JP3313635B2 - 汚染金属の除去方法及び結合生成物の処理方法 - Google Patents

汚染金属の除去方法及び結合生成物の処理方法

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JP3313635B2 JP34780297A JP34780297A JP3313635B2 JP 3313635 B2 JP3313635 B2 JP 3313635B2 JP 34780297 A JP34780297 A JP 34780297A JP 34780297 A JP34780297 A JP 34780297A JP 3313635 B2 JP3313635 B2 JP 3313635B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、汚染金属の除去方
法及び結合生成物の処理方法、特に半導体装置の製造工
程に適用することが可能な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】CZ−Si基板表層部の結晶晶質改善を
目的として、ベアSi基板を水素或いはArガス雰囲気
中で熱処理を施した基板が利用されている。しかしなが
ら、これらの熱処理基板は熱処理を施さない基板に比べ
て金属汚染量(特にCu、Fe)が多いという問題があ
る。金属汚染量は熱処理雰囲気ガスの組成に依存するこ
とも明らかになっており、Ar雰囲気での熱処理の方が
水素雰囲気での熱処理に比べて金属汚染量が少ない。
【0003】また、熱処理炉を多重管構造にして各管間
の空隙に不活性ガスを給排することにより、炉壁を透過
する重金属を排気して基板の金属汚染を防止する装置も
実用化されているが、不活性ガスはキャリアガスとして
機能するものであり、十分に金属汚染を防止できていな
い。金属の汚染源については明確にはなっていないが、
ヒーター等炉心管外部の金属が炉壁を透過してくる場
合、或いは炉材中に不純物として含まれる金属が拡散し
てくる場合などは、金属酸化物として熱処理ガスに混入
することが考えられる。また、Si基板から放出された
酸素原子/分子が金属原子と結合して金属酸化物を形成
することも考えられる。
【0004】また、成膜装置やエッチング装置において
は、処理槽、搬送室或いはロードロック室の内壁は金属
材料例えばアルミニウムにより形成され、その内壁は研
磨された後に金属酸化膜やSiCでコーティングされて
いる。この金属酸化膜やSiCにより、処理槽等の壁面
からゴミ、特に重金属が放出されて基板表面に付着する
ことを防止するようにしている。しかしながら、その雰
囲気制御については、被処理基板表面のSiや金属の自
然酸化防止を目的とした残留酸素や残留H2 Oの制御に
重点が置かれているに留まり、処理槽内壁より放出され
る重金属を基板から積極的に遮蔽及び除去することを意
図した雰囲気制御は行われていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、微
量の重金属汚染が半導体装置、特にトランジスタ等の能
動素子の素子特性及び信頼性に影響を及ぼすことが認識
されているにも拘らず、従来は汚染金属が半導体基板に
到達することを十分に防止できているとはいえなかっ
た。
【0006】本発明は、上記従来の問題に対してなされ
たものであり、汚染金属が被処理基板に到達することを
防止することが可能な汚染金属の除去方法等を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る汚染金属の
除去方法は、被処理基板の汚染原因となる汚染金属が被
処理基板に到達する前に該汚染金属を正イオン化させ、
この正イオン化した汚染金属を希ガスと反応させて結合
生成物として排出することを特徴とする(発明Aとす
る)。
【0008】被処理基板としては特にSi等の半導体基
板、汚染金属としては特にFe或いはCu、希ガスとし
ては特にKr或いはXeがあげられる。後述するよう
に、FeやCu等の汚染金属を正イオン化することによ
りKrやXe等の希ガスとの結合エネルギーが大きくな
り、結合生成物を形成しやすくなる。そこで、予め汚染
金属を正イオン化してKrやXe等の希ガスと反応させ
ることにより、汚染金属を希ガスとの結合生成物として
容易に排出することができ、被処理基板が汚染金属によ
って汚染されることを防止することができる。したがっ
て、半導体装置の製造工程に適用した場合に、半導体装
置の素子特性及び信頼性の向上をはかることができる。
【0009】なお、希ガスを供給する際には、少なくと
も希ガスを含むガスを供給すればよい。すなわち、希ガ
スの単独ガスの他、希ガスと他のガスとの混合ガス、例
えばO2 、N2 O、O3 、原子状酸素、励起状態O2
励起状態O原子といった酸化性ガスの単独ガス或いはこ
れらの2種類以上の混合ガスと希ガスとの混合ガスを用
いてもよい。また、被処理基板に施される処理として
は、酸化処理、拡散処理、成膜処理、エッチング処理等
があげられる。
【0010】汚染金属を正イオン化させる方法として
は、大きく別けて以下の二つの方法があげられる。第1
の方法は、被処理基板を内部に保持する保持容器に汚染
金属の正イオン化を促進させる材料を形成し、これに汚
染金属を通すことによって汚染金属の正イオン化を促進
させるものである。
【0011】汚染金属の正イオン化を促進する材料の他
に正イオン化を抑制する材料を積層するようにしてもよ
く、この場合には正イオン化を抑制する材料よりも上層
側(被処理基板が保持されている側)に正イオン化を促
進する材料が形成されていることが好ましい。
【0012】前記保持容器としては、被処理基板に所定
の処理が施される処理容器(処理室、反応室等)、被処
理基板を待避する待避用容器(ロードロック室等)、被
処理基板を収納する搬送可能な収納容器等があげられ
る。これらの保持容器を用いる場合には、容器の内壁に
正イオン化を促進する材料を形成しておく。また、これ
らを用いて本発明を実施する場合には、例えば容器内に
希ガスを含むガスを導入した状態で汚染金属と希ガスと
を反応させて結合生成物を生成し、容器内を真空排気す
る際に結合生成物の排出を行うようにする。また、前記
保持容器には容器壁が多重構造となったもの、例えば複
数の中空構造の管(反応管や均熱管)を多重管構造とし
たようなものも含まれる。この場合には、少なくとも一
つの容器壁(管)の内壁に汚染金属の正イオン化を促進
する材料を形成しておき、正イオン化を促進する材料が
形成された容器壁よりも内側(例えば管と管との間)に
希ガスを含むガスを流すことにより汚染金属と希ガスと
を反応させ、反応によって生じた結合生成物の排出を行
うようにする。
【0013】第2の方法は、被処理基板に汚染金属が到
達する前に汚染金属に対して所定の方法でエネルギーを
供給(光や粒子の照射(光ビームや粒子ビームの照射
等)、電場の印加(高周波電場の印加等))して汚染金
属の正イオン化を促進させるものである。特に、汚染金
属のイオン化ポテンシャルよりも高くかつ希ガスのイオ
ン化ポテンシャルよりも低いエネルギーレベルを有する
光を照射すれば、汚染金属を選択的にイオン化すること
ができ、効率的に結合生成物を生成することができる。
【0014】本発明に係る結合生成物の処理方法は、被
処理基板の汚染原因となる汚染金属と希ガスとの反応に
より生成され排出された結合生成物に所定の処理を施す
ことにより汚染金属と希ガスとを解離させ、解離した希
ガスを前記結合生成物の生成に再使用することを特徴と
する(発明Bとする)。
【0015】結合生成物を汚染金属と希ガスとに解離す
るには、結合生成物を所定の温度又は所定のガス雰囲気
で処理すればよい。具体的には、被処理基板に対する処
理を行う処理部以降の経路に少なくとも結合生成物を含
むガスを供給し、結合生成物を所定の温度又は所定のガ
ス雰囲気で処理することにより、汚染金属と希ガスとを
解離させればよい。所定の温度は、処理部における処理
温度よりも高い温度であることが好ましい。また、所定
のガス雰囲気としては、還元性雰囲気、酸化性雰囲気、
窒化反応性雰囲気、ハロゲン化反応性雰囲気等があげら
れるが、これらの雰囲気で加熱処理を行うことがより好
ましい。また、結合生成物を所定の温度又は所定のガス
雰囲気で処理する際に、さらに高周波電場を印加するよ
うにしてもよい。
【0016】前記発明Bによれば、例えば先に示した発
明Aの方法によって生成、排出された結合生成物を再解
離し、再解離した希ガスを回収して再び結合生成物の生
成、排出に循環使用することができ、希ガスの無駄をな
