JP3342470B2 - カレンダ装置 - Google Patents

カレンダ装置

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JP3342470B2
JP3342470B2 JP2000153393A JP2000153393A JP3342470B2 JP 3342470 B2 JP3342470 B2 JP 3342470B2 JP 2000153393 A JP2000153393 A JP 2000153393A JP 2000153393 A JP2000153393 A JP 2000153393A JP 3342470 B2 JP3342470 B2 JP 3342470B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製紙機械にそなえ
られるカレンダ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、上質紙,新聞紙等の坪量の小さい
紙から板紙等の坪量の大きな紙に至るまでの各種紙類を
生産する製紙機械の処理工程において、湿紙はドライヤ
で乾燥処理された後、カレンダ処理される。この処理
は、一般に、温度60℃から250℃の高温の金属面
に、水分率10から3%の乾燥した紙を押し当てて、金
属面の平滑性をこの紙面に転写することにより、紙面に
平滑性・光沢などの表面特性を紙に付与するものであ
る。この紙を高温金属面に押し当てる技術としては、複
数の円筒を平行に配置し、軸端に荷重をかけて、ロール
ニップを形成し、このニップ間に紙を通過させる手法が
一般的である。
【0003】このようなニップの名称は、ニップを形成
するロールの組み合わせにより、チルドニップ,ソフト
ニップ,スーパーニップカレンダに区別されている。こ
こで、チルドニップは、加熱された金属ロールに押し当
てられるロールが金属ロールのものである。また、ソフ
トニップは、厚さ10mmほどのポリマーを金属円筒の
周囲に接着した、ゴム巻ロールである。また、スーパー
ニップは、内部に凸型シューを有し、金属製のシェルを
持った金属ロールを最上段と最下段とに配置し、中央に
コットンロールを、このコットンロールとシューを持つ
金属ロールに接する様に加熱された金属ロールを中心軸
が一致するように垂直に配置した5から6段のロールか
ら構成されたものである。
【0004】以降、これらのチルドニップカレンダ,ソ
フトニップカレンダ,スーパーニップカレンダを総称し
てロールニップカレンダと記す。これらのチルドニップ
カレンダ,ソフトニップカレンダ,スーパーニップカレン
ダでは、ニップ幅が数mmから1センチ程度と小さい。
このため、平滑性・光沢性が付与されたカレンダ処理後
の紙は、このニップ圧により塑性変形するため、厚みが
減少した紙、即ち、嵩が減少した紙となる。しかしなが
ら、嵩の減少した紙は、剛性が減少し、密度が増加して
原材料費が増加することから、カレンダ処理後も処理前
の嵩を維持するカレンダ処理方法が望ましい。
【0005】ここで、嵩密度を維持してカレンダ処理が
できるようにしたシューカレンダ(特許第280090
8号、以下この特許発明のシューカレンダを「従来のシ
ューカレンダ」という)が発明された。図6,図7はか
かる特許公報に記載されたシューカレンダの概略図であ
る。図6,図7に示すように、このシューカレンダは、
上半部と下半部とから構成されている。下半部は据付用
の支持脚11に円筒状固定ビーム1が固定されて取り付
けられており、この固定ビーム1の外円周上には円筒の
中心軸に平行して適宜の間隔でガイドバー8が設けられ
ている。円筒状固定ビーム1を被覆するチューブ状のス
リーブ2が、ガイドバー8によって固定ビーム1の周面
との間に隙間をおいて回転可能なように支承されると共
に、かかる隙間の気密性を保つために両端面をクランプ
デスク9によって支持されている。
【0006】そして、固定ビーム1の内部には、先端に
凹曲面を有する加圧シュー3を摺動可能に内蔵する加圧
室13が設けられており、この加圧室13は加圧油供給
路4を経て図示しない油圧装置と接続されており、加圧
