JP3334622B2 - 摩擦車式無段変速機 - Google Patents
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Description
変速機に代表される摩擦車式無段変速機に関するもので
ある。
変速機について説明すると、例えば実開昭63―928
59号公報に記載のように構成したり、図10から図1
2に示す構成となっている。
01 上に配置した入出力ディスク、符号44は、これら
入出力ディスク間で回転動力の受渡しを行う2個のパワ
−ローラをそれぞれ示す。
0、42の回転軸線01 の両側に対向配置されており、
これら入出力ディスク40、42と、2個のパワーロー
ラ44とよりなるトロイダル伝動ユニットを2個、それ
ぞれの出力ディスク42が相互に背中合わせとなるよう
にして軸線O1 上に前後に配設されている。
ローラはそれぞれトラニオン46に回転自在に支持さ
れ、後方のパワーローラはそれぞれ、図11に示すトラ
ニオン48に回転自在に支持されている。
アッパリンク50を介して横方向に連結され、下端間が
ロアリンク52を介して横方向に連結されている。そし
て、全てのトラニオン46、48は、パワーローラ回転
軸線O2 が入出力ディスク40、42の回転軸線O1 に
交差している図10の中立位置から、パワーローラ回転
軸線O2 と直交する首振り軸線O3 の方向ヘオフセット
するように、当該軸線O3 の方向へ変位可能に、且つ首
振り軸線O3 の周りに傾転可能になっている。
6、48には、それぞれ首振り軸線O 3 の方向へ延在す
るシャフト54がピン56により閂結合されているとと
もに、シャフト54にピストン58が嵌着されている。
ャフト54及びこれを包套するピストン58のボス部5
8aは、ピストン58を受容したシリンダボディ60、
およびピストン58の作動圧を発生させるための変速制
御用コントロールバルブボディ62に順次貫通し、後方
のトラニオン48に係わるシャフト54及びこれを包套
するピストン58のボス部58aが、シリンダボディ6
0に貫通している。
御弁64が変速比指令を入力することで、変速比指令に
応じた作動圧をピストン58に供給する。これにより、
ピストン58は、シャフト54を介してトラニオン4
6、48がパワーローラ回転軸線O2 が入出力コーンデ
ィスクの回転軸線O1 と交差した図10の中立位置か
ら、変速比指令に対応した首振り軸線(O3 )方向ヘオ
フセットするように変位させる。この時パワーローラ4
4は、入出力ディスク40、42からの分力で軸線O3
の周りに対応方向へ傾転し、入出力コーンディスク4
0、42に対する接触軌跡円弧径の連続的な変化により
無段変速を行う。
ラニオン46に関したシャフトの一方には、コントロー
ルバルブボディ62から突出する先端にプリセスカム6
6が固定されており、このプリセスカム66および変速
リンク68を介して上述したオフセットおよび傾転がコ
ントロールバルブボディ62の変速制御弁64にフィー
ドバックされる。
つれてトラニオン46、48がピストン58を介して元
の位置に戻され、実変速比が変速比指令に一致したとこ
ろで、パワーローラ44を上述した中立位置に復帰さ
せ、実変速比を変速比指令に対応した値に保持する。
トロイダル型無段変速機の変速制御部にあっては、トラ
ニオン46、48とピストン58との間を連結するシャ
フト54が全長に亘つて大きな曲げ剛性を持つことか
ら、更に、このシャフト54に嵌挿されてトラニオン4
6、48に当接するよう組付けられたピストンボス部5
8aがシャフト54よりも大径で一層大きな曲げ剛性を
持つことから、以下の問題を生ずる懸念があつた。
とパワーローラ44との間の回転伝動を考察すると、回
転伝動は、入出力ディスク40、42とパワーローラ4
4との間の油膜の剪断によつて行われることから、パワ
ーローラ44は入出力ディスク40、42間に伝達トル
ク対応の強大な力で挟圧される。
示すように入出力ディスク40、42の間から押し出さ
れる方向の大きなスラスト力Fを受けることになる。こ
こで、スラストFによっても各トラニオン46、48が
横方向に位置ずれしないように、各トラニオン46、4
8は、前述したように上端同士がアッパリンク50によ
