JP3305179B2 - 排水処理方法及び排水処理装置 - Google Patents

排水処理方法及び排水処理装置

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JP3305179B2
JP3305179B2 JP33855895A JP33855895A JP3305179B2 JP 3305179 B2 JP3305179 B2 JP 3305179B2 JP 33855895 A JP33855895 A JP 33855895A JP 33855895 A JP33855895 A JP 33855895A JP 3305179 B2 JP3305179 B2 JP 3305179B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排水中のセレン
(特に6価Se)の効果的な除去が可能な排水処理方法
及び排水処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、火力発電設備等に設けられる排
煙脱硫装置としては、排煙を吸着剤スラリ(例えば石灰
石スラリ)に接触させて、排煙中の硫黄酸化物を吸収除
去する湿式のものが近年普及しているが、この排煙脱硫
装置からの排水中には、排煙中に存在していた有害物が
含有されているため、無害化処理した後に放流または再
利用等する必要がある。特に、石炭焚きボイラ用の排煙
処理システムにおいては、石炭中の最大10mg/kg
程度の含有量で含まれるセレン(Se)の有害性が近年
問題となっており、排水中から除去することが望まれて
いる。なおSeは、ヒ素化合物に類似した毒性を持ち、
海外で障害の事例や排出規制があるため、我が国でも1
994年2月に新たに規制項目に加わり、環境基準
(0.01mg/l)、排水基準(0.1mg/l)、
埋立処分に関する溶出基準(0.3mg/l)が制定さ
れた。またSeは、排水中において4価のSe(主形態:
亜セレン酸SeO2 2-)と、6価のSe(主形態:セレン
酸SeO4 2-)として存在し、特に6価のSeは溶解度が
高く(溶解度95%at20℃)溶出しやすい。
【0003】ところで、従来4価のSeについては、Fe
Cl3またはFe2(SO43やキレート剤(例えば、商品
名:ミヨシ樹脂エポラス MX−7)、あるいは高分子
重金属捕集剤(例えば、商品名:ミヨシ樹脂エポフロッ
ク L−1)により不溶化して、固液分離することによ
り除去する方法が実用的なものとして知られている。し
かし、従来6価のSeについては、実用的かつ有効的な
除去方法がなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このため従来では、排
水中に6価のSeが含まれる場合、前記溶出基準等を遵
守するために、脱硫排水等を例えば多量の水で希釈する
といった面倒でコストのかかる処理が必要となるという
問題があった。
【0005】そこで本発明は、排水中の少なくとも6価
のSeの吸収除去が有効にしかも安価なコストで可能と
なる排水処理方法及び排水処理装置を提供することを目
的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の請求項1記載の排水処理方法は、卵殻膜、
羽毛及び羊毛の中から選ばれた少なくとも一つの生物体
原料からなる吸着剤に、排水を接触させることにより、
排水中の少なくとも6価のSeを除去することを特徴と
する。
【0007】本発明の請求項2記載の排水処理方法は、
前記除去処理の際に、排水を含む処理液のpHを2〜8
好ましくは4乃至6に調整することを特徴とする。
【0008】本発明の請求項3の排水処理方法は、請求
項1または2における前記吸着剤として、前記生物体原
料を固体状のまま使用することを特徴とする。
【0009】本発明の請求項4記載の排水処理方法は、
請求項1または2における前記吸着剤として、前記生物
体原料を粉末状又は液状にしたものを使用することを特
徴とする。
【0010】本発明の請求項5記載の排水処理装置は、
排水中から少なくとも6価のSeを除去する排水処理装
置であって、卵殻膜,羽毛及び羊毛の中から選ばれた少
