JP3324852B2 - 水棲生物付着防止効果を有する繊維および繊維製品 - Google Patents

水棲生物付着防止効果を有する繊維および繊維製品

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海水や淡水に長期間浸
漬接触して使用された時に、水棲生物の付着が極めて少
ない繊維、およびそれを含む繊維製品に関する。
【0002】
【従来の技術】海水や淡水中で長期間使用される繊維製
品としては、たとえば漁業用定置網、養畜魚介類用いけ
す網等の水産用繊維製品;航路浮標、灯浮標、ブイ等の
係留に使用されるロ−プ;土木用に使用される汚濁防止
繊維膜等がある。これらの繊維製品は、海水や淡水に長
期間接触するうちに、その表面に種々の水棲生物、たと
えばアオサやケイソウ等の藻類、イソギンチャク等の腔
腸動物、イソカイメン等の海綿動物、ウズマキゴカイ等
の環形動物、コケムシ等の触手動物、フジツボ等の節足
動物、ホヤ等の原索動物、ムラサキイガイ等の軟体動物
が付着し生息するようになる。
【0003】そして、これらの水棲生物の付着によっ
て、たとえば定置網では重量増加に伴う網の沈下、水流
抵抗増大による網の流失、接触・屈曲による網の破損、
捕獲した魚介類の損傷等の問題が生じている。また、い
けす網の場合、重量増大による網の沈下の他に、海水や
淡水の流動性低下による酸素欠乏、種々の水棲生物によ
る養畜魚介類の被害等の大きな障害等をきたすこととな
る。
【0004】海水や淡水に長期間接触して使用される繊
維製品への水棲生物の付着を防止するための対策とし
て、これまでトリブチルスズオキサイド、トリフェニル
スズオキサイド、トリフェニルスズアセテ−ト、トリフ
ェニルスズクロライド等の有機スズ化合物で繊維製品を
処理する方法が広く採用されてきた。しかしながら、有
機スズ化合物の使用は、繊維製品を処理する際に激しい
不快臭や刺激臭を伴い、作業環境を劣悪にするという問
題があった。しかも、有機スズ化合物が魚介類の体内に
異常に蓄積されると、魚介類の奇形や死滅等の重大な障
害を招き、人間がそのような魚介類を摂取した場合には
人体に多大な悪影響を及ぼすことが近年明らかにされて
いる。したがって、有機スズ化合物で処理された繊維製
品の使用は自主規制されるようになっており、全面禁止
となる傾向にある。
【0005】そこで、上記のような大きな弊害を伴う有
機スズ化合物に代わり得る技術の一つとして、水棲生物
に対して付着阻害効果を有する銅、銀、亜鉛、ニッケル
などの金属、それらの化合物、または窒素系、硫黄系、
ハロゲン系等の有機化合物を使用する方法がある。そし
てこれらを繊維製品に付与する手段としてそれらの粉末
を天然樹脂、合成樹脂等からなる塗料に混合し、これを
繊維表面に塗装した後硬化させる方法がある。しかしな
がら、この方法は繊維が硬くなるため、撚糸・整経・製
織・製網等の加工性および使用時の作業性が劣ること、
また表面の粗さが原因で養畜魚介類を損傷すること等の
不都合が生じる。さらに、磨耗等によって比較的短期間
に有効成分および塗膜が脱落し、水棲生物の付着防止効
果が消失してしまう。
【0006】また、付着阻害効果を有する金属類、それ
らの化合物、または有機化合物の粉末を合成繊維の内部
に含有させる方法もあるが、十分な効果を奏する量を含
有させた場合は紡糸性・延伸性等の工程性、繊維の強
度、耐久性において実用に供することのできるものが得
られず、更に繊維の表面層に存する有効成分のみが効果
に寄与するだけであるので、結局は短期間に水棲生物の
付着防止効果が消失してしまう。
【0007】さらには、合成繊維、たとえばポリエステ
ルモノフィラメントにポリシロキサンを含有させる方法
も提案されているが(特開昭60−81312号公
報)、かかる方法では水棲生物の付着防止効果は奏せて
も、その効果が長期間に亘って持続しないという欠点を
有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、魚介
類や人体に対する安全性がより高く、耐久性があり、水
棲生物の付着を長期間に亘って防止できる繊維、および
それを含む繊維製品を提供することにある。また、本発
