JP3301812B2 - 受波型圧電素子 - Google Patents

受波型圧電素子

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JP3301812B2
JP3301812B2 JP07500993A JP7500993A JP3301812B2 JP 3301812 B2 JP3301812 B2 JP 3301812B2 JP 07500993 A JP07500993 A JP 07500993A JP 7500993 A JP7500993 A JP 7500993A JP 3301812 B2 JP3301812 B2 JP 3301812B2
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謙一 中村
卓 佐藤
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呉羽化学工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、音波の受信感度を高め
た受波型圧電素子に関する。
【0002】
【従来の技術】空気中または気体中を伝播する音波を受
信すべく通常はこれら媒体中に置かれて使用されるマイ
クロホン、ならびに水中または液体中を伝播する音波を
受信すべく通常はこれら媒体中に置かれて使用されるハ
イドロホン等の受波型圧電素子が知られている。
【0003】これら圧電素子における音波の受信感度
は、圧電素子の大きさが音波の波長に比べて十分小さい
場合には、静水圧圧電ひずみ定数(dh定数)によって
表現され、当然dh定数が大きい程感度が優れる。
【0004】一方、dh定数を展開すると次の一般式
(1)が得られる。
【0005】 dh=d31+d32+d33 (1) ここでd33は静水圧による分極方向の収縮膨張に基づく
成分であり、一般にフィルム状、シート状または板状圧
電体の厚み方向(面間隔が最も狭いという意味で)とさ
れる場合が多いが、ある程度の厚みがある上記圧電体を
積層して得られた積層圧電体においては厚さと直交する
方向に分極方向をとることもできる。他方、d31および
32は、それぞれ上記分極方向(すなわちd33)と直交
する二方向の膨張・収縮に基づく成分である。さらにポ
リマー系圧電体およびセラミック系圧電体を含めて、多
くの圧電体において、次の関係式(2)、(3)が成り
立つ。
【0006】 d31>0、d32>0、d33<0またはd31<0、d32<0、d33>0 (2) |d33|>|d31+d32| (3) また、なかには、以下の関係式(4)、(5)を有する
ものも知られている。
【0007】 d31<0、d32<0、d33>0 (4) |d33|≒|d31+d32| (5) 従来、上述の関係式は知られていたが、これは一定の条
件下で圧電特性を付与された圧電体に固有の特性と捉え
られており、これを素子の構造面から捉えて圧電素子の
感度向上に結び付けた例は見られない。たかだか、
31、d32定数に関係する屈曲変形によるノイズ発生の
低減が試みられている程度である(例えば、特開平3−
11900号公報)。
【0008】
【発明が解決すべき課題】本発明の目的は、一定の圧電
体からより高い感度の受波型圧電素子を実現することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の目
的で研究している過程で、上記(2)式あるいは(4)
式のように、dh定数の分極方向成分d33と、これと直
交する方向の2成分d31およびd32の符号が多くの場合
に逆であることに着目した。そして、圧電体に対し、特
定の一方向ないし二方向の成分の寄与を優先的に低下さ
せる(ゼロに近づける)ことにより、残る二方向ないし
一方向成分の寄与を選択的に取り出すことにより、全体
としてdh定数の増大が計れるのではないかとの着想を
もち、更にその効果を確認することができた。すなわ
ち、例えば厚さ方向に分極方向を有し、上記(2)、
(3)式の関係を有するポリマー圧電体またはセラミッ
ク系圧電体においては、圧電体側面に入射する音波を優
先的に遮断することにより、即ち圧電体の主たる表面
