JP3301385B2 - 格子状磁性膜並びにこれを用いた磁気記録媒体及び磁気抵抗効果素子 - Google Patents

格子状磁性膜並びにこれを用いた磁気記録媒体及び磁気抵抗効果素子

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高感度の磁気ヘッ
ドや高密度の磁気記録媒体を実現可能とする格子状磁性
膜に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の磁気テープや磁気ディスクでは、
針状の細長い強磁性体がベースフィルム上の走査方向に
沿って長手方向に塗布してあり、記憶媒体上の単位体積
あたりの磁極数によって記録密度が決定される。このよ
うな従来の長手記録方式では、磁極の位置やサイズが不
規則(ランダム)であり、記録密度や保磁力等の磁化特
性が材料の特性で規定されていた。また、針状粒子がラ
ンダムな方向を向くため、磁化容易方向と磁化困難軸方
向とが同一平面上においてランダムに混在していた。更
に、従来技術では、磁壁の移動に基づく磁化反転機構の
みを利用して、磁場変化を検出するという手法が採られ
ていた。
【0003】また、磁気抵抗効果素子は、これまでに磁
気センサや磁気ヘッド等に利用されている。更に、昨近
にあっては、鉄とクロムとの多層膜人工格子によって巨
大な磁気抵抗効果(GMR)が生じることが発見され、
その効果を応用する技術が注目されている。このGMR
を用いた磁気抵抗効果素子としては、従来より、イ)強
結合型GMR素子、ロ)弱結合型GMR素子、ハ)非結
合型GMR素子、ニ)スピントンネル素子、ホ)グラニ
ュラー型素子、がある。以下、これらについて順次説明
する。
【0004】イ)強結合型GMR素子
【0005】強結合型GMR素子の代表的な構造は、膜
厚数〔nm〕の強磁性金属膜と非磁性層膜(例えばC
r) とを交互に周期的に多層積層したものである。強い
印加磁場の下で、Crを隔てた上下の強磁性層内のスピ
ンが平行のときは、電子に対するスピン散乱は減少し磁
気抵抗は低くなる。逆に印加磁場が弱く、上下の強磁性
層のスピンが反平行となるときは、磁気抵抗は高い値を
とる。
【0006】磁気抵抗の測定法にあっては、電流を膜に
平行に流して測定する場合(CIP)と、垂直に流す場
合(CPP)の二通りがある。一般には、CPPの方が
CIPよりも、スピン散乱の頻度が高く、磁気抵抗比も
高い。
【0007】強結合型GMR素子の磁気抵抗比は、一般
に低温で100 〔%〕以上と高いが、それは‘0’〔O
e〕での抵抗と、約10000 〜20000 〔Oe〕での抵抗と
の比の値である。しかし、単位磁場あたりの磁気抵抗比
は、0.01〔%/Oe〕程度で、それほど感度はよくな
い。また、感度は低磁場領域から高磁場領域にわたって
ほぼ一様である。そして、この場合の磁気抵抗曲線は、
零磁場付近に1つのピークを持つ1重ピーク構造である
(図10参照)。
【0008】ロ)弱結合型GMR素子
【0009】弱結合型GMR素子は、前述した強結合型
の構造と類似しているが、非強磁性層が強結合型のそれ
よりも厚く、強磁性層間の相互作用が弱くなっている。
弱結合型GMR素子の磁気特性にはヒステリシス特性が
見られ、磁気抵抗曲線は低磁場近傍で二重のピーク構造
を形成している(図11参照)。
【0010】ハ)非結合型GMR素子
【0011】非結合型GMR素子は、保磁力の異なった
二種類の磁性材料を含むもので、例えば〔(膜厚5〔n
m〕のCu)/(膜厚3〔nm〕のCo)/(膜厚5
〔nm〕のCu)/(膜厚3〔nm〕のNiFe)〕×
15層構造のように、保磁力の小さいNiFe(パーマロ
イ)層と保磁力の大きいCo層とを含んでいる。パーマ
ロイは低磁場領域で磁化反転し、そのM−H曲線は図1
2に示すようにくびれ構造をとる。そして、非結合型G
MR素子の磁気抵抗特性は、この磁化の変化を反映して
低磁場で大きな抵抗の変化が生じる。
【0012】ニ)スピントンネル素子
【0013】スピントンネル素子は、例えば「Ni−N
iO−Co」や「Ni−NiO−Ni」に見られるよう
に、強磁性金属層を絶縁体膜で隔てた構造を採ってい
る。磁気抵抗効果を利用する場合、一般にはこの膜面に
垂直方向に電流を流す。しかし、この素子構造の場合、
