JP3310274B2 - ガス濃度検出装置とそれに用いるガス濃度センサ - Google Patents

ガス濃度検出装置とそれに用いるガス濃度センサ

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JP3310274B2
JP3310274B2 JP2001204730A JP2001204730A JP3310274B2 JP 3310274 B2 JP3310274 B2 JP 3310274B2 JP 2001204730 A JP2001204730 A JP 2001204730A JP 2001204730 A JP2001204730 A JP 2001204730A JP 3310274 B2 JP3310274 B2 JP 3310274B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車用エ
ンジンから排出される排ガス中の特性成分の濃度を検出
するガス濃度センサを用いたガス濃度検出装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】例えば車両用エンジンからの排ガスを原
因とする大気汚染は現代社会に深刻な問題を引き起こし
ており、排ガス中の公害物質に対する浄化基準法規が年
々厳しくなってきている。そのため、ガソリン若しくは
ディーゼルエンジンに対する燃焼制御や触媒コンバータ
を利用し、排ガス中の公害物質を低減するための検討が
進められている。米国においては、OBD−II(On Boa
rd Diagnostic −II)規制にて排ガス浄化用の触媒コン
バータが適切であるかどうか判定する機能を要求してい
る。
【0003】これに対し、触媒の上流側及び下流側に2
つのO2 センサを設けてこの2つのO2 センサの検出結
果を取り込む、いわゆる2O2 センサモニタシステムが
導入されているが、この方法は公害物質の直接的な検出
方法ではない。そのため、排ガス中の成分から公害物質
が事実低減されたか否かといった、その正確な検出・判
定が困難であった。
【0004】仮に排ガス中のNOx(窒素酸化物)濃度
を直接検出することで燃焼制御モニタ、触媒モニタ等が
可能となれば、排ガス中の公害物質の低減がより正確で
効果的なものとなる。すなわち、排ガス中のNOx濃度
の知見により燃料噴射やEGR率などがフィードバック
制御できれば、エンジンから排出される公害成分を低減
することができる。また、NOx濃度を検出するための
NOxセンサを排ガス浄化用の触媒コンバータよりも下
流側に設けることにより、当該コンバータに担持された
触媒の劣化を容易に判定することも可能となる。
【0005】このような背景から、排ガス中のNOx濃
度を精度良く検出することのできるNOxセンサを提供
すると共に、同NOxセンサを車両用エンジンに搭載す
る技術が望まれている。
【0006】また、NOx濃度の検出と同時に排ガス中
の酸素(O2 )濃度が検出できれば、空燃比フィードバ
ック制御システムにも効果を発揮することができる。つ
まり、近年の車両用エンジンの空燃比制御においては、
例えば制御精度を高める要望やリーンバーン化への要望
があり、これらの要望に対応すべくエンジンに吸入され
る混合気の空燃比(排ガス中の酸素濃度)を広域に且つ
リニアに検出するセンサ及び装置も望まれている。
【0007】従来技術として、排ガス(被検出ガス)中
に含まれる酸素濃度を予め低減し、その後、同排ガスか
らNOx濃度を検知するタイプのNOxセンサが提案さ
れている(特開平8−271476号公報、自動車技術
会 学術講演会前刷集9711997−5等)。例えば
当該センサは、酸素濃度を検出するためのポンプセル
と、NOx濃度を検出するためのセンサセルと、それら
各セルに隣接する拡散部とを有する。そして、拡散部を
介して排ガス雰囲気と隔離したチャンバ内の酸素をポン
プセルにより排気し、残ったNOxをセンサセルで分解
・排気し、その分解電流値をNOx濃度出力とする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記N
Oxセンサの場合、NOx濃度が一定であっても、排ガ
ス中の酸素濃度が変動するとそれに伴いNOx出力(セ
ンサセル電流)が変動するという問題がある。この問題
は、チャンバ内の酸素濃度が一定になるように制御して
も補償できない。なお、酸素濃度出力によりNOx濃度
出力を補正することで、NOx濃度の検出誤差をなくす
ことが検討されつつあるが、未だその具体的な方法は確
立されていない。
【0009】一方、NOxセンサには他の問題として、
センサセル付近に残留する酸素量に応じてオフセット電
流が流れこのオフセット電流によりNOx濃度出力が変
動するという問題がある。つまり、排ガス中に含まれる
酸素濃度をポンプセルで排出する際、酸素を完全に排出
することができないために当該酸素がセンサセル付近に
残留する。このとき、センサセルでは、NOx濃度に応
じて流れる電流と、残留酸素量に応じて流れる電流(オ
フセット電流)との加算電流を検出することとなり、オ
フセット電流分だけNOx濃度出力(センサセル電流)
に誤差を生じる。
【0010】生産した全てのセンサで残留酸素量(オフ
セット電流)が一定であれば、センサセル電流から固定
値であるオフセット電流を減算し、その差をNOx濃度
出力とすればよい。しかしながら、実際にはセンサの個
体差や、高温度等厳しい環境下で長時間使われることに
よる劣化等によりこの残留酸素量(オフセット電流)は
変化する。従って、オフセット電流の変化分だけセンサ
セル電流は誤差を含み、高精度なNOx濃度検出ができ
ない。
【0011】本発明は、上記問題に着目してなされたも
のであって、その第1の目的は、被検出ガス中の酸素濃
度が変化しても、高精度なガス濃度検出を実施すること
ができるガス濃度検出装置を提供することである。ま
た、第2の目的は、センサセル付近に残留する酸素量が
変化しても、高精度なガス濃度検出を実施することがで
きるガス濃度検出装置を提供することである。さらに、
第3の目的は、残留酸素量に応じた補正を実施するガス
濃度検出装置において、好適なガス濃度センサを提供す
ることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明におけるガス濃度
検出装置はその前提として、被検出ガスを内部空間内に
導入するための拡散抵抗部と、電圧印加に伴い、前記拡
散抵抗部を介して導入した被検出ガス中の酸素を分解し
排出することにより被検出ガス中の酸素濃度に応じた電
流を流す酸素ポンプセルと、前記酸素ポンプセルによる
酸素排出後のガスの酸素濃度を検出する酸素検知セル
と、電圧印加に伴い、前記酸素ポンプセルによる酸素排
出後のガスからNOx、HC又はCOを分解し酸素イオ
ンを排出することでNOx濃度、HC濃度又はCO濃度
に応じた電流を流す特定ガス検知セルとを備えるガス濃
度センサを適用する。
【0013】かかる構成では、例えば被検出ガスが少な
くとも酸素と窒素酸化物(NOx)を含む排ガスである
場合において、既述の通り例えば排ガス中のNOx濃度
が一定であってもNOx濃度出力(検出電流)が不用意
に変動するという問題が存在する。そこで、本願発明者
らは上記問題の原因を追究し、その原因の一つがガス濃
度センサの酸素濃度依存性にあることを見い出した。
【0014】要するに、酸素ポンプセルが酸素を排出す
ると、排ガスを導入するための拡散抵抗部が酸素含有分
だけ負圧になる。よって、拡散抵抗部に内外の圧力差が
生じ、外部から排ガスが余分に流入する。排ガスの流入
量は酸素排出分、すなわち酸素ポンプセルに流れる電流
値に比例する。この流入する排ガスにはNOxが含まれ
るため、特定ガス検知セルに流れる電流値が変化してし
まい、同電流値の検出誤差が生じる。以上のように、特
定ガス検知セルの電流値(NOx濃度出力)は排ガス中
の酸素濃度に応じて変化する、という酸素濃度依存性が
存在する。
【0015】請求項1に記載の発明ではその特徴とし
て、酸素ポンプセルに流れる電流値を検出する第1検出
手段と、特定ガス検知セルに流れる電流値を検出する第
2検出手段と、前記第1検出手段により検出した電流値
に基づいて、酸素濃度依存性を反映しつつ前記第2検出
手段により検出した電流値を補正する補正手段とを備え
る。
【0016】上記構成によれば、酸素ポンプセルの電流
値により特定ガス検知セルの電流値が補正される際、酸
素濃度依存性に基づく補正が行われるため、例えば排ガ
ス(被検出ガス)中の酸素濃度が変化した時にそれに追
従してNOx濃度の検出値(特定ガス検知セルの電流
値)が不用意に変化してしまう、といった従来の問題が
解消される。その結果、被検出ガス中の酸素濃度が変化
しても、高精度なガス濃度検出を実施することができ
る。
【0017】また本発明では、酸素濃度依存性に応じた
補正に際して数式化を試み、同補正に要する補正量がガ
ス濃度センサの構造や感度に対応することから、以下の
補正式を用いて補正演算を行うこととした。
【0018】具体的には請求項2に記載したように、前
記第1検出手段により検出した電流値をIp、前記第2
検出手段により検出した電流値をIs、補正後に得られ
る特定ガス検知セルの電流値をIsf、ガス濃度センサ
の構造から一意的に決定される構造定数をKa、特定ガ
ス検知セルの検出感度から決定される補正係数をKbと
した時、前記補正手段は、 Isf=Is・Kb/(Ka・Ip+Kb) の演算式で表される関係を用い、特定ガス検知セルの電
流値を補正する。
【0019】本構成によれば、ガス濃度センサの構造の
要因(構造定数Ka)と、特定ガス検知セルの検出感度
の要因(補正係数Kb)とが補正に反映されることで、
酸素濃度依存性に応じた補正が簡素に且つ正確に実施で
きる。
【0020】上記演算式においては、請求項3に記載し
たように、前記拡散抵抗部における拡散係数と、同拡散
抵抗部の形状及び容積と、酸素ポンプセル,特定ガス検
知セルに設けられる電極の位置とにより、前記構造定数
が決定されるとよい。
【0021】ここで、上記演算式における構造定数Ka
の設定手順を図33に示す簡単なモデルを使って説明す
る。図33では拡散抵抗部10、空間部20及び電極3
0のみを示し、同図において、拡散抵抗部10は同一断
面(断面積S)で図の左右方向に延び(長さL)、濃度
Cのガス成分(NOx)が図の左から右へ流れるとす
る。すなわち、NOxが拡散抵抗部10の左面から空間
部20に流れ、電極30に達する。この場合、単位時間
当たりのガス通過量Fは、 F=S(断面積)・C/L(濃度勾配)・α(拡散係
数) で表される。また、上記ガス通過量Fの演算に際し、例
えば拡散抵抗部10が多孔質材料であるか或いはピンホ
ールであるか等を反映する係数が適宜乗算される。そし
て、このガス通過量Fに対応させて構造定数Kaが決定
される。
【0022】請求項2,3によれば、酸素ポンプセルで
の酸素排気に伴い拡散抵抗部内に負圧が生じ、それによ
り排ガス(NOx成分)が過剰に流入しても、上記演算
式を用いることで過剰な排ガス流入分がキャンセルで
き、精度の良いNOx濃度出力が得られる。
【0023】請求項4に記載の発明では、酸素濃度依存
性を反映して被検出ガス中の酸素濃度とそれに対応して
必要となる補正データとの関係を予め記憶しておき、前
記補正手段は、前記記憶した酸素濃度依存性に関する補
正データに従い、特定ガス検知セルの電流値を補正す
る。
【0024】上記構成によれば、例えばマップとして予
め記憶される補正データを使うことで、酸素濃度依存性
に応じた補正が簡易的に実施できる。なおこの場合、請
求項2で記載した演算式に対応する補正データをマッピ
ングしておくとよい。
【0025】請求項5に記載の発明では、前記記憶した
補正データは、被検出ガス中の酸素濃度が高くなるほ
ど、特定ガス検知セルにより検出されるガス濃度を低く
するよう補正する。こうした補正によれば、例えば排ガ
ス中の酸素濃度が高いために拡散抵抗部に負圧が生じ外
部から排ガス(NOx)が余分に流入する際にも、その
余分の排ガス流入分に応じた補正が実施でき、結果とし
て高精度なガス濃度検出が可能となる。
【0026】一方、排ガス中のNOx濃度出力が変動す
る他の理由として、特定ガス検知セル付近に残留する酸
