JP3358791B2 - 導電性材料及び導電性材料用基礎材料 - Google Patents

導電性材料及び導電性材料用基礎材料

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JP3358791B2 JP03488597A JP3488597A JP3358791B2 JP 3358791 B2 JP3358791 B2 JP 3358791B2 JP 03488597 A JP03488597 A JP 03488597A JP 3488597 A JP3488597 A JP 3488597A JP 3358791 B2 JP3358791 B2 JP 3358791B2
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水二次電池など
で使用される導電性材料に関する。
【0002】
【従来の技術】電池、キャパシタ等に用いられる電解質
は、一般に電解液、すなわち電解質材料を溶媒に溶解し
て得た液体状のものが使用されている。アルカリ金属系
電池、なかでもリチウムイオン電池のように高い電極間
電圧を得るには、電位窓の広い非プロトン性の液体電解
質の溶媒として用いられてきた。しかしながら、このよ
うな液体電解質は漏液のおそれがあるため電池の形状に
制限がある上、薄膜成形性に問題があるため、電池の小
型化の妨げになっていた。最近、固体の電解質、特に柔
軟性に富んだ固体電解質が得られることから高分子固体
電解質が注目されている。ここで、固体電解質に柔軟さ
がないと、例えば、帯状の電極及び電解質からなる電池
を渦巻き状に巻いて作製する円筒電池に応用することが
できず、大容量化が困難となる。
【0003】高分子固体電解質の一例として、ポリエチ
レンオキサイドなどの高分子化合物を溶媒に用い、その
なかにアルカリ金属塩を溶解したものが知られている。
このものは一種の固溶体であって、必然的にアニオン・
カチオン共に移動する両イオン伝導体になり、充放電時
の分極が大きくなる。また、このものはアニオンが移動
することによる弊害、例えば負極として炭素を用いた場
合、この炭素に上記アニオンがリチウムとともにインタ
ーカーレートし、炭素の結晶構造を破壊して負極の寿命
を著しく短くしたり、両極で電気化学的に反応して電池
特性に悪影響を及ぼす等が指摘されている。
【0004】高分子固体電解質の一例として平成6年第
35回電池検討会予稿集(213〜214ページ)に報
告された技術を挙げる。これはリチウム金属塩であるL
iN(SO2CF32を、2−(2−メトキシエトキ
シ)エチレングリシジルエーテルの重合体と、2−(2
−メトキシエトキシ)エチレングリシジルエーテル及び
エチレンオキシドとの共重合体との架橋体に溶解させた
ものが高分子固体電解質として示されている。
【0005】報告によれば、この高分子固体電解質の3
0℃での伝導率は4×10-5S/cmとなるが、カチオ
ン(ここではリチウムイオン)の移動によるイオン伝導
性を示す輸率は0.1前後であり、導電率のほとんどは
アニオンの移動によるものであることが判る。このよう
にこの報告に記載されている高分子固体電解質はカチオ
ンの移動によるイオン伝導性を示すものではなかった。
ここで、本発明者等は過去、アルカリシロキシアルミナ
ートが導電性材料として用いることができることを示し
てきた(平成6年日本化学会総会、第21回イオニクス
討論会等)。しかしながら、これら技術を電池用固体電
解質材料として見た場合、アニオンの移動の防止が不充
分で、かつ、導電率も低く、また、材質的にも柔軟性に
乏しく満足できるものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、上記問
題点を解決するため、高分子化合物とアルカリシロキシ
アルミナートとからなる構成を有する導電性材料に至っ
た(ここでアルカリとはアルカリ金属を指す)。このも
のの一例として、リチウムシロキシアルミナートを、四
級化アミンを有する高分子化合物にイオン結合させたも
のがあり、このものは優れた固体電解質であった。しか
しながら、この場合ヨウ素などのハロゲンイオンと結合
