JP3407289B2 - 電子放出装置およびその駆動方法 - Google Patents

電子放出装置およびその駆動方法

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JP3407289B2
JP3407289B2 JP2001237471A JP2001237471A JP3407289B2 JP 3407289 B2 JP3407289 B2 JP 3407289B2 JP 2001237471 A JP2001237471 A JP 2001237471A JP 2001237471 A JP2001237471 A JP 2001237471A JP 3407289 B2 JP3407289 B2 JP 3407289B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は冷陰極より電界放出され
た電子を制御し得る電子放出装置に関するものであっ
て、さらに詳しくは、入力信号電圧とアノード電流が線
形な関係を有し、電力増幅器やリニア増幅器あるいはス
イッチング回路などに利用され得る電子放出装置および
その駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の電子放出装置には、伊藤順司が応
用物理、第59巻、第2号、pp.164〜169(1
990)に報告したものなどがある。図33は従来の多
極電界電子放出装置の概略平面図である。
【0003】これは平面型三極管素子と呼ばれ、石英基
板101の表面に楔型のエミッター電極(カソード電
極)102と、柱を有するゲート電極103と、アノー
ド電極104を順に横に並べて形成した構造である。こ
れら三つの電極は厚さ1μmのタングステン薄膜をフォ
トエッチング技術で加工し形成したものである。エミッ
ター電極102は10μmピッチで170個並べられて
いる。エミッター電極102とゲート電極103との距
離は15μm、ゲート電極103とアノード電極104
との距離は10μmである。
【0004】この平面型三極管素子の電気特性を5×1
−6Paの真空度で測定したところ、エミッター放出
電流はフォウラー・ノルデハイム(F・N)トンネル電
流であり、ゲート電圧が220V、アノード電圧が31
8Vのとき、約1.2μAのアノード電流が得られる。
これはエミッター電極1個につき約7nAのアノード電
流となる。相互コンダクタンスは約0.1μSである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の平
面型三極管素子は以下に述べるようないくつかの問題点
があった。すなわち、エミッター電極102より放出さ
れた電子はアノード電極104に向かって進行するが、
その途中において正電位に印加されたゲート電極103
が存在するため、放出された電子の一部はこれに流入す
る。このゲート電流はアノード電流と同等以上に大きい
ため、ゲート入力抵抗は非常に小さくなる。すなわち、
アノード電極104に流入する電子の収率(アノード電
流/全放出電流)が低下し、電力効率や相互コンダクタ
ンスが低いといった電気特性の低下を招き、従来技術で
は収率が60%程度であった。ゲート入力抵抗が小さな
三極管素子でアノード電流を制御する場合には、ゲート
電極103に入力信号を導入するための前段回路に大き
な電流や電力の扱えるものが必要となる。このような制
約から従来の三極管素子は電流増幅器や電力スイッチン
グ装置としての利用が困難であった。
【0006】また、エミッター放出電流はF・Nトンネ
ル電流であり、ゲート電圧に対して指数関数的に増減す
る。このためゲート入力信号に対しアノード出力電流は
指数関数的に変化する。このような非線形な入出力関係
を有する三極管素子はリニア増幅器などへの応用には適
さないという問題点があった。
【0007】さらに、三極管素子の相互コンダクタンス
を大きくして性能を高めるためには、ゲート電極103
の構造を工夫してエミッター電極102の放出面積を大
きくする必要があるが、放出面積を大きくするとゲート
電極103へ流入する電子も増大するため、従来技術に
おいては性能の高い電力増幅器が得られにくいといった
問題点があった。
【0008】またカソード電極102とゲート電極10
3は同一のフォトエッチング工程で形成される。これら
の電極間距離はレジスト露光時の解像度で決定され、実
用化レベルでは0.8μmが限界である。しかも微細に
なるほどばらつきが大きい。電界電子放出装置の電子放
出の閾値電圧やその均一性はカソード電極102とゲー
ト電極103の距離に大きく依存する。したがって従来
の平面型三極管素子は閾値電圧の低減化が難しく、低減
できても均一性が悪いという問題点があった。
【0009】さらに、電界電子放出装置の閾値電圧はカ
ソード電極102の先端曲率半径にも大きく依存する。
すなわち先端曲率半径が小さいほど閾値電圧は低くな
り、実用的な閾値電圧を得るためには先端曲率半径は1
000オングストローム以下であることが望ましい。し
かし従来技術においてはフォトレジストのだれによって
2000オングストロームが限界であり、実用的な先端
曲率半径の製造は困難であった。
【0010】そこで本発明は、このような従来技術の問
題点を克服するためのもので、その目的とするところ
は、大きなゲート入力抵抗と、線形な入出力関係を有
し、しかも相互コンダクタンスが大きい高性能な電子放
出装置およびその駆動方法を提供するところにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による電子放出装
置は、電子を放出せしめるカソード電極と、前記カソー
ド電極に電界を印加せしめるゲート電極と、放出電子を
収集せしめるアノード電極と、前記カソード電極と前記
アノード電極の間に設けられ、前記放出電子を制御せし
めるコントロール電極と、前記コントロール電極と前記
アノード電極の間に設けられたスクリーン電極およびサ
プレッサ電極とを少なくも具備し、前記カソード電極お
よびサプレッサ電極を接地し、前記ゲート電極およびス
クリーン電極にゲート電圧を印加する手段と、前記アノ
ード電極にアノード電圧を印加する手段とを備え、前記
コントロール電極に入力信号電圧を印加してアノード電
流を制御するように構成したことを特徴とする。
【0012】また本発明による電子放出装置の駆動方法
は、電子を放出せしめるカソード電極と、前記カソード
電極に電界を印加せしめるゲート電極と、放出電子を収
集せしめるアノード電極と、前記カソード電極と前記ア
ノード電極の間に設けられ、前記放出電子を制御せしめ
るコントロール電極と、前記コントロール電極と前記ア
ノード電極の間に設けられたスクリーン電極およびサプ
レッサ電極とを少なくも具備し、前記カソード電極およ
びサプレッサ電極を接地し、前記ゲート電極およびスク
リーン電極にゲート電圧を印加し、前記アノード電極に
アノード電圧を印加し、前記コントロール電極に入力信
号電圧を印加してアノード電流を制御することを特徴と
する。
【0013】
【0014】
【0015】
【実施例】本発明を実施例に基づき説明する。図1は新
規な四極電界電子放出装置の部分斜視図である。本装置
は石英よりなる平面基板1の表面に、厚さ1000オン
グストロームのモリブデン(Mo)薄膜よりなるゲート
電極5とコントロール電極6を有し、ゲート電極5とコ
ントロール電極6にそれぞれ隣接して厚さ5000オン
グストロームの二酸化シリコン薄膜よりなる島状絶縁層
2を有する。ゲート電極5に隣接した島状絶縁層2の表
面にはオーバーハングした放出突起4をもつ厚さ200
0オングストロームのカソード電極3を有し、コントロ
ール電極6に隣接した島状絶縁層2の表面には厚さ20
00オングストロームのアノード電極7を有する。
【0016】カソード電極3は膜厚が1000オングス
トロームのタングステン(W)薄膜よりなる第一カソー
ド電極3aと膜厚が1000オングストロームのモリブ
デン(Mo)薄膜よりなる第二カソード電極3bが積層
された構造である。アノード電極7はカソード電極3と
同様の薄膜よりなる第一アノード電極7aと第二アノー
ド電極7bが積層された構造である。四個の電極、すな
わちカソード電極3、ゲート電極5、コントロール電極
6およびアノード電極7は平面基板1の表面にこの順序
で配置されている。
【0017】カソード電極3は5μmピッチで一列に配
置された放出突起4を有する。放出突起4は平面基板1
の表面に平行にゲート電極5の方向に突出した構造で、
その先端近傍には島状絶縁層2が存在しない。放出突起
4の平面方向の先端曲率半径は約400オングストロー
ムである。
【0018】ゲート電極5はカソード電極3に自己整合
的に形成されており、放出突起4の垂直下部において放
出突起4に概ね同形状の欠落部分を有する。ゲート電極
5と放出突起4の距離(Lgk)は島状絶縁層2とゲー
ト電極5の膜厚で決まり、それは島状絶縁層2の膜厚か
らゲート電極5の膜厚を引いた値(Lgk=4000オ
ングストローム)である。最近の薄膜の製造方法によれ