くして有効利用をはかることができる。特に、KrやX
eは高価であることから、このような再利用によりコス
トの低減をはかることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】まず、具体的な実施形態について
説明する前に、希ガスと汚染金属との相互作用等につい
て説明する。ここでは、CZ−Si基板表層部の結晶晶
質改善を目的としたベアSi基板の熱処理における金属
汚染(特にCu、Fe)をモチーフにして、電荷的に中
性な金属原子、金属正イオン及び金属酸化物と一連の希
ガス原子(Ne、Ar、Kr、Xe)との相互作用につ
いて、abinitio(非経験的)分子軌道法計算に
より、理論化学的観点から考察する。
【0018】計算手法としては、Hartree−Fo
ck(ハートリーフォック)波動関数を単一参照電子配
置関数として、この波動関数に対し電子相関効果を1、
2電子励起クラスター展開法に3電子励起配置からの摂
動補正を加えたCCSD(T)(CCSD:Coupl
ed Cluster Calculation wi
th Single Single and Doub
le)レベルで評価する手法を採用した。基底関数に
は、O及びNe以外の原子に対してはHay、Wadt
らの有効内殻ポテンシャル(ECP:Effectiv
e Core Potential)近似によるspl
it−valence基底関数を用い、O及びNeには
Dunning−Hayのsplit−valence
基底関数を用いた。この計算レベルで種々の結合生成物
に対する平衡構造や結合エネルギー等のmolecul
ar propertiesを計算して比較した。以下
に、その結果を示す。
【0019】(A)一連の希ガス原子は、中性Cu、F
e原子とは殆ど化学結合的相互作用をもたない。従っ
て、弾性/非弾性衝突を起こすだけで、金属中心クラス
ターを形成することはない。
【0020】(B)一連の希ガス原子は、いずれも金属
正イオン 1Cu+6Fe+ と結合生成物を形成する。
ただし、その結合力は希ガスの種類に大きく依存する。
計算結果を図7に示した。
【0021】NeからXeまで原子番号の増加と共に結
合力は増大し、重希ガス原子ほど金属正イオンと強く結
合することがわかる。この原因は、Mulliken
(マリケン)電子密度解析結果によれば、重希ガスにな
るにしたがって結合の電子状態が変化するためであるこ
とがわかる。金属−希ガス間の重なり電荷は、重希ガス
原子ほど原子軌道間の重なりが増大している。これに伴
い、重希ガス原子ほど金属正イオン上の正電荷が希ガス
原子の方へ移動することが全電子密度の変化からわか
る。これらは、希ガス−金属正イオン間の結合が重希ガ
スほど共有結合的性質を強めて結合力を増大させること
を示している。これは、フロンティア軌道理論から説明
できる。例えば、 1Cu+ イオンの場合の結合生成は、
1Cu+ の最低空位原子軌道(LUAO:Lowest Unocc
upied Atomic Orbital)である4s軌道と希ガス原子の
最高被占原子軌道(HOAO:Highest Occupied Atomi
c Orbital )である2p〜5p軌道間の軌道相互作用に
よる軌道混合が生じ、これによる安定化によって生じ
る。図6に示した軌道相関図からわかるように、希ガス
原子のHOAOエネルギー準位はNeからXeまで順に
高くなって 1Cu+ のLUAO準位に近づき、この順に
軌道相互作用が強くなる。さらに、 1Cu+6Fe+
では結合力に明らかな差があることも図6からわかる。
1Cu+6Fe+共にLUAOは4s軌道であり、軌
道エネルギーはそれぞれ−0.2372,−0.242
4hartree(1hartree=27.211e
V)と、0.005hartreeだけ 6Fe+ の方が
低く、希ガスのHOAO軌道群とのエネルギー差は 6
+ の方が小さい。しかしながら、 1Cu+ では4s電
子が0個であるのに対し、 6Fe+ では1個存在してい
る(3d軌道以下が占有され尽くしている点は共通して
いる)。このため、結合形成にかかわる軌道における電
子間反発相互作用は 6Fe+ の方が大きくなり結合力は
弱くなる。なお、実験的には、Cr+ 、Co+ イオンが
複数の希ガス原子に囲まれたクラスターを形成すること
が観測されている(J. of Phys. Chem., vol.95,10600
(1991) )。
【0022】(C)一連の希ガス原子は、いずれも金属
酸化物CuO、FeOと結合生成物を形成する。ただ
し、その結合力は希ガスの種類に大きく依存する。計算
結果を図8及び図9に示す。
【0023】まず、CuO、FeOの特徴を見ておく。
CuO、FeOはそれぞれ2重項、7重項が基底状態で
ある。電子密度解析の結果、電荷の分極はCuOよりも
FeOの方が大きく、FeOはCuOよりもクーロン結
合的性格を帯びている。希ガス−金属間の重なり電荷は
CuOの方が強いものの、結合エネルギーはFeO>C
uOとなっているのは、金属酸化物においてクーロン結
合性が結合力にかなりの寄与をしていることを示してい
る。これらの金属酸化物は一連の希ガス原子と金属−希
ガス間に結合を有する結合生成物を形成し、NeからX
eまで原子番号の増加と共に結合力は増大し、重希ガス
原子ほど金属酸化物と強く結合することがわかる。この
原因は前述の金属正イオンの場合と同じく、重希ガスに
なるにしたがって結合の電子状態が変化するためであ
る。すなわち、金属−希ガス間の重なり電荷は、重希ガ
ス原子ほど原子軌道間の重なりが増大し、これに伴い重
希ガス原子ほど正に分極した金属上の正電荷が希ガス原
子の方へ移動する。金属正イオンの場合と異なるのは、
結合エネルギーがFeOの場合に極端に小さいことであ
る。このため、Fe−希ガス結合距離は5オングストロ
ーム以上と極めて大きな値となり、室温でも結合状態が
有限の寿命を持つか否か怪しい。
【0024】次に、金属の正イオン化を促進させる物質
についてSiO2 を例にとり、どのような条件のSiO
2 が金属の正イオン化に有効であるかを考察する。Si
2 中の金属原子拡散の決定因子の一つとして、SiO
中の金属の固溶限が調べられている(Journal Electroc
hemical Society vol.133 p.1242 1986 )。これによれ
ば、SiO2 中では金属原子は1価の陽イオンとなるた
め、固溶限は1価の陽イオンの飽和濃度に等しいとされ
ている。また、H2 O等の不純物が存在しない場合に
は、この飽和濃度が低下するとされている。SiO2
で金属原子が1価の陽イオンとなる過程においては、イ
オン化に伴い解放される電子がエネルギー的に安定化さ
れる程度が重要であるが、この点に議論はなかった。こ
の解放電子の安定化はこの電子を受容する準位、すなわ
ちアクセプター準位に依存し、安定化される金属量はこ
の準位の濃度、すなわちアクセプター濃度に依存する。
したがって、SiO2 中のアクセプター準位及び濃度を
変化させれば、金属原子の1価陽イオン化過程を制御す
ることが可能である。このことを、以下簡単に説明す
る。
【0025】金属原子Mの陽イオン化には、真空中では
イオン化ポテンシャルEion 、SiO2 中ではEion
γ(γはSiO2 の比誘電率)のエネルギーが必要であ
る。しかし、真空中とは違いSiO2 中では、イオン化
反応“M→M+ +e- ”で生じたM+ は、SiO2 中の
負に分極したO- との間の相互作用エネルギー(主とし
てクーロン引力)Ebindだけ安定化される。さらに、S
iO2 中にアクセプター準位が存在する場合には、“M
→M+ +e- ”で生じたe- は、このアクセプター準位
にトラップされてEelecだけ安定化される。
【0026】上記過程を、SiO2 中が電気的に中性な
金属Mの理想ガス(濃度[Mgas ]atoms/m3 )で満た
されているモデルで考えてみる。上述のように、アクセ
プター準位が存在すれば、金属原子Mの陽イオン化が促
進され、金属MはほとんどがM+ の形でSiO2 中に存
在することになる。SiO2 中のe- の飽和濃度を[e
- ]electrons /m3 とすると、SiO2 中のM+ の飽
和濃度[Mox + ]atoms /m3 は、 [Mox + ][e- ]/[Mgas ]=(2πme kT/h23/2 ×
exp(-Eint /kT) と表すことができる。ここで、me は電子の質量、kは
ボルツマン定数、Tは温度、hはプランク定数である。
全相互作用エネルギーEint は、アクセプターを全く含
まないSiO2 の場合には、 Eint =Eion /γ−Ebind と表せる。ここで、γはSiO2 の比誘電率であり、お
