JP3328921B2 - 光磁気記録媒体用ターゲット - Google Patents

光磁気記録媒体用ターゲット

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JP3328921B2
JP3328921B2 JP06017496A JP6017496A JP3328921B2 JP 3328921 B2 JP3328921 B2 JP 3328921B2 JP 06017496 A JP06017496 A JP 06017496A JP 6017496 A JP6017496 A JP 6017496A JP 3328921 B2 JP3328921 B2 JP 3328921B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光磁気記録媒体の製造
に用いられるスパッタリング用ターゲットおよびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光磁気記録媒体となる希土類金属
と遷移金属との合金薄膜の製造には、ターゲットをスパ
ッタリングして薄膜化するスパッタリング法が適用され
ている。このスパッタリング用ターゲットの製造には、
例えば、特開昭63−45366号公報に記載されるよ
うに、アルゴン雰囲気下で誘導加熱炉による溶解鋳造法
を用いることができる。溶解鋳造法の利点は、酸素含有
量が低く、使用済みターゲットのリサイクルが容易であ
る点である。一方、この溶解鋳造法によって得られたタ
ーゲットは、溶解組織であるため結晶粒径が大きく、ま
た偏析が起こりやすいため組織ムラが生じやすいという
問題がある。さらに光磁気記録特性が得られる組成は、
実質的に金属間化合物となる組成であるため、溶解鋳造
法で得られたターゲットは、脆くて割れやすいという問
題がある。
【0003】近年では、上述した偏析等に起因した組織
むらを低減するために、粉末焼結による製造法が提案さ
れている。例えば、特開昭61−91336号には、ア
ーク溶解した合金インゴットを粉砕し、ホットプレスで
焼結することにより偏析を無くし均一な組織を得る製造
方法が記載されている。また、特開昭61−13963
7号には、急冷合金粉を真空中または不活性ガス雰囲気
中で焼結し、ターゲット組織の結晶粒径を20μm以下
に規定した製造方法が開示されている。この方法は、イ
ンゴット粉砕を行なって合金粉末を製造する場合よりも
焼結体の酸素量を低減することができ、脆さを低減でき
るものである。また、この特開昭61−139637号
にはターゲット組織の結晶粒径を20μm以下に規定す
ることにより、組成のむらをなくすことも提案されてい
る。これらのターゲットは、予め合金化した原料粉末を
使用することからプレアロイターゲットと呼ばれてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した特開昭61−
139637号に記載の急冷合金粉を原料として用いて
ターゲットの酸素量を減ずる方法は、ターゲットの脆さ
を改善する有効な方法である。しかし、現状ではさらな
る機械的強度の向上が求められている。このような状況
において、機械的強度を高める方法として、希土類金属
の単体と遷移金属を拡散相で結合したターゲットが、特
開昭61−119648号に提案されている。また、希
土類金属と鉄族金属との急冷凝固粉末と、鉄族金属粉末
とを接合した組織のターゲットが、特開平1−2597
7号に提案されている。このようなターゲットは、複合
ターゲットと呼ばれ、機械的強度の向上が達成できるも
のである。
【0005】最近のスパッタリングにおいては、ターゲ
ット表面に磁場を発生させ、スパッタリング中のプラズ
マを封じ込めることにより、スパッタリング速度を向上
することができるマグネトロンスパッタリング装置が用
いられている。このマグネトロンスパッタリング装置に
おいては、ターゲット表面に十分な漏洩磁束を与えるこ
とが要求される。ところが、上述した複合ターゲットに
おいては、基本的に強磁性を示す鉄族金属を組織中に残
留させるものであり、漏洩磁束が得にくいという問題が
ある。一方、前述の特開昭61−139637号等のプ
レアロイターゲットは、合金化によって透磁率が小さく
なり、上述の複合ターゲットよりマグネトロンスパッタ
リングを適用する上では有利である。
【0006】特に、高価な希土類金属を使用するターゲ
ットにおいては、一枚のターゲットをできるだけ効率良
く使用する必要があり、漏洩磁束を得にくいということ
は大きな問題である。そのため、上述の複合ターゲット