ば膜厚の制御性は非常に良好であり、したがって本装置
のLgkは制御性、再現性、均一性に優れているという
特長を有するものである。
【0019】放出突起4の先端近傍におけるゲート電極
5の幅は約2μm、ゲート電極5とコントロール電極6
の距離(スペース)は4μm、コントロール電極6の幅
は8μm、コントロール電極6とアノード電極7の距離
(スペース)は約10μm、アノード電極7の幅は10
0μmである。ゲート電極5の幅が小さいほどゲート電
流は少なく電力効率がよい。またアノード電極7は幅が
大きく面積が大きいほど電子の収率がよい。コントロー
ル電極6の幅は大きいほど相互コンダクタンスが大きく
なりアノード電極の制御性が良好となるが、コントロー
ル電極6に流入する電子量(コントロール電流)も多く
なるためこれらの兼ね合いで決定される。コントロール
電極6の幅はゲート電極5の幅より大きく、アノード電
極7の幅より小さい範囲であることが望ましい。増幅率
(μ=CCG/CAG:CCGはゲート電極5・コント
ロール電極6間容量、CAGはゲート電極5・アノード
電極7間容量)を大きくするにはコントロール電極6の
幅を狭くし、コントロール電極6とアノード電極7のス
ペースを大きくすればよい。
【0020】図2は本実施例の図1に示す4極電界電子
放出装置の製造方法を説明するためのもので、主要な製
造工程が終了した後の概略縦断面図である。図2(A)
は平面基板1の表面に絶縁層8、カソード電極層9、エ
ッチング保護層10を順次積層して形成し、さらに、フ
ォトレジスト11を形成した後の断面図である。平面基
板1は絶縁性の石英基板である。絶縁層8、カソード電
極層9およびエッチング保護層10はスパッタ法で連続
的に堆積したもので、それぞれ、5000オングストロ
ームの二酸化シリコン薄膜、1000オングストローム
のW薄膜および2000オングストロームの二酸化シリ
コン薄膜である。フォトレジスト11はカソード電極3
およびアノード電極7の形状にパターン化してある。
【0021】図2(B)はエッチング保護層10を過剰
エッチング法によって加工しエッチングマスク12を形
成した後の断面図である。過剰エッチング法はHF系エ
ッチング液などを用いたエッチング保護層10を選択的
にエッチングする手段により、フォトレジスト11の形
状で規定される領域よりもさらに多くエッチング保護層
10をエッチング除去することである。フォトレジスト
11の放出突起4に対応する部分の曲率半径よりも大き
くフォトレジスト11の外周より内側へエッチング保護
層10を過剰エッチングすることにより、曲率半径の小
さな放出突起4の形状を有するエッチングマスク12を
得ることができる。本実施例ではフォトレジスト11の
曲率半径が3000オングストロームであるため、50
00オングストロームの過剰エッチングを行い300オ
ングストロームの曲率半径を有するエッチングマスク1
2を得た。
【0022】図2(C)はカソード電極層9をエッチン
グ加工して第一カソード電極3aと第一アノード電極7
aを形成した後の断面図である。フォトレジスト11を
除去した後、鋭い放出突起形状を有するエッチングマス
ク12を利用してカソード電極層9の加工を行った。カ
ソード電極層9の加工にはドライエッチング法を利用
し、ガス流量比CF /O =60/200、RF
パワー700Wにて5分間行った。このときカソード電
極層9は過剰エッチングされ、先端の曲率半径が300
オングストロームの鋭い放出突起形状を有する第一カソ
ード電極3aが得られた。
【0023】図2(D)は絶縁層8を部分的にエッチン
グ除去し島状絶縁層2を形成して、放出突起4を露出さ
せた後の断面図である。第一カソード電極3aと第一ア
ノード電極7aをエッチング用のマスクとして利用し、
HF系エッチング液によって不要な部分の絶縁層8を除
去し島状絶縁層2を形成した。このとき放出突起4は島
状絶縁層2よりオーバーハングして露出した。また、エ
ッチングマスク12は除去され、平面基板1は石英であ
ってほとんどエッチングされなかった。
【0024】図2(E)は方向性粒子堆積法でゲート電
極層13を形成した後の断面図である。方向性粒子堆積
法としてスパッタ法を利用し、厚さ1000オングスト
ロームのMo薄膜を堆積しゲート電極層13を形成し
た。方向性粒子堆積法は粒子源より平面基板1の表面に
概ね垂直に粒子を飛ばし堆積させる方法である。この方
法を用いると、放出突起4のようなオーバーハングした
部分が陰となり、第一カソード電極3aの上に堆積した
Mo薄膜131や第一アノード電極7aの表面に堆積し
たMo薄膜132と平面基板1の表面に堆積したゲート
電極層13は電気的に分断され、また、放出突起4と同
形状の欠落部分が放出突起4の垂直下部に自己整合的
(一方の電極の位置がずれても他方の電極の位置がそれ
に対応して修正された位置に形成される。)に形成され
るのである。このような方向性粒子堆積法として、蒸着
法、スパッタ法、ECR(Electron Cycl
otron Resonance)プラズマ堆積法、ク
ラスターイオンビーム法などが適用できる。
【0025】図2(F)はゲート電極層13及びMo薄
膜131、132をエッチング加工し第二カソード電極
3b、ゲート電極5、コントロール電極6および第二ア
ノード電極7bを形成した後の断面図である。フォトエ
ッチング技術を利用し、放出突起4とゲート電極5の欠
落部分をレジストで覆った後、ドライエッチングでMo
薄膜をエッチング加工した。
【0026】完成した多極電界電子放出装置のカソード
電極3の放出突起4の先端曲率半径は400オングスト
ロームであった。これは第二カソード電極3bの積層に
よって、第一カソード電極3aのものより丸みを帯びた
ことによる。しかし、この丸みによって、放出突起4の
電界集中を受ける面積が広がり、放出量が大きく安定し
た電子放出を得ることが可能となった。なお、第一カソ
ード電極3aと第二カソード電極3bの材料が異なる場
合などは、おもに放出突起4の部分の第一カソード電極
3aもしくは第二カソード電極3bのどちらかをエッチ
ング除去すると、放出突起4が薄くなり膜厚方向の先端
曲率半径が小さくなって、より低閾値な多極電界電子放
出装置が実現できた。
【0027】カソード電極とゲート電極の距離を均一性
よく短くし、しかも放出突起の先端曲率半径を小さくす
れば閾値電圧を低減化できる。以下その製造方法を三極
電界電子放出装置を例にして説明する。
【0028】図3はその製造方法により製造された三極
電界電子放出装置の概略斜視図である。本装置は平面基
板1と、その表面に形成されたシリコン酸化膜よりなる
島状絶縁層202と、その表面にオーバーハングして形
成された放出突起4を具備するカソード電極203と、
放出突起4に自己整合して形成されたゲート電極205
と、平面基板1の表面に設けられたアノード電極7とが
主な構成要素である。また、島状絶縁層202の周囲、
特に、ゲート電極205付近の平面基板1には斜面21
3が設けられている。この斜面213は放出突起4より
放出された電子がゲート電極5に流入する割合を低下さ
せ電界電子放出装置の電力効率を向上させる利点があ
る。
【0029】この電界電子放出装置は5μmピッチで形
成された放出突起4を並列に100個有し、放出突起4
の先端曲率半径は400オングストロームである。カソ
ード電極203とゲート電極205の距離(LGK)は
4000オングストローム、放出突起4の先端でのゲー
ト電極205の幅は2μm、カソード電極203とアノ
ード電極7の距離(LAK)は約10μmである。平面
基板1は#7059ガラス基板(コーニング社製)、島
状絶縁層202は膜厚が5000オングストロームのシ
リコン酸化膜、第一カソード電極203aは膜厚が10
00オングストロームのモリブデン(Mo)薄膜、第二
カソード電極203b、ゲート電極205およびアノー
ド電極7は膜厚が2000オングストロームのタンタル
(Ta)薄膜よりなる。また斜面213の角度は約10
度である。
【0030】図4(A)乃至(F)は図3に示す電界電
子放出装置の製造方法に従う主要な製造工程の終了時に
おける平面基板1の概略縦断面図である。また図5
(A)乃至(C)はそれぞれ図4(B)、(D)および
(E)に対応した平面基板1の概略平面図である。以下
に、本実施例の電界電子放出装置の製造方法を説明す
る。
【0031】まず、平面基板1の表面にエッチングマス
ク層としての絶縁層8とカソード電極層9を積層して形
成し、その後、レジスト層11を形成する(図4
(A))。平面基板1は絶縁性の#7059ガラス基板
である。絶縁層8は常圧CVD法によって形成した膜厚
が5000オングストロームの二酸化シリコン薄膜で、
カソード電極層9はスパッタ法で堆積した膜厚が100
0オングストロームのMo薄膜である。レジスト層11
は概ねカソード電極203の形状にフォトエッチング法
によって形成した。
【0032】つぎに、カソード電極層9をレジスト層1
1の形状に加工し、仮カソード電極91を形成する。
(図4(B)および図5(A))。カソード電極層9の
Mo薄膜はCF ガスを用いたドライエッチング法に