した四級化アミンとリチウムシロキシアルミナートとの
反応の過程で副生成されるハロゲン化アルカリの除去が
困難で、このハロゲン化アルキルが固体電解質中に大量
に残留した場合、従来の固溶体型固体電解質を用いた場
合と同様の問題が生じる。
【0007】さらに、アルカリシロキシアルミナートは
ジアルキルシランジオールと水素化リチウムアルミニウ
ムとを反応させて得ることができるが、シランジオール
類は極めて高価で、かつ、入手が困難であった。さらに
このものは脱水反応を起こす可能性があるため、−78
℃程度の超低温での使用が必要とされた。また、合成の
際に各段で精製を行うため、中間生成物を容器から取り
出す必要があり、連続合成ができなかった。ここで、本
発明は、合成に際してハロゲン化アルカリの生成を伴わ
ず、またシランジオールカチオンを要せず、また連続的
合成が可能で、かつ、輸率が高くて分極が小さく、さら
に柔軟性に富んだ導電率の高い導電性材料を提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の導電性材料は上
記課題を解決するため、請求項1に記載のように、有機
高分子物質からなり、下記式(3)で表される構造を有
している導電性材料である。このような構成により、ア
ニオンの移動が完全に防止され、分極の発生や輸率の低
下等が完全に防止される。
【化3】 さらにこのような導電性材料を可能とする本発明の導電
性材料用基礎材料は、重合可能であり、重合可能であ
り、重合により導電材料を構成し、かつ、下記式(2)
で表される構造を有する導電性材料用基礎材料である。
【化4】
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において高分子骨格を構成
する構成要素とは、有機高分子物質を構成する繰り返し
ユニットのことである。なお、本発明において、上記ア
ニオンがアルミニウム原子ないしホウ素原子由来のもの
であると比較的アニオンとしての局在化が小さくするこ
とが容易であるため好ましい。さらに下記式1に示すよ
うに上記アルミニウム原子または/及びホウ素原子が4
つの酸素と共有結合によって結合されているもの(すな
わち、テトラオキシアルミニウム基ないしテトラオキシ
ボロン基を有するもの)であるとアニオンが弱いものと
なるのでさらに好ましい。なお、最も好ましいのは、
記式2に示すようなテトラシロキシアルミナートが上記
高分子骨格を構成している構成要素の1つとなることで
ある。この場合ケイ素の電子吸引効果によりAl-のア
ニオンが非常に弱くなり、いわば非局在化アニオンとな
り、カチオンの動きがスムーズとなる。この場合もアル
ミニウムの代わりにホウ素を有するものを用いてもほぼ
同様の効果が得られるが、一般にアルミニウムの方が反
応性が高く、目的物の合成が容易である。
【0010】
【化5】
【0011】
【化6】
【0012】なお、アニオンの有機高分子形成上の必要
などにより、一部ないし大部分のアルミニウム(または
ホウ素)に結合した酸素が、あるいは、アルミニウム
(またはホウ素)に結合した酸素に更に結合したケイ素
が、それぞれ他の元素に置換されていてもよい。ただし
この場合アニオンとしては局在化してくる可能性があ
る。
【0013】また、上記の重合可能であり、重合により
導電材料を構成し、かつ、下記式2で表される構造を有
する導電性材料用基礎材料において重合可能とは、同種
分子による重合はもちろん、他の成分と共に、2元や3
元などの多元成分による重合が可能であることを含む。
【0014】これら導電性材料用基礎材料と共に有機高
分子を構成する構成要素としては、アニオンとなる原子
ないしそれを含む構成要素との共重合性が高いことが求
められる。また共重合時にその構成要素からなる部分は
電気的(イオン的)に中性であること、すなわちイオン
を形成するような基が含まれていないことが望ましい。
また、後述するように形成される有機高分子が併用する
溶媒に対して耐性を持つよう選択することが必要であ
る。
【0015】このようなものとしてジオール系の化合物
などで、アニオンとなる原子ないしそれを含む構成要素
とエーテル結合を形成するか、あるいはテトラシロキシ
