、更に4週間栽培し
た。また、コントロールとして、pBI121により形質転換
した個体についても、上記の操作を行った。次に、4℃
連続光のもとで11日間低温処理した後、25℃で2日
間栽培した。その結果、コントロール植物(pBI121によ
り形質転換した植物)では葉に対して大幅な萎縮症状及
びクロロシスが観察されたのに対し、形質転換植物では
ほとんど傷害は観察されなかった。従って、不飽和化酵
素遺伝子の導入により低温耐性が向上したと推定され
た。
【0059】
【発明の効果】本発明のΔ9位不飽和化酵素をコードす
る遺伝子を植物に導入することにより、植物に低温耐性
を付与することおよび植物中の不飽和脂肪酸含量を増や
すことが可能となった。
【0060】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> KIRIN BEER KABUSHIKI KAISHA <120> A METHOD FOR CREATING A HIGHER PLANT CELL OR A HIGHER PLANT HAVING IMPROVED CHILLING-RESISTANCE <130> divisional application of P96-0198 <140> <141> <150> JP 05-352858 <151> 1993-12-28 <160> 12 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 196 <212> DNA <213> Anabaena variabilis <400> 1 gctctggggt tgttgctgtt atatctaggc gggtggtctt ttgtggtctg gggagttttc 60 tttcgcatcg tttgggttta ccactgtact tggttggtaa acagcgctac ccataagttt 120 ggctaccgca cctatgatgc tggtgacaga tccactaact gttggtgggt agctgtccta 180 gtgtttggtg aaggtt 196 <210> 2 <211> 65 <212> PRT <213> Anabaena variabilis <400> 2 Ala Leu Gly Leu Leu Leu Leu Tyr Leu Gly Gly Trp Ser Phe Val Val 1 5 10 15 Trp Gly Val Phe Phe Arg Ile Val Trp Val Tyr His Cys Thr Trp Leu 20 25 30 Val Asn Ser Ala Thr His Lys Phe Gly Tyr Arg Thr Tyr Asp Ala Gly 35 40 45 Asp Arg Ser Thr Asn Cys Trp Trp Val Ala Val Leu Val Phe Gly Glu 50 55 60 Gly 65 <210> 3 <211> 837 <212> DNA <213> Anacystis nidulans <400> 3 atgacccttg ctatccgacc caagcttgcc ttcaactggc cgaccgccct gttcatggtc 60 gccattcaca ttggagcact gttagcgttc ctgccggcca actttaactg gcccgctgtg 120 ggcgtgatgg ttgcgctgta ttacattacc ggttgttttg gcatcaccct aggctggcac 180 cggctaattt cgcaccgtag ctttgaagtt cccaaatggc tggaatacgt gctggtgttc 240 tgtggcacct tggccatgca gcacggcccg atcgaatgga tcggtctgca ccgccaccat 300 cacctccact ctgaccaaga tgtcgatcac cacgactcca acaagggttt cctctggagt 360 cacttcctgt ggatgatcta cgaaattccg gcccgtacgg aagtagacaa gttcacgcgc 420 gatatcgctg gcgaccctgt ctatcgcttc tttaacaaat atttcttcgg tgtccaagtc 480 ctactggggg tacttttgta cgcctggggc gaggcttggg ttggcaatgg ctggtctttc 540 gtcgtttggg ggatcttcgc ccgcttggtg gtggtctacc acgtcacttg gctggtgaac 600 agtgctaccc acaagtttgg ctaccgctcc catgagtctg gcgaccagtc caccaactgc 660 tggtgggttg cccttctggc ctttggtgaa ggctggcaca acaaccacca cgcctaccag 720 tactcggcac gtcatggcct gcagtggtgg gaatttgact tgacttggtt gatcatctgc 780 ggcctgaaga aggtgggtct ggctcgcaag atcaaagtgg cgtctccaaa caactaa 837 <210> 4 <211> 278 <212> PRT <213> Anacystis nidulans <400> 4 Met Thr Leu Ala Ile Arg Pro Lys Leu Ala Phe Asn Trp Pro Thr Ala 1 5 10 15 Leu Phe Met Val Ala Ile His Ile Gly Ala Leu Leu Ala Phe Leu Pro 20 25 30 Ala Asn Phe Asn Trp Pro Ala Val Gly Val Met Val Ala Leu Tyr Tyr 35 40 45 Ile Thr Gly Cys Phe Gly Ile Thr Leu Gly Trp His Arg Leu Ile Ser 50 55 60 His Arg Ser Phe Glu Val Pro Lys Trp Leu Glu Tyr Val Leu Val