よそ3.9程度である。一方、十分なアクセプターを含
む場合には、 Eint =Eion /γ−Ebind−Eelec となり、Eelecだけ安定化が大きくなる。電気的中性条
件により、[Mox + ]=[e- ]なので、結局、 [Mox + ]=[Mgas1/2 (2πme kT/h23/4 × e
xp(-Eint /2kT) と表すことができる。
【0027】CuとFeの場合を例示する。まず、金属
Mの理想ガスの飽和濃度[Mgas ]は、温度kT(J)
での飽和蒸気圧をP(Pa)とすると、[Mgas ]=P
/kTと表せる。Pは、 log(P)=5.006+A+B/T+Clog T+D/
3 と近似できる。融点以下の温度において、Cuでは
(A、B、C、D)=(9.123、−17748、−
0.7317、なし)、Feでは(A、B、C、D)=
(7.100、−21723、0.4536、−0.5
846)である。これらのパラメータのうち、アレニウ
ス型依存性を与えるのは主にBであり、CuとFeでは
そえぞれ−1.529、−1.872eVである。
【0028】第1イオン化ポテンシャルEion は、Cu
とFeで各々7.726eV、7.902eVであり、
相互作用エネルギーEbindとして、図8に示した2原子
分子CuOとFeOの結合エネルギーをとれば、各々
1.977eV、2.567eVである。さらに、Si
2 中のアクセプター準位の例として、Si−O(非架
橋酸素欠陥:NBO)を考え、これが電子を捕獲した場
合の安定化エネルギーをEelecとすると、2.24eV
である。
【0029】以上を用いると、 [Mox + ]=(kT)-1/2(2πme kT/h23/4 10
(5.006+A)/2c/2×exp[-{Eint -k(B+D/T2 )ln10}/2k
T] となる。前指数因子はC〜−0.5であることを考慮す
るとほぼT0 となり、温度に依存しないとしてよい。ま
た、指数因子は室温以上ではD/T2 が無視できるの
で、 exp[-{Eint -kB ln10}/2kT] でよく近似できる。
【0030】結局、[Mox + ](atoms/m3 )は、Cu
とFeで各々おおよそ次のようになる。アクセプターが
ないときには、 [Cuox + ]〜 1.5×1029×exp(-1.763/kT) [Feox + ]〜 1.5×1028×exp(-1.885/kT) となる。アクセプター準位としてNBOが十分にあると
きには、 [Cuox + ]〜 1.5×1029×exp(-0.643/kT) [Feox + ]〜 1.5×1028×exp(-0.765/kT) となる(ただし、ここでkTはeV単位)。
【0031】600〜1000℃での[Mox + ](atom
s/cm3 )を図10に示す。これは、アクセプタが存在
しない場合には、約1000℃以上の熱処理時にはpp
mオーダーの重金属しか固溶しない、すなわち陽イオン
化できないことを示しているとともに、2eV程度の電
子捕獲による安定化を示すアクセプタ濃度が十分高い場
合には、10-3〜1mol %程度の金属が陽イオン化でき
ることを示している。参考までに、アモルファスSiO
2 のモル濃度はおよそ2.2×1022mol /cm3 であ
る。
【0032】次に、アクセプタ準位による電子捕獲時の
安定化エネルギーEelecが変化した場合の固溶限の変化
をCuを例にして図11に示す。ただし、アクセプタ濃
度が十分高い場合を想定している。図11より、アクセ
プタ準位による電子捕獲時の安定化エネルギーが大きい
ほど、金属の固溶限すなわち陽イオン化濃度が高くなる
ことがわかる。
【0033】アモルファスSiO2 のモル濃度と、現在
の半導体製造プロセスにおいて汚染源となっている重金
属の典型的な濃度がおおよそ1015(atoms/cm3 )以
上であることを考慮すると、[Mox + ]>1×10
15(atoms/cm3 )、すなわち、 (kT)-1/2(2πme kT/h23/4 10(5.006+A)/2c/2×e
xp[-{Eint -k(B+D/T2 )ln10}/2kT] >1×1015int =Eion /γ−Ebind−Eelec を満たす温度Tとアクセプタ準位による電子捕獲時の安
定化エネルギーEelecの範囲内において、金属が陽イオ
ン化できることがわかる。
【0034】なお、現在用いられているSiO2 で最も
高い電荷捕獲欠陥を有するのはプラズマCVD(化学的
気相成長法)で形成した、いわゆるP−CVD SiO
2 である。テトラエトキシシラン(Si(OC25
4 )とO2 を用いた最も一般的なP−CVD SiO2
膜を電子スピン共鳴法(ESR)で分析した結果では、
不純物(主としてC)起因の不対電子欠陥(〜6×10
17cm-3)以外のSiO2 起因の欠陥は主として三つで
あった。非架橋酸素ホールセンター(Si−O……O−
Si)と過酸化ラジカル(Si−O−O……−Si)に
起因する欠陥濃度が〜1.3×1017cm-3、Eセンタ
ー(Si……Si)に起因する欠陥濃度が〜4×1017
cm-3であった(なお、上記各Siの端はバックボンド
となっている。)。また、非架橋ホールセンターの種々
の形態に対するエネルギー準位を図12に示した(J. A
ppl. Phys. vol68 p.1212 (1990))。しかしながら、こ
の膜にフッ素を添加したP−CVD SiO2 膜或いは
熱酸化SiO2 膜では、いずれの欠陥も1×1013以下
であった。すなわち、SiO2 の電荷捕獲欠陥準位の種
類や濃度は、成膜法により制御可能であることがわか
る。
【0035】以下、図面を参照して本発明の実施形態を
説明する。まず、第1の実施形態として横型拡散炉を例
にとり、図1を参照して説明する。
【0036】2重管構造の拡散炉100は、口径が異な
る2本の中空円筒体の石英管101、102が長手方向
に沿って遊嵌状態にはめ合わされており、他にこの2本
の石英管101、102を内包するように配置された均
熱管103と、この均熱管103の外面に配設されたヒ
ーターからなる電気炉104とを備えている。
【0037】石英管101、102は溶融石英製で、内
方の石英管101には拡散処理が施されるSi基板10
6をその内部に収容可能な冶具107が設けられてい
る。均熱管103は、重金属の正イオン化を抑制する材
料例えばSiC又はSiN製で、その内表面には重金属
の正イオン化を促進する材料例えばSiO2 (先に説明
した条件を満たすようなSiO2 )が被覆されており、
均熱管103壁面からのガス放出や重金属による基板の
汚染が防止されるようになっている。また、内方の石英
管101、内方の石英管101と外方の石英管102と
の間及び外方の石英管102と均熱管103との間に
は、ガス流108a、108b及び108cが供給され
るようになっている。さらに、内方の石英管101と外
方の石英管102との間には炉管に沿って少なくとも1
本の熱電対105が設けられている。
【0038】このように構成された熱処理炉を用い、S
i基板106にソース及びドレイン層形成等の不純物拡
散工程を施す場合は、例えばBF2 をイオン注入したS
i基板106を冶具107に載せて内方の石英管101
内に収容し、内方の石英管101内を1気圧のN2 雰囲
気にし、電気炉104によってSi基板106を800
〜1000℃に加熱して所望の拡散長が得られる時間熱
処理を行う。内方の石英管101と外方の石英管102
との間及び外方の石英管102と均熱管103との間に
は、0.2気圧のO2 ガスと0.8気圧のKrガスとの
混合ガスを10slmの流量で給排させた。
【0039】この熱処理を施したSi基板を気相分析法
フレームレス原子吸光法で分析したところ、5×1015
atoms/cm3 のFeと1.5×1015atoms
/cm3 のCuが検出された。この金属不純物濃度は、
従来の熱処理ガスを用いた熱処理での値(5×1016
toms/cm3 のFe、3×1016atoms/cm
3 のCu)に比較して1桁以上低いものであった。
【0040】なお、内方の石英管101と外方の石英管
102との間と、外方の石英管102と均熱管103と
の間に給排するガスの組成は同一である必要はなく、ま
た混合ガスである必要はない。例えば、外方の石英管1
02と均熱管103との間には0.5気圧のO2 ガスと
0.5気圧のN2 ガスとの混合ガスを10slmの流量
で給排し、内方の石英管101と外方の石英管102と
の間には0.5気圧のKrガスと0.5気圧のN2 ガス
との混合ガスを10slmの流量で給排した場合、或い
は、外方の石英管102と均熱管103との間には0.
