JP3353854B2 - 非放射性誘電体線路ならびにこれを用いたミリ波集積回路およびミリ波レーダヘッド - Google Patents

非放射性誘電体線路ならびにこれを用いたミリ波集積回路およびミリ波レーダヘッド

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JP3353854B2
JP3353854B2 JP14034294A JP14034294A JP3353854B2 JP 3353854 B2 JP3353854 B2 JP 3353854B2 JP 14034294 A JP14034294 A JP 14034294A JP 14034294 A JP14034294 A JP 14034294A JP 3353854 B2 JP3353854 B2 JP 3353854B2
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紀充 塚井
篤 斉藤
透 谷崎
浩 西田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ミリ波集積回路等に好
適な非放射性誘電体線路(Nonradiative
Dielectric Waveguide)ならびに
これを利用したミリ波集積回路およびミリ波レーダヘッ
ドに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、誘電体ストリップをはさんで
一対の平板状の導体板の相互の間隔を所定の間隔になる
ように平行に配設し、主にLSM01モードを当該誘電
体ストリップに沿って伝搬させるようにした非放射性誘
電体線路が提案されている。
【0003】図13は、従来の非放射性誘電体線路の構
成を示す図である。なお、図13(a)は一部を切り欠
いて斜め上から見た図であり、図13(b)は図13
(a)の線F−F’で切断した図であり、図13(c)
は図13(a)の線G−G’で切断した図である。図1
3において、非放射性誘電体線路は、平行に配設される
平板状の一対の導体板101,102と、導体板10
1,102間に挟持配設される誘電体ストリップ103
とを備える。誘電体ストリップ103は、樹脂製誘電体
材料で長手方向に対する横断面を幅bおよび高さaを数
mm(例えば、b=2.5mm,a=2.25mm)と
する略矩形状に形成される。
【0004】導体板101,102間の相互の間隔をa
とし、伝送すべきミリ波の電磁波の波長をλとすると、
間隔aがa<λ/2で、かつ誘電体ストリップ103回
り近傍が対称構造になっている場合、誘電体ストリップ
103のない部分においては、導体板101,102で
電極板に平行な電磁波の伝播が遮断される。一方、誘電
体ストリップ103が挿入された部分においては、遮断
状態が解消され、電磁波が誘電体ストリップ103に沿
って伝播する。このため、誘電体ストリップ103がた
とえ曲がっていても、LSE01モードやLSM01モ
ードは、放射せずに誘電体ストリップ103に沿って伝
搬する。したがって、非放射性誘電体線路は、ミリ波の
伝送線路に適しており、ミリ波集積回路に適している。
【0005】なお、伝送モードは、LSEモードとLS
Mモードに大別される。最低次数モードのLSE01モ
ードとLSM01モードのうち、低損失性の点から、通
常LSM01モードが使用される。
【0006】ところで、図13の非放射性誘電体線路で
は、樹脂製誘電体ブロックを切削加工することにより、
その全長にわたって均一な幅bおよび高さaの誘電体ス
トリップ103を作成するようにしていた。また、一方
の導体板102上の予め定められた所定位置に誘電体ス
トリップ103を乗せ、さらにスペーサ105を四隅に
乗せ、両者の上に他方の導体板101を乗せ、導体板1
01,102同士をネジ(図示せず)等で相互に近接さ
せることにより導体板101,102で誘電体ストリッ
プ103を挟み込み、これにより誘電体ストリップ10
3を固定するようにしていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような誘電体ストリップ103を作成するためには、熟
練を要し、かつ非常に時間がかかる。また、回路を形成
する際に精度よく配設することが必要であるが、誘電体
ストリップ103が非常に細いので、誘電体ストリップ
103を導体板101の所定位置へ精度よく配設するの
が難しく、配設作業の作業性が悪い。さらに、導体板1
01,102で誘電体ストリップ103を挟んで固定す
るようにしていたので、振動で誘電体ストリップ103
の位置がずれやすい。この結果、従来の非放射性誘電体
線路では、生産性が悪く、高価になるとともに、初期特
性を維持することが困難であるという問題点があった。
【0008】ここで、誘電体ストリップ103の位置ず
れを防止するため、接着剤で一方の導体板101と誘電
体ストリップ103とを固定することが考えられる。し
かしながら、接着作業に時間がかかるため、配設作業の
作業性が悪い。また、接着剤を多量に付けると、接着剤
の誘電正接の影響のため、損失の増大等伝送特性が悪化
する場合がある。したがって、この場合には、さらに生
産性が悪化するとともに高価になり、しかも伝送特性が
悪いという問題点がある。
【0009】また、誘電体ストリップ103の配線作業
を容易にするとともに、位置ずれを防止するため、図1
4の(a)〜(c)に示すように導体板101,102
の所定位置全体にわたって溝104をそれぞれ切削加工
し、溝104に誘電体ストリップ103をはめ込むこと
が考えられる。しかしながら、導体板101,102の
一方だけに溝104を付けると、上下非対称になり電磁
