JP3372163B2 - 水性顔料インキの製造方法 - Google Patents

水性顔料インキの製造方法

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JP3372163B2
JP3372163B2 JP05898896A JP5898896A JP3372163B2 JP 3372163 B2 JP3372163 B2 JP 3372163B2 JP 05898896 A JP05898896 A JP 05898896A JP 5898896 A JP5898896 A JP 5898896A JP 3372163 B2 JP3372163 B2 JP 3372163B2
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俊之 長澤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水性顔料インキの製造方
法に関し、特に、カラーブラウン管及び液晶プラズマデ
ィスプレー用光学フィルターのブラックマトリックスの
ような画像表示装置の製造に使用できる水性顔料インキ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー表示を行う液晶表示素子に用いら
れるカラーフィルターでは、ガラスのような電気絶縁性
の透明基盤上に、R(赤)、G(緑)、B(青)の三原色の着色
セルが交互に配列される。そして、不要な光の漏光を防
ぎコントラストを高く維持するために、その着色層の個
々の着色セルの間陵部分にブラックマトリックスが設け
られる。通常、ブラックマトリックスの形成には、光の
遮断性がよく、見た目の色が黒色又はそれに近い炭素系
又は金属酸化物系顔料を含む塗料組成物が用いられる。
ブラックマトリックス用塗料組成物は、通常上記のよう
な顔料及び水性媒体を含む水性顔料インキと塗膜形成樹
脂とから調製する。
【0003】代表的な炭素系顔料にはカーボンブラック
がある。カーボンブラックは安価で入手容易であるが、
微分散性等に問題があり、光学濃度が不充分である。し
たがって、カーボンブラックを含む塗料を用いてブラッ
クマトリックスを形成する場合は、遮光性を高めるため
に膜厚を厚くせねばならない。その結果、膜の表面が凹
凸になってカラーフィルターの解像性が低下するという
問題がある。
【0004】代表的な金属酸化物系顔料には金属クロム
がある。金属クロムは導電性が高い。したがって、金属
クロムを用いてブラックマトリックスを形成する場合
は、電気絶縁性を付与するために塗膜表面を樹脂コーテ
ィングする必要がある。さらに金属クロムは反射率が高
いため画像が見にくくなる。また、金属クロムによる塗
膜の作製には、作業コストが高いという問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題を解決するものであり、その目的とするところは、光
学濃度が高く、膜の平坦性に優れそして導電性の低いブ
ラックマトリックスを形成し、カラーフィルターに高い
解像性を付与する水性顔料インキの製造方法を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)吸油量
100ml/100g以下のカーボンブラック(但し、酸性カーボ
ンブラックを除く)を水性媒体中に微分散する工程;
(b)次亜ハロゲン酸塩を用いて該カーボンブラックを
酸化する工程;及び(c)酸化して得た生成物を精製及
び濃度調節する工程;を包含する水性顔料インキの製造
方法を提供するものであり、そのことによって上記目的
が達成される。
【0007】カーボンブラックは、天然ガスや液状炭化
水素(重油やタール)等を熱分解または不完全燃焼させ製
造される。また、製造方法によってチャンネルブラッ
ク、ファーネスブラック等に分類され、様々な銘柄のカ
ーボンブラックが市販されている。
【0008】一般に、水性顔料インクには着色用カーボ
ンブラック(カラー用カーボンブラック)と称されるもの
が好適に用いられる。そのようなカーボンブラックとし
ては、三菱化学社製のカーボンブラック、キャボット社
製のオイルファーネス、デグザ社製のカラーファーネ
ス、コロンビアカーボン日本社製のカラー用カーボンブ
ラックが挙げられる。
【0009】本発明の方法に用いるカーボンブラック
は、アルカリ性、中性又は酸性のいずれでもよいが、吸
油量が小さいものが好ましい。吸油量が小さいカーボン
ブラックは本発明の方法で微細化され易く、微分散性や
電気絶縁性において良好な結果が得られるからである。