に替わって、プレアロイターゲットが見直されつつあ
る。そして、プレアロイターゲットの問題である機械的
強度のさらなる改善が強く求められるようになってき
た。本発明は、上述した問題点に鑑み、十分な漏洩磁束
を得ることができ、かつ機械的強度の高いターゲットお
よびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述したプ
レアロイターゲットの機械的強度をさらに高める方法を
ターゲットの組織との関係において詳細に検討した。そ
してターゲット組織を均一組織にするのではなく、粉末
冶金法を採用し、実質的に金属間化合物でなるプレアロ
イ化した原料粉末の形態を残した状態に焼結すれば、均
一組織とした場合に比べて機械的強度を高めることがで
きることを見出し、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明は、原子%で、15〜3
0%の希土類金属と残部遷移金属からなる合金粉末が、
実質的に合金粉末の形態を残して焼結されたターゲット
組織を有する光磁気記録媒体用ターゲットである。具体
的には、組織中に前記組成の合金原料粉末の粒子表面の
痕跡を残したターゲットである。より具体的には本発明
は、原子%で15〜30%の希土類金属と残部遷移金属
とからなる組成を有する合金粉末の形態を残した粒子状
組織が粒界相を介して連結してターゲット組織を構成し
ており、ターゲットの抗折強度が50MPa以上である
光磁気記録媒体用ターゲットである。好ましくは、ター
ゲットのミクロ組織において合金粉末間の粒界相を介し
て連結する粒子状組織は、その粒径dが実質的にd≦3
50μm、さらに望ましくは、d≦250μmの範囲内
で、かつ体積平均径davを50≦dav≦120μmとす
る。
【0009】またターゲットの密度が相対密度において
99%以上、酸素含有量が1000ppm以下とするこ
とが望ましく、さらにターゲットの抗折強度は70MP
a以上とすることが望ましい。
【0010】上述したターゲットは、例えば、あらかじ
め原子%で15〜30%の希土類金属と残部遷移金属と
からなるプレアロイ化したターゲット組成の合金粉を製
造し、次いでこの合金粉末をターゲット組成の有する液
相発現温度よりも30℃以上低い温度で、90MPa以
上の高圧下で加圧焼結するという条件で製造することが
必要となる。
【0011】
【作用】上述したように本発明のミクロ組織上の最大の
特徴は、使用する合金粉末を大きさの単位とする粒子状
組織が、粒界相を介して連結してターゲット組織を構成
するようにしたことである。従来のプレアロイからのタ
ーゲットの製造方法においては、金属間化合物組成の合
金粉末同士の焼結を進行させていくと、合金粉末界面の
拡散を通じて組織は均一になって行く。すなわち、最終
的には、元の原料粉末の形態をとどめず、粒子の境界が
なくなったものになる。従来のこの種のターゲットの代
表的ミクロ組織は、図2のようなものである。この状態
はターゲット全体を一つの金属間化合物で構成した状
態、すなわち、溶解鋳造法の組織に近づくことになり、
金属間化合物特有の脆さを有することになる。
【0012】そこで、本発明においては、均一組織にな
るまでには焼結を進行させないで、粒子状組織となる原
料粉末同士が合金粉末間に生じた粒界相を介して連結す
る状態で焼結をとどめ、焼結による拡散の進行をある程
度で中止させたものである。本発明のターゲットは、ミ
クロ組織的には、図1に代表的に示されるように、原料
粉末の表面形態がほとんど残った状態、すなわち原料粉
末の痕跡を残した状態になっている。なお、図1は、ナ
イタル液でエッチングしたものを50倍および100倍
に拡大して観察したものである。本発明の製法のよう
に、加圧焼結を用いると、圧力により個々の粉末の最外
形部は若干の変形した粒子や、若干の拡散部は認められ
るが、粒子の元の形状や大きさは焼結体である本発明の
ターゲットの50倍程度のミクロ組織からも明瞭に認め
られる。「実質的に」合金粉末の形態を残留して焼結さ
れたとは、このような状態を示すものである。この粒子
状組織の存在は、上述したエッチングによって確認され
るものであり、実質的に金属間化合物である粒子状組織
同士の間は、原料粉末から生成したエッチングが進行し
易い粒界相が形成されている。この粒界相の存在により
スパッタリング期間中の熱応力等を緩衝する領域が形成
されることとなり、ターゲットのスパッタリング期間中
の割れ、欠け等の発生を防止できるのである。また、上
述の粒界相形成はターゲット自体の機械的強度を均一組
織のターゲットよりも高めるため、ターゲット形状への
