JP3369058B2 - 湿潤ワイパー - Google Patents

湿潤ワイパー

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JP3369058B2
JP3369058B2 JP25452996A JP25452996A JP3369058B2 JP 3369058 B2 JP3369058 B2 JP 3369058B2 JP 25452996 A JP25452996 A JP 25452996A JP 25452996 A JP25452996 A JP 25452996A JP 3369058 B2 JP3369058 B2 JP 3369058B2
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智次 三好
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対象物の表面を拭
浄し、乾燥することによって、その表面に優れた抗菌性
と持続的な抗菌性を付与し得る、対物又は対人用湿潤ワ
イパーに関する。
【0002】
【従来の技術】医療現場におけるMRSA(メチシリン
耐性黄色ブドウ球菌)による院内感染の危険性は今や社
会問題にまでなっており、抗菌性が付与された事務機
器、事務用品やその他不特定多数の人が接触する可能性
のある物品が安全で、衛生的に使えるよう、抗菌性を付
与することが望まれている。又、一般の日常生活におい
ても清潔志向の高まりから、抗菌性が付与された物品へ
の関心が高まってきている。そこで抗菌性を付与する方
法が種々提案されてきている。例えば、特開平2−25
5844号公報には、抗菌性金属イオンを保持している
ゼオライトと塩基性金属化合物を含有してなる樹脂組成
物を用いることについて開示されている。その実施例に
は、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂に前記の抗
菌剤を配合して射出成形する例が示されている。
【0003】特開平3−84066号公報には、抗菌性
金属又はその酸化物を担持した無機系又は有機系複合粒
子を樹脂中に含有させた樹脂組成物と、その樹脂を用い
た成型品の用途について開示されている。特開平1−3
13531号公報には、一価の銀を含む水溶解性ガラス
の粉粒状物を混合担持させた合成樹脂成形体を風呂場用
カーテン、浴槽等に応用することが開示されている。実
開平1−178876号公報には、抗菌性ゼオライトを
配合した熱可塑性樹脂よりなるシートに熱可塑性樹脂シ
ートを融着又は接着したシートからなる抗菌性素材で、
食用ナイフの表面を構成した無菌性食用ナイフが開示さ
れている。これらの例は、それぞれの物品の製造時に抗
菌性を有する薬剤を付与する方法を開示したものであ
り、従来使用している机や事務機器、事務用品、台所用
品、トイレタリー用品、家庭用品、壁、床等の任意の物
品を除菌したり、或いは抗菌性を付与したりする方法を
提案するものではない。
【0004】一方、任意の物品の表面から除菌したり、
その表面に抗菌性を付与する方法としては次のような方
法が提案されている。例えば、特開昭63−63419
号公報には、ティシュペーパーに、殺菌消毒剤としてク
ロールヘキシジングリコネート、塩化ベンザルコニウ
ム、2,4,4−トリクロロ−2−ハイドロキシジフェ
ニールエーテル等を含む水を、使用に際して含有させて
ウェット状にした後、身体の清浄と消臭の目的のために
使用する清浄用ドライティシュペーパーが開示されてい
る。又、特開昭64−25821号公報には、天然物で
安全性の高い抗菌剤としてキトサン又は四級化キトサン
の無機酸塩もしくは有機酸塩の水溶液が、紙又は不織布
に含浸されてなる濡れティシュが開示されている。特開
平3−37017号公報には、デキストラン硫酸又はそ
の塩を配合したウェットティシュ及びウェットティシュ
用含浸液により細菌、酵母及びカビの増殖を防止する静
菌作用及び対象物の表面に除菌作用を示すウェットティ
シュが開示されている。
【0005】特公平5−25505号公報には、3−
(トリメトキシシリル)プロピルジデシルメチルアンモ
ニウム塩と、3−(トリメトキシシリル)プロピルオク
タデシルジメチルアンモニウム塩からなる群から選ばれ
る第1抗菌薬が均一に分布している繊維で形成される繊
維性ウェブを、クエン酸、ソルビン酸、リンゴ酸等の天
然に存在する抗菌性を示す有機酸から選ばれる第2抗菌
薬を含む液体に含浸させた抗菌活性湿潤ワイパーが開示
されている。又、特開昭63−40558号公報には、
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の
アルコール類に、殺菌剤としてカチオン性界面活性剤や
アニオン性界面活性剤を溶解した液体を噴霧容器に収容
した便座用殺菌スプレーが開示されている。これらは、
任意の対象物の表面を拭浄すると同時に、基材或いは基
材中の含浸液に含まれる抗菌成分によって、その対象物
の表面を除菌しようとするものである。しかしながら、
これらの薬剤を使用した方法では、拭浄直後の除菌効果
或いは抗菌活性は得られるものの、拭浄後に持続的に抗