なくとも一つの生物体原料からなる吸着剤が固定状態に
装填され、処理しようとする排水が通過する構成とされ
た固定床式の接触処理搭を備えたことを特徴とする。
【0011】本発明の請求項6記載の排水処理装置は、
排水中から少なくとも6価のSeを除去する排水処理装
置であって、卵殻膜,羽毛及び羊毛の中から選ばれた少
なくとも一つの生物体原料からなる吸着剤と、処理しよ
うとする排水とが導入されて混合される吸着処理槽と、
この吸着処理槽から導出される前記吸着剤を含んだ排水
中から固形分を除去する固液分離手段とを備えたことを
特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。まず、本発明の排水処理方法または排水処理装置
で使用する吸着剤について説明する。吸着剤を構成する
生物体原料としては、卵殻膜,羽毛及び羊毛のうち、何
れか一つを単独で使用してもよいし、これらのうちの複
数を組合せてもよい。また、これら生物体原料は、後述
するように固体状(膜状含む)のままで使用して加工手
数を省くこともできるが、摺りつぶして粉末状とした
り、液状化することによって保管や運搬、あるいは装置
への供給等の取扱いが容易となる。
【0013】例えば鶏卵は、食品工業において大量に使
用され、その際に生じる卵殻(殻膜付きのもの)は大量
に投棄されているのが現状である。このため卵殻膜は、
例えばマヨネーズ工場等で使用済みの鶏の卵殻から安価
かつ多量に得られる。そして、このような鶏の卵殻を、
まず5wt%の塩酸溶液に約10時間程度浸漬し、炭酸
カルシウムを主成分とする卵殻を溶解させる。そして、
残った卵殻膜を蒸留水で洗浄してゴミなどを除去し、乾
燥後0.1N水酸化ナトリウム溶液で洗浄して卵白等を
除去すれば、後述するようにSeまたはHgの高い吸着能
力のある清浄な卵殻膜が得られる。なお、卵殻膜は、卵
殻から分離しないで吸着剤として使用することもでき
る。この場合、上述の塩酸溶液による前処理が不要とな
り、マヨネーズ工場等で使用済みの鶏の卵殻(殻膜付き
のもの)を、殻付きのまま蒸留水で洗浄し、乾燥後水酸
化ナトリウム溶液で洗浄すればよい。
【0014】次に、羽毛または羊毛は、例えば0.1N
〜0.5Nの水酸化ナトリウム溶液で洗浄して油分等を
除去し、その後蒸留水で洗浄すれば前処理が完了し、後
述するようにSeまたはHgの高い吸着能力のある清浄な
羽毛または羊毛が得られる。なお、羽毛としては、各種
鳥類の羽毛(例えば鶏の羽毛)が使用できる。
【0015】次に、吸着剤の使用形態としては、固形状
(膜状含む)、粉末状、及び液状の各種形態があり得
る。例えば上記卵殻膜をそのまま膜状として使用するこ
ともできるし、摺りつぶして粉末状にしてもよい。ま
た、上記卵殻付きの卵殻膜を粉砕し固形状または粉末状
のものとして使用することもできる。また、羽毛または
羊毛を、そのままの形態(固形状)で使用してもよい
し、細切れに切断して粉末状としてもよい。また、卵殻
膜や羽毛または羊毛を、アルカリ溶液に溶解させて液状
化することもできる。例えば、上述の前処理が終了した
卵殻膜や羽毛または羊毛を、30wt%の水酸化ナトリ
ウム溶液に常温で約20時間程度浸漬させれば、容易に
溶解することを実験で確認している。なお、この実験の
際の溶解量は、水酸化ナトリウム溶液が50ccに対し
て、生物体原料が約5gである。
【0016】次に、上記生物体原料を吸着剤として用い
た、本発明の排水処理方法の具体的方法、及びこれに使
用する排水処理装置について説明する。原理的には、排
水を上記吸着剤に接触させればよいが、この接触方式に
も各種の形態があり得る。例えば、上記吸着剤を固形状
のまま、排水が通過する流路または室の内部に固定的に
装填保持する方法がある。この場合には、装填された吸
着剤を塩酸等を用いて適宜再生する必要がある。図1
は、この方式を採用した排水処理装置の一例を示す図で
ある。この装置は、6価Seを含有する未処理排水W1
が未処理排水導入ライン1を介して導入されるpH調整
槽2と、このpH調整槽2から導出されたpH調整済排
水がpH調整済排水ライン3を経由してそれぞれ導入さ
れる充填搭4,5と、これら充填搭4,5から処理済排