加工が容易であるとともに、ハンドリングも容易とな
る。
【0013】本発明において、本発明のターゲットを構
成する粒子状組織、すなわち、合金粉末の組成を原子%
で、15〜30%の希土類金属と残部遷移金属とからな
る組成とした。この組成範囲は、光磁気記録用媒体とし
ての実用特性(保磁力、カー回転角、キュリー温度)を
得ることができる組成範囲に対応するものである。この
組成範囲は、希土類金属と遷移金属との透磁率の低い金
属間化合物を形成する。本発明はこのような透磁率の低
い金属間化合物の粒子状組織が接合界面を介して結合し
て構成されることにより、ターゲット自体の透磁率を低
いものとすることができる。
【0014】本発明のターゲットにおいて、ミクロ組織
的に観察される粒子状組織の粒径を好ましくはd≦35
0μm、さらに好ましくはd≦250μmであり、かつ
平均体積径が50≦dav≦120μmとした。粒子状組
織の上限を350μm、好ましくは250μmとしたの
は、粒子状組織が大きくなると、結合界面の存在量が減
り、抗折力が低下し、割れが発生しやすくなるためであ
る。なお、合金粉末の同一粒径のものだけを使用すると
粒子間への充填性が劣化するため、粒径には分布をもた
せることが好ましい。また平均体積径davを50≦dav
≦120μmとしたのは、粒子状組織を微細にするため
に、原料粉末を調製する必要があるが、原料が微細にな
りすぎると酸素を含有しやすくなり、酸素の含有によっ
て脆くなる危険があるためである。また、粒径が小さす
ぎると、高密度化しようとすると拡散が進行し過ぎて粒
子状組織を保ちにくくなり、強度を低下する場合がある
ためである。なお、体積平均径は、次の式に基づく粒子
の平均径である。dav=((Σndp∧3)/Σn)∧1/3 、n:粒
子数,dp:各粒子の粒径,^:べき数を表わす
【0015】本発明のターゲットを製造する上で調製す
る原料粉末は、原料粉末の形状を実質的にとどめて、粒
子状組織となるものであり、本発明のターゲット組織の
粒子状組織の粒径を上述した範囲にするには、原料粉末
の粒径を同様に制限する必要がある。このような規定に
より、相対密度99%以上、酸素含有量が1000pp
m以下であり、抗折強度が70MPa以上であるターゲ
ットを得ることができる。
【0016】本発明の製造方法においては、上述したよ
うに粒子状組織を得るために、あらかじめ原子%で15
〜30%の希土類金属と残部遷移金属とからなるターゲ
ット組成の原料粉をプレアロイとして製造する。そして
原料粉末をターゲット組成の有する液相発現温度よりも
30℃以上低い温度で、90MPa以上の高圧下で加圧
焼結して、ミクロ組織的にターゲットを観た時に、粒子
状組織が、合金粒子間の粒界相を介して連結したターゲ
ット組織を得る。ここで重要なのは圧力と温度と組成の
関係である。液相発現温度は、組成よって大きく変動す
る。液相発現温度に近いと、固相拡散が急速に起こり、
接合界面の見えない組織となり、ターゲットの機械的強
度を低下する。また、圧力が低すぎると、焼結が進まず
空孔が存在することになり、これもターゲットとしての
十分な密度と機械強度が得られない原因となる。本発明
においては、上述した温度と圧力を満たす条件で焼結を
行い、結合界面が存在する状態で焼結を停止することが
必要である。
【0017】なお、焼結温度は、あまり低温では圧密不
足を招くため、液相発現温度よりも30〜100℃低い
温度で焼結することが好ましい。本発明の製造原料粉の
製造は、低酸素化のためには粉砕よりも、ガスアトマイ
ズや遠心急冷などの急冷凝固法が好ましい。原料粉の焼
結は、低温・高圧が要求されるため、具体的にはHIP
(熱間静水圧プレス)を用いて加圧焼結を行うことが好
ましい。HIP法により、鋳造したインゴットの密度を
100%とした時に相対密度が99%以上の高密度焼結
体を容易に得ることができる。通常のホットプレスで
は、荷重は10〜20MPa程度が限度であり、真密度
に近い高密度まで十分な圧密化を行うことが難しい。ま
た、ホットプレスは一軸方向の圧縮であるが、HIP法
は等方的な圧縮であるため焼結体に異方性がなく、機械
的強度の向上に有利である。
【0018】また、等方的な圧縮が行なえるHIP法
は、原料粉末の形状を維持して結合界面を確保するのに
有効である。ホットプレスのような一軸方向の圧縮で
は、原料粉末同士の焼結が、圧縮方向に進行するため、
密度を高めようとすると、圧縮方向の拡散が進みすぎ、
機械強度を確保するために有効な粒界相が部分的に消失
して、強度不足をまねく場合があり好ましくない。
【0019】本発明のターゲットは、光磁気特性を得る
ための遷移金属としては好ましくはFe,Co,Niの
