JP3358796B2 - Ti−Al系合金の表面改質方法および表面に改質層を有するTi−Al系合金 - Google Patents
Ti−Al系合金の表面改質方法および表面に改質層を有するTi−Al系合金Info
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Description
【0001】
【0002】本発明は、Ti−Al系合金の表面改質方
法および表面に改質層を有するTi−Al系合金に関す
るものである。
法および表面に改質層を有するTi−Al系合金に関す
るものである。
【0003】
【従来の技術】Ti−Al系合金は、現在実用に供され
ている代表的な耐熱金属材料であるNi基超合金より
も、軽量でしかも高温比強度の点で優れており、軽量・
高耐熱・高強度が要求される材料、例えばタービンホイ
ール材料などへの応用が期待されている。しかし、この
Ti−Al系合金は、800℃以上の高温では、Ni基
超合金(例えば、インコネル713C)に比べて、耐酸
化性が著しく劣るという問題を有している。従って、T
i−Al系合金を耐熱材料として使用するには、耐酸化
性の向上が不可欠であり、第三元素の添加や表面処理な
どの検討が行われている。
ている代表的な耐熱金属材料であるNi基超合金より
も、軽量でしかも高温比強度の点で優れており、軽量・
高耐熱・高強度が要求される材料、例えばタービンホイ
ール材料などへの応用が期待されている。しかし、この
Ti−Al系合金は、800℃以上の高温では、Ni基
超合金(例えば、インコネル713C)に比べて、耐酸
化性が著しく劣るという問題を有している。従って、T
i−Al系合金を耐熱材料として使用するには、耐酸化
性の向上が不可欠であり、第三元素の添加や表面処理な
どの検討が行われている。
【0004】この第三元素の添加によるTi−Al系合
金の耐酸化性向上の方法として、例えば、Ti−Al系
合金に、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、珪素
(Si)、タンタル(Ta)、タングステン(W)など
の第三元素を添加する方法がある。これにより、耐酸化
性は改善される。しかしながら、900℃以上の大気中
では、酸化速度が大きいため、十分な耐酸化性が得られ
ないという問題を有している。
金の耐酸化性向上の方法として、例えば、Ti−Al系
合金に、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、珪素
(Si)、タンタル(Ta)、タングステン(W)など
の第三元素を添加する方法がある。これにより、耐酸化
性は改善される。しかしながら、900℃以上の大気中
では、酸化速度が大きいため、十分な耐酸化性が得られ
ないという問題を有している。
【0005】一方、表面処理法による耐酸化性の改善例
として、(1)アルミナイジング処理法、(2)クロマ
イズ処理法、(3)低酸素分圧処理法 などがあるが、
いずれも母材との密着性や被膜の長期安定性の点から、
必ずしも有効な対策となっていない。
として、(1)アルミナイジング処理法、(2)クロマ
イズ処理法、(3)低酸素分圧処理法 などがあるが、
いずれも母材との密着性や被膜の長期安定性の点から、
必ずしも有効な対策となっていない。
【0006】そこで、これら問題を解決するため、スパ
ッタリングと拡散熱処理によってあるいはMoおよび/
またはWの酸化物の存在下で加熱処理し、さらに必要に
より拡散熱処理によって、Ti−Al系金属間化合物材
の表面に深さ方向へ0.5μm以上の厚さのMoおよび
/またはW濃化層を形成することを特徴とする「耐酸化
性に優れたTi−Al系金属間化合物材とその製造方
法」(特開平5−78817号公報)が提案されてい
る。これより、MoまたはW濃化層を設けることによ
り、横方向へのAl2 O3 層の生成が促され、耐酸化性
が著しく改善されるとしている。
ッタリングと拡散熱処理によってあるいはMoおよび/
またはWの酸化物の存在下で加熱処理し、さらに必要に
より拡散熱処理によって、Ti−Al系金属間化合物材
の表面に深さ方向へ0.5μm以上の厚さのMoおよび
/またはW濃化層を形成することを特徴とする「耐酸化
性に優れたTi−Al系金属間化合物材とその製造方
法」(特開平5−78817号公報)が提案されてい
る。これより、MoまたはW濃化層を設けることによ
り、横方向へのAl2 O3 層の生成が促され、耐酸化性
が著しく改善されるとしている。
【0007】また、容器内に、TiAlを酸化ニオブ粉
末でパックした状態で収容し、その容器内を低真空で高
温雰囲気に保ってTiAl表面にアルミナ被膜を形成す
ることを特徴とする「TiAlの表面処理方法」(特開
平8−41654号公報)が提案されている。これよ
り、TiAl表面にアルミナの保護被膜を形成するもの
である。
末でパックした状態で収容し、その容器内を低真空で高
温雰囲気に保ってTiAl表面にアルミナ被膜を形成す
ることを特徴とする「TiAlの表面処理方法」(特開
平8−41654号公報)が提案されている。これよ
り、TiAl表面にアルミナの保護被膜を形成するもの
である。
【0008】また、アルミニウム合金製部材の表面部に
ショットピーニング処理を施すアルミニウム合金製部材
の表面改質方法であって、ショット材がアルミニウム合
金製部材の表面部をショットする時にショット材中に微
粒子が伴われる状態でショットピーニング処理を行うこ
とにより、上記微粒子をアルミニウム合金製部材の表面
部に分散状態で埋め込ませることを特徴とする「アルミ
ニウム合金製部材の表面改質方法」(特開平5−864
43号公報)が提案されている。これより、アルミニウ
ム合金製部材の表面部に対するショットピーニング処理
中に耐摩耗性、耐食性等の強度信頼性を向上させる微粒
子をアルミニウム合金製部材の表面部に埋め込ませるせ
ることにより、ショットピーニング処理による残留応力
の発生に加えて、上記ショットにより埋め込まれる微粒
子により耐摩耗性、耐食性等の強度信頼性を向上させる
ことができるとしている。
ショットピーニング処理を施すアルミニウム合金製部材
の表面改質方法であって、ショット材がアルミニウム合
金製部材の表面部をショットする時にショット材中に微
粒子が伴われる状態でショットピーニング処理を行うこ
とにより、上記微粒子をアルミニウム合金製部材の表面
部に分散状態で埋め込ませることを特徴とする「アルミ
ニウム合金製部材の表面改質方法」(特開平5−864
43号公報)が提案されている。これより、アルミニウ
ム合金製部材の表面部に対するショットピーニング処理
中に耐摩耗性、耐食性等の強度信頼性を向上させる微粒
子をアルミニウム合金製部材の表面部に埋め込ませるせ
ることにより、ショットピーニング処理による残留応力
の発生に加えて、上記ショットにより埋め込まれる微粒
子により耐摩耗性、耐食性等の強度信頼性を向上させる
ことができるとしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平5−78817号公報に開示されたTi−Al系金
属間化合物材では、表面近傍にTiが多く存在している
ため、Moおよび/あるいはW膿化相を表面に形成する
だけでは、十分な耐酸化性を確保できる保護被膜を形成
できない。このため、大気中での酸化雰囲気ではアルミ
ナの保護被膜を形成するのみならず、TiO2 が形成さ
れてしまう。このTiO2 が形成されると基材内部にま
で成長し、耐酸化性を著しく劣化してしまう。従って、
十分な耐酸化性を確保できる保護被膜を形成できない。
また、Moおよび/またはWを付着させ、しかる後に7
00〜1450℃の温度範囲で拡散処理を施す必要があ
り、これら金属粉末が焼結・固化してしまうおそれがあ
り、Ti−Al系金属間化合物材に付着する問題が生じ
る。さらに、Mo酸化物および/またはW酸化物ともに
Ti−Al系金属間化合物材を、密閉容器内で加熱した
場合、上記金属粉末と同様に焼結・固化するおそれがあ
り、さらにTi−Al系金属間化合物材に付着する問題
が生じる。これら付着物は酸化雰囲気中にTi−Al系
金属間化合物材と低融点の反応生成物を形成する虞があ
り、耐酸化性がむしろ低下する。また、密閉容器内での
加熱処理する処理方法は、生産性の点でも問題を有して
いる。
開平5−78817号公報に開示されたTi−Al系金
属間化合物材では、表面近傍にTiが多く存在している
ため、Moおよび/あるいはW膿化相を表面に形成する
だけでは、十分な耐酸化性を確保できる保護被膜を形成
できない。このため、大気中での酸化雰囲気ではアルミ
ナの保護被膜を形成するのみならず、TiO2 が形成さ
れてしまう。このTiO2 が形成されると基材内部にま
で成長し、耐酸化性を著しく劣化してしまう。従って、
十分な耐酸化性を確保できる保護被膜を形成できない。
また、Moおよび/またはWを付着させ、しかる後に7
00〜1450℃の温度範囲で拡散処理を施す必要があ
り、これら金属粉末が焼結・固化してしまうおそれがあ
り、Ti−Al系金属間化合物材に付着する問題が生じ
る。さらに、Mo酸化物および/またはW酸化物ともに
Ti−Al系金属間化合物材を、密閉容器内で加熱した
場合、上記金属粉末と同様に焼結・固化するおそれがあ
り、さらにTi−Al系金属間化合物材に付着する問題
が生じる。これら付着物は酸化雰囲気中にTi−Al系
金属間化合物材と低融点の反応生成物を形成する虞があ
り、耐酸化性がむしろ低下する。また、密閉容器内での
加熱処理する処理方法は、生産性の点でも問題を有して
いる。
【0010】また、特開平8−41654号公報に記載
の「TiAlの表面処理方法」は、以下のような問題点
を有している。すなわち、 (1)密閉容器内で真空中で加
熱処理する必要があり、生産性の点で問題がある。ま
た、 (2)処理粉末が固化・燒結し、さらに処理材に粉末
が付着する問題点がある。このため、処理中において処
理剤の固化を防止し、処理剤を流動化させ、処理温度以
下で処理剤が昇華・蒸発する必要がある。
の「TiAlの表面処理方法」は、以下のような問題点
を有している。すなわち、 (1)密閉容器内で真空中で加
熱処理する必要があり、生産性の点で問題がある。ま
た、 (2)処理粉末が固化・燒結し、さらに処理材に粉末
が付着する問題点がある。このため、処理中において処
理剤の固化を防止し、処理剤を流動化させ、処理温度以
下で処理剤が昇華・蒸発する必要がある。
