JP3396138B2 - 磁性を備えた高耐蝕性ステンレス鋼線及び篩分けフィルタ - Google Patents

磁性を備えた高耐蝕性ステンレス鋼線及び篩分けフィルタ

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JP3396138B2
JP3396138B2 JP28822596A JP28822596A JP3396138B2 JP 3396138 B2 JP3396138 B2 JP 3396138B2 JP 28822596 A JP28822596 A JP 28822596A JP 28822596 A JP28822596 A JP 28822596A JP 3396138 B2 JP3396138 B2 JP 3396138B2
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steel wire
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性と高耐蝕性と
を同時に備えるステンレス鋼線及びこのステンレス鋼線
により形成されるメッシュを用いた篩分けフィルタに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、粉体加工工程で使用される篩分け
フィルタは、オーステナイト系ステンレスSUS304
やSUS316製のメッシュを利用したものが主に使わ
れている。これらは、磁性が殆どないことから使用中に
おいて何らかの原因でメッシュが破られ、その破片が製
品中、特に食品、薬品、セラミックス粉末等の中に混入
した場合、それを取り除くことが極めて困難である。
【0003】このため、一部の篩分けフィルタには、磁
性を持つフエライト系ステンレスSUS430のメッシ
ュが使用されている。しかし、SUS430の耐蝕性は
オーステナイト系ステンレスより低いため、短期間にお
いてしばしば発錆することがある。さらに、このSUS
430のもう一つの欠点は、製線工程における中間熱処
理に特殊な温度条件が要求されるということである。
【0004】即ち、通常SUS304の熱処理温度11
50℃前後に対して、SUS430の場合は、850℃
位となっている。これはステンレス鋼線加工メーカーに
とって甚だ不便なことである。というのは、ステンレス
鋼線の2次加工においては、主として需要が多いSUS
304などオーステナイト系ステンレスを製造している
ことから、熱処理設備はSUS304用に適応したもの
が殆どであることである。
【0005】このため、SUS430などフエライト系
を加工する場合、専用の加熱設備を別途設置するか、あ
るいはその生産期間中はSUS304の生産を停止しな
ければならなくなる問題が生じる。尚、高耐蝕性フエラ
イト系ステンレスも一部において提供されてはいるが、
製造原価が高くつくこと、加工し難いことなどのために
殆ど実用されていないのが実状である。さらに、SUS
430材の引張強度はオーステナイト系材より低い。こ
れは、粉体製造時の生産性が低下することを意味する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題点の解消を図るために成されたものであり、本発明
の目的は、用途に応じて磁性を持つフェライト相の割合
を変化することができ、しかも既設の製線ラインに大幅
な改変を加えることなくそのままでの利用が可能で低コ
スト生産が図れて、もって実用性、経済性に優れる高磁
性・高耐蝕性・高耐摩耗性ステンレス鋼線並びにこのス
テンレス鋼線により形成されるメッシユを用いた篩分け
フィルタを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するためとして以下に述べる構成としたものであ
る。即ち、本発明のうち請求項1の発明は、重量%で、
C:0.01〜0.05%、Si:0.1〜1.5%、
Mn:0.3〜1.0%、P:0.01〜0.04%、
S:0.001〜0.03%、Ni:3〜8%、Cr:
20〜30%、Mo:1.0〜6.0%を含有し、残り
がFe及び不可避的不純物であって、Cr、Mo、S
i、Ni及びMnが、重量%でCr+Mo+2Si≧4
Ni+Mnの関係式を満たすとともに、伸線加工と固溶
化処理を繰り返す工程において、最終固溶化処理後に微
細結晶粒を得られる程度の伸線加工を施したのち、最終
的に900〜1200℃の間での固溶化処理によってフ
ェライト量を体積比率で30.0〜80.0%にコント
ロールさせて製造されることを特徴とする磁性を備えた
高耐蝕性ステンレス鋼線である。
【0008】また本発明のうち請求項2の発明は、前項
に記載の発明において最終固溶化処理後に微細結晶粒を
得られる程度の伸線加工が30%以上の伸線加工度であ
ことを特徴とする高耐蝕性ステンレス鋼線である。
【0009】また本発明のうち請求項3の発明は、重量
%で、C:0.01〜0.05%、Si:0.1〜1.