り横方向に拘束され、下端同士もロアリンク52により
横方向に拘束されているので、トラニオン46、48
は、図12の2点鎖線で示すように、上記のスラスト力
Fによりアッパリンク50およびロアリンク52を支点
として「く」の字状に変形し、この変形によってシャフ
ト54及びピストン58が傾斜することになる。
合孔内周面に対してこじられ、両者間に大きな摩擦力が
発生する。この摩擦力によりボス部58aを含むピスト
ン58に偏摩耗が発生し、ピストン58の耐久性を低下
させるだけでなく、ピストン58の動きを阻害して変速
制御精度を低下させる原因となる。
を搭載し、且つABS(車両の制動時の車輪ロックを防
止するアンチロックブレーキ制御装置)を備えた車両で
は、例えば、急ブレーキ時などに変速比がLowになり
過ぎてABSの機能低下を起こすのを防止するために、
変速比を最Lowに戻すことなく停車する場合がある。
この際、実変速比をHighとし指令変速比をLowと
した状態から車両が発進し、変速比をHigh側からL
ow側に変化させるトルクがトラニオン46、48に急
激に加わると、トラニオン46、48の回転とともに、
シャフト54、ピストン56が同一方向に回転し、この
回転によって、前記シャフト54に外嵌したピストン5
8のボス部58aを下側から締め上げているシャフト5
4の下端に螺合しているナット(図10の符号65、6
7)が緩むおそれがある。
であり、トラニオンの変形を、トラニオンとピストンと
の間の当接部で吸収してピストン側に伝わらない構造と
するのを安価に実現し、しかも、変速比をHigh側か
らLow側に変化させるトルクがトラニオンに加わった
場合でも、ピストンをシャフトに組め付けているねじ締
結要素の緩みなどを確実に防止することができる摩擦車
式無段変速機を提供することを目的とする。
求項1記載の摩擦車式無段変速機は、入力ディスクと出
力ディスクとの対向面に挟持されて傾転可能な複数のパ
ワーローラと、前記パワーローラがパワーローラ回転軸
線周りに回転自在となるように支持するトラニオンと、
当該トラニオンの一端から突出しているシャフトにピス
トンボス部が嵌挿され、前記トラニオン側及び前記ピス
トンボス部側の間に当接部を設けて組付けられて前記ト
ラニオンと一体的に軸方向に移動するピストンと、前記
パワーローラが前記入力ディスク及び出力ディスクから
の挟持によってスラスト力を受けても変位することのな
いように、各トラニオンの端部間をリンク連結している
リンク機構とを備え、前記パワーローラの前記パワーロ
ーラ回転軸線と直交する首振り軸線周りにおける傾転動
作により無段変速を行うようにした摩擦車式無段変速機
において、前記トラニオン側及び前記ピストンボス部側
の間の当接部を、一方の当接面を平坦面とし、他方の当
接面を、前記一方の当接面に向けて湾曲する凸曲面とし
た。
載の摩擦車式無段変速機において、前記凸曲面の形状
は、前記シャフトの軸線に略直交して交差し、且つ前記
パワーローラ回転軸線に略直交する方向に延在している
線を中心位置とした曲率半径に沿って湾曲して円筒の外
周面形状を呈している。また、請求項3記載の発明は、
請求項1又は2記載の摩擦車式無段変速機において、前
記ピストンボス部の当接面を平坦面として形成する一
方、前記トラニオン側に当接部材を装着し、この当接部
材の前記ピストンボス部の当接面に対向する面を前記凸
曲面として形成した。
は2記載の摩擦車式無段変速機において、前記トラニオ
ンの一端から突出している前記シャフトに、前記ピスト
ンボス部に当接するように第1ワッシャを嵌合し、前記
ピストンボス部の当接面を平坦面として形成し、前記第
1ワッシャの前記ピストンボス部の当接面に対向する面
を前記凸曲面に形成した。
は2記載の摩擦車式無段変速機において、前記トラニオ
ンの一端から突出している前記シャフトに、各パワーロ
ーラ間の傾転同期をとるためのワイヤプーリを廻り止め
嵌合し、このワイヤプーリの抜け止めを行う第1ワッシ
ャを、前記ピストンボス部に対向するように前記シャフ
トに廻り止め嵌合するとともに、前記ピストンボス部の
当接面を平坦面として形成し、前記第1ワッシャの前記
ピストンボス部の当接面に対向する面を前記凸曲面に形
成した。また、請求項6記載の発明は、請求項1乃至5
の何れかに記載の摩擦車式無段変速機において、前記シ