界モードが乱れるため、両方の導体板101,102に
溝104を付ける加工が必要である。また、導体板10
1,102に溝104を切削加工するためには、誘電体
ストリップ103回り近傍の対称構造が要求されるの
で、導体板101,102における溝104の位置精度
を高くしなければならないため、熟練を要し、かつ非常
に時間がかかる。したがって、この場合においても、さ
らに生産性が悪化するとともに高価になるという問題点
があった。
【0010】このような問題点は、非放射性誘電体線路
を利用したミリ波集積回路およびミリ波レーダヘッドに
おいても、同様に生じる。
【0011】本発明は、上述の技術的課題を解決し、生
産性が高く、かつ安価で、しかも伝送特性がよく、初期
特性を維持することが容易な非放射性誘電体線路を提供
することを第1の目的とする。
【0012】また、生産性が高く、かつ安価で、しかも
伝送特性がよく、初期特性を維持することが容易な非放
射性誘電体線路を用いたミリ波集積回路およびミリ波レ
ーダヘッドを提供することを第2の目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る非放射性
誘電体線路は、相互の間隔を所定の間隔になるように平
行に配設される一対の平板状の導体板、および導体板の
少なくともいずれか一方の予め定められた所定位置に樹
脂製誘電体材料でアウトサート成形され、両導体板間に
配設されることにより所定モードの電磁波を伝送する誘
電体ストリップを備え、導体板の少なくともいずれか一
方は、アウトサート成形前に所定位置のいずれかの箇所
に形成された単一または複数の微小な凹部を含み、誘電
体ストリップは、アウトサート成形時に凹部と同形状に
自動的に形成される凸部を含む。
【0014】請求項2に係る非放射性誘電体線路は、請
求項1に記載のものにおいて、誘電体ストリップは、両
導体板の一方側と、その他方側とに2分割され、かつ、
両導体板間のほぼ中央に両導体板に平行な突合面を有す
るよう形成されている。
【0015】請求項3に係る発明は、非放射性誘電体線
路内に複数の部品が集積化されたミリ波集積回路であっ
て、非放射性誘電体線路は、相互の間隔を所定の間隔に
なるように平行に配設される一対の平板状の導体板、お
よび導体板の少なくともいずれか一方の予め定められた
所定位置に樹脂製誘電体材料でアウトサート成形され、
両導体板間に配設されることにより所定モードの電磁波
を伝送する誘電体ストリップを備え、導体板の少なくと
もいずれか一方は、アウトサート成形前に所定位置のい
ずれかの箇所に形成された単一または複数の微小な凹部
を含み、誘電体ストリップは、アウトサート成形時に凹
部と同形状に自動的に形成される凸部を含む。
【0016】請求項4に係る発明は、請求項3に記載の
ものにおいて、誘電体ストリップは、両導体板の一方側
と、その他方側とに2分割され、かつ、両導体板間のほ
ぼ中央に両導体板に平行な突合面を有するよう形成され
ている。
【0017】請求項5に係る発明は、非放射性誘電体線
路内に複数の部品が集積化されたミリ波集積回路と、当
該ミリ波集積回路に一体的に形成され、当該ミリ波集積
回路または自由空間からの電磁波を送信しまたは受信す
る平面アンテナ部とを備えるミリ波レーダヘッドであっ
て、非放射性誘電体線路は、相互の間隔を所定の間隔に
なるように平行に配設される一対の平板状の導体板、お
よび導体板の少なくともいずれか一方の予め定められた
所定位置に樹脂製誘電体材料でアウトサート成形され、
両導体板間に配設されることにより所定モードの電磁波
を伝送する誘電体ストリップを備え、導体板の少なくと
もいずれか一方は、アウトサート成形前に所定位置のい
ずれかの箇所に形成された単一または複数の微小な凹部
を含み、誘電体ストリップは、アウトサート成形時に凹
部と同形状に自動的に形成される凸部を含み、平面アン
テナ部は、誘電体ストリップの一部近傍の対称構造を強
制的に非対称構造にし、当該誘電体ストリップの一部か
ら電磁波を漏洩放射させる漏洩放射手段を含む。
【0018】請求項6に係る発明は、請求項5に記載の
ものにおいて、誘電体ストリップは、両導体板の一方側
と、その他方側とに2分割され、かつ、両導体板間のほ
ぼ中央に両導体板に平行な突合面を有するよう形成され
ている。
【0019】
【作用】請求項1に係る非放射性誘電体線路において
は、誘電体ストリップのアウトサート成形前に、導体板
の少なくともいずれか一方の所定位置のいずれかの箇所
に形成された単一または複数の微小な凹部を形成し、誘
電体ストリップに凹部と同形状の凸部をアウトサート成
形時に形成するようにしている。このため、誘電体スト
リップの切削加工、配線作業、接着作業や溝の切削加工
を行うことなく、簡単に精度の高い誘電体ストリップを
導体板の所定位置に精度よく固着することができる。ま
た、凹部が微小であるので誘電体ストリップ回り近傍の
対称構造がほぼ維持され、伝送特性に悪影響を与えな
い。さらに、凹部と凸部とが嵌合するため、振動による
誘電体ストリップの位置ずれがなくなり、初期特性を維
持することができる。
【0020】請求項2に係る非放射性誘電体線路におい
ては、誘電体ストリップは、両導体板の一方側と、その
他方側とに2分割され、かつ、両導体板間のほぼ中央に
両導体板に平行な突合面を有するよう形成されている。
この結果、電界が突合面を横切らず、対称構造となって
いるため、突合面で隙間が生じた場合でも伝送特性の劣
化を招かない。したがって、伝送特性をさらに向上させ
ることができる。このことは、請求項4に係るミリ波集
積回路においても、また、請求項6に係るミリ波レーダ
ヘッドにおいても、同様である。
【0021】請求項3に係るミリ波集積回路において