水W2を導出する処理済排水導出ライン6と、pH調整
槽2にpH調整液Yを供給するpH調整液供給ライン7
と、充填搭4,5に対してそれぞれ再生液Zを供給する
再生液供給ライン8,9と、充填搭4,5から再生液を
導出する再生液導出ライン10とを備える。
【0017】なお、図示省略しているが、制御系の構成
要素として、pH調整槽2内のpHを検出するセンサ
や、このセンサの検出値に基づいてpH調整液供給ライ
ン7に設けられた流量調整弁の開度を制御し、pH調整
槽2内のpHを一定範囲に保持するコントローラを設け
てもよい。また、各ライン3,6,8,9,10にそれ
ぞれ設けられた開閉弁または流路切換弁を制御して、充
填搭4,5の何れか一方に適宜再生液を流す操作を自動
的に行うコントローラを設けてもよい。ここで充填搭
4,5は、前述の固体状の生物体原料からなる吸着剤4
a,5aが装填保持された固定床式の接触処理搭であ
る。pH調整液Yとしては、酸として例えば硫酸(H2
SO4)の水溶液を、アルカリとして例えば苛性ソーダ
(NaOH)の水溶液を使用することができる。なお、
pH調整液供給ライン7は、酸用とアルカリ用の2系統
設けることが好ましい。また、pH調整槽2内のpH値
は、2〜8程度、好ましくは4〜6に制御する。また、
再生液Zとしては、1〜2Nの塩酸水溶液を使用するこ
とができる。
【0018】この図1に示す装置では、pH調整槽2内
において未処理排水W1のpHが調整され、その後充填
搭4または充填搭5の少なくとも何れか一方に導かれて
Se及び水銀が吸着除去され、処理済排水導出ライン6
から排出される。そして、充填搭4または充填搭5に
は、適宜再生液Zが導入され、吸着剤4aまたは5aに
吸着されていたSe及び水銀が再生液中に溶出し、こう
して脱着されたSe及び水銀を含んだ再生液は再生液導
出ライン10から排出される。
【0019】また、排水を前述の吸着剤に接触させる方
式としては、いわゆる流通式反応槽を使用して、吸着剤
と未処理排水とを同一槽内に連続して導入し、この槽内
で混合した後導出して、固液分離する方法がある。図2
は、この方式を採用した排水処理装置の一例を示す図で
ある。この装置は、この場合4価Seの除去をも実現し
たもので、吸着処理槽21、不溶化処理槽22、凝集槽
23(固液分離手段)、及びシックナ24(固液分離手
段)とより主構成をなす。吸着処理槽21は、吸着剤X
(固体状、粉末状、または液状)と、未処理排水W1
と、pH調整液Yが連続的に導入されて攪拌機25によ
り混合される槽である。この槽21は、槽内の処理液の
pHを検出するpHセンサ26と、このpHセンサ26
の検出値に基づき槽内の処理液のpH値を所定範囲に保
持すべく、pH調整液Yの導入量を制御するpHコント
ローラ27とを有する。
【0020】不溶化処理槽22は、吸着剤Xと十分混合
攪拌された排水が、吸着処理槽21から連続的に流入す
る構成とされ、また4価Seを不溶化する処理剤A(例
えばFeCl3またはFe2(SO43)と、pH調整液Y
とが連続的に導入されて攪拌機28により混合攪拌され
る槽である。この槽22にも、内部の処理液のpHを検
出するpHセンサ29と、このpHセンサ29の検出値
に基づき槽内の処理液のpH値を所定範囲に保持すべ
く、pH調整液Yの導入量を制御するpHコントローラ
30とが設けられている。なお、この不溶化処理槽22
内のpH値は、6価Seの吸着剤からの脱着を阻止しつ
つ4価Seの不溶化を促進するために、5〜9好ましく
は6〜8程度に制御するのが好ましい。凝集槽23は、
処理剤Aと十分混合攪拌された排水が、不溶化処理槽2
2から連続的に流入する構成とされ、また高分子凝集剤
Bが連続的に導入されて攪拌機31により混合攪拌され
る槽である。なお、高分子凝集剤Bは、微細な固形分粒
子をいわゆる架橋現象等により結合し、後述のシックナ
24において沈降分離しやすくするものである。シック
ナ24は、この場合集泥用のレーキ32を備え、凝集槽
23から導出された排水中の汚泥S(固形分)を濃縮し
て底面中心部から排出し、上部からの溢流による清澄液
(すなわち処理後排水W2)が排出される周知の機器で
ある。
【0021】この図2に示す装置では、所定のpH値と