アルミナート基のケイ素と直接結合する炭素を有するも
のが挙げられる。このようなものとして、直鎖からな
り、両末端にそれぞれ水酸基を有する、1,8−オクト
メチレンジオール、1,6−ヘキサメチレンジオール、
1,4−テトラメチレンジオールなどが挙げられる。こ
の中で1,6−ヘキサメチレンジオールが入手が容易
で、また適度な柔軟性を有する導電性材料が得られる。
すなわち、1,4−テトラメチレンジオールを用いると
導電性材料の柔軟性が低下し、一方、1,8−オクトメ
チレンジオールを用いると柔軟性が高すぎるものとな
る。本発明の導電性材料は上記のように有機高分子物質
からなるが、その分子量は、併用する有機溶媒に分散・
溶解した際にゲルを形成することを目安とする。すなわ
ちこのように溶媒と共にゲル化したときにカチオンの移
動が容易かつスムーズになる。
【0016】すなわち本発明の導電性材料は適当な有機
溶媒とともにゲルを形成して柔軟で高分子固体電解質を
形成する。このものは成形時に型を用いる、あるいは、
その後カッティング等の通常の手段により需要者が望む
形状とすることができる。このとき、この高分子固体電
解質の可撓性・機械的強度は、アニオンとなる原子ない
しそれを含む構成要素の種類、及びこれらの構成要素と
共に有機高分子を構成する構成要素の種類、溶媒種類・
濃度により異なるため、あらかじめ検討することが望ま
しい。ここで、溶媒としてはいわゆる非水溶媒、例えば
プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,
2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ
−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテ
トラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル
−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラ
ン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、
N−メチル−2−ピロリドン等及びこれらの2種以上の
混合溶媒が挙げられるが、上記のように本発明の導電性
材料とともにゲルを形成することが求められるため、あ
らかじめ検討によって選択することが必要である。
【0017】本発明の導電性材料として、上記項目を総
合的に検討すると、その一部が下記式3(以下「テトラ
シロキシアルミナートポリマー」と云う)に示されるよ
うな構造を有するものであることが望ましい。すなわち
このものは、充分な安定性を有し有機溶媒と共に輸率・
可撓性・導電性ともに優れた高分子固体電解質を形成す
る。
【0018】
【化7】 上記式(3)に示されるテトラシロキシアルミナートポ
リマーは例えば次のようにして得ることができる。すな
わち、アルカリアルミニウムハイドライド(ここでアル
カリとはアルカリ金属を表す)にメタノールまたはフェ
ノールなどのアルコールを作用させ、生成物にヘキサメ
チルヘキサシクロトリシロキサンあるいはオクタメチル
オクタシクロテトラシロキサン等の、環状あるいは非環
状のポリジメチルシロキサンを反応させ、さらにこの生
成物にジオールやトリオールなどのポリオール類、望ま
しくは直鎖化合物で両端にそれぞれ水酸基を有する1,
6−ヘキサメチレンジオール等のを反応させて得ること
ができる。なお上記ヘキサメチルヘキサシクロトリシロ
キサンあるいはオクタメチルオクタシクロテトラシロキ
サンとを比較すると、前者の方が反応性に富むので用い
やすい。
【0019】なお、上記アルカリ金属が例えばリチウム
であるときにはリチウムイオン電池の電解質として、ま
た、例えばナトリウムであるときにはナトリウムイオン
電池の電解質として用いることができる。さらに、上記
テトラシロキシアルミナートとしてはその末端基が、フ
ェニル基等の芳香族系炭化水素、あるいはメチル基やエ
チル基等のアルキル基で保護されているものであること
が化学的に安定であるため望ましい。また上記テトラシ