Phe 65 70 75 80 Cys Gly Thr Leu Ala Met Gln His Gly Pro Ile Glu Trp Ile Gly Leu 85 90 95 His Arg His His His Leu His Ser Asp Gln Asp Val Asp His His Asp 100 105 110 Ser Asn Lys Gly Phe Leu Trp Ser His Phe Leu Trp Met Ile Tyr Glu 115 120 125 Ile Pro Ala Arg Thr Glu Val Asp Lys Phe Thr Arg Asp Ile Ala Gly 130 135 140 Asp Pro Val Tyr Arg Phe Phe Asn Lys Tyr Phe Phe Gly Val Gln Val 145 150 155 160 Leu Leu Gly Val Leu Leu Tyr Ala Trp Gly Glu Ala Trp Val Gly Asn 165 170 175 Gly Trp Ser Phe Val Val Trp Gly Ile Phe Ala Arg Leu Val Val Val 180 185 190 Tyr His Val Thr Trp Leu Val Asn Ser Ala Thr His Lys Phe Gly Tyr 195 200 205 Arg Ser His Glu Ser Gly Asp Gln Ser Thr Asn Cys Trp Trp Val Ala 210 215 220 Leu Leu Ala Phe Gly Glu Gly Trp His Asn Asn His His Ala Tyr Gln 225 230 235 240 Tyr Ser Ala Arg His Gly Leu Gln Trp Trp Glu Phe Asp Leu Thr Trp 245 250 255 Leu Ile Ile Cys Gly Leu Lys Lys Val Gly Leu Ala Arg Lys Ile Lys 260 265 270 Val Ala Ser Pro Asn Asn 275 <210> 5 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 5 atgacaattg ctacttca 18 <210> 6 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 6 gctctggggt tgttg 15 <210> 7 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 7 caacaacccc agagc 15 <210> 8 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 8 rtgrtgrttr ttrtgcca 18 <210> 9 <211> 17 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 9 acgtcatggc ctgcagt 17 <210> 10 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 10 cgcggatcct tagttgtttg gagacg 26 <210> 11 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 11 catatgaccc ttgctatccg accca 25 <210> 12 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 12 agcttgggtc ggatagcaag ggtcatatg 29
【0061】
【配列表フリーテキスト】配列番号5〜12は、合成DN
Aのヌクレオチド配列を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、des 9 var 断片がコードするアミノ酸
配列とマウスのステアロイル−CoA不飽和化酵素(M
SCD2)のアミノ酸配列の比較を示す。図中で両者が
同一のアミノ酸の場合は:、性質が類似したアミノ酸の
場合は・を付け比較した。Xは、その間での相同性が高
い範囲を示す。
【図2】図2は、des 9 var 断片をプローブとして、An
acystis nidulansのゲノムDNAをサザン分析したオー
トラジオグラムを示す電気泳動写真である。
【図3】図3は、λ5、λ15およびp15Xのインサート
DNA断片の相互関係を示す。太い矢印はタンパク質を
コードしている部分と方向を、細い矢印はシーケンスを
決定した部位とその方向を示す。
【図4】図4は、des 9 nidとマウスのステアロイル−
CoA不飽和化酵素(MSCD2)のアミノ酸配列の比
較を示す。アミノ酸配列の比較は図1と同様にして行っ
た。
【図5】図5は、植物体レベルでの形質転換タバコに対
する低温処理の影響を示す生物の形態の写真である。左
は不飽和化酵素遺伝子を導入したタバコを低温処理した
結果を、右は対照としてpBI121を導入したタバコを低温
処理した結果を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:91) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01H 1/00 A01H 5/00 BIOSIS(DIALOG) JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂質に結合した脂肪酸のΔ9位を不飽和
    化するAnacystis属由来のΔ9不飽和化酵素をコードす
    る遺伝子を導入することを特徴とする、高等植物細胞の
    作出方法。
  2. 【請求項2】 脂質に結合した脂肪酸のΔ9位を不飽和
    化するAnacystis属由来のΔ9不飽和化酵素をコードす
    る遺伝子を導入することを特徴とする、高等植物の作出
    方法。
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