8気圧のO2 ガスと0.2気圧のN2 ガスとの混合ガス
を10slmの流量で給排し、内方の石英管101と外
方の石英管102との間には1気圧のXeガスのみを1
0slmの流量で給排した場合にも、ほぼ同様の金属不
純物遮蔽効果が得られた。
【0041】次に、第2の実施形態として縦型酸化炉を
例にとり、図2を参照して説明する。2重管構造の酸化
炉200は、口径が異なる2本の中空円筒体の石英管2
01、202が長手方向に沿って遊嵌状態にはめ合わさ
れており、他にこの2本の石英管201、202を内包
するように配置された均熱管203と、この均熱管20
3の外面に配設されたヒーターからなる電気炉204と
を備えている。
【0042】石英管201、202は溶融石英製で、内
方の石英管201には酸化処理が施されるSi基板20
6をその内部に収容可能な冶具207が設けられてい
る。均熱管203は、重金属の正イオン化を抑制する材
料例えばSiC又はSiN製で、その内表面には重金属
の正イオン化を促進する材料例えばSiO2 (先に説明
した条件を満たすようなSiO2 )が被覆されており、
均熱管203壁面からのガス放出や重金属による基板の
汚染が防止されてるようになっている。内方の石英管2
01の上蓋頂部には、内方の石英管201と外方の石英
管202との間に供給されたガス流209aが内方の石
英管201内に均等に供給されるように、複数個の細孔
208が設けられている。また、外方の石英管202と
均熱管203との間にはガス流209bが供給されるよ
うになっている。さらに、外方の石英管202と均熱管
203との間には、炉管に沿って少なくとも1本の熱電
対205が設けられている。
【0043】このように構成された熱処理炉を用い、S
i基板206にゲート絶縁膜としてSiO2 膜の形成等
の酸化工程を施す場合は、例えば以下のようにして行
う。ゲート絶縁膜を形成するに十分清浄なSi表面を得
るための前処理を施したSi基板206を冶具207に
載せ、内方の石英管201及び内方の石英管201と外
方の石英管202との間に1気圧のN2 ガスを給排しな
がら予め650℃の均熱状態まで加熱保持された内方の
石英管201内に収容する。Si基板206が熱処理炉
200内の雰囲気と同一温度に達した後、内方の石英管
201及び内方の石英管201と外方の石英管202と
の間に1気圧のO2 ガスを給排し、電気炉204によっ
てSi基板206を800〜1200℃に加熱して所望
の酸化膜厚が得られる時間酸化処理を行う。この際、外
方の石英管202と均熱管203との間には、0.2気
圧のO2 ガスと0.8気圧のKrガスとの混合ガスを1
0slmの流量で給排させた。
【0044】この熱処理を施したSi基板を気相分析法
フレームレス原子吸光法で分析したところ、5×1015
atoms/cm3 のFeと1.5×1015atoms
/cm3 のCuが検出された。この金属不純物濃度は、
従来の熱処理ガスを用いた熱処理での値(5×1016
toms/cm3 のFe、3×1016atoms/cm
3 のCu)に比較して1桁以上低いものであった。
【0045】なお、内方の石英管201と外方の石英管
202との間と、外方の石英管202と均熱管203と
の間に給排するガスの組成は同一である必要はなく、ま
た混合ガスである必要はない。例えば、外方の石英管2
02と均熱管203との間には0.5気圧のO2 ガスと
0.5気圧のN2 ガスとの混合ガスを10slmの流量
で給排し、内方の石英管201と外方の石英管202と
の間には0.5気圧のKrガスと0.5気圧のO2 ガス
との混合ガスを10slmの流量で給排した場合、或い
は、外方の石英管202と均熱管203との間には0.
4気圧のO2 ガスと0.6気圧のXeガスとの混合ガス
を10slmの流量で給排し、内方の石英管201と外
方の石英管202との間には1気圧のO2 ガスのみを1
0slmの流量で給排した場合にも、ほぼ同様の金属不
純物遮蔽効果が得られた。
【0046】次に、第3の実施形態を図3を参照して説
明する。本実施形態は、複数の処理装置が連結された処
理装置システム及び各処理装置間における基板搬送シス
テムの雰囲気制御等について示したものである。
【0047】処理装置システム300は、大きく分けて
半導体処理装置301とこれに接続される収納容器30
2とから構成されており、半導体処理装置301は処理
室303とロードロック室304とから構成されてい
る。処理室303とロードロック室304とは、ゲート
バルブ305によって連結されている。また、ロードロ
ック室304と収納容器302とは、これらの間に設け
られたゲートバルブ306からなるクラスターツール構
造、このゲートバルブ306に連結された接続手段30
7及び収納容器302の側壁面に設けられた扉308を
介して連結可能になっている。以下、上記装置のより詳
細な構成について説明する。
【0048】半導体処理装置301は、基板に対して酸
化処理、拡散処理、熱処理、成膜処理或いはエッチング
処理を行う装置である。以下、処理室303及びロード
ロック室304それぞれの詳細な説明を行う。
【0049】処理室303は処理容器309によって気
密状態に保たれ、この容器309内には被処理基板31
1を載置する載置台310が設けられている。処理容器
309は、金属材料例えばアルミニウム合金により形成
されている。アルミニウム合金により形成された内壁
は、研磨されたのち表面に酸化膜が形成され、その表面
には重金属の正イオン化を抑制する材料例えばSiC又
はSiNが、さらにその表面には重金属の正イオン化を
促進する材料例えばSiO2 (先に説明した条件を満た
すようなSiO2 )が被覆されており、壁面からのガス
放出や重金属による基板311表面の汚染を防止するよ
うに構成されている。特に、重金属については、重金属
の正イオン化を抑制する材料からなる層が重金属の拡散
を抑制するとともに、重金属の正イオン化を促進する材
料からなる層が壁面から処理容器309内へ重金属が放
出された場合の重金属の除去効率を向上させている。
【0050】載置台310の載置面に対向した位置に
は、複数のプロセスガスを混合し供給するためのシャワ
ーヘッド312が設けられている。このシャワーへッド
には、基板311の処理を行う複数のプロセスガスを供
給する複数のガス供給手段313が、それぞれに接続さ
れた配管途中の開閉バルブ314を介して接続されてい
る。また、処理容器309の底面には排気口315が設
けられ、外部に設けられた排気手段316(例えばロー
タリーポンプとターボ分子ポンプとの組み合わせ)によ
り、処理容器309内を数Torr〜1×10-8Tor
rの所定の真空度に真空排気するようになっている。
【0051】なお、処理室303においてプラズマアシ
ストの処理、例えばエッチング処理或いは成膜処理を行
う場合には、処理容器309は電気的に接地され、載置
台310は下部電極として例えば100KHz〜500
KHzの高周波電場がマッチング回路を介して印加され
るとともに、シャワーヘッド312は上部電極として例
えば13.56MHzの高周波電場がマッチング回路を
介して印加される様になっている。
【0052】以上の様に構成された処理室303と隣接
するロードロック室304とは、被処理体の搬入時に自
動的に開くゲートバルブ305によって連結可能となっ
ている。
【0053】ロードロック室304は気密構造をしてお
り、内部には基板311を搬送し、隣接した処理室30
3の載置台310上に基板311を載置する搬送手段3
17が設けられている。搬送手段317は、ロードロッ
ク室304の底部に磁気レールによりシールされ、回
転、上下動、X軸又はY軸駆動可能な駆動軸をもって外
部に設けられた駆動手段318と連結されている。この
駆動手段318の駆動力により、搬送手段317は、前
進、後退、回転、上下の動きを行うことができるように
なっている。
【0054】ロードロック室304内へは、外部に設け
られたガス供給手段319よりXe或いはKrを含有す
る不活性ガス(例えばN2 やAr)又はXe或いはKr
を含有するクリーンエアが、開閉バルブ320及びロー
