JP3359109B2 - 運転状態が連続量で表される機器の異常診断方法 - Google Patents

運転状態が連続量で表される機器の異常診断方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、運転状態が流体の温
度、圧力、流量、電気の電圧、電流等のような連続量で
表される機器の異常診断方法、詳しくはその運転状態を
表す変数が連続量として表現される石油プラント、化学
プラント、原子力プラント、建築空調設備等の機器につ
いて、定常状態におけるこれらの連続量を表す変数の関
係式から得られる変数の増分についての関係式と測定値
を用いて、簡便にこれらの運転状態の異常を診断する方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】石油プラント、化学プラント、原子力プ
ラント、建築空調設備等の運転状態が連続量で表される
機器の異常診断の方法には、浅い知識に基づいた方法
(ここでは従来方法1と称す)と深い知識に基いた方法
(ここでは従来方法2と称す)とが従来より存在してい
る。従来方法1は、異常の原因と症状を直接的に結びつ
け、ルール(If[症状]、Then[原因]によって症状と
原因を結びつけて表現する)として表現する手法であ
り、ルールベースのエキスパートシステムとして利用さ
れている。従来方法2は、対象物の構造(構成要素とそ
れらの相互の関係)と機能(構成要素の入力と出力の関
係及び構成要素の入出力と系全体の入出力の関係)を数
式や記号により表現したモデルを用いる手法であり、こ
の従来方法2による異常診断では、このようなモデルに
基いて数値シミュレーションによって異常診断を行って
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来方法1による異常
診断は簡便であるという長所はあるが、該当する知識が
ない場合にはなすすべがなかった。又、基礎となる原理
を保持していないため、因果関係の説明が十分にでき
ず、更に、ルールの数が膨大になり、その獲得とメンテ
ナナンスに多大な労力を要するなどの短所があった。一
方、従来方法2は従来方法1に比してより強力な問題解
決能力を有し、基礎原理によって裏づけられる為、対象
物の挙動が説明でき、更に教育システムとして役立つと
いう長所があるが、たいてい、非線形な関係式を扱うた
め、解を得るための処理が難しく、プログラムの作成も
相当な知識経験を有し、処理時間が長いという問題点が
あった。本発明者は、従来方法2の上記の問題点を解消
するため、機器の定常状態を表す変数の関係式を微分し
て得られる変数の増分についての線形の関係式と運転監
視用の測定点における変数の変動量を用いて、数値シミ
ュレーションによらないで、他の変数の変動量を精度よ
く計算する方法(増分推定法)を開発することに成功
し、この方法に基づいて複雑な処理を要さず、短時間で
異常個所を推定できる機器の異常診断方法をここに提供
せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、石油プラン
ト、化学プラント、原子力プラント、建築空調設備等運
転状態が連続量で表される機器において、機器の状態が
正常な定常状態から変化した場合に、正常な定常状態を
表す関係式を微分して得られる変数の増分についての近
似式においてその係数を定常状態の変数の値により計算
し、変動量が大きい場合には、誤差を少なくするために
変動の前後の係数の平均値を用いることとして、これら
の式に測定点の変数の定常状態における値からの変動量
を代入して別の測定点の変数の変動量を計算し、その点
の測定値の変動量と比較することにより、機能に異常が
生じている部分を同定し、さらに、当該部分に関連する
全ての測定点の変数の変動量を当該関係式に代入し、異
常個所の変数の変動量を逆算することにより、当該部分
に含まれる異常個所を推定できる様にすることにより、
上記課題を解決せんとするものである。以下、本発明の
異常診断方法を更に詳しく説明する。
【0005】(a)増分推定法 本発明方法では、機器の状態が定常状態から変化したと
き、次のようにして変数の変動量を計算する。機器の定
常状態を表す関係式の例として、変数x,y,zについ
ての次式をとりあげる。 z=f(x,y) … 式(1) 上式から変数の変動について、次のような近似式が得ら
れる。 Δz−fx Δx−fy Δy=0 … 式(2) ここで、fx は∂f/∂xを表す。Δx,Δyはそれぞ
れx,yの有限な変動量である。Δzは、x,yがΔ
x,Δyだけ変化したときのzの変動量の近似値であ