(表裏面)への音波の入射を実質的に妨げることなく側
面への音波の入射を遮断することにより、構造的にd31
およびd32成分の寄与を低下させることが可能であり、
これによりdh定数の成分のうちd33の成分の寄与のみ
またはそれに近い、高感度を有する受波型圧電素子が実
現できることが見出された。
【0010】また、上記(4)、(5)式の関係を有す
る例えばセラミック系圧電体において、厚さ方向に垂直
な方向を分極方向(d33方向)とし、厚さ方向を含むd
31方向成分および/またはd32方向成分の寄与は不変と
し、残るd33方向成分(またはd33方向成分とd31方向
成分およびd32方向成分のいずれか)の寄与を低下させ
ることによってもdh定数の見掛け上有意な増加を得ら
れる場合があることも見出された。
【0011】すなわち、本発明の受波型圧電素子は、あ
る厚さを挾む二表面と該二表面にほぼ直交する側面を有
する圧電体の該側面に対向し、且つ前記二表面への音波
の入射を実質的に妨げないように、入射する音波の音圧
によっては実質的に変形しない程度の剛性を有する音圧
遮断部材を配置することによって、前記圧電体の側面へ
の音圧の入射を優先的に遮断してなり、且つ前記音圧遮
断部材の前記圧電体側面との対向面が、前記圧電体側面
から離間して前記圧電体側面とともに内部空間を区画
し、該内部空間に気体を封入してなることを特徴とする
ものである。
【0012】本発明は、上記(1)〜(5)式で示され
る場合のように圧電定数成分d31〜d33のうち一成分が
他の二成分と異符号の場合に有効であり、特にそれらの
大小関係が側面方向への音波の優先的遮断によりdh
数の見掛けで10%以上、特に50%以上の増加を許す
場合に適用することが好ましい(なかには、チタン酸バ
リウムのようにd31>0、d32>0、d33>0となり、
全部符号が同じである場合もあるが、このような場合、
本発明は有効でない)。
【0013】本発明の圧電体としては、上記条件を満た
す限り、ポリマー系圧電体の他に例えばPZT等のセラ
ミック系圧電体が好適に用いられる。しかし、圧電体と
音波伝播媒体との固有音響インピーダンス(以下、単に
「音響インピーダンス」という)の関係で音波の反射が
少ない(音響透過性が良い)ことから、ハイドロホンと
してはポリマー系圧電体が好ましく用いられる。また、
圧電体の形状は、板状、筒状あるいはブロック状など、
要するにある厚さを挾む二つの表面とそれにほぼ直交す
る側面を有する形状であれば良い。
【0014】ポリマー系圧電体としては、比較的高い耐
熱性を有するシアン化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体
が好適に用いられるほか、優れた圧電特性のフッ化ビニ
リデン系樹脂圧電体が好ましく、なかでも圧電性発現に
適したβ型結晶化のために一軸延伸の必要なフッ化ビニ
リデン(VDF)単独重合体に比べて、通常の結晶条件
化でβ型結晶化の可能なVDF系共重合体(例えば優位
量のVDFと劣位量のフッ化ビニル(VF)、トリフル
オロエチレン(TrFE)あるいはテトラフルオロエチ
レン(TFE)との共重合体)が好ましく、更には優位
量(特に70〜80モル%)のVDFと劣位量(特に3
0〜20モル%)のTrFEとの共重合体がもっとも好
ましく用いられる。
【0015】これらポリマー圧電材料は、溶融押出等に
より成膜後、必要に応じて一軸延伸あるいは軟化温度以
下での熱処理、軟化温度以下での電界印加により分極処
理に付されて、フィルムないしシートとして形成され
る。本発明に用いられるポリマー系圧電体は、その厚み
に特に制限はないが、本発明の効果を容易に利用し得る
という観点に立てば200〜2000μm(2mm)程
度で供給される。また、上述のフィルムまたはシートを
単層で用いることができるほか、分極方向を同一とし
て、あるいは中間電極層を介して逆方向に積層して、例
えば2〜20層程度の積層体として用いられる。
【0016】本発明の音圧遮断部材は、圧電体側面への
音波の入射は有効に遮断し得るが、圧電体表面への音波
の入射を実質的に妨げない構成とされる。また、該部材
は圧電体の厚さ方向の変形が妨げられないように配設さ