菌効果を付与することはできないという問題がある。
【0006】又、特開昭63−275311号公報に
は、殺菌作用を有する低分子第4級アンモニウム塩とア
ニオン性高分子の第4級アンモニウム塩とを含水アルコ
ールに溶解した含浸液を含浸させた清掃紙により拭浄す
ることで、汚れを落とすと同時に極めて薄い高分子第4
アンモニウム塩の皮膜を形成し、持続性のある殺菌効果
を得る方法が開示されている。しかしながら、この高分
子第4アンモニウム塩による皮膜は、人の手指等による
接触や、水を含む拭き布、ふきん等による拭取り作業に
より容易に脱落するため、十分な抗菌持続性を得るまで
には至らなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、前記問
題点を解決すべく、物による接触や拭き布による拭き取
りによっても容易に脱落しない抗菌持続性を達成させる
ため鋭意研究を重ねた結果、一種類以上の抗菌成分を含
有する含浸液を不織布又は耐湿潤性紙に含浸させた湿潤
ワイパーにおいて、該含浸液に含まれる抗菌成分のうち
少なくとも一つが、抗菌性金属成分と該抗菌性金属成分
以外の無機酸化物とから構成される抗菌性無機酸化物微
粒子を含有させることで、水を含む拭き布によって拭っ
ても容易に脱落せず、高い抗菌持続性を付与しうること
を見出し本発明を完成するに至った。本発明の目的は、
対象物の表面に優れた抗菌性と高い抗菌持続性を付与し
得る、対物或いは対人用湿潤ワイパーを提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、一種類
以上の抗菌成分を含有する含浸液を不織布又は耐湿潤性
紙に含浸させた湿潤ワイパーにおいて、該含浸液に含ま
れる抗菌成分のうち少なくとも一つが、抗菌性金属成分
と該抗菌性金属成分以外の無機酸化物とから構成される
抗菌性無機酸化物微粒子を含有し、該含浸液に含まれる
抗菌性無機酸化物微粒子の固形分濃度が0.003〜
0.05重量%であることを特徴とする湿潤ワイパーで
ある。本発明の第二は、含浸液に含まれる前記抗菌性無
機酸化物微粒子の平均粒子径が5〜500nmであるこ
とを特徴とする本発明第一に記載の湿潤ワイパーであ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、抗菌成分の少なくとも
一つが、抗菌性金属成分と該抗菌性金属成分以外の無機
酸化物とから構成される抗菌性無機酸化物微粒子を含有
する液体を不織布又は耐湿潤性を有する紙基材に含有さ
せてなる湿潤ワイパーである。本発明に使用する抗菌性
成分は、抗菌性無機酸化物からなる微粒子から構成さ
れ、この微粒子が水に分散したコロイド溶液で用いら
れ、例えば特開平7−33616号公報又は特開平6−
80527号公報に開示される抗菌成分が好適に使用で
きる。本発明に好適に用いることのできる抗菌性無機酸
化物微粒子は、抗菌性金属成分と該抗菌性金属成分以外
の無機酸化物とから構成される前記微粒子が分散してな
るコロイド溶液であって、抗菌性金属成分は、該抗菌性
金属成分以外の無機酸化物との混合物又は化合物の形で
コロイド粒子を形成するか、或いは抗菌性金属成分以外
の無機酸化物のコロイド粒子の表面に結合している。抗
菌性金属成分としては、通常知られている抗菌性金属成
分を用いることができ、例えば、銀、銅、亜鉛、錫、
鉛、ビスマス、カドミウム、クロム、水銀等が例示され
る。特に、銀、銅、亜鉛から選択される1種類以上の抗
菌性金属成分が抗菌作用、変色及び人体に対する安全性
の観点から好ましい。
【0010】抗菌性成分としての銅イオンは青色を呈す
るが、銀イオンはそもそも無色である。しかしながら、
銀イオンは光化学反応や酸化作用により金属銀の凝集体
又は酸化物となり、その後褐色又は黒色に変色する。特
に紫外線の光化学反応による銀成分の変色を防止するた
めには、チタン、ジルコニウム、セリウム、亜鉛等を銀
成分と組み合わせて使用することが好ましい。これは、
チタン、ジルコニウム、セリウム及び亜鉛成分が紫外線
吸収剤として作用して、銀成分の変色を防止する効果を
有しているからである。本発明に好適に用いることので
きる抗菌性無機酸化物微粒子中の抗菌性金属成分の量
は、固形分を基準として酸化物換算で0.1〜25重量
%、好ましくは0.1〜15重量%の範囲である。抗菌
性金属成分が0.1重量%よりも少ない場合は、抗菌作
用が十分に発現し難い。又、抗菌性金属成分を25重量
%よりも多くしても、25重量%の場合と比較して抗菌
作用に大差がなく、銀成分では、この成分量が多くなる
と変色し易くなり適さない。
【0011】一方、本発明に好適に使用できる抗菌性無
機酸化物微粒子中の抗菌性金属成分以外の無機酸化物と
しては、公知のコロイド溶液を構成する無機酸化物から
なるコロイド粒子を挙げることができ、これらには単一
酸化物コロイド粒子又は複合酸化物コロイド粒子、或い
はこれらの混合物を適宜選択して用いることができる。
単一の酸化物コロイド粒子としては、SiO2、Ti
2、ZrO2、Fe23、Sb25、WO3等が例示さ
れ、複合酸化物コロイド粒子としては、前記各酸化物と
他の無機酸化物コロイド粒子との複合化合物、例えば、
SiO2・Al2 3、SiO2・B23、SiO2・P2
