JP3310621B2 - カチオン電着塗装方法 - Google Patents

カチオン電着塗装方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗装膜厚を被塗物
の素材によらず一定にすることができるカチオン電着塗
装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カチオン電着塗装は、複雑な形状を有す
る被塗物であっても細部にまで塗装を施すことができ、
自動的かつ連続的に塗装することができるので、自動車
車体等の大型で複雑な形状を有し、高い防錆性が要求さ
れる被塗物の下塗り塗装方法として汎用されている。ま
た、他の塗装方法と比較して、塗料の使用効率が極めて
高いことから経済的であり、工業的な塗装方法として広
く普及している。
【0003】このようなカチオン電着塗装においては、
エポキシ樹脂やアクリル樹脂等を骨格したポリアミン化
樹脂を主成分とする電着塗料組成物の使用が一般的であ
り、通常、ポリアミン化樹脂は有機酸で中和され正に荷
電している。カチオン電着塗装は、カチオン電着塗料組
成物中に被塗物を陰極として浸漬させ、電圧を印加する
ことにより行われる。この塗装の過程における被膜の析
出は電気化学的な反応によるものであり、被塗物表面に
析出した被膜は絶縁性を有するので、塗装過程におい
て、被膜の析出が進行して析出膜の膜厚が増加するのに
従い、膜厚の増加に比例して被膜の電気抵抗は大きくな
る。その結果、当該部位への塗料の析出は低下し、代わ
って未析出部位への被膜の析出が始まる。このようにし
て、順次未被着部分に塗料エマルション粒子が被着して
塗装を完成させる。本明細書中、被塗物の未被着部位に
被膜が順次形成されることをつきまわり性という。
【0004】しかしながら、このような中和アミノ基を
水和基とするカチオン電着塗料組成物は、析出性が塗装
浴の温度等の条件によって敏感に変化するうえ、つきま
わり性が不充分で、膜厚のムラを生じていた。例えば、
従来のカチオン電着塗料組成物のつきまわり性を、いわ
ゆる4枚ボックス法により評価すると、比較的つきまわ
り性が良好であるとされているぎ酸中和型の塗料組成物
であっても、G/A値が48%程度にすぎない。
【0005】WO98/03701号公報には、従来の
中和アミノ基を水和基とする電着塗料組成物とは異なる
カチオン電着塗料組成物が開示され、このものは、分子
内にスルホニウム基とエチニル基やニトリル基等の三重
結合を含有する基体樹脂からなる。このカチオン電着塗
料組成物は、つきまわり性にすぐれており、従来のカチ
オン電着塗料組成物に比べて一層均一な膜厚の塗膜を形
成することができる。
【0006】一方、被塗物の素材の違いによっても、電
着塗膜の形成は影響を受ける。例えば、冷間圧延鋼板と
りん酸亜鉛処理等の表面処理を施した冷間圧延鋼板とで
は、同一電着条件において形成される塗膜の膜厚が一般
には異なる。従って、形成される塗膜を一定に保つため
には、被塗物の素材によって電着条件を設定する必要が
あり、このため、複数種類の素材をライン処理する場合
等に困難をきたすことがあった。また、例えば、りん酸
亜鉛処理鋼板を被塗物とする場合に、りん酸亜鉛処理が
不充分な部分に電着塗膜が多量に析出してしまい、塗膜
の均一化を維持できないおそれがあった。
【0007】この問題は、従来のつきまわり性改善のた
めの技術のみによって解決することは困難であった。す
なわち、上述の技術は、いずれも、上述の意味における
つきまわり性の改善を課題とするものであったとして
も、被塗物の素材の違いによる電着塗膜の析出性の相違
に着目し、これに対する制御手段を提供するものではな
かった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の現状
に鑑みて、塗装膜厚を被塗物の素材によらず一定にする
ことができるカチオン電着塗装方法を提供することを目
的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、スルホニウム
基を水和基として含有するカチオン電着塗料組成物を使
用するカチオン電着塗装方法であって、上記カチオン電
着塗料組成物の樹脂固形分100gあたりのスルホニウ
ム基含量aと、前記カチオン電着塗料を使用して得られ
た電着塗膜の樹脂固形分100gあたりのスルホニウム
基含量bとの比[(b/a)×100(%)]が、40
%未満であるように、上記カチオン電着塗料組成物を電
着塗装するカチオン電着塗装方法である。
【0010】本発明の好ましい一態様においては、カチ
オン電着塗料組成物として、樹脂固形分100gあたり
スルホニウム基10〜300mmol及び炭素−炭素不
飽和結合50〜2000mmolを含有する基体樹脂
に、アミン化合物を、上記基体樹脂固形分100gあた
り1〜50mmolであって、かつ、上記基体樹脂に含
有されるスルホニウム基の含有量の5mol%以上配合
してなるものを使用する。
【0011】本発明の好ましい態様においては、上記炭
素−炭素不飽和結合の少なくとも15%は、プロパルギ
ル基の炭素−炭素三重結合である。以下に本発明を詳述
する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のカチオン電着塗装方法
は、スルホニウム基を水和基として含有するカチオン電
着塗料組成物を使用する。上記カチオン電着塗料組成物
としては水和基としてスルホニウム基を含有してなるも
のであれば特に限定されない。
【0013】上記スルホニウム基は、上記カチオン電着
塗料組成物の水和官能基である。スルホニウム基は、電