ロキシアルミナートポリマーの場合ゲル形成に用いる溶
媒としてはN−メチル−2−ピロリドンが極性が高くゲ
ル形成が容易であるため好ましい。
【0020】上記のようにして本発明の導電性材料を得
ると、反応容器を取り替える必要なく次々と連続的に反
応させて、最終目的物を得ることができ、また、ハロゲ
ン化リチウム等の副生成がないため、完全なシングルイ
オン導電性材料とすることができる。すなわち充放電時
の分極が防止され、さらに、充電終了時にリチウムイオ
ンが消費されると絶縁体となり、過充電を自動的に防止
することができる。また、このものは重合度を原料仕込
み比・反応条件(温度・時間)等を調整することにより
所望のものとすることができ、その結果、併用する溶媒
の種類、混合比等を調整することと相俟って、需要者が
所望の柔軟性・強度を有する高分子固体電解質とするこ
とができる。
【0021】上記高分子固体電解質は、例えば電極材と
共に電池を作製するのに用いられる。すなわち、例えば
リチウム系二次電池を作製する際には、正極・陰極とも
に通常これらリチウム系二次電池に用いることができる
もの、すべてを用いることができる。すなわち正極とし
ては、ニッケル酸化物系やスピネル系マンガン酸化物、
バナジウム酸化物系あるいはコバルト酸化物系、あるい
はこれらニッケル、マンガン、バナジウム及びコバルト
のいずれか2種以上からなる複合酸化物、スルフィド化
合物系、有機硫黄化合物、またはこれらのリチウム化合
物が利用できる。
【0022】また、負極としてはいわゆるリチウム系物
質、すなわち、金属リチウム、リチウム−アルミニウム
合金、或いはリチウムと黒鉛や炭素などの層間化合物な
どが挙げられる。ここで、本発明の導電性材料を用いた
場合には、高エネルギー密度が可能な金属リチウムを用
いて充放電を繰り返しても短絡等の障害を起こすことが
ない。なお、上記高分子固体電解質を用いて電池を形成
する場合には、ボタン型、コイン型、ペーパー型、円筒
型等形状を問わずに用いることができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例について具体的に説明
する。すなわちテトラシロキシアルミナートからなる重
合体を合成し、溶媒とともにゲルを形成し、このゲルを
高分子固体電解質として用いて、その評価を行った。 [テトラシロキシアルミナートからなる重合体の合成:
式(4)参照] 窒素雰囲気下で、300mlの三口フラスコに水分を除
去したメタノール1.6g(50mmol)及び水分を
除去したテトラヒドロフラン20.0mlを入れ、撹拌
しながらリチウムアルミニウムハイドライドの添加量が
10.0mmolとなるよう1mol/l−リチウムア
ルミニウムハイドライド−テトラヒドロフラン溶液をゆ
っくり滴下した後、外部から氷水で冷却しながら3時間
撹拌して反応させた。このように生成されたテトラメト
キシリチウムアルミニウム(LiAl(OCH34)−
テトラヒドロフラン溶液の入った上記300mlの三口
フラスコにヘキサメチルシクロトリシロキサン((CH
32SiO)32.97gを加え、3日間60〜65℃
に保って反応させた。
【0024】
【化8】
【0025】上記反応により生成したLiAl(OSi
(CH32OCH34のテトラヒドロフラン溶液に更
に、水分を除去した1,6−ヘキサメチレンジオール
1.77g(15.0mmol)を加え、さらに3日間
60〜65℃に保ち反応させた。このとき、還流を行い
ながら未反応のメタノールを除去し、かつ、テトラヒド
ロフランを加えて液量を保ちながら行った。反応終了
後、減圧により溶媒を除いた。更に減圧下80〜90℃
に3日間保って乾燥させた後、グローブボックス内で秤
量したところ5.04gの目的物であるテトラシロキシ
アルミナート重合体を得た。このとき収率は96.6重
量%であった。なお、上記反応及び乾燥まで、すべて1
つの容器で行い、中間生成物をこの容器から取り出すこ
とがなかった。
【0026】[テトラシロキシアルミナートからなる重
合体の分析] 上記で生成したテトラシロキシアルミナートからなる重
合体(以下「物質A」と云う。)の分析を行った。な
お、分析は効率的に進めるため、LiAl(OSi(C