よってエッチング加工した。レジスト先端11aはその
先端曲率半径が約7000オングストロームであり、仮
カソード電極91のそれも同様である。
【0033】つぎに、絶縁層8を過剰エッチング法によ
って加工しエッチングマスク81を形成する(図4
(C))。過剰エッチング法とは等方的エッチング手段
を用いて仮カソード電極91の形状で規定される領域の
内部深くまで絶縁層8をエッチング除去する方法であ
る。等方的エッチング手段によれば、仮カソード電極9
1の外周から内部方向にエッチングが等速度で進行する
ため、凸形状の部分においてはその形状が鋭くなる。従
って、過剰エッチング法は凸形状の部分において先端曲
率半径が小さくできるという特徴がある。
【0034】ここでは等方的エッチング手段としてHF
系エッチング液を用い、絶縁層8の二酸化シリコン薄膜
の過剰エッチングを行った。仮カソード電極91の外周
より約1.5μm内側まで過剰エッチングしたところ、
逆テーパ形状のエッチングマスク81が形成され、その
突起部分の先端曲率半径は約300オングストロームで
あった。仮カソード電極91の先端曲率半径が7000
オングストロームであるのと比較すると約20倍のシャ
ープ化が達成できた。この工程において平面基板1の表
面もエッチングされ、エッチングマスク81の周辺に斜
面213が形成された。絶縁層8のエッチング速度は平
面基板1に比べ約5倍大きく、このため、放出突起4の
下部に形成された斜面213の勾配は約10度であっ
た。
【0035】つぎに、仮カソード電極91をエッチング
マスク81の形状にエッチング加工し、第一カソード電
極203aを形成する(図4(D)および図5
(B))。仮カソード電極91の表面を保護のためのレ
ジスト層11で覆ったまま、裏面よりそれをドライエッ
チングすると、エッチングマスク81と同等の平面形状
を有する第一カソード電極203aが形成された。第一
カソード電極203aの放出突起4の先端曲率半径は約
300オングストロームであった。
【0036】つぎに、エッチングマスク81の側面をエ
ッチング除去して島状絶縁層202を形成し、レジスト
層11を除去する(図4(E)および図5(C))。エ
ッチングマスク81の側面を0.7μmほど除去して第
一カソード電極203aを庇形状に形成し、放出突起4
をオーバーハング状に露出させた。
【0037】最後に、方向性粒子堆積法によってTa薄
膜の電極層をさらに形成した後、それをエッチング加工
して第二カソード電極203b、ゲート電極205およ
びアノード電極7を形成する(図4(F))。方向性粒
子堆積法にスパッタ法を利用し厚さ2000オングスト
ロームのTa薄膜よりなるゲート電極205を形成し
た。方向性粒子堆積法を用いると放出突起4のようなオ
ーバーハングした部分が陰となり、第一カソード電極2
03aの表面に堆積した第二カソード電極203bと平
面基板1の表面い堆積したゲート電極205の層は電気
的に分断され、また、放出突起4と同形状の欠落部分が
放出突起4の垂直下部に自己整合的に形成される。この
ような方向性粒子堆積法としてスパッタ法、蒸着法、E
CR(Electron Cyclotron Res
onance)プラズマ堆積法、クラスタイオンビーム
法などが適用できる。
【0038】Ta薄膜の電極層はドライエッチング法で
加工し、ゲート電極205およびアノード電極7を形成
した。このとき欠落部分が侵食されないようにフォトレ
ジストで覆うことが重要である。カソード電極203は
第一カソード電極203aと第二カソード電極203b
の積層構造であって、その先端曲率半径は約400オン
グストロームであった。なお、第一カソード電極203
aと第二カソード電極203bの材料が異なる場合など
は、放出突起4の部分でどちらかの電極を除去し、残り
を電子放出の電極として利用してもよい。このように放
出突起4を薄くすると膜厚方向の先端曲率半径が小さく
なり、より低閾値化が達成できる。
【0039】このように製造された電界電子放出装置の
電気特性を高真空中で測定した。カソード電極205を
接地してアノードカソード電圧Vak=200Vと一定
としたとき、ゲートカソード電圧Vgk=60Vでカソ
ード電流I =4×10 A、100Vで6×10
−5Aが得られた。また、カソード電極203とゲート
電極205の間の寄生容量は10fF程度であった。
【0040】本実施例ではカソード電極203などの電
極材料にMo薄膜とTa薄膜を利用したが、本発明はこ
れに限るものでなく、この他にタングステン、シリコ
ン、クロム、アルミニウムなどの金属やこれらを成分に
含む合金などが利用できる。また、平面基板1としてシ
リコン基板などの導電性基板の表面に絶縁体を設けた絶
縁性基板や、アルミナ基板など熱伝導性の良好なセラミ
ック基板などを利用してもよい。さらに、絶縁層8もし
くはエッチングマクス81は二酸化シリコン薄膜に限る
ものでなく、窒化シリコン薄膜やアルミナ薄膜なども利
用できる。
【0041】電子放出の閾値電圧を低減するために放出
突起4にバリウム、トリウム、セシウムなどの仕事関数
の小さな材料をコーティングしてもよく、またこのよう
な材料でカソード電極203を形成してもよい。
【0042】電子放出の雑音を低減するために、放出突
起4の数を充分に多く設け、これらを同時に駆動して一
斉に電子放出を行うことでS/N比を大きくすることが
できる。なお、電子放出は放出突起4の先端の一点のみ
でなく、先端の脇に作製された複数の補助突起から発生
しても同じ効果である。また、セルフバイアス抵抗や非
線形抵抗をカソード電極に直列接続すると、過電流を防
止したり、雑音を低減できる。
【0043】また、アノード電極7の表面に蛍光体を形
成して発光型ディスプレイを構成することや、銅薄膜な
どX線を発生する材料を形成して、電子線でこれを励起
することにより微細X線源を構成することができる。上
記製造方法は当然のことながら図1に示す四極電界電子
放出装置においても同様に利用できるものである。
【0044】以上説明したように本発明の電界電子装置
の製造方法は下記に列記するような格別なる効果を奏す
る。 (1)カソード電極層もしくはカソード電極層の表面に
形成したエッチングマスク層を過剰エッチングしカソー
ド電極を製造する方法に比べ、先端曲率半径のより小さ
な放出突起が製造できる。これは平面基板1の表面に形
成したエッチングマスクのエッチング特性が非常に等方
的で、しかも湿式エッチング法などのエッチング速度の
大きなエッチング手段を利用できるためである。Moな
どは湿式エッチングが難しいため、そのものの過剰エッ
チング法による放出突起4の形成は困難である。 (2)Lgkは島状絶縁層とゲート電極の膜厚によって
概ね決定される。膜厚の制御性はLSI技術の発展によ
って優れており、均一性がよく電子放出の閾値電圧の低
い電界電子放出装置が実現される。従来の技術ではL
gkは0.8μmが限界であったが、本発明により0.
1μm以下のものが作製できる。 (3)過剰エッチング法によって放出突起4の先端曲率
半径を小さくし低閾値化が達成できた。従来技術では先
端曲率半径は2000オングストローム程度が限界であ
ったが、本発明により400オングストローム以下が可
能となった。 (4)過剰エッチング法は放出突起4のような凸部は曲
率半径のより小さな鋭い凸部となり、反対に凹部はより
なめらかな凹部になるという特長がある。このような性
質を利用してカソード電極の凸部と凹部を使い分け、不
慮の電子放出や電極間の短絡を防止できる。 (5)カソード電極に対してゲート電極を自己整合的に
形成することができ、電極間の寄生容量が小さくなり高
速動作が可能となる。特に比抵抗の小さな第一カソード
電極を設けて配線抵抗を小さくし、配線遅延のより小さ
な高速デバイスの製造に適している。
【0045】図6(A)は上記の新規な四極電界電子放
出装置を利用した平面型四極真空管の概略平面図、同図
(B)はそのA−A線に沿った概略断面図である。
【0046】平面型四極真空管は前述した四極電界電子
放出装置を有する平面基板1と対向基板14を概ね平行
に配置し、その周辺に狭持体17を設け、平面基板1、
対向基板14および狭持体17で囲まれた真空層23の
内部に四極電界電子放出装置を封入した構造である。対
向基板14は石英基板よりなり、真空層23に面した表
面に帯電防止のための導電性薄膜15をもち、また真空
層23を真空排気して封止した封止口16をもつ。封止
口16はCr/Au薄膜が形成された開口内部にAu・
Sn合金を溶かして穴埋めしたものである。ゲッタ材料
18は対向基板14の表面に予め形成されたAl・Ba
合金薄膜よりなり、真空層23の完成後にレーザで加熱
され真空層23の壁面に蒸着されてゲッタ効果が蘇生さ
れている。狭持体17は低溶融ガラス粉末に直径100
μmのグラスファイバを混合して焼成したもので、それ
ぞれの基板と気密性よく接着され、真空層23のギャッ
プを100μmに維持している。
【0047】四極電界電子放出装置の各電極の外部取り
出し端子、すなわち、カソード端子19、ゲート端子2