着塗装過程で一定以上の電圧又は電流が与えられると、
以下に示すように電極上で電解還元反応をうけてイオン
性基が消失し、スルフィドとなって不可逆的に不導体化
することができる。上記カチオン電着塗料組成物が高度
のつきまわり性を発揮することができるのは、このため
であると考えられる。
【0014】
【化1】
【0015】また、この電着塗装過程においては、電極
反応が引き起こされ、生じた水酸化物イオンをスルホニ
ウム基が保持することにより電解発生塩基が電着被膜中
に発生するものと考えられる。この電解発生塩基は、電
着被膜中に存在する熱による反応性の低いプロパルギル
基を熱による反応性の高いアレン結合に変換することが
できる。
【0016】本発明のカチオン電着塗装方法に使用する
上記スルホニウム基を水和基として含有するカチオン電
着塗料組成物としては、例えば、樹脂固形分100gあ
たりスルホニウム基10〜300mmol及び炭素−炭
素不飽和結合50〜2000mmolを含有する基体樹
脂に、アミン化合物を、上記基体樹脂固形分100gあ
たり1〜50mmolであって、かつ、上記基体樹脂に
含有されるスルホニウム基の含有量の5mol%以上配
合してなるものを好適に使用することができる。以下、
このものを「スルホニウム基及び炭素−炭素不飽和結合
含有カチオン電着塗料組成物」という。
【0017】上記スルホニウム基及び炭素−炭素不飽和
結合含有カチオン電着塗料組成物において、スルホニウ
ム基の含有量は、上記基体樹脂固形分100gあたり1
0〜300mmolであることが好ましい。10mmo
l/100g未満であると、充分なつきまわり性や硬化
性を発揮することができず、また、水和性、浴安定性が
悪くなる。300mmol/100gを超えると、被塗
物表面への被膜の析出が悪くなる。より好ましくは、基
体樹脂固形分100gあたり10〜250mmolであ
り、10〜150mmolが更に好ましい。
【0018】上記炭素−炭素不飽和結合は、炭素−炭素
間の不飽和二重結合又は不飽和三重結合である。上記基
体樹脂において、上記炭素−炭素不飽和結合は、上記基
体樹脂の分子末端に存在してもよく、又は、上記基体樹
脂の骨格を形成する分子鎖中の一部に存在していてもよ
い。上記炭素−炭素不飽和結合は、硬化官能基として機
能するとともに、理由は不明であるが、スルホニウム基
と併存することにより、樹脂組成物のつきまわり性を一
層向上させることができる。
【0019】上記炭素−炭素不飽和結合の含有量は、上
記基体樹脂固形分100gあたり50〜2000mmo
lであることが好ましい。50mmol/100g未満
であると、充分なつきまわり性や硬化性を発揮すること
ができない。2000mmol/100gを超えると、
カチオン電着塗料として使用した場合の水和安定性に悪
影響を及ぼし、被塗物表面への被膜の析出が悪くなる。
より好ましくは、基体樹脂固形分100gあたり80〜
1000mmolであり、80〜500mmolが更に
好ましい。
【0020】上記基体樹脂において、上記炭素−炭素不
飽和結合は、数において少なくとも15%がプロパルギ
ル基の炭素−炭素三重結合であることが硬化性の観点か
ら好ましい。
【0021】なお、上記炭素−炭素不飽和結合の含有量
は、例えば、長鎖不飽和脂肪酸等の分子内に複数個の炭
素−炭素二重結合をもつ分子が導入された場合であって
も、導入された、分子内に複数個の炭素−炭素二重結合
をもつ分子自体の含有量をもって表すものとする。これ
は、複数個の炭素−炭素二重結合をもつ分子が導入され
ても、硬化反応に関与するのは、実質的にそのうちの一
つの炭素−炭素二重結合のみであると考えられるからで
ある。
【0022】上記基体樹脂としては、上述のスルホニウ
ム基及び上記炭素−炭素不飽和結合を含有するものであ
る限り特に限定されるものではなく、アクリル樹脂やエ
ポキシ樹脂を使用可能であるが、樹脂骨格中にスルホニ
ウム基や上記炭素−炭素不飽和結合を容易に導入するこ
とができるように、エポキシ基を1分子中に少なくとも
2個有するポリエポキシドが好ましい。上記ポリエポキ
シドとしては特に限定されず、例えば、エピビスエポキ
シ樹脂、これをジオール、ジカルボン酸、ジアミン等に
より鎖延長したもの;エポキシ化ポリブタジエン;ノボ
ラックフェノール型ポリエポキシ樹脂;ノボラッククレ
ゾール型ポリエポキシ樹脂;ポリグリシジルアクリレー
ト;脂肪族ポリオール又はポリエーテルポリオールのポ
リグリシジルエーテル;多塩基性カルボン酸のポリグリ
シジルエステル等を挙げることができる。これらのう
ち、硬化性を高めるための多官能基化が容易であるノボ
ラックフェノール型ポリエポキシ樹脂、ノボラッククレ
ゾール型ポリエポキシ樹脂、ポリグリシジルアクリレー
トが好ましい。
【0023】上記ポリエポキシドの数平均分子量は、5
00〜20000が好ましい。数平均分子量が500未
満であると、カチオン電着塗装の塗装効率が悪くなり、
20000を超えると被塗物表面で良好な被膜を形成す
ることができない。樹脂骨格に応じてより好ましい数平
均分子量を設定可能であり、例えば、ノボラックフェノ
ール型エポキシ樹脂、ノボラッククレゾール型エポキシ
樹脂の場合には、700〜5000であることがより好
ましい。
【0024】上記基体樹脂が上記ポリエポキシドを骨格
とするものである場合、上記ポリエポキシドのエポキシ
基を介してスルホニウム基及び上記炭素−炭素不飽和結
合が導入されている。上記基体樹脂は、一分子中にスル
ホニウム基及び上記炭素−炭素不飽和結合を共に含有し
ていることが好ましいが、必ずしもその必要はなく、例
えば、一分子中にスルホニウム基又は上記炭素−炭素不