ャフトの先端部に締め付けナットを螺合し、当該締め付
けナットにより、前記シャフトに嵌挿されているピスト
ンボス部を前記トラニオン側に押し付けている構造と
し、当該締め付けナットと前記ピストンボス部の先端面
との間に、前記シャフトに対して廻り止め機能を有する
第2ワッシャを配設した。
記載の摩擦車式無段変速機において、前記締め付けナッ
トは、前記トラニオンが、変速比がHigh側からLo
w側に変化する方向に回転するときに、締まる方向に回
転するようにねじ向きを設定している。
と、このシャフトに嵌挿されているピストンボス部の曲
げ剛性を比較すると、シャフトより径が太いピストンボ
ス部の方が曲げ剛性が高い。このため、パワーローラか
らのスラスト力によりトラニオンが変形すると、ピスト
ンボス部よりシャフトの方が弾性変形しやすい。このシ
ャフトの弾性変形により、トラニオン及びピストンボス
部の当接部の一方の凸曲面が他方の平坦面上を摺動し、
ピストンボス部の変形を吸収する関節構造となる。これ
により、ピストンボス部の傾きによるこじりが生じな
く、ピストンボス部及びシャフトの偏摩耗が発生しな
い。したがって、トラニオンの変形によるピストンの耐
久性が低下するという従来構造の問題や、変速制御精度
が低下するといった従来構造の問題を解消することがで
きる。また、請求項2記載の発明によると、凸曲面の形
状を、前記シャフトの軸線に略直交して交差し、且つ前
記パワーローラ回転軸線に略直交する方向に延在してい
る線を中心位置とした曲率半径に沿って湾曲して円筒の
外周面形状を呈しているので、簡単に凸曲面の加工を行
うことができ、製造コストの低減化を図ることができ
る。
トンボス部の当接面を平坦面として形成し、トラニオン
側に装着した当接部材の前記ピストンボス部の当接面に
対向する面を凸曲面として形成したので、ピストンボス
部に対して複雑な加工を施さずに済み、しかも、当接部
材に対して曲面加工を簡単に行うことができ、製造コス
トの低減化を図ることができる。また、請求項4記載の
発明によると、ピストンボス部の当接面を平坦面として
形成し、シャフトに嵌合した第1ワッシャの前記ピスト
ンボス部の当接面に対向する面を凸曲面として形成した
ので、ピストンボス部に対して複雑な加工を施さずに済
み、しかも、第1ワッシャに対して曲面加工を簡単に行
うことができ、製造コストの低減化を図ることができ
る。
項4記載の発明と同様の効果を得ることができるととも
に、第1ワッシャが、ワイヤプーリの抜け止め機能と、
トラニオンの変形を吸収する関節構造を同時に達成する
ので、さらに製造コストの低減化を図ることができる。
項1から請求項5記載のいずれかの効果を得ることがで
きるとともに、締め付けナットとピストンボス部の先端
面との間に、シャフトに対して廻り止め機能を有する第
2ワッシャを配設したので、締め付けナットが緩んだ
り、締まり過ぎになるのを防止することができる。
め付けナットは、トラニオンが、変速比がHigh側か
らLow側に変化する方向に回転するときに、締まる方
向に回転するようにねじ向きを設定しているので、ねじ
締結要素の緩みが発生しない信頼性の高い装置を提供す
ることができる。
て図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るトロ
イダル型無段自動変速機の内部を構造を示すものであ
る。
駆動源に連結された入力軸2と、該入力軸2の右側に同
心に連結された回転軸3とが配置され、入力軸2側に
は、トランスミッションケース1の端部にボルト106
を介して取付けられたオイルポンプ5と、該オイルポン
プ5の右側に隣接されて前進クラッチ(前進締結手段)
6及び後進クラッチ(後進締結手段)7の操作により遊
星歯車機構8を介して第1及び第2トロイダル変速機構
10、11に対する前後進の切換えを行う前後進切換機
構9とが配設され、回転軸3側には、第1及び第2トロ
イダル変速機構10、11が互いに軸方向に離間して配
設されている。
アリング12を介して回転自在に支持されて前後進切換
機構9の遊星歯車機構8を構成するサンギヤ13と、こ
のサンギヤ13に設けられた爪部13aに係合し、且つ
回転軸3に回転自在に支持されたローディングカム14
と、このローディングカム14に係合ローラを介して連