単独または複合の鉄族元素が選択される。また光磁気特
性を得るための希土類金属としては、Nd,Gd,T
b,Dx,Ho,Ev,Tmを単独または複合で用いる
ことができる。また、光磁気記録媒体用薄膜としては、
光磁気特性の基本特性に加えて、耐食性を改善する元素
として、Ti,Al,V,Nb,Ta,Cr,Mo,
W,Pd,Ptを1種または2種以上で15原子%以下
添加することができる。具体的には、Tb 20〜30
%、Fe 60〜80%、Co 10%以下に対して、例
えばCr 1〜4%、あるいはNb 0.5〜3%を単独
または複合で添加を行なうのがよい。これらの耐食性を
改善する元素は光磁気特性にとっては好ましくないもの
であり、要求される耐食性に応じて、できるだけ少ない
量を添加する。添加する形態は、単体として添加しても
良いし、合金化して添加しても良い。
【0020】
【実施例】
(実施例1)原子%で、Tb26%、Fe68%、Co6
%の組成の希土類−遷移金属合金インゴットを真空高周
波溶解炉で製造した。チャージ重量は12kg、真空度
は6×10マイナス3乗Paであり、溶解終了後に真空
中で鋳造した。このインゴットを用いて、ルツボ底部に
溶湯滴下ノズルのついたアトマイズ装置に入れ、アルゴ
ンガスアトマイズにより粉末化した。ふるい分級により
原料粉の粒径を調整した。なお、沈降式粒度測定装置に
より、原料粉末の最小粒径dminおよび最大粒径dmax、
体積平均径davを求めた。得られた粉末は3元合金であ
り、正確な液相発現温度は不明であるが、状態図におい
て、鉄族の主構成元素であるFeとTbの2元状態図に
より、液相発現温度を1187℃とした。
【0021】次に、この粉末を軟鋼カプセルに封入して
熱間静水圧プレス(HIP)焼結を行い、ターゲット素材
とした。HIP条件は温度1140℃、圧力100MP
a、2時間保持である。得られた、ターゲット素材を、
硝酸5%のエチルアルコール溶液(ナイタル液)を用い
て、表面をエッチングしてから、50倍もしくは100
倍でのミクロ組織観察を行ない、インターセプト法によ
り、抽出した粒子から粒子の体積平均径を求め、粒子状
組織の体積平均径を求めた。また、機械強度として抗折
強度の測定を行うとともに、酸素量の測定、密度の測
定、比透磁率の測定を行なった。また、比較例として、
HIP温度を高めた例を試料No.2、および溶解により製
造した同組成のターゲットを試料No.3を製造した。これ
らのターゲットについても同様の測定を行った。これら
の結果を表1および表2にまとめて示す。なお、密度は
ガスアトマイズ前に製造した鋳造インゴットの密度を10
0%としたときの相対密度である。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】また、これら1〜3の試料のエッチングを
行って組織を観察したときの金属ミクロ組織写真をそれ
ぞれ図1、図2および図3に示す。図1〜図3を比較す
ると、本発明の試料No.1を示す図1では、焼結原料粉末
の形状を実質的に維持して粒子状組織となり、この粒子
状組織が合金粒子間の粒界相を介して連結してターゲッ
ト組織を構成していることが分かる。これに対して、試
料No.2を示す図2に示すHIP温度の高いターゲット
は、エッチングによっても粒子状組織の境界を特定する
ことができないものである。そしてこの組織のターゲッ
トは、本発明の試料No.1のターゲットに比べて抗折強度
が低下していることがわかる。
【0025】一方、従来技術の一つである鋳造ターゲッ
トの試料No.3は、酸素量は低いものの、図3に示す様に
偏析のある鋳造組織になり好ましくないことがわかる。
また、抗折強度も本発明の試料No.1のターゲットに比べ
て大きく低下することがわかる。また、比透磁率の測定
結果より、本発明の試料No.1は低い比透磁率と高い抗折
強度を兼ね備えており、マグネトロンスパッタリングに
好適であることがわかる。
【0026】(実施例2)表3に示す組成および粒径の原
料粉末を実施例1と同様に製造した。表3に示す液相発
現温度は、Gd、TbおよびDyの希土類金属のうち最
も含有量の多い元素が希土類金属の総量分を含むとし、
残部Feと仮定して2元状態図から決定したものであ
る。この粉末を軟鋼カプセルに封入して熱間静水圧プレ
ス(HIP)焼結を行い、ターゲット素材とした。HIP
条件は100MPa、2時間で、温度は表3に示す通り
である。
【0027】得られた、ターゲット素材を、硝酸5%の
エチルアルコール溶液を用いて、表面をエッチングして
から、インターセプト法により、抽出した粒子から粒子