飽和結合のいずれかを含有していてもよい。この後者の
場合にあっては、基体樹脂を構成する樹脂分子全体とし
て、これら2種の官能基の全てを含有している。すなわ
ち、上記基体樹脂は、一般には、スルホニウム基又は上
記炭素−炭素不飽和結合のうちのいずれか一つ又は二つ
以上を有する複数の樹脂分子からなるものであってよ
い。本明細書中、上記基体樹脂は、上述の意味において
スルホニウム基及び上記炭素−炭素不飽和結合を含有す
る。
【0025】上記スルホニウム基及び炭素−炭素不飽和
結合含有カチオン電着塗料組成物の第二の成分は、アミ
ン化合物である。上記アミン化合物の添加により、電着
過程における電解還元によるスルホニウム基のスルフィ
ドへの変換率が増大する。上記アミン化合物としては特
に限定されず、例えば、1級〜3級の単官能及び多官能
の脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミン等のアミ
ン化合物を挙げることができる。これらのうち、水溶性
又は水分散性のものが好ましく、例えば、モノメチルア
ミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチル
アミン、プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリ
ブチルアミン等の炭素数2〜8のアルキルアミン;モノ
エタノールアミン、ジメタノールアミン、メチルエタノ
ールアミン、ジメチルエタノールアミン、シクロヘキシ
ルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピリジ
ン、ピラジン、ピペリジン、イミダゾリン、イミダゾー
ル等を挙げることができる。これらは単独で使用しても
よく、2種以上を併用してもよい。なかでも、水分散安
定性が優れているので、モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、ジメチルエタノールアミン等のヒドロキ
シアミンが好ましい。
【0026】上記アミン化合物は、直接、上記スルホニ
ウム基及び炭素−炭素不飽和結合含有カチオン電着塗料
組成物中に配合することができる。従来の中和型アミン
系のカチオン電着塗料組成物では、遊離のアミンを添加
すると、樹脂中の中和酸を奪うことになり、電着溶液の
安定性が著しく悪化するが、上記スルホニウム基及び炭
素−炭素不飽和結合含有カチオン電着塗料組成物におい
ては、このような浴安定性の阻害が生じることはない。
【0027】上記アミン化合物の配合量は、上記基体樹
脂固形分100gあたり1〜50mmolであることが
好ましい。配合量が1mmol/100g未満であると
化合物を添加することによる効果が発揮できず、50m
mol/100gを超えると配合量に応じた効果が期待
できず不経済である。より好ましくは、1〜30mmo
l/100gである。上記アミン化合物の配合量は、ま
た、上述の条件を充たした上で、上記スルホニウム基及
び炭素−炭素不飽和結合含有カチオン電着塗料組成物に
含まれる上記基体樹脂に含有されるスルホニウム基の含
有量の5mol%以上であることが好ましい。配合量が
上記条件を充たしても、上記基体樹脂に含有されるスル
ホニウム基の含有量の5mol%以上でない場合は、ス
ルホニウム基のスルフィドへの変換率の向上に充分寄与
することがない。より好ましくは、7mol%以上であ
る。
【0028】上記基体樹脂の製造方法を、エポキシ樹脂
を使用する場合を典型例として以下に説明する。エポキ
シ樹脂以外の樹脂を使用する場合にも、以下の方法を適
宜変更することにより、実施可能である。上記基体樹脂
は、例えば、一分子中に少なくとも2つのエポキシ基を
有するエポキシ樹脂に、エポキシ基と反応する官能基及
び炭素−炭素不飽和結合を有する化合物を反応させて、
炭素−炭素不飽和結合を含有するエポキシ樹脂を得る工
程(1)、及び、工程(1)で得られた炭素−炭素不飽
和結合を含有するエポキシ樹脂中の残存エポキシ基に、
スルホニウム基を導入する工程(2)からなる工程によ
って好適に製造することができる。
【0029】上記一分子中に少なくとも2つのエポキシ
基を有するエポキシ樹脂としては、上述したポリエポキ
シ樹脂等を好適に使用することができる。
【0030】上記エポキシ基と反応する官能基及び炭素
−炭素不飽和結合を有する化合物としては、例えば、水
酸基やカルボキシル基等のエポキシ基と反応する官能基
と炭素−炭素不飽和結合とをともに含有する化合物であ
ってよく、具体的には、プロパルギルアルコールやプロ
パルギル酸等の水酸基又はカルボキシル基と炭素−炭素
三重結合とを有する化合物;2−ヒドロキシエチルアク
リレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒド
ロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタ
クリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキ
シブチルメタクリレート、アリルアルコール、メタクリ
ルアルコール等の水酸基と炭素−炭素不飽和二重結合と
を有する化合物;アクリル酸、メタクリル酸、エタクリ
ル酸、クロトン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸
等のカルボキシル基と炭素−炭素不飽和二重結合とを有
する化合物;マレイン酸エチルエステル、フマル酸エチ
ルエステル、イタコン酸エチルエステル、コハク酸モノ