素量の影響が考えられる。つまり、特定ガス検知セル付
近での残留酸素量が変わると、それに伴いオフセット電
流が変動し、NOx濃度の検出精度が低下する。この場
合、センサの個体差や、高温度等厳しい環境下で長時間
使われることによる劣化等によりこの残留酸素量(オフ
セット電流)は変化し、NOx濃度出力が不用意に変動
する。
【0027】そこで、請求項6に記載の発明では、特定
ガス検知セル付近に残留する酸素量に基づいて、当該特
定ガス検知セルの電流値を補正する補正手段を備える。
請求項6の構成によれば、センサの個体差や使用環境等
により特定ガス検知セル付近の残留酸素量が変化する際
に、当該残留酸素による影響が確実に無効化される。そ
の結果、特定ガス検知セル(センサセル)付近に残留す
る酸素量が変化しても、高精度なガス濃度検出を実施す
ることができる。
【0028】請求項7に記載の発明では、特定ガス検知
セル付近での残留酸素量に応じて当該特定ガス検知セル
に流れるオフセット電流を検出するオフセット電流検出
手段を備え、前記補正手段は、前記検出したオフセット
電流に基づいて特定ガス検知セルの電流値を補正する。
【0029】この場合、オフセット電流を直接検出し、
該検出したオフセット電流により特定ガス検知セルの電
流値(NOx濃度電流)を補正することで、特定ガス検
知セル(センサセル)付近に残留する酸素量が変化して
も、高精度なガス濃度検出を実施することができる。
【0030】請求項8に記載の発明では、特定ガス検知
セルの出力特性として、オフセット電流成分と酸素ポン
プセルによる酸素排出後の特定ガス成分との加算電流を
検出する第1領域と、オフセット電流成分のみを検出す
る第2領域とを設け、前記オフセット電流検出手段は、
前記第2領域を用いてオフセット電流を検出する。
【0031】上記請求項8の構成によれば、特定ガス検
知セル出力特性の第2領域を使うことで、オフセット電
流が簡易且つ正確に直接計測できる。そのため、オフセ
ット電流が適正に検出でき、ひいてはガス濃度の検出精
度が向上する。
【0032】請求項9に記載の発明では、特定ガス検知
セルの出力特性として、オフセット電流成分と酸素ポン
プセルによる酸素排出後の特定ガス成分との加算電流を
検出する第1領域と、オフセット電流成分のみを検出す
る第2領域とを設け、前記第1領域で補正前の電流値を
検出すると共に、前記第2領域でオフセット電流を検出
し、前記補正手段は、前記検出した補正前の電流値をオ
フセット電流により補正する。
【0033】上記請求項9の構成によれば、補正前の電
流値とオフセット電流とが各々検出でき、補正前の電流
値をオフセット電流により補正することで、特定ガス検
知セル(センサセル)付近に残留する酸素量が変化して
も、高精度なガス濃度検出を実施することができる。
【0034】請求項10に記載の発明では、補正前の電
流値を検出する際には前記第1領域で電圧を印加し、オ
フセット電流を検出する際には前記第2領域で電圧を印
加するよう、特定ガス検知セルの印加電圧を選択的に切
り替えるための電圧切替手段を備える。
【0035】上記請求項10の構成によれば、特定ガス
検知セルの印加電圧を上記の如く選択的に切り替えるこ
とで、オフセット電流が適正に検出でき、ひいてはガス
濃度の検出精度が向上する。
【0036】請求項11に記載の発明では、特定ガス検
知セルの起電力を検出する起電力検出手段を備え、前記
補正手段は、前記検出した特定ガス検知セルの起電力に
応じて当該特定ガス検知セルの電流値を補正する。
【0037】例えば特定ガス検知セルでの残留酸素量が
多いと、酸素過剰な状態になるため当該特定ガス検知セ
ルの起電力が小さくなる。つまり、残留酸素量の反映と
して特定ガス検知セルの起電力が変化する。従って、上
記の如く特定ガス検知セルの起電力に応じて特定ガス検
知セルの電流値を補正すれば、特定ガス検知セル(セン
サセル)付近に残留する酸素量が変化しても、高精度な
ガス濃度検出を実施することができる。
【0038】請求項12に記載の発明では、前記起電力
検出手段は、特定ガス検知セルに電圧を印加する電気経
路を開放するスイッチ手段と、該スイッチ手段により特
定ガス検知セルに電圧を印加する電気経路が開放された
時に、特定ガス検知セルに発生する起電力を計測する計
測手段とを有する。本構成によれば、特定ガス検知セル
の起電力が正確に且つ簡易に計測できる。
【0039】さらに、請求項13に記載の発明では、酸
素ポンプセルに流れる電流値を検出する第1検出手段
と、特定ガス検知セルに流れる電流値を検出する第2検
出手段と、前記第1検出手段により検出した電流値に基
づいて、酸素濃度依存性を反映しつつ前記第2検出手段
により検出した電流値を補正する第1補正と、特定ガス
検知セル付近に残留する酸素量に基づいて、当該特定ガ
ス検知セルの電流値を補正する第2補正とを実施する補
正手段とを備える。
【0040】請求項13の構成によれば、酸素濃度依存
性の影響を排除する第1補正と、残留酸素量の影響を排
除する第2補正とが同一装置で実現できる。従って、被
検出ガス中の酸素濃度が変化しても、或いは特定ガス検
知セル(センサセル)付近に残留する酸素量が変化して
も、高精度なガス濃度検出を実施することができる。
【0041】ここで多くの場合、第1補正は例えば排ガ
ス中の酸素濃度の変化に応じて随時必要になるのに対
し、第2補正はセンサの個体差や経時変化が生じた際に
必要となる。そのため、上記の如く第1,第2補正を共
に実施する装置において、以下の請求項14,15のよ
うに各補正の実施頻度を適宜変更する。
【0042】請求項14に記載の発明では、前記補正手
段は、第1補正と第2補正との要否を各々判断し、その
判断結果に従い各補正を選択的に実施する。例えば第2
補正は、センサ個体差や経時変化によるバラツキを解消
する必要がある場合にのみ実施する。
【0043】請求項15に記載の発明では、前記補正手
段は、第1,第2補正の補正量を各々算出し、その際、
第1補正の補正量を算出する頻度に対し第2補正の補正
量を算出する頻度を下げる。例えば第1補正(の補正量
の算出)を数msec周期で実施するのに対し、第2補
正(の補正量の算出)を数sec周期で実施する。
【0044】上記請求項14,15によれば、必要に則
した補正が実施でき、より一層適正なガス濃度検出装置
が実現できる。この場合、例えばマイクロコンピュータ
を使う場合にその演算負荷が軽減できる。
【0045】ガス濃度検出装置に適用されるガス濃度セ
ンサとして、以下の請求項16,17の構成がある。請
求項16に記載のガス濃度センサでは、特定ガス検知セ
ルの出力特性として、オフセット電流成分と酸素ポンプ
セルによる酸素排出後の特定ガス成分との加算電流を検
出する第1領域と、オフセット電流成分のみを検出する
第2領域とを設ける。
【0046】請求項17に記載のガス濃度センサでは、
前記拡散抵抗部に対向する酸素ポンプセル,特定ガス検
知セルの各電極を、酸素ポンプセルによる酸素排出後の
特定ガス成分に対して不活性な電極としている。
【0047】請求項16,17のガス濃度センサによれ
ば、前記第1領域を持つ既存のセンサに対し、新たに第
2領域を設けることで、特定ガス検知セル付近の残留酸
素量に応じたオフセット電流が直接的に検出可能とな
る。従って、残留酸素量に応じた補正を実施するガス濃
度検出装置において、好適なセンサが提供できる。
【0048】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、この
発明を具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明
する。本実施の形態におけるガス濃度検出装置は、自動
車用ガソリンエンジンに適用されるものであって、同エ
ンジンの空燃比制御システムにおいてはガス濃度検出装
置による検出結果に基づいてエンジンへの燃料噴射量を
所望の空燃比(A/F)でフィードバック制御する。特
に本実施の形態では、排ガス中の酸素(O2 )濃度とN
Ox濃度とを同時に検出可能な、いわゆる複合型ガスセ
ンサを用い、同センサからガス濃度情報を取得すること
としている。
【0049】つまり本実施の形態の装置では、検出した
酸素濃度により空燃比がフィードバック制御される一
方、検出したNOx濃度によりエンジン排気管に取り付
けられたNOx触媒(例えばNOx吸蔵還元型触媒)の
制御が実施される。NOx触媒の制御について略述すれ
ば、NOx触媒にて浄化されずに排出されるNOx量を
ガス濃度センサの検出結果から判定し、NOx未浄化量
が増大した時に、NOx浄化能力を回復させるための再
生処理を実行する。再生処理としては、NOx触媒に対
して一時的にリッチガスを供給し、同触媒に吸着したイ
オンを除去するようにすればよい。
【0050】本実施の形態におけるガス濃度検出装置の
概要を図1のブロック図を用いて説明する。ガス濃度セ
ンサ100はその主要な構成として、酸素濃度を検出す
るための第1セルとしてのポンプセル110と、NOx
濃度を検出するための第2セルとしてのセンサセル12
0とを備える。
【0051】センサ制御回路200は、第1検出手段と
しての酸素濃度検出手段210と、第2検出手段として
のNOx濃度検出手段220とを備える。酸素濃度検出
手段210は、ガス濃度センサ100のポンプセル電極
に接続され、ポンプセル110に電圧を印加すると共に
酸素濃度に応じたポンプセル電流を検出する機能を有す
る。酸素濃度検出手段210は、前記検出した酸素濃度
を信号SG1としてNOx電流補正回路300と図示し
ない外部装置(例えばエンジン制御用ECU)とに各々
出力する。
【0052】NOx濃度検出手段220は、ガス濃度セ
ンサ100のセンサセル電極に接続され、センサセル1
20に電圧を印加すると共にNOx濃度に応じたセンサ
セル電流を検出する機能を有する。NOx濃度検出手段
220は、前記検出したNOx濃度を信号SG2として
NOx電流補正回路300に出力する。
【0053】補正手段としてのNOx電流補正回路30
0は、酸素濃度検出手段210からの信号SG1とNO
x濃度検出手段220からの信号SG2とを入力し、N
Ox濃度出力が酸素濃度依存性を有することの反映とし
て酸素濃度によるNOx電流誤差を補正する。そして、
同補正回路300は、補正後のNOx濃度出力を信号S
G3として外部装置(例えばエンジン制御用ECU)に
出力する。
【0054】以下に、ガス濃度検出装置の構成を詳細に
説明する。先ずは図3を用いてガス濃度センサ100の
構成を説明する。ガス濃度センサ100は2セル構造を
有し、NOx濃度の検出と同時に酸素濃度の検出が可能
な、いわゆる複合型ガスセンサとして構成される。ガス
濃度センサ100は、ポンプセル110、センサセル1
20、拡散抵抗部としての多孔質拡散層101、大気ダ
クト102及びヒータ103を要件とし、これら各部材
が積層されて成る。なお、同センサ100は図の右端部
にてエンジン排気管に取り付けられ、その上下面及び左
面が排ガスに晒されるようになっている。
【0055】より詳細には、ポンプセル110は多孔質
拡散層101と排ガス空間との間に設置される。ポンプ
セル110の排ガス側(図の上側)にはポンプ第1電極
111が設置され、多孔質拡散層101側(図の下側)
にはポンプ第2電極112が設置される。また、センサ
セル120は多孔質拡散層101と大気ダクト102と
の間に設置される。センサセル120の多孔質拡散層1
01側(図の上側)にはセンサ第1電極121が設置さ
れ、大気ダクト102側(図の下側)にはセンサ第2電
極122が設置される。多孔質拡散層101には図の左
側から排ガスが導入されて図の右方へと流通する。
【0056】ポンプセル110及びセンサセル120は
積層して形成された固体電解質を有し、これら固体電解
質はZrO2 、HfO2 、ThO2 、Bi2 O3 等にC
aO、MgO、Y2 O3 、Yb2 O3 等を安定剤として
固溶させた酸素イオン伝導性酸化物焼成体からなる。ま
た、多孔質拡散層101は、アルミナ、マグネシャ、ケ
イ石質、スピネル、ムライト等の耐熱性無機物質からな
る。
【0057】ポンプセル110の排ガス側のポンプ第1
電極111と、センサセル120のセンサ第1,第2電
極121,122とは、白金Pt等の触媒活性の高い貴