明の目的は、繊維製品が粗くなったり硬くならず、捕獲
または養畜した魚介類の損傷を招かない水棲生物の付着
防止用の繊維およびそれを含む繊維製品を提供すること
にある。さらに、本発明の目的は、撚糸、整経・製織・
製網等の加工性がよく、使用時に作業性のよい網や綱等
の繊維製品に用いられる繊維、およびそれを含む繊維製
品の提供をも目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】 上記の目的は、ト−レ
シリコ−ンSF8416(商品名、東レ・ダウコーニン
グ・シリコーン(株)製)、ト−レシリコ−ンSH20
3(商品名、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)
製)及び信越シリコ−ンKF410(商品名、信越化学
工業(株)製)からなる群より選ばれる少なくとも1種の
アルキル変性シリコ−ン化合物、下記式〔I〕で示され
るシリコ−ン化合物、ならびに液状飽和炭化水素を、合
計量として0.1〜60重量%含有してなる熱可塑性樹
脂からなる水棲生物付着防止効果を有する繊維を提供す
ることによって達成される。
【0010】
【化2】 (R1 は炭素原子数1〜2の置換または非置換のアルキ
ル基あるいはアリール基を、Arはアリ−ル基を示し、
mは0または1以上の整数、nは0または1以上の整
数、xは1以上の整数である。)
【0011】本発明において、式〔I〕で示されるシリ
コ−ン化合物としては、熱可塑性樹脂の紡糸温度におい
て揮発しにくいものが好適である。とくに150℃で2
4時間加熱処理した際の減量率が1重量%以下のものが
好ましい。また、該化合物〔I〕の25℃における粘度
が1000センチスト−クス以上であることが好まし
く、5000〜1000000センチスト−クスの範囲
であることがより好ましい。該化合物〔I〕の粘度が1
000センチスト−クス未満の場合、効果の持続性が低
下してくる傾向が認められた。これは、該化合物〔I〕
の粘度があまりにも低いと、該化合物〔I〕自身の繊維
中での移行が発生しやすく、海水中で繊維から抜け出や
すくなり、繊維表面での存在量が減少してくるためと推
定される。また該化合物〔I〕の粘度が低くなると、繊
維を構成する熱可塑性樹脂との相分離が一層進行し、紡
糸性、延伸性が著しく低下するのみならず、該化合物
〔I〕が繊維製品を製造する工程において熱履歴を受け
る過程で繊維表面への移行が進み、繊維製品の風合上か
らも好ましくない。
【0012】式〔I〕で示されるシリコ−ン化合物の具
体例としては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポ
リシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等を挙げ
ることができる。
【0013】本発明において、アルキル変性シリコ−ン
化合物を熱可塑性樹脂に含有させることにより、式
〔I〕で示されるシリコ−ン化合物および液状飽和炭化
水素を多量に熱可塑性樹脂内に含有させることができ、
しかも繊維に撥水性を付与することができる。アルキル
変性シリコ−ン化合物の25℃における粘度は500〜
1500センチスト−クスであり、好ましくは700〜
1200センチスト−クスの範囲である。この範囲外の
粘度を有するアルキル変性シリコ−ン化合物を用いる
と、化合物〔I〕および液状飽和炭化水素との相溶性が
悪くなり、効果が低下する。
【0014】このようなアルキル変性シリコ−ン化合物
として、市販のト−レシリコ−ンSF8416、ト−レ
シリコ−ンSH203(いずれも東レ・ダウコーニング
・シリコーン(株))、信越シリコ−ンKF410信越
化学工業(株)等を挙げることができる。
【0015】次に、液状飽和炭化水素としては、融点が
40℃以上であってかつ沸点が120℃以上である化合
物を用いることが好ましい。粘度は25℃で1000セ
ンチスト−クス以下、好ましくは700センチスト−ク
ス以下である。また、粘度が1000センチスト−クス
を越える場合、本発明の効果の持続性が低下してくる。
これは、例えば化合物として流動パラフィンを用いた場
