JP3311928B2 - 高周波用アルミナ質焼結体 - Google Patents

高周波用アルミナ質焼結体

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JP3311928B2 JP10550196A JP10550196A JP3311928B2 JP 3311928 B2 JP3311928 B2 JP 3311928B2 JP 10550196 A JP10550196 A JP 10550196A JP 10550196 A JP10550196 A JP 10550196A JP 3311928 B2 JP3311928 B2 JP 3311928B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体共振器、高
周波導波路、高周波コンデンサ、高周波IC基板、IC
パッケージ、誘電体アンテナ等の電気通信分野またはマ
イクロ波透過窓等の核融合関係設備分野などの高周波用
として好適に利用されるアルミナ質焼結体に関する。
【0002】
【従来技術】近年、通信網の発達にともなって、使用周
波数がマイクロ波やミリ波領域などの高周波領域に及び
つつある。誘電体磁器は、これらの高周波領域におい
て、共振器や集積回路基板、アンテナ、各種高周波回路
のインピーダンス整合等に応用されている。特に、フィ
ルタやガンまたはFETマイクロ波発信器の周波数安定
化のために必要となり、その需要が増大している。
【0003】マイクロ波用誘電体材料の特性としては、
Q値(=1/tanδ)が大きく、共振周波数の温度係
数(τf)を制御できることが必要である。それに加え
て従来は、素子の小型化のために比誘電率の大きな材料
が開発されてきた。しかし、使用周波数が高くなるにし
たがい、加工性の面から比誘電率の小さい材料も望まれ
ると考えられる。
【0004】これまで、セラミック材料として最も多用
されているアルミナ質焼結体は、アルミナに、場合によ
っては、焼結助剤としてSiO2 、CaO、MgO等を
添加して焼結したものであるが、このアルミナ質焼結体
は、従来のBaO−TiO2系等のマイクロ波誘電体材
料に比べて比誘電率が10と小さい。また、単結晶Al
2 3 が非常に高いQ値をもつことから、Al2 3
来のQ値は高く、高周波誘電体材料として高い能力を持
っていると考えられる。さらに、アルミナ質焼結体は、
機械的強度、熱伝導性および化学的安定性に優れ、コス
トが低いという利点もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
アルミナ質焼結体は、共振周波数の温度係数(τf)が
−60ppm/℃と絶対値の大きな値をもつため、高周
波またはマイクロ波誘電体材料としてはその用途が著し
く制限されていた。また、Q値については、アルミナ原
料粉末中の不純物や焼結助剤等の添加物によって大きく
低下してしまい、本来有する優れた特性が得られないの
が現状であった。
【0006】共振周波数の温度係数τfを±0付近に調
整する方法としては、τfの符号の異なる物質を複合さ
せる方法が知られている。その場合、複合体のQ値は、
複合させる物質のQ値に支配される。したがって、大き
な負のτfを持つアルミナと複合させる物質としては、
τfが正で大きな値であり、かつ高いQ値を持つ物質が
望ましい。そこで、τfが正で大きな値であり、かつ高
いQ値を持つ物質としてはTiO2 が注目される。しか
しながら、Al2 3 にTiO2 を添加して焼成する
と、通常Al2 TiO5 が生成するため、目的とする特
性が得られず、Al2 TiO5 の生成を抑制するために
第3の添加物を必要としていた。
【0007】従って、本発明は、アルミナを主成分と
し、高いQ値を有し、しかも共振周波数の温度係数τf
の絶対値を低減できる新規な材料を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Al2
3 −TiO2 系材料についてさらに検討を重ねた結果、
第3添加物を添加しなくても、その焼成温度を低く設定
すると、Al2 TiO5 が生成する反応が進まないこと
がわかった。そして、そのようにして得られたAl2
3 −TiO2 複合材料は、緻密であれば、τfが小さ