室13の内部圧力が制御される。加圧シュー3はスリー
ブ2と圧力下に接触しているので、加圧室13の内圧が
高まると、加圧シュー3はスリーブ2の内面側を押圧
し、金属ロール10との間に紙シート表面処理区域を形
成する。
【0007】一方、カレンダ装置の上半部には、回転可
能な金属ロール10が設けられており、この金属ロール
10の外周面は、走行する紙シート15を挟持した状態
で、下半部のスリーブ2と対向圧接触している。金属ロ
ール10とスリーブ2との圧接触部分には、加圧シュー
3が位置しており、金属ロール10の回転に伴ってスリ
ーブ2も固定ビーム1の周囲を回転するが、スリーブ2
は金属ロール10との圧接触位置に来ると、金属ロール
10の外表面形状及び加圧シュー3の先端形状に沿って
凹曲面に変形する。これにより、嵩密度を維持してカレ
ンダ処理ができるようになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来のシューカレンダ(特許第2800908号)の場
合、紙接触面に汚れが生じる課題や、カレンダ処理
した紙に生じる紙幅方向の平滑性,光沢性の不均一が生
じる課題が残される。以下、これらの課題について説明
する。 紙接触面の汚れ a.一般的な汚れのメカニズムとその対策 古紙原料を用いて抄紙する場合、パルプ原料の中には、
十分に除去されなかった、製品時ののり・インクかすな
どが少なからず含まれる。また、印刷時のインク滲みを
防止するため、ロジンやワックス等のサイズ剤が添加物
として抄紙前のパルプ中に添加される。カレンダ処理
は、乾燥処理後に実施される。
【0009】つまり乾燥処理後の約80℃近くまで温度
が上昇し、これら内部の粘着性分が軟化した状態である
紙が、カレンダのニップ部にて高圧でロールに押し付け
られるため、容易にこれら粘着成分がカレンダロールに
付着する。カレンダロールに粘着成分が堆積すると、紙
と接する面の平滑性が低下するため、カレンダ処理後の
紙の平滑性、光沢性が低下する結果となる。そのため、
製紙会社は定期的に抄紙機を停止し、カレンダロール表
面の清掃を実施している。
【0010】この頻度は、ダンボール古紙を原料する
板紙を抄紙する場合1日2回、粘着成分の少ない上質紙
を抄紙する場合で3ヶ月から半年に一回と、紙種により
かなり異なる。このため、紙と接する面への粘着成分の
付着を抑制することや、付着成分が堆積したロールから
の付着成分除去を容易にすることが、抄紙時にカレン
ダ性能を維持する点、及び、抄紙機停止による生産性悪
化を防止する点から重要である。
【0011】b.従来のシューカレンダにおける汚れ 従来のシューカレンダ(特許第2800908号)の特
徴は、凹曲面のシューをカレンダに適用することによ
り、嵩密度を維持したまま、カレンダ処理が可能な点で
ある。このため、かかるシューカレンダは、抄紙方向の
幅が50〜400mmの加圧シューにより、水分率10
〜3%の紙を加熱された金属ロール表面へ、線圧60〜
500kN/m程度で加圧接触させる。ロールニップカ
レンダの場合、抄紙方向のニップ幅は数mm程度であ
る。これに対して、ニップ幅が増加した特許第2800
908号のシューカレンダでの紙と加熱面との接触時間
は、ロールニップカレンダより約100倍近く増加する
ことが分かる。
【0012】加熱面温度を200℃、抄紙速度を120
0m/分とした時の、かかる従来のシューカレンダ、及
び、従来のロールニップカレンダのニップ部における温
度変化をシミュレーションした計算結果は、それぞれ図
5(a),(b)に示すようになる。図5(a),
(b)の横軸はニップ入口からの接触時間を示す。な
お、(a)と(b)とでは、実際に接触する時間に対応
させて横軸の接触時間の目盛を変更しており、シューカ
レンダはロールニップカレンダに比べて大幅に紙の接触
時間が長くなるので、目盛は異なっているが、各特性線
の勾配はそのまま比較できる。
【0013】また、図5中にz/cと記しているが、z
は金属ロール表面と紙との接触位置を原点とする紙厚み
方向座標を示し、cは紙厚みを示し、z/cは紙厚み方
向距離の紙厚みに占める比率である。3本の実線は、上
から順に紙厚み方向距離の紙厚みに占める比率が、0.