合、その粘度があまり高いと流動パラフィンが化合物
〔I〕およびアルキル変性シリコ−ン化合物と繊維中で
相分離を生じ、水棲生物の付着防止効果が減少するため
と推測される。また、この化合物の粘度の下限はとくに
限定されないが、粘度があまり低くなると、紡糸性、延
伸性が著しく低下するのみならず、熱可塑性樹脂中の該
化合物が繊維製品を製造する工程で熱履歴を受け、繊維
表面へ移行しすぎ、繊維製品の風合が劣るため、1.0
センチスト−クス以上であることが好ましい。
【0016】液状飽和炭化水素の具体例としては、オク
タン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデ
カン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘ
プタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、
イソノナン等の炭素数8〜20の脂肪族飽和炭化水素、
ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ブチ
ルシクロヘキサン等の炭素数8〜20の脂環式飽和炭化
水素が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上混合し
て用いることができる。また、石油から分離した流動パ
ラフィンを使用することもできる。かかる化合物の融点
は上述したように、40℃以下、好ましくは25℃以
下、沸点は120℃以上、好ましくは150℃以上であ
る。融点が40℃を越えると、本発明の効果の持続性が
低下する。また、化合物の沸点が120℃未満である場
合、防汚効果の持続性が極めて短い。
【0017】熱可塑性樹脂中へのこれらの含有量は、式
〔I〕で示される化合物〔I〕、アルキル変性シリコ−
ン化合物および液状飽和炭化水素の合計量として0.1
〜60重量%、好ましくは1〜50重量%である。上述
したように、アルキル変性シリコ−ン化合物は化合物
〔I〕および液体飽和炭化水素を多量に熱可塑性樹脂に
含有させ得るための溶媒的働きをするものであり、上記
の合計量の範囲内で化合物〔I〕および液状飽和炭化水
素を多量に含有させることができる量であれば、とくに
限定されるものではないが、アルキル変性シリコ−ン化
合物:化合物〔I〕:液状飽和炭化水素=1:(1〜1
0):(1〜10)〈重量比〉であることが好ましい。
これらの化合物の合計量が0.1重量%未満であると、
海水中における熱可塑性樹脂からなる繊維表面でのこれ
らの化合物の存在量が維持されないため、十分な防汚効
果、除放効果を得ることができず、逆に合計量が60重
量%を越えると繊維強度が低下するとともに、溶融紡糸
工程でのフィルタ−詰まりや毛羽断糸を起こしやすくな
る。
【0018】また、上記の化合物は後述する防汚剤を併
用させることにより、長期間に亘って水棲生物の付着防
止効果を持続させることができる。このような防汚剤と
しては、水棲生物の阻害効果を有する金属、それらの粉
末、それらの合金、それらの化合物、あるいはかかる効
果を有する有機化合物を挙げることができ、金属とし
て、銅、銀、亜鉛、錫、ニッケル等を挙げることができ
る。また金属化合物としてはこれらの金属の酸化物、ハ
ロゲン化物、硫化物、および各種塩類等が挙げられ、有
機化合物として、たとえば2,4,5,6−テトラクロ
ロイソフタロニトリル、ジメチルジチオカルバミン酸
銅、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、N−フルオロジ
クロロメチルチオフタルイミド、N,N−ジメチル−N
´−フェニル−N´−フルオロジクロロメチルチオスル
フォアミド、ジクロロフェニルジメチル尿素、ビス−2
−ピリジルチオ−1−オキシド亜鉛、2,4−チアゾリ
ル−ベンズイミダゾ−ル、2−n−オクチル−4−イソ
チアゾリン−3−オン、N−(2´,6´−ジエチルフ
ェニル)2,3−ジクロロマレイミド、4−クロロフェ
ニル−3−ヨ−ドプロパギルホルマ−ル、ジヨ−ドメチ
ル−p−トリスルホン等が挙げられる。これらの金属、
金属化合物、または有機化合物は単独でもしくは2種以
