JP3359370B2 - 分離回収用電気泳動ゲルおよびそれを用いた分離回収法 - Google Patents

分離回収用電気泳動ゲルおよびそれを用いた分離回収法

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JP3359370B2 JP05723593A JP5723593A JP3359370B2 JP 3359370 B2 JP3359370 B2 JP 3359370B2 JP 05723593 A JP05723593 A JP 05723593A JP 5723593 A JP5723593 A JP 5723593A JP 3359370 B2 JP3359370 B2 JP 3359370B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気泳動支持体として
用いられるゲルに関する。本発明のゲルは、DNA(デ
オキシリボ核酸)やたんぱく質等の分離、回収に好適に
利用することが可能である。
【0002】
【従来の技術】近年、タンパク質や核酸(DNAまたは
RNA(リボ核酸))、あるいはそのフラグメントなど
を、アミノ酸分析、ペプチドマッピング、アミノ酸配列
決定、抗体の作製、遺伝子のクローニング、DNAの塩
基配列決定、組み替えDNA体の作製などのために、電
気泳動によって分離し、回収することが盛んに行われて
いる。
【0003】電気泳動による分離・回収の手法として
は、例えば、電気泳動によって分離した被分離物質を含
有するゲルを切り出し、再度電場をかけてゲル中の被分
離物質を溶出させる電気溶出法;被分離物質を含有する
ゲル上に濾紙やニトロセルロース膜などを重ねて、被分
離物質をこれらの担体に移すブロッティング法;ゲルを
粉砕して被分離物質を抽出するゲル粉砕法;ゲルを溶解
してゲル中の被分離物質を溶出させるゲル溶解法;など
が開発されている。
【0004】しかしながら、これらの方法に関しては、
回収操作が煩雑で工程数が多く、回収率が低いうえに試
料が変性しやすいなどの問題があることが指摘されてい
る。特に微量のタンパク質やDNAを分離回収する場合
に、回収率が低いということは致命的である。
【0005】上記の手法のうち、ゲル溶解法は比較的回
収率が高いという特徴を有するが、ゲル材料として容易
にゲルが溶解できる材料を使用する必要がある。
【0006】電気泳動の支持体として一般に使用されて
いるのは、ポリアクリルアミドゲルまたはアガロースゲ
ルである。これらのうち、ポリアクリルアミドゲルは、
ポリアクリルアミドがN,N’−メチレンビスアクリル
アミドによって、共有結合を介して化学的に架橋された
構造のため、通常は溶解できない。そこで、架橋剤とし
てN,N’−メチレンビスアクリルアミドの代わりに、
比較的容易に分解される分解性架橋剤、例えば、N,
N’−ジアリル酒石酸ジアミド、N,N’−(1,2−
ジヒドロキシエチレン)ビス−アクリルアミド、N,
N’−ビス−アクリルシスタミンなどを用いた可溶性ポ
リアクリルアミドゲルが提案されている(例えば、J. T
asら、Analytical Biochemistry, 100: 264-270, 1979
)。
【0007】しかしながら、この可溶性ポリアクリルア
ミドゲルの溶解には、加水分解、酸化あるいは還元等の
化学反応によって架橋剤を分解する必要があるため、ゲ
ル中の被分離物質の変性が問題となる。
【0008】一方、アガロースゲルは、低温でゲル、高
温で水溶液となる熱可逆的ゾル−ゲル転移を示すので、
加熱によって溶解し得るが、通常のアガロースゲルの融
点は約90℃以上と極めて高温である。そこで、アガロ
ースにヒドロキシエチル化等の化学修飾を施し、融点を
低下させた低融点アガロースが開発されている(例え
ば、L. Wieslander 、Analytical Biochemistry, 98: 3
05, 1979)。
【0009】しかしながら、この低融点アガロースにお
いても、その融点は約60℃以上と高く、熱変性し易い
試料の回収は困難であった。そのため、この低融点アガ
ロースは、比較的高温でも変性しにくい試料であるDN
AやRNAの分離回収に限って主に用いられてきたが、
アガロースは天然由来の材料であるため種々の不純物を
含有し、この不純物は、DNA分子のクローニングの過
程で用いられる種々の酵素(DNAリガーゼ、制限酵素
等)の活性を阻害するといった問題も指摘されている。
【0010】また、上記ゲル溶解法に共通する問題点と
して、ゲルを溶解した時点ではほぼ100%の被分離物
質が回収可能であるものの、その後の可溶化されたゲル
材料と被分離物質を分離する過程で、回収率が低下して
しまうという点もある(例えば、D. C. Flter と S. S.