結され、且つ回転軸3にボールスプライン16を介して
支持された入力ディスク17とが介在されている。入力
軸2からの回転力は前後進切換機構9を介してサンギヤ
13の爪部13aからローディングカム14、係合ロー
ラ15、入力ディスク17及びボールスプライン16を
順次経由して回転軸3に伝達されるようになっている。
7の対向面には係合ローラ15が係合する波状のカム面
がそれぞれ形成されている。
ラ15から離間する側の面にトロイド面17aが形成さ
れる入力ディスク17と、この入力ディスク17の対向
面にトロイド面18aが形成されて回転軸3に回転自在
に支持された出力ディスク18と、両ディスク17、1
8のトロイド面17a、18aにより形成されるトロイ
ド状の溝内に両ディスクに対して傾動可能に接触する後
述するパワーローラと、トラニオン及び駆動機構を備
え、トラニオンを操作して入力ディスク17及び出力デ
ィスク18に対するパワーローラの径方向の接触位置を
変えることにより、入力ディスク17と出力ディスク1
8との間の回転速度比、すなわち変速比を連続的に変化
させることができるようになっている。
イダル変速機構10と同様に入力ディスク19、出力デ
ィスク20、パワーローラ、トラニオン及び駆動機構を
有するが、回転軸3にボールスプライン21を介して外
嵌されている入力ディスク19が第1トロイダル変速機
構10から遠い側に配置されるとともに、出力ディスク
20が第1トロイダル変速機構10に近い側に配置され
ている。
背面には軸筒部18b、20bが設けられており、軸筒
部18b、20bには出力ギヤ22がスプライン結合さ
れている。出力ギヤ22は、トランスミッションケース
1の内周壁に固着されたギヤハウジング23に軸受24
を介して支持されている。出力ギヤ22はカウンターギ
ヤ25に噛合しており、このカウンターギヤ25はギヤ
ハウジング23に軸受26を介して回転自在に支持され
ている。カウンターギヤ25の中心部にはカウンターシ
ャフト27が一端においてスプライン結合されて一体に
回転するようになっており、カンターシャフト27の他
端は軸受28を介してトランスミッションケース1に回
転自在に支持されている。ここで、上述した摩擦ローラ
の傾動操作により所定の変速比となった出力は、出力ギ
ヤ22で合わされ、カウンターギヤ25、カウンターシ
ャフト27及びギヤ列28aを順次経由して出力軸(図
示せず。)に伝達される。そして、出力軸の前後進切換
えは、前後進切換機構9によって第1及び第2トロイダ
ル変速機構10、11に対する前後進の切換えを行うこ
とによりなされる。
すものであり、図10から図12に示した構成と同一構
成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。左
右一対のパワーローラ44は、軸線O1 上に配置した入
力ディスク17と出力ディスク18(図2では示してい
ない。)の間に回転動力が伝達可能に対向配置されてお
り、これらパワーローラ44はトラニオン46に回転自
在に支持されているとともに、上端間がアッパリンク5
0を介して横方向に連結され、下端間がロアリンク52
を介して連結されている。
ーラ回転軸線O2 が入出力ディスク回転軸線O1 に交差
している中立位置(図2の位置)から、パワーローラ回
転軸線O2 と直交する首振り軸線O3 の方向へオフセッ
トするように、この首振り軸線O3 の方向へ変位し、且
つ首振り軸線O3 の周りに傾転する。
ラニオン46の下部には、横断面円形状のシャフト挿入
穴46aが下方に向けて形成されており、このシャフト
挿入穴46a内に、パワーローラ44内部のベアリング
に向けて潤滑油を供給するためにトラニオン46内部に
設けた油路46bが連通している。
ラニオンシャフト70を下方から嵌入し、その上端部を
ピン56により閂結合し、シャフト嵌入穴46aの下部
外周に形成した縮径部46cにワイヤプーリ74を外嵌
するとともに、トラニオンシャフト70に、順次、抜け
止めワッシャ76、ピストンボス部78a、ナット連れ
廻り防止ワッシャ80を下方から外嵌し、トラニオンシ
ャフト70の下端に形成した雄ねじに、左側ナット82
Lを螺合してナット連れ廻り防止ワッシャ80及び上部
の他の部材を締め上げることにより、ピストン78がト