上を適宜組み合わせて用いることができる。なかでも金
属、金属化合物、有機ハロゲン系化合物、有機窒素硫黄
系化合物またはこれらの組み合わせが生物全般(動物、
植物、微生物等)を除去できることから好ましい。
【0019】防汚剤として金属またはそれらの合金、そ
れらの化合物を使用する場合はその平均粒径が5μm以
下、特に1μm以下であることが、溶融紡糸時のフィル
タ−詰まりや毛羽・断糸を起こしにくいので好ましい。
【0020】防汚剤の繊維への添加量は0.01〜60
重量%、好ましくは0.1〜50重量%、特に好ましく
は1〜30重量%が望ましい。極微量の防汚剤が繊維中
に含有されているだけで水棲生物の付着防止効果を奏す
るが、実用上必要な数か月以上の水棲生物の付着防止効
果を維持させるためには0.1重量%以上の添加が好ま
しい。また防汚剤の繊維への添加量が60重量%を越え
ると溶融紡糸時にフィルタ−詰まりや毛羽断糸を起こし
易く、得られた繊維も硬くなって製網、製綱がしにくく
なる。
【0021】本発明の熱可塑性樹脂としてはポリエチレ
ンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト等のポ
リエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12
等のポリアミド;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポ
リオレフィン;ポリウレタン;ポリアクリレ−ト;ポリ
塩化ビニル,ポリ弗化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、テ
トラクロロエチレン等の弗素系化合物;ポリビニルアル
コ−ル;エチレン−ビニルアルコ−ル系共重合体などの
繊維形成性樹脂が挙げられ、これらは単独でも2種以上
の混合物、共重合体であってもよい。またこれらの樹脂
には、蛍光増白剤、導電性改良剤、紫外線吸収剤等の改
質剤、着色顔料、安定剤、難燃剤等の添加剤が含有され
ていてもよい。
【0022】本発明の繊維の断面形状はどのようなもの
であってもよく、円形または異形の形状とすることがで
きる。異形断面の場合は、たとえば偏平形、楕円形、三
角形〜八角形等の角形、T字形、3〜8葉形等の多葉形
等の任意の形状とすることができる。
【0023】また、本発明の繊維は上記化合物および防
汚剤が添加されている熱可塑性樹脂を含む2種類以上の
熱可塑性樹脂が複合された形態を有していてもよい。複
合繊維の形態は芯鞘型、海島型、貼合型、それらの混在
型等の任意の形態にすることができる。芯鞘型の場合は
2層芯鞘型および3層以上の多層芯鞘型のいずれでもよ
い。海島型の場合は島の形状、数、分散状態を任意に選
ぶことができる。貼合型の場合は繊維の断面において貼
合面が直線状、円弧状、その他任意のランダムな曲線状
のいずれの状態になっていてもよく、複数の貼合部分が
互いに平行になっていても、放射線状になっていても、
その他任意の形状であってもよい。そして、そのような
複合繊維においては化合物〔I〕、アルキル変性シリコ
−ン化合物、液状飽和炭化水素、および防汚剤が添加さ
れている熱可塑性樹脂が繊維断面の20%以上の面積を
有していることが好ましく、特にこれらの化合物が添加
されている熱可塑性樹脂の一部が繊維表面の一部または
全部に露出していることが、水棲生物の付着防止効果の
点で好ましい。
【0024】さらに、本発明の繊維形状はフィラメント
等の長繊維;ステ−プル等の短繊維;フィラメント糸;
紡績糸;本発明の繊維と天然繊維、半合成繊維、他の合
成繊維との混繊糸や混紡糸;合撚糸;天然繊維、合成繊
維、再生繊維、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維等から
なる紡績糸、フィラメント糸等を芯糸として用い、この
芯糸の周囲に本発明の繊維からなる紡績糸またはフィラ
メント糸をコイル状に巻き付けたコアヤ−ン、もしくは
溶融押出被覆法によって上記化合物および防汚剤が添加
されている熱可塑性樹脂を被覆したカバ−ヤ−ンなどの
いずれでもよい。本発明の繊維は仮撚捲縮加工、交絡処