は、凹部と凸部とが嵌合するため、組立時に個別部品が
誘電体ストリップに当たっても、位置ずれが生じない。
したがって、個別部品の組立作業が容易になる。
【0022】請求項5に係るミリ波レーダヘッドにおい
ては、誘電体ストリップの一部と漏洩放射手段とを用い
て平面アンテナ部を形成するようにしている。このた
め、平面アンテナ部においても、誘電体ストリップの切
削加工、配線作業、接着作業や溝の切削加工を行うこと
なく、簡単に精度の高い誘電体ストリップを導体板の所
定位置に精度よく固着することができる。また、凹部と
凸部とが嵌合するため、振動による誘電体ストリップの
位置ずれがなくなり、初期特性を維持することができ
る。また、ミリ波集積回路と、平面アンテナ部との間の
配線作業をなくすことができる。
【0023】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明
する。図1は本発明の第1の実施例の非放射性誘電体線
路の構成を示す図であり、図2は図1の非放射性誘電体
線路の製造工程を模式的に示す図である。なお、図1
(a)は一部を切り欠いて斜め上から見た図であり、図
1(b)は図1(a)の線A−A’で切断した図であ
り、図1(c)は図1(a)の線B−B’で切断した図
である。
【0024】図1において非放射性誘電体線路は、一対
の平板状の導体板1,2と、所定の長さLの誘電体スト
リップ3と、4つのスペーサ9とを備える。導体板1,
2は、導電性材料(例えば、アルミ、銅)で所定の厚み
(例えば、4〜5mm)に形成されている。導体板1,
2は、誘電体ストリップ3をはさんで、相互の間隔を所
定の間隔aになるように平行に配設される。
【0025】誘電体ストリップ3は、下側の導体板2の
予め定められた所定位置α上であって、幅b(例えば、
2.5mm)、高さa(例えば、2.25mm)になる
ように、溶融成形可能な樹脂製誘電体材料(例えば、P
FA(テトラフルオロエチレン〜パーフルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエ
チレン〜ヘキサフルオロプロピレン共重合体)(比誘電
率εr=2.1))でアウトサート成形されている。ス
ペーサ9は、平板状の導体板1,2の相互の間隔をaに
平行にし、かつ誘電体ストリップ3を導体板1,2で挟
持するため、例えば金属性材料で誘電体ストリップ3よ
りわずかに薄い厚みに形成されている。なお、スペーサ
9は、金属性材料に限られず、他の材料、例えば絶縁性
材料で形成するようにしてもよい。
【0026】ところで、凹凸のない導体板にアウトサー
ト成形された誘電体ストリップの導体板への固着力は弱
い。そこで、導体板2の所定位置αの幅b方向のほぼ中
央で、長手方向の両端側には、円錐状の微小な2つの凹
部4a,4b(例えば、深さd=0.2mm、幅w=
0.2mm)を形成した上で、誘電体ストリップ3を導
体板2の所定位置αにアウトサート成形することによ
り、誘電体ストリップ3には、アウトサート成形時に凹
部4a,4bと同形状の凸部5a,5bが自動的に形成
されるとともに、アンカー効果により誘電体ストリップ
3と導体板2との固着力が増す。
【0027】なお、導体板2と、誘電体ストリップ3と
のアンカー効果を増加させるため、凹部4a,4bは、
図1(c)に示すようにその離反方向が垂直に形成され
ている。このため、凹部4a,4b以外の導体板2の所
定位置αの部分と、誘電体ストリップ3の凸部5a,5
b以外の部分とにおける固着力が弱くても、凹部4a,
4bと凸部5a,5bとがアンカー効果により強固に固
着する。したがって、導体板2の所定位置αに誘電体ス
トリップ3が固着する。
【0028】次いで、図1の非放射性誘電体線路の製造
工程を説明する。治具6には、導体板1,2より硬い材
質で、円錐状に形成された2つの刃先7a,7bが設け
られている。まず、刃先7a,7bを導体板2に当て、
所定位置αの上述した箇所に凹部4a,4bを形成する
(図2(a)参照)。次いで、導体板2を金型8にセッ
トする(図2(b)参照)。なお、金型8は、下部8a
と、上部8bとで構成されている。下部8aには、導体
板2を収納する溝(図示せず)が形成されている。上部
8bには、導体板2の所定位置αに誘電体ストリップ3
を形成するための空間8c(長さL,幅b,高さa)
と、この空間8cに樹脂製誘電体材料を導くための湯口
8dとが形成されている。
【0029】次いで、樹脂製誘電体材料を湯口8dから
射出する。これにより、空間8cおよび凹部4a,4b
に樹脂製誘電体材料が充満する。次いで、金型8から導
体板2を取り出す。この結果、この導体板2には、高精
度(幅b、高さa、長さL)の誘電体ストリップ3が所
定位置αに高精度にアウトサート成形されている(図2
(c)参照)。またこのとき、誘電体ストリップ3に
は、凹部4a,4bと嵌合する凸部5a,5bが自動的
に形成されている。次いで、誘電体ストリップ3の上の
四隅にスペーサ9を乗せ、両者の上に導体板1を乗せ、
導体板1,2の相互の間隔をaになるようにネジ等で導
体板1,2を固定する。これにより、図1の非放射性誘
電体線路が完成する。
【0030】次いで、動作を説明する。導体板1,2間
の間隔をaとし、伝送すべきミリ波の電磁波の波長をλ
とすると、間隔aがa<λ/2で、かつ誘電体ストリッ
プ103回り近傍が対称構造になっている場合、誘電体
ストリップ3のない部分においては、導体板1,2で電
極板に平行な電磁波の伝搬が遮断される。一方、誘電体
ストリップ3が挿入された部分においては、遮断状態が
解消され、電磁波が誘電体ストリップ3に沿って伝播す
る。なお、非放射性誘電体線路の基本伝送モードは、L