素子の膜厚長に比べ膜面方向のサイズがかなり大きくな
っている。そのため、小さい抵抗を測定しなければなら
ず、測定もやや難しい。また、一様に薄い絶縁膜を再現
性よく作製する必要がある。
【0014】ホ)グラニュラー型素子
【0015】グラニュラー型素子は、銀や銅などの非強
磁性金属中に、鉄やコバルトなどの強磁性粒子が析出し
ている構造である。弱磁場領域では、個々の粒子の磁化
は、ランダムな方位を向いており、粒子径が10〔nm〕
程度以下の粒子では、超常磁性状態(ヒステリシスが近
似的に「0」)となっている。しかし、数千〔Oe〕程
度の磁場を印加すれば、スピンは整列し磁化は飽和す
る。磁気抵抗比はCo16Cu84の場合で約8〔%〕、磁
場感度は0.001 〔%/Oe〕である。この感度は、強結
合型GMR素子に比べると1桁小さい。また、保磁力等
の磁化特性も、現時点では、まだ十分制御できる段階で
はない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、強
(弱)結合型GMR素子においては、強磁性体のスピン
がそろって磁気抵抗が最小になる磁場と、強磁性体の磁
気モーメントの総和が近似的に0で磁気抵抗が最大にな
る磁場との差が10000 〜20000 〔Oe〕程度であり、ま
た低磁場領域における磁場感度が低い。更に、これらの
GMR素子の保磁力、飽和磁化、強磁性粒子の磁区構造
を、材料パラメータとはある程度独立に、精密に制御す
ることは困難であった。また、針状磁区がランダムな方
向を向くために磁化容易軸方向と磁化困難軸方向とに不
確定性の幅があり、理想的な感度がなかなか得られなか
った。
【0017】グラニュラ型素子では、高い保磁力を持つ
ことが実験で観測されている。しかし、グラニュラ型素
子も、強(弱)結合型GMR素子と同様、磁区構造や磁
気特性を制御して所望の素子を実現することはできな
い。
【0018】すなわち、いずれの素子にも、特に低磁場
における磁場感度の向上が望まれている。更なる課題
は、保磁力、飽和磁化、磁区の構造等、磁気特性に密接
に関連する素子特性パラメータを、ある程度独立に制御
することである。
【0019】
【発明の目的】そこで、本発明の目的は、高感度の磁気
ヘッドや高密度の磁気記録媒体を実現できる磁性膜を提
供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者は、GMR多層
膜で形成された多数の磁性細線を格子状に配設し、その
形状、大きさ、材質等を変えることにより、従来技術で
は得られない種々の磁気特性が得られることを発見し
た。本発明は、この知見に基づいてなされたものであ
る。すなわち、本発明に係る格子状磁性膜は、GMR多
層膜で形成された多数の磁性細線が、第一の方向に伸び
るとともに、この第一の方向に交差する第二の方向にも
伸びてなるものである。しかも、この格子状磁性膜全体
の電気抵抗を測定するための電極が設けられたものであ
る。ここで、磁性細線の形状や大きさ、格子の形状や大
きさ、磁性細線の材料や層構造を意図的に制御すること
により、磁区構造(単磁区構造、磁壁移動構造)、飽和
磁化値、磁気抵抗比、抗磁力等の磁気特性を制御するこ
とができる。
【0021】この格子状磁性膜を磁気記録媒体として用
いる場合、従来の長手記録方式では対のS極及びN極が
同一平面上にあるので、記録密度の向上には限界があ
る。そこで、磁気記録媒体としての密度をさらに増加す
るためには、個々の磁性細線が多数の低次元(単磁区)
構造又は垂直磁化構造をとることが望ましい。また、磁
性細線に短周期のくびれ構造を形成することにより、多
数の単磁区領域が形成されるので、高密度な磁気記録媒
体を実現できる。
【0022】この格子状磁性膜を磁気抵抗効果素子とし
て用いる場合、磁性細線をGMR多層膜で構成すること
により、非強磁性体で隔てられた強磁性層間の結合力や
スピン散乱の頻度を任意に制御することができるので、
磁気抵抗効果素子としての感度を増大できる。
【0023】
【発明の実施の形態】図1及び図2は本発明に係る格子
状磁性膜の第一実施形態を示し、図1は部分平面図、図
2は図1におけるII−II線縦断面図である。以下、この
図面に基づき説明する。