本発明で用いるのに好ましいカーボンブラックは、吸油
量100ml/100g以下、特に吸油量80ml/100g以下を有す
る。
【0010】吸油量は、乾燥された一定量のカーボンブ
ラックがフタル酸ジブチルのような油を吸収する量をい
い、JIS K6221に規定される。その測定法の詳細は、カ
ーボンブラック便覧、カーボンブラック協会編、図書出
版社発行、第440〜441頁に記載されている。尚、吸油量
の測定法には、A法(機械法)とB法(へら練り法)がある。
本発明で用いる吸油量は、A法、B法のいづれによるもの
でもよいが、A法が好ましい。
【0011】本発明の方法に用いるのに好ましいカーボ
ンブラックは、具体的には、三菱化学社製の「#45」、
デグサ社製の「Printex55」及びキャプラック社製の「R
EGAL415R」等が挙げられる。
【0012】本発明の方法では、まず、このようなカー
ボンブラックを水性媒体中に微分散する。
【0013】カーボンブラックを微分散する水性液媒体
としては、水溶性染料を記録剤とするインキと同様なも
のが使用できる。すなわち、水(イオン交換水)または水
と水溶性有機溶剤の混合液であり、水溶性有機溶剤とし
ては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n-
プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチ
ルアルコール、sec-ブチルアルコール、イソブチルアル
コールのような炭素数1〜4のアルキルアルコール類;
アセトン、ジアセトンアルコールのようなケトンまたは
ケトンアルコール類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオ
キサンのようなエーテル類;エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコールのようなアルキレングリコール類;ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコールのような
ポリアルキレングリコール類;エチレングリコールモノ
エチルエーテル、プロレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエ
チレングリコールモノエチルエーテルのような多価アル
コールの低級アルキルエーテル類;ポリエチレングリコ
ールモノメチルエーテルアセテートのような低級アルキ
ルエーテルアセテート類;グリセリン;2-メチルピロリ
ドン、N-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。
【0014】微分散とは、粉体を一定水準以下の微細な
粒径を有するように分散させることをいう。
【0015】カーボンブラックは、200nm以下、好まし
くは150nm以下、特に好ましくは100nm程度、より好まし
くは100nm以下の平均粒径を有するように微分散され
る。カーボンブラックの平均粒径が200nm以上である
と、塗膜の表面粗度が増大してカラーフィルターの解像
性が低下する。
【0016】微分散は、例えば、水性媒体とカーボンブ
ラックとを適当な割合で良く混合し、ミル媒体を加え、
そして分散機で1〜7時間分散させることにより行いう
る。
【0017】カーボンブラックは得られる水性顔料イン
キを基準にして0.5〜50重量%、特に1〜25重量%の量
で水性媒体中に微分散させることが好ましい。カーボン
ブラックの量が0.5重量%を下回ると得られる水性顔料
インクの光学濃度が低下し、50重量%を上回ると分散安
定性が低下する。
【0018】ミル媒体はビーズ状のものが好ましい。ビ
ーズミルを使用することにより原料のカーボンブラック
の表面積が増大され、後述の酸化反応が促進されるから
である。ミル媒体の材質は特に限定されず、例えば、ガ
ラス製、ステンレス製、ジルコン製、ジルコニア製のも
のを用いうる。ミル媒体は、ミルの容量に対して60〜95
容量%、特に75〜85容量%の量で充填することが好まし
い。
【0019】カーボンブラックを水性媒体中に微分散し
た後、得られる分散体に次亜ハロゲン酸塩を加えてカー
ボンブラックを酸化する。
【0020】次亜ハロゲン酸塩の添加量は、その種類に
より異なるが、一般に、カーボンブラックの重量を基準
にして、100%換算で1.5〜75重量%、好ましくは4〜50
重量%である。好ましい次亜ハロゲン酸塩には次亜塩素
酸ソーダ及び次亜塩素酸カリウムが挙げられる。
【0021】酸化反応は50℃以上、好ましくは95〜105