された吸着処理槽21内において、排水中の6価Se及
び水銀が吸着剤に吸着される。なお、上述した生物体原
料からなる吸着剤は、後述するように6価Seに比して
4価Seの吸着能力がかなり低いので、ここでは4価Se
はほとんど吸着されず、ほとんどが液中(すなわち排水
中に)溶存したまま残留する。そして、不溶化処理槽2
2において、この排水中の4価Seが処理剤Aと以下の
反応式(1),(2)または(3),(4)で示される
反応を起こして亜セレン酸鉄(Fe2(SeO33)とな
り不溶化する。 FeCl3 → Fe3+ + 3Cl- (1) 2Fe3+ +3SeO3 2- → Fe2(SeO33 ↓ (2) または Fe2(SO43 → 2Fe3+ + 3SO4 2- (3) 2Fe3+ + 3SeO3 2- → Fe2(SeO33 ↓ (4)
【0022】このため、凝集槽23及びシックナ24の
機能により、吸着剤Xなどが混合された排水が固液分離
されると、排水中の6価Seも4価Seもさらには水銀
も、そのほとんどが固形分として汚泥S中に含まれて排
出され、排水中のこれら有害物の濃度は格段に低減され
る。すなわち、6価Seや水銀は、そのほとんどが吸着
剤に吸着され、吸着剤とともに固形分として分離され
る。なお、吸着剤の形態として液状化したものを用いた
場合でも、液状化した生物体原料が6価Seや水銀(H
g)と結付くことにより固相側に析出するので、最終的
にはそのほとんどが汚泥S中に含まれて排出される。ま
た、4価のSeも、上述した反応により亜セレン酸鉄と
して固相側に分離され、ほとんどが汚泥S中に不溶化さ
れて混入されることになる。
【0023】以上のような排水処理方法または排水処理
装置によれば、後述する実施例で実証されるように、従
来は除去不可能であった6価のSeを排水中から十分除
去して、前述した排水基準(0.1mg/l)を容易に
クリアすることができ、しかも、Hgの効果的な除去も
可能となる。このため、排水を多量に水で希釈するとい
った面倒でコストのかかる処理が不要となり、Seに関
する排水規制の遵守が容易かつ安価なコストで可能とな
る。また従来は、脱硫排水に規制値を越えるHgが含ま
れる場合、このHgをHgキレート搭に導き、このキレー
ト搭に装填されたキレート樹脂に吸着させることにより
行っていた。しかし、Hg用のキレート樹脂は、高濃度
のHgが流入すると吸着性能が短期間で低下してしまい
寿命が短いため、場合によっては頻繁に交換する必要が
あり、運転コスト増等の不具合を招いていた。ところ
が、本発明が脱硫排水の処理に適用されれば、上記生物
体原料による吸着作用により6価SeとともにHgをも除
去され、Hgキレート搭は不要となり、設備コスト及び
運転コストの低減が図れる。
【0024】なお、上述した生物体原料よりなる吸着剤
により、Se及びHgが吸着される原理については、必ず
しも明らかではないが、次のように考えられる。すなわ
ち、卵殻膜や羽毛、あるいは羊毛等を構成する蛋白質
は、分子間に架橋構造が存在し、化学的に非常に安定で
あり、また網目状の繊維で構成されているため、極めて
大きな比表面積を有する。また、この種の蛋白質には、
ペプチド骨格中のNHやC=O、側鎖中のNH3,CO
OH,OH,SH基が存在し、これら相互作用によって
適当なpHにおいて各種イオンの吸着能力を発揮する。
【0025】なお、本発明に使用する排水処理装置の形
態は、上記例に限られず、各種の態様が有り得る。例え
ば、図1に示す方式の場合には、排水の処理量に応じ
て、充填搭(接触処理搭)を更に多数設けてもよい。ま
た、固定床式に限られず、いわゆる流動床式の接触処理
搭を使用することもできる。また、図2に示す2番目の
方式においては、必ずしも不溶化処理槽22を設ける必
要はなく、未処理排水W1中の4価Se濃度が低い場合
等には、削除してもよい。また、固液分離手段として
は、凝集槽とシックナからなるものに限られず、例えば
凝集槽とシックナの機能が一体化されたいわゆる凝集沈
降装置や、ベルトフィルタの濾過器や、あるいは遠心沈
降機等を使用してもよい。また、図3に示すように、吸
着処理槽21が不溶化処理層22の後流側に設けられた
構成でもよい。また、4価Seを不溶化する処理剤とし