理等の任意の処理を施してあってもよい。また本発明の
繊維製品はそれらの繊維や糸からなる編織物、不織布、
最終的な魚網、ロ−プ、紐等の繊維製品のいずれでもよ
い。
【0025】次に、本発明の繊維の製造方法について一
例を挙げて説明する。熱可塑性樹脂がポリエチレンテレ
フタレ−ト等のポリエステルの場合、上記化合物および
防汚剤をポリエステルの重合完了から紡糸直前までの間
に任意に添加して混練した後、ノズル孔から押し出して
繊維化する方法が、樹脂の粘度低下、副反応、可塑剤の
分解等の問題が生じない点で好ましい。
【0026】ポリエステルの重合完了後、一旦ペレット
の形状に成形する工程を得る場合は、重量完了後に上記
化合物および防汚剤を添加し、混練攪拌後ペレット化し
てもよいが、樹脂の粘度低下、均一分散の困難さ、重合
釜の汚染等の点で、紡糸時、すなわち該ペレットを再溶
融した樹脂溶融流体中に上記化合物、および防汚剤を添
加し、その後スタティックミキサ−によって混練して紡
糸ノズル孔から押し出し繊維化する方が好ましい。ポリ
エステルの重合前に上記化合物および防汚剤を各単量体
と共に添加すると副反応等の問題が生じるので好ましく
ない。
【0027】ポリエステルの重合完了後ペレット化する
工程を経ず、連続的に溶融樹脂を紡糸ノズルへ供給して
吐出させるような連続プロセスにおいては、重合完了か
ら紡糸直前までの任意の段階で、溶融樹脂中へ上記化合
物および防汚剤を添加し、次いでスタティックミキサ−
で混練した後紡糸ノズル孔から吐出させるのが好まし
い。
【0028】熱可塑性樹脂としてポリオレフィンを用い
た場合、二軸混練押出機で上記化合物および防汚剤をポ
リオレフィンとともに均一に混練してペレット化し、そ
のペレットを用いて紡糸して繊維化することができる。
【0029】このようにして得られた繊維は、繊維表面
に水棲生物付着防止効果を有し、さらに付着性水棲生物
に対して付着阻害効果を有する防汚剤を含有させた場合
には水棲生物付着防止効果を長期に亘って持続させるこ
とができ、上記化合物を多量に含有しているにもかかわ
らず、強度、耐久性、柔軟性を有しており、加工性にも
優れている。
【0030】本発明の繊維、糸、繊維製品は海水や淡水
に長期間接触して使用される漁業用定置網、養畜魚介類
用生簀、海水や淡水の濾過フィルタ−等の水産用繊維製
品;航路浮標、灯浮標、ブイ等の係留に使用されるロ−
プ;土木用に使用される汚濁防止繊維膜等を構成する原
料繊維あるいは原料繊維製品として有効に使用すること
ができる。また、本発明の繊維、糸、繊維製品は水中に
おける用途のみならず、真菌類、細菌類に対しての抗
菌、殺菌力を利用した靴下、壁紙等に応用することもで
きる。
【0031】以下、実施例により本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるもので
はない。実施例における化合物の各物性、ポリエステル
の極限粘度は下記の方法にて測定した。 (1)液状飽和炭化水素の融点ならびに沸点(℃) 加熱ブロック型微量融点測定器およびコットレル沸点測
定器を用いてJIS K 6810に準拠して測定し
た。 (2)シリコ−ン化合物の粘度(センチスト−クス:c
St) 所定温度における動的粘度を、ウベロ−デ粘度計により
測定した極限粘度([η]:dl/g)を密度(ρ:g
/cm3 )で除して算出した。 (3)ポリエステルの極限粘度(dl/g) フェノ−ルとテトラクロルエタンとの等溶混合溶媒を用
い、30℃の恒温槽中でウベロ−デ粘度計により測定し
た。
【0032】また実施例、比較例における水棲生物の付
着状況は以下の基準により目視で評価した。各網地を4
月から3年間、瀬戸内海の水深1〜2mの位置に浸漬し
て海棲生物の付着状況を調べた。段階 状 況
1 : 撚糸の表面積全体が付着生物に覆われている。 2 : 撚糸の表面積の約8割が付着生物に覆われてい
る。 3 : 撚糸の表面積の約4割が付着生物に覆われてい
る。 4 : 撚糸の表面積の約2割が付着生物に覆われてい
る。 5 : 生物の付着が全く観察されない。
【0033】実施例1〜4および比較例1 低密度ポリエチレン(融点105℃、MI:30g/1