0、コントロール端子21およびアノード端子22は狭
持体17と平面基板1の間より金属薄膜によって真空層
23の外部に導出されている。この平面型四極真空管の
大きさは横7mm、縦4mm、厚さ2.2mmであっ
て、従来の熱電子放出型の真空管に比べて体積で1/1
000以下と非常に小さい。真空層23の真空度は1×
10−7Torr以下である。なお、アノード電極7は
平面基板1の表面に形成されているが、本発明はこれに
限るものでなく、例えば対向基板の表面に形成されてい
てもよい。また、このときコントロール電極6は放出突
起4とアノード電極7の中間に位置するように真空層2
3の内部に配置されていてもよい。
【0048】上記四極電界電子放出装置の電気放出特性
を図7〜図9に示す。図7は四極電界電子放出装置をも
ちいたカソード電極接地型の電圧増幅器の電気接続図で
ある。前述した四極真空管を図7の中央に示すシンボル
マーク30で表現することとする。これはカソード電極
3、ゲート電極5、コントロール電極6およびアノード
電極7を真空層23の内部に封入したことを意味する。
【0049】四極電界電子放出装置を利用した電圧増幅
器の駆動方法はつぎの通りである。すなわち、カソード
電極3を接地して、ゲート電極5に正電位のゲート電圧
26(VGK)を印加し、アノード電極7に負荷抵抗2
8(R )を通して正電位のアノード電圧27(V
AK)を印加し、コントロール電極6にコントロールバ
イアス電圧25(VCK)とこれに直列接続された入力
信号電圧24(Vin)を印加すると、アノード電極7
と負荷抵抗28の接続部分より入力信号電圧24に比例
した出力信号電圧29(Vout )が得られる。
【0050】図8は前述の四極電界電子放出装置の電子
放出特性を示すグラフである。これは図7の電気接続図
において入力信号電圧24とコントロールバイアス電圧
25を0V、アノード電極27をVAK=400Vとし
て四極電界電子放出装置のゲート電圧26に対するゲー
ト電流32(I )およびアノード電流31(I
の依存性を測定した結果である。ゲート電圧26に対し
てゲート電流32およびアノード電流31は指数関数的
に増加し、放出電流がF・Nトンネル電流であることを
示している。アノード電流31はゲート電流32に対し
て約2桁小さい。ゲート電圧26でアノード電流31を
制御する従来の駆動方法では、I>I であるため
に電力変換効率が悪く、また伝達特性も指数関数になる
ためにリニア増幅器などには利用しにくい。そこで、ア
ノード電流31をコントロール電極6に印加する電圧で
制御するに至った。
【0051】図9は前述の四極電界電子放出装置の入出
力静特性を示すグラフである。これは図7の電気接続図
においてゲート電圧26をVGK=140V、入力信号
電圧24を0V、アノード電極27をVAK=400V
として四極電界電子放出装置のコントロールバイアス電
圧25に対するコントロール電流33(I )とアノ
ード電流34の依存性を測定した結果である。VCK
0Vの範囲でアノード電流34は指数関数的(非線形)
に変化するものの、VCK>0Vの範囲ではアノード電
流34は直線的(線形)に変化する。すなわち、VCK
>0Vの範囲でコントロール電極6に印加する電圧にア
ノード電流34は比例するため、リニア増幅器として利
用できる。このときコントロール電流33はアノード電
流34に比べ1%以下であって、入出力の電力変換効率
が良好な電界効果型の電圧増幅器となる。
【0052】このようなコントロール電極6の電界効果
によるアノード電流34の制御機構は従来の熱電子放出
型真空管のグリッド電極のそれに類似している。すなわ
ち、コントロール電極6の電位によってコントロール電
極6とカソード電極3の中間に形成される電界(電位勾
配)によりアノード電流34が制御される機構である。
コントロール電極6に負の電圧が印加され放出突起4の
近傍に負の電界が形成されると、アノード電極7に向か
う放出電子に斥力が印加され、アノード電極7に到達で
きる電子量は制限される。
【0053】カソード電極から飛び出した電子は、初速
度を持っているためアノード電極方向へとんでいくが、
途中に負電位のコントロール電極が存在すると、この負
電位の電位勾配によって減速され、一部の電子はカソー
ド電極方向に戻る。こうして電子がカソード電極とコン
トロール電極との間に滞在し電子雲(空間電荷制限領
域)を形成する。アノード電極へ流れることができる電
子は統計的にコントロール電位よりエネルギーの高いも
のに限られる。このような空間電荷制限領域における電
子の伝導は、雑音電流が非常に小さくなることが知られ
ている。空間電荷のゆらぎは、カソード電極からの放出
電流のゆらぎ(雑音電流)に比べて小さく、特にエネル
ギーの小さな電子のゆらぎはほとんど無視でき、エネル
ギーの大きな電子の一部のみがアノード電流の雑音の原
因となるのみであるからである。従来の三極電界電子放
出装置は、上記の空間電荷制限領域を有せず、カソード
電極から放出された電子はほとんどアノード電極に到達
する(放射制限領域での電子の伝導)ので放出電流の雑
音がそのままアノード電流の雑音となってあらわれる。
【0054】一方、コントロール電極6に正の電圧を印
加していくと、放出電子への斥力は弱まりアノード電流
34が増加する。ところで、正電位のゲート電極5は従
来の五極真空管の空間電荷グリッド電極と同様の役割を
果たし、カソード電極3の付近に空間電荷が滞留するの
を防止している。なお、本発明においてはアノード電極
7の二次電子の影響を防止するために後記のとおりアノ
ード電極7とコントロール電極6との中間に抑制電極を
追加して形成してもよい。
【0055】コントロールバイアス電圧25の設定によ
り線形領域と非線形領域の使い分けができる。線形領域
の動作は電圧増幅器などのリニア増幅機能として都合が
よく、非線形領域の動作はスイッチング機能などに都合
がよい。またゲート電圧26を小さくすると、直線領域
と非線形領域の境界を与えるコントロールバイアス電圧
25が低電圧側にシフトするため、ゲート電圧26を任
意に設定することでコントロールバイアス電圧25の設
定電圧を自由に選択できるなどの特長がある。しかし、
前述の四極電界電子放出装置においては、図8に示すよ
うに、ゲート電流がアノード電流より著しく多く、ゲー
ト電極に流れる無効電流の存在は非効率的である。
【0056】図10は本実施例の多極電界電子放出装置
のアノード静特性を示すグラフである。図7の電気接続
図におけるゲート電圧26をVGK=140Vとし、入
力信号24を0Vとして、コントロールバイアス電圧2
5をVCK=20、40、60、80Vと変化させたと
きのVAK−IAK静特性を測定した結果である。図1
0よりわかるように本実施例の多極電界電子放出装置
は、VAK>150Vの範囲でIAKはほぼ一定にな
り、またIAKはVGKに比例して増加するという、従
来の熱電子放出型の五極真空管に類似したアノード静特
性を有する。この特性はアノード抵抗が非常に大きく、
しかも入出力が比例関係にあるため、リニア増幅器など
への応用に最適なものである。
【0057】図7における負荷抵抗28をR =5G
Ωとすると、図10のアノード電極静特性のグラフに負
荷直線36が引ける。このような回路によって増幅器と
しての基本機能を確認した。すなわち、コントロールバ
イアス電圧25をVAK=40Vとし、20Vの正弦波
(vin=20sin(ωt)V)を入力信号24とし
て印加したところ、出力信号29として50Vの正弦波
(vout =−50sin(ωt)V)が得られ、電
圧増幅率が2.5倍という増幅機能を確認した。周波数
ωを大きくしていき、増幅器としての周波数特性を測定
したところ、カットオフ周波数ω は100MHz以
上であった。
【0058】図11はコントロール電圧25(VCK
に対するゲート電極I 、アノード電流I および
コントロール電流I の関係を示す。ゲート電流I
はほぼ一定である。コントロール電流I はVCK
<VGKのときI <0である。負電流の原因として
真空中のイオン電流と基板の表面リーク電流が考えられ
るが、電流が安定であることからゲート電極との間の表
面リーク電流であろう。アノード電流I はコントロ
ール電圧VCKに対して単調増加する。特にコントロー
ル電圧が大きいとき、アノード電流はこれにほぼ比例し
て増加する。すなわち伝達特性に線形領域が認められ
た。なお、VCKに対して放射電流はほぼ一定であり放
射電流がゲート電圧で定まり他の電極電位に影響されな
いことがわかった。
【0059】図12はコントロール電圧VCKをパラメ
ータとしたアノード特性である。アノード電流I
アノード電圧VAKとコントロール電圧VCKの双方に
依存して増加し、次式に従う。
【0060】I =K(VCK+aVAK ここでK、aおよびnは定数である。この特性は空間電
荷制限領域における熱電子放射型三極真空管の特性と同
様である。増幅率μ(=1/a)および相互コンダクタ
ンスg (=dI /dICK)を同図より見積も
るとVAK=300V、VCK=150Vのときそれぞ
れ1および2.6E−10Sである。またn値は約1.