る。ここで対象とする異常状態は、機器のある部分の機
能に異常があるために正常時の定常状態から連続的に変
化して生じた状態であり、当該機能異常に対応した定常
状態にあるものとする。状態の時間的変化が緩やかな場
合には、このような定常状態にあるものとみなすことが
できる。
【0006】機器が定常状態で運転されているとき、各
変数の値は式(1)を満足している。ある定常状態にお
けるx,y,zの値をそれぞれa,b,cとする。通
常、定常状態における主要な変数の値は、機器の運転監
視用の測定点の値から知ることができる。測定点以外の
変数の値は、機器が正常な場合には、測定点の値から計
算することができ、必要ならば実測によって知ることが
できる。
【0007】機器の状態が正常時の定常状態から変化
し、異常に対応した定常状態に達しているとき、正常な
定常状態における変数の値からの変動量を次のようにし
て求める。まず、設計時の定数や正常時の定常状態の変
数の値により、式(2)のfx等の係数の値を求める。
次いで、このような式を用いて、変化後の状態における
測定点の変数の変動量を代入して、計算値を他の式に伝
播させることにより、他の変数の変動量を求める。たと
えば、式(2)においてΔxとΔzが既知となれば、Δ
yを計算する。
【0008】変動量の値が大きい場合には誤差が大きく
なるため、次のような改善策(平均係数法とよぶ)を講
ずる。ある式から計算した変数の変動量が規定のしきい
値より大きい場合には、その式の係数の値を、その係数
に含まれる変数について、もとの変数の値により計算し
た係数と変動量を加えた変数の値により計算した係数の
平均値で置き換える。例えば、変数x,yを含む係数に
ついては、x=a,y=bとして計算した係数とx=a
+Δx,y=b+Δyとして計算した係数の平均値で置
き換える。このように係数を修正した式(2)等を用い
て、その変数の変動量の値を計算し直す。
【0009】(b)増分推定法による機器の異常診断 機器の状態が、(a)で述べたような異常に対応した定
常状態にあるとき、機器が正常に機能している部分につ
いては、正常な機能を仮定した式(2)等から計算した
変数の変動量は、誤差の範囲内で、この部分における変
数の実際の変動量に一致する。ある部分に異常がある場
合には、正常な機能を仮定した式(2)等から計算した
当該部分における変数の変動量は、機器が実際に呈する
変数の変動量とは異なった値となり、それは、変数の測
定点において検出される。
【0010】増分推定法を用いて異常部分を同定するた
めに、測定点の変数の変動量または既知の変数の変動量
の値を代入することにより、別に定めた測定点またはチ
ェック点の変数の変動量を計算できるように関係式をグ
ループ化する。チェック点とは、別ルートから計算した
値の比較を行う点である。機器は通常、単一の機能を持
ったユニット(たとえば、冷凍設備では、圧縮機、凝縮
機等)を連結して構成されるため、これらのユニット毎
に機能を表す関係式をグループ化する。ここでは、同一
グループ内に複数の異常原因は、存在しないものとす
る。
【0011】異常個所の推定は、次の2段階の処理によ
り行う。 (イ)異常のある部分に関連する式のグループの同定 各グループについて、グループ内の機能が正常であるこ
とを仮定して、グループ内の測定点または既知の変数の
変動量を代入して、計算値を他の式に伝播させることに
より、別に定めた測定点の値を計算し、実際の測定値の
変動量と比較する。または、同様にしてチェック点の値
を求めて、既に正常であると確認された式のグループか
ら計算した値と比較する。両者の値が一致しない場合に
は、当該グループ内の式に対応する部分の機能に異常が
あることになる。
【0012】(ロ)異常個所の推定 異常があると同定されたグループ内の式について、異常
があると思われる機能を仮定し、全ての測定点または既
知の変数の変動量の値(上記(イ)で算出の対象となっ
た測定点およびチェック点を含む)を代入して、計算値
を他の式に伝播させることにより、その機能に対応する
変数の変動量を逆算する。求めた値が異常な状態を説明
できるようなものである場合には、当該機能に異常が生
じていることが裏付けられたことになり、求めた値が異
常な状態におけるその変数の変動量である。このような
異常の原因が見つかるまで、この処理を繰り返す。
【0013】機器の本来の機能にないような異常(たと
えば、タンクからの液漏れなど)に対応するためには、
(ロ)の階段でこれについての変数を式に含ませる必要
がある。たとえば、式(2)において、ある異常が起き
た場合、kΔu(uはその異常を表す変数、kは定数)