5、TiO2・CeO2、TiO2・ZrO2、SiO2・Z
rO2、SnO2・Sb25、SiO2・Al23・Ti
2、SiO2・TiO2・CeO2、TiO2・SiO2
ZrO2、SiO2・Al23・MgO、SiO2・Al2
3・CaO、SiO2・TiO2・Fe23等を例示す
ることができる。
【0012】本発明に用いられる抗菌性金属成分と該抗
菌性金属成分以外の無機酸化物とから構成される抗菌性
無機酸化物微粒子(コロイド粒子)の平均粒子径は、3
〜500nmの範囲が望ましい。この平均粒子径は、小
さければ小さいほど水を含む拭き布等によって拭っても
除去し難くなり、従って抗菌持続性に優れる特性を付与
することができるので、平均粒子径は5〜300nmの
範囲がより望ましい。しかしながら、3nm未満の平均
粒子径は製造が困難で、製造コストの大幅な高騰を来す
ので望ましくない。一方、平均粒子径が500nmを超
える場合、例えば700nmでも、物品の表面に抗菌性
を付与し、抗菌性の持続性もあるが、水を含む拭き布等
で何回も拭うと比較的速く抗菌性が失われるので、所望
の抗菌持続性によって平均粒子径の上限を適宜選択して
決める必要がある。本発明の湿潤ワイパーは、前記抗菌
性無機酸化物微粒子からなるコロイド溶液を含浸させら
れており、これを用いて、机や事務機器、事務用品、台
所用品、トイレタリー用品、家庭用品、壁、床等任意の
物品の表面を拭浄することにより、湿潤ワイパーから含
浸液が清拭した物品の表面に転移し、そこで転移した含
浸液が乾燥することで含浸液中に含まれる抗菌性無機酸
化物微粒子が清拭した物品に転着され、拭浄した物品の
表面に強固に結合することで、物品の表面に抗菌性は勿
論、高い抗菌持続性が付与されるのである。
【0013】従って、そのような湿潤ワイパーで拭浄さ
れた物品の表面における抗菌持続性は、物品の表面と、
湿潤ワイパーに含有されていて、拭浄により物品の表面
に転移した抗菌性無機酸化物微粒子との結合力によって
決まるが、平均粒子径が500nm以下の抗菌性無機酸
化物微粒子と物品の表面とは強固に結合することができ
るため、拭浄して乾燥した後に人の手指との接触や水を
含む拭き布、ふきん等で拭取り作業を行った後も、抗菌
性無機酸化物微粒子が拭浄によって転着された物品の表
面から脱落し難く、高い抗菌持続性を付与することがで
きるのである。抗菌性無機酸化物微粒子の平均粒子径が
500nmより大きいと、前記したように、拭浄した物
品の表面と、物品の表面に転着した抗菌性無機酸化物微
粒子との間の結合力が十分ではないため、人の手指での
接触や水を含む拭き布で拭取り作業を行うと、抗菌性無
機酸化物微粒子が容易に脱落し易くなる傾向がある。抗
菌性無機酸化物微粒子の平均粒子径が小さければ小さい
ほど、対象となる物品を清拭し乾燥した際に、転着した
抗菌性無機酸化物微粒子がその物品の表面に強固に結合
し、抗菌持続性に優れたものとなるため好ましいが、前
記粒子の平均粒子径を小さくするにも自ずと限度があ
り、その限度値は3nmであることは前記した通りであ
る。
【0014】本発明に使用する抗菌性無機酸化物微粒子
のコロイド溶液は、例えば特開平5−132309号公
報に記載された複合酸化物コロイド溶液の製造方法に準
じて、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機塩基の珪
酸塩と、アルカリ可溶の無機化合物と、抗菌性金属成分
の水溶液とを、pH10以上のアルカリ水溶液中に同時
に添加し、抗菌性金属成分を含有する無機酸化物コロイ
ド粒子を生成させる。又、特開昭63−270620号
公報に記載された製造方法に準じて、含水チタン酸のゲ
ル又はゾルに過酸化水素水を加えて得られるチタン酸水
溶液と抗菌性金属成分の水溶液とを、ケイ素化合物及び
/又はジルコニウム化合物の存在下で加熱処理して無機
酸化物コロイド粒子を生成させても良い。更に、特開平
6−80527号公報に記載された抗菌性無機酸化物コ
ロイド溶液からなる抗菌剤の製造方法において、負の電
荷を有する無機酸化物コロイド粒子が分散したコロイド
溶液に抗菌性金属成分の水溶液を添加した後、コロイド
溶液を60℃以上、好ましくは100〜200℃で加熱
する方法によっても良い。前記製造方法において用いら
れる抗菌性金属成分の水溶液としては、例えば、酸化亜
鉛、酸化銀、酸化銅等から選ばれた金属成分をアンモニ
ア水に溶解して得られる亜鉛、銀、銅等のアンミン錯塩
水溶液を用いるのが好適である。
【0015】本発明においては、湿潤ワイパーのための
抗菌成分を含有する含浸液として、上記のようにして得
られた抗菌性無機酸化物微粒子が分散してなるコロイド
溶液を用い、不織布又は耐湿潤性を有する基材を含浸液
に含浸して、1種類以上の抗菌成分を有する含浸液を含
有する湿潤ワイパーを得るが、抗菌性無機酸化物微粒子
が分散してなるコロイド溶液の分散媒である水は公知の
方法により有機溶媒と置換して、有機溶媒を分散媒とす
る抗菌性無機酸化物微粒子のコロイド溶液とすることも
可能であり、これらの抗菌性無機酸化物微粒子が分散し
てなるコロイド溶液は、限外濾過膜を用いる公知の方法
により所望の濃度に調製して使用することができる。本
発明において使用できる抗菌性無機酸化物微粒子のコロ