3であった。VCK>VGKのときアノード電流の一部
がコントロール電流に流入する傾向がある。
【0061】図12の特性においてはg およびμが
非常に小さい。実用的には1mS以上および100以上
がそれぞれ要求される。それぞれについて改善方法はい
くつかあるが、特にg については放射電流を増やす
ことが効果的である。
【0062】なお、電圧増幅率、相互コンダクタンスお
よび周波数特性をより高めるためにはカソード電極3の
放出突起4の数を増やし放出電流を大きくするか、もし
くはゲート電極3の構造を工夫し無効なゲート電極を減
らしてアノード電流を増加させることが必要である。本
実施例では放出突起4は6個であるが、これを例えば1
万倍にして放出電流を1万倍とすると、電圧増幅率、相
互コンダクタンスは約1万倍になり、周波数特性は約1
00倍に改善できた。無効なゲート電流を減らすために
は、ゲート電極5の幅をより小さくした構造や、放出突
起4の突出方向に開き角をもった斜面にゲート電極5を
形成した構造として、放出電子がゲート電極5に衝突す
る確率を小さくすればよい。
【0063】本実施例では電気接続法としてカソード電
極3を接地したが、本発明はこれに限るものではなく、
例えばゲート電極5を接地した電気接続法であってもか
まわない。図13は本実施例の多極電界電子放出装置を
ゲート電極接地型の電圧増幅器に利用した電気接続図で
ある。ゲート電極5を接地して、カソード電極3に負電
圧のカソード電圧37を印加したものである。この電気
接続法によれば、図7に示したものと違い、放出電流の
値によって直線領域と非線形領域の境界が変動しないた
め使いやすい増幅器である。
【0064】放射電流が大きい場合、雑音の少ない放出
電流を得るため、図14に示すようにカソード電極とア
ノード電極間にセルフバイアス抵抗RSBを入れる駆動
方法が考えられる。図15はこのアノード特性である。
放出電流の安定化のため2MΩのセルフバイアス抵抗R
SBをカソード電極に直列に挿入した。VKG=−27
0Vのとき放射電流は約10μAであった。このグラフ
よりg =10nS、μ=1.5が得られた。
【0065】表1に特性をまとめた。四極デバイスのう
ちAは図12に対応し、Bは図15に対応するものであ
る。
【0066】
【表1】
【0067】図16は上記四極電界電子放出装置にスク
リーン電極Sを加えた五極電界電子放出装置の回路図で
あり、図17はそのアノード特性を示す図である。カソ
ード電極の突起数は10000個、VKG=−140
V、カソード電極電流I =20mA、VSG=10
0V、R =1KΩの条件にて測定したものである。
図17においてR =80KΩの負荷を挿入すれば
(破線で示す。)、増幅率は4倍である。このときの動
作点はV =−40Vとなる。この五極を有する装置
は、アノード電圧が変動してもスクリーン電極の存在に
よりコントロール電極近傍の電界が変動しないため、ア
ノード電流は不変となる特性を有する。すなわちアノー
ド抵抗γa γa=ΔV /ΔI が増大する。
【0068】次の実施例では平面型の六極電界電子放出
装置の構造と製造方法について述べる。図18(A)、
(B)および(C)はそれぞれ平面型の六極電界電子放
出装置の概略平面図、B−B線に沿った概略縦断面図お
よびC−C線に沿った概略縦断面図である。本装置は四
極電界電子放出装置のコントロール電極6とアノード電
極7の中間にスクリーン電極50とサプレッサ電極53
を設けた構造である。また、コントロール電極6および
スクリーン電極50はそれぞれの電極上に形成された柱
状コントロール電極64および柱状スクリーン電極65
をそれぞれ具備する。それらの柱状電極はカソード電極
3の表面で規定される平面を串刺しするように形成され
ており、その高さは少なくも島状絶縁層2の膜厚より大
きい。
【0069】柱状コントロール電極64は直径3μm、
高さ5μmの円柱形状で、放出突起4から約10μm離
れた位置において二つの放出突起4の中間に配置される
ように10μmピッチで設けられている。柱状スクリー
ン電極65は幅5μm、厚さ3μm、高さ5μmの平板
形状で、個々の柱状コントロール電極64にそれぞれ1
0μmの距離をおいて一つずつ設けられている。サプレ
ッサ電極53は5μmの幅でアノード電極7とスクリー
ン電極50の中間に設けられ、スクリーン電極50との
距離は約20μm、アノード電極7との距離は約50μ
mである。
【0070】カソード電極3は5μmピッチで形成され
た8個の放出突起4を有する。島状絶縁層2の厚さは5
000オングストロームである。ゲート電極5はカソー
ド電極3に自己整合的に形成されており、放出突起4と
のきょりは3000オングストロームであり、その先端
近傍における幅は約2μmである。また、コントロール
電極6との距離は4μmである。
【0071】ゲート電極5の電界によってカソード電極
3より放出された電子はコントロール電極6の電界によ
って制御され、アノード電極7に到達できる電子量が制
限される。スクリーン電極50は一定電位に保持され、
アノード電極7の電界によるコントロール電極6の電界
のゆらぎを防止する。サプレッサ電極53はアノード電
極7より発生する二次電子がコントロール電極6の方向
へ戻るのを防止する。図19は本実施例の六極電界電子
放出装置の製造方法を説明するためのもので、主要な製
造工程が終了した後の概略縦断面図である。以下に製造
方法を説明する。
【0072】まず、平面基板1の表面に絶縁層8、カソ
ード電極層9を順次積層して形成し、さらに、フォトレ
ジスト11を形成する(図19(A))。平面基板1は
アルミナ基板よりなる。アルミナ基板のようなセラミッ
ク基板は絶縁性で、しかも熱伝導率が大きいため、大電
力を扱う電界電子放出装置用の基板として優れている。
このほかに半絶縁性GaAs基板、ダイアモンド基板の
ような結晶性基板を用いてもよい。絶縁層8は膜厚50
00オングストロームの二酸化シリコン薄膜、カソード
電極層9は膜厚1000オングストロームのタンタル
(Ta)薄膜よりなる。フォトレジスト11はカソード
電極3の形成のために用いる。
【0073】つぎに、カソード電極層9を過剰エッチン
グ法で加工し、第一カソード電極3aを形成する(図1
9(B))。過剰エッチング法としてドライエッチング
法を利用した。CF /O ガス=120/10
0、RFパワー700Wにて25分間のエッチング法を
行ったところ、カソード電極層9は1μmほど過剰エッ
チングされ、先端曲率半径が300オングストロームの
放出突起4が形成された。
【0074】つぎに、絶縁層8を部分的にエッチング除
去して島状絶縁層2を形成し、またフォトレジスト11
を除去する(図19(C))。島状絶縁層2の形成方法
は前記の実施例で述べた方法と同様である。
【0075】つぎに、柱形成層56を形成する(図17
(D))。柱形成層56は塗布法によって形成した膜厚
5μmの感光性ポリイミド樹脂よりなる。感光性ポリイ
ミド樹脂は、例えば、ネガタイプのPI−410(宇部
興産(株)製造)などが利用できる。なお、柱形成層5
6の材料としてこのような有機材料のほかに無機材料も
利用できることは明白である。
【0076】つぎに、柱形成層56をフォトエッチング
加工し、コントロール電極柱64とスクリーン電極柱6
5を形成する(図19(E))。柱形成層56が感光性
材料のときはフォトエッチング法で加工でき、これ以外
の有機材料や無機材料のときはRIE(Reactiv
e Ion Etching)法などの異方性エッチン
グ法が適する。
【0077】つぎに、方向性粒子堆積法でゲート電極層
133を形成する(図19(F))。方向性粒子堆積法
としてスパッタ法を利用し、膜厚が2000オングスト
ロームのTa薄膜よりなるゲート電極層133を形成し
た。ゲート電極層133はコントロール電極柱64とス
クリーン電極柱65を被覆するようにそれらの側面部分
にも堆積した。
【0078】最後に、ゲート電極層133をエッチング
加工し第二カソード電極3b、ゲート電極5、コントロ
ール電極6、柱状コントロール電極64、スクリーン電
極50、柱状スクリーン電極65、サプレッサ電極53
およびアノード電極7を形成する(図19(G))。
【0079】なおコントロール電極柱64とスクリーン
電極柱65が有機材料の場合には、これらを除去してし
まうと高真空状態が維持できる。これらの除去方法を説
明する。まず、平面基板1の表面にレジストを塗布す
る。このとき、柱状コントロール電極64と柱状スクリ
ーン電極65の先端部においてレジストの膜厚が他より
薄くなる。つぎに、ドライエッチング法によってレジス
トを灰化していくと柱状電極の先端部のゲート電極層1
33が現れる。このゲート電極層133もエッチング除
去すると、その開口部よりそれぞれの電極柱の先端部が
現れる。最後に、これらの電極柱を溶剤などで除去す
る。このようにして製造された柱状電極はその内部に脱
ガス源となる有機材料がなく空洞であるため、加熱排気
などによって高真空状態が生成、維持できる。
【0080】図20は本実施例の六極電界電子放出装置
を利用した六極真空管の概略斜視図である。これは六極
電界電子放出装置をメタル缶で真空パッケージしたもの
である。すなわち、六極電界電子放出装置の形成された
平面基板111をハーメチックシール160に固定し、
それぞれの電極とハーメチック端子161をワイヤ16
2で接続し、真空中でハーメチックシール160とキャ
ップ163を封着して真空層164を形成したものであ