【0011】また、特開平5−86443号公報に記載
の「アルミニウム合金製部材の表面改質方法」は、以下
のような問題点を有している。すなわち、 (1)ショット
ピーニング処理により耐摩耗性、耐食性等に効果のある
微粒子を表面に埋め込ませるだけでは、表面近傍にはT
iが存在しており、高温酸化雰囲気中では容易にTiO
2 が形成され、耐酸化性が劣化する。また、 (2)ショッ
トピーニング処理により微粒子を表面に分散する状態し
た後に、拡散させるだけでは、依然としてTiが表面近
傍に存在しており、耐酸化性、耐食性等の向上に効果が
少ない。 (3)機械的に埋め込まれた粒子は基材との間の
結合が弱く、割れの発生や脱落の原因となることから、
耐摩耗性、耐食性等の強度信頼性が充分に確保できな
い。埋め込まれた粒子と基材との界面結合を高めるため
には、二次的に結合力を高める処理を施す必要がある。
(4)埋め込まれる微粒子の固有の特性により、耐蝕性や
耐摩耗の改善度合いが決まってしまう。 (5)基材表面に
おいて基材中に機械的に埋め込まれた粒子が分散した層
構造であり、基材組成の露出部分から腐食が進行し、充
分な耐環境性を得ることが難しい。
の「アルミニウム合金製部材の表面改質方法」は、以下
のような問題点を有している。すなわち、 (1)ショット
ピーニング処理により耐摩耗性、耐食性等に効果のある
微粒子を表面に埋め込ませるだけでは、表面近傍にはT
iが存在しており、高温酸化雰囲気中では容易にTiO
2 が形成され、耐酸化性が劣化する。また、 (2)ショッ
トピーニング処理により微粒子を表面に分散する状態し
た後に、拡散させるだけでは、依然としてTiが表面近
傍に存在しており、耐酸化性、耐食性等の向上に効果が
少ない。 (3)機械的に埋め込まれた粒子は基材との間の
結合が弱く、割れの発生や脱落の原因となることから、
耐摩耗性、耐食性等の強度信頼性が充分に確保できな
い。埋め込まれた粒子と基材との界面結合を高めるため
には、二次的に結合力を高める処理を施す必要がある。
(4)埋め込まれる微粒子の固有の特性により、耐蝕性や
耐摩耗の改善度合いが決まってしまう。 (5)基材表面に
おいて基材中に機械的に埋め込まれた粒子が分散した層
構造であり、基材組成の露出部分から腐食が進行し、充
分な耐環境性を得ることが難しい。
【0012】そこで、本発明者らは、上述の如き従来技
術の問題点を解決すべく鋭意研究し、各種の系統的実験
を重ねた結果、本発明を成すに至ったものである。
術の問題点を解決すべく鋭意研究し、各種の系統的実験
を重ねた結果、本発明を成すに至ったものである。
【0013】(発明の目的)本発明の目的は、Ti−A
l系合金に優れた耐酸化性を付与するTi−Al系合金
の表面改質方法を提供するにある。本発明の他の目的
は、表面に耐酸化性に優れた改質層を有するTi−Al
系合金を提供するにある。
l系合金に優れた耐酸化性を付与するTi−Al系合金
の表面改質方法を提供するにある。本発明の他の目的
は、表面に耐酸化性に優れた改質層を有するTi−Al
系合金を提供するにある。
【0014】
【0015】(第1発明) 本発明のTi−Al系合金の表面改質方法は、Alが1
5原子%〜55原子%のTi−Al系合金からなるTi
−Al系合金基材の表面部に、アルミナより標準生成自
由エネルギの絶対値が小さい酸化物を含む物質が存在す
る状態において,機械的エネルギを付与し、前記基材表
面部に機械的合金化層を形成させてなることを特徴とす
る。本発明において、“アルミナより標準生成自由エネ
ルギの絶対値が小さい酸化物を含む物質が存在する状態
において,機械的エネルギを付与”する工程は、アル
ミナより標準生成自由エネルギの絶対値が小さい酸化物
を含む物質が存在する状態において,(該物質とは別
に)機械的エネルギを付与”する工程、アルミナより
標準生成自由エネルギの絶対値が小さい酸化物を含む物
質を付与することにより機械的エネルギを付与する工
程、の両者を含む。(以下、同じ)
5原子%〜55原子%のTi−Al系合金からなるTi
−Al系合金基材の表面部に、アルミナより標準生成自
由エネルギの絶対値が小さい酸化物を含む物質が存在す
る状態において,機械的エネルギを付与し、前記基材表
面部に機械的合金化層を形成させてなることを特徴とす
る。本発明において、“アルミナより標準生成自由エネ
ルギの絶対値が小さい酸化物を含む物質が存在する状態
において,機械的エネルギを付与”する工程は、アル
ミナより標準生成自由エネルギの絶対値が小さい酸化物
を含む物質が存在する状態において,(該物質とは別
に)機械的エネルギを付与”する工程、アルミナより
標準生成自由エネルギの絶対値が小さい酸化物を含む物
質を付与することにより機械的エネルギを付与する工
程、の両者を含む。(以下、同じ)
【0016】(第2発明)本発明の表面に改質層を有す
るTi−Al系合金は、Alが15原子%〜55原子%
のTi−Al系合金からなるTi−Al系合金基材と、
該基材の表面に形成した改質層とからなり、該改質層
が、Si,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの少なくとも1
種以上の元素を含む物質が存在する状態において前記基
材の表面に機械的エネルギを付与して得た機械的合金化
層からなることを特徴とする。
るTi−Al系合金は、Alが15原子%〜55原子%
のTi−Al系合金からなるTi−Al系合金基材と、
該基材の表面に形成した改質層とからなり、該改質層
が、Si,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの少なくとも1
種以上の元素を含む物質が存在する状態において前記基
材の表面に機械的エネルギを付与して得た機械的合金化
層からなることを特徴とする。
【0017】
【0018】(第1発明の効果)本発明の表面改質方法
により、Ti−Al系合金に優れた耐酸化性を付与する
ことができる。
により、Ti−Al系合金に優れた耐酸化性を付与する
ことができる。
【0019】(第2発明の効果)本発明のTi−Al系
合金は、表面に耐酸化性に優れた改質層を有するので、
耐酸化性に優れている。
合金は、表面に耐酸化性に優れた改質層を有するので、
耐酸化性に優れている。
【0020】
【0021】以下に、前記発明をさらに具体的にした発
明やこれら発明の実施の形態について説明する。
明やこれら発明の実施の形態について説明する。
【0022】(着眼点)本発明者らは、上述の従来技術
の問題に対して、以下のことに着眼した。すなわち、上
述した目的を達成するため、Ti−Al系合金基材の表
面部に、ニオブ(Nb),タンタル(Ta),クロム
(Cr),モリブデン(Mo),タングステン(W)の
少なくとも1種以上の元素を含む微粒子を付与し、Ti
−Al系合金材料の表面部に付与した微粒子を構成する
元素(Nb,Ta,Cr,Mo,Wの少なくとも1種以
上)を主体とする酸化物被膜を形成することにより、T
i−Al系合金の耐酸化性が向上する。さらに、該酸化
物被膜が、高温酸化性雰囲気下で安定な酸化物に変化し
て高温で耐酸化性に優れた層を形成することにより、T
iーAl系合金の耐酸化性が著しく向上する。
の問題に対して、以下のことに着眼した。すなわち、上
述した目的を達成するため、Ti−Al系合金基材の表
面部に、ニオブ(Nb),タンタル(Ta),クロム
(Cr),モリブデン(Mo),タングステン(W)の
少なくとも1種以上の元素を含む微粒子を付与し、Ti
−Al系合金材料の表面部に付与した微粒子を構成する
元素(Nb,Ta,Cr,Mo,Wの少なくとも1種以
上)を主体とする酸化物被膜を形成することにより、T
i−Al系合金の耐酸化性が向上する。さらに、該酸化
物被膜が、高温酸化性雰囲気下で安定な酸化物に変化し
て高温で耐酸化性に優れた層を形成することにより、T
iーAl系合金の耐酸化性が著しく向上する。
【0023】〔第1発明の実施の形態〕
【0024】本発明のTi−Al系合金の表面改質方法
は、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金
からなるTi−Al系合金基材の表面部に、アルミナよ
り標準生成自由エネルギの絶対値が小さい物質が存在す
る状態において、機械的エネルギを付与し、前記Ti−
Al系合金基材の表面部に機械的合金化層を形成させて
なることを特徴とする。本発明のTi−Al系合金の表
面改質方法が優れた効果を発揮するメカニズムについて
は、未だ必ずしも明らかではないが、次のように考えら
れる。本発明のTi−Al系合金の表面改質方法は、ま
ず、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金
からなるTi−Al系合金基材の表面部に、アルミナよ
り標準生成自由エネルギの絶対値が小さい物質が存在す
る状態において、機械的エネルギを付与する。これによ
り、Ti−Al系合金基材の表面は、塑性変形を受け、
凝着し易い清浄表面が形成される。これと同時に前記物
質に粉砕や薄片化の過程で凝着し易い清浄表面が形成さ
れる。さらに、機械的エネルギの付与により、剪断や摩
擦を繰り返すことにより、微細化や混合化が進み、基材
ならびに前記物質表面での原子レベルの混合が促進され
る。原子レベルの混合状態においては、低い温度でも反
応が可能となるため、混合状態よりも相形成がエネルギ
的に安定な場合には、低い温度でも合金化が促進する。
また、エネルギ序列が高い相であっても機械的エネルギ
の付与により、材料内部へのエネルギの蓄積によって、
非平衡相、準安定相の形成が可能となる。これにより、
前記物質を含む元素を主体とする機械的合金化層が形成
される。この機械的合金化層は、アルミナより標準生成
自由エネルギーの絶対値が小さいため、母材中のアルミ
ニウムによって還元され金属に変化する。一方、母材中
のアルミニウムは酸化され表面にアルミナ被膜を形成す
る。これにより、Ti−Al系合金基材の表面部に耐酸
化性に優れた機械的合金化層を形成させることができる
ものと考えられる。また、この改質層を、簡便にかつ安
価に形成することができるものと考えられる。
は、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金
からなるTi−Al系合金基材の表面部に、アルミナよ
り標準生成自由エネルギの絶対値が小さい物質が存在す
る状態において、機械的エネルギを付与し、前記Ti−