ドロック室304内に設けられたフィルター321を介
して供給される様になっている。このフィルター321
には、ガスのシャワーヘッドと同様の細かな穴を多数開
口したものや、細かな焼結体に形成された多孔質体を用
いることができる。
【0055】ロードロック室304の底部には、排気口
322及びバルブ323を介して排気手段324(例え
ばターボポンプとロータリーポンプ)が設けられてい
る。この排気手段324により、ロードロック室304
は、大気圧から所定の真空度、例えば数10Torr〜
1×10-5Torrに真空排気される。ロードロック室
304は、例えばアルミニウム合金で形成され、内壁は
研磨の後に酸化膜コーティングされ、その表面には重金
属の正イオン化を抑制する材料例えばSiC又はSiN
が、さらにその表面には重金属の正イオン化を促進する
材料例えばSiO2 (先に説明した条件を満たすような
SiO2 )が被覆されており、壁面からのガス放出や重
金属による汚染が防止されるようになっている。これら
の被覆層の作用は、前記処理容器309における作用と
同様である。
【0056】以上の様に構成されたロードロック室30
4と隣接する接続手段307とは、ゲートバルブ306
を介して連通可能になっており、接続手段307には収
納容器302が接続可能に連結されている。
【0057】次に、接続手段307と収納容器302の
構成について説明する。ロードロック室304の側壁に
設けられた開閉可能なゲートバルブ306には、収納容
器302に設けられた扉308が接続手段307によっ
て接続されている。この接続手段307には、ロードロ
ック室304内に設けられた搬送手段317が基板31
1を保持して搬送可能な空間が通路として設けられてい
る。また、この接続手段307は気密に構成されてお
り、ゲートバルブ306と扉308との開口により形成
される連通空間を外部から隔離して気密なクリーン空間
を形成する様になっている。
【0058】接続手段307にはXe或いはKrを含有
する不活性ガス(例えばN2 やAr)又はXe或いはK
rを含有するクリーンエアが供給される様になってい
る。また、接続手段307の非可動部分は例えばアルミ
ニウム合金で形成され、内壁は研磨の後に酸化膜コーテ
ィングされ、その表面には重金属の正イオン化を抑制す
る材料例えばSiC又はSiNが、さらにその表面には
重金属の正イオン化を促進する材料例えばSiO2 (先
に説明した条件を満たすようなSiO2 )が被覆されて
いる。これらの被覆層の作用は処理容器309における
作用と同様である。
【0059】収納容器302は気密構造をしており、内
部には複数の基板を収納可能なカセット325とこれを
保持する保持手段326が設けられている。収納容器3
02、カセット325及び保持手段326は例えばアル
ミニウム合金で形成されており、内壁或いは冶具表面は
研磨の後に酸化膜コーティングされ、その表面には重金
属の正イオン化を抑制する材料例えばSiC又はSiN
が、さらにその表面には重金属の正イオン化を促進する
材料例えばSiO2 (先に説明した条件を満たすような
SiO2 )が被覆されており、壁面からのガス放出や重
金属による汚染が防止されている。これらの被覆層の作
用は処理容器309における作用と同様である。
【0060】収納容器302の側壁面には、開閉可能で
閉じた状態で気密な機構を有する扉308が設けられて
いる。この収納容器302は、半導体処理装置301と
は切り離して、内部の雰囲気とクリーン度を保って搬送
可能な構造となっている。収納容器302内は、この容
器302の搬送に際して、Xe或いはKrを含有する不
活性ガス(例えばN2 、Ar)又はXe或いはKrを含
有するクリーンエアを充満させた常圧状態でもよいし、
前記ガスによる減圧雰囲気でもよい。
【0061】収納容器302の上部には、開口327を
有する開閉バルブ328が、配管により収納容器302
内のフィルター329に接続されている。開閉バルブ3
28は、外部のガス供給手段(例えばガス供給手段31
9)から収納容器302内へXe或いはKrを含有する
不活性ガス又はXe或いはKrを含有するクリーンエア
を供給する時にのみ開けられる。収納容器302の下側
には排気口330を介してバルブ331が接続され、こ
のバルブ331には開口332が設けられている。バル
ブ331は収納容器302内の真空排気を行う時にのみ
開けられる。この真空排気は、外部に独立して設けられ
た排気手段(例えば排気手段324)を開口332に接
続することによって行われる様になっている。
【0062】収納容器302は、複数の未処理の基板3
11を収納した状態で扉308が閉じられ気密な状態と
される。収納容器の内部は、所定の真空度まで真空引き
された後、Xe或いはKrを含有する不活性ガス又はX
e或いはKrを含有するクリーンエアが導入され、所定
の真空度に維持される。
【0063】以上のように構成された基板の搬送システ
ムについて、以下その動作を説明する。複数の基板31
1を収納したカセット325を内部に保持した収納容器
302は、扉308を閉じて内部のクリーン度を例えば
クラス1に保った状態で自動搬送ロボットにより搬送さ
れ、ロードロック室304に隣接して設けられた接続手
段307に隣接して載置される。
【0064】ロードロック室304内は排気手段324
により真空排気され、その後ガス供給手段319によ
り、Xe或いはKrを含有する不活性ガス又はXe或い
はKrを含有するクリーンエアが所定の圧力に到達する
までロードロック室304内に供給される。続いて、ゲ
ートバルブ306及び扉308が開口してロードロック
室304と収納容器302が連通し、内部が共通のXe
或いはKrを含有する不活性ガス又はXe或いはKrを
含有するクリーンエア雰囲気とされる。次に、ロードロ
ック室304内の搬送手段317が移動し、収納容器3
02内のカセット325から基板311を取り出し、ロ
ードロック室304内へ搬送する。
【0065】次に、ゲートバルブ306が閉口し、ロー
ドロック室304内が所定の真空度、例えば1×10-3
Torrへ真空排気される。次に、ゲートバルブ305
が開口し、搬送手段317の保持する基板311は処理
室303内の載置台310の上に載置される。
【0066】搬送手段317がロードロック室内へ退避
した後、ゲートバルブ305が閉口し、処理室303内
は所定の真空度まで真空排気される。次に、プロセスガ
スが処理室303内に供給される、加熱処理が施され
る、或いはプラズマが励起される等、基板311に対し
て所定のプロセスが実行される。
【0067】所定のプロセスが終了した処理室303内
は真空排気され、続いてXe或いはKrを含有する不活
性ガス又はXe或いはKrを含有するクリーンエア雰囲
気に置換される。その後、ゲートバルブ305を開口し
て、基板311を搬送手段317によりロードロック室
304内に搬出する。
【0068】さらに、ゲートバルブ305を閉じて、ロ
ードロック304内をXe或いはKrを含有する不活性
ガス又はXe或いはKrを含有するクリーンエア雰囲気
に置換する。その後、ゲートバルブ306を開けて、搬
送手段317により基板311を収納容器302内に保
持されたカセット325の所定のスロットに戻す。
【0069】以上の様にして搬送システムは動作する
が、この動作を順次枝葉ごとにカセット325より取り
出して繰り返すことで、カセット325内のすべての基
板311についての処理が行われる。
【0070】一連の処理が終了すると、ゲートバルブ3
06は閉じられ、半導体処理装置301が気密な状態に
戻されるとともに、収納容器302の扉308も閉じら
れて、収納容器302は気密なXe或いはKrを含有す
る不活性ガス又はXe或いはKrを含有するクリーンエ
ア雰囲気に保たれる。
【0071】処理の終了した複数の基板311を収納し
た収納容器302は、Xe或いはKrを含有する不活性
ガス又はXe或いはKrを含有するクリーンエア雰囲気
に維持されたまま、次の工程の半導体製造装置又は半導
体検査装置へと搬送されてゆく。