る。高真空の維持のためにキャップ163の内部壁面な
どにゲッタ材料165を形成し蘇生してある。
【0081】図21は上記の六極電界電子放出装置を用
いたカソード電極接地型の電圧増幅器の電気接続図であ
る。図18に示した六極真空管を図21の中央に示すシ
ンボルマーク66で表現する。これはカソード電極3、
ゲート電極5、コントロール電極6、スクリーン電極5
0、サプレッサ電極53およびアノード電極7を真空層
164の内部に封入したことを意味する。カソード電極
3とサプレッサ電極53を接地し、ゲート電極5に正電
位のゲート電圧26を印加し、コントロール電極6にコ
ントロールバイアス電圧25とこれに直列接続された入
力信号電圧24を印加し、アノード電極7に負荷抵抗2
8を介してアノード電圧27を印加する。スクリーン電
極50には任意の正電位を印加できるが、電源数、配線
数の簡略化のためにゲート電極5と同電位(VGK)と
した。カソード電極5とサプレッサ電極53、およびゲ
ート電極5とスクリーン電極50の接続は平面基板1の
表面もしくは真空層164の内部で行うことも可能であ
る。以上の電気接続法により六極でありながらすでに記
述した四極真空管と端子数および電源数は同数となる。
【0082】つぎに六極電界電子放出装置の駆動方法に
ついて述べる。まずゲート電極5に一定のゲート電圧2
6を印加すると、カソード電極3より一定量の電子が放
出される。この放出電子量はゲート電圧26を変えない
限り常に一定である。この状態でアノード電圧27を一
定として、コントロール電極6に直流バイアスされた入
力信号電圧24を印加すると、アノード電流がこれに比
例して制御され、負荷抵抗28で増幅された出力信号電
圧29が得られる。コントロール電極6の電子に対する
電界効果はすでに開示の実施例で記述したものと同様の
効果である。スクリーン電極50はアノード電極7の電
圧変動によるコントロール電極6の近傍の電界変動を防
止し、アノード抵抗と周波数特性を向上させる役割を持
つ。サプレッサ電極53はアノード電極7より発生する
二次電子がコントロール電極50の方向に流れるのを防
止する。
【0083】VAK=300V、VGK=160V、V
GK=60V、R =1GΩにて六極電界電子放出装
置を駆動したところ、電圧増幅率μ=8が得られた。こ
のとき相互コンダクタンスg =2×10−9Sであ
った。また、周波数特性は前記の実施例に記述した四極
電界電子放出装置に比べ約2倍の改善がみられた。これ
はスクリーン電極50によるアノード電界の遮蔽効果に
よるものと考えられる。
【0084】図22は六極電界電子放出装置の他の電気
接続図を示すものであり、図23はそのアノード特性を
示す図である。カソード電極の突起数は10000個、
=−140V、カソード電極電流I =20m
A、VSG=100V、R=1KΩの条件で測定した
ものである。図23を図17と比較すれば明らかなよう
にサプレッサ電極の存在によりアノード抵抗がさらに増
加し、VAGが小さい領域でも飽和特性を示す。γ
=8MΩとなる。
【0085】本発明は上記のような平面型装置に適用さ
れるだけでなく、縦型装置にも適用されうる。本実施例
ではこの一例として、シリコン単結晶基板の表面に形成
された縦型の四極電界電子放出装置について説明する。
【0086】図24は本実施例の縦型の四極電界電子放
出装置の概略的な部分縦断面図である。この装置は(1
00)面を有するn型シリコン単結晶基板よりなる導電
性の平面基板40と、平面基板40の表面に設けられ、
その表面に垂直な方向に突出した錘形状を有するカソー
ド電極41と、平面基板40の表面に設けられ、カソー
ド電極41の周囲で開口した第一絶縁層42と、第一絶
縁層42の表面に設けられ、カソード電極41の周囲で
開口したゲート電極43と、ゲート電極43の表面に設
けられ、カソード電極41の周囲で開口した第二絶縁層
44と、第二絶縁層44の表面に設けられ、カソード電
極41の周囲で開口したコントロール電極45と、コン
トロール電極45に真空層48を介して配置されたアノ
ード電極47を有する対向基板46が主な構成要素であ
る。
【0087】カソード電極41は平面基板40の表面を
異方性エッチング法で加工して製造されたもので、概ね
円錐形状を有する。また、その錘軸は平面基板40に垂
直であって、その高さは約1.2μm、断面頂角は約9
0度である。なお、本発明においてはこれ以外の製造方
法によって形成されたカソード電極を用いてもよく、例
えばスピント型のものであってもよい。第一絶縁層42
および第二絶縁層44は二酸化シリコン薄膜よりなり、
膜厚はそれぞれ6000オングストロームおよび3μm
である。両絶縁層の開口径はほぼ同じで約3μmであ
る。ゲート電極43およびコントロール電極45はMo
薄膜よりなり、膜厚はそれぞれ2000オングストロー
ムおよび3000オングストロームである。両電極の開
口径はほぼ同じで約1.2μmである。平面基板40と
対向基板46はこれらの周辺に形成された狭持体で接着
され、その中間に真空層48を形成する。真空層48の
厚さは約50μmである。アノード電極47はアルミニ
ウム薄膜や透明導電膜が用いられる。
【0088】この四極電界電子放出装置の動作機構を説
明する。カソード電極41に対してゲート電極43に正
の電位を印加すると、カソード電極41の突起先端より
電子が電界放出する。この放出電子はゲート電極43と
コントロール電極45の開口を通過してアノード電極4
7に到達できる。しかし、アノード電極47に到達でき
る電子量(アノード電流)はコントロール電極45の電
圧によって制御される。コントロール電極45の電界効
果によるアノード電流の制御は実施例1で述べた機構と
同様である。従って、コントロール電極45の電圧とア
ノード電流が比例関係にある直線領域が存在する。すな
わち、コントロール電極45の電圧が負に大きいときは
コントロール電極45よりカソード電極41の方向に負
の電位勾配が形成され、放出電子はゲート電極43の方
向に跳ね返される。このようなときはアノード電流は小
さい。一方、コントロール電極45の電圧が大きいとき
は正の電位勾配が形成され、多くの電子がこれを通過可
能で大きなアノード電流が得られる。
【0089】1万個のカソード電極41が形成された本
実施例の四極電界電子放出装置の電気特性を測定した。
カソード電極接地型回路において、ゲート電圧が120
Vのとき3mAの放出電流が得られ、コントロール電極
45の電圧に対するアノード電流の変化、すなわち相互
コンダクタンスはg =20μSであった。ゲート電
極43に流れる無効電流は1%以下であって、良好な特
性が得られた。
【0090】なお本実施例の四極電界電子放出装置にス
クリーン電極、サプレッサ電極などを形成すれば、さら
に電気特性を向上できるのは明白である。また、本実施
例においてはアノード電極47を対向基板46に形成し
たが、平面基板40の表面に形成してもよい。このとき
コントロール電極45はアノード電極47とゲート電極
43の中間に配置されるよう工夫する。例えば、真空層
48の内部に空中設置してもよい。また、電極間の重な
り容量を減少させ、周波数特性と耐圧の改善を図るには
カソード電極41の下部の配線を薄膜化し、これの余分
な領域を除去して重なり部分を排除することが適切であ
る。この場合、絶縁性の平面基板40を使用する。
【0091】本実施例の四極電界電子放出装置のように
カソード電極41からの電子の放出方向に対してゲート
電極43が垂直に形成され、またはゲート電極43の開
口が放出電子の流路を包囲するように形成された多極電
界電子放出装置はゲート電極43に流入する無効電流が
小さく電力効率がよい。なぜなら、放出電子がゲート電
極43を通過するとき、わずかにゲート電極43の膜厚
程度の距離を横切るだけであり、しかも開口の中央付近
を通過していくために放出電子がゲート電極43に衝突
する確率が小さくなるからである。横型の多極電界電子
放出装置にこのような構造を適用すれば非常に効果的で
ある。
【0092】模型の多極管素子の相互コンダクタンスを
大きくして性能を高めるためには、例えば、図1に示す
四極電界電子放出装置におけるゲート電極5の構造を工
夫してカソード電極3の放出面積を大きくする必要があ
るが、放出面積を大きくするとゲート電極5へ流入する
電子も増大するため、性能の高い電力増幅器が得られに
くいといった問題点がある。
【0093】図25は、ゲート電極51の構造をリング
状とした多極電界電子放出装置の部分拡大斜視図であ
る。カソード電極3は図1に示される構造と同じであ
る。ゲート電極51の一部を、カソード電極3の放出突
起4に対応する位置に開口部52を設け、放出突起4か
ら放出された電子を開口部52を通過させることによっ
て、ゲート電流、コントロール電流が小さくなり、無効
電流を軽減し、入力抵抗を大きくすることができる。
【0094】開口部52は図25に示される形状に限ら
れず、放出突起4に対して周囲に同電位の開口状の電極
が形成され、その開口状の電極内を放出突起から放出さ
れる電子が通過できる構造であればよい。従って、開口
部52は円状のもの、角状のものであってもよい。又開
口部52は、放出突起4のすべてに対応して形成されて
いなくとも、例えば放出突起4に対応して1つおきに形
成されていても、電子放出装置としては機能できる。
【0095】ゲート電極51に開口部を設けることによ
り、図8に示すような、I ≧I の電力変換効率
の悪さは著しく改善され、かつコントロール電極の存在