℃に加熱して、一般に約2時間以上、好ましくは約3〜
20時間撹拌することにより行う。
【0022】酸化反応によりカーボンブラックの表面に
水酸基及びカルボキシル基のような親水性基が形成さ
れ、カーボンブラック粒子に良好な水分散性が付与され
る。特に、カルボキシル基のような酸性基は次亜ハロゲ
ン酸塩由来のカチオンと一部塩を形成し、そのことによ
り水分散性が助長される。
【0023】カーボンブラックの微分散工程と酸化工程
とを同時に行う方法も本発明の視野に含まれる。その場
合は、水性媒体とカーボンブラックと次亜ハロゲン酸塩
とを適当な割合で良く混合し、ミル媒体を加え、そして
加熱下分散機で、一般に約2〜20時間、好ましくは約3
〜10時間分散させる。
【0024】ついで、酸化反応を行った後の分散体から
未酸化のカーボンブラック及び粗粒子を除去して精製濃
縮することにより本発明で得られる水性顔料インキが得
られる。未酸化のカーボンブラック及び粗粒子は、例え
ば、400メッシュ程度の金網を用いることにより除去し
うる。精製濃縮は、例えば、0.01μm以下の口径を有す
る分離膜(例えば、限外ろ過膜及び逆浸透膜等)を用いる
方法によって行いうる。一般に、酸化反応を行った後の
分散体は、顔料濃度10〜20重量%に濃縮される。
【0025】得られた濃縮分散体はそのまま水性顔料イ
ンキとして使用可能である。または、脱塩・濃縮精製し
た後に更に乾燥して粉末状顔料としてよく、更に濃縮し
て顔料濃度50重量%程度の顔料ペーストとしてもよい。
その場合は、これら顔料ペーストを適当な濃度に調製す
ることによって水性顔料インキが得られる。
【0026】本発明の方法で得られる水性顔料インキに
おいては、酸化カーボンブラックは高い活性水素含有量
を有し、良好な水分散性を示す。高い表面活性水素含有
量を有するカーボンブラックは、例えばカルボキシル基
や水酸基を表面に多く有するためカーボンブラック自体
の親水性が向上している。またそれと同時に表面積も大
きくなり、あたかも酸性染料のごとき化学的性質を持つ
ことによって水分散性が良好になると考えられる。
【0027】他方、市販されている酸性カーボンブラッ
クの表面活性水素含有量は1.0mmol/g以下であり、本発
明の方法で得られる酸化カーボンブラックに比し、酸化
の程度が低く水分散性が悪い。
【0028】比較のために、本発明の方法で得られる水
性顔料インキと市販のカーボンブラックを含有するイン
キとの水分散安定性を表1に示す。
【0029】
【表1】 水分散安定性 本発明の酸化カーホ゛ンフ゛ラック20重量%インキ(1) 水親和性が大きく3ケ月以上安定 三菱化学社製の酸性カーホ゛ンフ゛ラック「MA8」(2) 水親和性が小さく2分以下で沈降 三菱化学社製の酸性カーホ゛ンフ゛ラック「#2400B」(3) 水親和性が小さく2分以下で沈降 三菱化学社製のカーホ゛ンフ゛ラック「#20」(4) 水親和性が全くなく水面に浮遊 三菱化学社製のカーホ゛ンフ゛ラック「#45L」(5) 水親和性が全くなく水面に浮遊 (1)pH=8〜10 (2)pH=2.5〜3.0,吸油量=約58ml/100g (3)pH=3.0〜3.5,吸油量=約45ml/100g (4)pH=7.0〜8.0,吸油量=約122ml/100g (5)pH=7.0〜8.0,吸油量=約45ml/100g
【0030】水分散性及び安定性については、本発明に
係る酸化カーボンブラックが、顔料分散樹脂や分散安定
剤を使用しないで水分散性に優れ、3ケ月以上安定であ
ったのに対し、市販のカラー用カーボンブラックは、水
親和性が小さく、または全くなく、撹拌静置後、水面に
浮遊しているか、経時、数分間で沈降する程度のもので
あった。
【0031】本発明で得られる水性顔料インキは水性媒
体中に高度に酸化され且つ微分散されたカーボンブラッ
クを含有する。したがって、水分散性に優れると共に、
ブラックマトリックスとしての光学濃度(遮光性)、筆記
具用、インクジェット記録用インキ組成物としての画像
濃度に優れる。
【0032】本発明の方法により得られる水性顔料イン
キは、顔料濃度20重量%の場合、インキの粘度は約10〜
25cps/25℃であり、酸化カーボンブラックの平均粒径は
約80〜150nmであった。また、カーボンブラックをベー
スに計算される酸化カーボンブラック顔料分散液の収率
は約80%以上であった。
【0033】カラーブラウン管及び液晶ディスプレー用
光学フィルターのブラックマトリックスは、本発明の方
法で得られる水性顔料インキを用いて、例えば、顔料分
散法、印刷法及び電着法のような方法により形成しう
る。
【0034】電着法では、電着用塗膜形成樹脂と顔料と