く、さらに高いQ値を持つことを見出し、本発明に至っ
た。
【0009】即ち、本発明の高周波用アルミナ質焼結体
は、Alを酸化物換算で78〜96体積%と、Tiを酸
化物換算で4〜22体積%とからなり、Al2 3 (コ
ランダム)結晶相を主相とし、TiO2 (ルチル)相を
4〜14体積%の割合で含有するとともに、開気孔率が
3%以下、測定周波数10GHzにおける誘電損失(t
anδ)が5×10-4以下、共振周波数の25〜85℃
における温度係数の絶対値|τf|が30ppm/℃以
下であることを特徴とするものである。
【0010】
【作用】アルミナのτfは−60ppm/℃と負の大き
な値である。そこで、アルミナのτfの絶対値を低減さ
せるには、焼結体中にτfが+440ppm/℃のTi
2 相を共存させることが有効である。一方、Al2
iO5 相は、Al2 3とTiO2 との混合物を高温で
焼結すると生成される物質であるが、このAl2TiO
5 相をAl2 3 相と共存させてもτfの絶対値を低減
させることができない。よって、本発明では、Al2
3 相に加えてTiO2 相を焼結体中に安定に共存させる
ことが必要である。Al2 3 −TiO2 系では、高温
(1200℃以上)ではAl2 TiO5 が安定相となる
ため、TiO2 相はほとんど残存しないが、低温ではA
2 3 相とともにTiO2 相も安定して存在し得る。
【0011】そこで、本発明では、Al2 3 −TiO
2 系組成物を比較的低温で焼成させて、Al2 3 (コ
ランダム)からなる主相に対して、TiO2 (ルチル)
相を4〜14体積%の割合で共存させることができ、し
かも開気孔率3%以下まで緻密化させることにより、高
周波あるいはマイクロ波領域で、共振周波数の温度係数
τfの絶対値を小さく、また高いQ値の焼結体を得るこ
とができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のアルミナ質焼結体は、A
2 3 (コランダム)相を主相とするものであり、そ
の他の結晶相として少なくともTiO2 (ルチル)相を
含むものである。本発明によれば、Al2 3 相を主相
とする焼結体中に、TiO2 相が4〜14体積%、特に
7〜11体積%の割合で存在することが重要である。こ
れは、TiO2 相が4体積%より少ないと、τfが−3
0ppm/℃より小さくなり、TiO2 相が14体積%
より大きいとτfが+30ppm/℃より大きくなるた
めである。なお、本発明の焼結体中には、Al2 3
およびTiO2 相以外に、Al2 TiO5 相が存在する
場合もあるが、Al2 TiO5 相は、TiO2 相のよう
にアルミナのτfを制御する効果を有さず、また、焼結
体中に多量に存在すると誘電損失が大きくなるため、A
2 TiO5 相の量は少ないほどよく、具体的には、7
体積%以下であることが望ましい。また、わずかにこれ
らの成分からなるガラス相が存在する場合もある。
【0013】本発明のアルミナ質焼結体によれば、結晶
相を上記の範囲に制御するため、焼結体全量におけるA
lは酸化物換算で78〜96体積%、Tiを酸化物換算
で4〜22体積%の比率で含むものであり、これらの比
率を逸脱すると、各結晶相の比率を上述の範囲に制御す
ることが難しくなる。本発明のアルミナ質焼結体は、開
気孔率が3%以下であることも重要である。これは、開
気孔率が3%を越えると、高周波領域での誘電損失が大
きくなるためである。
【0014】本発明によれば、上記の構成により、測定
周波数10GHzにおける誘電損失(tanδ)が5×
10-4以下、特に2×10-4以下、共振周波数の25〜
85℃における温度係数の絶対値|τf|を30ppm
/℃以下の範囲に容易に制御することができる。
【0015】本発明において、上記の焼結体を作製する
には、まず、原料粉末として、純度99.8%以上のA
2 3 粉末と、純度99.8%以上のTiO2 粉末を
準備する。特に、本発明によれば、低温での焼結性を高
めるためには、Al2 3 粉末の粒径は小さいことがよ
く、特にAl2 3 粉末のBET比表面積は、12m2
/g以上であることが望ましい。
【0016】そして、これらの粉末をAl2 3 粉末7
8〜96体積%と、TiO2 粉末4〜22体積%の割合