【0024】本実施形態の格子状磁性膜10は、第一の
方向12Xに伸びる多数の磁性細線12と、第一の方向
12Xに交差する第二の方向14Yに伸びる多数の磁性
細線14とからなる。磁性細線12,14は、磁性材料
からなり、SiO2 膜16付きのSi基板18上に形成
されている。磁性細線12,14の形状、膜厚、幅、材
料、層構造、格子の形状や大きさを任意に選択すること
により、多様な磁気特性が得られるので、高密度の磁気
記録媒体や高感度の磁気抵抗効果素子を実現できる。な
お、磁性細線12,14の数は、図1及び図2では便宜
上5本ずつになっているが、実際には極めて多い。
【0025】図3及び図4は本発明に係る格子状磁性膜
の第二実施形態を示し、図3は部分平面図、図4は図3
におけるIV−IV線縦断面図である。以下、この図面に基
づき説明する。
【0026】本実施形態の格子状磁性膜20は、第一の
方向22Xに伸びる多数の磁性細線22と、第一の方向
22Xに交差する第二の方向24Yに伸びる多数の磁性
細線24とからなる。磁性細線22,24はGMR用の
多層膜であり、格子状磁性膜20は磁気抵抗効果素子と
して用いられる。格子状磁性膜20には、四つの電極3
01〜304が設けられている。そして、電極301,
302には定電流源32が接続され、電極303,30
4には電圧計34が接続されている。
【0027】図5は、格子状磁性膜20の第一の製造方
法を示す端面図である。以下、この図面に基づき説明す
る。
【0028】まず、SiO2 膜16付きのSi基板18
上に、二層のPMMAレジスト26,28を塗布した
(図5〔1〕)。上層のPMMAレジスト26の厚さは
50〔nm〕、下層のPMMAレジスト28の厚さは200
〔nm〕である。PMMAレジスト28の感度は300
〔μC/cm2 〕であり、PMMAレジスト26の感度
は少し低く400 〔μC/cm2 〕である。二層のPMM
Aレジスト26,28としたのは、電子線描画後に現像
した際のレジストパターンの断面をリセス(ひさし)状
とするためである。これにより、レジストパターン上に
スパッタ又は蒸着により磁性体を成膜した後に、リフト
オフしやすくなる。
【0029】続いて、PMMAレジスト26,28に電
子線ビームで磁性細線パターンの描画を行った。描画条
件は、電流100 〔pA〕、加速電圧50〔keV〕とし
た。描画した磁気細線パターンは、縦横に直交する幅80
〔nm〕、長さ100 〜1000〔μm〕、ピッチ400 〔n
m〕の多数の線からなる。描画後、メチルイソブチルケ
トンとイソプロピルアルコールとの現像液(混合比1対
1)中に約30秒浸すことにより、PMMAレジスト2
6,28を現像した(図5〔2〕)。その後、現像液を
蒸発させるために、窒素ガス中で約30分ベーキングを行
った。
【0030】続いて、イオンビームスパッタリング法で
強磁性体からなる多層膜24’を成膜した(図5
〔3〕)。スパッタリング法以外に、蒸着法でも同様の
成膜ができる。多層膜24’は、3〔nm〕の鉄と1
〔nm〕のクロムとを、交互に50層積層したものであ
る。鉄を強磁性体として用いると、そのままでは鉄が酸
化鉄になることにより、単位体積あたりの磁気モーメン
トが純鉄の約1/4 になってしまう。そこで、これを極力
防ぐため、保護膜として厚さ3〔nm〕のAlで、鉄の
上部を被覆した。この場合、AlのほかにPtやAu等
を用いることもできる。
【0031】多層膜24’を積層後、アセトン中でリフ
トオフを行うことにより、磁性細線24が形成されてい
ることを確認した(図5〔4〕)。
【0032】続いて、図示しないが、再び膜厚1〔μ
m〕のPMMAレジストを塗布した。続いて、約500
〔μm〕角の電極パターンを、磁性細線24にまたがる
ように、電子ビームで露光した。現像後、厚さ100 〔n
m〕の金をスパッタ成膜した。その後、上述と同じ条件
でアセトンでリフトオフすることにより、電極301〜
304(図3)を形成した。また、電極材料は酸化しに
くいプラチナでも問題はなかった。
【0033】この製造方法の場合、図3に示すように、
電極301〜304が同一平面上にあるため、電流は磁
気抵抗効果素子の平面方向に流れる。すなわちCIP構
造である。さらに高感度にするためには、電流を垂直方