1,0.5,0.9の場合における紙温度変化を示す。
図5(a),(b)からロールニップカレンダと比較し
て特許第2800908号のシューカレンダの方が、加
熱面と接触した紙層のみ温度が著しく上昇することがわ
かる。
【0014】この結果、紙温度が高いほど付着成分が軟
化するため、特許第2800908号のシューカレンダ
で連続的にカレンダ処理すると、金属ロール表面への粘
着成分の付着による汚れが生じる。これに加えて、加熱
面と接する紙層のみ紙温度が約180℃と著しく高い
為、紙繊維が加熱面へ付着する、繊維の"焼き付き"が金
属ロール表面上で生じる。
【0015】このように、従来のシューカレンダでは、
ロールニップカレンダと比較して、金属ロール表面上で
の汚れが大きいという課題がある。 c.従来のシューカレンダにおける汚れ除去の困難性 ところで、ロールニップカレンダ装置において、各ロー
ルにそれぞれ粘着成分をロールから掻き捕るためドクタ
ーが設置されている。しかし、図6に示すように、特許
第2800908号のものではドクターのニップ圧に耐
える場所が加圧機構部に存在しない。したがって、ガイ
ド部材上でチューブ状スリーブ2をドクターで加圧し粘
着成分を掻き捕ろうとしても、チューブ状スリーブ2は
容易に変形する。この結果、粘着成分のロール幅方向に
均一な除去は困難である。 カレンダ処理した紙に生じる紙幅方向の平滑性,光沢
性の不均一 前述の通り、従来のシューカレンダでは、ニップ通過時
間が長いため、図5(a)に示すように、金属ロール1
0と接触する紙層のみ著しく高温化する。このため、金
属ロール表面10へ紙15の粘着成分が付着するのみに
とどまらず、カレンダ処理後の紙に紙幅方向の平滑性、
光沢性などの不均一が生じてしまう。
【0016】チューブ状スリーブ2は、固定ビーム1周
囲をほぼ円筒形状で周回するが、ニップ部で形状変化が
生じる。ニップ初期部において、加圧シュー3は凹型の
ため、チューブ状スリーブ2は周回時の円筒形状と逆向
きの変形作用を受ける。この後、チューブ状スリーブ2
の変形は次第に収束し、ニップの終端部では、加圧シュ
ー3の形状と一致する。チューブ状スリーブ2は加圧シ
ュー3により、最高5MPaで金属ロール10へ押し付
けられるため、チューブ状スリーブ2が変形すると紙と
の摩擦により、紙に紙幅方向の力が作用する。
【0017】そして、図5(a)に示すように、金属ロ
ール10と接触した紙層は、ニップ初期部において急激
な勾配で温度上昇する。このように、ニップ初期部にお
いて、高温化した紙繊維に、チューブ状スリーブ2の変
形による紙幅方向の力が作用する結果、カレンダ処理後
の紙に紙幅方向の不均一性が生じる。例えば、紙幅方向
に引張力を受ける紙繊維は、部分的に伸びが生じるため
金属面との接触を失い、その接触面は平滑性、光沢性の
失われた箇所となる。逆に、紙幅方向に圧縮される紙繊
維は、過度に金属面と接触し、その接触面は過度の平滑
性、光沢性を持つ箇所となるのである。
【0018】また、従来のシューカレンダでは、前述の
ように、金属ロール表面上での汚れが大きなりやす
く、このような汚れは通常金属ロール表面上に均一に付
くことはない。したがって、このような金属ロール表面
上の汚れがカレンダ処理後の紙に紙幅方向の不均一性を
生じさせる要因にもなっている。本発明は、上述の課題
に鑑み創案されたもので、上記のような従来のシューカ
レンダにおける紙接触面の汚れや、カレンダ処理した紙
に生じる紙幅方向の平滑性,光沢性の不均一を解消でき
るようにした、カレンダ装置を提供することを目的とす
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】このため、本発明のカレ
ンダ装置(請求項1)は、ールと、該ロールと対向接
触するように配置されて、固定されたセンターシャフト
の外周を回転するチューブ状スリーブと、該チューブ状
スリーブの内面に配設され、該対向接触位置で該チュー
ブ状スリーブ内面から該チューブ状スリーブを該ロール
に押し付ける凹状曲面を有する加圧シューとをそなえ、
該対向接触位置における該ロールと該チューブ状スリー
ブとの間を所定の水分率の紙を通過させて該ロールによ
り表面処理を行なうカレンダ装置において、該ロールの
最外層に、該ロールから該紙への熱伝導を抑制するポー
ラス層がセラミック溶射により形成されていることを特
徴としている。
【0020】該チューブ状スリーブは、弾性合成樹脂製
の外層を有することが好ましい(請求項2)。また、該