SEモードとLSMモードに大別される。最低次数モー
ドのLSE01モードとLSM01モードのうち、低損
失性の点から、通常LSM01モードが動作モードとし
て使用される。
【0031】ところで、一方の導体板2にだけ凹部4
a,4bが形成されているので、誘電体ストリップ3回
り近傍の対称構造は、厳密な意味では凹部4a,4bの
部分において損なわれている。しかしながら、誘電体ス
トリップ3に比べ、凹部4a,4bが微小である。この
ため、誘電体ストリップ3のわずかな区間においてだけ
上下の非対称構造がわずかに生じるだけである。したが
って、このようなわずかな区間におけるわずかな非対称
構造が特性に与える影響をほぼ無視できる。
【0032】本願発明者は、この導体板に微小な凹部を
設けたことによる電気特性への影響について確かめるた
め、誘電体ストリップ3の比誘電率εr=2.04、幅
b=2.5mm、高さa=2.25mm、凹部4a,4
bの深さd=0.2mm、幅w=0.2mmの条件の下
で、凹部4a,4bを付けた場合と、付けない場合(従
来例)の非放射性誘電体線路の有限要素法解析によるシ
ミュレーションをそれぞれ行った。
【0033】図4はシミュレーションによる非放射性誘
電体線路の電磁界ベクトル(伝搬モードLSM01モー
ド,伝送周波数f=60GHz)を示す図であり、図5
はシミュレーションによる非放射性誘電体線路のβ(位
相定数)−ω(角周波数)曲線を示す図である。なお、
図4(a)は本実施例の電界ベクトルを示し、図4
(b)は本実施例の磁界ベクトルを示し、図4(c)は
従来例の電界ベクトルを示し、図4(d)は従来例の磁
界ベクトルを示している。また、図5のラインL1は本
実施例のLSM01モードを示し、ラインL2は本実施
例のLSE01モードを示し、ラインL3は従来例のL
SM01モードを示し、ラインL4は従来例のLSE0
1モードを示している。
【0034】LSM01モードにおける電界ベクトル
は、凹部4a(4b)においてわずかに乱れれるだけで
ある(図4(a),(c)参照)。しかも、凹部4a
(4b)における電界は、ほぼ「0」である。また、L
SM01モードにおける磁界ベクトルは、凹部4a(4
b)においてほとんど変化しない(図4(b),(d)
参照)。したがって、導体板2に凹部4a,4bを設け
ても、電界および磁界の両方とも非対称による影響をほ
とんど受けていないことがわかる。また、図5のβ−ω
曲線から、導体板2に凹部4a,4bを設けても、LS
M01モードおよびLSE01モードの両方とも非対称
による影響をほとんど受けず、LSM01モードとLS
E01モードとが十分に離れた位相定数を維持している
ことがわかる。このため、LSM01モードを動作モー
ドに選んだ場合に、LSE01モードとの結合量が増大
しないため、モード間結合による損失の増大することな
く電磁波を伝送することができる。
【0035】このため、図1の非放射性誘電体線路によ
れば、誘電体ストリップ3のアウトサート成形前に、導
体板2の所定位置αに微小な凹部4a,4bを形成し、
誘電体ストリップ3に凹部4a,4bと同形状の凸部5
a,5bをアウトサート成形時に形成するようにしてい
る。このため、誘電体ストリップの切削加工、配線作
業、接着作業や溝の切削加工を行うことなく、簡単に精
度の高い誘電体ストリップ3を導体板2の所定位置αに
精度よく固着することができる。また、凹部4a,4b
が微小であるので誘電体ストリップ3回り近傍の対称構
造がほぼ維持され、伝送特性に悪影響を与えない。さら
に、凹部4a,4bと凸部5a,5bとが嵌合するた
め、振動による誘電体ストリップ3の位置ずれがなくな
り、初期特性を維持することができる。
【0036】なお、上述の実施例では、治具6を用いて
凹部4a,4bを形成するようにしたが、センタポンチ
等で凹部4a,4bを1つずつ形成するようにしてもよ
い。また、誘電体ストリップ3に対して2つの凹部4
a,4bを形成するようにしたが、3つ以上の凹部を形
成するようにしてもよい。なお、3つ以上の凹部を形成
する場合には、治具6に3つ以上の刃先を取り付けるよ
うにすればよい。また、刃先7a,7bの形状を円錐状
としたが、角錐状等の他の形状で実施するようにしても
よい。さらに、樹脂と導体板の固着力が強ければ、導体
板2に単一の凹部だけを形成するようにしてもよい。
【0037】図6は、本発明の第2の実施例の非放射性
誘電体線路の構成を示す図である。なお、図6(a)は
分解した状態を示す図であり、図6(b)は組み合わせ
た状態を示す図であり、図6(c)は図6(b)の線C
−C’で切断した図である。また、第1の実施例と対応
する部分には同一の番号を付して説明を省略する。
【0038】この実施例では、誘電体ストリップ3は、
導体板1側の誘電体ストリップ部3aと導体板2側の誘
電体ストリップ部3bとの2つの部分に2分割されてい
る。導体板1には、導体板2の凹部4a,4bと対応す
る位置に凹部4c,4d(4cのみ図示)がそれぞれ形
成されている。このような凹部4c,4dは、図2
(a)に示した治具6と対称な形状を有する治具を用い
れば、簡単に形成するできる。
【0039】誘電体ストリップ部3a,3bは、それぞ
れ幅b、高さa/2になるように、樹脂製誘電体材料で
アウトサート成形されている。このため、誘電体ストリ
ップ部3a,3bは、導体板1,2の予め定められた所
定位置α上であって、導体板1,2間のほぼ中央で、か
つ導体板1,2に平行な突合面3cを有する。また、誘
電体ストリップ部3bには、アウトサート成形時に凹部
4c,4dと同形状の凸部5c,5d(5cのみ図示)
が自動的に形成される。このような、誘電体ストリップ
部3a,3bは、図2(b)に示した金型8を形成する