れるのが好ましい。具体的には、上記構成は音波伝播媒
体が存在しない真空領域、音波吸収材或いは音波反射材
のいずれかまたはそれらの組合せを、圧電体側面に対向
して、好ましくは圧電体側面に加えて表面の周縁部にも
対向して形成または配置することによって達成される。
音圧遮断部材は、圧電体の全側面に設けられずとも、一
部側面だけであっても良い。
【0017】なお、音波吸収材或いは音波反射材を含む
本発明の音圧遮断部材は、入射する音波の音圧によって
は実質的に変形しない程度以上の剛性を有するものとす
る。なぜならば、特に低周波数の音波の場合に、音圧遮
断部材が変形すると、直接的にまたは後述する内部空間
内の圧力が変動することにより間接的に、圧電体に面方
向の変形を生じさせる応力が作用するからである。
【0018】また、本発明によれば、音圧遮断部材は、
圧電体側面との対向面が圧電体側面から離間して前記圧
電体側面と共に気密な内部空間を区画し、該内部空間に
気体を封入した構成とされる。
【0019】音響インピーダンスが、それぞれZ1とZ2
である二つの媒質を音波が通過する際の音圧反射率Rp
に関しては、Rp=|(Z2−Z1)/(Z1+Z2)|の
関係があることは知られており、本発明の音波反射材と
して機能する音波遮断部材はこの関係式に基づいて、適
宜選択し得る。一般に音波伝播媒体に対して、10倍以
上、特に100倍以上、あるいは1/10以下、特に1
/1000以下、の音響インピーダンスを有する材料が
有効な音波反射材料として使用し得る。なお、いくつか
の材料についての音響インピーダンスZの値(常温)を
以下にまとめて示す。
【0020】 空気(1気圧、20℃):41.5μbar・sec/cm 水(1気圧、17℃):14.3×104μbar・sec/cm P(VDF/TrFE):45×104μbar・sec/cm 樹脂類:40〜50×104μbar・sec/cm Al:1.69×106μbar・sec/cm Cu:4.18×106μbar・sec/cm PZT圧電体:34.8×105μbar・sec/cm 上記代表値を見れば、音波反射材としては、ハイドロホ
ンでは気体、金属材料または磁器材料が、マイクロホン
では金属材料、磁器材料、樹脂材料または液状物質が好
適に用いられることが理解できよう。
【0021】
【実施例】以下、本発明の受波型圧電素子を実施例につ
いて、図面を参照しつつ説明する。図面中、異なる実施
例について付した同一の符号は同様な部分を示す。
【0022】図1は、ハイドロホンとして構成された本
発明の受波型圧電素子の一実施例の厚さ方向断面図であ
り、(a)は常態での基本的形状を、(b)は音波を受
けている状態を示す。図1(a)を参照して、このハイ
ドロホン10は、ある厚さtを挾む主たる二表面1aお
よび1bとこれら二表面にほぼ直交する側面1cを有
し、二表面と直交する厚さ方向に分極pを有するポリマ
ー系圧電体シート1(その平面形状は矩形または円形
等、任意である)を、中央に窓8を有する一対の剛性板
材2a、2bで挾持し、更に圧電体シート1の側面1c
と対向する内面3aを有する剛性の枠体3内にそれらを
収容してなる。窓8は、圧電体シート1の表面1a、1
bの寸法よりも全方位で小さく形成されており、圧電体
シート1はその表面1a、1bの周縁部1dにおいての
み、剛性板材2a、2bで挾持されており、そこで両者
は接着固定されている。
【0023】圧電体シート1の側面1cと枠体3の内面
3aおよび剛性板材2a、2bに囲まれて内部空間6が
形成されており、被覆部材4が、内部空間6を気密に保
つため、枠体3と剛性板材2a、2bの接合部位を覆っ
て設けられる。この例では内部空間6には空気が封入さ
れている。
【0024】また、剛性板材2a、2bの窓8に対応す
る圧電体シート1表面には、電極7a、7bが、更にそ
の上には電極の電気絶縁を確保するためにシール材5が
形成されている。被覆部材4とシール材5は柔軟な樹脂
材料で形成されている。
【0025】図示のハイドロホン10は、音波反射材に
より本発明の音圧遮断部材を構成した例であり、剛性板
材2a、2b、枠体3および内部空間6が該音圧遮断部
材に相当する。勿論、剛性板材2a、2bおよび/また