Al系合金基材の表面部に機械的合金化層を形成させて
なることを特徴とする。本発明のTi−Al系合金の表
面改質方法が優れた効果を発揮するメカニズムについて
は、未だ必ずしも明らかではないが、次のように考えら
れる。本発明のTi−Al系合金の表面改質方法は、ま
ず、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金
からなるTi−Al系合金基材の表面部に、アルミナよ
り標準生成自由エネルギの絶対値が小さい物質が存在す
る状態において、機械的エネルギを付与する。これによ
り、Ti−Al系合金基材の表面は、塑性変形を受け、
凝着し易い清浄表面が形成される。これと同時に前記物
質に粉砕や薄片化の過程で凝着し易い清浄表面が形成さ
れる。さらに、機械的エネルギの付与により、剪断や摩
擦を繰り返すことにより、微細化や混合化が進み、基材
ならびに前記物質表面での原子レベルの混合が促進され
る。原子レベルの混合状態においては、低い温度でも反
応が可能となるため、混合状態よりも相形成がエネルギ
的に安定な場合には、低い温度でも合金化が促進する。
また、エネルギ序列が高い相であっても機械的エネルギ
の付与により、材料内部へのエネルギの蓄積によって、
非平衡相、準安定相の形成が可能となる。これにより、
前記物質を含む元素を主体とする機械的合金化層が形成
される。この機械的合金化層は、アルミナより標準生成
自由エネルギーの絶対値が小さいため、母材中のアルミ
ニウムによって還元され金属に変化する。一方、母材中
のアルミニウムは酸化され表面にアルミナ被膜を形成す
る。これにより、Ti−Al系合金基材の表面部に耐酸
化性に優れた機械的合金化層を形成させることができる
ものと考えられる。また、この改質層を、簡便にかつ安
価に形成することができるものと考えられる。
【0025】(Ti−Al系合金基材)本発明において
適用できるTi−Al系合金基材は、Alが15原子%
〜55原子%のTi−Al系合金からなる。Al:Al
を15原子%から55原子%含有させることにより、常
温延性があり高温強度に優れたTi−Al系合金とな
る。Alの含有量が15原子%未満の場合、α−Ti合
金とTi3 Al相との混合組織となり、高温強度が低下
する。また、Alの含有量が55原子%を超えた場合、
TiAl相とAl3 Al相との混合相となり、非常に脆
くなる。本発明に適用するTi−Al系合金は、原料を
いかなる溶解工程もしくは、燒結工程を経た後、鋳造,
鍛造,切削,圧延など適宜形状を付与されたものであっ
てもよい。
適用できるTi−Al系合金基材は、Alが15原子%
〜55原子%のTi−Al系合金からなる。Al:Al
を15原子%から55原子%含有させることにより、常
温延性があり高温強度に優れたTi−Al系合金とな
る。Alの含有量が15原子%未満の場合、α−Ti合
金とTi3 Al相との混合組織となり、高温強度が低下
する。また、Alの含有量が55原子%を超えた場合、
TiAl相とAl3 Al相との混合相となり、非常に脆
くなる。本発明に適用するTi−Al系合金は、原料を
いかなる溶解工程もしくは、燒結工程を経た後、鋳造,
鍛造,切削,圧延など適宜形状を付与されたものであっ
てもよい。
【0026】(アルミナより標準生成自由エネルギの絶
対値が小さい酸化物を含む物質)本発明のTi−Al系
合金の表面改質方法において適用できる物質は、アルミ
ナより標準生成自由エネルギの絶対値が小さい酸化物を
含む物質(以下、単に酸化物含有物質とする)である。
なお、酸化物の標準生成自由エネルギーの絶対値が小さ
いほど、還元されやすく金属となり、大きいほど安定な
酸化物となる。具体的には、Ti,V,Cr,Mn,F
e,Co,Ni,Cu,Nb,Mo,Ta,W,Si,
Ceの少なくとも1種以上の元素の酸化物を含む物質
(勿論前記酸化物からなる物質でもよい)が適用でき
る。この物質は、例えばJ.F.Elliot,M.Gleiser: Thermo
chemistry for Steelmaking, vol.I(1960), Addison-We
sleyに紹介されている。なお、該酸化物含有物質は、形
状は、粉末状の固体、ガス、液体などの形態を採りう
る。また、該物質は、Nb,Ta,Cr,Mo,W,S
iの少なくとも1種以上の元素の酸化物を主体とする粉
末であることが好ましい。これら粉末を用いることによ
り、高温における酸化・還元反応が生じやすく、耐酸化
性に優れたアルミナ被膜を形成する。
対値が小さい酸化物を含む物質)本発明のTi−Al系
合金の表面改質方法において適用できる物質は、アルミ
ナより標準生成自由エネルギの絶対値が小さい酸化物を
含む物質(以下、単に酸化物含有物質とする)である。
なお、酸化物の標準生成自由エネルギーの絶対値が小さ
いほど、還元されやすく金属となり、大きいほど安定な
酸化物となる。具体的には、Ti,V,Cr,Mn,F
e,Co,Ni,Cu,Nb,Mo,Ta,W,Si,
Ceの少なくとも1種以上の元素の酸化物を含む物質
(勿論前記酸化物からなる物質でもよい)が適用でき
る。この物質は、例えばJ.F.Elliot,M.Gleiser: Thermo
chemistry for Steelmaking, vol.I(1960), Addison-We
sleyに紹介されている。なお、該酸化物含有物質は、形
状は、粉末状の固体、ガス、液体などの形態を採りう
る。また、該物質は、Nb,Ta,Cr,Mo,W,S
iの少なくとも1種以上の元素の酸化物を主体とする粉
末であることが好ましい。これら粉末を用いることによ
り、高温における酸化・還元反応が生じやすく、耐酸化
性に優れたアルミナ被膜を形成する。
【0027】(酸化物含有物質の形態、付与条件、付与
エネルギなど)前記酸化物含有物質は、Ti−Al系合
金基材の表面部の近傍に配設するなどして存在させて
も、また、該物質をTi−Al系合金基材の表面部に
(機械的エネルギとともに)付与してもよい。該酸化物
含有物質の付与形態は、本発明の目的を達成する形態・
方法・条件であればよく、特に限定するものではない。
物質の付与方法としては、粉末を高速で衝突させる手法
が最も好ましい。処理時の雰囲気はArなどの不活性ガ
ス中で行うことが好ましいが、大気中で行ってもよい。
上記物質は、合金粉末、酸化物粉末、あるいはこれら複
合した粉末を用いてもよい。上記物質の大きさは、5〜
300μmであることが好ましい。上記物質の大きさが
5μm未満の場合は、粉末の取り扱いがしずらく、ま
た、300μmを超える場合は表面反応が起こりにく
い。上記物質の付与時の雰囲気は大気中でもよいが、不
活性ガス中で行うことが好ましい。上記物質をTi−A
l系合金基材の表面と反応させた後に、加熱処理を施す
ことが好ましい。これにより、さらに耐酸化性の向上さ
せることができる。なお、加熱温度は1450℃以下の
温度範囲である。これは、1450℃以上であると母材
であるTi−Al系合金が溶融してしまうためである。
付与物質を付与するエネルギーは、噴出速度にして20
〜300m/sec が好ましい。噴出速度が20m/sec 未満
であると、表面反応させにくく、噴出速度が300m/se
c を超えると、表面状態を損なうおそれがある。
エネルギなど)前記酸化物含有物質は、Ti−Al系合
金基材の表面部の近傍に配設するなどして存在させて
も、また、該物質をTi−Al系合金基材の表面部に
(機械的エネルギとともに)付与してもよい。該酸化物
含有物質の付与形態は、本発明の目的を達成する形態・
方法・条件であればよく、特に限定するものではない。
物質の付与方法としては、粉末を高速で衝突させる手法
が最も好ましい。処理時の雰囲気はArなどの不活性ガ
ス中で行うことが好ましいが、大気中で行ってもよい。
上記物質は、合金粉末、酸化物粉末、あるいはこれら複
合した粉末を用いてもよい。上記物質の大きさは、5〜
300μmであることが好ましい。上記物質の大きさが
5μm未満の場合は、粉末の取り扱いがしずらく、ま
た、300μmを超える場合は表面反応が起こりにく
い。上記物質の付与時の雰囲気は大気中でもよいが、不
活性ガス中で行うことが好ましい。上記物質をTi−A
l系合金基材の表面と反応させた後に、加熱処理を施す
ことが好ましい。これにより、さらに耐酸化性の向上さ
せることができる。なお、加熱温度は1450℃以下の
温度範囲である。これは、1450℃以上であると母材
であるTi−Al系合金が溶融してしまうためである。
付与物質を付与するエネルギーは、噴出速度にして20
〜300m/sec が好ましい。噴出速度が20m/sec 未満
であると、表面反応させにくく、噴出速度が300m/se
c を超えると、表面状態を損なうおそれがある。
【0028】(機械的エネルギの付与)機械的エネルギ
を付与する方法においては、Ti−Al系合金基材と前
記酸化物含有物質との間で機械的合金化が発現できるた
めの塑性流動を発現させる方法であれば、どのような方
法でもよい。塑性流動を効率良く発現させるためには、
剪断応力の印加面積を小さくして、繰り返し数を多くす
るのが良い。例えば、応力の印加面積は0.5mm2 以下
で、1mm2 当りの応力の印加回数が50回以上、好まし
くは100回以上行うことが望ましい。具体的には高速
で粒子を繰り返し衝突させる方法、容器内に金属製部材
と合金化のための物質とさらに硬質ボールを入れた状態
で回転させる方法、あるいは剛性の高いブラシ状のもの
で繰り返し叩く方法などがあげられる。
を付与する方法においては、Ti−Al系合金基材と前
記酸化物含有物質との間で機械的合金化が発現できるた
めの塑性流動を発現させる方法であれば、どのような方
法でもよい。塑性流動を効率良く発現させるためには、
剪断応力の印加面積を小さくして、繰り返し数を多くす
るのが良い。例えば、応力の印加面積は0.5mm2 以下
で、1mm2 当りの応力の印加回数が50回以上、好まし
くは100回以上行うことが望ましい。具体的には高速
で粒子を繰り返し衝突させる方法、容器内に金属製部材
と合金化のための物質とさらに硬質ボールを入れた状態
で回転させる方法、あるいは剛性の高いブラシ状のもの
で繰り返し叩く方法などがあげられる。
【0029】繰り返し粒子を衝突させて機械的にエネル
ギーを付与する場合においては、前記酸化物含有物質を
エネルギー付与のための粒子として用いてもよい。この
場合の粉末の硬さは、Ti−Al系合金基材と同等もし