イド溶液の一例としては、市販の抗菌剤(商品名:アト
ミーボール、触媒化成工業社製)が好適に使用できる。
【0016】用いる含浸液中に含まれる抗菌性無機酸化
物微粒子の固形分濃度は、0.003%〜0.05重量
%の範囲が望ましい。含浸液を不織布又は耐湿潤性を有
する基材に含浸させて得られる湿潤ワイパーを使用して
対象物を拭浄し、乾燥する際に、拭浄によって対象物の
拭浄面に付着する液量は、湿潤ワイパーに含有される湿
潤液の量によって多少変動するが、無機系抗菌剤微粒子
が物品の表面に転着する量は、湿潤ワイパーに含まれる
前記微粒子の濃度に比例して増減する傾向があり、この
固形分濃度が0.003重量%未満では少な過ぎ、抗菌
性と抗菌持続性は得られるが、十分な効果は得難い。
又、前記固形分濃度を0.05重量%を超えて多くする
と、それだけ抗菌性と抗菌持続性の効果も向上するが、
抗菌剤の添加の割合からみると抗菌性と抗菌持続性の効
果は頭打ちとなり、経済的にはあまり得策ではない。
【0017】本発明における湿潤ワイパーの含浸液は、
含浸液に含まれる抗菌成分のうちの少なくとも1種類が
上記のようにして得られた抗菌性金属成分と該抗菌性金
属成分以外の無機酸化物とから構成される抗菌性無機酸
化物微粒子である抗菌成分を含有している。含浸液を構
成する抗菌成分としては、前記抗菌性無機酸化物微粒子
を1種類或いは複数種類混合して使用しても良いし、抗
菌効果、防黴効果の即効性を高める目的で、抗菌性無機
酸化物微粒子に加えて、エタノール、イソプロパノール
等のアルコール類、パラオキシ安息香酸メチル、パラオ
キシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パ
ラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステ
ル類、塩化ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム
塩、クエン酸、ソルビン酸、リンゴ酸等の有機酸、或い
はその他の抗菌剤、殺菌剤、防腐剤等を1種類或いは複
数種類併用して含浸液に配合して使用しても良い。
【0018】又、前記抗菌性無機酸化物微粒子に加え
て、パラオキシ安息香酸エステル類或いはその他の抗菌
剤、殺菌剤、防腐剤等を含浸液中に併用して使用する場
合に、それらを含浸液中に効率よく溶解させる目的で、
プロピレングリコール、ブチレングリコール等のグリコ
ール類を添加しても良い。更に、湿潤ワイパーを使用し
て拭浄する際の清浄効果を高める目的で、カルボン酸
塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩等のアニオン界面活
性剤、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アンモ
ニウム塩等のカチオン界面活性剤、アミノ酸型両性界面
活性剤、ベタイン型両性界面活性剤、硫酸エステル塩型
両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤等の両性
界面活性剤、ポリエチレングリコール型非イオン界面活
性剤、多価アルコール型非イオン界面活性剤等の非イオ
ン界面活性剤等の界面活性剤を含浸液中に添加して使用
することもできる。
【0019】本発明の湿潤ワイパーに使用する不織布又
は耐湿潤性を有する基材としては公知の不織布、湿潤性
が付与された繊維シート或いは不織布と前記のシートを
積層して複合化したシートを使用することができるが、
含浸液を十分に保持できることが望ましいため、繊維の
全部又は一部にレーヨン繊維、パルプ繊維、コットン繊
維等の親水性繊維が含まれているのが好ましい。本発明
に使用する不織布の一例としては、レーヨン不織布、コ
ットン不織布、パルプ不織布等の不織布、或いはレーヨ
ン繊維、コットン繊維、パルプ繊維等の親水性繊維のう
ちの1種類又は複数種類と、ポリエステル繊維、ポリプ
ロピレン繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維等の合成繊
維の1種類又は複数種類とが複合されてなる不織布等が
好適に使用できる。湿潤ワイパーに使用する不織布又は
耐湿潤性を有する基材の目付は、用途に応じて適宜選択
できるが、JIS L 1906により測定した目付
が、15〜100g/m2の範囲、好ましくは20〜8
0g/m2の範囲である。この目付が15g/m2未満で
は、湿潤ワイパーを使用する際に薄すぎて使用感が悪
く、破れ易くなる。逆に、目付が100g/m2が超え
て大きくなると、湿潤ワイパーの剛度が高くなり、使用
し難くなる。
【0020】湿潤ワイパーに使用する不織布又は耐湿潤
性を有する基材は、柔軟性を向上させる目的でクレープ
加工等を施しても良いし、表面強度を増し、紙粉等の脱
落繊維を減じる目的で、例えばポリアクリル酸エステ
ル、ポリメタクリル酸エステル、エチレン−酢酸ビニル
共重合物、スチレンブタジエン共重合物、ニトリル−ブ
タジエン共重合物、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹
脂等の水系エマルジョン或いはラテックス等の公知の合