場合に、空間8cの高さをa/2にすれば、簡単に形成
することができる。スペーサ9を乗せ、突合面3cを真
ん中にして、導体板1,2の相互の間隔をaになるよう
にネジ等で導体板1,2を固定すれば、非放射性誘電体
線路が完成する。
【0040】この場合、凹部4a,4bと、凹部4c,
4dとが誘電体ストリップ3回り近傍で上下対称になっ
ている。図7に示すように、誘電体ストリップ3の側面
における電界強度は、突合面3cで最大になる。このた
め、誘電体ストリップ3を誘電体ストリップ部3a,3
bに分割したことによる影響が考えられる。しかしなが
ら、突合面3cが、導体板1,2間の中央で、かつ導体
板1,2に平行に形成されている。このため、LSM0
1モードでは、電界Eの電気力線が突合面3cに平行に
生じる(図2(a)参照)。したがって、突合面3cに
生じるエネルギーの集中度は高くない。このため、実効
的な誘電率がほぼそのまま維持され、位相定数βもほぼ
そのまま維持される。したがって、LSM01モードと
LSE01モードの位相定数差がほぼそのまま維持さ
れ、両モードの結合量の増加がないため、低損失で電磁
波を伝送することができる。
【0041】図8は本発明の一実施例のFM−CW方式
ミリ波レーダヘッドの構成を示す図であり、図9は図8
のFM−CW方式ミリ波レーダヘッドの内部構成を示す
図であり、図10は図8のFM−CW方式ミリ波レーダ
ヘッドの等価回路を示す図である。なお、図8(a)は
上面図であり、図8(b)は図8(a)の線D−D’で
切断した図であり、図9(a)は上面図であり、図9
(b)は図9(a)の線E−E’で切断した図である。
【0042】このようなFM−CW方式ミリ波レーダヘ
ッドは、自動車等に取り付けられ、目標物までの距離の
検出や目標物との相対速度の検出等に用いられる。図8
および図9において、FM−CW方式ミリ波レーダヘッ
ドは、送信部および受信部として動作するミリ波集積回
路部20と、2つの送受信アンテナとして動作し、ミリ
波集積回路部20と同一平面上に一体的に形成される平
面アンテナ部30とを備える。このミリ波集積回路部2
0および平面アンテナ部30は、大略的に平板状の導体
板40,50と、導体板40,50間を一定の間隔に保
持するフレーム60等とで構成される。
【0043】フレーム60は、7つの部分60a〜60
gからなり、導電性材料(例えば、アルミ、銅)で略日
の字状に形成されている。ミリ波集積回路部20は、導
体板40,50とフレーム60の各部分60a〜60d
とで大略的に囲まれている。平面アンテナ部30は、ま
た、導体板40,50とフレーム60の部分60d〜6
0gとで大略的に囲まれている。なお、平面アンテナ部
30において、フレーム60の部分60d〜60gは反
射器として動作し、対向する部分60dと部分60fと
は相互に平行になるように配設され、対向する部分60
eと部分60gとは相互に平行かつ部分60d,60f
と直交するように配設されている。
【0044】導体板50には、平面アンテナ部30にお
いて誘電体ストリップ70b2,70d2から所定の距
離だけ離れ、かつ誘電体ストリップ70b2,70d2
によって伝送される高周波信号による電界強度が比較的
高い位置に、漏電高周波を放射するために、そのミリ波
集積回路部20の部分より階段状に1段高くなるステッ
プ51が形成される。また、導体板40には、平面アン
テナ部30において波長λの間隔で部分60fに平行な
複数の縦スロット41と、波長λの間隔で部分60eに
平行な複数の横スロット42とが格子状に形成される。
この縦スロット41はアンテナ81(図10参照)とし
て動作し、横スロット42はアンテナ82(図10参
照)として動作する。
【0045】導体板40上には、縦および横スロット6
1,62から雨、ごみ等が内部に進入するのを防止する
ため、レドーム43が形成される。レドーム43は、例
えばPC(ポリカーボネート)、PBT(ポリグチレン
テレフタレート)またはFRPP(繊維強化ポリプロピ
レン)等の電磁波の透過性のよい誘電体材料で形成され
ている。
【0046】ミリ波集積回路部20および平面アンテナ
部30において、導体板50上の所定位置の任意の位置
には複数の凹部(図示せず)が予め形成されており、所
定位置に幅b、高さaの複数の誘電体ストリップ70a
〜70gがアウトサート成形されている。このため、誘
電体ストリップ70a〜70gは、導体板50に固着し
ている。誘電体ストリップ70bは、略U字状に形成さ
れており、ミリ波集積回路部20における部分70b1
と、平面アンテナ部30における部分70b2とからな
る。誘電体ストリップ70dは、略直線上に形成されて
おり、ミリ波集積回路部20における部分70d1と、
平面アンテナ部30における部分70d2とからなる。
【0047】誘電体ストリップ70bの部分b1と誘電
体ストリップ70dの部分d1とは、δ1(図9参照)
において近接配置されている。このため、δ1にカプラ
83(図10参照)が形成される。誘電体ストリップ7
0gは、馬蹄形状に形成されいる。誘電体ストリップ7
0gと、誘電体ストリップ70bの部分70b1とは、
δ2(図9参照)において近接配置されている。このた
め、δ2にカプラ84(図10参照)が形成される。誘
電体ストリップ70gと、誘電体ストリップ70eと
は、δ3(図9参照)において近接配置されている。こ
のため、δ3にカプラ85(図10参照)が形成され
る。
【0048】誘電体ストリップ70aの一端部には、ガ
ンオシレータ86(図10参照)が装着される。誘電体
ストリップ70a〜70c間には、サーキュレータ87
が装着される。誘電体ストリップ70cの一端部には、
サーキュレータ87をアイソレータとして動作させるた