くはそれよりも高いことが望ましい。前記酸化物含有物
質の硬さがTi−Al系合金基材よりも低い場合には、
該基材表面に粉末が変形して付着するにとどまり、前記
基材との間で機械的合金化を発現させるための塑性流動
を起こすまでに至らないためである。前記酸化物含有物
質の硬さがTi−Al系合金基材よりも低い場合には、
該基材表面に予め凹凸を与え、粉末を高速で衝突させて
付着させたのちに、機械的エネルギを付与する方法を用
いてもよい。
ギーを付与する場合においては、前記酸化物含有物質を
エネルギー付与のための粒子として用いてもよい。この
場合の粉末の硬さは、Ti−Al系合金基材と同等もし
くはそれよりも高いことが望ましい。前記酸化物含有物
質の硬さがTi−Al系合金基材よりも低い場合には、
該基材表面に粉末が変形して付着するにとどまり、前記
基材との間で機械的合金化を発現させるための塑性流動
を起こすまでに至らないためである。前記酸化物含有物
質の硬さがTi−Al系合金基材よりも低い場合には、
該基材表面に予め凹凸を与え、粉末を高速で衝突させて
付着させたのちに、機械的エネルギを付与する方法を用
いてもよい。
【0030】前記酸化物含有物質がガスや液体である場
合には、エネルギー付与粒子を搬送するための媒体とし
て用いてもよい。例えば、前記酸化物含有物質の形態が
ガスである場合には、ショットピーニングにおいて、圧
縮空気の代わりに前記酸化物含有物質から成るガスを用
いてもよく、前記酸化物含有物質の形態が液体である場
合には、エネルギー付与粒子とともに吹き付ける方法を
用いてもよい。
合には、エネルギー付与粒子を搬送するための媒体とし
て用いてもよい。例えば、前記酸化物含有物質の形態が
ガスである場合には、ショットピーニングにおいて、圧
縮空気の代わりに前記酸化物含有物質から成るガスを用
いてもよく、前記酸化物含有物質の形態が液体である場
合には、エネルギー付与粒子とともに吹き付ける方法を
用いてもよい。
【0031】機械的エネルギの大きさは、Ti−Al系
合金基材の材質によって異なるが、該基材の0.2%耐
力よりも少なくとも50%以上高い剪断応力を与えるこ
とが、塑性変形を起こすためには望ましい。剪断応力
は、前記基材と前記酸化物含有物質との間の固相反応を
促進させるために繰り返して付与することが好適であ
る。
合金基材の材質によって異なるが、該基材の0.2%耐
力よりも少なくとも50%以上高い剪断応力を与えるこ
とが、塑性変形を起こすためには望ましい。剪断応力
は、前記基材と前記酸化物含有物質との間の固相反応を
促進させるために繰り返して付与することが好適であ
る。
【0032】機械的合金化層の形成を促進させるための
方法として、機械的エネルギ付与時に、前記基材を室温
から再結晶温度以下の範囲で加熱してもよい。加熱は、
Ti−Al系合金基材表面の変形抵抗を小さくすること
によって塑性流動を発生しやすくするためだけでなく、
機械的合金化を発現させるための機械的なエネルギを小
さくすることができる。加熱の方法としては、前記基材
全体を加熱するか、あるいは前記基材表面を機械的エネ
ルギ付与処理と同時に加熱する方法であってもよい。
方法として、機械的エネルギ付与時に、前記基材を室温
から再結晶温度以下の範囲で加熱してもよい。加熱は、
Ti−Al系合金基材表面の変形抵抗を小さくすること
によって塑性流動を発生しやすくするためだけでなく、
機械的合金化を発現させるための機械的なエネルギを小
さくすることができる。加熱の方法としては、前記基材
全体を加熱するか、あるいは前記基材表面を機械的エネ
ルギ付与処理と同時に加熱する方法であってもよい。
【0033】(好適なTi−Al系合金の表面改質方法
1) 本発明の好適なTi−Al系合金の表面改質方法は、A
lが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金からな
るTi−Al系合金基材の表面部に、アルミナより標準
生成自由エネルギの絶対値が小さい酸化物を含む微粒子
を付与し、前記基材表面部に、該微粒子中の酸化物を構
成する元素を主体とする酸化物被膜を形成させてなるこ
とを特徴とする。本発明の好適なTi−Al系合金の表
面改質方法が優れた効果を発揮するメカニズムについて
は、未だ必ずしも明らかではないが、次のように考えら
れる。本発明のTi−Al系合金の表面改質方法は、ま
ず、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金
からなるTi−Al系合金基材の表面部に、アルミナよ
り標準生成自由エネルギの絶対値が小さい酸化物を含む
物質を付与する。これにより、Ti−Al系合金基材の
表面は、微粒子の衝撃圧縮により前記付与した微粒子を
含む元素を主体とする酸化物層が形成される。この酸化
物は、アルミナより標準生成自由エネルギーの絶対値が
小さいため、母材中のアルミニウムによって還元され金
属に変化する。一方、母材中のアルミニウムは酸化され
表面にアルミナ被膜を形成する。これにより、Ti−A
l系合金基材の表面部に耐酸化性に優れた酸化物被膜を
形成させることができるものと考えられる。また、この
改質層を、簡便にかつ安価に形成することができるもの
と考えられる。本発明の好適な表面改質方法により、T
i−Al系合金に優れた耐酸化性を付与することができ
る。
1) 本発明の好適なTi−Al系合金の表面改質方法は、A
lが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金からな
るTi−Al系合金基材の表面部に、アルミナより標準
生成自由エネルギの絶対値が小さい酸化物を含む微粒子
を付与し、前記基材表面部に、該微粒子中の酸化物を構
成する元素を主体とする酸化物被膜を形成させてなるこ
とを特徴とする。本発明の好適なTi−Al系合金の表
面改質方法が優れた効果を発揮するメカニズムについて
は、未だ必ずしも明らかではないが、次のように考えら
れる。本発明のTi−Al系合金の表面改質方法は、ま
ず、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金
からなるTi−Al系合金基材の表面部に、アルミナよ
り標準生成自由エネルギの絶対値が小さい酸化物を含む
物質を付与する。これにより、Ti−Al系合金基材の
表面は、微粒子の衝撃圧縮により前記付与した微粒子を
含む元素を主体とする酸化物層が形成される。この酸化
物は、アルミナより標準生成自由エネルギーの絶対値が
小さいため、母材中のアルミニウムによって還元され金
属に変化する。一方、母材中のアルミニウムは酸化され
表面にアルミナ被膜を形成する。これにより、Ti−A
l系合金基材の表面部に耐酸化性に優れた酸化物被膜を
形成させることができるものと考えられる。また、この
改質層を、簡便にかつ安価に形成することができるもの
と考えられる。本発明の好適な表面改質方法により、T
i−Al系合金に優れた耐酸化性を付与することができ
る。
【0034】(好適なTi−Al系合金の表面改質方法
2) 本発明の好適なTi−Al系合金の表面改質方法は、A
lが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金からな
るTi−Al系合金基材の表面部に、シリコン(S
i),ニオブ(Nb),タンタル(Ta),クロム(C
r),モリブデン(Mo),タングステン(W)の少な
くとも1種以上の元素を含む物質が存在する状態におい
て、機械的エネルギを付与し、前記基材表面部に前記物
質を構成する前記元素(Si,Nb,Ta,Cr,M
o,Wの少なくとも1種以上)を主体とする合金被膜を
形成させてなることを特徴とする。これにより、上記合
金被膜は保護被膜としての働きをし、さらに高温酸化物
雰囲気中でアルミナ被膜を層状に形成する。これら被膜
は、母材との密着性もよく、長時間にわたって安定に保
護被膜として作用し耐酸化性が著しく向上する。本表面
改質方法が優れた効果を発揮するメカニズムについて
は、未だ必ずしも明らかではないが、次のように考えら
れる。本表面改質方法は、まず、Alが15原子%〜5
5原子%のTi−Al系合金からなるTi−Al系合金
基材の表面部に、Si,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの
少なくとも1種以上の元素を含む物質が存在する状態に
おいて、機械的エネルギを付与する。これにより、Ti
−Al系合金の表面に上記元素の1種以上の元素からな
る前記物質と基材との反応層が形成される。上記物質は
金属元素のみから形成されていてもよいが、熱的に安定
な酸化物であることが好ましく、また、酸化物に変化し
てもよい。従って、前記Ti−Al系合金材料の表面部
に、前記物質を構成する元素(Si,Nb,Ta,C
r,Mo,Wの少なくとも1種以上)を主体とする酸化
物被膜が形成される。なお、この酸化物被膜は、高温酸
化性雰囲気下で安定な酸化物に変化し、高温で耐酸化性
に優れた層となるために、耐酸化性に優れたTi−Al
合金となる。以上により、耐酸化性に優れたTi−Al
系合金を簡便でかつ安価に製造することができるものと
考えられる。
2) 本発明の好適なTi−Al系合金の表面改質方法は、A
lが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金からな
るTi−Al系合金基材の表面部に、シリコン(S
i),ニオブ(Nb),タンタル(Ta),クロム(C
r),モリブデン(Mo),タングステン(W)の少な
くとも1種以上の元素を含む物質が存在する状態におい
て、機械的エネルギを付与し、前記基材表面部に前記物
質を構成する前記元素(Si,Nb,Ta,Cr,M
o,Wの少なくとも1種以上)を主体とする合金被膜を
形成させてなることを特徴とする。これにより、上記合
金被膜は保護被膜としての働きをし、さらに高温酸化物
雰囲気中でアルミナ被膜を層状に形成する。これら被膜
は、母材との密着性もよく、長時間にわたって安定に保
護被膜として作用し耐酸化性が著しく向上する。本表面
改質方法が優れた効果を発揮するメカニズムについて
は、未だ必ずしも明らかではないが、次のように考えら
れる。本表面改質方法は、まず、Alが15原子%〜5
5原子%のTi−Al系合金からなるTi−Al系合金
基材の表面部に、Si,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの
少なくとも1種以上の元素を含む物質が存在する状態に
おいて、機械的エネルギを付与する。これにより、Ti
−Al系合金の表面に上記元素の1種以上の元素からな
る前記物質と基材との反応層が形成される。上記物質は
金属元素のみから形成されていてもよいが、熱的に安定
な酸化物であることが好ましく、また、酸化物に変化し
てもよい。従って、前記Ti−Al系合金材料の表面部
に、前記物質を構成する元素(Si,Nb,Ta,C
r,Mo,Wの少なくとも1種以上)を主体とする酸化
物被膜が形成される。なお、この酸化物被膜は、高温酸
化性雰囲気下で安定な酸化物に変化し、高温で耐酸化性
に優れた層となるために、耐酸化性に優れたTi−Al
合金となる。以上により、耐酸化性に優れたTi−Al
系合金を簡便でかつ安価に製造することができるものと
考えられる。
【0035】(好適なTi−Al系合金の表面改質方法
3) 本発明の好適なTi−Al系合金の表面改質方法は、A
lが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金からな
るTi−Al系合金基材の表面部に、シリコン(S
i),ニオブ(Nb),タンタル(Ta),クロム(C
r),モリブデン(Mo),タングステン(W)の少な
くとも1種以上の元素の酸化物を含む物質が存在する状
態において機械的エネルギを付与し、前記基材表面部に
前記物質を構成する前記元素(Si,Nb,Ta,C
r,Mo,Wの少なくとも1種以上)を主体とする酸化
物被膜を形成させてなることを特徴とする。これによ
り、上記酸化物被膜は保護被膜として働き、さらに高温
酸化雰囲気中でアルミナ被膜を層状に形成する。これら
酸化物被膜は母材との密着性もよく、長時間にわたって
安定に保護被膜として作用し、耐酸化性が著しく向上す
る。
3) 本発明の好適なTi−Al系合金の表面改質方法は、A
lが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金からな
るTi−Al系合金基材の表面部に、シリコン(S
i),ニオブ(Nb),タンタル(Ta),クロム(C
r),モリブデン(Mo),タングステン(W)の少な
くとも1種以上の元素の酸化物を含む物質が存在する状
態において機械的エネルギを付与し、前記基材表面部に
前記物質を構成する前記元素(Si,Nb,Ta,C
r,Mo,Wの少なくとも1種以上)を主体とする酸化
物被膜を形成させてなることを特徴とする。これによ
り、上記酸化物被膜は保護被膜として働き、さらに高温
酸化雰囲気中でアルミナ被膜を層状に形成する。これら
酸化物被膜は母材との密着性もよく、長時間にわたって
安定に保護被膜として作用し、耐酸化性が著しく向上す
る。
【0036】(好適なTi−Al系合金の表面改質方法
4)本発明の好適なTi−Al系合金の表面改質方法
は、上記のTi−Al系合金の表面改質方法および好適
なTi−Al系合金の表面改質方法において、前記Ti
−Al系合金基材の表面部に形成した被膜が、高温酸化
性雰囲気下で安定な酸化物を含む高温で耐酸化性に優れ
た層を形成してなることを特徴とする。これにより、内
部酸化を抑制し、長時間にわたって保護被膜として作用
するため、耐酸化性に優れたTi−Al系合金を容易に
得ることができる。
4)本発明の好適なTi−Al系合金の表面改質方法
は、上記のTi−Al系合金の表面改質方法および好適
なTi−Al系合金の表面改質方法において、前記Ti
−Al系合金基材の表面部に形成した被膜が、高温酸化
性雰囲気下で安定な酸化物を含む高温で耐酸化性に優れ
た層を形成してなることを特徴とする。これにより、内
部酸化を抑制し、長時間にわたって保護被膜として作用
するため、耐酸化性に優れたTi−Al系合金を容易に
得ることができる。
【0037】(好適なTi−Al系合金の表面改質方法
5)本発明の好適なTi−Al系合金の表面改質方法
は、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金
からなるTi−Al系合金基材の表面部に、ニオブ(N
b)またはタンタル(Ta)の少なくとも1種以上の元
素を含む物質が存在する状態において,機械的エネルギ
を付与し、前記基材表面部に前記物質を構成する前記元
素(NbまたはTaの少なくとも1種以上)を主体とす
る酸化物被膜を形成してなるTi−Al系合金の表面改
質方法であって、前記酸化物被膜の存在により高温酸化
性雰囲気下で前記基材と前記酸化物被膜との間にAl−
Oを主体とする安定な酸化物層を形成して高温で耐酸化
性に優れた層としてなることを特徴とする。これによ
り、前記基材と前記酸化物被膜との間にAl−Oを主体
とする安定な耐酸化物層を有していることから、内部酸
化の原因となるTiO2 の生成を抑制し、かつ、前記酸
化物被膜が失われても、高温での耐酸化性を損なうこと
はない。
5)本発明の好適なTi−Al系合金の表面改質方法
は、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金
からなるTi−Al系合金基材の表面部に、ニオブ(N
b)またはタンタル(Ta)の少なくとも1種以上の元
素を含む物質が存在する状態において,機械的エネルギ
を付与し、前記基材表面部に前記物質を構成する前記元
素(NbまたはTaの少なくとも1種以上)を主体とす
る酸化物被膜を形成してなるTi−Al系合金の表面改
質方法であって、前記酸化物被膜の存在により高温酸化
性雰囲気下で前記基材と前記酸化物被膜との間にAl−
Oを主体とする安定な酸化物層を形成して高温で耐酸化
性に優れた層としてなることを特徴とする。これによ
り、前記基材と前記酸化物被膜との間にAl−Oを主体
とする安定な耐酸化物層を有していることから、内部酸
化の原因となるTiO2 の生成を抑制し、かつ、前記酸
化物被膜が失われても、高温での耐酸化性を損なうこと
はない。
【0038】(好適なTi−Al系合金の表面改質方法
6)本発明の好適なTi−Al系合金の表面改質方法
は、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金
からなるTi−Al系合金基材の表面部に、クロム(C
r)元素を含む物質が存在する状態において,機械的エ
ネルギを付与し、前記基材表面部に前記物質を構成する
前記元素(Cr)を主体とする酸化物被膜を形成してな
るTi−Al系合金の表面改質方法であって、該酸化物
被膜が、高温雰囲気下で安定な酸化物として耐酸化性に
優れた層を形成してなることを特徴とする。これによ
り、前記酸化物被膜は、保護被膜としての作用をすると
ともに、高温雰囲気下で安定な酸化物として耐酸化性に
優れた層を形成することによりさらに高温で安定な保護
被膜となる。
6)本発明の好適なTi−Al系合金の表面改質方法
は、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金
からなるTi−Al系合金基材の表面部に、クロム(C
r)元素を含む物質が存在する状態において,機械的エ
ネルギを付与し、前記基材表面部に前記物質を構成する
前記元素(Cr)を主体とする酸化物被膜を形成してな
るTi−Al系合金の表面改質方法であって、該酸化物
被膜が、高温雰囲気下で安定な酸化物として耐酸化性に
優れた層を形成してなることを特徴とする。これによ
り、前記酸化物被膜は、保護被膜としての作用をすると
ともに、高温雰囲気下で安定な酸化物として耐酸化性に
優れた層を形成することによりさらに高温で安定な保護
被膜となる。
【0039】(好適なTi−Al系合金の表面改質方法
7)本発明の好適なTi−Al系合金の表面改質方法
は、本発明および前記本発明の好適なTi−Al系合金
の表面改質方法1〜6において、Alが15原子%〜5
5原子%のTi−Al系合金からなるTi−Al系合金
基材の表面部に、アルミナより標準生成自由エネルギの
絶対値が小さい酸化物を含む物質を付与してなることを
特徴とする。これにより、前記基材表面に前記酸化物含
有物質を付与するので、Ti−Al系合金に優れた耐酸
化性を容易に付与することができる。
7)本発明の好適なTi−Al系合金の表面改質方法
は、本発明および前記本発明の好適なTi−Al系合金
の表面改質方法1〜6において、Alが15原子%〜5
5原子%のTi−Al系合金からなるTi−Al系合金
基材の表面部に、アルミナより標準生成自由エネルギの
絶対値が小さい酸化物を含む物質を付与してなることを
特徴とする。これにより、前記基材表面に前記酸化物含
有物質を付与するので、Ti−Al系合金に優れた耐酸
化性を容易に付与することができる。
【0040】(好適なTi−Al系合金基材)本発明の
Ti−Al系合金の表面改質方法および好適なTi−A
l系合金の表面改質方法で適用できる好適なTi−Al
系合金基材は、15〜55原子%のAlを含有するとと
もに、第Va族元素または第VIa族元素の一種以上を
合計量で0.1原子%〜10原子%含有してなるTi−
Al系合金である。第Va族元素および/または第VI
a族元素を含有させることにより、母材の延性もしくは
高温強度向上させることができる。第Va族元素および
/または第VIa族元素を10原子%を超える量を含有
させると、Ti−Al系合金の軽量性を損なうことにな
る。
Ti−Al系合金の表面改質方法および好適なTi−A
l系合金の表面改質方法で適用できる好適なTi−Al
系合金基材は、15〜55原子%のAlを含有するとと
もに、第Va族元素または第VIa族元素の一種以上を
合計量で0.1原子%〜10原子%含有してなるTi−
Al系合金である。第Va族元素および/または第VI
a族元素を含有させることにより、母材の延性もしくは
高温強度向上させることができる。第Va族元素および
/または第VIa族元素を10原子%を超える量を含有
させると、Ti−Al系合金の軽量性を損なうことにな
る。
【0041】(好適なTi−Al系合金基材)本発明の
Ti−Al系合金の表面改質方法および好適なTi−A
l系合金の表面改質方法で適用できる好適なTi−Al
系合金基材は、Alを15〜55原子%含有し、さらに
硼素を1原子%〜10原子%含有してなるTi−Al系
合金である。さらに硼素を1原子%〜10原子%を含有
させることにより、凝固組織が微細化し、さらに母材の
常温延性を確保することができる。これ以上含有させる
と、延性が低下してしまう。
Ti−Al系合金の表面改質方法および好適なTi−A