成高分子の水系エマルジョンやラテックスを、含浸法、
スプレー法、グラビア塗工法等を用いて塗布してあって
も良い。本発明の湿潤ワイパーは、前記のようにして調
製された抗菌性無機酸化物微粒子を含む含浸液を不織布
又は耐湿潤性を有する基材に含浸することで製造するこ
とができる。含浸液の量は、含浸する不織布又は耐湿潤
性を有する基材の種類、使用目的等に応じて任意に調製
することができるが、含浸する不織布又は耐湿潤性を付
与された基材のJIS L 1906で測定した絶乾目
付に対して50〜400重量%の範囲、好ましくは10
0重量%〜300重量%の範囲である。
【0021】前記含浸液の量が、50重量%未満では、
湿潤ワイパーの含む水分が少な過ぎ、対象となる物品の
表面を清拭する際に、ばらつきが生じ、十分均一に清浄
し難くなり、同時に湿潤ワイパーに含まれる抗菌性無機
酸化物微粒子の絶対量が少ないため、対象物の表面に転
移する含浸液の量も少なくなるため、拭浄した物品の表
面に転着する抗菌性無機酸化物微粒子の量が少なくな
り、拭浄した物品の表面に十分な抗菌性と抗菌持続性を
付与できないので適さない。逆に、含浸量が400重量
%を超えて多くなると、湿潤ワイパーの含む液量が多過
ぎ、対象となる物品を拭浄する際に水浸しになってしま
い、十分に拭浄できなくなると共に、拭浄した物品の表
面に転移する含浸液量も多過ぎるため、乾燥に時間がか
かりすぎるので適さない。もし、未乾燥の状態で拭浄し
た物品をそのまま使用に供したり、拭浄した物品の表面
を乾燥したワイパーで拭って使用に供すると、物品の表
面にある抗菌性無機酸化物微粒子が除去されたり、脱落
してしまい、対象となる物品表面に十分な抗菌性と抗菌
持続性を付与できない。
【0022】本発明の湿潤ワイパーは、これで対象物品
の表面を拭浄し、次いで乾燥することにより対象物品の
表面に持続性の高い抗菌性を付与できるものである。対
象物品を清拭することによりその表面に付与できる抗菌
持続性の程度は、対象物品の表面状態と吸液性、対象物
品の表面への抗菌性無機酸化物微粒子の転着のし易さ、
拭浄後の乾燥の仕方等により変化するため、一概に論ず
ることはできないが、例えばステンレス板、プラスチッ
ク板等の平滑な面を本発明の湿潤ワイパーで1〜2回清
拭し、室温にて乾燥すれば、その面を水を含むワイパー
で1回拭った後も、好ましくは3回拭った後も、更に好
ましくは5回拭った後も、その表面は抗菌性を有するも
のである。
【0023】以上説明したように、本発明の湿潤ワイパ
ーは、使用される抗菌成分のうち少なくとも一つが、抗
菌性金属成分と該抗菌性金属成分以外の無機酸化物とか
ら構成される抗菌性無機酸化物微粒子を含有しており、
この湿潤ワイパーを用いて、事務机、事務機器、事務用
品、台所用品、トイレタリー用品、家庭用品、壁、床等
の任意の物品の表面を拭浄し、その後乾燥することによ
って前記表面を除菌し、同時に対象物品の表面に優れた
抗菌持続性を付与することができるのである。
【0024】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、勿論本発明はこれらの実施例のみに限定さ
れるものではない。なお、実施例及び比較例において%
とあるのは、特に断らない限り絶乾ベースの重量%を示
す。
【0025】実施例1 市販の抗菌剤として以下の組成を有する抗菌性無機酸化
物微粒子が分散してなるコロイド溶液(商品名:アトミ
ーボール−S、触媒化成工業社製)を用いて湿潤ワイパ
ー用含浸液を調製した。 抗菌性無機酸化物微粒子の組成: 平均粒子径:10μm、 抗菌性金属成分の種類:銀、 抗菌性金属成分以外の無機酸化物:TiO2、 抗菌性無機酸化物微粒子中の抗菌性金属成分の固形分当
りの%:4.5%(酸化物換算)、 コロイド溶液に含まれる抗菌性無機酸化物微粒子の固形
分濃度:1.5% 湿潤ワイパー用含浸液は、前記抗菌性無機酸化物微粒子
(アトミーボール−S)1%とイオン交換水99%とを
混合して調製した。この含浸液を、木材パルプとポリプ
ロピレン繊維とから構成される複合不織布(商品名:テ
クセル A40Z、目付40g/m2、新王子製紙社
製)に含浸し、湿潤ワイパーを作製した。含浸液の含浸
量は複合不織布重量当り200%となるように調整し
た。
【0026】実施例2 湿潤ワイパー用含浸液を、抗菌剤(アトミーボール−
S)0.5%とイオン交換水99.5%とを混合して調
製した。この含浸液を用いたこと以外は、実施例1と同
様にして湿潤ワイパーを作製した。 実施例3 湿潤ワイパー用含浸液を、抗菌剤(アトミーボール−
S)2.0%とイオン交換水98%とを混合して調製し
た。この含浸液を用いたこと以外は、実施例1と同様に
して湿潤ワイパーを作製した。
【0027】実施例4 湿潤ワイパー用含浸液を、抗菌剤(アトミーボール−
S)1%、エタノール3%、プロピレングリコール3
%、パラオキシ安息香酸メチル0.2%、パラオキシ安
息香酸エチル0.1%及びイオン交換水92.7%とを
混合して調製した。この含浸液を用いたこと以外は、実
施例1と同様にして湿潤ワイパーを作製した。
【0028】実施例5 市販の抗菌剤として以下の組成を有する抗菌性無機酸化
物微粒子が分散してなるコロイド溶液(商品名:アトミ