【0072】以上の様に動作する基板の搬送システム
は、半導体基板への処理が行われている時以外は常時、
Xe或いはKrを含有する不活性ガス(例えばN2 、A
r)又はXe或いはKrを含有するクリーンエア雰囲気
に維持されている。したがって、搬送システムは、全工
程を通して基板を外部環境のゴミ、ホコリ、コンタミネ
ーションから保護するのみならず、重金属汚染の遮蔽効
果を有する一連の処理を行うことができる。
【0073】なお、本実施形態では、ロードロック室3
04には1つの処理室303しか接続されていなかった
が、半導体基板に複数種の処理を逐次行うべく、複数の
処理室303をロードロック室304に接続するように
してもよい。
【0074】また、収納容器302内の圧力は製造工程
に最適な設定とすることができ、例えばXe或いはKr
を含有する不活性ガス又はXe或いはKrを含有するク
リーンエア雰囲気で減圧して、予め接続するロードロッ
ク室の圧力(例えば1×10-3Torr)に一致させる
ことも可能である。
【0075】逆に、Xe或いはKrを含有する不活性ガ
ス又はXe或いはKrを含有するクリーンエア雰囲気を
大気圧よりも陽圧に設定して大気の収納容器302内へ
の混入を防止し、ロードロック室との接続に先立って収
納容器302内を減圧して大気圧により近づけた後、ロ
ードロック室と連通することも可能である。
【0076】次に、第4の実施形態として横型LPCV
D炉を例にとり、図4を参照して説明する。2重管構造
の横型LPCVD炉400は、口径が異なる2本の中空
円筒体の石英管401、402が長手方向に沿って遊嵌
状態にはめ合わされており、他にこの2本の石英管40
1、402を内包するように配置された均熱管403
と、この均熱管403の外面に配設されたヒーターから
なる電気炉404とを備えている。
【0077】石英管401、402は溶融石英製で、内
方の石英管401には多結晶シリコン膜堆積処理が施さ
れるSi基板406をその内部に収容可能な冶具407
が設けられている。均熱管403は重金属の正イオン化
を抑制する材料例えばSiC又はSiN製で、その内表
面に重金属の正イオン化を促進する材料例えばSiO2
(先に説明した条件を満たすようなSiO2 )が被覆さ
れており、均熱管403壁面からのガス放出や重金属に
よる基板の汚染が防止されるようになっている。また、
内方の石英管401、内方の石英管401と外方の石英
管402との間及び外方の石英管402と均熱管403
との間にはガス流408a、408b及び408cが供
給されるようになっている。さらに、内方の石英管40
1と外方の石英管402との間には、炉管に沿って少な
くとも1本の熱電対405が設けられている。
【0078】このように構成された横型LPCVD炉を
用い、Si基板406に多結晶シリコン膜堆積工程を施
す場合は、例えば次のようにして行う。ゲート酸化膜が
形成されたSi基板406を冶具407に載せて、窒素
雰囲気中で620℃に保たれた内方の石英管401内に
搬送する。そして、LPCVD法により、99.999
9%以上の純度のSiH4 雰囲気中、圧力30Paのも
とで、電気炉404によってSi基板406を620℃
程度の温度に加熱し、所望の多結晶シリコン膜厚が得ら
れる時間成膜を行う。この際、内方の石英管401と外
方の石英管402との間及び外方の石英管402と均熱
管403との間には、0.2気圧のO2ガスと0.8気
圧のKrガスとの混合ガスを10slmの流量で給排さ
せるとともに、遮蔽すべき金属のイオン化ポテンシャル
よりも高いエネルギーレベルを有する光照射411を行
う。これにより、遮蔽の対象となる金属はイオン化され
るが、照射光のエネルギーレベルより高いイオン化ポテ
ンシャルを有する成分、例えばKrやXeの不活性ガス
はイオン化されない。したがって、遮蔽の対象となる金
属元素のみを選択的にイオン化(共鳴イオン化)するこ
とができ、効率的に金属重希ガス結合生成物を形成で
き、かつこれを横型LPCVD炉400外に除去するこ
とができる。
【0079】好適な光照射手段は、内方の石英管401
と外方の石英管402との間及び外方の石英管402と
均熱管403との間に、単一振動数のコヒーレントな光
を照射する手段(好ましくは、実質的に単一の振動数を
有するレーザ光、例えば紫外レーザ光を発振することの
できるレーザ光発振手段)を有する。また、複数種の金
属元素を遮蔽除去するためには、レーザ光発振手段と、
このレーザ光発振手段により発振されたレーザ光の照射
光度(照射強度)を可変する光度(光強度)可変手段と
を用いる。光度(光強度)可変手段を有する波長可変光
照射手段を採用すると、レーザ光の照射光度を可変する
ことによってフラグメントイオンと分子イオンとの割合
を調節することができ、いわゆるソフト/ハードイオン
化の調節が可能になる。そして、光強度を適宜に選択
し、イオン化ポテンシャルが同一或いは近接しているが
分子量の異なる成分を含有する照射対象気体に光照射す
ることにより、各成分のイオン化を明瞭に分離すること
ができる。この波長可変手段としては、色素レーザ(D
ye laser)及びYAGレーザをあげることがで
きる。なお、色素レーザを採用する場合には、発振され
る光の波長が長過ぎて必要なエネルギーレベルが得られ
ないので、周波数を整数倍に変換する機構、例えば周波
数逓倍器を設けることが望ましい。
【0080】好適な波長可変光照射手段は、多光子イオ
ン化法(Multi-Photon Ionization:MPI)に基づく
構成を有する。このMPI法の特徴の一つは、照射光の
波長によってイオン化する原子/分子の種別を選択する
ことができることである。これは、気体原子/分子はそ
れぞれ固有のイオン化ポテンシャルを有しているので、
イオン化ポテンシャルがhν(hはプランクの定数、ν
は照射光の振動数)よりも低い原子/分子がイオン化さ
れ、イオン化ポテンシャルがhνよりも高い原子/分子
はイオン化が困難になるという現象に依存する。したが
って、照射対象気体に照射される光は単一振動数のコヒ
ーレントな光であることが望ましい。MPIの原理に基
づくと、気体分子を励起してイオン化するには三種の態
様、すなわち、非共鳴MPI(Non Resonant MPI:NR
MPI)、共鳴二光子イオン化(Resonant Two-Photon
Ionization:R2PI)及び二光子共鳴イオン化(Two
Photon Resonant Ionization:TPRI)がある。
【0081】NRMPIでは、多数の光子エネルギーを
瞬間的に原子/分子に与えることにより、原子/分子を
そのエネルギーの基底準位から一挙にイオン化ポテンシ
ャルにまで励起する。したがって、NRMPIを採用す
る波長可変光照射手段においては、高エネルギーのレー
ザ光発振手段が必要になる。換言すると、このNRMP
Iを採用する場合には、エネルギーレベルの高い、すな
わち短い波長のレーザ光を照射することが必要になる。
したがって、遠紫外域に及ぶレーザ発振器を必要とする
ことがある。
【0082】R2PIにおいては、ある光子が原子/分
子を基底準位から中間状態(基底準位とイオン化ポテン
シャルとの中間に存在する準位:Intermediate State)
に励起する。この中間状態は準安定状態であり、励起さ
れた原子/分子は一定の減衰率βで中間状態から基底準
位に戻る。そこで、照射光の光度(光強度)を適正に大
きくすることにより、中間状態に励起した原子/分子が
減衰率βで基底状態に戻る原子/分子よりも多い場合に
は、照射光によって照射対象気体原子/分子のほとんど
が中間状態に励起されることになる。この間に第2の光
子が照射されると、この原子/分子はさらに励起され
て、イオン化ポテンシャルを越えるエネルギーを得てイ
オンになる。したがって、原子/分子のイオン化ポテン
シャルよりも低いエネルギーレベルの照射光を照射して
も、原子/分子は効率良くイオン化される。
【0083】TPRIでは、2個以上の光子エネルギー
を原子/分子にほとんど同時に与えて、この原子/分子
を基底状態から中間状態に励起する。このプロセスで
は、イオン化効率はR2PIよりも低い。このTPRI