ては、FeCl3またはFe2(SO43の他に、キレート
剤(例えば、商品名:ミヨシ樹脂エポラス MX−7)
や、高分子重金属捕集剤(例えば、ミヨシ樹脂商品名:
エポフロック L−1)などを使用することができる。
【0026】また排水中にHgも含有される場合、本発
明の排水処理方法または排水処理装置の構成(上記生物
体原料を使用したもの)のみでも、後述する実験で実証
されるように、Hgの排水基準値を満足することは十分
可能であるが、この場合さらに非常用として後流側に従
来どおりのHgキレート搭を配備してもよい。このよう
にすれば、非常事態に対しても万全となり、しかもHg
キレート搭の負担が格段に低減されてHgキレート樹脂
の著しい長寿命化が実現できる。
【0027】
【実施例】なお、発明者らは、上記作用効果を実証する
ための各種実験を行っているので、以下にこれを説明す
る。 〈実験1〉実験1では、比較例1として、キレート剤に
よるSe除去試験を行った。ここでは、4価Se及び6価
Seを含む排水中に市販のキレート剤(キレート形成
基:−NH−CS2H,−SH)を50mg/lになる
よう添加するとともに、NaOHを添加することでpH
7程度になるように操作して、4価Se及び6価Seの除
去効果を調べた。その結果を表1に示す。4価Seはキ
レート剤により除去可能であるが、6価Seはほとんど
除去されず、6価Seの除去にはキレート剤はほとんど
効果がないことが分かる。
【0028】
【表1】
【0029】〈実験2〉次に実験2では、比較例2とし
て、FeCl3によるSe除去試験を行った。ここでは、4
価Se及び6価Seを含む排水中にFe3+が110mg/
lになるようにFeCl3を添加し、NaOHでpH7程度
になるよう操作して、4価Se及び6価Seの除去効果を
調べた。その結果を表2に示す。FeCl3は4価Seの除
去効果には有効であるが、6価Seの除去効果はほとん
ど見られなかった。
【0030】
【表2】
【0031】〈実験3〉次に実験3では、実施例1とし
て、生物体原料である卵殻膜を使用し、脱硫排水中の4
価Se及び6価Seの吸着除去試験を実施した。卵殻膜の
作成は、卵殻を5%HCl溶液に浸漬し、卵殻を構成す
る金属イオンであるカルシウムイオンを溶出して卵殻膜
を得た後、0.5NのNaOH洗浄及び蒸留水洗浄して
卵殻膜を作成した。この卵殻膜を用いて、脱硫排水中に
含まれる4価Se及び6価Seの吸着除去試験を表3に示
す条件で実施した。なお実験は、各pH毎に、上記卵殻
膜を脱硫排水を入れた容器に浸漬し所定時間攪拌するこ
とにより行い、液中の4価Se及び6価Seの濃度を分析
した。
【0032】
【表3】
【0033】図4に、本試験結果(各pH値に対するS
eの処理後濃度)をグラフ化したもの、すなわち卵殻膜
による4価Se及び6価Seの吸着除去性能に及ぼすpH
の影響を示す。この結果からも明らかなように、卵殻膜
はpH2〜8程度、好ましくはpH4〜6の範囲でSe
(4価Se及び6価Se)を吸着除去する性質を有する
が、特に6価Seに対する吸着除去性能が著し高い。こ
の6価Seは通常のキレート剤やFeCl3などでは前述し
たように除去処理が困難であり、卵殻膜により選択的に
6価Seが処理可能となれば、他方の4価SeはFeCl3
やキレート剤添加により容易に処理可能で、これらを組
合せることにより、全Se濃度を大幅に低減して排水基
準0.1mg/lを大きな裕度でクリアすることが可能
である。
【0034】〈実験4〉次に実験4では、実施例2とし
て、卵殻膜、羽毛、ウールの固形状または液状の生物体
原料を使用し流通式反応槽を用いて、脱硫排水中の6価
Seの除去試験を実施した。固形状の生物体原料の作成
は、卵殻膜については、前述したように鶏の卵殻を、ま
ず5wt%の塩酸溶液に約10時間程度浸漬し、炭酸カ
ルシウムを主成分とする卵殻を溶解させる。そして、残
った卵殻膜を蒸留水で洗浄してゴミなどを除去し、乾燥
後0.1N水酸化ナトリウム溶液で洗浄して卵白等を除
去すれば、後述するようにSeまたはHgの高い吸着能力
のある清浄な卵殻膜が得られる。次に、羽毛(この場合
鶏の羽毛)または羊毛は、例えば0.1N〜0.5Nの
水酸化ナトリウム溶液で洗浄して油分等を除去し、その