金属からなる。一方、ポンプセル110の多孔質拡散層
101側のポンプ第2電極112は、NOxガスに不活
性な(NOxガスを分解し難い)Au−Pt等の貴金属
からなる。
【0058】ヒータ103は絶縁層104に埋設され、
この絶縁層104とセンサセル120との間に大気ダク
ト102が構成される。基準ガス室を構成する大気ダク
ト102には外部から大気が導入され、その大気は酸素
濃度の基準となる基準ガスとして用いられる。絶縁層1
04はアルミナ等にて形成され、ヒータ103は白金と
アルミナ等のサーメットにて形成される。ヒータ103
はポンプセル110やセンサセル120を含めセンサ全
体(電極含む)を活性状態にすべく、外部からの給電に
より熱エネルギを発生させる。
【0059】上記構成のガス濃度センサ100について
その動作を図4を用いて説明する。図4(a)に示され
るように、多孔質拡散層101には図の左側から排ガス
成分が導入され、その排ガスがポンプセル近傍を通過す
る際、ポンプセル110に電圧を印加することで分解反
応が起こる。なお、排ガス中には酸素(O2 )、窒素酸
化物(NOx)、二酸化炭素(CO2 )、水(H2 O)
等のガス成分が含まれる。
【0060】既述の通りポンプセル110のポンプ第2
電極112はNOx不活性電極(NOxガスを分解し難
い電極)で形成されている。従って、図4(b)に示さ
れるように、排ガス中の酸素(O2 )のみがポンプセル
110で分解され、ポンプ第1電極111から排ガス中
に排出される。このとき、ポンプセル110に流れた電
流が排ガス中に含まれる酸素濃度として検出される。
【0061】また、排ガス中の酸素(O2 )はポンプセ
ル110で完全に分解されず、その一部はそのままセン
サセル近傍まで流通する。そして、図4(c)に示され
るように、センサセル120に電圧を印加することによ
り、残留酸素(O2 )とNOxとが分解される。つま
り、残留酸素(O2 )とNOxとがそれぞれセンサセル
120のセンサ第1電極121で分解され、センサセル
120を介してセンサ第2電極122から大気ダクト1
02の大気中に排出される。このとき、センサセル12
0に流れた電流が排ガス中に含まれるNOx濃度として
検出される。残留酸素(O2 )による分解電流はオフセ
ット電流となる。
【0062】次に、酸素濃度を検出するためのポンプセ
ル110の特性と、NOx濃度を検出するためのセンサ
セル120の特性とについて、図5及び図6を用いて説
明する。先ずは、ポンプセル特性を図5を用いて説明す
る。
【0063】図5のV−I特性図に示されるように、ポ
ンプセルは酸素濃度に対して限界電流特性を有する。同
図において、限界電流検出域はV軸に対して平行な直線
部分からなり、その領域は酸素濃度が濃いほど正電圧側
にシフトする。
【0064】ここで、酸素濃度が変化する際に印加電圧
が一定値に固定されていると、上記限界電流検出域(V
軸に平行な直線部分)を用いた正確な酸素濃度検出を行
うことができない。またこれは、ポンプセル110で十
分量の酸素を排出することができないことにもなり、セ
ンサセル120での残留酸素が増加し、NOx濃度を検
出するための電流にも大きな誤差を生じる。そこで、ポ
ンプセルの直流抵抗成分(印加電圧増加に伴い増加する
傾き部分)の角度と同等の電圧、すなわち図5の印加電
圧線LX1に示すような電圧を印加する制御を行い、排
ガス中の酸素濃度に関係なく常に所望のセンサ電流(限
界電流)を検出可能とする。
【0065】因みに、ポンプセル110のポンプ第2電
極112(多孔質拡散層101側の電極)がNOx不活
性電極であるために同ポンプセル110ではNOxガス
が分解されにくくなっているが、図5に示した通り一定
の電圧以上になると、NOxが分解され、酸素濃度に応
じたポンプセル電流に加えてNOx濃度に応じたポンプ
セル電流が流れる(図5の破線部分)。従って、印加電
圧線LX1はNOxガスを分解しない程度に設計され
る。
【0066】次に、センサセル特性を図6を用いて説明
する。図6のV−I特性図に示されるように、センサセ
ルはNOx濃度に対して限界電流特性を有する。同図に
おいて、A1部分では多孔質拡散層101を通じてセン
サセル120に流れ込む残留酸素によりオフセット分の
電流(オフセット電流)が流れ、A2部分ではNOxの
分解電流が流れる(図では1000ppmの場合を示
す)。また、「A1+A2」以上の電流、すなわち図の
右端の電流が大きくなる部分(NOx濃度が1000r
pmの時、A3部分)ではH2 Oの分解電流が流れる。
このとき、排ガス中のNOx濃度に対応する限界電流は
「A1+A2」の電流値で検出される。NOx分解電流
を規定する限界電流検出域はV軸に対して平行な直線部
分からなり、その領域はNOx濃度が濃いほど僅かなが
ら正電圧側にシフトする。NOx濃度を検出する際、図
6の印加電圧線LX2に沿って印加電圧を制御すること
で、排ガス中のNOx濃度に関係なく常に所望のセンサ
電流(限界電流)が検出可能となる。
【0067】前記図1のセンサ制御回路200について
その電気的構成を図2に示す。図2の構成においては、
ガス濃度センサ100の多孔質拡散層101にリーンガ
スが導入されて同拡散層101側からポンプセル110
を介して余剰酸素が排出される時を基準に(その時のポ
ンプセル電流Ipの向きを基準に)、ポンプセル110
の正側端子及び負側端子が規定される。つまり、ポンプ
第1電極111に接続される端子が正側端子、ポンプ第
2電極112に接続される端子が負側端子として規定さ
れる。また、センサセル120側についても同様に、多
孔質拡散層101にNOxを含む排ガス、すなわちリー
ンガスが導入される時を基準に(その時のセンサセル電
流Isの向きを基準に)、センサ第2電極122に接続
される端子が正側端子、センサ第1電極121に接続さ
れる端子が負側端子として規定される。
【0068】センサ制御回路200において、ポンプセ
ル110及びセンサセル120の共通の負側端子には基
準電圧回路231の電圧が増幅回路232を介して印加
される。つまり、基準電圧回路231により電圧Vaが
生成され、その電圧Vaが増幅回路232の非反転入力
端子に入力される。増幅回路232の出力端子は同増幅
回路232の反転入力端子に接続されており、ボルテー
ジフォロワ構成として基準電圧回路231の電圧Vaが
ポンプ第2電極112(ポンプセル110の負側端子)
とセンサ第1電極121(センサセル120の負側端
子)とに印加される。これにより、各セル110,12
0の負側端子は、GND電圧(0V電圧)よりも浮いた
基準電圧Vaとなる。
【0069】酸素濃度検出手段210には、ポンプセル
110の印加電圧を制御するためのポンプ電圧指令回路
211が設けられる。ポンプ電圧指令回路211は、図
5の印加電圧線LX1を用い、ポンプセル電流Ipに応
じた指令電圧Vbを出力する。
【0070】ポンプ電圧指令回路211からの指令電圧
Vbは、ポンプセル110に電圧を印加し酸素濃度に応
じた電流を供給するための増幅回路212の非反転入力
端子に入力される。増幅回路212の出力端子は、ポン
プセル電流Ipを検出するための電流検出抵抗213の
一端に接続され、電流検出抵抗213の他端はポンプ第
1電極111(ポンプセルの正側端子)に接続されると
共に増幅回路212の反転入力端子に接続される。これ
により、ポンプ第1電極111の電圧は常にポンプ電圧
指令回路211の指令電圧Vbと同じ電圧になるよう制
御される。
【0071】増幅回路212の出力電圧は端子Vdから
出力され、ポンプ第1電極111の電圧は端子Vbから
出力される。端子Vb,Vdの電圧は、ポンプ電圧指令
回路211に取り込まれると共に、前記図1において信
号SG1としてNOx電流補正回路300に取り込まれ
る。
【0072】かかる場合、ポンプセル印加電圧Vp及び
ポンプセル電流Ipは、以下の式で算出される。 Vp=Vb−Va Ip=(Vd−Vb)/R1 但し、R1は、電流検出抵抗213の抵抗値である。
【0073】また、NOx濃度検出手段220には、セ
ンサセル120の印加電圧を制御するためのセンサ電圧
指令回路221が設けられる。センサ電圧指令回路22
1は、図6の印加電圧線LX2を用い、センサセル電流
Isに応じた指令電圧Vcを出力する。
【0074】センサ電圧指令回路221からの指令電圧
Vcは、センサセル120に電圧を印加しNOx濃度に
応じた電流を供給するための増幅回路222の非反転入
力端子に入力される。増幅回路222の出力端子は、セ
ンサセル電流Isを検出するための電流検出抵抗223
の一端に接続され、電流検出抵抗223の他端はセンサ
第2電極122(センサセルの正側端子)に接続される
と共に増幅回路222の反転入力端子に接続される。こ
れにより、センサ第2電極122の電圧は常にセンサ電
圧指令回路221の指令電圧Vcと同じ電圧になるよう
制御される。
【0075】増幅回路222の出力電圧は端子Veから
出力され、センサ第2電極122の電圧は端子Vcから
出力される。端子Vc,Veの電圧は、センサ電圧指令
回路221に取り込まれると共に、前記図1において信
号SG2としてNOx電流補正回路300に取り込まれ
る。
【0076】かかる場合、センサセル印加電圧Vs及び
センサセル電流Isは、以下の式で算出される。 Vs=Vc−Va Is=(Ve−Vc)/R2 但し、R2は、電流検出抵抗223の抵抗値である。
【0077】前記ポンプ電圧指令回路211及びセンサ
電圧指令回路221は一つのマイクロコンピュータにて
構成され、より具体的には図7に示す通りCPU及びA
/D,D/Aコンバータを備える。つまり、当該指令回
路211,221を構成するマイクロコンピュータにお
いて、各A/Dコンバータ(A/D1〜A/D4)には
前記図2中の各端子Vd,Vb,Ve,Vcの電圧が各
々入力される。また、各D/Aコンバータ(D/A1,
D/A2)からはポンプセル指令電圧Vb,センサセル
指令電圧Vcが各々出力される。
【0078】前記指令回路211,221内のCPUに
より実施される印加電圧制御を図9のフローチャートに
従い説明する。図9のルーチンは、図示しないメインル
ーチンの途中にて実施される印加電圧制御サブルーチン
である。
【0079】図9において、先ずステップ101,10
2では、前記図2の電流検出抵抗213の両端子電圧V
d,Vbを図7のA/D1,A/D2により各々読み取
る。次に、ステップ103,104では、前記図2の電
流検出抵抗223の両端子電圧Ve,Vcを図7のA/
D3,A/D4により各々読み取る。
【0080】ステップ105ではポンプセル電流Ipを
算出し(Ip=(Vd−Vb)/R1)、続くステップ
106では、図5に示した印加電圧線LX1を用い、前
記算出したポンプセル電流Ipに対応するポンプセル1
10への目標印加電圧を求める(マップ演算する)。さ
らにステップ107では、前記求めた目標印加電圧を指
令電圧VbとしてD/A1を介して出力する。
【0081】次に、ステップ108ではセンサセル電流
Isを算出し(Is=(Ve−Vc)/R2)、続くス
テップ109では、図6に示した印加電圧線LX2を用
い、前記算出したセンサセル電流Isに対応するセンサ
セル120への目標印加電圧を求める(マップ演算す
る)。さらにステップ110では、前記求めた目標印加
電圧を指令電圧VcとしてD/A2を介して出力し、そ
の後本ルーチンを一旦終了する。
【0082】NOx電流補正回路300は、図8に示す
通りCPU及びA/D,D/Aコンバータを備えるマイ
クロコンピュータで構成され、各A/Dコンバータ(A
/D11〜A/D14)には前記図2中の各端子Vd,
Vb,Ve,Vcの電圧が各々入力される。CPUは、
各端子Vd,Vb,Ve,Vcの電圧に基づいてポンプ
セル電流Ip及びセンサセル電流Isを演算すると共
に、ポンプセル電流Ipを使ってセンサセル電流Isを
補正し、該補正した後の補正後センサセル電流Isfを
信号SG3として、D/Aコンバータを介して又はシリ
アル通信を使って出力する。なお実際には、図7に示す
ポンプ(センサ)電圧指令回路211,221と、図8
に示すNOx電流補正回路300とは一つのマイクロコ
ンピュータで構成されればよい。
【0083】NOx電流補正回路300内のCPUによ