め、終端器71が接続される。誘電体ストリップ70d
〜70f間には、サーキュレータ88が装着される。誘
電体ストリップ70cの一端部には、サーキュレータ8
8をアイソレータとして動作させるため、終端器72が
接続される。誘電体ストリップ70eの一端部には、ミ
キサ89が装着される。誘電体ストリップ70gの両端
には、終端器73,74がそれぞれ接続される。
【0049】なお、終端器72〜74は、誘電体材料で
形成されている。したがって、終端器72〜74に個別
の部品を使用するほか、誘電体ストリップ70a〜70
gと同一の誘電体材料を使用する場合には、終端器72
〜74を誘電体ストリップ70a〜70gと同時にアウ
トサート成形するようにしてもよい。また、異なる誘電
体材料を使用する場合には、凹部上に終端器72〜74
を2重成形するようにしてもよい。この場合には、終端
器72〜74の装着作業が必要なくなる。
【0050】誘電体ストリップ70bの部分b2は、ス
テップ51と近接して配置されている。このため、部分
b2回り近傍は、対称構造から強制的に非対称構造とな
る。また、誘電体ストリップ70dの部分d2は、ステ
ップ51と近接して配置されている。このため、部分d
2回り近傍も、強制的に非対称構造となる。したがっ
て、部分b2,d2においては、上下導体に垂直な向き
の電界成分を持つTEM波が発生する。このTEM波は
上下導体板間を伝搬するモードであり、放射角θで電磁
波の漏洩放射が生じる。
【0051】部分b2,d2近傍のステップ51上に
は、鋸の歯状のゾーニングを有する誘電体プリズム7
5,76が装着される。この誘電体プリズム75,76
によって、部分b2,d2から漏洩放射した電磁波は、
位相が揃えられ、部分60f,60eにそれぞれ垂直に
偏向される。これにより、平面アンテナ部30において
部分60fに垂直な波長λの定在波と、部分60eに垂
直な波長λの定在波とが立つ。
【0052】なお、誘電体プリズム75,76に個別の
部品を使用するほか、誘電体ストリップ70a〜70g
と同一の誘電体材料を使用する場合には、誘電体プリズ
ム75,76を誘電体ストリップ70a〜70gと同時
に凹部上にアウトサート成形するようにしてもよい。ま
た、異なる誘電体材料を使用する場合には、凹部上に誘
電体プリズム75,76を2重成形するようにしてもよ
い。この場合には、誘電体プリズム75,76の装着作
業が必要なくなる。
【0053】したがって、図8のミリ波レーダヘッドに
よれば、ミリ波集積回路部20および平面アンテナ部3
0において、誘電体ストリップ70a〜70gの切削加
工、配線作業、接着作業や溝の切削加工を行うことな
く、簡単に精度の高い誘電体ストリップ70a〜70g
を導体板50の所定位置に精度よく固着することができ
る。また、凹部と凸部とが嵌合するため、振動による誘
電体ストリップ70a〜70gの位置ずれがなくなり、
初期特性を維持することができる。また、凹部と凸部と
が嵌合するため、組立時にガンオシレータ86等の個別
部品が誘電体ストリップ70a〜70gに当たっても、
位置ずれが生じない。したがって、個別部品の組立作業
が容易になる。誘電体ストリップ70b,70dがアウ
トサート成形されているので、ミリ波集積回路部20,
平面アンテナ部30間の配線作業をなくすことができ
る。
【0054】次いで、図8〜図10に示したFM−CW
方式ミリ波レーダヘッドの動作を説明する。入力端子9
0(図10参照)から変調繰り返し周期Tmで三角波状
に変動する直流電圧を入力すると、ガンオシレータ86
は、送信中心周波数f0を中心とし、FM変調幅Δfの
高周波信号をサーキュレータ87に出力する。サーキュ
レータ87は、高周波信号がアンテナ81,82からガ
ンオシレータ86に戻ることを防止し、ガンオシレータ
86を安定的に発振させる。
【0055】サーキュレータ87から出力された高周波
信号の一部は、ローカル信号としてカプラ84で取り出
され、カプラ85を介してミキサ89に供給される。サ
ーキュレータ87から出力された高周波信号の残部は、
カプラ83に供給される。カプラ83は、高周波信号の
残部を誘電体ストリップ70bの部分70b2と、誘電
体ストリップ70dの部分70d2とに90゜の位相差
をつけて分波する。
【0056】誘電体ストリップ70bの部分70b2を
漏洩放射した高周波信号は、縦スロット41を励振す
る。このため、アンテナ81から電磁波が図8の紙面上
方に出力される。また、誘電体ストリップ70dの部分
70d2を漏洩放射した高周波信号は、横スロット42
を励振する。このため、アンテナ82から電磁波が図8
の紙面上方に出力される。ここで、部分70bと部分7
0dとに流れる高周波信号は、90゜の位相差がつけら
れている。このため、アンテナ81,82から出力され
る電磁波は、例えば時計回りの円偏波となる。
【0057】目標物で反射された電磁波は、時計回りの
円偏波でアンテナ81,82に戻る。ここで、目標物と
同じ方向であって対向する別の物体(例えば、対向車)
もミリ波レーダを有し、時計回りの円偏波を出射してい
る場合がある。この場合には、アンテナ81,82で受
信される対向車からの電磁波は、反時計回りの円偏波
(逆旋)となる。したがって、目標物で反射した電磁波
か、対向車から出射された電磁波かを区別することによ
り、電波干渉の低減ができる。
【0058】アンテナ81,82において円偏波の電磁
波を受信すると、縦スロット41および横スロット42
が励振され、送信の場合と同様に平面アンテナ部30に
定在波が生じる。このため、部分70bと部分70dと
に高周波信号がそれぞれ流れる。ここで、円偏波である
ので、部分70bと部分70dとに流れる高周波信号