ラニオンシャフト70を介してトラニオン46に一体化
されている。また、図2の右側のトラニオン46にもト
ラニオンシャフト70が閂結合しており、縮径部46c
にワイヤプーリ74を外嵌し、順次、抜け止めワッシャ
76、ピストンボス部78a、ナット連れ廻り防止ワッ
シャ80を下方から外嵌し、トラニオンシャフト70の
下端の雄ねじに、右側ナット82Rを螺合してナット連
れ廻り防止ワッシャ80及び上部の他の部材を締め上げ
ることにより、ピストン78がトラニオンシャフト70
を介してトラニオン46に一体化されている。
ている矢印A1 、A2 は、ピストン78の上下動作によ
るトラニオン46の回動方向を示すものであり、変速比
がHigh側からLow側になるときには、左側のトラ
ニオン46が矢印A1 周りに傾転し、変速比がLow側
からHigh側になるときには、左側のトラニオン46
が矢印A2 周りの傾転となる。逆に、右側のトラニオン
46は、変速比がHigh側からLow側に変速すると
きには矢印A2 周りの傾転となり、変速比がLow側か
らHigh側に変速するときには矢印A1 周りの回動方
向となる。
0、縮径部46c、ワイヤプーリ74、抜け止めワッシ
ャ76、ピストンボス部78a、ナット連れ廻り防止ワ
ッシャ80及び左側ナット82L、右側ナット82Rの
形状と、これら部品の組付け状態を、図2から図9を参
照して詳述する。
うに、中実円筒部材(図3に示すように、半径r1 の円
筒部材)であり、上端部に前記ピン56が貫通する貫通
孔が形成されているとともに、下端部に雄ねじ70cが
形成されている。また、外周の軸方向には下部から上部
にかけて油路用溝70bが形成されているとともに、図
9に示すように、雄ねじ70cの上部に位置する円筒部
70dの外周に、2面の平面外周部70d1 が軸対称位
置に形成されている。ここで、図2の左側のトラニオン
46に連結しているトラニオンシャフト70の雄ねじ7
0cは、前述した首振り軸線O3 周りに示した矢印A2
の回動方向と同一方向のネジ向きに形成されており、右
側のトラニオン46に連結しているトラニオンシャフト
70の雄ねじ70cは、矢印A1 の回動方向と同一方向
のネジ向きに形成されている。
形成した縮径部46cは、図3に示すように、トラニオ
ンシャフト70の外周径と略同一寸法の嵌入穴46c1
が形成されているとともに、外周面が、軸対称位置に形
成されている2面の平面外周部46c2 と、これら平面
外周部46c2 間において所定半径r2 (r2 >r1)
で外側に湾曲している円筒外周部46c 3 とを備えた形
状としている。
トロイダル変速機構10、11のパワーローラ44間で
傾転同期をとるために第1及び第2トロイダル変速機構
10、11のトラニオン46間に張設すべきワイヤ72
を掛け渡す際に使用する部材であり、図4及び図5に示
す形状となっている。すなわち、図4はトラニオン46
側に対向するワイヤプーリ74の上面を示し、図5はピ
ストン78側に対向するワイヤプーリ74の下面を示し
ているが、図4に示すように、その軸中心部には、前記
縮径部46cの外周と同形状の軸対称位置に形成した2
面の平面内周部74a1 と、これら平面内周部74a1
間において所定半径r2 で外側に湾曲している円筒内周
部74a 2 とを備えた嵌合孔74aが形成されている。
に示すように、嵌合孔74aの下面外周縁を所定の深さ
で環状に削り取ることによって、平面内周部74b
1 と、この平面内周部74b1 の周方向の両端部から連
続して所定半径r3 (r3 >r2)で外側に湾曲してい
る円筒内周部74b2 と、平坦な上面74b3 とからな
る座ぐり穴74bが形成されている。
を外嵌すると、図7に示すように、互いに当接する平面
外周部46c2 及び平面内周部74a1 により廻り止め
された状態でトラニオン46の下部にワイヤプーリ74
が一体化される。
すように、環状の鍔部76aの中央に半径r1のシャフ
ト貫通孔76bが形成され、座ぐり穴74bと同形状の
外周面76c、すなわち平面外周部76c1と所定半径
r3 の円筒外周部76c2 とを有する外周面76aが形
成された部材である。また、鍔部76aの上面76d
は、図7に示すように、ワイヤップーリ74の座ぐり穴