り実施されるNOx電流補正処理を図10のフローチャ
ートに従い説明する。図10のルーチンは、図示しない
メインルーチンの途中にて実施されるNOx電流補正サ
ブルーチンである。
【0084】図10において、先ずステップ201,2
02では、前記図2の電流検出抵抗213の両端子電圧
Vd,Vbを図8のA/D11,A/D12により各々
読み取る。次に、ステップ203,204では、前記図
2の電流検出抵抗223の両端子電圧Ve,Vcを図8
のA/D13,A/D14により各々読み取る。
【0085】ステップ205ではポンプセル電流Ipを
算出し(Ip=(Vd−Vb)/R1)、続くステップ
206ではセンサセル電流Isを算出する(Is=(V
e−Vc)/R2)。
【0086】その後、ステップ207では、前記算出し
たポンプセル電流Ipを用いてセンサセル電流Isを補
正する。当該補正に際し、以下の(1)式を用いて補正
後のセンサセル電流Isfを算出する。すなわち、セン
サ構造から一意的に決定される構造定数Kaと、センサ
セル120の検出感度(酸素濃度0%の時のNOx感
度)から決定される補正係数Kbとを用いた演算式、 Isf=Is・Kb/(Ka・Ip+Kb) …(1) を用い、補正後のセンサセル電流Isfを算出する。
【0087】ここで、構造定数Kaは、多孔質拡散層1
01における拡散係数と、同拡散層101の形状及び容
積と、各セル110,120の電極位置とにより決定さ
れる。本実施の形態では一例として、 Ka=1.95×10∧-2 とする。
【0088】また、NOx感度の補正係数Kbは、例え
ばNOx濃度=1000ppmの時のセンサセル電流I
sが8.13μAであることから、 Kb=8.13×10∧-3(A) とする。
【0089】例えばポンプセル電流Ipが25mAの
時、上記(1)式によれば、 Isf=Is・8.13×10∧-3/(1.95×10∧-2 ・25×10∧-3+8.13×10∧-3) =Is・0.943 となり、センサセル電流Isの誤差分6%がキャンセル
できることが分かる。
【0090】その後、ステップ208では、前記算出し
た補正後のセンサセル電流IsfをNOx濃度出力(信
号SG3)としてD/Aコンバータ又はシリアル通信に
より出力し、その後本ルーチンを一旦終了する。
【0091】上記補正を行う前は、例えば図11(a)
に示されるように、酸素濃度が相違することで、実際の
NOx濃度に対応するNOx濃度出力(出力電流)が変
動する。例えば酸素濃度が0%に対して10%,20%
と変わると、NOx濃度が一定であってもNOx濃度出
力(出力電流)が増加してしまう。
【0092】これに対して上記の如く補正を行うこと
で、図11(b)に示されるように、酸素濃度が0%,
10%,20%と変わってもNOx濃度出力(出力電
流)が変動することはなく、正確なNOx濃度出力が得
られる。つまり、図11(a)に示す酸素濃度依存性に
よる影響が上記補正によりキャンセルされる。
【0093】以上詳述した本実施の形態によれば、以下
に示す効果が得られる。 (a)ポンプセル110が酸素を排出する際、多孔質拡
散層101が酸素含有分だけ負圧になって外部からNO
xを含む排ガスが余分に流入し、そのガス流入分に応じ
てセンサセル電流Is(NOx濃度出力)が変化する
が、上記の通りポンプセル電流Ipに基づき、酸素濃度
依存性を反映しつつセンサセル電流Isを補正すること
で、排ガス中の酸素濃度に応じて不用意にNOx濃度出
力が変動するといった問題が解消される。その結果、排
ガス中の酸素濃度の変化に関係なく、高精度なガス濃度
検出を実施することができる。
【0094】(b)センサ構造から一意的に決定される
構造定数Kaと、NOx感度から決定される補正係数K
bを用いた演算式、 Isf=Is・Kb/(Ka・Ip+Kb) によりセンサセル電流Isを補正するようにした。これ
により、酸素濃度依存性を反映した補正が簡素に且つ正
確に実施できる。この場合、ポンプセル110での酸素
排気に伴い多孔質拡散層101内に負圧が生じ、それに
より排ガス(NOx成分)が過剰に流入しても、上記演
算式を用いることで過剰な排ガス流入分がキャンセルで
き、精度の良いNOx濃度出力が得られる。
【0095】(c)図2に見られるように、各セル11
0,120の負側端子を0V電圧から浮かすように構成
したので、各セルにおいて負電流を流すことが可能とな
る。例えば図2において、Va>Vc(>Ve)とする
ことで、負のセンサセル電流が流れる。従って、通常負
電流が流れにくく多孔質拡散層101内の酸素濃度のバ
ランスが崩れるリッチガスに対しても、多孔質拡散層1
01内のガス濃度を一定に保つ(例えば酸素濃度を常に
ストイキ状態に保つ)ことができる。その結果、リッチ
ガスの検出を可能にしてガス濃度の検出範囲を拡大させ
ると共に、リッチガスからリーンガスへの復帰に際し、
ガス濃度出力の応答遅れを改善することができる。
【0096】次に、本発明における第2〜第6の実施の
形態を説明する。但し、以下の各実施の形態の構成にお
いて、上述した第1の実施の形態と同等であるものにつ
いては図面に同一の記号を付すと共にその説明を簡略化
する。そして、以下には第1の実施の形態との相違点を
中心に説明する。
【0097】(第2の実施の形態)本実施の形態では、
酸素濃度依存性に関するNOx濃度出力(センサセル電
流)の補正をマップ演算を用いて行うこととし、その具
体的内容を図12のフローチャートに従い説明する。図
12のフローチャートは、前記図10の一部を変更した
ものであり、同図のステップ201〜206は共通の処
理を示す。
【0098】要するに、各端子Vd,Vb,Ve,Vc
の電圧の読み込み、並びにポンプセル電流Ip及びセン
サセル電流Isの算出の後(ステップ201〜206の
実施後)、ステップ301では、図13の補正マップを
用い、前記算出したポンプセル電流Ipに基づいて補正
値ΔIsを求める。図13によれば、酸素濃度(ポンプ
セル電流Ip)が大きくなるほどマイナス側に補正され
るような補正値ΔIsが与えられる。なおこの場合、前
記第1の実施の形態で記載した演算式((1)式)に対
応する補正データをマッピングしておくとよい。
【0099】その後、ステップ302では、前記算出し
たセンサセル電流Isと補正値ΔIsとを加算して補正
後のセンサセル電流Isfを算出する(Isf=Is+
ΔIs)。続くステップ303では、前記算出した補正
後のセンサセル電流IsfをNOx濃度出力としてD/
Aコンバータ又はシリアル通信により出力し、その後本
ルーチンを終了する。
【0100】補正前後を比較すると、前記第1の実施の
形態と同様に、上記補正により酸素濃度依存性による影
響がキャンセルされる。つまり、補正前は図11(a)
に示されるように、酸素濃度の相違によりNOx濃度出
力(出力電流)が変動したのに対し、補正後は図11
(b)に示されるように、酸素濃度が相違してもNOx
濃度出力(出力電流)が変動することはなく、正確なN
Ox濃度出力が得られる。
【0101】以上第2の実施の形態によれば、既述した
第1の実施の形態と同様に、排ガス中の酸素濃度の変化
に関係なく、高精度なガス濃度検出を実施することがで
きる。特に本実施の形態では、酸素濃度依存性を反映し
て排ガス中の酸素濃度と補正値ΔIsとの関係を予め記
憶しておき、前記記憶した酸素濃度依存性に関する補正
値ΔIsに従いセンサセル電流Isを補正するので、酸
素濃度依存性に応じた補正が簡易的に実施できる。
【0102】前記図13の補正データは、排ガス中の酸
素濃度が高くなるほど、センサセル電流Isをマイナス
側に補正するので、例えば排ガス中の酸素濃度が高いた
めに多孔質拡散層101に負圧が生じて外部から排ガス
(NOx)が余分に流入する際にも、その余分の排ガス
流入分に応じた補正が実施でき、結果として高精度なガ
ス濃度検出が可能となる。
【0103】(第3の実施の形態)上記第1,第2の実
施の形態では、NOx電流補正回路300をマイクロコ
ンピュータにて構成し、同マイクロコンピュータによる
演算にてNOx濃度出力(センサセル電流)の補正を実
施したが、本実施の形態では他の構成として、ハードウ
エアによるNOx電流補正回路の実現例を提案する。な
お他の構成は前記第1の実施の形態に準ずる。
【0104】図14は、NOx電流補正回路300の電
気的構成を示す回路図である。図14において、NOx
電流補正回路300は、ポンプセル電流処理回路301
と、センサセル電流処理回路302と、ポンプセル電流
Ipに応じて補正定数を決定するための可変抵抗303
及び抵抗304と、ポンプセル電流Ipに応じてセンサ
セル電流Isを補正するための増幅回路305と、セン
サセル電流処理回路302と増幅回路305との間に設
けられる抵抗306,307とから構成される。
【0105】ポンプセル電流処理回路301は、ポンプ
セル電流Ipを検出するための電流検出抵抗213(前
記図2参照)の両端子電圧Vd,Vbを取り込み、ポン
プセル電流Ipに相当する電圧(Vd−Vb)を出力す
る。同電流処理回路301から出力される電圧(Vd−
Vb)により可変抵抗303の抵抗値が調整され、該調
整される可変抵抗303の抵抗値と抵抗304の抵抗値
とにより、増幅回路305の増幅率(補正定数)が決定
される。このとき、ポンプセル電流Ipが大きいほど、
可変抵抗303の抵抗値が小さい値に調整されて増幅率
が低下される。また、ポンプセル電流Ipが小さいほ
ど、可変抵抗303の抵抗値が大きい値に調整されて増
幅率が増大される。
【0106】一方、センサセル電流処理回路302は、
センサセル電流Isを検出するための電流検出抵抗22
3(前記図2参照)の両端子電圧Ve,Vcを取り込
み、センサセル電流Isに相当する電圧(Ve−Vc)
を出力する。同電流処理回路302から出力される電圧
(Ve−Vc)は抵抗306,307の分圧点を介して
増幅回路305の非反転入力端子に出力される。そし
て、電圧(Ve−Vc)は増幅回路305の増幅率に応
じて増幅(補正)された後、当該増幅回路305からN
Ox濃度出力(信号SG3)として出力される。
【0107】要するに、センサセル電流処理回路302
から出力される電圧(Ve−Vc)、すなわちセンサセ
ル電流Isは、ポンプセル電流処理回路301から出力
される電圧(Vd−Vb)、すなわちポンプセル電流I
pにより補正されることとなる。
【0108】以上の構成によれば、酸素濃度依存性に応
じてNOx濃度出力を補正するガス濃度検出装置を、ハ
ードウエアにより実現することが可能となる。以上第3
の実施の形態によれば、既述した第1,第2の実施の形
態と同様に、排ガス中の酸素濃度の変化に関係なく、高
精度なガス濃度検出を実施することができる。また、ガ
ス濃度検出装置をハードウエアにて実現することで、時
々刻々と変化するガス濃度信号が連続的に得られる。
【0109】(第4の実施の形態)既述の通り上記ガス
濃度センサ100では、排ガス中の酸素をポンプセル1
10で完全に排出することができないため、NOx濃度
に応じた電流と残留酸素量に応じたオフセット電流との
加算電流がセンサセル120で検出される。このオフセ
ット電流は、前記図6に示すセンサセル特性の「A1」
に相当する電流であり、残留酸素が無ければ発生しない
が、ガス濃度センサの個体差や劣化度合に応じて変化す
ることからNOx検出精度を悪化させる原因となる。
【0110】具体的には図21の破線に示すように、N
Ox濃度出力(出力電流)のオフセット電流はセンサセ
ル120での残留酸素量に応じてばらつき、それにより
精度の高いNOx濃度検出ができない。
【0111】そこで本実施の形態では、オフセット電流
に起因するNOx濃度出力の検出精度悪化を抑制すべ
く、図15に示すガス濃度検出装置を提案する。図15
において、センサ制御回路250は、酸素濃度検出手段
210とNOx濃度検出手段260とを備える。酸素濃
度検出手段210は前記図1と同様の構成を有し、酸素
濃度に応じた電流を検出してそれを信号SG1として図
示しない外部装置に出力する。
【0112】NOx濃度検出手段260は、前記図1と
同様に、NOx濃度に応じた電流を検出してそれを信号
SG2としてNOx電流補正回路310に出力し、さら
に同図1との相違点として、後述のNOx電流補正回路