を採用するときには、低レベルレーザすなわち長波長レ
ーザで充分であるが、出力を大きくする必要がある。
【0084】本発明においては、非共鳴MPI、共鳴二
光子イオン化及び二光子共鳴イオン化のいずれの方式を
も採用することができ、それぞれの方式の特性を考慮し
て、遮蔽の対象となる金属元素のイオン化に応じた適切
な方式が採択される。
【0085】上記多結晶シリコン膜の堆積を施したSi
基板を気相分析法フレームレス原子吸光法で分析したと
ころ、5×1015atoms/cm3 のFeと1.5×
1015atoms/cm3 のCuが検出された。この金
属不純物濃度は、従来の熱処理ガスを用いた熱処理での
値(5×1016atoms/cm3 のFe、3×1016
atoms/cm3 のCu)に比較して1桁以上減少し
ている。また、この多結晶シリコン膜中の酸素濃度は、
SIMS分析にて検出限界(1×1018個/cm3 )以
下と、非常に低い値が得られた。
【0086】なお、内方の石英管401と外方の石英管
402との間及び外方の石英管402と均熱管403と
の間に給排するガスの組成は同一である必要はなく、ま
た混合ガスである必要はない。例えば、外方の石英管4
02と均熱管403との間には0.5気圧のO2 ガスと
0.5気圧のN2 ガスとの混合ガスを10slmの流量
で給排し、内方の石英管401と外方の石英管402と
の間には0.5気圧のKrガスと0.5気圧のN2 ガス
との混合ガスを10slmの流量で給排した場合、或い
は、外方の石英管402と均熱管403との間には0.
8気圧のO2 ガスと0.2気圧のN2 ガスとの混合ガス
を10slmの流量で給排し、内方の石英管401と外
方の石英管402との間には1気圧のXeガスのみを1
0slmの流量で給排した場合にも、ほぼ同様の金属不
純物遮蔽効果が得られた。
【0087】なお、遮蔽の対象となる金属元素のイオン
化手段は光照射に限定されることはなく、例えば粒子ビ
ームの照射や高周波電場の印加等でもよい。次に、第5
の実施形態として横型LPCVD炉を例にとり、図5を
参照して説明する。
【0088】2重管構造の横型LPCVD炉500は、
口径が異なる2本の中空円筒体の石英管501、502
が長手方向に沿って遊嵌状態にはめ合わされており、他
にこの2本の石英管501、502を内包するように配
置された均熱管503と、この均熱管503の外面に配
設されたヒーターからなる電気炉504とを備えてい
る。
【0089】石英管501、502は溶融石英製で、内
方の石英管501にはシリコン窒化膜堆積処理が施され
るSi基板506をその内部に収容可能な冶具507が
設けられている。均熱管503は重金属の正イオン化を
抑制する材料例えばSiC又はSiN製で、その内表面
に重金属の正イオン化を促進する材料例えばSiO
2(先に説明した条件を満たすようなSiO2 )が被覆
されており、均熱管503壁面からのガス放出や重金属
による基板の汚染が防止されるようになっている。ま
た、内方の石英管501、内方の石英管501と外方の
石英管502との間及び外方の石英管502と均熱管5
03との間にはガス流508a、508b、508cが
供給されるようになっており、かつ内方の石英管501
と外方の石英管502との間には炉管に沿って少なくと
も1本の熱電対505が設けられている。
【0090】このように構成された横型LPCVD炉を
用い、Si基板506にシリコン窒化膜堆積工程を施す
場合は、例えば次のようにして行う。ゲート多結晶シリ
コン膜を形成したSi基板506を冶具507に載せ
て、窒素雰囲気中で400℃に保たれた内方の石英管5
01内に搬送する。そして、SiH2 Cl2 10scc
m、NH3 100sccmの雰囲気の下で700℃まで
昇温し、LPCVD法により所望のシリコン窒化膜厚が
得られる時間の成膜を行う。なお、反応圧力は、15P
aである。この際、内方の石英管501と外方の石英管
502との間及び外方の石英管502と均熱管503と
の間には、0.2気圧のO2 ガスと0.8気圧のKrガ
スとの混合ガスを10slmの流量で給排させるととも
に、遮蔽すべき金属のイオン化ポテンシャルよりも高い
エネルギーレベルを有する光照射を行う。これにより、
遮蔽の対象となる金属はイオン化されるが、照射光のエ
ネルギーレベルより高いイオン化ポテンシャルを有する
成分、例えばKrやXeの不活性ガスはイオン化されな
い。したがって、遮蔽の対象となる金属元素のみを選択
的にイオン化(共鳴イオン化)することができ、効率的
に金属重希ガス結合生成物を形成でき、かつこれを横型
LPCVD炉500外に除去できる。
【0091】このようにして、横型LPCVD炉500
外に除去された金属重希ガス結合生成物を含むガス51
8aは分解処理室511に導入される。分解処理室51
1は、例えば口径が異なる2本の中空円筒体の石英管5
12、513が長手方向に沿って遊嵌状態にはめ合わさ
れており、他にこの2本の石英管512、513を内包
するように配置された均熱管514と、この均熱管51
4の外面に配設されたヒーターからなる電気炉515と
を備えている。
【0092】内方の石英管512内には、石英管512
内部でのガス流を蛇行させガスの滞留時間を増加させる
ことを主たる目的とした遮蔽冶具516が設けられてい
る。均熱管514は重金属の正イオン化を抑制する材料
例えばSiC又はSiN製で、その内表面には重金属の
正イオン化を促進する材料例えばSiO2 が被覆されて
いる。また、内方の石英管512と外方の石英管513
との間及び外方の石英管513と均熱管514との間に
はガス流518b、518cが供給されるようになって
おり、かつ内方の石英管512と外方の石英管513と
の間には炉管に沿って少なくとも1本の熱電対517が
設けられている。
【0093】金属重希ガス結合生成物を含むガス518
aは、還元性のガス(例えばH2 、H2 とH2 Oとの混
合ガス、COとCO2 との混合ガス)と不活性ガス(例
えばN2 、He、Ne、Ar、Kr、Xe)との混合ガ
スのガス流と予め混合されるか、或いは個別のガス供給
系統により、内方の石英管512内に導入される。石英
管512、513及び均熱管514は、電気炉515に
より金属重希ガス結合生成物の還元/分解に必要な温
度、例えば200〜1000℃に保たれている。この温
度は除去すべき金属の酸化物生成自由エネルギーと還元
性のガスの組成によって決定される。この還元/分解処
理により、除去されるべき重金属元素は石英管512、
513、均熱管514或いは遮蔽冶具516に捕獲され
る。一方、分解処理室511から排出されるガスからは
重金属元素が除去されているため、所望のガス成分の分
離精製処理を施すのみで、再度横型LPCVD炉500
内の内方の石英管501、内方の石英管501と外方の
石英管502との間或いは外方の石英管502と均熱管
503との間に供給することができる。
【0094】このようにしてシリコン窒化膜堆積を施し
たSi基板を気相分析法フレームレス原子吸光法で分析
したところ、5×1015atoms/cm3 のFeと
1.5×1015atoms/cm3 のCuが検出され
た。この金属不純物濃度は、従来の熱処理ガスを用いた
熱処理での値(5×1016atoms/cm3 のFe、
3×1016atoms/cm3 のCu)に比較して1桁
以上減少している。また、このシリコン窒化膜中の酸素
濃度は、SIMS分析にて検出限界(1×1018個/c
3 )以下と、非常に低い値が得られた。
【0095】なお、内方の石英管501と外方の石英管
502との間及び外方の石英管502と均熱管503と
の間に給排するガスの組成は同一である必要はなく、ま
た混合ガスである必要はない。例えば、外方の石英管5
02と均熱管503との間には0.5気圧のO2 ガスと
0.5気圧のN2 ガスとの混合ガスを10slmの流量
で給排し、内方の石英管501と外方の石英管502と
の間には0.5気圧のKrガスと0.5気圧のN2 ガス
との混合ガスを10slmの流量で給排した場合、或い
は、外方の石英管502と均熱管503との間には0.