は、90゜の位相差がある。このため、カプラ83で同
位相に戻され、サーキュレータ88に入力される。サー
キュレータ88は、高周波信号がミキサ89からアンテ
ナ81,82に戻ることを防止し、高周波の受信を安定
化させる。サーキュレータ88から出力された高周波信
号は、ミキサ89に与えられる。この結果、ミキサ89
には、ガンオシレータ86からのローカル信号と、アン
テナ82,83で受信した高周波信号が与えられる。こ
のため、ミキサ89は、出力端子90からビート信号を
出力する。
【0059】ここで、送信中心周波数をf0、FM変調
幅をΔf、変調繰返周期をTm、送受信ビート周波数を
fb、光速をC、目標物までの電波の往復時間をT、目
標物までの距離をr、目標物との相対速度をv、距離周
波数をfr、速度周波数をfdとして、FM−CW方式
の原理を説明する。
【0060】相対速度v=0の場合、送受信ビート周波
数fbは、(1)式で求められる。 fb=(4・Δf・r)/(C・Tm)=fr …(1) 図11は、相対速度v=0の場合のFM−CW方式の原
理図である。相対速度v=0の場合、ガンオシレータ8
6からミキサ89に入力されるローカル信号、すなわち
送信波f(t)と、アンテナ82,83からミキサ89
に入力される信号、すなわち受信波f(t+T)との関
係は、図11(a)に示すようになる。このため、ビー
ト周波数fbは、反周期ごと、一定の距離周波数frに
なる(図11(b))。このため、ミキサ89から出力
されるビート信号は、一定の距離周波数frを反周期ご
とに繰り返す(図11(c))。ここで、Δf、C、T
mは、既知の値である。また、fbは、検出できる。し
たがって、(1)式により、目標物までの距離rを測定
することができる。
【0061】一方、相対速度v≠0の場合、送受信ビー
ト周波数fbは、(2)式で求められる。 fb=(4・Δf・r)/(C・Tm)±(2・f0・v)/C =fr±fd …(2) 図12は、相対速度v≠0の場合のFM−CW方式の原
理図である。相対速度v≠0の場合、送信波f(t)
と、受信波f(t+T)との関係は、図12(a)に示
すようになる。このため、ビート周波数fbは、反周期
ごとに、fb=fr−fdと、fb=fr+fdとに変
化する(図12(b))。このため、ミキサ89から出
力されるビート信号は、反周期ごとに、fb=fr−f
dと、fb=fr+fdとを反周期ごとに繰り返えす
(図12(c))。ここで、frは、(1)式で求ま
る。また、f0は、既知の値である。また、fbは、検
出できる。したがって、(2)式により、目標物との相
対速度vを測定することができる。
【0062】なお、ミリ波レーダヘッドにおいて2つの
アンテナ81,82から電磁波を円偏波で送受信するよ
うにしたが、1つのアンテナで電磁波を直線偏波で送受
信するように構成するようにしてもよい。また、ミリ波
集積回路部20だけを非放射性誘電体線路で構成するよ
うにしてもよい。またミリ波レーダ以外の送信部や受信
部やその他のミリ波集積回路を構成するようにしてもよ
い。また、誘電体ストリップ70a〜70gを導体板5
0にアウトサート成形するようにしたが、図6の実施例
と同様に誘電体ストリップ70a〜70gを2分割し、
分割した部分を導体板40,50にそれぞれアウトサー
ト成形するようにしてもよい。
【0063】
【発明の効果】請求項1に係る非放射性誘電体線路によ
れば、誘電体ストリップの切削加工、配線作業、接着作
業や溝の切削加工を行うことなく、簡単に精度の高い誘
電体ストリップを導体板の所定位置に精度よく固着する
ことができ、凹部が微小であるので誘電体ストリップ回
り近傍の対称構造がほぼ維持され、伝送特性に悪影響を
与えず、凹部と凸部とが嵌合するため、振動による誘電
体ストリップの位置ずれがなくなるので、非放射性誘電
体線路の生産性が向上し、かつ安価になり、しかも伝送
特性がよく、初期特性を維持することが容易になる。
【0064】請求項2に係る非放射性誘電体線路によれ
ば、誘電体ストリップは、両導体板の一方側と、その他
方側とに2分割され、かつ、両導体板間のほぼ中央に両
導体板に平行な突合面を有するよう形成されているの
で、伝送特性をさらに向上させることができる。請求項
4に係るミリ波集積回路においても、同様な効果を得る
ことができる。また、請求項6に係るミリ波レーダヘッ
ドにおいても、同様な効果を得ることができる。
【0065】請求項3に係るミリ波集積回路によれば、
凹部と凸部とが嵌合するため、個別部品の組立時に誘電
体ストリップに当たっても、位置ずれが生じることがな
くなり、個別部品の組立作業が容易になり、生産性を向
上させることができる。
【0066】請求項5に係るミリ波レーダヘッドによれ
ば、誘電体ストリップの一部と漏洩放射手段とを用いて
平面アンテナ部を形成するようにしているので、平面ア
ンテナ部においても、誘電体ストリップの切削加工、配
線作業、接着作業や溝の切削加工を行うことなく、簡単
に精度の高い誘電体ストリップを導体板の所定位置に精
度よく固着することができ、凹部と凸部とが嵌合するた
め、振動による誘電体ストリップの位置ずれがなくな
り、ミリ波集積回路と、平面アンテナ部との間の配線作
業をなくすことができるので、非放射性誘電体線路の生
産性が向上し、かつ安価になり、しかも伝送特性がよ
く、初期特性を維持することが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の非放射性誘電体線路の
構成を示す図である。
【図2】図1の非放射性誘電体線路の製造工程を模式的
に示す図である。
【図3】図1の誘電体ストリップ3の側面におけるエバ
ネセントな電界を示す図である。
【図4】シミュレーションによる非放射性誘電体線路の