(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、フタル酸
モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル等のハ
ーフエステル類;オレイン酸、リシノール酸等の合成不
飽和脂肪酸;アマニ油、大豆油等の天然不飽和脂肪酸等
を挙げることができる。
【0031】工程(1)における反応条件は、通常、室
温又は80〜140℃にて数時間である。また、必要に
応じて触媒や溶媒等の反応を進行させるために必要な公
知の成分を使用することができる。反応の終了は、エポ
キシ当量の測定により確認することができ、得られた樹
脂の不揮発分測定や機器分析により、導入された官能基
を確認することができる。
【0032】なお、炭素−炭素不飽和結合を含有するエ
ポキシ樹脂を得る工程としては、上記工程(1)以外
に、炭素−炭素不飽和結合を分子内に有するモノマー、
例えば、グリシジルメタクリレートにプロパルギルアル
コールを付加したモノマー等を、その他のモノマーと共
重合することによっても行うことができる。上記その他
のモノマーとしては上記モノマーと共重合可能なもので
あれば特に限定されず、例えば、アクリル酸又はメタク
リル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−
ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、
フェニル、ベンジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒド
ロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル等のエステル;
プラクセルFM(商品名)シリーズ(メタクリル酸2−
ヒドロキシエチルとカプロラクトンとの付加物、ダイセ
ル工業社製);アクリルアミド、N−メチロールアクリ
ルアミド等のその誘導体;スチレン、α−メチルスチレ
ン、酢酸ビニル等を挙げることができる。
【0033】工程(2)においては、上記工程(1)、
又は、該当する場合には、上述の炭素−炭素不飽和結合
を分子内に有するモノマーとその他のモノマーとを共重
合する方法で得られた炭素−炭素不飽和結合を含有する
エポキシ樹脂の残存エポキシ基に、スルホニウム基を導
入する。スルホニウム基の導入は、スルフィド/酸混合
物とエポキシ基を反応させてスルフィドの導入及びスル
ホニウム化を行う方法や、スルフィドを導入した後、更
に、酸又はアルキルハライド等により、導入したスルフ
ィドのスルホニウム化反応を行い、必要によりアニオン
交換を行う方法等により行うことができる。反応原料の
入手容易性の観点からは、スルフィド/酸混合物を使用
する方法が好ましい。
【0034】上記スルフィドとしては特に限定されず、
例えば、脂肪族スルフィド、脂肪族−芳香族混合スルフ
ィド、アラルキルスルフィド、環状スルフィド等を挙げ
ることができる。具体的には、例えば、ジエチルスルフ
ィド、ジプロピルスルフィド、ジブチルスルフィド、ジ
ヘキシルスルフィド、ジフェニルスルフィド、エチルフ
ェニルスルフィド、テトラメチレンスルフィド、ペンタ
メチレンスルフィド、チオジエタノール、チオジプロパ
ノール、チオジブタノール、1−(2−ヒドロキシエチ
ルチオ)−2−プロパノール、1−(2−ヒドロキシエ
チルチオ)−2−ブタノール、1−(2−ヒドロキシエ
チルチオ)−3−ブトキシ−1−プロパノール等を挙げ
ることができる。
【0035】上記酸としてはスルホニウム基の対アニオ
ンとなりうるものであれば特に限定されず、例えば、ぎ
酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、ほう酸、酪酸、ジメチ
ロールプロピオン酸、塩酸、硫酸、りん酸、N−アセチ
ルグリシン、N−アセチル−β−アラニン等を挙げるこ
とができる。
【0036】上記スルフィド/酸混合物における上記ス
ルフィドと上記酸との混合比率は、通常、モル比率でス
ルフィド/酸=100/60〜100/100程度が好
ましい。
【0037】上記アルキルハライドとしては特に限定さ
れず、例えば、フッ化メチル、塩化メチル、臭化メチ
ル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨ
ウ化イソプロピル等を挙げることができる。
【0038】上記工程(2)の反応は、例えば、上記工
程(1)で得られた炭素−炭素不飽和結合を含有するエ
ポキシ樹脂と、例えば、上述のスルホニウム基含量にな
るように設定された所定量の上記スルフィド及び上記酸
との混合物とを、使用するスルフィドの5〜10倍モル
の水と混合し、通常、50〜90℃で数時間攪拌して行
うことができる。反応の終了点は、残存酸価が5以下と
なることを目安とすればよい。得られた樹脂中のスルホ
ニウム基導入の確認は、電位差滴定法により行うことが
できる。
【0039】スルフィドの導入後にスルホニウム化反応
を行う場合も、上記に準じて行うことができる。
【0040】上述のように、スルホニウム基の導入を、
炭素−炭素不飽和結合の導入の後に行うことにより、加
熱によるスルホニウム基の分解を防止することができ
る。
【0041】こうして得られた基体樹脂に、アミン化合
物を所定量配合することにより、上記スルホニウム基及
び炭素−炭素不飽和結合含有カチオン電着塗料組成物を
好適に製造することができる。
【0042】上記スルホニウム基及び炭素−炭素不飽和
結合含有カチオン電着塗料組成物には、上述の基体樹脂
自体が硬化性を有するので、硬化剤の使用は必ずしも必