ーボール−L、触媒化成工業社製)を用いて湿潤ワイパ
ー用含浸液を調製した。 抗菌性無機酸化物微粒子の組成: 平均粒子径:100μm、 抗菌性金属成分の種類:銀、 抗菌性金属成分以外の無機酸化物:TiO2、 抗菌性無機酸化物微粒子中の抗菌性金属成分の固形分当
りの濃度:4.5%(酸化物換算)、 コロイド溶液に含まれる抗菌性無機酸化物微粒子の固形
分濃度:1.5% 湿潤ワイパー用含浸液は、抗菌剤(アトミーボール−
L)1%、エタノール3%及びイオン交換水96%とを
混合して調製した。この含浸液を用いたこと以外は、実
施例1と同様にして湿潤ワイパーを作製した。
【0029】実施例6 以下に示される方法で抗菌性金属成分が銀、抗菌性金属
成分以外の無機酸化物がTiO2で構成される抗菌性無
機酸化物微粒子が分散してなるコロイド溶液を調製し
た。 コロイド溶液の調製 硫酸チタンを純水に溶解し、TiO2として1.0%を
含む水溶液を準備した。この水溶液に、撹拌しながら1
5%濃度のアンモニア水を徐々に添加し、白色スラリー
液を得、このスラリー液をガラスフィルター(G2)で
ろ過し、ケーキを水で十分洗浄し、含水チタン酸のケー
キを得た。このケーキ絶乾31.4gに、純水と33%
濃度の過酸化水素水219.8gを加えた後、80℃で
14時間加熱し、TiO2として1.0%濃度、pH
8.2、黄褐色透明のチタン酸溶液3136gを得た。
【0030】次いで、15%濃度のアンモニア水溶液2
1.3gを純水618.1gで希釈したアンモニア水溶
液中で酸化銀0.64gを溶解して、銀のアンミン錯塩
水溶液とし、更にこの水溶液に、炭酸ジルコニウムアン
モニウム15.4gを純水169.9gに溶解したもの
を添加し、混合水溶液を得た。この混合水溶液を前記チ
タン酸溶液に加え、次に、20%濃度のシリカゾル3
8.7gを加えた後、150℃で36時間加熱した。こ
の溶液は初期は黄褐色であったが、36時間後に淡乳白
色の透明な抗菌性無機酸化物微粒子からなるコロイド溶
液となった。このコロイド溶液の組成は以下の通りであ
る。 固形分濃度:12.0%、 抗菌性無機酸化物微粒子の平均粒子径:5.5nm、 抗菌性無機酸化物微粒子中の抗菌性金属成分の固形分当
りの濃度:1.3%(酸化物換算)、
【0031】湿潤ワイパー用含浸液は、前記コロイド溶
液0.1%、エタノール5.0%、クエン酸0.5%、
パラオキシ安息香酸メチル0.1%及びイオン交換水9
4.3%とを混合して調製した。この含浸液を、コット
ン繊維から構成される不織布(商品名:オイコス AP
2030、目付30g/m2、日清紡社製)に含浸し、
湿潤ワイパーを作製した。含浸液の含浸量は不織布重量
当り250%となるように調整した。
【0032】実施例7 以下に示す方法により抗菌性金属成分が銀と亜鉛、抗菌
性金属成分以外の無機酸化物がSiO2で構成される抗
菌性無機酸化物微粒子が分散してなるコロイド溶液を調
製した。SiO2濃度20%のコロイド溶液20gと純
水280gとの混合物を80℃に加温した。この母液の
pHは10.7で、同母液にSiO2として1.5%の
珪酸ソーダ水溶液1500gと、Al23として0.5
%のアンミン酸ソーダ水溶液1500gとを同時に添加
して、pHが12.3のシリカ・アルミナ複合酸化物コ
ロイド溶液とした後、限外濾過膜で濃縮して固形分濃度
22.2%のコロイド溶液を調製した。一方、酸化銀
(試薬:特級、和光純薬工業社製)0.08gを20g
の純水に懸濁させ、次いで15%濃度のアンモニア水溶
液を酸化銀が溶解するまで加えて、銀アンミン錯塩水溶
液を調製した。又、同様の方法で酸化亜鉛(試薬:特
級、和光純薬工業社製)0.30gを溶解して亜鉛アン
ミン錯塩水溶液を調製した。
【0033】上記銀アンミン錯塩水溶液と亜鉛アンミン
錯塩水溶液とを混合し、更に、水を添加して銀酸化物と
亜鉛酸化物としての合計の酸化物濃度が0.5%となる
ように濃度を調整した。この混合アンミン錯塩水溶液を
前記コロイド溶液に添加して十分に撹拌し、次いで、オ
ートクレーブに入れて150℃で6時間加熱した。この
抗菌性無機酸化物微粒子を含有するコロイド溶液は、抗
菌性金属成分が銀と亜鉛で、抗菌性無機酸化物微粒子が
分散してなるもので、以下の組成を有する。 固形分濃度:5.0%、 抗菌性無機酸化物微粒子の平均粒子径:8.2nm、 抗菌性無機酸化物微粒子中の抗菌性金属成分の固形分当
りの濃度:銀1.5%、亜鉛5.0%(いずれも酸化物
換算)、 湿潤ワイパー用含浸液は、前記コロイド溶液0.3%、
エタノール3.0%及びイオン交換水96.7%とを混
合して調製した。この含浸液を、レーヨン繊維で構成さ
れる不織布(商品名:ベンリーゼ JF601、目付6
0g/m2、旭化成工業株式会社製)に含浸し、湿潤ワ
イパーを作製した。含浸液の含浸量は不織布重量当り1
50%となるように調整した。
【0034】実施例8 湿潤ワイパー用含浸液を、前記抗菌性無機酸化物微粒子
(アトミーボール−S)0.1%とイオン交換水99.
9%とを混合して調製したこと以外は、実施例1と同様
にして湿潤ワイパーを作製した。 実施例9 湿潤ワイパー用含浸液を、前記抗菌性無機酸化物微粒子
(アトミーボール−S)5.0%とイオン交換水95.