によって線形の入出力静特性を有する電界電子放出装置
を提供することができる。61はコントロール電極であ
り、7はアノード電極である。図25においては、コン
トロール電極61の構造はゲート電極51と同様に放出
電流を通過させるための第2の開口部62が設けられて
いるが、コントロール電極61は必ずしもこのような構
造にする必要はなく、図1に示される平板状の電極であ
ってもさしつかえない。
【0096】図25に示すようなゲート電極の構造を有
する四極電界電子放出装置は、図1に示す構造のもつ線
形な入出力関係を有するとともに、ゲート電流が著しく
減少し(ゲート電流はアノード電流の1/10以下)、
ゲート無効電流が著しく減少させることが可能である。
【0097】図26は、コントロール電極61につき、
柱状コントロール電極63を設けた斜視図である。図に
おいて柱状コントロール電極63は隣接する開口部52
間の中間に設けられている。その形状は円柱、角柱を問
わない。
【0098】本発明の多極電界電子放出装置において
は、多極性の数は任意であり、もちろん例えば六極電界
電子放出装置であってもよい。図18(A)、(B)、
(C)に示される六極電界電子放出装置のゲート電極2
0を図25に示されるゲート電極51とおき換えた構造
のものが考えられる。
【0099】それは図18におけるゲート電極5を、図
25に示すゲート電極51の構造のものにおき替えた装
置となる。この場合、放出突起4より放出された電子
は、コントロール電極6の電界によって制御され、アノ
ード電極7に到達できる電子量は制限される。スクリー
ン電極50は一定電位に保持され、アノード電極7の電
界によるコントロール電極6の電界のゆらぎを防止す
る。サプレッサ電極53はアノード電極7より発生する
二次電子がコントロール電極6の方向へ戻るのを防止す
る。
【0100】しかし上記の立体化したゲート電極の構造
は、薄膜製造技術上ギャップコントロールが難しいなど
の製造上の問題があり、又カソード電極とゲート電極間
の電界分布が均一ではなく、Ia/Ig特性にも限界が
ある。さらにその製造工程は4つのフォトマスク工程が
必要となり、複雑な製造技術を要する。そこで、カソー
ド電極とゲート電極間の三次元的電界分布を対象、均一
にした構造のゲート電極を提供し、かつその製造いおい
ても自己整合的(一方の電極の位置がずれても他方の電
極の位置がそれに対応して修正された位置に形成され
る)な製造ができる構造が望ましい。
【0101】以下に開示するものは、その技術的課題を
解決した多極電界電子放出装置及びその製造方法であっ
て、極めて安定した電極を形成しIa/Ig特性が著し
く改善されたものである。それは、絶縁性平面基板の表
面に設けられた絶縁層上に形成され、該絶縁層よりオー
バーハングした複数の放出突起を有するカソード電極、
該絶縁性平面基板の表面に形成された放出電子を収集せ
しめるアノード電極、該カソード電極と該アノード電極
の間に設けられた複数の柱状のゲート電極を含んで構成
され、該放出突起は隣接するゲート電極の中間に位置
し、該ゲート電極の形状はカソード電極側に該放出突起
に対応した突起状となっていることを特徴とする多極電
界電子放出装置である。そしてこの多極電界電子放出装
置は、絶縁性平面基板の表面に絶縁層、電極層を順次形
成し、ゲート電極の平面パターンを残してレジストを塗
布した後、電極層及び絶縁層を該平面パターンから浸入
したエッチング液によって該平面パターンを超えて過剰
エッチングすることにより放出突起を形成し、その後柱
状のゲート電極を該平面パターンの位置に形成し、該レ
ジストを除去することにより製造される。
【0102】図27(a)は新規な多極電界電子装置の
平面図であり、同図(b)はそのa−a線、同図(c)
はそのb−b線のそれぞれの縦断面図、同図(d)は部
分斜視図である。本装置は石英よりなる平面基板1の表
面に、カソード電極303とゲート電極305とアノー
ド電極307を有する。カソード電極303はSiO
の島状絶縁層302の表面にオーバーハングした放出
突起4をもつ薄膜(例えば厚さ約2000 )で形成さ
れる。カソード電極303は複数の薄膜を積層したもの
(例えばタングステン薄膜にモリブデン薄膜を積層した
もの)であってもよい。放出突起4は平面基板1の表面
に平行にゲート電極305の方向に突出した構造で、そ
の先端近傍には島状絶縁層302が存在しない。放出突
起4の平面方向の先端曲率半径は400オングストロー
ム以下である。
【0103】ゲート電極305はカソード電極303に
自己整合的に形成されており、五角柱の形状のうちカソ
ード電極303の方向の一角θが例えば60°〜90°
の角度を有する。放出突起4は隣接するゲート電極30
5の中間の位置に等距離に形成されている。従って、放
出突起4近傍の電界分布は左右対称となる。ゲート電極
305の五角柱の高さGをカソード電極303より高く
形成すると、放出突起4近傍の電界分布は左右対称であ
るとともに上下方向においてもほぼ均一になる。従っ
て、カソード電極303とゲート電極305との間の電
界によって放出突起4から放出された電子は隣接するゲ
ート電極305間の間を通過しアノード電極307に効
率的に到達し、ゲート電流に流れ込む無効電流を著しく
軽減することができる。すなわちIa/Ig特性(電力
変換効率)が著しく改善される。
【0104】ゲート電極305の構造は五角柱に限られ
るものではなく、放出突起4の近傍の電界分布を対称に
形成させ、放出電子が効率的にアノード電極307に放
出される柱状のものであればよい(例えば三角柱、後部
が曲率を有する柱等)。
【0105】本実施例は平面型三極電界電子放出装置を
開示したが、本発明は四極、五極の多極電界電子放出装
置においても実施できる。
【0106】図27において71はゲート電極配線であ
る。各部の寸法を例示すると、ゲート電極305間の距
離A3μm、ゲート電極305の五角柱の辺B5μm、
辺C7μm、ゲート電極305とカソード電極305間
のギャップD1.5μm、島状絶縁層302の厚さE
0.5μm、ゲート電極303の厚さF0.1μmであ
る。
【0107】次に、上記発明装置の製造方法の概略を説
明する。図28、図29、図30はその製造工程の説明
図である。まず、図28(a)の縦断面図に示すように
石英ガラス等の基板1の表面に熱CVD等の方法でSi
膜311を、さらにその上にスパッタリング等の
方法でタングステン膜312を形成する。その膜の材料
はタングステンに限らず例えばタンタルなどであっても
よい。その後、図28(b)の平面図に示すように、ゲ
ート電極の柱状の形状(平面図)をした、レジスト穴3
13を残してレジスト膜314を形成する。図28
(c)は、図28(b)のb−b線の縦断面図であり、
符号は図28(a)、図28(b)と同じである。これ
をCF ガス等でエッチングすると、レジスト穴31
3に露出しているタングステン膜315がエッチングさ
れ、図28(c)は図29(a)の縦断面図に示すよう
にSiO 膜316が露出する。
【0108】その後HF系のエッチャントでエッチング
すると、図29(a)のSiO膜316がエッチング
され、それを過剰エッチングすると図29(b)のよう
にSiO 膜311の縦断面は略逆テーパ状になる。
次にCH 系エッチャントでタングステン膜312を
エッチングすると図29(c)平面図、及びそのc−c
線の縦断面図である図29(d)に示すように、タング
ステン膜312のエッチングは破線317、318まで
進み、カソードの放出突起319が形成される。この放
出突起319は逆テーパ状のSiO 膜上に形成され
ている。本発明の方法は、レジスト穴313から進入し
たエッチング剤がレジスト穴313の形状にそってタン
グステン膜を隣接するレジスト穴313の双方から過剰
エッチングするので形成されたカソード電極の放出突起
319の先端はシャープになるとともに、その先端の位
置は隣接するレジスト穴313と等距離になる。従っ
て、製造工程において、レジスト穴313の設定位置に
誤差が生じても形成された放出突起319は常に隣接す
るレジスト穴313の中間に位置することが可能とな
り、放出突起319とゲート電極で形成される電界分布
が常に左右対称となる。すなわちカソード電極とゲート
電極を自己整合的に形成することが可能である。
【0109】その後、モリブデン等のゲート電極を形成
する材料を蒸着又はスパッタリングによって膜形成する
と、断面図の図30(a)に示すようにモリブデン膜3
21、322が形成され、モリブデン膜321は平面形
状がレジスト穴313の形状をもったゲート電極とな
る。蒸着又はスパッタリングの製造条件によりモリブデ
ン膜321はタングステン膜312の高さより形成する
ことが可能である。次にレジスト膜314をリフトオフ
すれば図30(a)は図30(b)のようになり、図2
7(c)に示すようなカソード電極とゲート電極が形成
される。
【0110】本発明において、アノード電極の形成は、
図29(c)の工程において過剰エッチングにより形成
された破線317をエッヂとするタングステン膜320
をアノード電極として用いてもよい。又、アノード電極
は別途形成してもよいが、その場合、タングステン膜3
20は多極電界電子装置のコントロール電極として利用
してもよいし、不要ならば除去してもよい。
【0111】なお、図27のゲート電極配線71はあら
かじめフォトマスクによってパターン化しておく。従っ
て、本製造方法は、ゲート電極配線のパターン化のフォ