要ない。しかし、硬化性の更なる向上のために使用して
もよい。このような硬化剤としては、例えば、プロパル
ギル基及び不飽和二重結合のうち少なくとも1種を複数
個有する化合物、例えば、ノボラックフェノール等のポ
リエポキシドやペンタエリスリットテトラグリシジルエ
ーテル等に、プロパルギルアルコール等のプロパルギル
基を有する化合物や(メタ)アクリル酸やアリルアルコ
ール等の不飽和二重結合を有する化合物を付加反応させ
て得た化合物等を挙げることができる。
【0043】上記硬化剤は、残存するグリシジル基にス
ルホニウム基を導入し、自己乳化型エマルションとした
ものであってもよい。上記スルホニウム基を導入する方
法としては特に限定されず、例えば、上記基体樹脂の製
造方法で述べた方法を挙げることができる。また、全て
のグリシジル基に不飽和結合を導入したものをコアと
し、不飽和結合及びスルホニウム基を併せ持つものをシ
ェルとして乳化させたものであってもよい。
【0044】上記硬化剤の使用量は、上記スルホニウム
基及び炭素−炭素不飽和結合含有カチオン電着塗料組成
物中、樹脂固形分として80重量%以下であることが好
ましい。上記硬化剤を使用する場合、硬化剤中の不飽和
結合の量及びスルホニウム基の量は、上述のスルホニウ
ム基及び炭素−炭素不飽和結合含有カチオン電着塗料組
成物における含有量の範囲内であるように調節して使用
されることが好ましい。
【0045】上記スルホニウム基及び炭素−炭素不飽和
結合含有カチオン電着塗料組成物には、不飽和結合間の
硬化反応を進行させるために、硬化触媒を使用すること
ができる。このような硬化触媒としては特に限定され
ず、例えば、ニッケル、コバルト、銅、マンガン、パラ
ジウム、ロジウム等の遷移金属に対して、シクロペンタ
ジエンやアセチルアセトン等の配位子や酢酸等のカルボ
ン酸等が結合したもの等を挙げることができる。これら
のうち、銅のアセチルアセトン錯体、酢酸銅が好まし
い。上記硬化触媒の配合量は、カチオン電着塗料組成物
樹脂固形分100gあたり0.1〜20mmolである
ことが好ましい。
【0046】上記スルホニウム基及び炭素−炭素不飽和
結合含有カチオン電着塗料組成物は、必要に応じて、通
常のカチオン電着塗料組成物に用いられるその他の成分
を含んでいてもよい。上記その他の成分としては特に限
定されず、例えば、顔料、顔料分散樹脂、界面活性剤、
酸化防止剤、紫外線吸収剤等の塗料用添加剤等を挙げる
ことができる。
【0047】上記顔料としては特に限定されず、例え
ば、二酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等の着
色顔料;塩基性けい酸鉛、りんモリブデン酸アルミニウ
ム等の防錆顔料;カオリン、クレー、タルク等の体質顔
料等の一般にカチオン電着塗料組成物に使用されるもの
等を挙げることができる。上記顔料の配合量は、カチオ
ン電着塗料組成物中、固形分として0〜50重量%であ
ることが好ましい。
【0048】上記顔料分散樹脂としては特に限定され
ず、一般に使用されている顔料分散樹脂を使用すること
ができる。また、樹脂中にスルホニウム基と炭素−炭素
不飽和結合とを含有する顔料分散樹脂を使用してもよ
い。このようなスルホニウム基と不飽和結合とを含有す
る顔料分散樹脂は、例えば、ビスフェノール型エポキシ
樹脂とハーフブロック化イソシアネートとを反応させて
得られる疎水性エポキシ樹脂に、スルフィド化合物を反
応させるか、又は、上記樹脂に、一塩基酸及び水酸基含
有二塩基酸の存在下でスルフィド化合物を反応させる方
法等により得ることができる。
【0049】上記スルホニウム基及び炭素−炭素不飽和
結合含有カチオン電着塗料組成物は、上記基体樹脂、ア
ミン化合物に、必要に応じて、上述のその他の各成分を
混合し、水に溶解又は分散すること等により得ることが
できる。カチオン電着塗装に用いる場合には、不揮発分
が10〜30%の浴液となるように調製されることが好
ましい。また、カチオン電着塗料組成物中の炭素−炭素
不飽和結合及びスルホニウム基の含有量が、上述の範囲
を逸脱しないように調製されることが好ましい。
【0050】本発明のカチオン電着塗装方法において
は、上記スルホニウム基を水和基として含有するカチオ
ン電着塗料組成物、好ましくは、上記スルホニウム基及
び炭素−炭素不飽和結合含有カチオン電着塗料組成物
を、これらの塗料組成物を電着塗装して得られる塗膜中
に、電着される上記カチオン電着塗料組成物中に含有さ
れるスルホニウム基の40%未満が残存するように電着
塗装する。電着される上記スルホニウム基を水和基とし
て含有するカチオン電着塗料組成物、好ましくは、上記
スルホニウム基及び炭素−炭素不飽和結合含有カチオン
電着塗料組成物中に含有されるスルホニウム基の40%
以上が電着塗装して得られる塗膜中に残存するならば、
換言すれば、電着される上記スルホニウム基を水和基と
して含有するカチオン電着塗料組成物中に電着される前
に含有されているスルホニウム基のうち、スルフィド基
に変換されずに電着塗装して得られる塗膜中に残存する
スルホニウム基が40%以上であると、析出性や平滑性
に対する浴温度の影響が大きく、浴管理が難しくなる。
【0051】この条件は、上記スルホニウム基及び炭素
−炭素不飽和結合含有カチオン電着塗料組成物を使用す
る場合にあっては、以下に説明する電着塗装の電極印加
電圧、電着時間の条件を充たすとともに、上記アミン化
合物の含有量を上述の範囲に設定することによって達成
することができる。
【0052】すなわち、電着塗装は、被塗物を陰極とし
て陽極との間に、通常、50〜500Vの電圧を印加し