は枠体3を音波反射材である磁器や金属素材で形成して
も良いが、ハイドロホンにあっては気体層も非常に優れ
た音波反射能を有しているので、剛性板材2a、2bお
よび枠体3は樹脂素材等で形成し、内部空間6を音波反
射材として機能させることでも良い。
【0026】上述のように、圧電体側面への音波の入射
は内部空間6などにより有効に遮断されるが、圧電体表
面に入射した音波はシール材層5および電極層7a、7
bを透過して圧電体シート1の上下面に直接音圧を及ぼ
す構成のハイドロホン10が得られる。なお、シール材
5および電極7a、7bは、それぞれ樹脂材料および導
電材料の中から、周囲の音波伝播媒体に対して音響イン
ピーダンスの差がそれ程大きくなく音響透過性の比較的
良いものを選ぶことができる。また、上記音圧遮断部材
は、音波の圧電体シート表面1a、1bへの入射による
圧電体シート1の厚さt方向への変形を阻害しない構造
となっている。即ち、等方性音圧を受けてハイドロホン
10が変形した時の状態として図1(b)に示すよう
に、剛性板材2a、2bが圧電体シート1の変形に対応
して枠体3との接触面3bで摺動するようになってい
る。音圧遮断部材を設けることによって圧電体シート1
の厚さt方向の変形が妨げられることは好ましくない。
なぜならば、音圧遮断部材の存在によってd31およびd
32成分の寄与が減少した分、変形が阻害されてd33成分
の絶対値が低下しては意味がないからである。
【0027】このようにして、ハイドロホン10に等方
的に印加される音圧は、d33成分に相当する圧電体シー
ト1の厚さt方向の収縮には有効に働くが、d31および
32成分に相当する側面への音圧印加が優先的に遮断さ
れて、dh定数への負の寄与分が低減されるだけ全体と
して高感度化が図られる。図1(a)のように、剛性板
材2a、2bが圧電体シート1に接着固定されている場
合には、剛性板材2a、2bの剛性は、音圧によって面
方向に実質的に変形しない程度以上(圧電体の面方向変
形よりも小さい)であることが好ましい。
【0028】図2は、ハイドロホンとして構成した本発
明の受波型圧電素子の他の実施例の厚さ方向断面図であ
る。このハイドロホン20は、重ね合わせによって本発
明の内部空間6となる凹所が形成される一対の窓8付き
の剛性枠材13a、13bと、その主たる二表面1a、
1b上に電極7a、7bが設けられたポリマー系圧電体
シート1とからなる。そして、図示のように圧電体シー
ト1の周縁部1dは、該凹所に収容され、前記二表面1
a、1bの中央部は窓8に対向している。
【0029】一方、窓8には柔軟な樹脂材料からなるシ
ール材5が充填されており、剛性枠材13a、13bと
の境界面13cの接着固定と相挨って、空気が封入され
た内部空間6としての凹所は気密に保たれている。さら
に、ハイドロホン20は、凹所の厚さd1を圧電体シー
ト1の厚さよりも大きく形成することによって、音波の
圧電体シート表面1a、1bへの入射による圧電体シー
ト1の厚さ方向への変形が妨げられない構造となってい
る。ハイドロホン20は、音波反射材により本発明の音
圧遮断部材を構成した例であり、剛性枠材13a、13
bおよび内部空間6が該音圧遮断部材に相当する。電極
7a、7bには、電気出力を取り出すためのリード線1
2が接続される。なお、図1等の他の実施例では、この
リード線12の図示は省略されている。
【0030】上記図1〜図2の実施例では、電極7a、
7bは窓8内に部分的に設けられているが、圧電体表面
の全面に形成されていても良い。さらに、内部空間6に
は空気などの気体が封入される。さらに、圧電体の分極
方向をその厚さ方向に垂直な方向とし、圧電体の側面に
対向して一対の電極を設けた構成の圧電素子を用いて、
本発明の受波型圧電素子を形成しても良い。また、音圧
遮断部材は、実施例のように圧電体の全側面に配置され
ずとも、一部側面にだけ設けられても良い。
【0031】電極7a、7bとしては、公知の蒸着電極
や接着剤で貼付された箔電極の他、特願平3−3566
8号の明細書に記載のような金属溶射電極や特願平4−
158844号の明細書に記載のような圧電体の表層に
埋入された多孔シート状電極が好適に用いられる。