Tevethia, Virology, 117: 267-270, 1982 )。
【0011】従って、従来の方法では電気泳動によって
分離を行っても、被分離物質をゲルから簡便な方法でか
つ未変性状態の高回収率で回収することは非常に困難で
あった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の電気泳動ゲルが有する上記の課題を解決できる新規な
分離回収用電気泳動ゲルを提供することにある。
【0013】本発明の他の目的は、かかる分離回収用電
気泳動ゲルを用いた簡便な工程により、高回収率でタン
パク質やDNAなどの所望の物質を得ることができる分
離回収法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、ゾル−ゲ
ル転移温度より低い温度ではゾル、ゾル−ゲル転移温度
より高い温度ではゲルとなるゾル−ゲル転移が熱可逆的
に生起することを特徴とする分離回収用電気泳動ゲルに
よって達成される。
【0015】本発明によれば、更にゾル−ゲル転移温度
より高い温度でゲル状態の上記分離回収用電気泳動ゲル
を支持体として、電気泳動により物質を分離した後、該
ゲルをそのゾル−ゲル転移温度より低い温度に冷却する
ことによりゾル状態とし、分離された上記物質を回収す
ることを特徴とする分離回収法が提供される。
【0016】本発明によれば、更に、ゾル−ゲル転移温
度より高い温度でゲル状態のエチルアルコール可溶性分
離回収用電気泳動ゲルを支持体として、電気泳動により
物質を分離した後、該ゲルをエチルアルコールに溶解し
て、分離された上記物質を回収することを特徴とする分
離回収法が提供される。
【0017】以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】(ゾル/ゲル)本発明におけるゾルとは、
高分子化合物の水溶液またはコロイドの水懸濁液であっ
て、それらが流動性を有する状態をいう。一方、ゲルと
は該ゾルが固化し、流動性を失った状態をいい、本発明
のゲルとともに用いられる溶媒が水である場合、このよ
うなゲルは一般にハイドロゲルと呼ばれる。
【0019】(ゾルーゲル転移温度)本発明において
「ゾル状態」「ゲル状態」および「ゾルーゲル転移温
度」は以下のように定義される。この定義については文
献(Polymer Journal.18(5),411−416(1
986))を参照することができる。
【0020】高分子溶液1mLを内径1cmの試験管に
入れ、所定の温度(一定温度)とした水浴中で12時間
保持する。この後、試験管の上下を逆にした場合に、溶
液/空気の界面(メニスカス)が溶液の自重で変形した
場合(溶液が流出した場合を含む)には、上記所定温度
において高分子溶液は「ゾル状態」であると定義する。
一方、上記試験管の上下を逆にしても、上記した溶液/
空気の界面(メニスカス)が溶液の自重で変形しない場
合には、該溶液は、上記所定温度において「ゲル状態」
であると定義する。
【0021】一方、上記測定において、濃度が約5wt
%の高分子溶液を用い、上記した「所定温度」を徐々に
(例えば1℃きざみで)上昇させて「ゾル状態」が「ゲ
ル状態」に転移する温度を求めた場合、これによって求
められる転移温度を「ゾルーゲル転移温度」と定義する
(この際、「所定温度」を例えば1℃きざみで下降さ
せ、「ゲル状態」が「ゾル状態」に転移する温度を求め
てもよい)。
【0022】本発明に用いられるゲルは、ゾル−ゲル転
移温度より低い温度ではゾル状態、ゾル−ゲル転移温度
より高い温度ではゲル状態となり、かつ該ゲルは冷却に
よって再びゾルに戻る、すなわち、ゾル−ゲル転移が熱
可逆的に生起する性質を有する。また、このゾル−ゲル
転移が生起する温度が上記したゾル−ゲル転移温度であ
る。本発明においては、このゾル−ゲル転移温度が0℃
〜90℃、さらには0℃〜40℃であることが好まし
い。
【0023】(ゲル材料)上記のような性質を有するゲ
ル材料としては、例えば、メチルセルロースやヒドロキ
シプロピルメチルセルロース等のセルロースエーテル
(N. Sarkar, Journal of Applied Polymer Science, 2
4: 1073-1087, 1979) 、キトサン誘導体(K.R. Holme