て行う。印加電圧が50V未満であると電着が不充分と
なり、500Vを超えると、消費電力が大きくなり、不
経済である。本発明の組成物を使用して上述の範囲内で
電圧を印加すると、電着過程における急激な膜厚の上昇
を生じることなく、被塗物全体に均一な被膜を形成する
ことができ、高いつきまわり性を発揮する。
【0053】上記被塗物としては導電性のあるものであ
れば特に限定されず、例えば、鉄板、鋼板、アルミニウ
ム板及びこれらを表面処理したもの、例えば、冷間圧延
鋼板、りん酸亜鉛処理した冷間圧延鋼板、溶融合金亜鉛
メッキ鋼板、りん酸亜鉛処理した溶融合金亜鉛メッキ鋼
板、これらの成型物等を挙げることができる。
【0054】上記電圧を印加する場合のカチオン電着塗
料組成物の浴液温度は、通常、10〜45℃の範囲で設
定可能であり、例えば、30℃等の温度に適宜設定する
ことができる。上記スルホニウム基及び炭素−炭素不飽
和結合含有カチオン電着塗料組成物中を使用する場合に
おいては、上記浴液温度は、設定温度の、例えば、±1
0℃以内に制御すればよく、30℃を設定温度とする場
合は、浴液温度を20〜40℃の範囲に制御すれば、所
望の電着塗膜を得ることができる。
【0055】本発明のカチオン電着塗装方法において、
電着過程は、(i)カチオン電着塗料組成物に被塗物を
浸漬する過程、(ii)上記被塗物を陰極して、陽極と
の間に電圧を印加し、被膜を析出させる過程、(ii
i)析出させた上記被膜に、電圧を更に印加することに
より、上記被膜の単位体積あたりの電気抵抗値を増加さ
せる過程、から構成されることが好ましい。電圧を印加
する時間は、一般には、2〜4分とすることができる。
【0056】上述のようにして得られる電着被膜は、電
着過程の終了後、そのまま又は水洗した後、120〜2
60℃、好ましくは160〜220℃で、10〜30分
間焼き付けることにより硬化させて、塗装を完了する。
【0057】本発明のカチオン電着塗装方法において
は、硬化後の電着塗膜の膜厚は10〜25μmが好まし
い。10μm未満であると、防錆性が不充分であり、2
5μmを超えると、塗料の浪費につながる。本発明のカ
チオン電着塗装方法においては、上述の電解還元反応に
より、電着によって被塗物表面に析出した被膜が不導体
化し、結果として、つきまわり性が飛躍的に向上するこ
とになる。従って、塗膜の膜厚が上述の範囲であって
も、被塗物全体に均一な塗膜を形成することができるの
で、充分な防錆性を発揮することができる。
【0058】また、このようにして形成された電着塗膜
中の残存スルホニウム基量は、電着に供されるスルホニ
ウム基を水和基として含有するカチオン電着塗料組成物
中のスルホニウム基量の40%未満に減少しており、従
って、電着されるカチオン電着塗料組成物中のスルホニ
ウム基の60%以上がスルフィド基に変換されているも
のと考えられる。
【0059】本発明のカチオン電着塗装方法は、被塗物
の素材が異なっても、電着条件を一定にしたまま、電着
塗装して得られる塗膜の膜厚の素材間による相違を小さ
くすることができる。これは、以下の事実が貢献してい
るものと考えられる。すなわち、本発明のカチオン電着
塗装方法においては、水和官能基であるスルホニウム基
が電極反応によってスルフィド基に変換されることによ
る不導体化、これに伴う膜の電気抵抗の増加とその結果
である析出停止を通じて、順次つきまわり性が発揮され
ていくものと考えられる。従って、析出過程の進行に重
要なのは、スルホニウム基のスルフィド基への変換であ
る。この変換を、スルホニウム基のスルフィド基への変
換率を60%以上、すなわち、電着塗装により得られる
塗膜中に残存する電着されるカチオン電着塗料中のスル
ホニウム基を40%未満とすることによって、析出した
塗膜の電気抵抗値は大幅に増大し、被塗物である素材が
それぞれ異なる電気抵抗値を有するものであっても、こ
の析出塗膜の電気抵抗値の大幅な増加が支配要因となっ
て、その析出膜厚差が小さくなるものと考えられる。
【0060】このようにして得られる塗膜が形成された
被塗物は、目的に応じて必要な中塗り及び/又は上塗り
が更に施される。例えば、自動車用外板の場合には、一
般に、耐チッピング性を付与するための溶剤型、水性又
は粉体の中塗り塗料を塗布し焼き付けた後、更に、ベー
ス塗料を塗布し、これを硬化させずにクリア塗料を塗布
する、いわゆるウェットオンウェット方法で塗装され、
その後これらの塗膜を同時に焼き付ける2コート1ベー
ク塗装方法が適用される。その際、上記ベース塗料とし
ては水性塗料を使用し、上記クリア塗料としては、粉体
塗料を使用することが、環境問題に対する配慮として好
ましい。もちろんこの他に、1コート塗装方法が用いら
れるソリッド系にも適用が可能である。
【0061】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0062】製造例1 スルホニウム基、プロパルギル
基及びビニル基を含有するカチオン電着塗料用樹脂の製
エポキシ当量200.4のクレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂(エポトートYDCN−701(商品名)、東
都化成社製)100.0gにプロパルギルアルコール1
3.5g、アリルアルコール10.5g、ハイドロキノ
ン0.05g、ジメチルベンジルアミン0.3gを攪拌
機、温度計、窒素導入管及び還流冷却管を備えたセパラ
ブルフラスコに加え、105℃に昇温し、3時間反応さ
せ、エポキシ当量1590のプロパルギル基とビニル基
とを含有する樹脂を得た。このものに、1−(2−ヒド
ロキシエチルチオ)−2,3−プロパンジオール10.