向(CPP構造)に流すように電極を加工してもよい。
この場合は、最初に下部電極を形成し、その上に磁性細
線を形成し、その上に上部電極を形成すればよい。
【0034】図6は、格子状磁性膜20の第二の製造方
法を示す端面図である。以下、この図面に基づき説明す
る。図5の製造方法はポジレジストを用いているが、図
6の製造方法はネガレジストを用いている。以下、この
図面に基づき説明する。
【0035】まず、シリコン酸化膜16付きのシリコン
基板18上に多層膜24’、その上に膜厚2〔nm〕の
Pt膜40をスパッタ成膜する。続いて、Pt膜40上
に高分解能のネガレジスト42を1μmの厚さで塗布す
る(図6〔1〕)。
【0036】続いて、電流100 〔pA〕、電子線ドーズ
400 〔μC/cm2 〕の条件で電子線ビームにより、線
幅80〔nm〕、ピッチ300 〔nm〕、本数104 〜107 の
磁性細線パターンを描画した。続いてネガレジスト42
を現像した(図6〔2〕)。
【0037】続いて、Arガス中で多層膜24’のエッ
チングを行った。このとき、Arガス導入時の圧力は5
×10-5〔Torr〕、時間は30秒であった。そして、ネ
ガレジスト42をマスクとし、Pt膜40及び多層膜2
4’を順次エッチングし、Si基板18が現れた時点で
エッチングを停止した(図6〔3〕)。ネガレジスト4
2の膜厚を1〔μm〕にしたのは、磁性細線24の鉄が
エッチングされないようにしたためである。
【0038】続いて、磁性細線24上部に残存したネガ
レジスト42は、酸素プラズマアッシャーで除去した
(図6〔4〕)。
【0039】最後に、図示しないが、電極パターンを電
子線ビームで形成し現像後、金をスパッタ成膜して電極
301〜304(図3)を形成した。パターン形成及び
成膜の条件は、上述と同じにした。金に代えてプラチナ
を用いたり、スパッタ法に代えて蒸着法を用いることも
できる。
【0040】なお、多層膜24’には、例えばコバルト
とクロムとを交互に積層した構造や、強磁性体と磁性
体以外の材料とを交互に積層した構造を用いることもで
きる。また、パターン形成法も電子線ビーム法に限定さ
れることはない。
【0041】図7は、格子状磁性膜20の磁気特性を示
すグラフである。以下、図3及び図7に基づき説明す
る。
【0042】図3に示すように、磁場Hを磁性細線22
に平行に印加した。形状異方性効果によって、磁場Hに
垂直方向(磁化困難軸24a)に伸びている磁性細線2
4の保磁力H1は、磁場Hに平行方向(磁化容易軸22
a)を向いている磁性細線22の保磁力H2より小さく
なる。
【0043】図3に示す電極301〜304、定電流源
32及び電圧計34を用いて、4端子法により、格子状
磁性膜20の磁気抵抗特性を測定した。その結果、図7
に示すように、磁場H1(30〔Oe〕)で磁場Hに垂直
方向に配向している磁性細線24の磁化が反転し、この
状況を反映して磁気抵抗は磁場H1で不連続的なジャン
プが起きた。このとき、磁気抵抗が50〔Ω〕から100
〔Ω〕に変化したので、MR比は100 〔%〕、磁気感度
は1.4 〔%/Oe〕であった。このジャンプの大きさ
は、磁性細線24の体積の全磁性細線22,24に占め
る割合にほぼ比例していた。さらに磁場Hを強めていく
と、磁場Hに平行方向に配向している磁性細線22の磁
化の変化はあまりなく磁気抵抗はなだらかな変化を示
し、磁場H2(100 〔Oe〕)で磁性細線22の磁化が
反転した。
【0044】強磁性体を用いた人工格子磁気抵抗効果素
子(鉄−クロム、コバルト−銅)では、積層数を増やす
ことにより、スピン散乱の頻度を増加できるので、さら
に大きな磁気抵抗変化が得られる。この現象は格子状磁
性膜20を用いた磁気抵抗効果素子でも見られ、多層膜
構造をとることにより磁気抵抗比及び磁場感度が向上
し、特に磁場感度は10倍に向上した。
【0045】第一及び第二実施形態では、互いに直交し
ている磁性細線がそれぞれ同じ太さと厚みを持つ。しか
し、磁性細線の厚みや太さを変えたり、磁性細線の交差
の角度を変えたり、磁性細線を方向毎にそれぞれ異なる
材料で作製したりすることによって、磁気特性にさらに
多様性を持たせることが可能である。
【0046】次に、本発明に係る格子状磁性膜の第三実
施形態を説明する。本実施形態の構成は、第一及び第二