8気圧のO2 ガスと0.2気圧のN2 ガスとの混合ガス
を10slmの流量で給排し、内方の石英管501と外
方の石英管502との間には1気圧のXeガスのみを1
0slmの流量で給排した場合にも、ほぼ同様の金属不
純物遮蔽効果が得られた。
【0096】なお、分解処理室511における金属重希
ガス結合生成物の分解処理は還元処理に限定されること
はなく、酸化物生成自由エネルギーの大きな金属を除去
する場合には、金属重希ガス結合生成物よりも安定な金
属酸化物として除去する酸化処理を行ってもよい。この
場合、金属重希ガス結合生成物を含むガスは、酸化性の
ガス(例えば、O2 、N2 O、O3 、原子状酸素、励起
状態O2 、励起状態O原子の単独ガス或いはこれらの2
種類以上の混合ガス)と不活性ガス(例えば、N2 、H
e、Ne、Ar、Kr、Xe)との混合ガスと予め混合
されるか、或いは個別のガス供給系統により、内方の石
英管512内に導入される。石英管512、513及び
均熱管514は、電気炉515により金属重希ガス結合
生成物の酸化/分解に必要な温度、例えば200〜10
00℃に保たれている。この温度は除去すべき金属の酸
化物生成自由エネルギーと酸化性のガスの組成によって
決定される。また、金属重希ガス結合生成物の結合エネ
ルギーが比較的小さい場合には、前段階の酸化、拡散、
熱処理、膜堆積、ドライエッチング等の各処理を半導体
基板に施す処理部分での処理温度よりも高温の雰囲気に
保持するだけでも良い。
【0097】さらに、除去すべき金属の酸化物と同等の
生成自由エネルギー、典型的には酸化物生成自由エネル
ギーの1/10以上を有する金属化合物が存在する場合
には、それらの反応を促進させるガスを混合し、例えば
窒化反応性雰囲気或いはハロゲン化反応性雰囲気等の反
応性雰囲気での分解処理を行ってもよい。また、これら
還元、酸化或いは反応性雰囲気での分解処理を促進する
ために、分解処理室511に高周波電場を印加してもよ
い。高周波電場を印加した場合には、電気炉515によ
る加熱温度を低下させることができる。
【0098】以上、各実施形態について説明したが、本
発明はこれらの各実施形態に限定されるものではなく、
その趣旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施
可能である。
【0099】
【発明の効果】本発明によれば、予め汚染金属を正イオ
ン化して希ガスと反応させることにより、汚染金属を希
ガスとの結合生成物として容易に排出することができ、
被処理基板が汚染金属によって汚染されることを防止す
ることができる。
【0100】また、本発明によれば、汚染金属と希ガス
との結合生成物を再解離させ、再解離した希ガスを回収
して再び結合生成物の生成、排出に使用することによ
り、希ガスの有効利用をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示した図であり、本
発明を横型拡散炉に適用した場合について示した図。
【図2】本発明の第2の実施形態を示した図であり、本
発明を縦型酸化炉に適用した場合について示した図。
【図3】本発明の第3の実施形態を示した図であり、本
発明を複数の処理装置が連結された処理装置システム及
び各処理装置間における基板搬送システムに適用した場
合について示した図。
【図4】本発明の第4の実施形態を示した図であり、本
発明を横型LPCVD炉に適用した場合について示した
図。
【図5】本発明の第5の実施形態を示した図であり、本
発明を横型LPCVD炉及び分解処理装置に適用した場
合について示した図。
【図6】金属イオンと希ガスとの軌道相関図について示
した図。
【図7】金属イオンと希ガスとの結合エネルギー等につ
いて示した図。
【図8】金属酸化物の結合エネルギー等について示した
図。
【図9】金属酸化物と希ガスとの結合エネルギー等につ
いて示した図。
【図10】Cu及びFeイオンのSiO2 中の飽和濃度
について示した図。
【図11】アクセプタ準位による電子捕獲時の安定化エ
ネルギーが変化した場合の固溶限の変化をCuについて
示した図。
【図12】非架橋酸素ホールセンターの種々の形態に対
するエネルギー準位について示した図。
【符号の説明】
100…拡散炉 101、201、401、501、512…内方の石英
管 102、202、402、502、513…外方の石英
管 103、203、403、503、514…均熱管 104、204、404、504、515…電気炉 105、205、405、505、517…熱電対 106、206、406、506…Si基板 107、207、407、507…治具 108a〜108c、209a〜209b、408a〜
408c、508a〜508c、518b〜518c…
ガス流 200…酸化炉 208…細孔 300…処理システム 301…半導体処理装置 302…収納容器 303…処理室 304…ロードロック室 305、306…ゲートバルブ 307…接続手段 308…扉 309…処理容器 310…載置台 311…被処理基板 312…シャワーヘッド 313、319…ガス供給手段 314、320、328…開閉バルブ 315、322、330…排気口 316、324…排気手段 317…搬送手段 318…駆動手段 321、329…フィルター 325…カセット 326…保持手段 327、332…開口 323、331…バルブ 400、500…LPCVD炉 411…光照射 518a…金属重希ガス結合生成物を含むガス 511…分散処理室 516…遮蔽治具
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 21/68 H01L 21/68 A (56)参考文献 特開 昭62−244459(JP,A) 特開 平5−144802(JP,A) 特開 平8−124871(JP,A) 特開 平7−78775(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/31 H01L 21/205 H01L 21/22 501 H01L 21/324 H01L 21/68

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被処理基板の汚染原因となる汚染金属が被
    処理基板に到達する前に該汚染金属を正イオン化させ、
    この正イオン化した汚染金属を希ガスと反応させて結合
    生成物として排出することを特徴とする汚染金属の除去
    方法。
  2. 【請求項2】被処理基板の汚染原因となる汚染金属が正
    イオン化されて希ガスと反応することにより生成され排
    出された結合生成物に所定の処理を施すことにより汚染
    金属と希ガスとを解離させ、解離した希ガスを前記結合
    生成物の生成に再使用することを特徴とする結合生成物
    の処理方法。
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