JP3400464B2 - ダイヤモンド多結晶体切削工具およびその製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド多結晶体切削工具およびその製造方法

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JP3400464B2
JP3400464B2 JP25203191A JP25203191A JP3400464B2 JP 3400464 B2 JP3400464 B2 JP 3400464B2 JP 25203191 A JP25203191 A JP 25203191A JP 25203191 A JP25203191 A JP 25203191A JP 3400464 B2 JP3400464 B2 JP 3400464B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ダイヤモンド多結晶
体を含む工具素材が工具支持体にろう付けされたダイヤ
モンド多結晶体切削工具およびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドは硬度や熱伝導率等が高い
ため切削工具や耐摩工具の素材として優れた性能を発揮
する。このため最近、切削工具や耐摩工具の分野で多用
されている。特に、特公昭52−12126号公報に記
載されているような、ダイヤモンド微粒子を鉄系の金属
結合材で焼結したダイヤモンド焼結体は、単結晶ダイヤ
モンドの欠点であるへき開による欠損が生じにくいため
Al合金の仕上げ加工を中心に広く用いられている。
【0003】しかしながら、このダイヤモンド焼結体は
金属結合材が原因で耐熱性に問題があることが知られて
いる。すなわち、このダイヤモンド多結晶体は750℃
以上の温度では、耐摩耗性ならびに強度の低下か見ら
れ、さらに900℃以上の温度では焼結体が破壊すると
いう問題である。これらの現象は、高温下でダイヤモン
ド粒子と金属結合材との界面においてダイヤモンドの黒
鉛化が生じること、ならびに両者の熱膨張率の差に基づ
く熱応力が原因と考えられる。
【0004】ダイヤモンド焼結体の耐熱性を向上させる
目的で、ダイヤモンド焼結体を酸処理し、大部分の金属
結合材を除去することが提案されている。特開昭53−
114589号公報は、この方法により耐熱性の改善さ
れたダイヤモンド焼結体の製造方法が開示されている。
しかしながら、この先行技術では、耐熱性は向上するも
のの、除去された金属結合材の部分は空孔となるため、
強度が低下するという新たな問題が生じた。
【0005】空孔の存在しない耐熱性ダイヤモンド焼結
体については、特開昭59−161268号公報や特開
昭61−33865号公報に開示されている。これらの
先行技術に開示されたダイヤモンド焼結体の結合材に
は、Si、SiCあるいはNiとSiの合金等が用いら
れている。しかしこれらの耐熱性ダイヤモンド焼結体
は、耐熱性の改善は見られるが、結合材の含有量が多
く、また、ダイヤモンド粒子間結合が弱いという点が問
題である。
【0006】これらの問題を解決するために、特開平1
−212767号公報に開示された結合材を含まないダ
イヤモンド多結晶体、すなわち低圧気相法により合成さ
れたダイヤモンド多結晶体を用いた工具が開発された。
【0007】この結合材を含まないダイヤモンド多結晶
体は、実質的にダイヤモンドのみから成立っているた
め、強度、耐摩耗性、耐熱性のいずれの点に関してもダ
イヤモンド焼結体に比べて優れた性質を示している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、工具作製時