ポーラス層はAl23を主成分としていることが好まし
い(請求項3)。また、該ポーラス層を形成されたロー
ルの温度は、好ましくは60℃〜350℃、さらに好ま
しくは60℃〜250℃とする(請求項4)。さらに、
該チューブ状スリーブの外表面に付着する汚れを除去す
るドクターをそなえていることや(請求項5)、該チュ
ーブ状スリーブの内面に、該ドクターと対向するように
円弧状のガイドが配設されていることが好ましい(請求
項6)。また、該加圧シューが紙幅方向に分割されてい
てもよい(請求項7)。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面により、本発明の実施
の形態について説明する。まず、第1実施形態について
説明すると、図1,図2は本発明の第1実施形態として
のカレンダ装置(シューカレンダ)を示すもので、図1
はその概略断面図(横断面図)、図2はその概略正面図
(一部概略縦断面)である。
【0022】図1,図2に示すように、本実施形態のカ
レンダ装置(以下、シューカレンダという)100は、
ロール110と、このロール110と対向接触するよう
に配置されたチューブ状スリーブ113を有する加圧部
101とを備えて構成されている。この対向接触位置に
は、ロール110と加圧部101のチューブ状スリーブ
113との間にニップ部112が形成されており、ニッ
プ部112に水分率3〜10%の紙107が通過するよ
うになっている。そして、加圧部101内部に設けられ
た後述の凹型曲面付きの加圧シュー115により、紙1
07が高温のポーラス層111に押し付けられ、ニップ
部112を通過する紙面108がカレンダ処理(表面処
理)を施されるようになっている。
【0023】ロール110には、その最外層に、Al2
3を主成分としたセラミック溶射によりポーラス層1
11が形成されている。なお、図1,図2中では便宜上
ポーラス層111の厚みを拡大して示している。このよ
うにポーラス層111を持つロール110表面は、最大
粗さ3.2S程度まで研磨仕上げされていることが望ま
しい。また、ロール110は、60℃〜350℃程度、
さらに好ましくは60℃〜250℃程度まで加熱される
ようになっている。このロールの加熱装置としては、ロ
ール110内部に、誘導加熱又は熱媒油による加熱手段
や、ロール110の外部に誘電加熱装置又は燃焼器等に
よる外部加熱手段を設けるようにしても良い。このよう
な加熱手段は公知のものなのでここでは図示しない。
【0024】加圧部101は、主にセンターシャフト1
14,加圧シュー115,チューブ状スリーブ113か
ら構成される。センターシャフト114は固定であり、
チューブ状スリーブ113は、軸受136を介してセン
ターシャフト114の周囲を周回する。そして、センタ
ーシャフト114のロール110側には加圧面が凹型の
加圧シュー115がそなえられている。加圧シュー11
5の加圧を受けロール110に押し付けられるチューブ
状スリーブ113とロール110との間(上記の対向接
触位置)にニップ部112が形成される。
【0025】また、加圧シュー115は例えば幅50〜
400mmであり、チューブ状スリーブ113との接触
面はロール110形状に沿う凹曲面になっている。さら
に、加圧シュー115はチューブ状スリーブ113との
接触面側に数個のポケット115aが設けられている。
このポケット115aには、図示しない外部装置によっ
て加圧された加圧油が、加圧油供給路117,118よ
り供給されるようになっている。
【0026】このように、チューブ状スリーブ113と
加圧シュー115との間には、加圧油による油膜が形成
され、加圧シュー115とチューブ状スリーブ113と
の焼き付きを防止できるようにしている。しかし、高速
時には加圧シュー115の初期部で油膜厚みが減少する
可能性があるため、潤滑油供給路116からニップ入口
112に潤滑油が供給されるようになっている。
【0027】また、ロール110及び加圧部101の外
周には、その外表面に付着する粘着成分等の汚れを除去
するためにそれぞれドクター124,125が備えられ
る。加圧部101側には、加圧部101のドクター12
5をバックサポートするため、チューブ状スリーブ11
3の内周面に沿った円弧状の当り面を持つガイド121
が設置されている。このようにガイド121を設置した
場合、加圧油は加圧油供給路122から、潤滑油は潤滑
油供給路123からガイド121に供給されるように構
成する。
【0028】また、各供給路より供給された加圧油,潤