【0032】被覆部材4、シール材5等を構成する柔軟
な樹脂材料は、電気絶縁性、圧電体の厚さ方向への変形
を阻害しないこと、内部空間を密封する作用(シール
性)などの観点から選ばれるのが良く、例示すればシリ
コーンゴム、ウレタンゴム、フロロプレンゴム、ブチル
ゴムなどのエラストマー樹脂またはその接着剤である。
また、上述の剛性板材2a、2b、枠体3、剛性枠材1
3a、13bなどの剛性の程度は、それらが入射する音
波の音圧によっては実質的に変形することがない程度で
あることが好ましい。なぜならば、音圧遮断部材が変形
すると、直接的にまたは内部空間内の圧力が変動するこ
とにより間接的に、圧電体に面方向の変形を生じさせる
応力が圧電体に作用するからである。従って、柔軟な音
圧遮断部材を選択した時には、剛性のある補強部材で裏
打ちすることが好ましい。
【0033】
【製造例】以下、本発明の受波型圧電素子の製造例およ
び比較製造例を説明する。
【0034】製造した素子試料片およびハイドロホンに
ついては、以下の方法で静水圧圧電ひずみ定数(dh
数)を測定して求めた。耐圧容器に入れたシリコン油等
の絶縁性液体中に試料を浸漬し、容器に窒素ガス源から
圧力P(ニュートン(N)/m2)を加えながら試料の
電荷量Q(クーロン(C))を測定する。そして、ゲー
ジ圧2kg/cm2近辺での圧力上昇dPに対する電荷
の増加量dQを得、下式で計算した: dh=(dQ/dP)/A (6) 単位は、C/Nである。ここで、Aは電極面積(m2
である。
【0035】さらに、測定用試料片のd31およびd32
数は、以下の方法で測定して求めた。すなわち、動的粘
弾性・圧電性測定装置(レオログラフ・ソリッド、
(株)東洋精機製作所製)を用い、試料片を長さ方向に
クランプ距離18mmでクランプした。クランプの一方
(固定側)はロードセルに、他方(移動側)は該測定装
置の加振機に接続した。まず、試料片に0.35kgの
静止荷重をかけ、続いて加振機により周波数0.8Hz
の微小変位振動を重畳・印加した。そして、試料片の電
極間に誘起される電荷量の変動値ΔQ(C)とロードセ
ルによる単位断面積あたりの張力の変動値ΔT(N/m
2)を得、下式で計算した; d31またはd32=(ΔQ/ΔT)/A (7) 単位はC/Nである。
【0036】比較例1 以下のようにして図2に示す構造のハイドロホンに用い
る両面に電極7a、7bを有する圧電体シート1を製造
した。
【0037】まず、VDF/TrFE(75/25モル
比)共重合体(呉羽化学工業製)をダイス温度265℃
でシート押出しし、125℃で13時間の熱処理後、7
5MV/mの電界下、123℃での保持時間5分、昇降
時間を含めて全1時間の分極処理を行ない、厚さ1mm
のポリマー圧電体シートを得た。
【0038】次いで、該シートから直径35mmφの円
形のシート1を切り出し、その両面に直径22mmφと
26mmφの銅箔(厚さ各70μm)を中心を合わせて
ポリエステル系接着剤で貼付して電極7a、7bとし
た。そして、電極にそれぞれリード線12を接続して、
音圧遮断部材を取り付ける前の圧電素子を得た。この圧
電素子のdh定数は、−11.6pC/Nであった。
【0039】比較例2 比較例1で得られたポリマー圧電体シートの両面に厚さ
0.03μmでアルミニウム蒸着膜を形成し、それから
幅5mm、長さ25mmの短冊状シートを切り出し、d
31およびd32測定用の試料片とした。短冊状シートは、
その長手方向が圧電体シートのマシン方向(MD)に平
行(d31方向)或いは垂直(d32方向)となるように、
それぞれ切り出し、二種類の試料片を用意した。この試
料片のd31定数は+12.9pC/N、d32定数は+1
2.6pC/Nであった。
【0040】実施例1 以下のようにして実質的に図2に示す構造のハイドロホ
ンを得た。すなわち、窓8の直径30mmφ、外径50
mmφである黄銅製の一対の剛性枠材13a、13b
(d2=3mm)の凹所となるべき位置に、比較例1で
得られたのと同様な圧電素子の周縁部1dを収容して、
剛性枠材13a、13bを重ね合わせて重合面13cを
エポキシ樹脂接着剤で接着した。続いて、窓8内にシリ