なる変化が生ずる場合、次式により、Δx,Δy,Δz
からΔuを逆算する。 Δz−fx Δx−fy Δy+kΔu=0 … 式(3) これにより、たとえば、タンクに液漏れが生じた場合、
流入量と流出量の変動量の差として、液漏れ量が計算で
きる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の手法を大型冷蔵庫用の冷凍設
備に適応した場合について説明する。冷凍設備は、冷蔵
庫、圧縮機、凝縮器、蒸発器、膨張弁からなるものとす
る。以下、主として凝縮器の異常診断について述べる。
定常状態における変数の関係式を表1に、これから導か
れる変数の増分についての関係式を表2に示す。
【表1】
【表2】
【0015】上記表1、表2において p1 冷媒の蒸発圧力 t1 冷媒の蒸発温度 p2 冷媒の凝縮圧力 t2 冷媒の凝縮温度 Qc 凝縮器の凝縮負荷 c 凝縮器の冷却水の比熱 W 凝縮器の冷却水量 tw1 凝縮器の冷却水の入り口温度 tw2 凝縮器の冷却水の出口温度 twm 凝縮器の冷却水の平均温度 Kc 凝縮器の冷却管の熱通過率 Fc 凝縮器の冷却管の面積 αr 冷媒凝縮面における熱伝達率 λo 油膜の熱伝達率 Loc 油膜の厚さ fw 水あかによる汚れ係数 αw 冷却水に接する面における熱伝達率 tr 冷蔵庫の室温 Θ 外気の温度 fp 飽和圧力−飽和温度関数
【0016】各構成要素の異常を推定するための、増分
関係式のグループ化は上記の機器毎に行うものとする。
そして、凝縮器についての上記(イ)の異常診断方法は
下記の手順により行う。
【数1】 凝縮器は正常に機能しており、ΔKc 、Δfw 、Δ
oc、がゼロであると仮定して、測定値Δtw1、Δ
w2、ΔWを用いて、式(2.1)、(2.2、)
(2.3)、(2.5)からΔp2 を算出し、測定値と
比較する。蒸発器(冷蔵庫)、圧縮機についても同様で
ある。下記表3は正常な定常状態における測定点の変数
の値である。
【表3】 ここで測定点の変数の値が表3に示す値だけ変動した場
合の異常個所の推定を行う。この状態は、凝縮圧力が約
1割高いという異常な状態である。これは、安全弁が作
動する圧力(冷凍保安規則関係基準では、設定圧力の1
15%と定められている)には至らないが、これに準ず
る状態である。なお、この例では外気温度等の外的条件
は変化しないものとしているが、これらが変化する場合
にも発明方法を適用できる。表2の式の係数の値は、設
計時の機器の定数、表3の正常時の測定点の変数の価か
ら求められる。
【0017】前記の手順に従って凝縮機について計算す
ると、凝縮圧力Δp2 =0になり、測定値Δp2 =1.
06kgf/cm2 absと一致しないため、凝縮器に
異常があるものと同定される。そこで、その原因は凝縮
器の熱伝達の異常であるものと仮定し、Δp2 =1.0
6kgf/cm2 absとして、式(2.1)からΔQ
c を、式(2.2)からΔtwmを、式(2.5)からΔ
2 を求め、これらの値を式(2.3)に代入して、Δ
c を逆算すると、ΔKc =−342kcal/m2
℃(39.3%減)が得られる。変動量がしきい値より
大きいため、平均係数法により式(2.3)におけるt
2 とKc を含む第2項と第3項の係数を修正して計算を
やり直すと、ΔKc =−230kcal/m2 h℃(2
6.5%減)が得られる。ここでは、定常状態における
変数の値に対する変動量の比が10%以上の場合に平均
係数法を用いることとした。Kc の減少は通常、油膜や
水あか等の冷却管の汚れの増加によって起こる。仮に油
膜の増加のみによるものとし、平均係数法を用いて計算
すると、式(2.4)からΔLoc=0.0395mmが
得られ、これは実際に生じうる値である。蒸発器と圧縮
機について、同様な手順に従って異常のチェックを行な
うと、計算値と測定値はそれぞれほぼ一致し、これらは
正常であることが分かる。ΔKc =−230kcal/
2 h℃として計算した主な変数の変動量は下記表4の
ようになる。
【表4】
【0018】以上の推論の結果、異常の原因は、凝縮器
の冷却管の油膜等の汚れの増大による熱通過率の減少で
あると推定される。これにより、冷却管の出口温度はほ
とんど変わりないが、凝縮圧力(凝縮温度)が異常に高
くなったのであるという説明ができる。(表3、4参
照)。このような因果関係の説明は、冷凍機の保守マニ
ュアル等に記述されている異常とその原因についての説
明と一致する。凝縮器についての他の異常原因では変数
の測定値の変動量を説明できないことから、異常の原因
は上記のものに絞り込まれる。式(1.3)により計算