で秤量し有機バインダー等を添加してボールミル等によ
り混合する。この時、TiO2 の添加量が多くなるに従
い、焼結性は、高くなるため、用いるAl2 3 粉末の
焼結性に合わせてTiO2 量を調整することが必要であ
る。そして、その混合物を所望の成形手段、例えば、金
型プレス,冷間静水圧プレス,押出し成形、ドクターブ
レード法、圧延法等により任意の形状に成形後、焼成す
る。
【0017】焼成は、1350℃以下、特に1300℃
以下の温度で大気などの酸化性雰囲気中で1〜5時間焼
成し、開気孔率が3%以下、特に2%以下となるに十分
な時間焼結させる。焼成温度が1350℃より高いと、
Al2 TiO5 相が生成されてしまい、τfの制御がで
きず、誘電損失も大きくなってしまう。なお、焼成時間
を長くして緻密化を促進させることにより誘電損失をさ
らに小さくすることができる。
【0018】
【実施例】Al2 3 粉末として、純度99.99
%、BET比表面積15m2 /g、純度99.8%、
BET比表面積8m2 /g、純度99.9%、BET
比表面積7m2 /gの3種を準備し、TiO2 粉末とし
て、純度99.9%、BET比表面積が2m2 /gの粉
末を用いて、表1の組成で100g調合し、純度99.
9%のアルミナボール(直径10mm)300gとイソ
プロピルアルコール100gとともに500mlポリポ
ットに入れ24時間回転ミルで混合した。次にパラフィ
ンワックスを5wt%混合し、乾燥後40メッシュに通
した。この粉末を金型プレスにより1000kg/cm
2 で成形した。焼成は、大気中で表1の条件で行い円柱
状の焼結体を得た。
【0019】得られた円柱試料に対して、研磨加工後、
アルキメデス法により開気孔率を測定し、X線回折測定
により結晶相を同定するとともに、その存在割合を検量
線法により全結晶相に対する各結晶相の比率を求めた。
また、誘電体円柱共振器法により測定周波数10GHz
で、比誘電率(εr)、誘電損失(tanδ)を測定す
るとともに、25〜85℃の共振周波数の温度係数τf
を測定した。結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】表1によれば、TiO2 相の析出量が4体
積%よりも少ない試料No.1,5,10、11、12、
19では、いずれも|τf|が30ppm/℃を越える
もので、逆にTiO2 相の量が14体積%より多い試料
No.20、22でも+側に大きくなりすぎていた。開気
孔率が3%より大きい試料No.21では誘電損失が6.
0×10-4と大きいものであった。
【0022】これに対して、上記以外の本発明の試料
は、1500℃以下の温度で焼結していずれもTiO2
相を適量析出させることにより、τfを−30〜+30
ppm/℃の範囲で制御できることがわかる。また、本
発明の試料は、いずれも誘電損失5×10-4以下、比誘
電率11以上の特性を有するものであった。
【0023】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、A
2 3 −TiO2 系材料において、高周波領域での誘
電損失が低く、|τf|を30ppm/℃以下に制御で
きる材料を提供できる。これにより、誘電体共振器、マ
イクロ波導波路、マイクロ波コンデンサ、マイクロ波I
C基板、ICパッケージ、誘電体アンテナ等の電気通信
分野またはマイクロ波透過窓等の核融合関係設備分野な
どの高周波用として好適に利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Alを酸化物換算で78〜96体積%と、
    Tiを酸化物換算で4〜22体積%とからなり、Al2
    3 (コランダム)結晶相を主相とし、TiO2 (ルチ
    ル)相を4〜14体積%の割合で含有するとともに、開
    気孔率が3%以下、測定周波数10GHzにおける誘電
    損失(tanδ)が5×10-4以下、共振周波数の25
    〜85℃における温度係数の絶対値|τf|が30pp
    m/℃以下であることを特徴とする高周波用アルミナ質
    焼結体。
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