6g、氷酢酸4.7g、脱イオン水7.0gを入れ、7
5℃で保温しつつ6時間反応させ、残存酸価が5以下で
あることを確認した後、脱イオン水45.6gを加え、
目的の樹脂溶液を得た。このものの固形物濃度は、7
0.9重量%、スルホニウム価は27.6mmol/1
00gワニスであった。
【0063】製造例2 スルホニウム基、プロパルギル
基及び銅アセチリド基を含有するカチオン電着塗料用樹
脂の製造 エポキシ当量200.4のクレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂(エポトートYDCN−701(商品名)、東
都化成社製)100.0gにプロパルギルアルコール2
3.6g、ジメチルベンジルアミン0.3gを攪拌機、
温度計、窒素導入管及び還流冷却管を備えたセパラブル
フラスコに加え、105℃に昇温し、3時間反応させ、
エポキシ当量が1580のプロパルギル基を含有する樹
脂を得た。このものに、銅アセチルアセトナート2.5
gを加え、90℃で1.5時間反応させた。プロトン
(1H)NMRで付加プロパルギル基末端水素の一部が
消失していることを確認した(14mmol/100g
樹脂固形分相当量)。このものに、1−(2−ヒドロキ
シエチルチオ)−2,3−プロパンジオール10.6
g、氷酢酸4.7g、脱イオン水7.0gを入れ、75
℃で保温しつつ6時間反応させ、残存酸価が5以下であ
ることを確認した後、脱イオン水43.8gを加え、目
的の樹脂溶液を得た。このものの固形物濃度は、70.
0重量%、スルホニウム価は28.0mmol/100
gワニスであった。
【0064】製造例3 スルホニウム基、プロパルギル
基、長鎖不飽和脂肪酸残基及び銅アセチリド基を含有す
るカチオン電着塗料用樹脂の製造 エポキシ当量200.4のクレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂(エポトートYDCN−701(商品名)、東
都化成社製)100.0gにプロパルギルアルコール1
3.5g、ジメチルベンジルアミン0.2gを攪拌機、
温度計、窒素導入管及び還流冷却管を備えたセパラブル
フラスコに加え、105℃に昇温し、1時間反応させ、
エポキシ当量が445のプロパルギル基を含有する樹脂
を得た。このものに、リノール酸50.6g、追加のジ
メチルベンジルアミン0.1gを加え、更に同温度にて
3時間反応を継続し、エポキシ当量が2100のプロパ
ルギル基と長鎖不飽和脂肪酸残基を含有する樹脂を得
た。このものに、銅アセチルアセトナート3.2gを加
え、90℃で1.5時間反応させ、プロパルギル基の一
部を銅アセチリド化した樹脂を得た。プロトン(1H)
NMRでこのものの付加プロパルギル基末端水素の一部
が消失していることを確認した(14mmol/100
g樹脂固形分相当量)。このものに、1−(2−ヒドロ
キシエチルチオ)−2,3−プロパンジオール10.6
g、氷酢酸4.7g、脱イオン水7.0gを入れ、75
℃で保温しつつ6時間反応させ、残存酸価が5以下であ
ることを確認した後、脱イオン水60.8gを加え、目
的の樹脂溶液を得た。このものの固形物濃度は、70.
6重量%、スルホニウム価は23.1mmol/100
gワニスであった。
【0065】実施例1 基体樹脂として、製造例1で得られたスルホニウム基、
プロパルギル基及びビニル基を含有するカチオン電着塗
料用樹脂141.0gを使用し、これにニッケルアセチ
ルアセトナート1.0g、モノエタノールアミン0.5
g、脱イオン水157.5gを加え、高速回転ミキサー
で1時間攪拌後、更に、脱イオン水373.3gを加
え、固形分濃度が15重量%となるように水溶液を調製
して電着塗料とした。
【0066】評価 (1)乾燥膜厚の計測 被塗物として以下の鋼板を陰極にし、得られた電着塗料
を浴温度25℃にて、ステンレス容器を陽極として、カ
チオン電着塗装を行った。電着条件は、250V×3分
間であった。被塗物を電着浴から引き上げ、水洗し、1
60℃×25分間焼き付けて電着塗膜を得た。こうして
得られた電着塗膜を電磁膜厚計により膜厚測定した。結
果を表1に示した。 鋼板 素材1:冷間圧延鋼板(JIS G 3141 SPC
C−SD) 素材2:りん酸亜鉛処理した冷間圧延鋼板(JIS G
3141 SPCC−SD、サーフダインSD−50
00(商品名、日本ペイント社製)処理) 素材3:溶融合金亜鉛メッキ鋼板(シルバーアロイ(商
品名)、新日本製鉄社製) 素材4:りん酸亜鉛処理した溶融合金亜鉛メッキ鋼板
(シルバーアロイ(商品名)、新日本製鉄社製をサーフ
ダインSD−5000(商品名、日本ペイント社製)処
理)
【0067】(2)電着塗膜中のスルホニウム基残存率
の測定 塗料中のスルホニウム官能基濃度を電位差滴定器で、
0.1NのHCl水溶液を用いて計測することにより、
得られた電着塗料樹脂固形分100gあたりのスルホニ
ウム基含量aを求めた。次いで、上述の電着条件で電着
塗装された塗膜を焼き付け乾燥させることなくテトラヒ
ドロフランで溶出させ、溶液中のスルホニウム官能基濃
度を同様の方法で計測することにより、得られた電着塗
料を使用した電着塗膜の樹脂固形分100gあたりのス
ルホニウム基含量bを求めた。電着塗膜中のスルホニウ
ム基残存率(%)を、 (b/a)×100(%) として算出した。結果を表1に示した。
【0068】実施例2 基体樹脂として製造例2で得られたスルホニウム基、プ
ロパルギル基及び銅アセチリド基を含有するカチオン電
着塗料用樹脂142.9gを使用し、これにモノエタノ
ールアミン0.5g、脱イオン水156.6gを加え、