での加工効率を高めるには、ダイヤモンド多結晶体の厚
みを必要最小限にすることが好ましい。通常の仕上げ加
工に用いられるダイヤモンド工具の素材厚みとしては、
工具寿命時点での逃げ面摩耗幅(0.1mm以下)以
上、たとえば0.1〜0.2mm程度あれば十分であ
る。しかし、素材としてこのダイヤモンド多結晶体を用
いた場合、実質的にダイヤモンドのみからなるため熱伝
導率が高く、特に厚みを0.1〜0.2mmと薄くした
場合には、工具として使用する際に生ずる刃先の熱がろ
う付け部に伝導しやすくなるため、ろう付け部が変形
し、工具刃先の強度が著しく低下するという問題が生じ
る。
【0009】このような問題を解決するするために、本
発明者等はダイヤモンド多結晶体の厚さ、ろう材の種類
等を規定した多結晶ダイヤモンド切削工具を提案した
(特願平03−104411号)。
【0010】この発明はかかる従来の問題点を解決する
ためになされたものである。この発明の目的は、耐熱性
に優れたダイヤモンド多結晶体工具およびその製造方法
を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、ダイヤモンド多結晶体層がすくい面となるダイヤモ
ンド多結晶体切削工具であって、室温での熱伝導率が3
〜20W/cm・Kで厚みが0.1〜0.5mmのダイ
ヤモンド多結晶体層と、ろう付け部と、ダイヤモンド多
結晶体層とろう付け部との間に位置する室温での熱伝導
率が0.1〜2W/cm・Kで厚みが0.05〜0.5
mmの熱拡散防止層と、を有する工具素材と、ろう付け
部をろう付けすることによって、工具素材を支持する工
具支持素材と、を備え、前記熱拡散防止層が、TiCか
らなり、前記すくい面がRmaxで0.2μm以下の鏡
面状態である。
【0012】請求項4に記載の発明は、ダイヤモンド多
結晶体層がすくい面となるダイヤモンド多結晶体切削工
具の製造方法であって、表面をRmaxで0.2μm以
下の鏡面状態にしたSiからなる基板上に低圧気相法に
よって室温での熱伝導率が3〜20W/cm・Kのダイ
ヤモンド多結晶体層を0.1〜0.5mmの厚さで形成
する工程と、ダイヤモンド多結晶体層上に室温での熱伝
導率が0.1〜2W/cm・Kの熱拡散防止層を0.0
5〜0.5mmの厚さで形成する工程と、基板、ダイヤ
モンド多結晶体層および熱拡散防止層を含む積層体から
基板を化学的方法により除去し、工具素材を作製する工
程と、ダイヤモンド多結晶体層とろう付け部との間に熱
拡散防止層が位置するように、工具素材を工具支持体に
ろう付けする工程と、刃先を必要形状に加工する工程
と、を備え、前記熱拡散防止層が、TiCからなり、前
記すくい面が、前記Si基板の表面状態を転写したRm
axで0.2μm以下の鏡面状態である。
【0013】請求項5に記載の発明は、ダイヤモンド多
結晶体層がすくい面となるダイヤモンド多結晶体切削工
具の製造方法であって、表面をRmaxで0.2μm以
下の鏡面状態にしたSiからなる基板上に低圧気相法に
よって室温での熱伝導率が3〜20W/cm・Kのダイ
ヤモンド多結晶体層を0.1〜0.5mmの厚さで形成
する工程と、ダイヤモンド多結晶体層から基板を化学的
方法により除去する工程と、ダイヤモンド多結晶体層の
成長上面上に室温での熱伝導率が0.1〜2W/cm・
Kの熱拡散防止層を0.05〜0.5mmの厚さで形成
し、工具素材を作製する工程と、ダイヤモンド多結晶体
層とろう付け部との間に熱拡散防止層が位置するよう
に、工具素材を工具支持体にろう付けする工程と、刃先
を必要形状に加工する工程と、を備え、前記熱拡散防止
層が、TiCからなり、前記すくい面が、前記Si基板