5%、Mn:0.3〜1.0%、P:0.01〜0.0
4%、S:0.001〜0.03%、Ni:3〜8%、
Cr:20〜30%、Mo:1.0〜6.0%、Cu:
1.0〜3.0%、Nb:0.1〜0.5%を含有し、
残りがFe及び不可避的不純物であって、Cr、Mo、
Si、Ni、Mn及びCuが、重量%でCr+Mo+2
Si≧4Ni+Mn+Cuの関係式を満たすとともに、
伸線加工と固溶化処理を繰り返す工程において、最終
溶化処理後に微細結晶粒を得られる程度の伸線加工を施
したのち、最終的に900〜1200℃の間での固溶化
処理によってフェライト量を体積比率で30.0〜8
0.0%にコントロールさせて製造されることを特徴と
する磁性を備えた高耐蝕性ステンレス鋼線である。
【0010】また本発明のうち請求項4の発明は、前項
に記載の発明において最終固溶化処理後に微細結晶粒を
得られる程度の伸線加工が30%以上の伸線加工度であ
ことを特徴とする高耐蝕性ステンレス鋼線である。
【0011】また本発明のうち請求項5の発明は、重量
%で、C:0.01〜0.05%、Si:0.1〜1.
5%、Mn:0.3〜1.0%、P:0.01〜0.0
4%、S:0.001〜0.03%、Ni:3〜8%、
Cr:20〜30%、Mo:1.0〜6.0%を含有
し、残りがFe及び不可避的不純物であって、かつ、重
量%で、Cr+Mo+2Si≧4Ni+Mnの関係式
(A)が満足されるとともに、伸線加工と固溶化処理を
繰り返す工程において、最終固溶化処理後に微細結晶粒
を得られる程度の伸線加工を施したのち、最終的に90
0〜1200℃の間での固溶化処理によってフェライト
量を体積比率で30.0〜80.0%にコントロールさ
せて製造される磁性を備えた高耐蝕性ステンレス鋼線を
網組みして成るメッシュを備えることを特徴とする篩分
けフィルタである。
【0012】また本発明のうち請求項6の発明は、重量
%で、C:0.01〜0.05%、Si:0.1〜1.
5%、Mn:0.3〜1.0%、P:0.01〜0.0
4%、S:0.001〜0.03%、Ni:3〜8%、
Cr:20〜30%、Mo:1.0〜6.0%、Cu:
1.0〜3.0%、Nb:0.1〜0.5%を含有し、
残りがFe及び不可避的不純物であって、かつ、重量%
で、Cr+Mo+2Si≧4Ni+Mn+Cuの関係式
(B)が満足されるとともに、伸線加工と固溶化処理を
繰り返す工程において、最終固溶化処理後に微細結晶粒
を得られる程度の伸線加工を施したのち、最終的に90
0〜1200℃の間での固溶化処理によってフェライト
量を体積比率で30.0〜80.0%にコントロールさ
せて製造される磁性を備えた高耐蝕性ステンレス鋼線を
網組みして成るメッシュを備えることを特徴とする篩分
けフィルタである。
【0013】本発明は、上述の諸問題を解決し優れた耐
蝕性及び高い耐摩耗性を持ちながら磁性のあるオーステ
ナイト・フェライト系ステンレス鋼線及びそれを材料と
する篩分けフィルタを低コストに提供することができ
る。また、本発明ステンレス鋼線の製線工程における中
間熱処理は従来のオーステナイト系ステンレスSUS3
04と同じ温度下で行うことも可能である。さらに、ス
テンレス鋼線の磁性の強さを調整する最終熱処理におい
ても、SUS304と同じか、乃至は近似の温度の下で
実施できる。従って、新たな加熱設備の設置は不要で従
来の製造ラインを利用しての製線が十分に可能である。
【0014】また、本発明鋼線を用いた篩分けフィルタ
の強さは、従来のオーステナイト系やフェライト系より
も高いため、一回の篩分け粉体量を増やすことができ
る。従って、粉体加工の生産性を向上することになる。