l系合金の表面改質方法で適用できる好適なTi−Al
系合金基材は、Alを15〜55原子%含有し、さらに
硼素を1原子%〜10原子%含有してなるTi−Al系
合金である。さらに硼素を1原子%〜10原子%を含有
させることにより、凝固組織が微細化し、さらに母材の
常温延性を確保することができる。これ以上含有させる
と、延性が低下してしまう。
【0042】(好適なTi−Al系合金基材)本発明の
Ti−Al系合金の表面改質方法および好適なTi−A
l系合金の表面改質方法で適用できる好適なTi−Al
系合金基材は、Alを15〜55原子%、第Va族元素
または第VIa族元素の一種以上を合計量で0.1原子
%〜10原子%含有し、さらに硼素を1原子%〜10原
子%含有してなるTi−Al系合金である。第Va族元
素および/または第VIa族元素を含有させることによ
り、母材の延性もしくは高温強度向上させることができ
る。さらに硼素を1原子%〜10原子%を含有させるこ
とにより、凝固組織が微細化し、さらに母材の常温延性
を確保することができる。
Ti−Al系合金の表面改質方法および好適なTi−A
l系合金の表面改質方法で適用できる好適なTi−Al
系合金基材は、Alを15〜55原子%、第Va族元素
または第VIa族元素の一種以上を合計量で0.1原子
%〜10原子%含有し、さらに硼素を1原子%〜10原
子%含有してなるTi−Al系合金である。第Va族元
素および/または第VIa族元素を含有させることによ
り、母材の延性もしくは高温強度向上させることができ
る。さらに硼素を1原子%〜10原子%を含有させるこ
とにより、凝固組織が微細化し、さらに母材の常温延性
を確保することができる。
【0043】本発明のTi−Al系合金の表面改質方法
および好適なTi−Al系合金の表面改質方法により、
耐酸化性に優れたTi−Al系合金を容易に得ることが
できるものと考えられる。これにより、Ti−Al系合
金の耐酸化性は改善され、Ni基耐熱合金インコネル7
13Cの耐酸化性を凌ぐものであり、900℃以上の高
温においても耐熱性を有するようになる。このため、自
動車用ターボチャージャ用材料のみならず、発電用ガス
タービン用材料、ジェットエンジン用材料などへの適用
も可能となる。また、密閉容器などの煩雑な装置の必要
はなく、加熱処理を伴わないため、基材に処理材粉末の
付着もなく、処理粉末が焼結・固化することはない。ま
た、鋳造後の鋳物の型ばらし時に、本発明の微粒子を用
いれば、製造工程内で耐酸化性向上処理を付与すること
ができる。
および好適なTi−Al系合金の表面改質方法により、
耐酸化性に優れたTi−Al系合金を容易に得ることが
できるものと考えられる。これにより、Ti−Al系合
金の耐酸化性は改善され、Ni基耐熱合金インコネル7
13Cの耐酸化性を凌ぐものであり、900℃以上の高
温においても耐熱性を有するようになる。このため、自
動車用ターボチャージャ用材料のみならず、発電用ガス
タービン用材料、ジェットエンジン用材料などへの適用
も可能となる。また、密閉容器などの煩雑な装置の必要
はなく、加熱処理を伴わないため、基材に処理材粉末の
付着もなく、処理粉末が焼結・固化することはない。ま
た、鋳造後の鋳物の型ばらし時に、本発明の微粒子を用
いれば、製造工程内で耐酸化性向上処理を付与すること
ができる。
【0044】〔第2発明の実施の形態〕
【0045】本発明の表面に改質層を有するTi−Al
系合金は、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al
系合金からなるTi−Al系合金基材と、該基材の表面
に形成した改質層とからなり、該改質層が、Si,N
b,Ta,Cr,Mo,Wの少なくとも1種以上の元素
を含む物質が存在する状態において前記基材の表面に機
械的エネルギを付与して得た機械的合金化層からなるこ
とを特徴とする。本発明のTi−Al系合金が優れた効
果を発揮するメカニズムについては、未だ必ずしも明ら
かではないが、次のように考えられる。すなわち、本発
明のTi−Al系合金は、基材が、Alが15原子%〜
55原子%のTi−Al系合金からなる。これより、常
温延性があり、高温強度に優れたTi−Al系合金とな
る。また、本発明のTi−Al系合金は、該基材の表面
部に,Si,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの少なくとも
1種以上の元素を含む物質を主体とする機械的合金化層
を有している。この機械的合金化層は、アルミナより標
準生成自由エネルギーの絶対値が小さいため、母材中の
アルミニウムによって還元され金属に変化する。一方、
母材中のアルミニウムは酸化され表面にアルミナ被膜を
形成する。以上により、本発明のTi−Al系合金は耐
酸化性に優れた合金とすることができたものと考えられ
る。
系合金は、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al
系合金からなるTi−Al系合金基材と、該基材の表面
に形成した改質層とからなり、該改質層が、Si,N
b,Ta,Cr,Mo,Wの少なくとも1種以上の元素
を含む物質が存在する状態において前記基材の表面に機
械的エネルギを付与して得た機械的合金化層からなるこ
とを特徴とする。本発明のTi−Al系合金が優れた効
果を発揮するメカニズムについては、未だ必ずしも明ら
かではないが、次のように考えられる。すなわち、本発
明のTi−Al系合金は、基材が、Alが15原子%〜
55原子%のTi−Al系合金からなる。これより、常
温延性があり、高温強度に優れたTi−Al系合金とな
る。また、本発明のTi−Al系合金は、該基材の表面
部に,Si,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの少なくとも
1種以上の元素を含む物質を主体とする機械的合金化層
を有している。この機械的合金化層は、アルミナより標
準生成自由エネルギーの絶対値が小さいため、母材中の
アルミニウムによって還元され金属に変化する。一方、
母材中のアルミニウムは酸化され表面にアルミナ被膜を
形成する。以上により、本発明のTi−Al系合金は耐
酸化性に優れた合金とすることができたものと考えられ
る。
【0046】(好適なTi−Al系合金1)本発明の好
適な表面に改質層を有するTi−Al系合金は、Alが
15原子%〜55原子%のTi−Al系合金からなるT
i−Al系合金基材と、該基材の表面に、シリコン(S
i),ニオブ(Nb),タンタル(Ta),クロム(C
r),モリブデン(Mo),タングステン(W)の少な
くとも1種以上の元素を含む物質が存在する状態におい
て,機械的エネルギを付与して得た合金被膜からなる表
面部と、からなるTi−Al系合金であって、前記表面
部が、前記物質を構成する前記元素(Si,Nb,T
a,Cr,Mo,Wの少なくとも1種以上)を主体とす
る酸化物被膜を有してなり、該酸化物被膜が、高温酸化
性雰囲気下で安定な酸化物を含む高温で耐酸化性に優れ
た層を形成してなることを特徴とする。本発明の耐酸化
性に優れたTi−Al系合金が優れた効果を発揮するメ
カニズムについては、未だ必ずしも明らかではないが、
次のように考えられる。すなわち、本発明のTi−Al
系合金は、基材が、Alが15原子%〜55原子%のT
i−Al系合金からなるTi−Al系合金からなる。こ
れより、常温延性があり、高温強度に優れたTi−Al
系合金となる。また、本発明のTi−Al系合金は、該
基材の表面部に,シリコン(Si),ニオブ(Nb),
タンタル(Ta),クロム(Cr),モリブデン(M
o),タングステン(W)の少なくとも1種以上の元素
を含む物質が存在する状態において,機械的エネルギを
付与して形成した耐酸化性に優れた表面部を有してな
る。この表面部は、前記物質を構成する前記元素(S
i,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの少なくとも1種以
上)を主体とする酸化物被膜を有してなり、保護被膜と
して作用する。このため、内部に進行するTiO2 の形
成を抑制し、耐酸化性が著しく向上する。さらに、本発
明のTi−Al系合金は、高温酸化性雰囲気下で、前記
酸化物被膜が安定な酸化物に変化して、高温で耐酸化性
に優れた層を形成してなる。すなわち、表面部のSi,
Nb,Ta,Cr,Mo,Wの少なくとも1種以上の元
素を主体とする酸化物被膜は、高温酸化雰囲気中で高温
に安定な酸化物被膜に変化して,耐酸化性を向上させる
働きがある。以上により、本発明のTi−Al系合金は
耐酸化性に優れた合金とすることができたものと考えら
れる。
適な表面に改質層を有するTi−Al系合金は、Alが
15原子%〜55原子%のTi−Al系合金からなるT
i−Al系合金基材と、該基材の表面に、シリコン(S
i),ニオブ(Nb),タンタル(Ta),クロム(C
r),モリブデン(Mo),タングステン(W)の少な
くとも1種以上の元素を含む物質が存在する状態におい
て,機械的エネルギを付与して得た合金被膜からなる表
面部と、からなるTi−Al系合金であって、前記表面
部が、前記物質を構成する前記元素(Si,Nb,T
a,Cr,Mo,Wの少なくとも1種以上)を主体とす
る酸化物被膜を有してなり、該酸化物被膜が、高温酸化
性雰囲気下で安定な酸化物を含む高温で耐酸化性に優れ
た層を形成してなることを特徴とする。本発明の耐酸化
性に優れたTi−Al系合金が優れた効果を発揮するメ
カニズムについては、未だ必ずしも明らかではないが、
次のように考えられる。すなわち、本発明のTi−Al
系合金は、基材が、Alが15原子%〜55原子%のT
i−Al系合金からなるTi−Al系合金からなる。こ
れより、常温延性があり、高温強度に優れたTi−Al
系合金となる。また、本発明のTi−Al系合金は、該
基材の表面部に,シリコン(Si),ニオブ(Nb),
タンタル(Ta),クロム(Cr),モリブデン(M
o),タングステン(W)の少なくとも1種以上の元素
を含む物質が存在する状態において,機械的エネルギを
付与して形成した耐酸化性に優れた表面部を有してな
る。この表面部は、前記物質を構成する前記元素(S
i,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの少なくとも1種以
上)を主体とする酸化物被膜を有してなり、保護被膜と