310から入力される信号SG4に従いセンサセル12
0の印加電圧を制御する。
【0113】補正手段としてのNOx電流補正回路31
0は、残留酸素量に応じたオフセット電流を検出すると
共に、該検出したオフセット電流によりNOx電流誤差
を補正し、補正後のNOx濃度に応じた出力を信号SG
5として図示しない外部装置に出力する。
【0114】また本実施の形態では、残留酸素量に応じ
たオフセット電流を直接的に検出すべく、ガス濃度セン
サ100のセンサセル電極の構成を変更しており、以下
にその内容を説明する。
【0115】先述した図3のガス濃度センサ100で
は、ポンプ第1電極111、センサ第1電極121、セ
ンサ第2電極122がPt等の触媒活性の高い貴金属か
らなり、ポンプ第2電極112(ポンプセルの多孔質拡
散層側電極)のみがNOxガスを分解し難い、すなわち
NOxガスに不活性なAu−Pt等の貴金属からなって
いた。
【0116】この場合、Au−Pt等の貴金属電極を有
するポンプセル電極(ポンプ第2電極112)は、前記
図5の破線に示すように所定値以上の電圧を印加するこ
とでNOxガスを分解する特徴がある。そこで本実施の
形態では、こうした電極特性を利用して、NOxガスを
分解し難いAu−Pt等の貴金属電極をセンサセル電極
(センサ第1電極121)にも採用し、残留酸素電流と
NOxガス電流とが区別できるセンサ構成を提案する。
【0117】より具体的には、ガス濃度センサ100の
電極を以下のように構成する。ポンプセル110の排ガ
ス側のポンプ第1電極111及びセンサセル120の大
気側のセンサ第2電極122を、Pt等の触媒活性の高
い貴金属で構成する一方、ポンプセル110の多孔質拡
散層101側のポンプ第2電極112及びセンサセル1
20の多孔質拡散層101側のセンサ第1電極121
を、NOxガスに不活性な(NOxガスを分解し難い)
Au−Pt等の貴金属で構成する。
【0118】上記の如くセンサ第1電極121をNOx
不活性電極に変更した場合、図16に示すセンサセル特
性が得られる。図16によれば、印加電圧線LX2によ
り比較的高い電圧が印加される時には、A1部分で示す
オフセット電流とA2部分で示すNOx分解電流とが流
れ、センサセル電流Isとして検出される電流値は「A
1+A2」となる。
【0119】また、前記印加電圧線LX2よりも低電圧
側には別の印加電圧線LX3が設定される。この印加電
圧線LX3により比較的低い電圧が印加される時には、
A1部分で示すオフセット電流だけが流れてこのA1電
流値が検出される。
【0120】要するに、図16中の印加電圧線LX2を
用いてセンサセル印加電圧を制御することで、オフセッ
ト電流分を含むNOx濃度電流が検出される。また、印
加電圧線LX3を用いてセンサセル印加電圧を制御する
ことで、オフセット電流のみが検出される。従って、残
留酸素によるオフセット電流とNOx濃度に応じた検出
電流とを区別することが可能となる。なお、「A1+A
2」電流を検出する領域が請求項記載の「第1領域」に
相当し、「A1」電流のみを検出する領域が「第2電
流」に相当する。
【0121】図17には、前記図15のセンサ制御回路
250についてその電気的構成を示す。図17の構成
は、前記図2に示すセンサ制御回路200の一部を変更
したものであり、その相違点としてNOx濃度検出手段
260内の増幅回路222にはNOx電流補正回路31
0からの信号SG4(センサセル指令電圧Vc)が入力
される。つまり、NOx電流補正回路310の信号SG
4により、センサセル印加電圧が制御される。
【0122】また図17の構成において、ガス濃度セン
サ100は、既述の通り残留酸素によるオフセット電流
とNOx濃度に応じた検出電流とを区別すべく、センサ
セル電極が変更されている。つまり、NOxガスに不活
性な(NOxガスを分解し難い)Au−Pt等の貴金属
でセンサ第1電極121が構成されている。
【0123】NOx電流補正回路310は、図18に示
す通りCPU及びA/D,D/Aコンバータを備えるマ
イクロコンピュータで構成され、各A/Dコンバータ
(A/D21,A/D22)には前記図17中の各端子
Ve,Vcの電圧が各々入力される。CPUは、各端子
Ve,Vcの電圧(信号SG2)に基づいてセンサセル
電流Isを演算すると共に、該センサセル電流Isに対
応するセンサセル指令電圧Vcを信号SG4としてD/
Aコンバータ(D/A21)から出力する。
【0124】また同CPUは、残留酸素によるNOx電
流誤差を補正し、補正後のNOx濃度出力を信号SG5
として、D/Aコンバータ(D/A22)を介して又は
シリアル通信を使って図示しない外部装置に出力する。
【0125】NOx電流補正回路310内のCPUによ
り実施されるNOx電流補正処理を図19及び図20の
フローチャートに従い説明する。図19,20のルーチ
ンは、図示しないメインルーチンの途中にて実施される
NOx電流補正サブルーチンである。
【0126】先ず図19のステップ401,402で
は、前記図17の電流検出抵抗223の両端子電圧V
e,Vcを図18のA/D21,A/D22により各々
読み取り、続くステップ403では、センサセル電流I
sを算出する(Is=(Ve−Vc)/R2)。
【0127】ステップ404では、センサセル印加電圧
を設定するための印加電圧線(マップ)を、それまでの
図16中の「LX2」から「LX3」に切り替える。ま
た、ステップ405では、印加電圧線LX3上の所定の
電圧値を選び、その電圧値をセンサセル120に印加す
る。つまり、信号SG4としてのセンサセル指令電圧V
cをD/A21を介してセンサ制御回路250(NOx
濃度検出手段260)に出力する。
【0128】印加電圧の切替後、所定時間(例えば数1
0〜200ms程度)だけ待ち、ステップ406,40
7では、再び電流検出抵抗223の両端子電圧Ve,V
cをA/D21,A/D22により各々読み取る(この
値を、Ve2,Vc2とする)。続くステップ408で
は、前記検出したVe2値及びVc2値からセンサセル
電流Is2を算出する(Is2=(Ve2−Vc2)/
R2)。
【0129】その後、図20のステップ409では、図
16の印加電圧線LX3を用い、前記算出したセンサセ
ル電流Is2に対応するセンサセル120への目標印加
電圧を求める(マップ演算する)。さらにステップ41
0では、前記求めた目標印加電圧を指令電圧Vc(信号
SG4)として、D/A21を介してセンサ制御回路2
50(NOx濃度検出手段260)に出力する。ステッ
プ409,410によれば、オフセット電流Isoを検
出するための所望の電圧がセンサセル120に印加され
る。
【0130】その後、所定時間(例えば数10〜200
ms程度)だけ待ち、ステップ411,412では、再
び電流検出抵抗223の両端子電圧Ve,VcをA/D
21,A/D22により各々読み取る(この値を、Ve
3,Vc3とする)。続くステップ413では、前記検
出したVe3値及びVc3値からオフセット電流Iso
を算出する(Iso=(Ve3−Vc3)/R2)。
【0131】その後、ステップ414では、前記算出し
たセンサセル電流Isからオフセット電流Isoを減算
して補正後センサセル電流Isfを算出する(Isf=
Is−Iso)。
【0132】続くステップ415では、前記算出した補
正後のセンサセル電流IsfをNOx濃度出力(信号S
G5)としてD/Aコンバータ又はシリアル通信により
出力する。さらにステップ416では、印加電圧線を元
の「LX2」に戻し、その後本ルーチンを終了する。
【0133】因みに、オフセット電流Isoの変動幅が
比較的小さいことを考慮し、当該オフセット電流Iso
の検出に際してセンサセル印加電圧を固定値にしてもよ
い。この場合、ステップ409〜413の処理は不要と
なり、ステップ408にて算出したセンサセル電流Is
2がオフセット電流Isoとして用いられる(Is2=
Isoとする)。
【0134】なお本実施の形態では、図19,20のス
テップ404〜413により請求項記載のオフセット電
流検出手段が構成され、同ステップ404,405,4
09,410により電圧切替手段が構成される。
【0135】以上第4の実施の形態によれば、以下の特
徴的な効果が得られる。 (イ)センサセルセル120付近に残留する酸素量に基
づきセンサセル電流Isを補正するようにしたので、セ
ンサの個体差や使用環境等によりセンサセル付近の残留
酸素量が変化する際に、当該残留酸素による影響が確実
に無効化される。その結果、センサセル120付近の残
留酸素量が変化しても、高精度なガス濃度検出を実施す
ることができる。
【0136】図21では、NOx濃度出力(出力電流)
のオフセット電流が残留酸素量に応じてばらついてしま
い、NOx濃度の検出誤差が生じる旨を説明したが、上
記補正を行うことでオフセット電流変化の影響の無いN
Ox電流出力(例えば実線の出力)が得られる。
【0137】(ロ)オフセット電流Isoを直接検出
し、該検出したオフセット電流Isoに基づいてセンサ
セル電流Isを補正するので、残留酸素量の影響がより
確実に排除できる。
【0138】(ハ)センサセル特性として、オフセット
電流成分とNOxガス成分との加算電流を検出する第1
領域(図16のA1+A2検出域)と、オフセット電流
成分のみを検出する第2領域(図16のA1検出域)と
を設け、第1領域で補正前のセンサセル電流Isを検出
すると共に、第2領域でオフセット電流Isoを検出
し、補正前のセンサセル電流Isをオフセット電流Is
oにより補正するようにした。この構成によれば、上記
第2領域を使うことで、オフセット電流Isoが簡易且
つ正確に直接計測でき、ひいてはガス濃度の検出精度が
向上する。
【0139】(ニ)第1領域でセンサセル電流Isを検
出する時と、第2領域でオフセット電流Isoを検出す
る時とでセンサセル印加電圧を選択的に切り替えるよう
にしたので、オフセット電流Isoが適正に検出でき、
ひいてはガス濃度の検出精度が向上する。
【0140】(ホ)ガス濃度検出装置に適用されるガス
濃度センサ100の電極構成として、多孔質拡散層10
1に対向する各セルの電極(ポンプ第2電極112,セ
ンサ第1電極121)を、NOxガスに対して不活性な
電極とし、それにより、オフセット電流成分とNOxガ
ス成分との加算電流を検出する第1領域と、オフセット
電流成分のみを検出する第2領域とをセンサセル特性上
に設けることとした。当該ガス濃度センサ100によれ
ば、前記第1領域だけを持つ既存のセンサに対し、新た
に第2領域を設けることで、第2セル付近の残留酸素量
に応じたオフセット電流が直接的に検出可能となる。従
って、残留酸素量に応じた補正を実施するガス濃度検出
装置において、好適なセンサが提供できる。
【0141】(第5の実施の形態)上記第4の実施の形
態では、オフセット電流を直接検出できるようにガス濃
度センサ100の電極構成を変更すると共に、センサセ
ル印加電圧を調整してオフセット電流を計測し、該計測
したオフセット電流に基づいてNOx濃度出力を補正し
たが、本実施の形態ではこの構成を変更する。
【0142】つまり、センサセル120に残留する酸素
量が相違すると、同センサセル120での起電力が変わ
ることに着目し、センサセル起電力を計測すると共に該
計測した起電力に基づいてNOx濃度出力を補正する。
【0143】例えばセンサセル120での残留酸素が無
ければ、同センサセル120はストイキ状態になり、セ
ンサセル起電力が「約0.45V」となるのに対し、セ
ンサセル120での残留酸素が増えると、同センサセル
120はリーン状態になり、センサセル起電力が減少す
る。この場合、図26(a)に示されるように、センサ
セル起電力が相違することで実際のNOx濃度に対応す
るNOx濃度出力(出力電流)が変動する。例えばセン
サセル起電力が0.45Vの場合に対して同起電力が
0.2Vになると、NOx濃度が一定であってもNOx
濃度出力(出力電流)が増加してしまう。
【0144】これに対してセンサ起電力に応じた補正を
行うことで、図26(b)に示されるように、センサセ
ル起電力が0.45V→0.2Vと変わってもNOx濃
度出力が変動することはなく、正確なNOx濃度出力が
得られる。つまり、図26(a)に示す残留酸素による
影響が起電力補正によりキャンセルされることとなる。