32OCH34(以下「物質B」と云う。)との比較
で行った。 (1)元素分析 原子吸光法、XMA法(X線マイクロ
アナリシス)、及びCNHレコーダにより元素分析を行
った。分析結果(重量%)を表1に示す。表中、ケイ素
はXMAのケイ素:アルミニウムの検出重量比及びアル
ミニウムの原子吸光法による結果から求めた値であり、
また、酸素はその他の物資の値の総和を100重量%か
ら減じて求めた値である。また、表中物質Aの理論値と
は重合度が2である下記式(5)に示す物質を想定して
行った値である。
【0027】
【表1】
【0028】
【化9】
【0029】(2)赤外線吸収スペクトル及びGPC分
析 これら物質A及びBについて、その赤外線吸収スペクト
ルについて調べた。結果を物質Aについてのスペクトル
を図1、その部分拡大図を図2に、物質Bについてのス
ペクトルを図3、その部分拡大図を図4に示す。これら
によれば800cm-1付近のSi−(CH32による吸
収、840cm-1付近のSi−(CH33による吸収、
1050cm-1付近のSi−O−Cによる吸収、126
0cm-1付近のSi−CH3による吸収、及び2800
〜3000cm-1のメチル基及びメチレン基による吸収
について物質A及び物質Bは非常によく似た特性吸収が
見られ、このことから、物質Aについても、物質B同様
アルミニウム原子の周囲にシロキサン(0−Si)が4
配位していることが推測される。さらに物質Aに関して
はエーテル結合(C−O−C)に起因するエーテル結合
による吸収が1090cm-1付近に見られることから、
重合していることが確認された。また、GPC分析を行
ったところ、物質Aの分子量は7500未満であった。
【0030】(3)NMRスペクトル さらに物質Aについての1H−NMRスペクトルを図5
に、また物質Bについての1H−NMRスペクトルを図
6に示す(日本電子データム社製JNM−EX270F
T−NMR、使用溶媒:ジメチルスルホキシド−
6)。これらNMRスペクトルによれば、物質Bでは
殆ど見られない−CH2−CH2−基のプロトンに起因す
る1〜2δH/ppmのピークが物質Aでは見られる。
一方、物質Aでは−CH2−O−基およびCH3−O−基
のプロトンに起因する3.5δH/ppm付近のピーク
が観察される。一方物質Aの原料の1つである物質Bで
は同位置にCH3−O−基のピークが見られるだけであ
る。このことから物質Aに−CH2−CH2−O−基が存
在することが確認された。
【0031】[ゲルの形成] 上記で得たテトラシロキシアルミナートからなる重合体
に水分を除去したN−メチル−2−ピロリドンを加え、
超音波による溶解促進及び50〜60℃での溶解促進を
繰り返し、4日後に均一なゲル状の固体電解質を得た。
【0032】[固体電解質の電気化学的特性評価] ゲルの形成において、テトラシロキシアルミナートポリ
マーとN−メチル−2−ピロリドンとの混合比率を変え
て作製した固体電解質について、厚さ0.39mm、直
径7.9mmのシート状サンプルを切り出し、その厚さ
方向の伝導度を交流インピーダンス測定法に基づいて測
定した。すなわち、Cole−Coleプロットによ
り、試料のバルク抵抗Rb(Ω)を求め、このバルク抵
抗Rb、フィルム厚さd(cm)及びフィルム面積S
(cm2)から数1により試料の伝導度σ(S/c
-1)を算出した。数1によりN−メチル−2−ピロリ
ドン濃度が58重量%のものの伝導度は4.7×10-4
S/cmであり、固体電解質として極めて良好な伝導度
を有することが判る。なおこれらは、柔軟性に富み、ま
た、電池組立工程の自動化(特に円筒形電池への応用)
を考慮に入れても充分な強度を有するものであった。
【0033】
【数1】σ = d/(RbS)
【0034】また、使用可能電位幅を測定した。3極式
セルを用い、試料極を白金、参照極を銀、対極をリチウ
ムとして、電位操作速度10mV/SでN−メチル−2
−ピロリドン濃度が58重量%のものをサンプルとして
スキャンを行った。結果を図7に示す。図7より、金属
リチウムの析出が始まる−2.8Vから、ゲルの酸化が
始まる1.4Vまでの約4.2V幅の電気化学的に安定