の表面状態を転写したRmaxで0.2μm以下の鏡面
状態である。
【0014】
【作用】ダイヤモンド多結晶体層とろう付け部との間に
熱拡散防止層が設けられているので、工具として使用す
る際に生ずる刃先の熱がろう付け部に伝導されにくくな
る。また、工具素材がダイヤモンド多結晶体層と熱拡散
防止層の2層構造をしているので、工具素材の厚みが従
来よりも増し、工具素材の強度が高まる。
【0015】本発明の実施に際し、ダイヤモンド多結晶
体の合成は公知のあらゆる低圧気相法の適用が可能であ
る。すなわち、熱電子放射やプラズマ放電を利用して原
料ガスの分解・励起を生じさせる方法や燃焼炎を用いた
成膜方法も有効である。原料ガスとしては、たとえばメ
タン・エタン・プロパン等の炭化水素類、メタノール・
エタノール等のアルコール類、エステル類等の有機炭素
化合物と水素とを主成分とする混合ガスを用いることが
一般的であるが、これら以外にアルゴン等の不活性ガス
や、酸素、一酸化炭素、水等もダイヤモンドの合成反応
やその特性を阻害しない範囲内であれば、原料中に含有
されていても差しさえない。
【0016】特開平1−212767号公報に開示され
ているように、これらの任意の方法により、その表面を
Rmaxで0.2μm以下の鏡面に仕上げたSiからな
る基板上に、室温での熱伝導率が3〜20W/cm・K
のダイヤモンド多結晶体層を0.1〜0.5mmの厚さ
で合成する。ダイヤモンド多結晶体の厚さをこのような
範囲とする理由は、仕上げ加工・粗加工等、ダイヤモン
ド工具として使用される際に通常生じる寿命時点での摩
耗の大きさから規定している。ダイヤモンドの平均結晶
粒径は0.5〜15μmが好ましい。なぜなら、切削工
具として使用した場合、0.5μmよりも微粒になると
耐摩耗性が低下し、15μmよりも粗粒になると欠損し
やすくなるからである。
【0017】また、室温での熱伝導率を3〜20W/c
m・Kに規定するのは、3W/cm・Kよりも低い場合
には上記の問題が生じ難いため除外している。また、上
限の20W/cm・Kは現状の技術で合成できる最も高
い値を示したものである。したがって、さらに熱伝導率
の高いものができるならば、本発明の工具素材として適
用することは可能である。
【0018】基板としてはダイヤモンド多結晶体の内部
応力を低減させるために、その熱膨張率がダイヤモンド
のそれに近いものが好ましく、また、ダイヤモンド多結
晶体のみを回収するために酸に溶解するものが好まし
い。これに該当するものとしてはSiが挙げられる。な
お、基板表面をRmaxで0.2μm以下の鏡面に仕上
げておくのは、ダイヤモンド多結晶体表面を加工するこ
となく容易に、ダイヤモンド多結晶体表面をこのような
良好な面状態にすることができるからである。この良好
な面をすくい面にすることによって、被削材の溶着の少
ない状態にすることができる。
【0019】ダイヤモンド多結晶体を析出させた後に、
引続き室温での熱伝導率が0.1〜2W/cm・Kの熱
拡散防止層を形成する。熱伝導率を0.1〜2W/cm
・Kに規定するのは、0.1W/cm・Kよりも低い場
合には適度な切削熱の放散が効率よく行なわれないため
である。切削熱の放散が効率よく行なわれないと、ダイ
ヤモンド多結晶体の刃先が高温になり好ましくない。ま
た、熱伝導率が2W/cm・Kよりも高いとろう付け部
への切削熱の放散量が多くなり、熱拡散防止層としての
効果的な作用を示さなくなる。
【0020】熱拡散防止層の厚みとしては、0.05〜
0.5mmが好ましい。0.05mmよりも薄いと熱拡
散防止の効果が弱くなり、また工具素材強度の向上効果
が弱くなるからである。また、厚みが0.5mmあれ