【0145】本実施の形態におけるガス濃度検出装置の
概要を図22のブロック図に示す。図22において、セ
ンサ制御回路270は、既述の酸素濃度検出手段210
及びNOx濃度検出手段220に加え、センサセル起電
力を検出するための起電力検出手段280を備える。起
電力検出手段280では、センサセル起電力の検出値を
信号SG6としてNOx電流補正回路320に出力す
る。
【0146】補正手段としてのNOx電流補正回路32
0は、起電力検出手段280による起電力検出値(信号
SG6)に基づいて、NOx濃度検出手段220による
NOx濃度検出値(信号SG2)を補正し、該補正後に
得られるNOx濃度出力を信号SG7として図示しない
外部装置に出力する。
【0147】図23には、前記図22のセンサ制御回路
270についてその電気的構成を示す。図23の構成
は、前記図2に示すセンサ制御回路200の一部を変更
したものであり、その相違点として、NOx濃度検出手
段220内の増幅回路222と電流検出抵抗223との
間には常閉タイプのスイッチSW1が設けられる。ま
た、同スイッチSW1を開放又は閉鎖し、且つスイッチ
解放時にセンサセル起電力を計測するための起電力計測
回路281が設けられる。
【0148】ここで、スイッチSW1及び起電力計測回
路281が前記図22の起電力検出手段280に相当す
る。また、スイッチSW1が請求項記載のスイッチ手段
に相当し、起電力計測回路281が計測手段に相当す
る。
【0149】なお、本実施の形態では残留酸素量に応じ
たオフセット電流を直接的に計測する必要はなく、ガス
濃度センサ100の構成は前記第1〜第3の実施の形態
と同様に、各電極111,112,121,122のう
ち、ポンプ第2電極112のみがNOx不活性電極(A
u−Pt電極)となっている。
【0150】前記起電力計測回路281とNOx電流補
正回路320とが何れもマイクロコンピュータで構成さ
れる場合において、その特徴的な処理を図24,図25
のフローチャートを参照しながら説明する。
【0151】起電力計測回路281内のCPUが図24
の処理を開始すると、ステップ501ではスイッチSW
1を開放し、続くステップ502では、センサ第2電極
122側の電圧(電流検出抵抗223の片側の端子電圧
Vc)をA/Dコンバータにより読み取る。次に、ステ
ップ503では、センサ第2電極122側の電圧Vc
(検出値)と、センサ第1電極121側の電圧Va(固
定値)との差から当該センサセル120の起電力(Vc
−Va)を算出する。
【0152】次に、ステップ504では、前記算出した
センサセル起電力を信号SG6としてNOx電流補正回
路320に出力し、続くステップ505ではスイッチS
W1を閉鎖状態に戻す。
【0153】一方、NOx電流補正回路320内のCP
Uが図25の処理を開始すると、ステップ601では、
例えば図27の関係を用い、センサセル起電力に応じて
補正値ΔIkを算出する。図27では、センサセル起電
力=0.45V(ストイキ状態)を境にそれよりも低電
圧側でマイナス側の補正値ΔIkが設定される。
【0154】次に、ステップ602では、その時々のセ
ンサセル電流Isに補正値ΔIkを加算して補正後セン
サセル電流Isfを算出する(Isf=Is+ΔI
k)。続くステップ603では、前記算出した補正後の
センサセル電流IsfをNOx濃度出力(信号SG7)
としてD/Aコンバータ又はシリアル通信により出力
し、その後本ルーチンを終了する。
【0155】但し起電力計測回路281とNOx電流補
正回路320とを同一のマイクロコンピュータで構成す
る場合、図24及び図25の処理は一連の処理として実
行されればよい。
【0156】以上第5の実施の形態によれば、残留酸素
量の反映としてセンサセル起電力を検出し、該検出した
センサセル起電力に応じてセンサセル電流Isを補正す
るようにしたので、センサセル120付近の残留酸素量
が変化しても、高精度なガス濃度検出を実施することが
できる。
【0157】(第6の実施の形態)上記第1〜第3の実
施の形態では、排ガス中の酸素濃度に応じてNOx濃度
出力が変動する、といった酸素濃度依存性を反映した補
正を行い、上記第4,第5の実施の形態では、センサセ
ルでの残留酸素の影響を反映した補正を行ったのに対
し、本実施の形態では、酸素濃度依存性を反映した補正
と、残留酸素の影響を反映した補正とを共に実施可能な
装置を提案する。
【0158】本実施の形態におけるガス濃度検出装置の
概要を図28のブロック図に示す。図28では前記図1
の構成との相違点として、補正手段としてのNOx電流
補正回路330は、酸素濃度依存性に応じた補正と、残
留酸素の影響に応じた補正とを実施し、それらの補正後
に得られるNOx濃度出力を信号SG8として図示しな
い外部装置に出力する。
【0159】NOx電流補正回路330は、上記第1〜
第5の実施の形態における要件を適宜組み合わせて実現
するものであればよいが、ここではその一例を以下に記
す。図29は、NOx電流補正回路330(マイクロコ
ンピュータ)による演算処理を示すフローチャートであ
る。
【0160】図29において、ステップ701では、ポ
ンプセル電流Ip及びセンサセル電流Isを算出する。
続くステップ702では、ポンプセル電流Ipに基づい
て補正値ΔIsを算出する。この補正値ΔIsは酸素濃
度依存性による電流誤差を修正するものであって、例え
ば前記図13の関係を用いて算出する。なおここで、ス
テップ701は、前記図10のステップ201〜206
の処理に相当し、ステップ702は、前記図12のステ
ップ301の処理に相当する。
【0161】さらに、ステップ703では、センサセル
120付近の残留酸素量に応じたオフセット電流Iso
を算出する。実際には、前記図19,20の処理を準用
し、同図のステップ401〜413の処理を実施してオ
フセット電流Isoを算出する。但し図19,20の処
理(第4の実施の形態)を適用するには、センサセル電
極の構成を一部変更する必要がある。つまり、ガス濃度
センサ100の各電極111,112,121,122
のうち、ポンプ第2電極112とセンサ第1電極121
とをNOx不活性電極(Au−Pt電極)として、残留
酸素量に応じたオフセット電流を直接的に計測できる構
成とする。
【0162】その後、ステップ704では、前記算出し
た補正値ΔIsとオフセット電流Isoに基づいてセン
サセル電流Isを補正する。すなわち、 Isf=Is+ΔIs−Iso といった演算式を用いて補正後のセンサセル電流Isf
を算出する。そしてステップ705では、補正後のセン
サセル電流IsfをNOx濃度出力としてD/Aコンバ
ータ又はシリアル通信により出力する。
【0163】他方で、酸素濃度依存性に応じた補正に際
し、補正値ΔIsのマップ演算に代えて、ガス濃度セン
サ100の構造から一意的に決定される構造定数Ka
と、NOx感度から算出される補正係数Kbとに基づく
演算式、 Isf=Is・Kb/(Ka・Ip+Kb) による補正を実施してもよい。すなわち、前記図29の
ステップ704において、上記演算式を用いてセンサセ
ル電流Isを補正する。実際には、 Isf=(Is−Iso)・Kb/(Ka・Ip+K
b) の演算を行って補正後のセンサセル電流Isfを求め
る。
【0164】また、センサセル120付近の残留酸素の
影響を反映した補正として、例えば前記図27の関係を
用いてセンサセル起電力に応じた補正値ΔIkを求め、
該補正値ΔIkによりセンサセル電流Isを補正するこ
とも勿論可能である。
【0165】以上第6の実施の形態によれば、酸素濃度
依存性を反映しつつセンサセル電流Isを補正する第1
補正と、センサセル付近の残留酸素量に基づいてセンサ
セル電流Isを補正する第2補正とを実施するので、酸
素濃度依存性の影響と残留酸素量の影響とが共に排除さ
れる。従って、排ガス中の酸素濃度が変化しても、或い
はセンサセル付近に残留する酸素量が変化しても、高精
度なガス濃度検出を実施することができる。
【0166】なお、本発明の実施の形態は、上記以外に
次の形態にて具体化できる。 (他の形態1)上記各実施の形態では、マイクロコンピ
ュータを用いてポンプ電圧指令回路211及びセンサ電
圧指令回路221を構成したが(図7参照)、同指令回
路211,221をハードウエアにより構成してもよ
い。同指令回路211,221の回路構成を図30に示
す。但し、ポンプ電圧指令回路211とセンサ電圧指令
回路221とは同一構成で実現できるため、図30には
ポンプ電圧指令回路211の構成のみを図示する。
【0167】図30において、ポンプ電圧指令回路21
1は、基準電圧回路241、増幅回路242、増幅抵抗
245,246、LPF(ローパスフィルタ)243及
び電流検出回路247から構成される。電流検出回路2
47は、ポンプセル電流Ipを検出するための電流検出
抵抗213の両端子電圧Vd,Vbを取り込み、同電流
検出回路247で処理された電圧(Vd−Vb)が増幅
回路242の非反転入力端子に出力される。増幅回路2
42の反転入力端子は、増幅率を決定するための増幅抵
抗245及び246に接続される。増幅回路242の出
力端子には、抵抗243a及びコンデンサ243bから
なる一次のLPF243が接続され、そのLPF243
を介して指令電圧Vbが出力される。
【0168】ここで、基準電圧回路241は印加電圧線
LX1のオフセット電圧(0mA時の印加電圧)を生成
し、増幅回路242と増幅抵抗245,246は印加電
圧線LX1の傾き(ポンプセル電流増大に伴う印加電圧
の増大)を決定する。かかる場合、図5に示す印加電圧
線LX1に沿った印加電圧がポンプセル110に印加さ
れる。印加電圧線LX1によればポンプセル電流Ipの
増大に伴い印加電圧が増大するといった、ポジティブフ
ィードバックの系ができ、出力する印加電圧が発振しよ
うとするが、LPF243をフィードバック系の途中に
設けることで印加電圧の発振が防止される。以上のよう
な構成及び作用により、本装置の印加電圧制御をハード
ウエアにより実施することも可能となる。
【0169】(他の形態2)上記各実施の形態では、ポ
ンプセル110及びセンサセル120の共通の負側端子
(ポンプ第2電極112,センサ第1電極121)をG
ND電圧(0V電圧)よりも浮かした基準電圧Vaとし
たが、この構成を変更する。例えば一方のセル(例えば
図2のセンサセル120)の負側端子のみをGND電圧
から浮かすと共に他方のセル(図2のポンプセル11
0)の負側端子をGND接地させたり、或いは両方のセ
ルの負側端子をGND接地させてもよい。
【0170】(他の形態3)上記第6の実施の形態で
は、酸素濃度依存性を反映した「第1補正」と、残留酸
素の影響を反映した「第2補正」とを共に実施する旨を
記載したが、当該装置の構成を以下の如く変更する。多
くの場合、第1補正は例えば排ガス中の酸素濃度変化に
応じて随時必要になるのに対し、第2補正はセンサの個
体差や経時変化が生じた際に必要となる。
【0171】そこで、第1補正と第2補正との要否を各
々判断し、その判断結果に従い各補正を選択的に実施す
る。例えば第2補正は、センサ個体差や経時変化による
バラツキを解消する必要がある場合にのみ実施する。実
際には前記図29のルーチンにおいて、補正要否を最初
に判断し、その結果に従いステップ702,703によ
る補正を有効化又は無効化する。不要な処理は迂回すれ
ばよい。
【0172】或いは、第1補正を実施する頻度に対し第
2補正を実施する頻度を下げる。実際には、第1補正の
補正量(例えば前記図13に基づく補正値ΔIs)を算
出する頻度に対し、第2補正の補正量(例えばオフセッ
ト電流Iso)を算出する頻度を下げる。この場合、第
1補正の補正量算出を数msec周期で実施するのに対
し、第2補正の補正量算出を数sec周期で実施する。
又は、第2補正の補正量算出を、エンジンのイグニッシ
ョンキーがON操作されるタイミングでのみ実施する。
第2補正における補正量の算出頻度を下げる場合、当該
補正量をその都度バックアップメモリに記憶・更新し、
補正の実施時には同メモリの補正量データを読み出して
使用する。
【0173】上記構成によれば、必要に則した補正が実
施でき、より一層適正なガス濃度検出装置が実現でき
る。この場合、例えばマイクロコンピュータを使う場合