74bの上面74b3及びトラニオン46の縮径部46
cの平坦な最下面に接触面積を大きくして当接する平坦
面として形成されているとともに、この鍔部76aの下
面76eは、この抜け止めワッシャ76の軸線に略直交
して交差し、且つ前記パワーローラ回転軸線O 2 に略直
交する方向に延在している線を中心位置とした大きな曲
率半径r4に沿って下方に湾曲して円筒の外周面形状を
呈して形成されている。
た抜け止めワッシャ76を、ワイヤプーリ74の座ぐり
穴74bに収納すると、図7に示すように、抜け止めワ
ッシャ76は、互いに当接する平面外周部76c1 及び
平面内周部74b1 によりワイヤプーリ74に対する廻
り止めがなされた状態でワイヤプーリ74の抜け止めを
行う。
a1 は、図7に示すように、平坦面(ボス部78aの軸
線と直交する方向に延在する平面)として形成されてお
り、また、図2に示すピストンボス部78aの下端面7
8a2 も、平面として形成されている。
は、図9に示すように、前述した円筒部70dの2面の
平面外周部70d1 にそれぞれ当接する2面の平面内周
部80aを軸対称位置に形成した環状の部材である。
述した図2の首振り軸線O3 周りに示した矢印A2 の回
動方向と同一方向のネジ向きに形成されており、右側ナ
ット82Rの雌ねじは、首振り軸線O3 周りに示した矢
印A1 の回動方向と同一方向のネジ向きに形成されてい
る。
ピストンボス部78aを外嵌し、次いで、円筒部70d
にナット連れ廻り防止ワッシャ80を外嵌した後、ピス
トンシャフト70の雄ねじ70cに左側ナット82Lを
ねじ込むと、図7及び図8に示すように、ピストンボス
部78aの平坦な上端面78a1 と抜け止めワッシャ7
6の凸曲面とした下面76dとが当接し、ピストンボス
部78aの下端面78a2 にナット連れ廻り防止ワッシ
ャ80が当接した状態で、左側のピストン78がトラニ
オンシャフト70を介して左側のトラニオン46に一体
化される。
ストンボス部78aを外嵌し、次いで、円筒部70dに
ナット連れ廻り防止ワッシャ80を外嵌した後、ピスト
ンシャフト70の雄ねじ70cに右側ナット82Rをね
じ込むと、図7及び図8に示すように、ピストンボス部
78aの平坦な上端面78a1 と抜け止めワッシャ76
の凸曲面とした下面76dとが当接し、ピストンボス部
78aの下端面78a 2 にナット連れ廻り防止ワッシャ
80が当接した状態で、右側のピストン78がトラニオ
ンシャフト70を介して右側のトラニオン46に一体化
される。
0dに外嵌したナット連れ廻り防止ワッシャ80は、図
9に示すように、平面内周部80a及び平面外周部70
d1及が互いに当接しているので、トラニオンシャフト
70に対する廻り止めがなされている。
周りに傾転し、それに伴って左側のトラニオンシャフト
70が矢印A1 方向に回転しても、左側ナットの雌ねじ
は、矢印A2 のネジ向きに形成されているので、雄ねじ
70cにさらに螺合する。また、右側のトラニオン46
が矢印A2 周りに傾転し、それに伴って右側のトラニオ
ンシャフト70が矢印A2 方向に回転しても、右側ナッ
トの雌ねじは、矢印A 1 のネジ向きに形成されているの
で、雄ねじ70cにさらに螺合する。
第1トロイダル変速機構10と同様の図2から図9で示
した構成を採用している。そして、本実施形態のトロイ
ダル型無段自動変速機は、指令変速比に基づいた作動圧
が変速制御弁64で生成されてピストン油室90に供給
されると、ピストン78が上下方向に所定量だけ変位す
る。このピストン78の変位により、ピストン78とト
ラニオンシャフト70を介して連結しているトラニオン
46が、パワーローラ回転軸線O2 が入出力ディスク回
転軸線O1 に交差している中立位置(図2の位置)か
ら、パワーローラ回転軸線O2 と直交する首振り軸線O
3 の方向へオフセットするように傾転する。このとき、
パワーローラ44は、軸線O1上に配置した入出力ディ
スク17、18からの分力で首振り軸線O3 の周り方向
へ傾転し、入出力ディスク17、18に対する接触軌跡
円弧径の連続的な変化により無段変速が行われる。
する。従来、パワーローラ44が入出力ディスク17、
18に挟圧されると、パワーローラ44は入出力ディス
ク17、18の間から押し出される方向のスラスト力を