さらに、本発明鋼線を用いた篩分けフィルタの耐摩耗性
は従来のオーステナイト系やフェライト系よりも高いと
いうことが同じ使用条件においてフィルタの寿命が長く
なることを意味する。
【0015】ところで本発明は、最終の固溶化処理で微
細結晶粒組織を得られる程度の伸線加工を施すことが特
徴の一つである。なお、微細結晶粒を得るために、30
%以上の伸線加工度は必要となる。つまり、この伸線加
工およびその後の固溶化処理によって微細なオーステナ
イト・フェライト2相組織が得られることにより鋼線の
引張強度が高くなるのである。金属材料に関しては、そ
の強さ(σ)はホール−ペッチの式:σ=σ0 +ky
-1/2(但し、dは結晶粒径を指す)によって決められる
ものであり、結晶粒の粒径に反比例の関係となってい
る。即ち、結晶粒は細かいほど材料の強さが高くなる。
また、硬度と引張強さとは比例するため、引張強さが高
くなると硬度も高くなる。そして、硬度が高くなると、
耐摩耗性が向上することになる。
【0016】次に、前掲の関係式(A)が満足されるこ
とに関してその根拠を以下に説明する。関係式(A)
は、オーステナイトとフェライトのバランスを調節する
ためについての関係式である。Cr,Mo,Siはフェ
ライト形成元素であり、一方、これに対してNi,Mn
はオーステナイト形成元素である。請求項1のような成
分組成条件並びに加工処理手段を採用することによっ
て、Cr,Mo,Siはフェライト、Ni,Mnはオー
ステナイトになることから、要は、磁性と耐蝕性のバラ
ンス及び2相組織構成の点を考えると、関係式(A)を
満足することが好ましいということである。逆に言う
と、関係式(A)を満足しないと、特許請求の範囲に記
載される成分の組合せではフェライト量は30.0〜8
0.0%の範囲を外れる恐れがあるということである。
この根拠の内容は、前掲の関係式(B)についても同様
のことがいえる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を、図面を参照しながら説明する。本発明に係るステ
ンレス鋼線は、適用する篩分けフィルタ等の最終製品に
おいて要求される仕上げ線径に合わせるため、伸線加工
が当然に必要となる。この場合、材料の機械的性質の低
下をもたらす再結晶粒の異常粗大化を防ぐために30%
以上の伸線加工度が必要である。
【0018】本発明ステンレス鋼線は、伸線加工した
後、固溶化処理することによって磁性の強さを調整でき
る。即ち、2相ステンレス鋼線は同じ成分において90
0〜1200℃の間の温度域では固溶化処理温度の上昇
に伴って磁性を持つフェライト相の体積比率が増える特
性を有する。
【0019】以上のことから本発明のステンレス鋼線及
び篩分けフィルタは、用途に応じて耐蝕性と磁性のバラ
ンスを適宜コントロールすることが可能である。なお、
製線工程において900°以下の温度域では材料を脆化
するε相が析出するおそれがあるので避けるべきであ
る。
【0020】また、フェライト相の体積比率は50〜6
0%のときに本発明ステンレス鋼線の耐蝕性は最も優れ
ていることが実験結果から明らかである。但し、フェラ
イト相の体積比率がたとえ50〜60%以外の場合であ
っても、特許請求の範囲に記載の構成を備える本発明2
相ステンレス鋼線はオーステナイト系ステンレス鋼線以
上の耐蝕性を持つものである。
【0021】なお、磁性と耐蝕性のバランスを適正に保
たせるためには、重量%で、C:0.01〜0.05
%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.3〜1.0
%、P:0.01〜0.04%、S:0.001〜0.