ば、熱拡散防止の役割および工具素材強度の向上効果の
役割を十分果たすため、それ以上の厚みは不必要であ
る。
【0021】熱拡散防止層の材料としては、Tiの炭化
物(TiC)が好ましい。
【0022】このようにダイヤモンド多結晶体層の成長
上面上に熱拡散防止層を析出させた後、基板のみを化学
的な方法により除去することによって得られる積層体を
工具素材として用いることができる。化学的な方法とし
て、塩酸、硫酸、硝酸および弗酸を含む群から選ばれた
少なくとも1種以上の液中で基板を溶解する方法が好ま
しい。
【0023】なお、上記の工具素材の作製法としては、
基板上にダイヤモンド多結晶体層を形成した後に化学的
な方法により基板を除去して得られるダイヤモンド多結
晶体単体の成長上面上に、気相法で熱拡散防止層を形成
する方法によっても可能である。熱拡散防止層の形成に
は、CVD、PVDなどの気相合成法、溶射法、固体材
料をダイヤモンド多結晶体と積層させ加熱する方法な
ど、あらゆる手段が適用できる。
【0024】そしてダイヤモンド多結晶体層とろう付け
部との間に熱拡散防止層が位置するように、工具素材を
工具支持体にろう付けする。以上の工程を経て作製され
た工具に、研削加工あるいはレーザ加工により刃付けを
行なう。
【0025】
【実施例】(実施例1) 図2に示すように、マイクロ波プラズマCVD法によ
り、その表面がRmaxで0.03μmの鏡面状態であ
るSi基板1上にダイヤモンド多結晶体層3を合成し
た。合成は以下の条件で行なった。
【0026】
【表1】
【0027】合成後、図3に示すように弗硝酸5に浸漬
してSi基板1のみを溶解除去することにより、平均結
晶粒径が3μmで厚さが0.15mmのダイヤモンド多
結晶体層3を回収することができた。ダイヤモンド多結
晶体層3のSi基板1と対向している面7は、Rmax
で0.03μmであった。図4に示すように、このダイ
ヤモンド多結晶体層3の成長上面9上に気相法によって
TiCを0.2mmの厚さで形成した。TiCの生成は
以下の条件で行なった。
【0028】
【表2】
【0029】上記の方法で得られた積層体を工具素材1
9として、図5に示すように、ダイヤモンド多結晶体層
3とろう付け部17との間にTiC11が位置するよう
に、工具素材19を超硬合金製シャンク13に、融点が
680℃のろう材15を用いて接合した。なお、このと
きすくい面がダイヤモンド多結晶体7の表面のうちSi
基板1と対向する面7となるように接合を行なった。そ
して図6に示すように、ダイヤモンド砥石を用いた研削
加工で刃付けを行なった。図7はその斜視図である。こ
の工具をNo.Aとする。工具No.Aの刃先の部分の
拡大図が図1である。
【0030】比較として、上記と同様のろう材を用い
て、TiCを形成していないダイヤモンド多結晶体単体
と超硬合金製シャンクとの接合も行なった。この工具を
No.Bとする。
【0031】さらに比較として、粒径が5μmで結合材
としてCoを12容量%含有する焼結ダイヤモンドを工
具素材とし、上記と同様のろう材を用いてこの工具素材
を超硬合にしてシャンクと接合した工具も作製した。こ
の工具をNo.Cとする。これらのスローアウェイチッ
プ工具としての性能評価は以下の条件で行なった。
【0032】(切削条件) 被削材 :A390−T6(A1−17%Si)丸棒 切削速度 :800m/min 切り込み量:1.0mm 送り速度 :0.1mm/rev. 冷却液 :水溶性油剤 (評価方法) 5分切削後および60分切削後の刃先状態の比較。その
結果、表3に示すように、本発明である実施例1の工具
No.Aは、比較例2である焼結体ダイヤモンド工具N