して作用する。このため、内部に進行するTiO2 の形
成を抑制し、耐酸化性が著しく向上する。さらに、本発
明のTi−Al系合金は、高温酸化性雰囲気下で、前記
酸化物被膜が安定な酸化物に変化して、高温で耐酸化性
に優れた層を形成してなる。すなわち、表面部のSi,
Nb,Ta,Cr,Mo,Wの少なくとも1種以上の元
素を主体とする酸化物被膜は、高温酸化雰囲気中で高温
に安定な酸化物被膜に変化して,耐酸化性を向上させる
働きがある。以上により、本発明のTi−Al系合金は
耐酸化性に優れた合金とすることができたものと考えら
れる。
【0047】(好適なTi−Al系合金2)本発明の好
適なTi−Al系合金は、Alが15原子%〜55原子
%のTi−Al系合金からなるTi−Al系合金基材
と、該Ti−Al系合金基材の表面部に,ニオブ(N
b)またはタンタル(Ta)の少なくとも1種以上の物
質が存在する状態において,機械的エネルギを付与して
得た酸化物被膜からなる表面部とからなるTi−Al系
合金であって、前記表面部が、前記物質を構成する元素
(NbまたはTaの少なくとも1種以上)を主体とする
酸化物被膜を有してなり、該表面部において,前記酸化
物被膜の存在により高温酸化性雰囲気下で前記基材と前
記酸化物被膜との間にAl−Oを主体とする安定な酸化
物層を形成して高温で耐酸化性に優れた層としてなるこ
とを特徴とする。これにより、前記酸化物被膜が高温酸
化雰囲気中で保護被膜の作用を失っても、Al−Oを主
体とする安定な酸化物層により、保護被膜としての効果
があり、又、基材との密着性も良いため、耐酸化性に優
れたTi−Al系合金となる。
適なTi−Al系合金は、Alが15原子%〜55原子
%のTi−Al系合金からなるTi−Al系合金基材
と、該Ti−Al系合金基材の表面部に,ニオブ(N
b)またはタンタル(Ta)の少なくとも1種以上の物
質が存在する状態において,機械的エネルギを付与して
得た酸化物被膜からなる表面部とからなるTi−Al系
合金であって、前記表面部が、前記物質を構成する元素
(NbまたはTaの少なくとも1種以上)を主体とする
酸化物被膜を有してなり、該表面部において,前記酸化
物被膜の存在により高温酸化性雰囲気下で前記基材と前
記酸化物被膜との間にAl−Oを主体とする安定な酸化
物層を形成して高温で耐酸化性に優れた層としてなるこ
とを特徴とする。これにより、前記酸化物被膜が高温酸
化雰囲気中で保護被膜の作用を失っても、Al−Oを主
体とする安定な酸化物層により、保護被膜としての効果
があり、又、基材との密着性も良いため、耐酸化性に優
れたTi−Al系合金となる。
【0048】(好適なTi−Al系合金3)本発明の好
適なTi−Al系合金は、Alが15原子%〜55原子
%のTi−Al系合金からなるTi−Al系合金基材
と、該Ti−Al系合金基材の表面部に,クロム(C
r)元素を含む物質が存在する状態において,機械的エ
ネルギを付与して得た酸化物被膜からなる表面部とから
なるTi−Al系合金であって、前記表面部が、前記物
質を構成する元素(Cr)を主体とする酸化物被膜を有
してなり、該酸化物被膜が,高温酸化性雰囲気中で安定
な酸化物として耐酸化性に優れた層を形成してなること
を特徴とする。これにより、前記酸化物被膜は、保護被
膜として作用するとともに、さらに高温酸化性雰囲気中
で安定な酸化物として耐酸化性に優れた層を形成し、保
護被膜となるため、耐酸化性に優れたTi−Al系合金
となる。
適なTi−Al系合金は、Alが15原子%〜55原子
%のTi−Al系合金からなるTi−Al系合金基材
と、該Ti−Al系合金基材の表面部に,クロム(C
r)元素を含む物質が存在する状態において,機械的エ
ネルギを付与して得た酸化物被膜からなる表面部とから
なるTi−Al系合金であって、前記表面部が、前記物
質を構成する元素(Cr)を主体とする酸化物被膜を有
してなり、該酸化物被膜が,高温酸化性雰囲気中で安定
な酸化物として耐酸化性に優れた層を形成してなること
を特徴とする。これにより、前記酸化物被膜は、保護被
膜として作用するとともに、さらに高温酸化性雰囲気中
で安定な酸化物として耐酸化性に優れた層を形成し、保
護被膜となるため、耐酸化性に優れたTi−Al系合金
となる。
【0049】(Ti−Al系合金基材)本発明では、前
記第1発明の実施の形態で説明したTi−Al系合金基
材、および好適なTi−Al系合金基材を適用すること
ができる。
記第1発明の実施の形態で説明したTi−Al系合金基
材、および好適なTi−Al系合金基材を適用すること
ができる。
【0050】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。
【0051】(第1実施例)
【0052】純度99.9%のスポンジチタンと純度9
9.99%のアルミニウムを目標組成に秤量し、10-4
torrに排気した後、Ar雰囲気下で高周波溶解により金
型に鋳込み、約1kgのインゴット(Ti−47原子%
Al)を溶製した。次いで、このインゴットから板状の
試験片を10mm×15mm×3mmの寸法に削りだした。得
られた試験片の表面を1500番のSiCペーパーによ
り研磨を行った後、アセトンで脱脂した。
9.99%のアルミニウムを目標組成に秤量し、10-4
torrに排気した後、Ar雰囲気下で高周波溶解により金
型に鋳込み、約1kgのインゴット(Ti−47原子%
Al)を溶製した。次いで、このインゴットから板状の
試験片を10mm×15mm×3mmの寸法に削りだした。得
られた試験片の表面を1500番のSiCペーパーによ
り研磨を行った後、アセトンで脱脂した。
【0053】用意した試験片に、ショットピーニング用
の装置を用いて、粒径5〜100μmのSiO2 、Cr
2 O3 、MoO3 、Nb2 O5 、Ta2 O5 、WO3 の
粒子を、大気中で繰り返し衝突させて、表面改質処理を
施した。なお、噴射圧力は4kgf/cm2 で行った。
の装置を用いて、粒径5〜100μmのSiO2 、Cr
2 O3 、MoO3 、Nb2 O5 、Ta2 O5 、WO3 の
粒子を、大気中で繰り返し衝突させて、表面改質処理を
施した。なお、噴射圧力は4kgf/cm2 で行った。
【0054】得られた板状の試験片の評価試験を、耐酸
化評価試験により行った。この試験は、抵抗加熱電気炉
を用いて大気中で900℃×200h加熱して酸化試験
を行った。試験片はAl2 O3 るつぼに入れたままで加
熱して、剥がれた被膜も残らず回収して酸化による重量
増加を測定して、重量増加により耐酸化性を評価した。
その結果を、表1に示す。
化評価試験により行った。この試験は、抵抗加熱電気炉
を用いて大気中で900℃×200h加熱して酸化試験
を行った。試験片はAl2 O3 るつぼに入れたままで加
熱して、剥がれた被膜も残らず回収して酸化による重量
増加を測定して、重量増加により耐酸化性を評価した。
その結果を、表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】(第2実施例)本実施例では、Al含有量
の影響を調べるために、Ti−Al系合金のAl量を1
5原子%、47原子%、55原子%で3種類変化させ、
Ar雰囲気下で高周波溶解した。インゴットの重量は1
kgであった。このインゴットから酸化試験片を10mm
×15mm×3mmの寸法に削りだした。次に、用意した試
験片に、前記第1実施例と同様に粒径5〜200μmの
SiO2 、Cr2 O3 、MoO3 、Nb2 O5 、Ta2
O5 、WO3 粉末を用いて、表面改質処理を施した後、
前記第1実施例と同様に酸化試験を行った。その結果
を、表2に示す。表2に示すように、Ti−Al系合金
のAl量を15原子%、47原子%、55原子%とした
場合、有効であることがわかる。
の影響を調べるために、Ti−Al系合金のAl量を1
5原子%、47原子%、55原子%で3種類変化させ、
Ar雰囲気下で高周波溶解した。インゴットの重量は1
kgであった。このインゴットから酸化試験片を10mm
×15mm×3mmの寸法に削りだした。次に、用意した試
験片に、前記第1実施例と同様に粒径5〜200μmの
SiO2 、Cr2 O3 、MoO3 、Nb2 O5 、Ta2
O5 、WO3 粉末を用いて、表面改質処理を施した後、
前記第1実施例と同様に酸化試験を行った。その結果
を、表2に示す。表2に示すように、Ti−Al系合金
のAl量を15原子%、47原子%、55原子%とした
場合、有効であることがわかる。
【0057】
【表2】
【0058】(第3実施例)本実施例では、V,Cr,
Nb,Mo,Ta,Wを含有したTi−47原子%Al
の検討を行った。前記第2実施例と同様にAr中で高周
波溶解にて、試験片を作製し、WO3 粉末を用いて前記
第2実施例の方法と同様に表面改質処理を行った。酸化
試験についても、前記第2実施例と同様に行った。試験
結果を、表3に示す。
Nb,Mo,Ta,Wを含有したTi−47原子%Al
の検討を行った。前記第2実施例と同様にAr中で高周
波溶解にて、試験片を作製し、WO3 粉末を用いて前記
第2実施例の方法と同様に表面改質処理を行った。酸化
試験についても、前記第2実施例と同様に行った。試験
結果を、表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】一般に、V,Crを含有する合金は、これ
ら元素を含有しない合金の場合より耐酸化性が悪くな
る。しかし、表3に示すように、本発明の表面改質処理
はこれら合金を含有する合金においても有効であること
がわかる。さらに、Nb,Mo,Ta,Wを含有する合
金においても,本発明の表面処理の効果が有効であるこ
とが分かる。
ら元素を含有しない合金の場合より耐酸化性が悪くな
る。しかし、表3に示すように、本発明の表面改質処理
はこれら合金を含有する合金においても有効であること
がわかる。さらに、Nb,Mo,Ta,Wを含有する合
金においても,本発明の表面処理の効果が有効であるこ
とが分かる。
【0061】(第4実施例)前記第3実施例の合金にさ
らに、Bを含有したTi−47原子%Alの検討を行っ
た。前記第3実施例と同様にAr中で高周波溶解にて、
試験片を作製し、表面改質処理を行った。酸化試験につ
いても、前記第3実施例と同様に行った。試験結果を、
表4に示す。
らに、Bを含有したTi−47原子%Alの検討を行っ
た。前記第3実施例と同様にAr中で高周波溶解にて、