03%、Ni:3〜8%、Cr:20〜30%、Mo:
1.0〜6.0%を含有し、残りがFe及び不可避的不
純物であるものでは、Cr+Mo+2Si≧4Ni+M
nの関係式(A)が満足されるように、また、重量%
で、C:0.01〜0.05%、Si:0.1〜1.5
%、Mn:0.3〜1.0%、P:0.01〜0.04
%、S:0.001〜0.03%、Ni:3〜8%、C
r:20〜30%、Mo:1.0〜6.0%、Cu:
1.0〜3.0%、Nb:0.1〜0.5%を含有し、
残りがFe及び不可避的不純物であるものでは、Cr+
Mo+2Si≧4Ni+Mn+Cuの関係式(B)が満
足されるように、それぞれ成分調整することが好まし
い。
【0022】次に各成分についてみると以下に述べる通
りである。 C:Cが多いと炭化物が粒界に析出しやすくなって耐蝕
性を低下させるため、0.05%以下に抑える。 Si:Siは脱酸元素であり、適量は必要であるが、多
いと鋼質を脆化させるので、1.5%以下に抑える。 Mn:Mnは脱硫元素であり、適量は必要であるが、多
くなると加工硬化が著しくなり、加工性を損なうため、
1.0%以下に抑える。 P:通常の溶製上、経済的に低減できるレベルの0.0
4%以下とする。 S:Sも上記のPと同じ理由で0.03%以下とする。 Ni:2相組織とするために、後記のCr量に対応して
Niは3〜8%が必要である。
【0023】Cr:Crは後述するMo同様、フェライ
ト形成元素であり、主にフェライト相中に固溶する。フ
ェライト相の耐蝕性を向上させるため、特にフェライト
相体積比率の高い場合ではやや高めに添加する必要があ
る。20%以下では耐蝕性が低下するが、30%を超え
ると熱間加工性が劣化し、経済性も悪くなり、また、2
相組織とするためにCrが多すぎるとその相バランス上
からNiも多く添加する必要が生じて、この点でも不利
であるので、20〜30%とする。 Mo:1.0%あれば耐蝕性は向上し、量が多くなるに
つれて効果は著しいが、高価な元素である点から6.0
%あれば十分である。 Cu:耐蝕性を上げると同時に冷間加工性を改善させる
ため、フィルタ加工の生産性の向上につながるが、1.
0%以下ではその効果があまりみられず、3.0%あれ
ば十分である。 Nb:耐蝕性を向上させる元素であるが、0.1%以下
ではその効果がみられず、0.5%あれば十分である。
【0024】
【実施例】本発明に係る2相ステンレス鋼線の特有の効
果を明らかにするべく篩分けフィルタの例を挙げて比較
製品との特性対比を行った。この場合の篩分けフィルタ
としては、図1に部分拡大して平面示する如く、本発明
に係るステンレス鋼(表1に例示するA,B及びCの3
種)と、比較鋼であるSUS304,SUS316及び
SUS430の3種の各材料から製造した所定の線径の
鋼線1を平織り(縦線と横線とが一定の間隔を保ち、1
本ずつ相互に交絡しているもの、及びこれに類するも
の)により網組みした金網を使用している。
【0025】ここで、供試される金網の鋼線は下記「表
1」に示す成分組成を有する本発明鋼A,B,C及び比
較鋼SUS304,SUS316の5.5mmφ線材を1
100℃、また、SUS430の5.5mmφ線材を85
0℃の各温度条件下で、固溶処理及びその後の伸線加工
を繰り返し、それぞれ所定の線径まで仕上げた後、再度
固溶化処理を行ってから網組みによりフィルタ加工し
た。
【0026】
【表1】
【0027】本発明に係るステンレス鋼線及び該鋼線か
ら形成した金網と、比較品である比較鋼線及び金網との
それぞれの磁性特性の結果は下記「表2」の通りであ
る。
【0028】
【表2】
【0029】上記「表2」において、透磁率は材料の磁
性を表す数値で、完全な非磁性の場合が透磁率=1であ
る。表中において、「鋼線」は金網作製前の状態、「フ
ィルタ」は金網状態を指す。透磁率は理研電子株式会社
製の直流磁気測定装置を用いて測定した。SUS304
鋼線の場合、網加工前の熱処理した状態のため、完全な
非磁性である。この鋼線は、網加工後のメッシュでは透
磁率は少し増えているが、これは網加工中に5〜10%
伸線加工に相当する引張加工が加えられるために、2〜
5%程度の若干の磁性を持つ加工誘起マルテンサイトが
生じることに基づくものである。
【0030】一方、SUS316の場合、網加工後も完
全な非磁性状態である。これはSUS316の材料が6
0%以上の冷間加工をしない限り、マルテンサイトが殆