と L. D. Hall, Macromolecules, 24: 3828-3833, 199
1) 等の多糖類誘導体;ポリプロピレンオキサイドとポ
リエチレンオキサイドのブロック共重合体( S. C. Mill
erと M. D. Donovan, International Journal of Pharm
aceutics,12: 147-152, 1982) 等の非イオン性界面活性
剤;ポリメタクリル酸(J. Eliassafと A. Silberberg,
Polymer, 3: 555-564, 1962)等のポリカルボン酸;など
を挙げることができる。
【0024】さらに、本発明者の知見によれば、曇点を
有する高分子化合物と他の水溶性高分子化合物から成る
ブロック共重合体であって、該ブロック共重合体中に該
曇点を有する高分子化合物が複数個存在する材料によっ
ても、上記のような性質を有するゲルが得られる。ここ
で曇点とは、曇点を有する高分子化合物の水溶液(濃度
1wt%)を徐徐に加熱した時、はじめて白濁を生じる
温度を言う。この曇点に関しては、文献(J. Phys. Che
m., 93, 3311 (1989) )を参照することができる。本発
明においては、この曇点が0℃〜90℃、さらには0℃
〜40℃であることが好ましい。
【0025】(曇点を有する高分子化合物)本発明に用
いられる「曇点を有する高分子化合物」としては、例え
ばポリN−置換アクリルアミド誘導体、ポリN−置換メ
タアクリルアミド誘導体およびこれらの共重合体、ポリ
プロピレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル、ポ
リビニルアルコール部分酢化物などが挙げられる。
【0026】(水溶性高分子)本発明における上記「他
の水溶性高分子」としては、例えばデキストラン、ポリ
エチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリN−
ビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリアクリル
アミド、ポリメタアクリルアミド、ポリN−メチルアク
リルアミド、ポリヒドロキシメチルアクリレート、ポリ
アクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン
酸、ポリスチレンスルホン酸およびそれらの塩、ポリ
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリ
N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ポリ
N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドおよび
それらの塩などが挙げられる。
【0027】(ブロック共重合体)上記した「曇点を有
する高分子化合物」と「他の水溶性高分子化合物」から
成るブロック共重合体の合成は、例えば、「曇点を有す
る高分子化合物」を構成するモノマーと、「他の水溶性
高分子化合物」を構成するモノマーとを繰り返し逐次重
合させることにより行うことができる。
【0028】より具体的には、例えば、曇点を有する高
分子化合物がポリプロピレンオキサイドで、他の水溶性
高分子化合物がポリエチレンオキサイドである場合、ア
ニオン重合あるいはカチオン重合で、プロピレンオキサ
イドとエチレンキサイドを繰り返し逐次重合させること
で、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイ
ドが結合したブロック共重合体を得ることができる。
【0029】また、ポリプロピレンオキサイドの両端に
ポリエチレンオキサイドが結合した、プルロニック(商
品名、BASF社製)F−127のような材料を連結さ
せることによっても、本発明のブロック共重合体を得る
ことができる。
【0030】また、曇点を有する高分子化合物と他の水
溶性高分子化合物から成るブロック共重合体の合成は、
曇点を有する高分子化合物中に重合性基(例えばアクリ
ル基)を導入後、水溶性高分子を構成するモノマーを共
重合させることによっても得ることができるし、その逆
に、水溶性高分子中に重合性基を導入後、曇点を有する