な電位窓を有することが判る。さらに、リチウムカチオ
ンの輸率について、ノンブロッキングのリチウム電極を
用いて、交流インピーダンスと直流分極法を組み合わせ
て測定した。
【0035】すなわち、輸率t はPETER G.B
RUCEとCOLIN A.VINCENTの報告
(J.Electoranal.Chem.,255
(1987)1−17)に基づいて測定した。この測定
には、図8(a)に符号αを付して示したようなインピ
ーダンス測定用セルを用いる。すなわち、厚さ0.5m
m、直径10mmのシート状サンプルβをスペーサγと
ともに2枚のリチウム金属板δ及びδ’に挟んでセット
(図8(b)参照)する。これらリチウム金属板δ及び
δ’は、ステンレス製の導電材εとばねζ、及びε’と
を介して端子η及びη’にそれぞれ接続されている。な
お、このセルαは2つの部分に分離するが、その分離部
分はOリングθの働きで気密に保たれている。
【0036】輸率は、・まず上記測定用セルにサンプル
をセットし、一日放置した後インピーダンスr0 b及び界
面インピーダンスr0 ctを測定する・次いでこの交流イ
ンピーダンス測定用セルの両極に10mVの電圧を加
え、そのときの電流の時間変化を追跡し、定電流IS
落ち着くことを確認する・再度交流インピーダンス測定
を行い、界面インピーダンスrS ctを得るの測定を行っ
た後、これら値により数2より算出した。
【0037】
【数2】 t+ =IS(ΔV−r0 ct)/I0/(ΔV−ISS ct) ただし、ΔV=10mV、また、I0=ΔV/(r0 b+r0 ct
【0038】その結果、57.8重量%のN−メチル−
2−ピロリドンを含んだゲルで0.53であり、本発明
に係る高分子固体電解質が非常に優れたシングルイオン
導電体であることが判る。
【0039】
【発明の効果】本発明の導電性材料は、その特有の構成
により、合成に際してハロゲン化アルカリの生成を伴わ
ず、また超低温での使用が求められるシランジオールカ
チオンを要せず、また連続的合成が可能で、かつ、輸率
が高くて分極が小さく、さらに柔軟性に富んだ導電率の
高い導電性材料である。また、本発明の導電性材料用基
礎材料は上記本発明の導電性材料を容易に作成すること
ができる優れた基礎材料である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例中で合成されたテトラシロキシアルミナ
ートからなる重合体(物質A)の赤外線吸収スペクトル
である。
【図2】図1の赤外線吸収スペクトルの部分拡大図であ
る。
【図3】実施例中で合成されたLiAl(OSi(CH
32OCH34(物質B)の赤外線吸収スペクトルであ
る。
【図4】図3の赤外線吸収スペクトルの部分拡大図であ
る。
【図5】物質AのNMRスペクトルを示す図である。
【図6】物質BのNMRスペクトルを示す図である。
【図7】N−メチル−2−ピロリドン濃度が58重量%
のサンプルをスキャンした結果を示す図である。
【図8】輸率を測定するために用いたインピーダンス測
定用セルを示す図である。 (a)断面を示す図である。 (b)サンプルのセット方法を示す斜視図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−259698(JP,A) 特開 昭63−37130(JP,A) 特開 平5−74467(JP,A) 特開 平10−168194(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 79/10 C08G 77/60 H01M 4/62

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機高分子物質からなり、下記式(3)
    で表される構造を有していることを特徴とする導電性材
    。 【化1】
  2. 【請求項2】 重合可能であり、重合により導電材料を
    構成し、かつ、下記式(2)で表される構造を有するこ
    とを特徴とする導電性材料用基礎材料。 【化2】
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