o.Cに比べ、長時間にわたって鋭利な切刃が維持され
ることが明らかとなった。また、TiCからなる熱拡散
防止層を形成していないダイヤモンド多結晶体を用いた
比較例1である工具No.Bは、ろう材が流出するとと
もに大きな欠損が発生し、工具として致命的な損傷を来
すことが明らかとなった。
【0033】
【表3】
【0034】(参考例1) 熱電子放射材に直径0.2mm、長さ200mmの直線
状タングステンフィラメントを用いた熱CVD法によ
り、図8に示すように、その表面がRmaxで0.12
μmのW基板21上にダイヤモンド多結晶体層3を合成
した。合成条件を以下に示す。
【0035】
【表4】
【0036】合成後、図9に示すように引続き気相法に
よって厚さ0.1mmのTaC23を以下の条件でダイ
ヤモンド多結晶体層3上に形成した。
【0037】
【表5】
【0038】図10に示すように、この積層体を熱王水
25に浸漬することにより、W基板21のみ溶解除去し
て、図11に示すように平均結晶粒径が3μmで厚さが
0.25mmのダイヤモンド多結晶体層3と厚さ0.1
mmのTaC23とからなる積層体を回収することがで
きた。なお、積層体の面のうちダイヤモンド多結晶体層
3の面7はRmaxで0.12μmの鏡面であった。こ
の積層体を、実施例1と同様にして超硬合金製シャンク
にろう付けした。この工具をNo.Dとする。なお、ろ
う材には融点の850℃のものを用いた。
【0039】比較として上記と同様のろう材を用いて、
TaCが形成されていないダイヤモンド多結晶体単体と
超硬合金製シャンクとの接合も行なった。ダイヤモンド
多結晶体の合成条件は実施例2と同じであった。この工
具をNo.Eとする。
【0040】さらに比較として、粒径が5μmで結合材
としてCoを12容量%含有する焼結ダイヤモンドを工
具素材とし、この工具素材を上記と同様のろう材を用い
て超硬合金製シャンクに接合した工具も作製した。この
工具をNo.Fとする。工具No.D、EはYAGレー
ザにより、工具No.Fは研削加工により刃付けを行な
った。これらのスローアウェイチップ工具としての性能
評価は以下の条件で行なった。
【0041】(切削条件) 被削材 :A390−T6(A1−17%Si) 軸方向に8本のV字状断面の溝を有する丸棒 切削速度 :900m/min 切り込み量:0.8mm 送り速度 :0.12mm/rev. 冷却液 :水溶性油剤 (評価方法) 5分切削後および60分切削後の刃先状態の比較。その
結果、表6に示すように、本発明である実施例2の工具
No.Dは、比較例4である焼結ダイヤモンドを用いた
工具No.Fに比べ、長時間にわたって鋭利な切刃が維
持されることが明らかとなった。また、比較例3である
TaCからなる熱拡散防止層を形成していないダイヤモ
ンド多結晶体を用いた工具No.Eは、ろう材が流出す
るとともに大きな欠損が発生し、工具として致命的な損
傷を来すことが明らかとなった。
【0042】
【表6】
【0043】(参考例2) Rmaxで0.06μmの鏡面加工が施されたMo基板
の置かれた反応管中に、原料ガスを供給した。次に、高
周波発振器から高周波を与え、原料ガスを励起してプラ
ズマを発生させMo基板上にダイヤモンド多結晶体層を
合成した。合成は以下の条件で行なった。
【0044】
【表7】
【0045】合成後、熱王水に浸漬してMo基板のみを
溶解除去することにより、平均結晶粒径が3μmで厚さ
が0.35mmのダイヤモンド多結晶体層を回収するこ
とができた。なお、Mo基板と対向しているダイヤモン
ド多結晶体層の面はRmaxで0.06μmの鏡面であ
った。このダイヤモンド多結晶体の成長上面に厚さ0.