を含むブラックマトリックス用塗料組成物を、基板上に
形成された電極に電着塗布することが行われる。
【0035】電着用塗膜形成樹脂としては、アニオン型
とカチオン型があり、アニオン型の樹脂としては、アク
リル樹脂、メタクリル酸誘導体樹脂、ポリエステル樹
脂、マレイン化油樹脂が挙げられる。カチオン型の樹脂
としては、アミン変性樹脂等挙げられる。アミン変性樹
脂としては、アミン変性アクリル樹脂、アミン変性エポ
キシ樹脂、アミン変性ポリブタジエン樹脂、アミン変性
ポリウレタンポリオール樹脂など挙げられる。
【0036】これらの樹脂は、電着法で使用できるよう
に、アニオン性ポリマーの場合はトリエチルアミン、ジ
エチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロ
パノールアミンのようなアミン類、アンモニア、苛性カ
リなどの無機アルカリで中和し、カチオン性ポリマーの
場合は酢酸、乳酸などの酸で中和し、水に可溶化された
状態で、水分散型または溶解型として使用される。
【0037】具体的には、本発明の方法で得られる水性
顔料インキと硬化剤を含む電着用塗膜形成樹脂(例え
ば、トリエチルアミンで中和されたアクリル酸系ポリマ
ー水溶液)とを含むブラックマトリックス用水性顔料塗
料を、ITO膜付きガラス板上に膜厚が2.5μmとなるよう
電着しうる。
【0038】得られる電着塗膜板の表面電気抵抗値(電
気絶縁性)、光学濃度(遮光性)及び表面粗度(平滑性)を
求めたところ、表面電気抵抗値は約1×106Ω以上であ
り、光学濃度OD値は3.0〜4.0、表面粗度は約0.20〜0.25
μmであった。
【0039】本発明で得られる水性顔料インキは、顔料
濃度が0.5〜50重量%の筆記具用顔料インキやインクジ
ェット記録用顔料インキとしても使用できる。
【0040】一般に、顔料はインキ組成物全量に対し
て、1〜30重量%の範囲で含有されることが望ましい。
1%以下では印字又は筆記濃度が小さく、30%以上では
カーボンブラックが凝集し易くなり長期保存中に沈殿物
が発生したり、吐出安定性が悪くなる恐れが生ずるから
である。
【0041】また、本発明のインキ組成物は、得られた
酸化カーボンブラックが十分に脱塩精製されているため
腐食の問題が発生しない。さらに、カーボンブラック表
面のカルボキシル基の活性水素の一部または全部が、酸
化剤として用いた例えば次亜塩素酸ソーダのナトリウム
塩となっているので、特にpH調整を必要としない。
【0042】しかしながら、水溶性染料インキと同様
に、微酸性〜アルカリ性(pH6〜10)に調整されているこ
とが本発明に用いるカーボンブラックを長期間にわたり
安定に微分散させる上で好ましい。
【0043】pH調整剤としては、アンモニア水;アルキ
ルアミン、含窒素環状アミン、アルカノールアミン類;
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムの
ようなアルカリ金属の水酸化物等が使用できる。さら
に、この種インキに使用される粘度調整剤、防黴剤、防
錆剤など添加剤を適宜選択して使用することもできる。
【0044】さらにまた、印字物または筆記文字に光沢
などを与えるために、記録液の吐出性など考慮して、必
要に応じて水溶性樹脂(例えば、ビニルピロリドンの低
縮合物、水溶性アルキッド樹脂または水溶性アクリル樹
脂)、アルコール可溶性樹脂(例えば、フェノール樹脂、
アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸樹脂またはケトン
樹脂)を添加することもできる。水溶性又はアルコール
可溶性樹脂は、重量比で、カーボンブラックの1/3以下
であるのがよい。
【0045】本発明で得られる記録液は、上記の高酸化
カーボンブラックの特性に起因して、水系や水性液媒体
系において微分散性が良好で、表面積も大きくなった結
果、黒色度が増し、黒色染料インキを用いた場合と同
等、あるいはそれ以上の高い印字濃度が得られる。
【0046】
【実施例】
【0047】実施例1 水性顔料インキの製造 ガラス製4つ口フラスコ(5000ml)に、吸油量50ml/100g
のカーボンブラック[三菱化学社製の#45]300g及び水2
700mlを加え、良く混合した後、直径3mmのガラス製ビ
ーズ1000mlを加えて撹拌した。撹拌開始から1時間後、
これに次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)500gを加え
て、100〜105℃で10時間酸化処理した。次いで、酸化処