にその演算負荷が軽減できる。
【0174】(他の形態4)2セル構造のガス濃度セン
サとして、その構成の一部を変更してもよい。例えば電
圧印加に伴い排ガス中の余剰酸素を排出しつつその酸素
濃度に応じた電流を流すポンプセルと、同じく電圧印加
に伴い余剰酸素排出後のガス成分からNOx濃度に応じ
た電流を流すセンサセルとを備える構成において、ポン
プセルとセンサセルとの設置場所を逆にする。つまり、
ポンプセルが多孔質拡散層101と大気ダクト102と
の間に設けられ、センサセルが多孔質拡散層101と排
ガス空間との間に設けられる。この場合にも、既述のガ
ス濃度センサ100と同様の原理でガス濃度が検出でき
る。
【0175】なお、前記図6に示すセンサセル特性を得
るには、各セルの電極のうち、多孔質拡散層101側の
ポンプ電極のみをNOx不活性電極(NOxガスを分解
し難い電極)とする。また、前記図16に示すセンサセ
ル特性を得るには、各セルの電極のうち、多孔質拡散層
101側のポンプセル電極及びセンサセル電極をNOx
不活性電極(NOxガスを分解し難い電極)とする。
【0176】(他の形態5)上記各実施の形態では、2
セル構造のガス濃度センサについてその具体例を示した
が、2セル構造のセンサ以外に、3セル構造のガス濃度
センサや、ポンプセルやセンサセルを複数に分割して設
け、それにより4個以上のセルを持つガス濃度センサに
も適用できる。以下には、3セル構造のガス濃度センサ
を用いたガス濃度検出装置への適用例を説明する。
【0177】図31を参照しつつ3セル構造のガス濃度
センサ400の一構成を説明する。ガス濃度センサ40
0は主要な構成として、排ガス中の酸素を排出すること
で酸素濃度を検出するポンプセル410(第1セル)
と、酸素分圧を検知するリファレンスセル430と、N
Oxガスを分解しその酸素イオンを排出することでNO
x濃度を検出するセンサセル420(第2セル)とを有
する。
【0178】エンジンから排出された排ガスは、第1多
孔質拡散層401を介して第1チャンバ405に導入さ
れる。ポンプセル410は、リファレンス第1電極43
1とリファレンス第2電極432との間の電圧によりモ
ニタしたリファレンスセル430の電圧に基づき、第1
チャンバ405内に存在する酸素をNOxが分解しない
レベルで汲み出し制御する。すなわち、ポンプ第1電極
411とポンプ第2電極412との間に電圧を印加する
ことで酸素が汲み出され、この時に流れる電流を計測す
ることで酸素濃度が検出される。
【0179】酸素が汲み出された排ガスは、第2多孔質
拡散層404を介して第2チャンバ406に導入され
る。第2チャンバ406内に存在するNOxガスは、セ
ンサセル420を用いて分解し汲み出されるように制御
される。すなわち、センサ第1電極421とセンサ第2
電極422との間に電圧を印加することでNOxガスが
汲み出され、この時に流れる電流値を計測することでN
Ox濃度が検出される。
【0180】例えば第1チャンバ405内の排ガスがリ
ーンである程(酸素が多く含まれる状態)、リファレン
スセル430の起電力が低減され、リファレンス第2電
極432の電圧は低下する。このとき、第1チャンバ4
05内の酸素がポンプセル410を介して排ガス側(図
の上側)に排出される。また、第1チャンバ405内の
排ガスの酸素濃度が非常に低い場合、リファレンスセル
430の起電力が上昇し、リファレンス第2電極432
の電圧が上昇する。このとき、第1チャンバ405内の
酸素の排出が少なくなる。その際のポンプセル電流を計
測することにより、排ガス中の酸素濃度が検出できる。
【0181】一方、排ガス中の酸素を排出された後のガ
スは第2多孔質拡散層404を介して第2チャンバ40
6に導入される。センサセル420に所定の電圧が印加
されると、同センサセル420はNOxガスを分解し、
酸素イオンを第2チャンバ406から大気ダクト407
側に排出する。その際のセンサセル電流を計測すること
により、排ガス中のNOx濃度が検出できる。
【0182】上記構成のガス濃度センサ400におい
て、演算式、 Isf=Is・Kb/(Ka・Ip+Kb) を用い、センサセル電流Isを補正する。上記センサ4
00の場合、第1,第2多孔質拡散層401,404と
第1,第2チャンバ405,406とが拡散抵抗部に相
当し、同拡散抵抗部の構造等から構造定数Kaを設定
し、センサセル420のNOx感度から補正係数Kbを
設定する。実際には、拡散抵抗部(部材401,404
〜406)における拡散係数と、同拡散抵抗部の形状及
び容積と、各セル410,420,430の電極位置と
により構造定数Kaを決定する。
【0183】本実施の形態によれば、既述通り酸素濃度
依存性の影響がキャンセルされ、排ガス中の酸素濃度の
変化に関係なく、高精度なガス濃度検出を実施すること
ができる。その他に、第2〜第6の実施の形態で記載し
た補正手法と上記ガス濃度センサ400とを適宜組み合
わせて実施することも勿論可能である。
【0184】因みに、残留酸素量に応じたオフセット電
流を直接検出すべく、前記図16に示すセンサセル特性
を得るには、各セルの電極のうち、第1チャンバ405
側のポンプ第2電極412及び第2チャンバ406側の
センサ第1電極421をNOx不活性電極(NOxガス
を分解し難い電極)とすればよい。
【0185】(他の形態6)3セル構造のガス濃度セン
サ(NOxセンサ)として、図32の構成を適用しても
よい。図32のガス濃度センサ500において、酸素ポ
ンプセル510(第1セル)は、固体電解質SEAとそ
の両面の一対の電極511,512とからなる。固体電
解質SEA及び電極511,512には所定寸法のピン
ホール513が形成されている。符号514は多孔質保
護層である。
【0186】酸素検知セル520は、固体電解質SEB
とその両面の一対の電極521,522からなる。電極
521は例えば多孔質Pt電極からなり、電極522は
酸素ポンプセル510の電極512と同様、NOxの還
元に対して不活性で且つ酸素の還元に対して活性である
ように電極で構成される。また、NOx検知セル530
(第2セル)は、前記酸素検知セル520と共通の固体
電解質SEBとその両面の一対の電極531,532か
らなる。電極531は例えば多孔質Pt電極からなり、
電極532はNOxの還元に対して活性な例えば多孔質
Pt電極からなる。
【0187】固体電解質SEA,SEBの間には、連通
孔543を介して隣接する第1内部空間541及び第2
内部空間542が形成されている。固体電解質SEBの
裏面側には大気通路544が形成され、さらに各セルを
加熱するためのヒータ545が積層されている。
【0188】上記構成のガス濃度センサ500におい
て、排ガスはピンホール513を通って第1内部空間5
41に導入される。酸素検知セル520では電極52
1,522の両側の酸素濃度差に基づく起電力が発生す
る。この起電力の大きさを測定することで、第1の内部
空間541内の酸素濃度が検出される。
【0189】酸素ポンプセル510では電極511,5
12間に電圧が印加されることで、第1内部空間541
内の酸素が出し入れされて同内部空間541内の酸素濃
度が所定の低濃度に制御される。酸素ポンプセル510
への通電量は、酸素検知セル520の電極521,52
2間に発生する起電力が所定の一定値となるようにフィ
ードバック制御される。ここで、第1内部空間541に
面する電極512,522はNOxの還元に対しては不
活性であるため、第1内部空間541内ではNOxは分
解されず、第1内部空間541内のNOx量が変化する
ことはない。
【0190】酸素ポンプセル510及び酸素検知セル5
20により一定の低酸素濃度となった排ガスは、連通孔
543を通って第2内部空間542内に導入される。第
2内部空間542に面するNOx検知セル530は、N
Oxに対して活性であるので、電極531,532間に
所定の電圧が印加されると電極532上でNOxが還元
分解され、酸素イオン電流が流れる。この電流値(セン
サセル電流Is)が測定されることで排ガス中に含まれ
るNOx濃度が検出される。
【0191】上記構成のガス濃度センサ500におい
て、演算式、 Isf=Is・Kb/(Ka・Ip+Kb) を用い、センサセル電流Isを補正する。上記センサ5
00の場合、ピンホール513と、第1,第2内部空間
541,542と、連通孔543とが拡散抵抗部に相当
し、同拡散抵抗部の構造等から構造定数Kaを設定し、
NOx検知セル530のNOx感度から補正係数Kbを
設定する。実際には、拡散抵抗部(部材513,541
〜543)における拡散係数と、同拡散抵抗部の形状及
び容積と、各セル510,520,530の電極位置と
により構造定数Kaを決定する。
【0192】本実施の形態によれば、既述通り酸素濃度
依存性の影響がキャンセルされ、排ガス中の酸素濃度の
変化に関係なく、高精度なガス濃度検出を実施すること
ができる。その他に、第2〜第6の実施の形態で記載し
た補正手法と上記ガス濃度センサ500とを適宜組み合
わせて実施することも勿論可能である。
【0193】因みに、残留酸素量に応じたオフセット電
流を直接検出すべく、前記図16に示すセンサセル特性
を得るには、各セルの電極のうち、第1内部空間541
側の酸素ポンプセル電極512及び酸素検知セル電極5
22と、第2内部空間542側のNOx検知セル電極5
32とをNOx不活性電極(NOxガスを分解し難い電
極)とすればよい。
【0194】(他の形態7)酸素濃度とNOx濃度とを
検出可能なガス濃度センサの他、酸素濃度とHC濃度又
はCO濃度とを検出可能なガス濃度センサにも適用でき
る。HC濃度又はCO濃度を検出する場合、ポンプセル
にて排ガス(被検出ガス)中の余剰酸素を排出し、セン
サセルにて余剰酸素排出後のガス成分からHC又はCO
を分解する。これにより、酸素濃度に加え、HC濃度又
はCO濃度が検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態においてガス濃度検出装置の
概要を示すブロック図。
【図2】センサ制御回路の電気的構成を示す回路図。
【図3】ガス濃度センサの構成を示す要部断面図。
【図4】ガス濃度センサの動作原理を説明するための
図。
【図5】ガス濃度センサのポンプセル特性を示す図。
【図6】ガス濃度センサのセンサセル特性を示す図。
【図7】ポンプ(センサ)電圧指令回路の構成を示す
図。
【図8】NOx電流補正回路の構成を示す図。
【図9】印加電圧制御手順を示すフローチャート。
【図10】NOx電流補正手順を示すフローチャート。
【図11】NOx濃度と出力電流との関係を示す図。
【図12】第2の実施の形態においてNOx電流補正手
順を示すフローチャート。
【図13】酸素濃度と補正値ΔIsとの関係を示す図。
【図14】第3の実施の形態においてNOx電流補正回
路の電気的構成を示す回路図。
【図15】第4の実施の形態においてガス濃度検出装置
の概要を示すブロック図。
【図16】ガス濃度センサのセンサセル特性を示す図。
【図17】第4の実施の形態においてセンサ制御回路の
電気的構成を示す回路図。
【図18】NOx電流補正回路の構成を示す図。
【図19】NOx電流補正手順を示すフローチャート。
【図20】図19に続き、NOx電流補正手順を示すフ
ローチャート。
【図21】NOx濃度と出力電流との関係を示す図。
【図22】第5の実施の形態においてガス濃度検出装置
の概要を示すブロック図。
【図23】第5の実施の形態においてセンサ制御回路の
電気的構成を示す回路図。
【図24】センサセル起電力の検出手順を示すフローチ
ャート。
【図25】NOx電流補正手順を示すフローチャート。
【図26】NOx濃度と出力電流との関係を示す図。
【図27】センサセル起電力と補正値ΔIkとの関係を
示す図。
【図28】第6の実施の形態においてガス濃度検出装置
の概要を示すブロック図。
【図29】NOx電流補正手順を示すフローチャート。
【図30】ポンプ電圧指令回路の構成を示す回路図。
【図31】他の形態において3セル構造のガス濃度セン
サの要部を示す断面図。
【図32】他の形態において3セル構造のガス濃度セン
サの要部を示す断面図。
【図33】拡散抵抗部の構成を簡単なモデルで示す図。
【符号の説明】
100…ガス濃度センサ、101…拡散抵抗部としての