滑油は、ワイパ120によりチューブ状スリーブ113
内面から掻き落とされ、潤滑油,加圧油回収部119か
ら回収され、潤滑油,加圧回収路137から、図示しな
い外部装置へ送られるようになっている。したがって、
加圧油によりガイド121がチューブ状スリーブ113
内面に向けて付勢され、この付勢力が加圧部101のド
クター125をバックサポートし、このとき互いに摺動
する潤滑油がガイド121とチューブ状スリーブ113
との間に供給されて、摺動を潤滑にするようになってい
る。
【0029】なお、チューブ状スリーブ113は、最高
使用温度(耐熱温度)が高い樹脂を用いて製作され、外
層に弾性合成樹脂層を持っている。また、チューブ状ス
リーブ113の紙面109と接する外表面は、最大粗さ
25S程度の平滑性を持つことが望ましい。本発明の第
1実施形態としてのカレンダ装置は、上述のように構成
されているので、以下のように、シューカレンダにおけ
る、ロール110及びチューブ状スリーブ113への粘
着成分等の付着を防止(低減)することができ、及び、
カレンダ処理後の紙に生じる紙幅方向のカレンダ処理に
かかる不均一性を防止(低減)することができる。
【0030】まず、紙幅方向の不均一性改善及びロール
110への汚れ低減について説明する。従来のシューカ
レンダ(特許第2800908号)における、ロール1
10及びチューブ状スリーブ113への粘着成分等の付
着量増加は、図5(a)に示すように、高温の金属ロー
ルと接する紙層のみが高温化することに起因する。これ
に対して、本カレンダ装置では、ロール110の最外層
にセラミック溶射により、Al23等を主成分とする厚
み10〜500μmのポーラス層111を形成してお
り、Al23等のセラミックの表面構造的な特性から、
ロール110と接する紙層の温度上昇が抑制される。
【0031】つまり、Al23等のセラミックでできた
ポーラス層111の表面には、極めて微小な孔が多数形
成されており、ポーラス層111の表面から紙面108
への熱伝導は極めて低い。したがって、紙面108の温
度が急激に上昇してしまうことはなく、また、紙面10
8がロール110の外周(ポーラス層111の表面)を
通過する時間が過剰にならなければ、紙面108の温度
が過剰に上昇してしまうことはないのである。
【0032】加熱面温度を200℃,抄紙速度を120
0m/分とした時の、ロール表面にポーラス層111を
有する本発明分のシューカレンダのニップ部における紙
温度変化をシミュレーションした計算結果を図5(c)
に示す。図5(c)の横軸はニップ入口からの接触時間
を示す。また、図5中にz/cと記しているが、zは金
属ロール表面と紙との接触位置を原点とする紙厚み方向
座標を示し、cは紙厚みを示し、z/cは紙厚み方向距
離の紙厚みに占める比率である。図5(c)において、
3本の実線は、上から順に紙厚み方向距離の紙厚みに占
める比率が、0.1,0.5,0.9の場合における紙
温度変化を示す。
【0033】図5(a)と図5(c)とを比較すると、
ロール表面にポーラス層111を有する本装置のシュー
カレンダは、特許第2800908号のシューカレンダ
と比較して、ニップ初期部で紙温度の上昇勾配が極め
て小さいこと、及び、ニップ終端部で加熱面と接した
紙層温度がロールニップカレンダ並みに抑制されている
ことが分かる。
【0034】これらのの結果、本装置のシューカレ
ンダは、ニップ初期部で紙繊維が高温化しないため、チ
ューブ状スリーブ2の変形により紙幅方向の力が紙繊維
に作用しても、カレンダ処理後の紙に紙幅方向の平滑
性,光沢性等の不均一が生じない。これに加え、加熱面
と接した紙層温度が抑制されるため、ロール110への
粘着成分等の付着による汚れはロールニップカレンダ並
みに低減できる。また、Al23等のセラミックででき
たポーラス層111の表面は、極めて剥離性がよいの
で、この点でもロール110への粘着成分等の付着防止
効果が高い。
【0035】また、本装置では、加圧部101において
汚れ除去が容易である利点もある。つまり、本発明分の
シューカレンダは図のように、加圧シュー115の逆
位置に円弧状当り面を持つガイド121が設置されてお
り、この円弧状ガイド121がドクター125のバック
サポートとなるため、本発明分のシューカレンダでは、
紙幅方向に均一な粘着成分除去ができるのである。
【0036】つぎに、第2実施形態について説明する
と、図4はその概略正面図(一部概略縦断面)である。
図4中、図1,図2と同符号は同様の部材であり、説明
は省略する。加圧時に生じるセンターシャフト114の