したKc の変動量の厳密な値は、−245kcal/m
2 h℃である。平均係数法を用いないで計算したKc
変数量のもとの変数の値に対する相対誤差は、11.1
%であるのに対し、平均係数法を用いて計算した変動量
の相対誤差は1.7%である。この結果から、平均係数
法により誤差を小さくすることができることが分かる。
【0019】増分推定法の理論的根拠は、次の通りであ
る。システムの挙動を表すシステム方程式は、入力変数
(操作量u、外乱w)、状態変数x、出力変数yによっ
て記述される。これをそれぞれ次のような列ベクトルで
表す。
【数2】 外乱wには、本来の機能にないような異常を表す変数
(たとえば、タンクの液漏れによる液体の流出量等)を
含んでいるものと考える。システム方程式は、入力変数
と状態変数の関係を記述する状態方程式と、出力変数が
状態変数と入力変数のどのような関数になるかを表す出
力方程式とからなっている。集中定数システムの場合に
は、一般にこれらの方程式を次の形に書くことができ
る。
【数3】 入力u(t)、w(t)がそれぞれ一定値us 、ws
保たれ、システムが定常状態にあるとき、
【数4】 であるから、x,yはそれぞれ一定値xs ,ys とな
り、次式を満足する。 f(xs ,us ,ws )=0 (A1.5) ys =g(xs ,us ,ws ) (A1.6)
【0020】この次点では、外乱wにおける異常を表す
変数の値はゼロであり、この定常状態にはなんの影響も
及ばさない。システムに異常が生じ、変数が定常値から
それぞれΔu、Δw、Δx、Δyだけ変化したとき、T
aylor展開により、
【数5】 s +Δy=g(xs +Δx,us +Δu,ws +Δw) =g(xs ,us ,ws )+gX (xs ,us ,ws )Δx+ gu (xs ,us ,ws )Δu+gW (xs ,us ,ws ) Δw+… (A1.8)
【0021】ここで、fX は∂f/∂xを表す。ベクト
ルf,gのベクトルx,u,wに関する偏導関数はヤコ
ビアン行列である。‖Δx‖,‖Δu‖,‖Δw‖は小
さいものとして、Δx,Δu,Δwに関して2次以上の
項を無視する。異常に対応した定常状態に達しているも
のとし、式(A1.4),(A1.5),(A1.
6),を用いると、 fX (xs ,us ,ws )Δx+fu (xs ,us ,ws )Δu+ fW (xs ,us ,ws )Δw=0 (A1.9) Δy=gx (xs ,us ,ws )Δx+gU (xs ,us ,ws )Δu+ gW (xs ,us ,ws )Δw (A1.10) ここで扱うシステムの異常は、システムの構造を変化さ
せないようなもの(たとえば、熱交換機の管のよごれに
よる熱通過率の減少、タンクからの液体の漏れ等)に限
定する。ここで、このような異常を考慮せず、正常な機
能を仮定して組み立てた式(A1.9),(A1.1
0)を考える。正常に機能している部分については、機
器の変数の実際の変動量は、正常な機能を仮定して組み
立てた式(A1.9),(A1.10)を満足する。正
常に機能していない部分については、正常な機能を仮定
して組み立てた式(A1.9),(A1.10)から計
算した変数の変動量は、実際の変動量と一致しない。こ
の場合、実際の変動量が本来の式(A1.9),(A
1.10)を満足するという条件から、測定値を用い
て、その異常に対応した変数(熱通過率など)の変動量
を逆算することができる。又、本来の機能にないような
異常(タンクからの液漏れなど)を表す変数の項を追加
することにより、異常が生じている個所の変動量を逆算
することができる。なお、表 1、表2の式はこのような
異常を表す項を追加していない式(A1.9),(A
1.10)に相当する。
【0022】平均係数法の理論的根拠は、次の通りであ
る。簡単のために、機器の状態を表す変数についての関
係式及び増分についての関係式を、次のようにxについ
てのzの関数で表す(図1参照) z=f(x) (A2.1) Δz=f’(a)Δx (A2.2) 式(A2.1)のTaylor展開により、次式が得ら
れる。
【数6】 上式から、式(A2.2)は、式(A2.1)を上式の
第2項までとって近似していることに相当することが分
かる。そのおよその誤差は、式(A2.3)の第3項で
あるものとすれば、次式で表される。
【数7】
【0023】平均係数法による誤差は、次式で表され
る。
【数8】 f’(a+Δx)は、Taylor展開により次式で表
される。
【数9】 式(A2.3)と(A2.6)を式(A2.5)に代入
し、4次以上の微分係数を含む項を省略すれば、次式が
得られる。