後蒸留水で洗浄すれば前処理が完了し、後述するように
SeまたはHgの高い吸着能力のある清浄な羽毛または羊
毛が得られる。次に、液状の生物体原料は、上述の前処
理が終了した卵殻膜や羽毛または羊毛を、30wt%の
水酸化ナトリウム溶液に常温で約20時間程度浸漬させ
ることにより、溶解させて作成した。なお、この際の溶
解量は、水酸化ナトリウム溶液が50ccに対して、生
物体原料が約5gである。
【0035】実験は、6価Se濃度が1.020mg/
lである25℃の脱硫排水を、20l/hrの流量で有
効容積20lの反応槽に連続的に導入し、200rpm
で攪拌した。そして、この反応槽中の生物体原料(固体
状あるいは液状)の濃度が固形物換算値として2g/l
となるように、生物体原料を添加するとともに、反応槽
のpHが所定範囲になるよう、H2SO4またはNaOH
を添加し、6価Seの除去試験を行った。反応槽を出た
排水をサンプリングし、1μmのグラスフィルタで濾過
後、濾液中の6価SeをSe水素化物−ICP分析方法で
分析した。その結果を表4に示す。従来除去処理が困難
であった排水中の6価Seが、各生物体原料によりpH
4〜6の範囲で特に著しく除去されていた。
【0036】
【表4】
【0037】〈実験5〉次に実験5では、上記生物体原
料の水銀Hg除去性能を実証した。すなわち、卵殻膜、
羽毛、ウールの生物体原料は6価Seを選択的に吸着除
去するばかりでなく、特に水銀Hgの吸着除去にも非常
に有効である。ここでは、卵殻膜を排水中に浸漬して、
Hgの除去試験を行った。結果を図5に、その試験条件
を表5に示すが、原排水中のHg濃度1.04mg/l
が3hr後には、排水基準値0.005mg/l以下と
なり、Hgの除去に卵殻膜の生物体原料は非常に効力を
発揮する。
【0038】
【表5】
【0039】
【発明の効果】請求項1記載の排水処理方法によれば、
卵殻膜,羽毛及び羊毛の中から選ばれた少なくとも一つ
の生物体原料からなる吸着剤に、排水を接触させること
により、排水中の少なくとも6価のSeを除去する。こ
れにより、従来困難とされていた6価のSeの効果的な
除去が可能となり、排水を多量の水で希釈するといった
面倒でコストのかかる処理を必要とすることなく、排水
中の少なくとも6価Se濃度を規制値以下にすることが
容易かつ低コストで実現できる。
【0040】請求項2記載の排水処理方法によれば、前
記除去処理の際に、排水を含む処理液のpHを2〜8好
ましくは4乃至6に調整する。処理液のpHが4乃至6
であると、6価Seの除去作用が著しく、6価Seを多量
に含有する排水であっても、より小規模な設備でより低
コストに排水の濃度を規制値以下にすることができる。
【0041】請求項3記載の排水処理方法によれば、前
記吸着剤として、前記生物体原料を固体状のまま使用す
る。このため、吸着剤を得るための原料の加工作業が簡
単になる。
【0042】請求項4記載の排水処理方法によれば、前
記吸着剤として、前記生物体原料を粉末状または液状に
したものを使用する。このため、吸着剤の保管や運搬、
あるいは装置への供給等の取扱いが容易となる。
【0043】請求項5記載の排水処理装置によれば、卵
殻膜,羽毛及び羊毛の中から選ばれた少なくとも一つの
生物体原料からなる吸着剤が固定状態に装填された固定
床式の接触処理搭において、排水と前記吸着剤が接触し
て、排水中から従来除去不可能であった6価のSeが除
去される。このため、排水を多量の水で希釈するといっ
た面倒でコストのかかる処理を必要とすることなく、排
水中の6価Se濃度を規制値以下にできる。
【0044】請求項6記載の排水処理装置によれば、卵
殻膜,羽毛及び羊毛の中から選ばれた少なくとも一つの
生物体原料からなる吸着剤と、処理しようとする排水と
が、吸着処理槽において混合されることにより、排水と
前記吸着剤が接触して、排水中から従来除去不可能であ
った6価のSeが前記吸着剤に吸着される。そして、6
価のSeを吸着した前記吸着剤は、固液分離手段におい
て固形分として排水中から分離除去される。このため、
排水を多量の水で希釈するといった面倒でコストのかか
る処理を必要とすることなく、排水中の6価のSe濃度