たわみが生じると、カレンダ装置を通過する紙107は
幅方向に不均一な加圧になりやすく、紙幅方向の平滑
性,光沢性の不均一の原因になるおそれがある。例えば
図3に示すように、紙107の幅方向の両端部近傍で加
圧力が増加する傾向が生じることがある。この実施形態
は、このような点に対処しようとするもので、図4に示
すように加圧時に生じるセンターシャフト114のたわ
みを補正するため、加圧シュー130〜133を紙幅方
向に複数に分割して設けている。ここでは、4つの加圧
シュー130〜133を設けているが、適宜の数だけ設
ければよい。なお、第1実施形態と同様に、各加圧シュ
ー130〜133にはチューブ状スリーブ113との接
触面側に数個のポケット130a〜133aが設けられ
ている。
【0037】第2実施形態のカレンダ装置は、このよう
に構成されるため、加圧時に生じるセンターシャフト1
14のたわみによって加圧力が少なくなる箇所では、加
圧シュー133による加圧力を増加させ、加圧時に生じ
るセンターシャフト114のたわみによって加圧力が大
きくなる箇所では、加圧シュー133による加圧力を減
少させるようにして、紙107の幅方向に均一な加圧を
行なうことができ、紙幅方向の平滑性,光沢性の不均一
の解消により効果がある。
【0038】以上、本発明の実施形態を説明したが、本
発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発
明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施すること
ができる。例えば、ポーラス層111の材料のセラミッ
クとしてはAl23を主体としたものに限らず、Ti2
X等の他のセラミックを主体としたものでもよい。も
ちろん、使用するセラミックには表面の熱伝導性が低く
剥離性が高いものが好ましい。チューブ状スリーブ11
3は、本実施形態のように、耐熱温度が高い弾性合成樹
脂製の外層を有することが望ましく、これにより、耐久
性を確保しながら低コストでニップ幅を確保することが
できるが、ニップ幅を確保できるものであれば、このよ
うな構成に限定されない。
【0039】また、ロール110やチューブ状スリーブ
113の外表面の汚れ方によっては、ドクター124,
125は必ずしも必要ない場合も考えられ、このような
場合には、ドクター124,125のいずれか又は両方
を省いてもよい。ドクター125を省く場合、当然なが
らガイド121も不用になる。紙の水分率は一般には3
〜10%であるが、必ずしもこれに限定されない。
【0040】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明のカレンダ装置によれば、ロールの表面(最外層)
にセラミック溶射によりポーラス層が形成されているの
で、セラミックの熱伝導性の低い点や剥離性が高い点を
利用して、シューカレンダにおける紙接触面の汚れや、
カレンダ処理した紙に生じる紙幅方向の平滑性,光沢性
の不均一を解消できるようになる。
【0041】特に、チューブ状スリーブ113が弾性合
成樹脂製の外層を有するようにすることで、低コストで
確実にニップ幅を確保でき、所望のカレンダ性能を得る
ことができ(請求項2)、セラミックの熱伝導性の低い
点や剥離性が高い点を十分に満たすAl23を主成分と
してポーラス層を構成することで、上記の効果を確実に
得ることができる(請求項3)。また、チューブ状スリ
ーブの外表面に付着する汚れを除去するドクターをそな
えることで紙幅方向の平滑性,光沢性の不均一の解消を
促進でき(請求項5)、チューブ状スリーブの内面に、
ドクターと対向するように円弧状のガイドを配設するこ
とでかかる不均一の解消をより一層促進できる(請求項
6)。また、加圧シューを紙幅方向に分割することで
も、紙幅方向の平滑性,光沢性の不均一の解消を促進で
きる(請求項7)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としてのカレンダ装置
(シューカレンダ)を示す概略断面図(横断面図)であ
る。
【図2】本発明の第1実施形態としてのカレンダ装置
(シューカレンダ)を示す概略正面図(一部概略縦断
面)である。
【図3】本発明の第2実施形態としてのカレンダ装置
(シューカレンダ)にかかる加圧特性図であり、紙の加
圧力が紙の幅方向へ不均一となる例を示している。
【図4】本発明の第2実施形態としてのカレンダ装置
(シューカレンダ)を示す概略正面図(一部概略縦断