【数10】 およその相対誤差を見積るために、式(A2.1)をa
の近傍で、xについての3次の多項式で近似して考え
る。xが大きい範囲では3次の項のみを考えればよいか
ら、もとの関数値に対するeとe’のおよその相対誤差
EとE’は、それぞれ次式のようになる。
【数11】 式(A2.8)と(A2.9)から、平均係数法を用い
ない場合には、誤差はもとの値に対する変動量の比(1
より小さい)の2乗のオーダーであるのに対し、平均係
数法を用いる場合には、3乗のオーダーになることが分
かる。以上の説明により、平均係数法により誤差が小さ
くなる理由が分かる。上記の例におけるKc の計算の場
合には、E’=−0.0093であり、式(A2.9)
は誤差の比較的よい近似値を与えている。
【0024】
【発明の効果】本発明における異常診断方法の最大の特
徴は、非線形で複雑な機器の状態を表す関係式を直接用
いないで、変数の増分についての線形の近似的な関係式
を用いて、測定値により変化後の機器の状態を推定し、
診断できるということであり、扱う式が線形であること
により、次のような利点を有する。
【0025】1) 機器の状態を表す関係式そのものを
用いてシミュレーション等を行うとすれば、扱う式の多
くが非線形であるため、弛緩法等による反復計算や様々
なテクニックを用いなければならず、プログラムの作成
が難しく多大な計算時間がかかるが、増分推定法では扱
う式が線形であるから容易に解を求めることができ、計
算時間が短い。
【0026】2) 問題によっては、変数同士の循環的
な依存性のために、局所的な計算値の伝播では解が得ら
れないことがあるが、このような場合にも、扱う式が線
形であれば、未知数を表す記号そのもの伝播させる方法
や、連立1次方程式を解くことにより、容易に解を求め
ることができる。
【0027】3) 計算値の伝播において、機器の状態
を表す式を直接用いるとすれば、能率よく計算するに
は、求めようとする変数について解いた式については、
x=g(y,z),y=h(z,x)をそれぞれ用意し
なければならないが、本発明の増分推定法では、前記式
(2)のみを用いてプログラミング手法により、どの変
数について解くことも可能であり、これにより、計算値
の伝播の計算が簡単になり、システムの作成が極めて容
易になるとともに、システムの規模が小さくなる。
【0028】4) 増分推定法で用いる式(2)は近似
式であるため、変動量が大きい場合には誤差を考慮しな
ければならないが、しかし平均係数法により誤差を小さ
くすることができるため、変動量が定常値の30%程度
でも数%の誤差で変動量を推定できる。
【0029】5) 従来方法1と比較した場合、システ
ムの機能を表す数式に基づいて様々な異常について対応
でき、システムの機能に基づいた因果関係により異常個
所を推定し、現象を説明できると共に、外的条件の変化
を考慮した診断ができるなどの利点がある。
【0030】6) 従来方法2と比較した場合、上記
1)から3)の点で極めて有利である。
【0031】
【図面の簡単な説明】
【図1】機器の状態を表す変数についての関係式、およ
び増分についての関係式と平均係数法の意味を、xにつ
いてのzの関数で表したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05B 23/00 - 23/02 G05B 13/02 - 13/04 G06F 11/28 - 11/34

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 運転状態が連続量で表される機器におい
    て、機器の状態が正常な定常状態から変化した場合に、
    正常な定常状態を表す関係式を微分して得られる変数の
    増分についての近似式においてその係数を定常状態の変
    数の値により計算し、変動量が大きい場合には、誤差を
    少なくするために変動の前後の係数の平均値を用いるこ
    ととして、これらの式に測定点の変数の定常状態におけ
    る値からの変動量を代入して別の測定点の変数の変動量
    を計算し、その点の測定値の変動量と比較することによ
    り、機能に異常が生じている部分を同定し、さらに、当
    該部分に関連する全ての測定点の変数の変動量を当該関
    係式に代入し、異常個所の変数の変動量を逆算すること
    により、当該部分に含まれる異常個所を推定することを
    特徴とする、運転状態が連続量で表される機器の異常診
    断方法。
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