受け、これにより、トラニオン46がアッパリンク50
及びロアリンク52に拘束されている位置を支点として
「く」の字状に変形してトラニオンシャフト70及びピ
ストン78が傾斜し、ピストンボス部78aの内部がこ
じられてピストンボス部78a及びトラニオンシャフト
70に偏摩耗が発生するおそれがあった。
と、このトラニオンシャフト70に嵌挿されているピス
トンボス部78aの曲げ剛性を比較すると、トラニオン
シャフト70より径が太いピストンボス部78aの方が
曲げ剛性が高いので、パワーローラ44からのスラスト
力によりトラニオン46が変形すると、ピストンボス部
78aよりトラニオンシャフト70の方が弾性変形しや
すい。このトラニオンシャフト70の弾性変形により、
図8に示したように、ピストンボス部78aの上端面7
8a 1 を平坦面とし、この上端面78a 1 に当接する抜
け止めワッシャ76の下面76dを凸曲面とした関節構
造が、抜け止めワッシャ76の下面76dがピストンボ
ス部78aの上端面78a 1 上を摺動することでトラニ
オン46の変形を吸収する。このように、ピストンボス
部78aより先にトラニオンシャフト70が弾性変形す
ることで抜け止めワッシャ76の下面76dがピストン
ボス部78aの上端面78a 1 上を摺動し、ピストンボ
ス部78aの変形を吸収する構造としているので、ピス
トンボス部78aが傾くことによるこじりが生じなく、
ピストンボス部78a及びトラニオンシャフト70の偏
摩耗が発生しない。これにより、トラニオン46の変形
によるピストンの耐久性が低下するという従来構造の問
題や、変速制御精度が低下するといった従来構造の問題
を解消することができる。
節構造は、平坦面に形成したピストンボス部78aの上
端面78a1 と、凸曲面に形成した抜け止めワッシャ7
6の下面76dに形成した凸曲面だけで構成しており、
抜け止めワッシャ76の下面76dの曲面加工は簡単に
行うことができ、しかも、ピストンボス部78aには複
雑な加工を施さないので、製造コストの低減化を図るこ
とができる。
ーリ74の座ぐり穴74bに廻り止めがなされた状態
(平面外周部76c1 及び平面内周部74b1 が当接し
ている状態)で収納されており、さらに、ワイヤプーリ
74は、トラニオン46の下部の縮径部46cに廻り止
めがなされた状態(平面外周部46c2 及び平面内周部
74a1 が当接している状態)で嵌合しているので、ト
ラニオン46の変形とともに抜け止めワッシャ76が一
体に移動し、その下面76dがピストンボス部78aの
上端面78a1 上を確実に摺動するので、高精度の関節
構造を提供することができる。
ャ76の鍔部76aの上面76dは、ワイヤップーリ7
4の座ぐり穴74bの上面74b3 及びトラニオン46
の縮径部46cの平坦な最下面に接触面積を大きくして
当接しているので、トラニオンシャフト70油路用溝7
0b及びピストンボス部78aの内周面とで形成した油
路からの潤滑油の漏れを確実に防止することができる。
比をLowとした状態から車両が発進するときには、変
速比をHigh側からLow側に変化させるトルクがト
ラニオン46に急激に加わる。すなわち、図2では、左
側のトラニオン46には首振り軸線O3 周りのA1 方向
のトルクが加わり、右側のトラニオン46には首振り軸
線O3 周りのA2 方向のトルクが加わる。そして、トラ
ニオン46と共にトラニオンシャフト70及びピストン
78にもトルクが加わり、トラニオンシャフト70及び
ピストン78は同一方向に回転する。このとき、左側ナ
ット82L及び右側ナット82Rはピストンボス78a
の回転とともに連れ回るおそれがあるが、本実施形態で
はピストンボス78aの下端面78a2 と、左側ナット
82L(或いは右側ナット82R)との間にナット連れ
廻り防止ワッシャ80を配設しているので、左側ナット
82L及び右側ナット82Rが緩んだり、締まり過ぎに
なるのを防止することができる。
トラニオン46が変速比がHigh側からLow側に変
化するときに回動する方向(A1 方向)と逆向き(A2
方向)に形成されており、若し、円筒部70dに対して
ナット連れ廻り防止ワッシャ80のがた付きが生じ、ナ
ット連れ廻り防止ワッシャ80が僅かに回転したとして
も、トラニオンシャフト70が回転すると左側ナット8