25mmのW板を配置し、電子ビームにより、短時間で
Wを加熱溶解させてダイヤモンド多結晶体と反応・接合
した。回収した接合体は接合部の厚さ0.1mmがW
C、残部0.15mmが金属Wであった。
【0046】
【表8】
【0047】上記の方法で得られた積層体を工具素材と
して、融点が870℃のろう材を用いて超硬合金製シャ
ンクと接合した。この工具をNo.Gとする。
【0048】比較として上記と同様のろう材を用いて、
WCが形成されていないダイヤモンド多結晶体単体と超
硬合金製シャンクの接合も行なった。ダイヤモンド多結
晶体の合成条件は実施例3と同じにした。この工具をN
o.Hとする。
【0049】さらに比較として粒径が5μmで結合材と
してCoを12容量%含有する焼結ダイヤモンドを工具
素材とし、この工具素材を上記と同様のろう材を用いて
超硬合金製シャンクと接合した。この工具をNo.Iと
する。なお、工具No.G、H、Iを#1500砥石に
より刃付けした。これらのスローアウェイチップ工具と
しての性能評価は以下の条件で行なった。
【0050】(切削条件) 被削材 :硬質カーボン 切削速度 :1000m/min 切り込み量:0.8mm 送り速度 :0.2mm/rev. 切削時間 :20分 冷却液 :水溶性油剤 (評価方法) 5分切削後および60分切削後の刃先状態の比較。その
結果、表9に示すように本発明である実施例3の工具N
o.Gは、比較例6である焼結ダイヤモンドを用いた工
具No.Iに比べ、長時間にわたって鋭利な切刃を維持
されることが明らかとなった。また、比較例5である工
具No.Hは、ろう材が流出するとともに大きな欠損を
発生し、工具として致命的な損傷を来すことが明らかと
なった。
【0051】
【表9】
【0052】
【発明の効果】この発明によれば、ダイヤモンド多結晶
体層とろう付け部との間に熱伝導率の低い熱拡散防止層
を設けているので、工具として使用する際に生ずる熱で
刃先が高熱になっても、ろう付け部の強度が低下するこ
とがなくなる。また工具素材の厚さが従来に比べ増すの
で工具素材の強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従ったダイヤモンド多結晶体切削工
具の実施例1の拡大図である。
【図2】この発明に従ったダイヤモンド多結晶体切削工
具の実施例1の製造工程のうち、第1工程を示すもので
あって、ダイヤモンド多結晶体層が形成されたSi基板
の模式図である。
【図3】この発明に従ったダイヤモンド多結晶体切削工
具の実施例1の製造工程のうち、第2工程を示すもので
あって、積層体を弗硝酸液中に浸漬している状態を示す
模式図である。
【図4】この発明に従ったダイヤモンド多結晶体切削工
具の実施例1の製造工程のうち、第3工程を示すもので
あって、ダイヤモンド多結晶体層とTiCとからなる工
具素材の模式図である。
【図5】この発明に従ったダイヤモンド多結晶体切削工
具の実施例1の製造工程のうち、第4工程を示すもので
あって、積層体を超硬合金製シャンクにろう付けした状
態を示す模式図である。
【図6】この発明に従ったダイヤモンド多結晶体切削工
具の実施例1の製造工程のうち、第5工程を示すもので
あって、刃付けを行なった状態を示す模式図である。
【図7】図6に示すダイヤモンド多結晶体切削工具の斜
視図である。
【図8】この発明に従ったダイヤモンド多結晶体切削工
具の参考例1の製造工程のうち、第1工程を示すもので
あって、ダイヤモンド多結晶体層が形成されたW基板の
模式図である。
【図9】この発明に従ったダイヤモンド多結晶体切削工
具の参考例1の製造工程のうち、第2工程を示すもので
あって、TaC、ダイヤモンド多結晶体層を積層したW
基板の模式図である。
【図10】この発明に従ったダイヤモンド多結晶体切削
工具の参考例1の製造工程のうち、第3工程を示すもの
であって、図9に示すW基板を熱王水中に浸漬した状態
を示す模式図である。
【図11】この発明に従ったダイヤモンド多結晶体切削
工具の参考例1の製造工程のうち、第4工程を示すもの
であって、ダイヤモンド多結晶体層とTaCからなる工
具素材の模式図である。
【符号の説明】
1 Si基板 3 ダイヤモンド多結晶体層 5 弗硝酸 11 TiC 13 超硬合金製シャンク 17 ろう付け部 19 工具素材 21 Mo基板 23 TaC 25 熱王水
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中井 哲男 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住 友電気工業株式会社 伊丹製作所内 (56)参考文献 特開 平2−274405(JP,A) 特開 昭54−45313(JP,A) 特開 平1−212767(JP,A) 特開 平3−98704(JP,A) 特開 昭63−199870(JP,A)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイヤモンド多結晶体層がすくい面とな
    るダイヤモンド多結晶体切削工具であって、室温での熱
    伝導率が3〜20W/cm・Kで厚みが0.1〜0.5
    mmの前記ダイヤモンド多結晶体層と、ろう付け部と、
    前記ダイヤモンド多結晶体層と前記ろう付け部との間に
    位置する室温での熱伝導率が0.1〜2W/cm・Kで
    厚みが0.05〜0.5mmの熱拡散防止層とを有する
    工具素材と、前記ろう付け部をろう付けすることによっ
    て、前記工具素材を支持する工具支持体と、を備え、前
    記熱拡散防止層がTiの炭化物(以下TiCと記す)か
    らなり、前記すくい面が、Rmaxで0.2μm以下の
    鏡面状態である、ダイヤモンド多結晶体切削工具。
  2. 【請求項2】 前記工具支持体が超硬合金を含む、請求
    項1に記載のダイヤモンド多結晶体切削工具。
  3. 【請求項3】 前記ダイヤモンド多結晶体の粒径が0.