高分子化合物を構成するモノマーを共重合させることに
よっても得ることができる。また、水溶性高分子中に、
曇点を有する高分子化合物中の官能基(例えばアミノ
基)と結合反応し得る官能基(例えばカルボキシル基)
を導入し、両者を反応させることによっても得ることが
できる。
【0031】本発明者は、上記のような手段によって得
られる本発明のブロック共重合体が、分子内の曇点を有
する高分子化合物の曇点より低い温度では水溶性で、均
一な水溶液となるが、該曇点より高い温度ではその水溶
液が流動性を失い、ハイドロゲルとなることを見いだし
た。更に、本発明者の知見によれば、上記ブロック共重
合体中に該曇点を有する高分子化合物が複数個存在する
材料を用いた場合には、上記ハイドロゲルに、曇点より
高い温度でさらに多量の水(たとえば、重量で10〜1
00倍量の水)を加えても、該ハイドロゲルが溶解する
ことはなかった。
【0032】本発明のブロック共重合体中における「曇
点を有する高分子化合物」部分の存在比は、約5wt%
〜約90wt%、更には30〜70wt%の範囲である
ことが好ましい。上記存在比が、5wt%を下回るとゲ
ル化が困難となり、90wt%を上回るとハイドロゲル
の含水率が低くなり、電気泳動支持体として不適とな
る。
【0033】(エチルアルコール可溶性)従来一般に電
気泳動支持体として使用されてきたポリアクリルアミド
およびアガロースは、ともにエチルアルコールに不溶で
あったが、本発明の分離回収用電気泳動ゲルにおいて
は、該ゲルを構成する材料としてエチルアルコール可溶
性の材料を使用することが可能である。
【0034】例えば、上記したように「曇点を有する高
分子化合物」がポリプロピレンオキサイドで、「他の水
溶性高分子化合物」がポリエチレンオキサイドである場
合、いずれの高分子もエチルアルコール可溶性であり、
結果としてそれらのブロック共重合体もエチルアルコー
ル可溶性である。一般に電気泳動で分離される試料は荷
電物質であり、多くの荷電を有する試料は、水溶性は高
いがエチルアルコールには不溶性であることが多い。そ
こで、試料を回収する際、DNAに代表されるように、
試料をエチルアルコールによって沈澱させる方法が広く
用いられている。ここでゲル材料が上述したようにエチ
ルアルコール可溶性であれば、エチルアルコールに対す
る溶解性の差を利用して、被分離試料とゲル材料とを容
易に分離することができる。
【0035】本発明において、ゲルを構成する材料がエ
チルアルコール可溶性である場合、該ゲル材料は、25
℃で、100mlのエチルアルコールに10g以上(更
には50g以上)溶解することが好ましい。
【0036】(試料の分離・回収方法)次に、本発明の
分離回収用電気泳動ゲルを用いて蛋白質、DNA等の試
料を分離・回収する方法の好ましい一態様について説明
する。
【0037】まず、本発明のゲル材料を所定の電気泳動
用緩衝液に、そのゾルーゲル転移温度より低い温度で溶
解する。この水溶液を所望の形状の型枠に流し込み、ゲ
ル材料のゾルーゲル転移温度より高い温度でゲル化させ
る。この型枠としては、通常の電気泳動装置のものをそ
のまま使用でき、ゲル化前にコーム(comb)を差し
てレーン(lane)を形成させることもできる。以下
の操作においては、上記ゲルのゾルーゲル転移温度より
高い温度に保持しつつ電気泳動を行う必要があるが、そ
れ以外は通常のゲル電気泳動法と全く同様の操作で試料
の電気泳動分離を行うことが可能である。
【0038】その後、電気泳動法により分離された目的
試料を含有するゲル部分を切り出し、該ゲルのゾルーゲ
ル転移温度より低い温度に冷却することでゲルを溶解
(ゾル化)する。溶解されたゲルと目的試料の分離は、
通常アガロースゲルからの試料回収において行われてい
る方法、例えばクロマトグラフィー等によって実施でき
る。(エチルアルコール沈澱法) 本発明において、上記ゲル材料がエチルアルコール可溶
性である場合には、ゲルをエチルアルコールに溶解さ
せ、且つ、目的試料をエチルアルコールにより沈澱析出
させることで、溶解されたゲルと目的試料の分離を容易
に行うことができる。
【0039】このエチルアルコール沈澱法は、例えばP
CR(ポリメラーゼ連鎖反応)法等により増幅されたD
NAを本発明の分離回収用電気泳動ゲルを用いて精製、