2Lが雄ねじ70cにさらに螺合していく。
ラニオン46が変速比がHigh側からLow側に変化
するときに回動する方向(A2 方向)と逆向き(A1 方
向)に形成されており、若し、円筒部70dに対してナ
ット連れ廻り防止ワッシャ80のがた付きが生じ、ナッ
ト連れ廻り防止ワッシャ80が僅かに回転したとして
も、トラニオンシャフト70が回転すると右側ナット8
2Rが雄ねじ70cにさらに螺合していく。
ない信頼性の高い第1及び第2トロイダル変速機構を提
供することができる。
面図である。
である。
である。
図である。
図である。
る。
ャとの当接部を示す断面図である。
を拡大視で示した図である。
ラニオシャフトのねじ部を示した図である。
部縦断正面図である。
チュエータ部を示す縦断側面図である。
ニオンが変形した状態を示す説明図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 入力ディスクと出力ディスクとの対向面
に挟持されて傾転可能な複数のパワーローラと、前記パ
ワーローラがパワーローラ回転軸線周りに回転自在とな
るように支持するトラニオンと、当該トラニオンの一端
から突出しているシャフトにピストンボス部が嵌挿さ
れ、前記トラニオン側及び前記ピストンボス部側の間に
当接部を設けて組付けられて前記トラニオンと一体的に
軸方向に移動するピストンと、前記パワーローラが前記
入力ディスク及び出力ディスクからの挟持によってスラ
スト力を受けても変位することのないように、各トラニ
オンの端部間をリンク連結しているリンク機構とを備
え、前記パワーローラの前記パワーローラ回転軸線と直
交する首振り軸線周りにおける傾転動作により無段変速
を行うようにした摩擦車式無段変速機において、 前記トラニオン側及び前記ピストンボス部側の間の当接
部を、一方の当接面を平坦面とし、他方の当接面を、前
記一方の当接面に向けて湾曲する凸曲面としたことを特
徴とする摩擦車式無段変速機。 - 【請求項2】 前記凸曲面の形状は、前記シャフトの軸
線に略直交して交差し、且つ前記パワーローラ回転軸線
に略直交する方向に延在している線を中心位置とした曲
率半径に沿って湾曲して円筒の外周面形状を呈している
ことを特徴とする請求項1記載の摩擦車式無段変速機。 - 【請求項3】 前記ピストンボス部の当接面を平坦面と
して形成する一方、前記トラニオン側に当接部材を装着
し、この当接部材の前記ピストンボス部の当接面に対向
する面を前記凸曲面として形成したことを特徴とする請
求項1又は2記載の摩擦車式無段変速機。 - 【請求項4】 前記トラニオンの一端から突出している
前記シャフトに、前記ピストンボス部に当接するように
第1ワッシャを嵌合し、前記ピストンボス部の当接面を
平坦面として形成し、前記第1ワッシャの前記ピストン
ボス部の当接面に対向する面を前記凸曲面に形成したこ
とを特徴とする請求項1又は2記載の摩擦車式無段変速
機。 - 【請求項5】 前記トラニオンの一端から突出している
前記シャフトに、各パワーローラ間の傾転同期をとるた
めのワイヤプーリを廻り止め嵌合し、このワイヤプーリ
の抜け止めを行う第1ワッシャを、前記ピストンボス部
に対向するよ うに前記シャフトに廻り止め嵌合するとと
もに、前記ピストンボス部の当接面を平坦面として形成
し、前記第1ワッシャの前記ピストンボス部の当接面に
対向する面を前記凸曲面に形成したことを特徴とする請
求項1又は2記載の摩擦車式無段変速機。 - 【請求項6】 前記シャフトの先端部に締め付けナット
を螺合し、当該締め付けナットにより、前記シャフトに
嵌挿されているピストンボス部を前記トラニオン側に押
し付けている構造とし、当該締め付けナットと前記ピス
トンボス部の先端面との間に、前記シャフトに対して廻
り止め機能を有する第2ワッシャを配設したことを特徴
とする請求項1乃至5の何れかに記載の摩擦車式無段変
速機。 - 【請求項7】 前記締め付けナットは、前記トラニオン
が、変速比がHigh側からLow側に変化する方向に
回転するときに、締まる方向に回転するようにねじ向き
を設定していることを特徴とする請求項6記載の摩擦車
式無段変速機。
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