どできないからである。なお、本発明鋼に係る透磁率
は、フェライト系のSUS430より僅かに低くなって
いるが、オーステナイト系ステンレス鋼に比べると強い
磁性特性を示していることが判る。
【0031】また、本発明鋼Bとオーステナイト系ステ
ンレス鋼とを耐海水腐食性に関して比較調査したとこ
ろ、下記「表3」に示されるような測定結果が得られ
て、本発明鋼Bが極めて良好な耐蝕性を備えていること
が明らかにされる。
【0032】
【表3】
【0033】次いで、本発明に係る篩分けフィルタ用金
網と比較篩分けフィルタ用金網とを対比の上、金網が破
損したとした場合における磁石による除去率について実
験を行ったところ、下記「表4」の通りの結果が得られ
た。
【0034】
【表4】
【0035】「表4」において、線径0.15mmφと
0.40mmφの各鋼種の金網を用意して、それぞれ2×
2、5×5、10×10(mm)の正方形に裁断したものを
試料(破損片)として、大気中、粉体中及び液体中の3
種の条件下において磁石での磁着による除去がどの程度
で行われるかを調べた。この場合、粉体はメリケン粉を
使用し、また、液体の場合は蒸留水を使用した。一方、
磁石としては市販の永久磁石を用いた。そして本発明例
のものは、段落番号〔0023〕の項で例示した鋼線
A,B,Cを使用した。
【0036】先ず、SUS304の場合、焼鈍・伸線後
の「なまし」材では磁性がないが金網加工(5〜10%
伸線加工相当の引張付与が行われる)の際、2〜5%の
磁性を持つ加工誘起マルテンサイト相ができるため、若
干の磁性を持つ。しかし、磁性が弱すぎるので、線径、
寸法に応じて60〜5%の間の除去率となり、完全に取
り除くことが不可能である。特に、線径が稍々太め (0.
4mm)の場合、金網カットに対する磁力はその重力に比し
て弱い結果、除去率が低下していることが判る。また、
SUS316の場合は、少なくとも60%以下の冷間加
工ではマルテンサイトができなくて磁性を持たないた
め、全ての条件下において除去率は0%である。
【0037】これらに対して本発明に係る例では、何れ
の実験条件下においても100%の除去率を有すること
が明示されており、磁性を備えた高耐蝕性の金網として
その実用性が評価される所以である。なお、フェライト
系のSUS430は磁性が最も強いため、当然の結果と
して全ての条件下において除去率は100%となってい
る。
【0038】
【発明の効果】本発明のうち請求項1乃至4記載の発明
は、ステンレス鋼線の製線工程で従来から多用されてい
る中間熱処理設備を改変することなくそのまま使用する
ことによって、磁性を持つ高耐蝕性2相ステンレス鋼線
を加工することが可能となり、低コストの製品を高生産
効率の下で提供し得る。
【0039】また、本発明のうち請求項5及び6記載の
発明は、磁性を持つ高耐蝕性2相ステンレス鋼線によっ
て篩分けフィルタの金網を形成することによって、防錆
性に優れたものが得られるので、長期間に亘りメンテナ
ンスフリーで篩分け作業が安定的に行える利点がある。
更に、金網が万一破損することがあってもその破片を磁
石によって確実に捕捉することが可能であり、食品、薬
品などの安全性が特に要求される製品の篩分け作業分野
に適用して頗る有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る篩分けフィルタに用いられる金網
の部分拡大図で、(イ)は正面図、(ロ)は平面図であ
る。
【符号の説明】
1…鋼線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22C 38/44 C22C 38/44 38/48 38/48 (72)発明者 寺田 勝信 大阪市東成区大今里南4丁目1番8号 真鍋工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−229841(JP,A) 特開 平6−287714(JP,A) 特開 平6−240410(JP,A) 特開 平4−80347(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.01〜0.05%、
    Si:0.1〜1.5%、Mn:0.3〜1.0%、
    P:0.01〜0.04%、S:0.001〜0.03
    %、Ni:3〜8%、Cr:20〜30%、Mo:1.