の体積平均径を求め、粒子状組織の体積平均径を求め
た。また、機械強度として抗折強度の測定を行うととも
に、酸素量の測定、密度の測定、比透磁率の測定をおこ
なった。なお、原料に細粒を用いた試料No.9は、HIP
温度をやや低めてある(1100℃)。これらの結果を
表4にまとめて示す。なお、密度は鋳造ターゲットの密
度を100%としたときの相対密度である。
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】得られた本発明のターゲットをエッチング
した時の組織は、実施例1で観察された図1に示すよう
な粒子状組織と合金粒子間の粒界相が確認されたもので
ある。表2および表3に示すように、他の試料よりも原
料の体積平均径が小さく、ターゲット組織中の粒子状組
織の体積平均径が小さい、試料No.9は酸素量が増加し、
抗折強度がやや低下する傾向が見られる。また、他の試
料よりも原料の平均粒径が大きく、ターゲット組織中の
粒子状組織が大きい試料No.7は、酸素量は低いが、抗折
力がやや低下する傾向があり、またターゲットとしての
密度もやや低くなる傾向があった。これに対し、d≦2
50μmの範囲内で、かつ粒子状組織の体積平均径dav
がほぼ50≦dav≦120μmである試料No.4,5,6,8
は、抗折力が高く機械強度の高いターゲットが得られた
ことが分かる。また、それぞれの試料とも比透磁率が5
以下と低く、マグネトロンスパッタリングに好適なもの
となった。
【0031】(実施例3)原子%で、Tb25%、Fe7
0%、Co5%の組成の希土類−遷移金属合金インゴッ
トを真空高周波溶解炉で製造した。チャージ重量は12
kg、真空度は6×10マイナス3乗Paであり、溶解
終了後に真空中で鋳造した。この組成において、実施例
1と同様に液相発現温度を決定すると1187℃であ
る。原料粉末の影響を見るために、まず、このインゴッ
トを用いて、ルツボ底部に溶湯滴下ノズルのついたアト
マイズ装置に入れ、アルゴンガスアトマイズにより原料
粉末(以下アトマイズ粉)を得た。また、同様の原料溶湯
を回転ディスクに適下して遠心急冷して原料粉末(遠心
急冷粉)を得た。またインゴットをボールミル粉砕して
原料粉末(粉砕粉)を得た。これらの原料粉末はふるい分
級により原料粉の粒径を調整し、最大粒径250μm、
最小粒径15μm、平均粒径90μmに調製した。
【0032】また、焼結法としては、1120℃のHI
Pを実施例1と同様に適用して焼結圧密化したもの、1
0マイナス3乗Pa以下の真空下で20MPa、112
0℃、2時間保持のホットプレス(HP)を行ったも
の、およびCIP(冷間静水圧プレス)法により300M
Paで予備成形を行い、10マイナス3乗Pa以下の真
空炉中で1120℃で2時間加熱した常圧焼結法を用い
た。原料粉末の製造方法および焼結法を変えた場合に得
られるターゲットの特性を実施例1と同様に評価した。
結果を表5に示す。なおこの条件においては、エッチン
グにより、粒子状組織が確認された。
【0033】
【表5】
【0034】表5に示す試料No.11,15に示すように、焼
結時の圧力の低いホットプレス(HP)では、この条件では
密度を高めることができないものであった。また、試料
No.13に適用した常圧焼結法はホットプレス法よりもさ
らに低密度のターゲットしか得られず、抗折強度も著し
く小さい値になり、好ましい方法ではないことがわか
る。また、粉末の製造方法としては、急冷凝固法である
アトマイズ法および遠心急冷法を適用するとターゲット
中の酸素量を低く抑えることができ、粉砕法に比べて好
ましいことがわかる。
【0035】(実施例4)表6に示すように、合金粉末お
よびCrおよびNb粉末を準備した。合金粉末は実施例
3と同様のガスアトマイズ法で製造した粉末であり、合
金粉末の粒径はふるい分級により原料粉の粒径を調整
し、最大粒径250μm、最小粒径15μm、平均粒径
90μmに調製した。またCrおよびNbは市販の粒径
44μmアンダーの粉末である。これらの粉末を単体粉
末もしくは混合粉末として表6に示す組成に調製した。
これら粉末を軟鋼カプセルに封入して熱間静水圧プレス
(HIP)焼結を行い、ターゲット素材とした。HIP条
件は100MPa、2時間、1120℃である。得られ
たターゲットを実施例1と同様に評価した。結果を表7
に示す。なお、焼結した得られたターゲットのミクロ組
織においては、粒子状組織が存在していることを確認
し、その粒子状組織の粒径を評価した。
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】表6および表7に示すように、CrおよびNb