回収する際などに好適に利用される。
【0040】以下に実施例を示し、本発明をより具体的
に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定され
るものではない。
【0041】
【実施例】実施例1 (分離回収用電気泳動ゲルの調製)トリメチロールプロ
パン1モルに対し、エチレンオキサイド160モルをカ
チオン重合により付加して、平均分子量約7000のポ
リエチレンオキサイドトリオールを得た。このポリエチ
レンオキサイドトリオール100gを蒸留水1000m
lに溶解した後、室温で過マンガン酸カリウム12gを
徐徐に加えて、そのまま約1時間酸化反応させた。濾過
後、生成物をクロロホルムに抽出し、溶媒(クロロホル
ム)を減圧留去してポリエチレンオキサイドトリカルボ
キシル体90gを得た。
【0042】このポリエチレンオキサイドトリカルボキ
シル体10gと、ポリプロピレンオキサイドジアミノ体
(プロピレンオキサイド平均重合度約65、米国ジェフ
ァーソンケミカル社製:商品名ジェファーミンD−40
00、曇点:約9℃)10gとを四塩化炭素1000m
lに溶解し、ジシクロヘキシルカルボジイミド1.2g
を加え、沸点還流下に6時間反応させた。反応液を冷
却、濾過後、溶媒を減圧留去し、残さを真空乾燥して、
ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドか
ら成るブロック共重合体を得た。
【0043】このようにして得たブロック共重合体を氷
冷下、7wt%の濃度で、40mMトリス−酢酸緩衝液
(pH8.1、1mMのEDTAおよび0.5μg/m
lのエチジウムブロマイド(ethidium bromide)を含む)
に溶解した。この水溶液を水平型電気泳動装置(マリソ
ル社製、KS−8426型)のUV透過ラックに流し込
み、コーム(スロットフォーマー)を乗せて室温でゲル
化させた。
【0044】実施例2 (DNAの電気泳動分離及び回収)電極槽を上記トリス
−酢酸緩衝液で満たし、コームを抜いた試料溝(レー
ン)の1つにDNA分子量マーカー(φX174 DNAの
制限酵素HaeIII消化物、ニッポンジーン社製)
を、別のレーンに制限酵素ECORI消化によって直鎖状
にしたプラスミドDNA(pUC19、2.7 キロ塩基
対、タカラ社製)0.5μgを加え、室温下70Vで4
時間泳動させた。
【0045】泳動後、蛍光検出により得られたDNAマ
ーカーの分離パターンは、通常のアガロースゲル(濃度
2%)のものと同様であった。一方、蛍光検出に基づき
プラスミドDNAを含むと考えられる部分のゲル約0.
1gを切り出し、氷冷によりゲルを溶解させた後、エチ
ルアルコール1mlを加えて沈澱を析出させた。遠心分
離(12,000rpm 、20分)によりこの析出した沈澱を回収
した後、この沈澱を通常のアガロースゲル電気泳動に供
し、デンシトメーター(densitometer, 島津社製 CS-9
000 )により定量したところ、ほぼ0.5μg全量のプ
ラスミドDNAが回収されていることが判明した。
【0046】実施例3 (酵素反応を阻害しないことの確認)上記実施例2にお
ける遠心分離によって回収された直鎖状プラスミドDN
A沈澱(0.5μg)を、10mMトリス−塩酸緩衝液
(pH8.0、1mMのEDTAを含む)25μlに溶
解した。一方、対照として、電気泳動前の直鎖状プラス
ミドDNA0.5μgを上記トリス−塩酸緩衝液25μ
lに溶解した溶液も調製した。
【0047】それぞれの溶液5μlずつを使用して、T
4 DNAリガーゼ反応(タカラ社製、ライゲーション
キット使用)により、直鎖状プラスミドDNAを閉環さ
せた。次いで大腸菌JM109株を、Hanahan 法(Hana
han, D., J. Mol. Biol., 166, 557(1983))により、上
記閉環DNAを用いて形質転換させた。この形質転換後
の菌をアンピシリン(100μg/ml)含有LB寒天
培地(ギブコ社製)平板上に塗り付け、37℃で17時
間培養後、コロニー数から形質転換効率を求めたとこ
ろ、本発明の分離回収用電気泳動ゲルから回収されたD
NAは、対照DNAと同等の形質転換効率を与えた。上
記の結果より、本発明の分離回収用電気泳動ゲルを用い
て精製、回収された試料は、酵素活性を阻害しないこと