理液を熱時濾過し、得られたビーズの混じったウエット
ケーキを水3000mlに再分散して後、400メッシュの金網
を用いて、スラリーからビーズ、未酸化のカーボンブラ
ック及び粗粒子を取り除いた。このスラリーを限外濾過
膜を使用して、電導度0.2mS以下になるまで脱塩精製し
た。さらにこの顔料分散液を顔料濃度20%に濃縮した。
【0048】この顔料インキの粘度を測定したところ25
cps/25℃であり、カーボンブラックの平均粒径は100nm
であった。また、この顔料分散液の収率は85%であっ
た。
【0049】なお、酸化カーボンブラックの平均粒径に
ついては、レーザー光拡散方式粒度分布測定機(大塚電
子社製、商品名:LPA 3000/3100)を用いて測定した。
【0050】参考例1 水性顔料インキの製造 直径1mmφのジルコニアビーズを充填した横型湿式分散
機を使用して、吸油量58ml/100gのカーボンブラック
[三菱化学社製のMA8]300重量部及び水2700容量部の混
合液を3時間循環分散処理してカーボンブラック分散液
を調製した。
【0051】得られたカーボンブラック分散液3000gを
4つ口フラスコに移し、実施例1と同様に次亜塩素酸ソ
ーダ(有効塩素濃度12%)500gを加えて、100〜105℃で10
時間酸化処理した。次いで、酸化処理液を熱時濾過し、
得られたウエットケーキを水3000mlに再分散して、400
メッシュの金網を用いて未酸化のカーボンブラック及び
粗粒子を取り除いた。限外濾過膜を使用して、このスラ
リーを電導度0.2mS以下になるまで脱塩精製した。さら
にこの顔料分散液を顔料濃度20%に濃縮した。
【0052】この顔料インキの粘度を測定したところ20
cps/25℃であり、カーボンブラックの平均粒径は110nm
であった。また、この顔料分散液の収率は82%であっ
た。
【0053】比較例1 水性顔料インキの製造 実施例1で用いた吸油量50ml/100gのカーボンブラック3
00gに水2700mlを加えよく混合した後、次亜塩素酸ソー
ダ(有効塩素濃度12%)500gを加えて、100〜105℃で10時
間酸化処理した。次いで、酸化処理液を熱時濾過し、得
られたウエットケーキを水3000mlに再分散して後、400
メッシュの金網を用いて、スラリーから未酸化のカーボ
ンブラック及び粗粒子を取り除いた。このスラリーを実
施例1と同様に限外濾過膜を使用して、電導度0.2mS以
下になるまで脱塩精製した。さらにこの顔料分散液を顔
料濃度20%に濃縮した。
【0054】この顔料インキの粘度を測定したところ15
cps/25℃であり、カーボンブラックの平均粒径は170nm
であった。また、この顔料分散液の収率は51%であっ
た。
【0055】比較例2 水性顔料インキの製造 実施例1で用いた吸油量50ml/100gのカーボンブラック
を、吸油量122ml/100gのカーボンブラック[三菱化学社
製の#20]に代え、実施例1と同様にガラスビーズを使
用し、1時間の分散処理後、引き続き次亜塩素酸ソーダ
(有効塩素濃度12%)500gを加えて、100〜105℃で10時間
酸化処理した。次いで、酸化処理液を熱時濾過し、得ら
れたウエットケーキを水3000mlに再分散して後、400メ
ッシュの金網を用いて得られたスラリ-からビーズ及び
未酸化のカーボンブラックを取り除いた。このスラリー
を電導度0.2mS以下になるまで限外濾過膜で脱塩した。
さらにこの顔料分散液を顔料濃度20%に濃縮した。
【0056】この顔料インキの粘度を測定したところ15
cps/25℃であり、カーボンブラックの平均粒径は151nm
であった。また、この顔料分散液の収率は80%であっ
た。
【0057】実施例2 電着塗装 トリエチルアミンで中和したアクリル酸系樹脂水溶液
(硬化剤含有)500gに実施例1で得られた顔料分20%の分
散液150gを混合し、塗料を調製した。ITO膜付きガラス
板上に膜厚が2.5μmとなるよう電着形成した。電着塗装
は、液温30℃、電圧40Vでの条件で行った。次に、得ら
れた電着塗膜を250℃、40分間加熱し硬化させ塗膜板Aを
得た。
【0058】得られた塗膜板Aの光学濃度、表面電気抵
抗値、及び表面粗度を測定した。測定結果を表2に示
す。
【0059】参考例2 電着塗装 トリエチルアミンで中和したアクリル酸系樹脂水溶液
(硬化剤含有)500gに参考例1で得られた顔料分20%の分
散液150gを混合し、塗料を調製した。実施例2と同様に
ITO膜付きガラス板上に膜厚が2.5μmとなるよう電着形
成した。電着塗装は、液温30℃、電圧40Vでの条件で行
った。次に、得られた電着塗膜を250℃、40分間加熱