高速回転ミキサーで1時間攪拌後、更に、脱イオン水3
73.3gを加え、固形分濃度が15重量%となるよう
に水溶液を調製して電着塗料とした。得られた電着塗料
を使用して、実施例1と同様にして電着塗装を行い、評
価した。結果を表1に示した。
【0069】実施例3 基体樹脂として、製造例3で得られたスルホニウム基、
プロパルギル基、長鎖不飽和脂肪酸残基及び銅アセチリ
ド基を含有するカチオン電着塗料用樹脂141.6gを
使用し、これにモノエタノールアミン0.5g、脱イオ
ン水157.9gを加え、高速回転ミキサーで1時間攪
拌後、更に、脱イオン水373.3gを加え、固形分濃
度が15重量%となるように水溶液を調製して電着塗料
とした。得られた電着塗料を使用して、実施例1と同様
にして電着塗装を行い、評価した。結果を表1に示し
た。
【0070】比較例1 基体樹脂として、製造例1で得られたスルホニウム基、
プロパルギル基及びビニル基を含有するカチオン電着塗
料用樹脂141.0gを使用し、これにニッケルアセチ
ルアセトナート1.0g、脱イオン水158.0gを加
え、高速回転ミキサーで1時間攪拌後、更に、脱イオン
水373.3gを加え、固形分濃度が15重量%となる
ように水溶液を調製して電着塗料とした。得られた電着
塗料を使用して、実施例1と同様にして電着塗装を行
い、評価した。結果を表1に示した。
【0071】比較例2 基体樹脂として、製造例2で得られたスルホニウム基、
プロパルギル基及び銅アセチリド基を含有するカチオン
電着塗料用樹脂142.9gを使用し、これに脱イオン
水157.1gを加え、高速回転ミキサーで1時間攪拌
後、更に、脱イオン水373.3gを加え、固形分濃度
が15重量%となるように水溶液を調製して電着塗料と
した。得られた電着塗料を使用して、実施例1と同様に
して電着塗装を行い、評価した。結果を表1に示した。
【0072】比較例3 基体樹脂として、製造例3で得られたスルホニウム基、
プロパルギル基、長鎖不飽和脂肪酸残基及び銅アセチリ
ド基を含有するカチオン電着塗料用樹脂141.6gを
使用し、これに脱イオン水158.4gを加え、高速回
転ミキサーで1時間攪拌後、更に、脱イオン水373.
3gを加え、固形分濃度が15重量%となるように水溶
液を調製して電着塗料とした。得られた電着塗料を使用
して、実施例1と同様にして電着塗装を行い、評価し
た。結果を表1に示した。
【0073】
【表1】
【0074】
【発明の効果】本発明のカチオン電着塗装方法は、上述
の構成よりなるので、被塗物の素材が異なっても電着塗
装で得られる塗膜の膜厚の差が、素材間で小さい。従っ
て、被塗物素材の表面処理の状態による影響を抑えて均
一な電着塗膜を形成することがてきる。また、異なる素
材を同一ラインで電着塗装して同一品質の塗膜を形成す
ることが可能となり、工業上極めて有利である。
フロントページの続き (72)発明者 川浪 俊孝 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本 ペイント株式会社内 (72)発明者 堀 仁 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本 ペイント株式会社内 (72)発明者 斉藤 孝夫 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本 ペイント株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−128351(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 13/06 B05D 3/10 B05D 7/14 C09D 5/44

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スルホニウム基を水和基として含有する
    カチオン電着塗料組成物を使用するカチオン電着塗装方
    法であって、前記カチオン電着塗料組成物の樹脂固形分100gあた
    りのスルホニウム基含量aと、前記カチオン電着塗料を
    使用して得られた電着塗膜の樹脂固形分100gあたり
    のスルホニウム基含量bとの比[(b/a)×100
    (%)]が、40%未満であるように 、前記カチオン電
    着塗料組成物を電着塗装することを特徴とするカチオン
    電着塗装方法。
  2. 【請求項2】 カチオン電着塗料組成物は、樹脂固形分
    100gあたりスルホニウム基10〜300mmol及
    び炭素−炭素不飽和結合50〜2000mmolを含有
    する基体樹脂に、アミン化合物を、前記基体樹脂固形分
    100gあたり1〜50mmolであって、かつ、前記
    基体樹脂に含有されるスルホニウム基の含有量の5mo
    l%以上配合してなるものである請求項1記載のカチオ
    ン電着塗装方法。
  3. 【請求項3】 炭素−炭素不飽和結合の少なくとも15
    %は、プロパルギル基の炭素−炭素三重結合である請求
    項2記載のカチオン電着塗装方法。
  4. 【請求項4】 基体樹脂は、エポキシ樹脂を骨格とする
    樹脂である請求項3記載のカチオン電着塗装方法。
  5. 【請求項5】 エポキシ樹脂は、ノボラッククレゾール
    型エポキシ樹脂及びノボラックフェノール型エポキシ樹
    脂からなる群から選択された少なくとも1種である請求
    項4記載のカチオン電着塗装方法。
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