    0〜6.0%を含有し、残りがFe及び不可避的不純物
    であって、Cr、Mo、Si、Ni及びMnが、重量%
    でCr+Mo+2Si≧4Ni+Mnの関係式を満たす
    とともに、伸線加工と固溶化処理を繰り返す工程におい
    て、最終固溶化処理後に微細結晶粒を得られる程度の伸
    線加工を施したのち、最終的に900〜1200℃の間
    での固溶化処理によってフェライト量を体積比率で3
    0.0〜80.0%にコントロールさせて製造されるこ
    とを特徴とする磁性を備えた高耐蝕性ステンレス鋼線。
  2. 【請求項2】 最終固溶化処理後に微細結晶粒を得られ
    る程度の伸線加工が30%以上の伸線加工度である請求
    項1記載の磁性を備えた高耐蝕性ステンレス鋼線。
  3. 【請求項3】 重量%で、C:0.01〜0.05%、
    Si:0.1〜1.5%、Mn:0.3〜1.0%、
    P:0.01〜0.04%、S:0.001〜0.03
    %、Ni:3〜8%、Cr:20〜30%、Mo:1.
    0〜6.0%、Cu:1.0〜3.0%、Nb:0.1
    〜0.5%を含有し、残りがFe及び不可避的不純物で
    あって、Cr、Mo、Si、Ni、Mn及びCuが、重
    量%でCr+Mo+2Si≧4Ni+Mn+Cuの関係
    式を満たすとともに、伸線加工と固溶化処理を繰り返す
    工程において、最終固溶化処理後に微細結晶粒を得られ
    る程度の伸線加工を施したのち、最終的に900〜12
    00℃の間での固溶化処理によってフェライト量を体積
    比率で30.0〜80.0%にコントロールさせて製造
    されることを特徴とする磁性を備えた高耐蝕性ステンレ
    ス鋼線。
  4. 【請求項4】 最終固溶化処理後に微細結晶粒を得られ
    る程度の伸線加工が30%以上の伸線加工度である請求
    項3記載の磁性を備えた高耐蝕性ステンレス鋼線。
  5. 【請求項5】 重量%で、C:0.01〜0.05%、
    Si:0.1〜1.5%、Mn:0.3〜1.0%、
    P:0.01〜0.04%、S:0.001〜0.03
    %、Ni:3〜8%、Cr:20〜30%、Mo:1.
    0〜6.0%を含有し、残りがFe及び不可避的不純物
    であって、かつ、重量%でCr+Mo+2Si≧4Ni
    +Mnの関係式が満足されるとともに、伸線加工と固溶
    化処理を繰り返す工程において、最終固溶化処理後に微
    細結晶粒を得られる程度の伸線加工を施したのち、最終
    的に900〜1200℃の間での固溶化処理によってフ
    ェライト量を体積比率で30.0〜80.0%にコント
    ロールさせて製造される磁性を備えた高耐蝕性ステンレ
    ス鋼線を網組みして成るメッシュを備えることを特徴と
    する篩分けフィルタ。
  6. 【請求項6】 重量%で、C:0.01〜0.05%、
    Si:0.1〜1.5%、Mn:0.3〜1.0%、
    P:0.01〜0.04%、S:0.001〜0.03
    %、Ni:3〜8%、Cr:20〜30%、Mo:1.
    0〜6.0%、Cu:1.0〜3.0%、Nb:0.1
    〜0.5%を含有し、残りがFe及び不可避的不純物で
    あって、かつ、重量%でCr+Mo+2Si≧4Ni+
    Mn+Cuの関係式が満足されるとともに、伸線加工と
    固溶化処理を繰り返す工程において、最終固溶化処理後
    に微細結晶粒を得られる程度の伸線加工を施したのち、
    最終的に900〜1200℃の間での固溶化処理によっ
    てフェライト量を体積比率で30.0〜80.0%にコ
    ントロールさせて製造される磁性を備えた高耐蝕性ステ
    ンレス鋼線を網組みして成るメッシュを備えることを特
    徴とする篩分けフィルタ。
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