0分;住友化学、スミカセンG804)に、表1に示す
化合物を配合させ、東洋精機社製のラボプラストミルで
混練し、この混練物を用いて10t/m片撚糸1000
デニ−ル/192フィラメントのポリエステルフィラメ
ント100重量部に対し150重量部の割合で被覆し、
ついで該被覆フィラメントを直径2mmの綱状となるよ
うに撚糸し、さらに1目5cmの蛙又網に製網した。こ
れらの網地の評価を行ない、結果を表2に示す。
【0034】実施例5〜6および比較例2 実施例1において、低密度ポリエチレンの代わりに極限
粘度が0.90dl/gのポリヘキサメチレンテレフタ
レ−トを用いた以外は同様にして、ポリエステル系樹脂
被覆糸からなる網地を得た。なお、実施例6および比較
例2で使用した化合物を表1に示す。これらの網地の評
価を行ない、結果を表2に示す。
【0035】実施例7および比較例3 酸化チタンを0.45重量%含有する極限粘度0.65
dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト(PET)を、
30φ押出機にて押出し、PETの溶融ポリマ−ライン
に表1に示す化合物を、120℃で予め絶乾および脱泡
した後注入し、その後ケ−ニクス社製の42エレメント
スタチックミキサ−で混練し、丸孔ノズルより吐出し紡
糸した。該紡糸原糸をロ−ラ−プレ−ト方式で通常の条
件により延伸し、75デニ−ル/36フィラメントのマ
ルチフィラメントを得、これを用いて直径2mmの綱状
となるように撚糸し、1目5cmの蛙又網に製網した。
これらの網地の評価を行ない、結果を表2に示す。
【0036】実施例8 実施例7において、表1に示す化合物を用いる以外は同
様にして紡糸・延伸、撚糸し、蛙又網に製網した。これ
らの網地の評価を行ない、結果を表2に示す。
【0037】なお、網地の強度は1g/d以下のものを
×、1g/dを越えるものを○として示した。また、工
程性は撚糸、製綱時に断糸が生じ製綱することができな
いものを×、製綱することがかろうじてできたものを
△、順調に製綱することができたものを○として評価し
た。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】表2の結果から、上述の化合物を含有した
熱可塑性樹脂繊維からなる網地は、3年間海水中に浸漬
していても海棲生物の付着が少なく、長期間に亘って使
用することができる。
【0041】
【発明の効果】本発明の繊維および繊維製品は、魚介類
や人体に対する安全性が高く、繊維製品からの防汚剤の
溶出、脱落が少ないために耐久性があり、水棲生物の付
着を長期に亘って防止できる。さらに、本発明の繊維お
よび繊維製品はその表面が滑らかであり、柔軟性に富ん
でいるので捕獲または養畜した魚介類の損傷を招かず、
撚糸、整経、製織、製編、製綱等の加工性がよい。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ト−レシリコ−ンSF8416(商品
    名、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、ト
    −レシリコ−ンSH203(商品名、東レ・ダウコーニ
    ング・シリコーン(株)製)及び信越シリコ−ンKF4
    10(商品名、信越化学工業(株)製)からなる群より選
    ばれる少なくとも1種のアルキル変性シリコ−ン化合
    物、下記式〔I〕で示されるシリコ−ン化合物、ならび
    に液状飽和炭化水素を、合計量として0.1〜60重量
    %含有してなる熱可塑性樹脂からなる水棲生物付着防止
    効果を有する繊維。 【化1】 (R1は炭素原子数1〜2の置換または非置換のアルキ
    ル基あるいはアリール基を、Arはアリ−ル基を示し、
    mは0または1以上の整数、nは0または1以上の整
    数、xは1以上の整数である。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の繊維からなる繊維製品。
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