が確認された。
【0048】
【発明の効果】上述したように、本発明の分離回収用電
気泳動ゲルは、特定の温度(ゾルーゲル転移温度)より
低温では水溶液(ゾル)状態、該温度より高温ではハイ
ドロゲル状態を呈することが可能である。従って、本発
明の分離回収用電気泳動ゲルは、そのゾルーゲル転移温
度より低い温度では水溶液とすることが可能であるの
で、上記ゲルを電気泳動用の所望の形状に容易に成型で
きる。本発明の分離回収用電気泳動ゲルのゲル化は化学
反応を伴わず、温度をそのゾルーゲル転移温度より高く
するだけで達成されるため、上記ゲル化は極めて簡便か
つ迅速に実施できる。
【0049】電気泳動後、被分離試料回収のためのゲル
の溶解は、そのゾルーゲル転移温度より低い温度に冷却
するだけで実施可能であるから、簡便で試料の変性を誘
発することもない。
【0050】本発明においては、ゲル材料としてエチル
アルコール可溶性のものも使用可能であるが、この場合
においても、被分離試料とゲル材料との分離は極めて容
易である。
【0051】更に、本発明の分離回収用電気泳動ゲル
は、合成化学的に得ることが可能であるため、天然材料
に見られるような未知の不純物を含まない材料が容易に
得られ、組成の均一性、性能の安定性を容易に保証で
き、しかも回収された試料が酵素活性を阻害しないこと
も容易に保証できる。
【0052】
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−278451(JP,A) 特開 平3−296657(JP,A) 特開 平4−278452(JP,A) 特開 平5−133937(JP,A) 特開 平6−167477(JP,A) 特開 平5−215717(JP,A) 特表 平8−503543(JP,A) 特表 平6−504612(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/447 B01D 57/02 JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子化合物と、これにより保持された
    水とを少なくとも含むゲルであって;且つ、ゾル−ゲル
    転移温度より低い温度ではゾル、ゾル−ゲル転移温度よ
    り高い温度ではゲルとなるゾル−ゲル転移が熱可逆的に
    生起することを特徴とする分離回収用電気泳動ゲル。
  2. 【請求項2】 前記高分子化合物が、曇点を有するブロ
    ックと、他の水溶性ブロックとを含むブロック共重合体
    であって、該ブロック共重合体中に該曇点を有するブロ
    ックが複数個存在する共重合体である請求項1記載の分
    離回収用電気泳動ゲル。
  3. 【請求項3】 前記高分子化合物が、エチルアルコール
    可溶性であることを特徴とする請求項1または2記載の
    分離回収用電気泳動ゲル。
  4. 【請求項4】 高分子化合物と、これにより保持された
    水とを少なくとも含むゲルであって;且つ、ゾル−ゲル
    転移温度より低い温度ではゾル、ゾル−ゲル転移温度よ
    り高い温度ではゲルとなるゾル−ゲル転移が熱可逆的に
    生起する分離回収用電気泳動ゲルを用い; ゾル−ゲル転移温度より高い温度でゲル状態の前記ゲル
    を支持体として、電気泳動により物質を分離した後、該
    ゲルをそのゾル−ゲル転移温度より低い温度に冷却する
    ことによりゾル状態とし、分離された上記物質を回収す
    ることを特徴とする分離回収法。
  5. 【請求項5】 エチルアルコール可溶性の高分子化合物
    と、これにより保持された水とを少なくとも含むゲルで
    あって;且つ、ゾル−ゲル転移温度より低い温度ではゾ
    ル、ゾル−ゲル転移温度より高い温度ではゲルとなるゾ
    ル−ゲル転移が熱可逆的に生起する分離回収用電気泳動
    ゲルを用い; ゾル−ゲル転移温度より高い温度でゲル状態の前記ゲル
    を支持体として、電気泳動により物質を分離した後、該
    ゲルをエチルアルコールに溶解して、分離された上記物
    質を回収することを特徴とする分離回収法。
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