し硬化させ塗膜板Bを得た。
【0060】得られた塗膜板Bの光学濃度、表面電気抵
抗値、及び表面粗度を測定した。測定結果を表2に示
す。
【0061】比較例3 電着塗装 比較例1で得られた顔料分20%の分散液を用い実施例2
と同様にして比較塗料を調製し、電着塗装を行い塗膜板
Cを得た。
【0062】得られた塗膜板Cの光学濃度、表面電気抵
抗値、及び表面粗度を測定した。測定結果を表2に示
す。
【0063】比較例4 電着塗装 比較例2で得られた顔料分20%の分散液を用いて実施例
2と同様にして比較塗料を調製し、電着塗装を行い塗装
板Dを得た。
【0064】得られた塗膜板Dの光学濃度、表面電気抵
抗値、及び表面粗度を測定した。測定結果を表2に示
す。
【0065】
【表2】
【0066】実施例3 インクジェット記録用インキ組成物 実施例1で得られた酸化カーボンブラック20%顔料イン
キ15部、水80部、エタノール4部及び2-ピロリドン1部
からなるインクジェット記録用インキ組成物を調製し、
インクジェットプリンターにセットして印字試験した。
OD値1.4の鮮明画像が得られ、長時間印字してもカス
レ、濃度低下は見られなかった。
【0067】参考例4 サインペン用インキ組成物 参考例1で得られた酸化カーボンブラック20%顔料イン
キ30部、水55部、エチレングリコール10部、ジエチレン
グリコール5部及び防腐防黴剤0.2部からなるサインペ
ン用インキ組成物を調製し、これをペン体にセットして
筆記試験したところ、長期間スムーズに筆記でき、筆跡
の耐光性、耐水性は良好であった。
【0068】
【発明の効果】光学濃度が高く、膜の平坦性に優れそし
て導電性の低いブラックマトリックスを形成し、カラー
フィルターに高い解像性を付与する水性顔料インキの製
造方法が提供された。
【0069】本発明の方法で得られた水性顔料インキ
は、筆記具用インキやインクジェット記録用インキとし
て用いた場合も優れた水分散性に因って、安定性がよ
く、光学濃度、耐光性、耐水性にすぐれた筆記・記録画
像を提供する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B41M 5/00 C09C 1/48 C09C 1/48 B41J 3/04 101Y (56)参考文献 特開 昭48−18186(JP,A) 特開 平6−212110(JP,A) 特開 平8−3498(JP,A) 特開 平5−186704(JP,A) 特開 平8−199086(JP,A) 特開 平9−95624(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 11/00 - 11/20 C09C 1/00 - 3/12

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)吸油量100ml/100g以下
    のカーボンブラック(但し、酸性カーボンブラックを除
    く)を水性媒体中に平均粒径200nm以下まで微分散
    する工程; (b)次亜ハロゲン酸塩を用いて該カーボンブラックを
    酸化する工程;及び (c)酸化して得た生成物を精製及び濃度調節する工
    程; を包含する水性顔料インキの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記精製が、水洗処理、及び/又は分離
    膜を用いる脱塩処理を包含する請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記カーボンブラックを0.5〜50重
    量%の量で水性媒体中に微分散する請求項1記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 前記カーボンブラックの平均粒径が15
    0nm以下である請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の方法で得られる水性顔料
    インキを含有するブラックマトリックス用電着塗料組成
    物。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の方法で得られる水性顔料
    インキを含有するインクジェット記録用インキ組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の方法で得られる水性顔料
    インキを含有する筆記具用インキ組成物。
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