を添加した場合でも、抗折強度70MPa以上で比透磁率
が5以下という、高い抗折強度と低い比透磁率を兼ね備
えたターゲットが得られたことがわかる。なお、Crおよ
びNbを粉末として混合して得た場合には、組織中にCrお
よびNbの単体相が残留していることが確認された。ター
ゲット中の異相の存在は、スパッタリング期間中のエロ
ージョンの進行の均一化を妨げる恐れがあるため、Crお
よびNbは、単体としてではなく、合金粉末として予め導
入しておくことが望ましい。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、均一な組織にするので
はなく、原料粉末の形態を残した組織とすることによ
り、透磁率の低いプレアロイターゲットの抗折強度を特
に高いものとすることができる。したがって、本発明の
ターゲットは高強度であると共に、マグネトロンスパッ
タリングに必要なターゲット表面の漏洩磁束を低透磁率
とすることにより十分に確保することが可能となる。そ
のため、ターゲットの使用効率が高まるとともに、スパ
ッタリング中の異常放電等を防止することができる。ま
た、本発明の方法によれば、高い抗折強度に加えて、高
密度化も達成できるため、加工割れ防止、汚染物質の混
入防止、さらなる使用効率の向上(長寿命化)および異
常放電の防止が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のターゲットの金属焼結ミクロ組織を示
す写真である。
【図2】比較例のターゲットの金属焼結ミクロ組織を示
す写真である。
【図3】比較例の溶製法によるターゲットの金属ミクロ
組織を示す写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G11B 11/105 546 G11B 11/105 546K (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 14/58 B22F 1/00 - 8/00 C22C 1/04 - 1/05 C22C 33/02

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子%で、15〜30%の希土類金属と
    残部遷移金属からなる合金粉末が実質的に合金粉末の形
    態を残して焼結されたターゲット組織を有することを特
    徴とする光磁気記録媒体用ターゲット。
  2. 【請求項2】 原子%で、15〜30%の希土類金属と
    残部遷移金属からなる焼結体であって、前記焼結体をミ
    クロ組織的に観察した時に、組織中に前記組成の合金原
    料粉末の粒子表面の痕跡を残していることを特徴とする
    光磁気記録媒体用ターゲット。
  3. 【請求項3】 原子%で、15〜30%の希土類金属と
    残部遷移金属とからなる組成を有する合金粉末の形態を
    残した粒子状組織が粒界相を介して連結したターゲット
    組織を構成しており、ターゲットの抗折強度が50MP
    a以上であることを特徴とする光磁気記録媒体用ターゲ
    ット。
  4. 【請求項4】 ターゲットのミクロ組織において合金粉
    末間の粒界相を介して連結する粒子状組織は、その粒径
    dが実質的にd≦350μmであることを特徴とする請
    求項3に記載の光磁気記録媒体用ターゲット。
  5. 【請求項5】 粒子状組織の粒径dは、d≦250μm
    の範囲内で、かつ粒子状組織の体積平均径davが50≦
    dav≦120μmであることを特徴とする請求項1ない
    し4のいずれかに記載の光磁気記録媒体用ターゲット。
  6. 【請求項6】 ターゲットの密度が相対密度において9
    9%以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項
    5のいずれか記載の光磁気記録媒体用ターゲット。
  7. 【請求項7】 ターゲットの酸素含有量が1000pp
    m以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項6
    のいずれか記載の光磁気記録媒体用ターゲット。
  8. 【請求項8】 ターゲットの抗折強度が70MPa以上
    であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいず
    れかに記載の光磁気記録媒体用ターゲット
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