コーンゴム接着剤5を流し込み、電極面の被覆を行っ
た。黄銅性剛性枠材13bには深さ1.5mm、巾(奥
行き)5mmの凹所が形成されており、密着後空気を密
封した内部空間6が形成された。得られた圧電素子(ハ
イドロホン)のdh定数は、−43.3pC/Nであっ
た。
【0041】上述の圧電定数の測定結果の中で、比較例
2におけるd31およびd32定数の値は、厳密には参考値
として考えられるべきものである。なぜならば、比較例
2の測定方法、測定条件および測定試料準備は、実施例
1や比較例1のそれとまったく同一ではないからであ
る。
【0042】しかし、上述の一般式(1)に基づき、比
較例1と比較例2で求められたd定数から計算されるd
33定数は、d33=dh−(d31+d32)=−37.1p
C/Nであり、実施例1のdh定数とは若干の差はある
ものの極めて近似した値を示した。
【0043】結局のところ、主に測定方法や測定試料準
備などの違いによると思われる若干の差や参考値である
ことを考慮しても、圧電体の厚さ方向の変形は阻害せ
ず、設けられる音圧遮断部材が変形することによる影響
も含めて圧電体の面方向の変形は効果的に抑制するよう
に、音圧遮断部材を注意深く設計・配置すれば、dh
数へのd31およびd32の負の寄与を限りなくゼロに近付
けることができ、結果として、このような配慮をしない
比較例1の素子におけるdh定数=−11.6pC/N
に比べて、見掛けdh定数を著しく増加できたことは理
解できよう。
【0044】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、ある
厚さを有する圧電体の厚さ方向側面への音圧の入射を、
音圧遮断部材を配置して、優先的に遮断することによ
り、dh定数の増大で代表される感度特性の増大した受
波型圧電素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)ハイドロホンとして構成された本発明の
受波型圧電素子の一実施例の厚さ方向断面図、(b)は
その動作状態図。
【図2】ハイドロホンとして構成された本発明の受波型
圧電素子の他の実施例の厚さ方向断面図。
【符号の説明】
1、11、21:圧電体シート 2a、2b:剛性板材 3、13a、13b:剛性枠体 4:被覆枠 5:シール材 6:内部空間 7a、7b:電極 8:素子窓部 12:リード線 10、20:ハイドロホン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04R 17/00 330 H04R 1/44 320 H04R 1/44 330

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ある厚さを挾む二表面と該二表面にほぼ
    直交する側面を有する圧電体の該側面に対向し、且つ前
    記二表面への音波の入射を実質的に妨げないように、入
    射する音波の音圧によっては実質的に変形しない程度の
    剛性を有する音圧遮断部材を配置することによって、前
    記圧電体の側面への音圧の入射を優先的に遮断してな
    り、且つ前記音圧遮断部材の前記圧電体側面との対向面
    が、前記圧電体側面から離間して前記圧電体側面ととも
    に内部空間を区画し、該内部空間に気体を封入してなる
    ことを特徴とする受波型圧電素子。
  2. 【請求項2】 圧電体がその厚さ方向を分極方向とさ
    れ、前記二表面に電極が設けられている請求項1に記載
    の受波型圧電素子。
  3. 【請求項3】 前記音圧遮断部材が、圧電体の前記二表
    面の周縁部にも対向して設けられている請求項1または
    2に記載の受波型圧電素子。
  4. 【請求項4】 前記音圧遮断部材が、音波反射材からな
    る請求項1〜3のいずれかに記載の受波型圧電素子。
  5. 【請求項5】 前記圧電体がポリマー系圧電体であり、
    液体中を伝播する音波を受信するハイドロホンとして機
    能する請求項1〜4のいずれかに記載の受波型圧電素
    子。
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