電磁界ベクトルを示す図である。
【図5】シミュレーションによる非放射性誘電体線路の
β−ω曲線を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施例の非放射性誘電体線路の
構成を示す図である。
【図7】図6の誘電体ストリップ3側面における電界強
度を示す図である。
【図8】本発明の一実施例のFM−CW方式ミリ波レー
ダヘッドの構成を示す図である。
【図9】図8のFM−CW方式ミリ波レーダヘッドの内
部構成を示す図である。
【図10】図8のFM−CW方式ミリ波レーダヘッドの
等価回路を示す図である。
【図11】相対速度v=0の場合のFM−CW方式の原
理図である。
【図12】相対速度v≠0の場合のFM−CW方式の原
理図である。
【図13】従来の非放射性誘電体線路の構成を示す図で
ある。
【図14】従来の他の非放射性誘電体線路の構成を示す
図である。
【符号の説明】
1,2,40,50…導体板 3,70a〜70g…誘電体ストリップ 4a,4b,4c,4d…凹部 5a,5b,5c,5d…凸部 51…ステップ α…所定位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西田 浩 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株 式会社 村田製作所内 (56)参考文献 特開 平6−296105(JP,A) 特開 平6−268415(JP,A) 実開 平6−29221(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01P 3/16 G01S 13/34

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相互の間隔を所定の間隔になるように平
    行に配設される一対の平板状の導体板、および前記導体
    板の少なくともいずれか一方の予め定められた所定位置
    に樹脂製誘電体材料でアウトサート成形され、前記両導
    体板間に配設されることにより所定モードの電磁波を伝
    送する誘電体ストリップを備え、 前記導体板の少なくともいずれか一方は、 前記アウトサート成形前に前記所定位置のいずれかの箇
    所に形成された単一または複数の微小な凹部を含み、 前記誘電体ストリップは、 前記アウトサート成形時に前記凹部と同形状に自動的に
    形成される凸部を含む、非放射性誘電体線路。
  2. 【請求項2】 前記誘電体ストリップは、前記両導体板
    の一方側と、その他方側とに2分割され、かつ、前記両
    導体板間のほぼ中央に前記両導体板に平行な突合面を有
    するよう形成されている、請求項1に記載の非放射性誘
    電体線路。
  3. 【請求項3】 非放射性誘電体線路内に複数の部品が集
    積化されたミリ波集積回路であって、 前記非放射性誘電体線路は、 相互の間隔を所定の間隔になるように平行に配設される
    一対の平板状の導体板、および前記導体板の少なくとも
    いずれか一方の予め定められた所定位置に樹脂製誘電体
    材料でアウトサート成形され、前記両導体板間に配設さ
    れることにより所定モードの電磁波を伝送する誘電体ス
    トリップを備え、 前記導体板の少なくともいずれか一方は、 前記アウトサート成形前に前記所定位置のいずれかの箇
    所に形成された単一または複数の微小な凹部を含み、 前記誘電体ストリップは、 前記アウトサート成形時に前記凹部と同形状に自動的に
    形成される凸部を含む、ミリ波集積回路。
  4. 【請求項4】 前記誘電体ストリップは、前記両導体板
    の一方側と、その他方側とに2分割され、かつ、前記両
    導体板間のほぼ中央に前記両導体板に平行な突合面を有
    するよう形成されている、請求項3に記載のミリ波集積
    回路。
  5. 【請求項5】 非放射性誘電体線路内に複数の部品が集
    積化されたミリ波集積回路と、当該ミリ波集積回路に一
    体的に形成され、当該ミリ波集積回路または自由空間か
    らの電磁波を送信しまたは受信する平面アンテナ部とを
    備えるミリ波レーダヘッドであって、 前記非放射性誘電体線路は、 相互の間隔を所定の間隔になるように平行に配設される
    一対の平板状の導体板、および前記導体板の少なくとも
    いずれか一方の予め定められた所定位置に樹脂製誘電体
    材料でアウトサート成形され、前記両導体板間に配設さ
    れることにより所定モードの電磁波を伝送する誘電体ス
    トリップを備え、 前記導体板の少なくともいずれか一方は、 前記アウトサート成形前に前記所定位置のいずれかの箇
    所に形成された単一または複数の微小な凹部を含み、 前記誘電体ストリップは、 前記アウトサート成形時に前記凹部と同形状に自動的に
    形成される凸部を含み、 前記平面アンテナ部は、 前記誘電体ストリップの一部近傍の対称構造を強制的に
    非対称構造にし、当該誘電体ストリップの一部から電磁
    波を漏洩放射させる漏洩放射手段を含む、ミリ波レーダ
    ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記誘電体ストリップは、前記両導体板
    の一方側と、その他方側とに2分割され、かつ、前記両
    導体板間のほぼ中央に前記両導体板に平行な突合面を有
    するよう形成されている、請求項5に記載のミリ波レー
    ダヘッド。
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