多孔質拡散層、110…第1セルとしてのポンプセル、
111…ポンプ第1電極、112…ポンプ第2電極、1
20…第2セルとしてのセンサセル、121…センサ第
1電極、122…センサ第2電極、200,250,2
70…センサ制御回路、210…第1検出手段としての
酸素濃度検出手段、220,260…第2検出手段とし
てのNOx濃度検出手段、280…起電力検出手段、2
81…計測手段としての起電力計測回路、300,31
0,320,330…補正手段としてのNOx電流補正
回路、400…ガス濃度センサ、401…第1多孔質拡
散層、404…第2多孔質拡散層、405…第1チャン
バ、406…第2チャンバ、410…第1セルとしての
ポンプセル、420…第2セルとしてのセンサセル、5
00…ガス濃度センサ、513…ピンホール、541…
第1内部空間、542…第2内部空間、543…連通
孔、510…第1セルとしての酸素ポンプセル、530
…第2セルとしてのNOx検知セル、SW1…スイッチ
手段としてのスイッチ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 羽田 聡 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式 会社デンソー内 (72)発明者 鈴木 敏行 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式 会社デンソー内 (72)発明者 中村 聡 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式 会社日本自動車部品総合研究所内 (56)参考文献 特開 平9−113482(JP,A) 特開 平9−113484(JP,A) 特開 平9−288084(JP,A) 特開 平9−288087(JP,A) 特開 平9−329578(JP,A) 特開 平9−318596(JP,A) 特開 平10−38845(JP,A) 特開 平10−90222(JP,A) 特開 平10−123094(JP,A) 特開 平10−142194(JP,A) 特開 平10−185866(JP,A) 特開 平10−227760(JP,A) 特開 平10−253586(JP,A) 特開 平10−267893(JP,A) 特開 平10−282053(JP,A) 特開 平11−2620(JP,A) 特開 平11−2621(JP,A) 特開 平11−14589(JP,A) 特開 平11−14592(JP,A) 特開 平11−14587(JP,A) 特開 平11−23523(JP,A) 特開 平11−37972(JP,A) 特開 平11−94794(JP,A) 特開 平8−27146(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/416 G01N 27/419

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被検出ガスを内部空間内に導入するための
    拡散抵抗部と、電圧印加に伴い、前記拡散抵抗部を介し
    て導入した被検出ガス中の酸素を分解し排出することに
    より被検出ガス中の酸素濃度に応じた電流を流す酸素ポ
    ンプセルと、前記酸素ポンプセルによる酸素排出後のガ
    スの酸素濃度を検出する酸素検知セルと、電圧印加に伴
    、前記酸素ポンプセルによる酸素排出後のガスからN
    Ox、HC又はCOを分解し酸素イオンを排出すること
    でNOx濃度、HC濃度又はCO濃度に応じた電流を流
    す特定ガス検知セルとを備えるガス濃度センサを用いた
    ガス濃度検出装置において、 前記酸素ポンプセルに流れる電流値を検出する第1検出
    手段と、 前記特定ガス検知セルに流れる電流値を検出する第2検
    出手段と、 前記第1検出手段により検出した電流値に基づいて、酸
    素濃度依存性を反映しつつ前記第2検出手段により検出
    した電流値を補正する補正手段とを備えることを特徴と
    するガス濃度検出装置。
  2. 【請求項2】前記第1検出手段により検出した電流値を
    Ip、前記第2検出手段により検出した電流値をIs、
    補正後に得られる特定ガス検知セルの電流値をIsf、
    前記ガス濃度センサの構造から一意的に決定される構造
    定数をKa、前記特定ガス検知セルの検出感度から決定
    される補正係数をKbとした時、 前記補正手段は、 Isf=Is・Kb/(Ka・Ip+Kb) の演算式で表される関係を用い、前記特定ガス検知セル
    の電流値を補正する請求項1に記載のガス濃度検出装
    置。
  3. 【請求項3】請求項2に記載のガス濃度検出装置におい
    て、 前記構造定数は、前記拡散抵抗部における拡散係数と、
    同拡散抵抗部の形状及び容積と、前記酸素ポンプセル,
    特定ガス検知セルに設けられる電極の位置とにより決定
    されるガス濃度検出装置。
  4. 【請求項4】酸素濃度依存性を反映して被検出ガス中の
    酸素濃度とそれに対応して必要となる補正データとの関
    係を予め記憶しておき、 前記補正手段は、前記記憶した酸素濃度依存性に関する
    補正データに従い、前記特定ガス検知セルの電流値を補
    正する請求項1に記載のガス濃度検出装置。
  5. 【請求項5】請求項4に記載のガス濃度検出装置におい
    て、 前記記憶した補正データは、被検出ガス中の酸素濃度が
    高くなるほど、前記特定ガス検知セルにより検出される
    ガス濃度を低くするよう補正するものであるガス濃度検
    出装置。
  6. 【請求項6】被検出ガスを内部空間内に導入するための
    拡散抵抗部と、電圧印加に伴い、前記拡散抵抗部を介し
    て導入した被検出ガス中の酸素を分解し排出することに
    より被検出ガス中の酸素濃度に応じた電流を流す酸素ポ
    ンプセルと、前記酸素ポンプセルによる酸素排出後のガ
    スの酸素濃度を検出する酸素検知セルと、電圧印加に伴
    、前記酸素ポンプセルによる酸素排出後のガスからN
    Ox、HC又はCOを分解し酸素イオンを排出すること
    でNOx濃度、HC濃度又はCO濃度に応じた電流を流
    す特定ガス検知セルとを備えるガス濃度センサを用いた
    ガス濃度検出装置において、 前記特定ガス検知セル付近に残留する酸素量に基づい
    て、当該特定ガス検知セルの電流値を補正する補正手段
    を備えることを特徴とするガス濃度検出装置。
  7. 【請求項7】特定ガス検知セル付近での残留酸素量に応
    じて当該特定ガス検知セルに流れるオフセット電流を検
    出するオフセット電流検出手段を備え、 前記補正手段は、前記検出したオフセット電流に基づい
    て特定ガス検知セルの電流値を補正する請求項6に記載
    のガス濃度検出装置。
  8. 【請求項8】前記特定ガス検知セルの出力特性として、
    オフセット電流成分と前記酸素ポンプセルによる酸素排
    出後の特定ガス成分との加算電流を検出する第1領域
    と、オフセット電流成分のみを検出する第2領域とを設
    け、 前記オフセット電流検出手段は、前記第2領域を用いて
    オフセット電流を検出する請求項7に記載のガス濃度検
    出装置。
  9. 【請求項9】前記特定ガス検知セルの出力特性として、
    オフセット電流成分と前記酸素ポンプセルによる酸素排
    出後の特定ガス成分との加算電流を検出する第1領域
    と、オフセット電流成分のみを検出する第2領域とを設
    け、前記第1領域で補正前の電流値を検出すると共に、
    前記第2領域でオフセット電流を検出し、 前記補正手段は、前記検出した補正前の電流値をオフセ
    ット電流により補正する請求項6に記載のガス濃度検出
    装置。
  10. 【請求項10】請求項9に記載のガス濃度検出装置にお
    いて、 補正前の電流値を検出する際には前記第1領域で電圧を
    印加し、オフセット電流を検出する際には前記第2領域
    で電圧を印加するよう、特定ガス検知セルの印加電圧を
    選択的に切り替えるための電圧切替手段を備えるガス濃
    度検出装置。
  11. 【請求項11】前記特定ガス検知セルの起電力を検出す
    る起電力検出手段を備え、 前記補正手段は、前記検出した特定ガス検知セルの起電
    力に応じて当該特定ガス検知セルの電流値を補正する請
    求項6に記載のガス濃度検出装置。
  12. 【請求項12】請求項11に記載のガス濃度検出装置に
    おいて、 前記起電力検出手段は、特定ガス検知セルに電圧を印加
    する電気経路を開放するスイッチ手段と、該スイッチ手
    段により特定ガス検知セルに電圧を印加する電気経路が
    開放された時に、特定ガス検知セルに発生する起電力を
    計測する計測手段とを有するガス濃度検出装置。
  13. 【請求項13】被検出ガスを内部空間内に導入するため
    の拡散抵抗部と、電圧印加に伴い、前記拡散抵抗部を介
    して導入した被検出ガス中の酸素を分解し排出すること
    により被検出ガス中の酸素濃度に応じた電流を流す酸素
    ポンプセルと、前記酸素ポンプセルによる酸素排出後の
    ガスの酸素濃度を検出する酸素検知セルと、電圧印加に
    伴い、前記酸素ポンプセルによる酸素排出後のガスから
    NOx、HC又はCOを分解し酸素イオンを排出するこ
    とでNOx濃度、HC濃度又はCO濃度に応じた電流を
    流す特定ガス検知セルとを備えるガス濃度センサを用い
    たガス濃度検出装置において、 前記酸素ポンプセルに流れる電流値を検出する第1検出
    手段と、 前記特定ガス検知セルに流れる電流値を検出する第2検
    出手段と、 前記第1検出手段により検出した電流値に基づいて、酸
    素濃度依存性を反映しつつ前記第2検出手段により検出
    した電流値を補正する第1補正と、前記特定ガス検知セ
    ル付近に残留する酸素量に基づいて、当該特定ガス検知
    セルの電流値を補正する第2補正とを実施する補正手段
    とを備えることを特徴とするガス濃度検出装置。
  14. 【請求項14】請求項13に記載のガス濃度検出装置に
    おいて、 前記補正手段は、第1補正と第2補正との要否を各々判
    断し、その判断結果に従い各補正を選択的に実施するガ
    ス濃度検出装置。
  15. 【請求項15】請求項13に記載のガス濃度検出装置に
    おいて、 前記補正手段は、第1,第2補正の補正量を各々算出
    し、その際、第1補正の補正量を算出する頻度に対し第
    2補正の補正量を算出する頻度を下げるガス濃度検出装
    置。
  16. 【請求項16】被検出ガスを内部空間内に導入するため
    の拡散抵抗部と、電圧印加に伴い、前記拡散抵抗部を介
    して導入した被検出ガス中の酸素を分解し排出すること
    により被検出ガス中の酸素濃度に応じた電流を流す酸素
    ポンプセルと、前記酸素ポンプセルによる酸素排出後の
    ガスの酸素濃度を検出する酸素検知セルと、電圧印加に
    伴い、前記酸素ポンプセルによる酸素排出後のガスから
    NOx、HC又はCOを分解し酸素イオンを排出するこ
    とでNOx濃度、HC濃度又はCO濃度に応じた電流を
    流す特定ガス検知セルとを備えるガス濃度センサにおい
    て、 前記特定ガス検知セルの出力特性として、オフセット電
    流成分と前記酸素ポンプセルによる酸素排出後の特定ガ
    ス成分との加算電流を検出する第1領域と、オフセット
    電流成分のみを検出する第2領域とを設けたこと特徴と
    するガス濃度センサ。
  17. 【請求項17】請求項16に記載のガス濃度センサにお
    いて、 前記拡散抵抗部に対向する前記酸素ポンプセル,特定ガ
    ス検知セルの各電極を、前記酸素ポンプセルによる酸素
    排出後の特定ガス成分に対して不活性な電極としたガス
    濃度センサ。
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