試験片を作製し、表面改質処理を行った。酸化試験につ
いても、前記第3実施例と同様に行った。試験結果を、
表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】一般に、Bを含有する合金は、Bを含有し
ない合金の場合より耐酸化性が悪くなる。しかし、表4
に示すように、本発明の表面改質処理はこれら合金を含
有する合金においても有効であることがわかる。
ない合金の場合より耐酸化性が悪くなる。しかし、表4
に示すように、本発明の表面改質処理はこれら合金を含
有する合金においても有効であることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎藤 卓 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1株式会社 豊田中央研究所内 (56)参考文献 特開 平3−75385(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 24/08 B24C 1/10 C21D 1/76 C22C 14/00
Claims (17)
- 【請求項1】 Alが15原子%〜55原子%のTi−
Al系合金からなるTi−Al系合金基材の表面部に、
アルミナより標準生成自由エネルギの絶対値が小さい酸
化物を含む物質が存在する状態において,機械的エネル
ギを付与し、前記基材表面部に機械的合金化層を形成さ
せてなることを特徴とするTi−Al系合金の表面改質
方法。 - 【請求項2】 Alが15原子%〜55原子%のTi−
Al系合金からなるTi−Al系合金基材の表面部に、
アルミナより標準生成自由エネルギの絶対値が小さい酸
化物を含む微粒子を付与し、前記基材表面部に、該微粒
子中の酸化物を構成する元素を主体とする酸化物被膜を
形成させてなることを特徴とするTi−Al系合金の表
面改質方法。 - 【請求項3】 Alが15原子%〜55原子%のTi−
Al系合金からなるTi−Al系合金基材の表面部に、
シリコン(Si),ニオブ(Nb),タンタル(T
a),クロム(Cr),モリブデン(Mo),タングス
テン(W)の少なくとも1種以上の元素を含む物質が存
在する状態において,機械的エネルギを付与し、前記基
材表面部に前記物質を構成する前記元素(Si,Nb,
Ta,Cr,Mo,Wの少なくとも1種以上)を主体と
する合金被膜を形成させてなることを特徴とするTi−
Al系合金の表面改質方法。 - 【請求項4】 Alが15原子%〜55原子%のTi−
Al系合金からなるTi−Al系合金基材の表面部に、
シリコン(Si),ニオブ(Nb),タンタル(T
a),クロム(Cr),モリブデン(Mo),タングス
テン(W)の少なくとも1種以上の元素の酸化物を含む
物質が存在する状態において,機械的エネルギを付与
し、前記基材表面部に前記物質を構成する前記元素(S
i,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの少なくとも1種以
上)を主体とする酸化物被膜を形成させてなることを特
徴とするTi−Al系合金の表面改質方法。 - 【請求項5】 前記Ti−Al系合金基材の表面部に形
成した被膜が、高温酸化性雰囲気下で安定な酸化物を含
む,高温で耐酸化性に優れた層を形成してなることを特
徴とする請求項1〜請求項4に記載のTi−Al系合金
の表面改質方法。 - 【請求項6】 前記Ti−Al系合金基材が、第Va族
元素または第VIa族元素の一種以上を合計量で0.1
原子%〜10原子%含有してなることを特徴とする請求
項1〜請求項4に記載のTi−Al系合金の表面改質方
法。 - 【請求項7】 前記Ti−Al系合金基材が、第Va族
元素または第VIa族元素の一種以上を合計量で0.1
原子%〜10原子%含有し、さらに硼素を1原子%〜1
0原子%含有してなることを特徴とする請求項1〜請求
項4に記載のTi−Al系合金の表面改質方法。 - 【請求項8】 Alが15原子%〜55原子%のTi−
Al系合金からなるTi−Al系合金基材の表面部に、
ニオブ(Nb)またはタンタル(Ta)の少なくとも1
種以上の元素を含む物質が存在する状態において,機械
的エネルギを付与し、前記基材表面部に前記物質を構成
する前記元素(NbまたはTaの少なくとも1種以上)
を主体とする酸化物被膜を形成してなるTi−Al系合
金の表面改質方法であって、前記酸化物被膜の存在によ
り高温酸化性雰囲気下で前記基材と前記酸化物被膜との
間にAl−Oを主体とする安定な酸化物層を形成して高
温で耐酸化性に優れた層としてなることを特徴とするT
i−Al系合金の表面改質方法。 - 【請求項9】 Alが15原子%〜55原子%のTi−
Al系合金からなるTi−Al系合金基材の表面部に、
クロム(Cr)元素を含む物質が存在する状態におい
て,機械的エネルギを付与し、前記基材表面部に前記物
質を構成する前記元素(Cr)を主体とする酸化物被膜
を形成してなるTi−Al系合金の表面改質方法であっ
て、該酸化物被膜が、高温雰囲気下で安定な酸化物とし
て耐酸化性に優れた層を形成してなることを特徴とする
Ti−Al系合金の表面改質方法。 - 【請求項10】 Alが15原子%〜55原子%のTi
−Al系合金からなるTi−Al系合金基材の表面部
に、アルミナより標準生成自由エネルギの絶対値が小さ
い酸化物を含む物質を付与し、前記基材表面部に機械的
合金化層を形成させてなることを特徴とする請求項1に
記載のTi−Al系合金の表面改質方法。 - 【請求項11】 Alが15原子%〜55原子%のTi
−Al系合金からなるTi−Al系合金基材と、該基材
の表面に形成した改質層とからなり、該改質層が、S
i,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの少なくとも1種以上
の元素を含む物質が存在する状態において前記基材の表
面に機械的エネルギを付与して得た機械的合金化層から
なることを特徴とする表面に改質層を有するTi−Al
系合金。 - 【請求項12】 Alが15原子%〜55原子%のTi
−Al系合金からなるTi−Al系合金基材と、該基材
の表面に、シリコン(Si),ニオブ(Nb),タンタ
ル(Ta),クロム(Cr),モリブデン(Mo),タ
ングステン(W)の少なくとも1種以上の元素を含む物
質が存在する状態において,機械的エネルギを付与して
得た合金被膜からなる表面部と、からなるTi−Al系
合金であって、前記表面部が、前記物質を構成する前記
元素(Si,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの少なくとも
1種以上)を主体とする酸化物被膜を有してなり、該酸
化物被膜が、高温酸化性雰囲気下で安定な酸化物を含む
高温で耐酸化性に優れた層を形成してなることを特徴と
する表面に改質層を有するTi−Al系合金。 - 【請求項13】 前記Ti−Al系合金基材が、第Va
族元素または第VIa族元素の一種以上を合計量で0.
1原子%〜10原子%含有してなることを特徴とする請
求項11または請求項12に記載の表面に改質層を有するT
i−Al系合金。 - 【請求項14】 前記Ti−Al系合金基材が、さらに
硼素を1原子%〜10原子%含有してなることを特徴と
する請求項13に記載の表面に改質層を有するTi−Al
系合金。 - 【請求項15】 Alが15原子%〜55原子%のTi
−Al系合金からなるTi−Al系合金基材と、該Ti
−Al系合金基材の表面部に、ニオブ(Nb)またはタ
ンタル(Ta)の少なくとも1種以上の元素を含む物質
が存在する状態において,機械的エネルギを付与して得
た酸化物被膜からなる表面部とからなるTi−Al系合
金であって、前記表面部が、前記物質を構成する元素
(NbまたはTaの少なくとも1種以上)を主体とする
酸化物被膜を有してなり、該表面部において、前記酸化
物被膜の存在により高温酸化性雰囲気下で前記基材と前
記酸化物被膜との間にAl−Oを主体とする安定な酸化
物層を形成して高温で耐酸化性に優れた層としてなるこ
とを特徴とする表面に改質層を有するTi−Al系合
金。 - 【請求項16】 Alが15原子%〜55原子%のTi
−Al系合金からなるTi−Al系合金基材と、該Ti
−Al系合金基材の表面部に、クロム(Cr)元素を含
む物質が存在する状態において,機械的エネルギを付与
して得た酸化物被膜からなる表面部とからなるTi−A
l系合金であって、前記表面部が、前記物質を構成する
元素(Cr)を主体とする酸化物被膜を有してなり、該
酸化物被膜が、高温酸化性雰囲気下で安定な酸化物とし
て耐酸化性に優れた層を形成してなることを特徴とする
表面に改質層を有するTi−Al系合金。 - 【請求項17】 Alが15原子%〜55原子%のTi
−Al系合金からなるTi−Al系合金基材と、該基材
の表面に形成した改質層とからなり、該改質層が、S
i,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの少なくとも1種以上
の元素を含む物質を付与して得た機械的合金化層からな
ることを特徴とする表面に改質層を有するTi−Al系
合金。
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JPH10121263A JPH10121263A (ja) | 1998-05-12 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009054536A1 (ja) | 2007-10-24 | 2009-04-30 | Air Water Inc. | Ti-Al系合金の表面処理方法およびそれによって得られたTi-Al系合金 |
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1997
- 1997-08-29 JP JP24953097A patent/JP3358796B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2009054536A1 (ja) | 2007-10-24 | 2009-04-30 | Air Water Inc. | Ti-Al系合金の表面処理方法およびそれによって得られたTi-Al系合金 |
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