面)である。
【図5】従来技術の課題及び本発明の効果を示すグラフ
であり、(a)は従来のカレンダ装置(シューカレン
ダ)のニップ部での紙温度変化を示す図、(b)は従来
のカレンダ装置(ロールニップカレンダ)のニップ部で
の紙温度変化を示す図、(c)は本発明のカレンダ装置
(シューカレンダ)のニップ部での紙温度変化を示す図
である。
【図6】従来のカレンダ装置(シューカレンダ)を示す
概略断面図(横断面図)である。
【図7】従来のカレンダ装置(シューカレンダ)を示す
概略正面断面(横断面図)である。
【符号の説明】
1 円筒状固定ビーム 2 チューブ状スリーブ 3 加圧シュー 4 加圧油供給路 5 潤滑油供給路 6 潤滑油回収路 7 潤滑油排出路 8 ガイドバー 9 クランプデスク 10 金属ロール 11 支持脚 13 加圧室 15 紙シート 101 加圧部 107 紙 108,109 紙面 110 ロール 111 ポーラス層 112 ニップ部 113 チューブ状スリーブ 114 センターシャフト 115 加圧シュー 115a ポケット 116 潤滑油供給路 117,118 加圧油供給路 119 潤滑油、加圧油回収部 120 ワイパー 121 ガイド 122 加圧油供給路 123 潤滑油供給路 124,125 ドクター 130〜133 加圧シュー 130a〜133a ポケット 136 軸受 137 潤滑油、加圧油回収路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 信本 俊行 広島県三原市糸崎町5007番地 三菱重工 業株式会社紙・印刷機械事業部内 (72)発明者 金子 康二 広島県三原市糸崎町5007番地 三菱重工 業株式会社紙・印刷機械事業部内 (56)参考文献 特開 平11−81182(JP,A) 特開 平10−292288(JP,A) 特開 平6−322693(JP,A) 特開 平1−280090(JP,A) 特表 平6−508894(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21G 1/00 D21G 1/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ールと、 該ロールと対向接触するように配置されて、固定された
    センターシャフトの外周を回転するチューブ状スリーブ
    と、 該チューブ状スリーブの内面に配設され、該対向接触位
    置で該チューブ状スリーブ内面から該チューブ状スリー
    ブを該ロールに押し付ける凹状曲面を有する加圧シュー
    とをそなえ、 該対向接触位置における該ロールと該チューブ状スリー
    ブとの間を所定の水分率の紙を通過させて該ロールによ
    り表面処理を行なうカレンダ装置において、 該ロールの最外層に、該ロールから該紙への熱伝導を抑
    制するポーラス層がセラミック溶射により形成されてい
    ことを特徴とする、カレンダ装置。
  2. 【請求項2】 該チューブ状スリーブは、弾性合成樹脂
    製の外層を有することを特徴とする、請求項1記載のカ
    レンダ装置。
  3. 【請求項3】 該ポーラス層はAl23を主成分として
    いることを特徴とする、請求項1又は2記載のカレンダ
    装置。
  4. 【請求項4】 該ポーラス層を形成されたロールの温度
    が60℃〜350℃、好ましくは60℃〜250℃であ
    ることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項に記
    載のカレンダ装置。
  5. 【請求項5】 該チューブ状スリーブの外表面に付着す
    る汚れを除去するドクターをそなえたことを特徴とす
    る、請求項1〜4のいずれかの項に記載のカレンダ装
    置。
  6. 【請求項6】 該チューブ状スリーブの内面に、該ドク
    ターと対向するように円弧状のガイドが配設されている
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項に記載
    のカレンダ装置。
  7. 【請求項7】 該加圧シューが紙幅方向に分割されるこ
    とを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの項に記載の
    カレンダ装置。
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