0%とを混合して調製したこと以外は、実施例1と同様
にして湿潤ワイパーを作製した。
【0035】実施例10 以下に示す方法により抗菌性無機酸化物微粒子としてゼ
オライト系抗菌剤を調製した。Na−Y型ゼオライトを
水に懸濁して、濃度5%のスラリー400gを準備し
た。このスラリーを70℃に加温し、濃度5%のAgN
O3水溶液9.2gを添加し、90℃に加温して1時間
放置することにより銀とのイオン交換を行った。このス
ラリーをガラスフィルター(G2)でろ過し、ケーキを
60℃の温水で十分に洗浄後、120℃で乾燥し、更に
550℃で1時間焼成して粉末状の抗菌性無機酸化物微
粒子を調製した。この抗菌性無機酸化物微粒子は、酸化
物換算で1.5%の銀成分を含み、平均粒子径は700
nmであった。この抗菌性無機酸化物微粒子を固形分濃
度1.0%となるようにイオン交換水に分散させ、抗菌
剤の分散液を調製した。湿潤ワイパー用含浸液を、前記
抗菌剤分散液2.5%、エタノール5%及びイオン交換
水92.5%とを混合して調製したこと以外は、実施例
1と同様にして湿潤ワイパーを作製した。
【0036】実施例11 湿潤ワイパーの含浸液を、実施例10で作製した抗菌剤
分散液のもの0.2%、エタノール5%及びイオン交換
水94.8%とを混合して調製したこと以外は、実施例
1と同様にして湿潤ワイパーを作製した。
【0037】比較例1 湿潤ワイパー用含浸液を、エタノール75%とイオン交
換水25%を混合して調製したこと以外は、実施例1と
同様にして湿潤ワイパーを作製した。 比較例2 湿潤ワイパー用含浸液を、エタノール5.0%、プロピ
レングリコール5.0%、パラオキシ安息香酸メチル
0.2%、パラオキシ安息香酸エチル0.1%及びイオ
ン交換水89.7%とを混合して調製したこと以外は、
実施例1と同様にして湿潤ワイパーを作製した。 比較例3 湿潤ワイパー用含浸液を、エタノール5.0%、塩化ベ
ンザルコニウム0.2%及びイオン交換水94.8%と
を混合して調製したこと以外は、実施例1と同様にして
湿潤ワイパーを作製した。 比較例4 湿潤ワイパー用含浸液としてイオン交換水のみを用いた
こと以外は、実施例1と同様にして湿潤ワイパーを作製
した。
【0038】実施例と比較例で作製した湿潤ワイパーの
性能を下記の試験に供し、その品質を評価した。 (1)抗菌性と抗菌持続性 「供試菌株」被検菌株は、通常よく用いられる菌種で、
一般的な環境下で存在するもので、グラム陰性菌のうち
代表的な肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae IF012732)
と、グラム陽性菌のうち代表的な黄色ブドウ状球菌(St
aphylococcus aureus IF012732)の2種類を用いた。培
地は、前培養には普通ブイヨン培地を、本培養には普通
寒天培地を用いた。それぞれの培地の組成は下記に示す
とおりである。 普通ブイヨン培地 肉エキス 5g ヘプトン 10g 塩化ナトリウム 5g 蒸留水 1000ml pH 7.0
【0039】普通寒天培地 肉エキス 5g ヘプトン 10g 塩化ナトリウム 5g 寒天 15g 蒸留水 1000ml pH 7.0 リン酸緩衝液は、リン酸二水素カリウム34gを精製水
(蒸留水)500mlに溶解し、これに4%水酸化ナト
リウム溶液175mlを加えてpH7.2に調整した
後、精製水を加えて全量を1000mlとして保存液と
した。保存液は5℃以下で保存し、保存限界は2ヶ月と
した。使用の際にはこの保存液を800倍に希釈し、高
圧蒸気滅菌した。
【0040】「抗菌性」 試験片 20mm×20mmの大きさに切った湿潤ワイパーを試
験片とした。試験片は、一度の評価に5枚使用した。 抗菌性評価 まず、供試菌株を普通ブイヨン培地において37℃で2
4時間培養し、その培養液を高圧蒸気で殺菌済みのリン
酸緩衝液からなる保存液に添加し、菌濃度が104個/
mlとなるように希釈して試験菌液を調製した。この液
の75mlを三角フラスコに入れ、次いで、試験片を絶
乾換算で0.75g入れた。その後、この三角フラスコ
を振とう器にかけ、340rpm、28℃、60分の条
件で振とうして菌液中の菌と試験片を十分に接触させ
た。次に、菌液の10倍から100,000倍までの1
0倍希釈列を作り、それぞれの濃度の菌液1mlと普通
寒天培地15mlを用いて混釈法でプレートを作った。
その後37℃の培養器で48時間培養した後、コロニー
を数え、接触前の菌数に対する減菌率を計算で求め、抗
菌性を評価した。
【0041】「抗菌持続性」 サンプル板の作製 ステンレス板(SUS316)、ABS樹脂板及び軟質
PVCシートからなる大きさが100mm×100mm
の3種類の試験板を用意した。次に、紙製キッチンタオ
ル(商品名:ネピアキッチンタオル、新王子製紙社製)
に75%エタノールを含浸させ、このタオルで各試験板
の表面を拭い、殺菌、清浄し、乾燥した後、更にイオン
交換水を含ませた紙製キッチンタオルで清拭し、室内に
72時間放置し乾燥した。その後、実施例と比較例で得
られた湿潤ワイパーを用いて各試験板を4回往復清拭
し、室温で1時間乾燥したものを抗菌持続性試験(拭い
取り回数0回)のサンプル板とする。各サンプル板表面
を、イオン交換水を含浸した紙製キッチンタオルを用い
て、1回拭い、これを抗菌持続性試験の拭い取り回数1
回のサンプル板とし、次いで順次同様にして1回目の拭
い取りの後に1時間の乾燥時間を設け2回拭い、拭い取