    5〜15μmである、請求項1に記載のダイヤモンド多
    結晶体切削工具。
  4. 【請求項4】 ダイヤモンド多結晶体層がすくい面とな
    るダイヤモンド多結晶体切削工具の製造方法であって、
    表面をRmaxで0.2μm以下の鏡面状態にしたSi
    からなる基板上に低圧気相法によって室温での熱伝導率
    が3〜20W/cm・Kの前記ダイヤモンド多結晶体層
    0.1〜0.5mmの厚さで形成する工程と、前記ダ
    イヤモンド多結晶体層上に室温での熱伝導率が0.1〜
    2W/cm・Kの熱拡散防止層を0.05〜0.5mm
    の厚さで形成する工程と、前記基板、前記ダイヤモンド
    多結晶体層および前記熱拡散防止層を含む積層体から前
    記基板を化学的方法により除去し、工具素材を作製する
    工程と、前記ダイヤモンド多結晶体層とろう付け部との
    間に前記熱拡散防止層が位置するように、前記工具素材
    を工具支持体にろう付けする工程と、刃先を必要形状に
    加工する工程とを備え、前記熱拡散防止層が、TiCか
    らなり、前記すくい面が、前記Si基板の表面状態を転
    写したRmaxで0.2μm以下の鏡面状態である、ダ
    イヤモンド多結晶体切削工具の製造方法。
  5. 【請求項5】 ダイヤモンド多結晶体層がすくい面とな
    るダイヤモンド結晶体切削工具の製造方法であって、
    面をRmaxで0.2μm以下の鏡面状態にしたSiか
    らなる基板上に低圧気相法によって室温での熱伝導率が
    3〜20W/cm・Kのダイヤモンド多結晶体層を0.
    1〜0.5mmの厚さで形成する工程と、前記ダイヤモ
    ンド多結晶体層から前記基板を化学的方法により除去す
    る工程と、前記ダイヤモンド多結晶体層の成長上面上に
    室温での熱伝導率が0.1〜2W/cm・Kの熱拡散防
    止層を0.05〜0.5mmの厚さで形成し、工具素材
    を作製する工程と、前記ダイヤモンド多結晶体層とろう
    付け部との間に前記熱拡散防止層が位置するように、前
    記工具素材を工具支持体にろう付けする工程と、刃先を
    必要形状に加工する工程と、を備え、前記熱拡散防止層
    が、TiCからなり、前記すくい面が、前記Si基板の
    表面状態を転写したRmaxで0.2μm以下の鏡面状
    態である、ダイヤモンド多結晶体切削工具の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記工具支持体が超硬合金を含む、請求
    項4または5に記載のダイヤモンド多結晶体切削工具の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 前記ダイヤモンド多結晶体の粒径が0.
    5〜15μmである、請求項4または5に記載のダイヤ
    モンド多結晶体切削工具の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記基板がSiである、請求項4または
    5に記載のダイヤモンド多結晶体切削工具の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記基板を除去する化学的な方法とし
    て、塩酸、硫酸、硝酸および弗酸を含む群から選ばれた
    少なくとも1種以上の液中で前記基板を溶解する、請求
    項4または5に記載のダイヤモンド多結晶体切削工具の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 刃先の形成をレーザ加工によって行な
    う、請求項4または5に記載のダイヤモンド多結晶体切
    削工具の製造方法。
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