を規制値以下にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排水処理方法を実施する排水処理装置
の第1例を示す図である。
【図2】本発明の排水処理方法を実施する排水処理装置
の第2例を示す図である。
【図3】本発明の排水処理方法を実施する排水処理装置
の第3例を示す図である。
【図4】本発明の排水処理方法のSe除去効果を実証す
る実験3の結果を示す図である。
【図5】本発明の排水処理方法のHg除去効果を実証す
る実験5の結果を示す図である。
【符号の説明】
4,5 充填搭(接触処理搭) 4a,5a 吸着剤 21 吸着処理槽 23 凝集槽(固液分離手段) 24 シックナ(固液分離手段) W1 未処理排水 W2 処理済排水 X 吸着剤 Y pH調整液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 雅人 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社 広島研究所内 (72)発明者 木下 達之 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社 広島研究所内 (72)発明者 沖野 進 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社 広島研究所内 (72)発明者 春木 隆 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社 広島研究所内 (72)発明者 木村 和明 東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三菱重工業株式会社内 (72)発明者 越智 英次 東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三菱重工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−24207(JP,A) 実開 昭51−141969(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/28 C02F 1/58 B01D 15/00 - 15/08 B01J 20/00 - 20/34

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 卵殻膜、羽毛及び羊毛の中から選ばれた
    少なくとも一つの生物体原料からなる吸着剤に、排水を
    接触させることにより、排水中の少なくとも6価のSe
    を除去することを特徴とする排水処理方法。
  2. 【請求項2】 前記除去処理の際に、排水を含む処理液
    のpHを2〜8に調整することを特徴とする請求項1記
    載の排水処理方法。
  3. 【請求項3】 前記吸着剤として、前記生物体原料を固
    体状のまま使用することを特徴とする請求項1または2
    記載の排水処理方法。
  4. 【請求項4】 前記吸着剤として、前記生物体原料を粉
    末状又は液状にしたものを使用することを特徴とする請
    求項1または2記載の排水処理方法。
  5. 【請求項5】 排水中から少なくとも6価のSeを除去
    する排水処理装置であって、卵殻膜,羽毛及び羊毛の中
    から選ばれた少なくとも一つの生物体原料からなる吸着
    剤が固定状態に装填され、処理しようとする排水が通過
    する構成とされた固定床式の接触処理搭を備えたことを
    特徴とする排水処理装置。
  6. 【請求項6】 排水中から少なくとも6価のSeを除去
    する排水処理装置であって、卵殻膜,羽毛及び羊毛の中
    から選ばれた少なくとも一つの生物体原料からなる吸着
    剤と、処理しようとする排水とが導入されて混合される
    吸着処理槽と、この吸着処理槽から導出される前記吸着
    剤を含んだ排水中から固形分を除去する固液分離手段と
    を備えたことを特徴とする排水処理装置。
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