り回数2回のサンプル板とし、同様にして拭い取り回数
7回までのサンプル板を用意した。それぞれ拭い取りの
間に1時間の乾燥時間を設けた。
【0042】抗菌持続性評価 まず、供試菌株を普通ブイヨン培地において37℃で2
4時間培養し、その培養液を高圧蒸気で殺菌済みのリン
酸緩衝液からなる保存液に添加し、菌濃度が104個/
mlとなるように希釈して試験菌液を調製した。この試
験菌液を、前記のようにして用意した各サンプル板表面
に100μlのせ、35℃で24時間放置し、培養し
た。次いで、サンプル板表面で培養した後の試験菌液
を、高圧蒸気で殺菌済みのリン酸緩衝液からなる保存液
10mlで洗い流し、菌液を得る。次に、菌液の10倍
から100,000倍までの10倍希釈列を作り、それ
ぞれの濃度の菌液1mlと普通寒天培地15mlを用い
て混釈法でプレートを作った。その後37℃の培養器で
48時間培養した後、コロニーを数え、サンプル表面へ
滴下前の菌数に対する減菌率を計算で求め、抗菌持続性
を評価した。この時、菌液の菌数が滴下前の菌液の菌数
より多い場合は、+の記号で示した。抗菌性と抗菌持続
性は、減菌率の高いものほど強いといえるが、減菌率が
65%以上あれば抗菌性又は抗菌持続性があるといえ
る。更に、減菌率が80%以上の値を示せば非常に高い
抗菌性又は抗菌持続性を有していることになり望まし
い。
【0043】得られた試験結果を表1と2に示した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】表1と2から分かるように、本発明の湿潤
ワイパーは、抗菌性が優れており、この湿潤ワイパーで
対象物を拭浄すると、その後に対象物表面に抗菌性を付
与することができその表面を複数回水拭きを行った後も
抗菌性が維持されており、優れた抗菌持続性を有してい
る。即ち、抗菌性無機酸化物微粒子の粒子径が500n
m以下で、含浸液中の抗菌性無機酸化物微粒子の固形分
濃度が0.003重量%〜0.05重量%の範囲にある
液を含む湿潤ワイパーは、水を含むタオルで7回拭った
後も抗菌性を有しており、少なくとも5回拭った後まで
非常に高い抗菌持続性が得られている(実施例1〜
7)。
【0047】抗菌性無機酸化物微粒子の固形分濃度が
0.003重量%より低い濃度の液をを含む湿潤ワイパ
ーでも、そのワイパーで清拭された対象物の表面は十分
抗菌性が付与されており、水を含むタオルで3回拭った
後も抗菌性が維持されているが、5回以上拭った後でも
効果を維持させようとすると固形分濃度を高める必要が
ある(実施例8)。前記粒子径が小さくて、固形分濃度
が0.05重量%を超えて大きい場合は、いうまでもな
く抗菌性と抗菌持続性に極めて優れているがその効果の
向上は頭打ちとなっており、経済的には不利となる(実
施例9)。抗菌性無機酸化物微粒子の粒子径が500n
mを超える抗菌剤を使用した場合も、水を含むタオルで
3回拭った程度では抗菌性を維持している(実施例10
〜11)。前記粒子径が大きくて、含浸液中の抗菌性無
機酸化物微粒子の固形分濃度を0.003重量%未満の
ように低くした場合も、3回程度の水拭きに耐えうる抗
菌性が付与されている(実施例11)。
【0048】抗菌成分として、エタノールを使用した場
合、拭浄による除菌は可能で抗菌性はあるが、水を含む
タオルで拭うと抗菌性は維持できない(比較例1)。抗
菌成分にパラオキシ安息香酸エステル類等を含有させた
場合、拭浄による抗菌性は得られ、水を含むタオルで拭
っても減菌効果は若干みられたが、その効果は十分でな
く、抗菌性が維持されているという水準ではなかった
(比較例2〜3)。単にイオン交換水を含む湿潤ワイパ
ーは、拭浄による抗菌性と抗菌持続性はともに全くない
(比較例4)。
【0049】
【発明の効果】本発明は、使用している机や事務機器、
事務用品、台所用品、トイレタリー用品、家庭用品、
壁、床等任意の物品の表面を除菌し、その対象物の表面
に極めて優れた持続性のある抗菌性を付与するという効
果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 敦 福岡県北九州市若松区北湊町13番2号 触媒化成工業株式会社 若松工場内 (56)参考文献 特開 平7−150075(JP,A) 特開 平8−59404(JP,A) 特開 平7−238183(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61L 2/16 A47L 13/17

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一種類以上の抗菌成分を含有する含浸液
    を不織布又は耐湿潤性紙に含浸させた湿潤ワイパーにお
    いて、 該含浸液に含まれる抗菌成分のうち少なくとも一つが、
    抗菌性金属成分と該抗菌性金属成分以外の無機酸化物と
    から構成される抗菌性無機酸化物微粒子を含有し、 該含浸液に含まれる抗菌性無機酸化物微粒子の固形分濃
    度が0.003〜0.05重量%であること を特徴とす
    る湿潤ワイパー。
  2. 【請求項2】 含浸液に含まれる前記抗菌性無機酸化物
    微粒子の平均粒子径が5〜500nmであることを特徴
    とする特許請求の範囲第1項記載の湿潤ワイパー。
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