トマスク工程と、図28(b)のレジスト膜形成のフォ
トマスク工程の二つのフォトマスク工程によって製造す
ることが可能である。
【0112】本発明の装置及び製造方法はカソード電極
の厚さを大きくしたものにも適用できる。従来の多極電
界電子放出装置のカソード電極の厚さは約0.1μmで
あるが、放出突起形状を有したままこれを厚くした(例
えば1μm)場合(ウエッジ型)は、放出電流が多く大
電力用に適する。本発明の製造方法においては、タング
ステン膜312が厚い場合であっても、カソード電極の
放出突起はシャープに形成されるので同様に製造するこ
とができる。
【0113】又、ゲート電極配線71の位置は任意に形
成できるので、これをカソード電極側に近づけて形成す
ればカソード電極とゲート電極間の電界が高まり、電界
効率の良い装置を提供することができる。
【0114】上記製造方法の図30(a)の工程におい
て、モリブデン膜321を蒸着又はスパッタリング等で
形成する際、図31に示すようなモリブデン膜321と
モリブデン膜322との間にモリブデンのブリッジ32
3ができることがある。これはゲート電極の形成に不都
合であるので、かようなブリッジ323を形成せしめな
い製造方法を採用するとよい。
【0115】以下、その製造方法を例示する。図32
(a)は図28(c)と同じ工程を示す工程を部分拡大
したものであるが、あらかじめ基板1上にゲート電極配
線を形成する際、レジスト穴の形状に対応した配線パタ
ーン325(材質は問わないが例えばアルミニウム)を
形成しておく。
【0116】この状態において、SiO 膜311を
過剰エッチングすると、同図(b)に示すように配線パ
ターン325が露出するので、同図(c)に示すように
その配線パターン325の上に蒸着又はスパッタリング
によってアルミニウム膜層326を薄く形成する。32
7はレジスト314の上に形成されたアルミニウム膜層
である。
【0117】次にタングステン膜312を過剰エッチン
グした後(同図(d))、レジスト穴328の周辺のレ
ジスト膜314をO プラズマ等によって除去し(同
図(e))、次にゲート電極の素材となるゲート電極金
属329(アルミニウム又はモリブデンのいずれであっ
てもよい。)を蒸着又はスパッタリングによって形成し
(同図(f))、その後レジストオフすればよい。(同
図(g))。この製造工程によって、ゲート電極を形成
する際、レジスト14の周辺が除去されているので上記
のようなブリッジが形成されにくい。
【0118】
【発明の効果】本発明は上記の構成を有するので、以下
の顕著な効果を有する。 (1)コントロール電極の電圧とアノード電流は線形関
係にあるため、入出力の伝達特性が線形である。しかも
陽極抵抗が非常に大きい。従って、従来技術では困難で
あった線形増幅器にも利用できる。 (2)ゲートに流れる無効電流が著しく軽減し、消費電
流の観点から効率的な線形増幅作用を有する多極電界電
子放出装置である。 (3)コントロール電極の入力抵抗が非常に大きいた
め、電界効果型の増幅器、スイッチングデバイスに利用
できる。 (4)従来の熱電子放出型真空管と比較して、扱える電
流、電圧、電力が同等以上であって、かつ、非常に小型
である。 (5)相互コンダクタンス、伝達特性の線形度合をゲー
ト電圧によって制御できるため、同一の装置によって特
性パラメータが異なる回路を簡単に構成できる。 (6)周波数特性の優れたもの、電力効率の優れたも
の、扱える電力の大小など、用途に応じた装置の構成に
対して自由度が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】新規な四極電界電子放出装置の部分斜視図。
【図2】図1に示す四極電界電子放出装置の製造方法の
製造方法の工程図。
【図3】本発明の実施例を示す新規な四極電界電子放出
装置の部分拡大斜視図。
【図4】図3に示す四極電界電子放出装置の製造方法の
工程図(縦断面図)。
【図5】図4に示す工程図の平面図。
【図6】図1に示す四極電界電子放出装置を用いた平面
型四極真空管の概略平面図及びそのA−A線に沿った概
略縦断面図。
【図7】四極電界電子放出装置を用いたカソード電極接
地型の電気接続図。
【図8】図7の電子放出特性を示すグラフ。
【図9】図7の入出力静特性を示すグラフ。
【図10】図7のアノード静特性を示すグラフ。
【図11】四極電界電子放出装置のコントロール電圧に
対するゲート電流、アノード電流、コントロール電流の
関係を示す図。
【図12】四極電界電子放出装置のアノード特性図。
【図13】四極電界電子放出装置の他の電気接続図。
【図14】四極電界電子放出装置の他の電気接続図。
【図15】図14の電気接続図の場合のアノード特性。
【図16】五極電界電子放出装置の電気接続図。
【図17】図16の電気接続図の場合のアノード特性。
【図18】(A)は六極電界電子放出装置の概略平面
図、(B)、(C)はその概略縦断面図。
【図19】図18に示す六極電界電子放出装置の製造工
程図。
【図20】六極電界電子放出装置を利用した六極真空管
の概略斜視図。
【図21】六極電界電子放出装置の電気接続図。
【図22】六極電界電子放出装置の他の電気接続図。
【図23】図22におけるアノード特性図。
【図24】縦型の四極電界電子放出装置の概略縦断面
図。
【図25】ゲート電極及びコントロール電極に開口部を
設けた四極電界電子放出装置の概略斜視図。
【図26】図25のコントロール電極を柱状電極とした
実施例の概略斜視図。
【図27】(a)は本発明の他の実施例を示す三極電界
電子放出装置の平面図。(b)は(a)のa−a線の縦
断面図。(c)は(a)のb−b線の縦断面図。(d)
は、部分斜視図。
【図28】図27の三極電界電子放出装置の製造方法を
説明する工程図。
【図29】図27の三極電界電子放出装置の製造方法を
説明する工程図。
【図30】図27の三極電界電子放出装置の製造方法を
説明する工程図。
【図31】図29〜30の製造方法においてブリッジが
形成する場合の説明図。
【図32】図29〜30の製造方法においてブリッジを
形成させない場合の説明図。
【図33】従来の三極電子電界放出装置の概略平面図。
【符号の説明】
1 平面基板 2 島状絶縁層 3 カソード電極 3a 第一カソード電極 3b 第二カソード電極 4 放出突起 5 ゲート電極 6 コントロール電極 7 アノード電極 7a 第一アノード電極 7b 第二アノード電極
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01J 19/38 H01J 19/40 19/40 21/10 21/10 1/30 F (31)優先権主張番号 特願平3−222088 (32)優先日 平成3年8月7日(1991.8.7) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−309757 (32)優先日 平成3年10月29日(1991.10.29) (33)優先権主張国 日本(JP) (56)参考文献 特開 平2−226635(JP,A) 特開 昭59−16255(JP,A) 特開 昭63−143731(JP,A) 特開 平1−154426(JP,A) 笹尾利男,真空管工学,日本,三共出 版株式会社,1965年 2月15日,pp. 106−10 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/304 H01J 1/46 H01J 1/52 H01J 3/08 H01J 19/24 H01J 19/38 H01J 19/40 H01J 21/10 - 21/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子を放出せしめるカソード電極と、前
    記カソード電極に電界を印加せしめるゲート電極と、放
    出電子を収集せしめるアノード電極と、前記カソード電
    極と前記アノード電極の間に設けられ、前記放出電子を
    制御せしめるコントロール電極と、前記コントロール電
    極と前記アノード電極の間に設けられたスクリーン電極
    およびサプレッサ電極とを少なくも具備し、前記カソー
    ド電極およびサプレッサ電極を接地し、前記ゲート電極
    およびスクリーン電極にゲート電圧を印加する手段と、
    前記アノード電極にアノード電圧を印加する手段とを備
    え、前記コントロール電極に入力信号電圧を印加してア
    ノード電流を制御するように構成したことを特徴とする
    電子放出装置。
  2. 【請求項2】 電子を放出せしめるカソード電極と、前
    記カソード電極に電界を印加せしめるゲート電極と、放
    出電子を収集せしめるアノード電極と、前記カソード電
    極と前記アノード電極の間に設けられ、前記放出電子を
    制御せしめるコントロール電極と、前記コントロール電
    極と前記アノード電極の間に設けられたスクリーン電極
    およびサプレッサ電極とを少なくも具備し、前記カソー
    ド電極およびサプレッサ電極を接地し、前記ゲート電極
    およびスクリーン電極にゲート電圧を印加し、前記アノ
    ード電極にアノード電圧を印加し、前記コントロール電
    極に入力信号電圧を印加してアノード電流を制御するこ
    とを特徴とする電子放出装置の駆動方法。
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