実施形態に準ずるので、その図示を省略する。
【0047】本実施形態の格子状磁性膜は、第一の方向
に伸びた磁性細線と第二の方向に伸びた磁性細線とが、
互いに異なる材料からなるものである。磁性細線を方向
毎に異なる材料で形成する方法は、次のとおりである。
まず、レジストを塗布し、どちらか1方向(Y方向)を
向いている磁性細線群の露光及び現像を行う。その後、
パーマロイをスパッタ成膜し、リフトオフを行うことに
より、磁場に垂直方向の磁性細線群を完成させる。続い
て、再度レジストを塗布し、もう1つの方向(X方向)
を向いている磁性細線群の露光及び現像を行う。その
後、コバルトをスパッタ成膜し、リフトオフを行うこと
により、磁場に平行方向の磁性細線群を完成させる。
【0048】磁場をもしX方向に印加すると、Y方向を
向いているパーマロイの磁化が反転し(磁場=10〔O
e〕)、更に磁場を強めていくと100 〔Oe〕の磁場で
磁場と同方向(Y方向)を向いているコバルトの磁化が
反転する。磁気抵抗は、10〔Oe〕で50〔Ω〕から100
〔Ω〕に上昇し、100 〔Oe〕で100 〔Ω〕から50
〔Ω〕まで減少する。磁気抵抗比は100 〔%〕であり、
磁場感度は1.11〔%/Oe〕である。
【0049】図8は、本発明に係る格子状磁性膜の第四
実施形態を示す概略平面図である。以下、この図面に基
づき説明する。
【0050】本実施形態の格子状磁性膜50は、第一の
方向52Xの磁性細線52と、第二の方向54Yの磁性
細線54との多数の交点56間に、多数のくびれ構造5
8が形成されている。くびれ構造58を形成する方法の
1つは、磁性細線52,54と同じ幅のドットを50〔n
m〕の隙間をあけて450 〔μC/cm2 〕(少しオーバ
ードーズ)で描画を行う。そうすれば、ドット同士がち
ょうど端で連結することにより、くびれ構造58が形成
される。もう1つは、くびれ構造58そのものを適正ド
ーズで周期的に電子線ビームにより描画する方法であ
る。
【0051】くびれ構造58の部分(曲率が高い)で
は、漏洩磁束密度が増大し磁化が集中するので、磁極が
形成される。例えば、1〔μm〕の磁性細線52,54
に500個のくびれ構造58を微細加工で形成すれば、く
びれ構造58の部分に500 個の磁極が形成される。した
がって、単磁区領域数(ビット数)は、くびれ構造58
の数を適宜制御することにより、所望の記録密度媒体を
形成することが可能である。本実施形態では、500 〔ギ
ガビット/インチ2 〕の記録密度を達成した。なお、く
びれ構造58は、交点56間に二個以上隔てて設けても
よいし、交点56そのものに設けてもよい。
【0052】図9は、本発明に係る格子状磁性膜の第五
実施形態を示す概略断面図である。以下、この図面に基
づき説明する。
【0053】本実施形態の格子状磁性膜60は、格子状
に配設された多数の磁性細線62が、非磁性導体64で
相互に電気的に接続されたものである。磁性細線62
は、鉄とコバルトとからなり、膜厚が20〔nm〕であ
る。非磁性導体64は、膜厚20〔nm〕のクロム膜であ
り、磁性細線62を覆うようにスパッタ成膜されたもの
である。
【0054】これにより、鉄とクロムの細線周期構造が
得られた。そして、クロム両側の鉄のスピンがそろった
場合(約100 〔Oe〕)に、磁気抵抗(40〔Ω〕)が最
小となった。一方、両側のスピンが反平行の低磁場領域
(約30〔Oe〕)では、磁気抵抗(100 〔Ω〕)は最大
となった。
【0055】この場合、磁気的相互作用が及ばない程、
磁性細線62のピッチが大きければ(磁性細線62の間
隔が約400 〔nm〕)、互いの磁性細線62間の磁気的
カップリングがなくなるので、個々の磁性細線62の磁
化が個々独立に振る舞う割合が増えることにより保磁力
が向上する。磁性細線62が鉄の場合、100 〔nm〕以
下のピッチで30〔Oe〕の保磁力が得られ、ピッチを大
きくすることにより連続的に保磁力を大きくでき、1
〔μm〕以上のピッチで2000〔Oe〕の保磁力が得られ
る。このように、磁性細線62のサイズを適宜設計する
ことにより、層間結合を利用して保磁力等の磁気特性を
制御することが可能となる。
【0056】ここで更に低磁場での感度を増加させるた
めに、磁場に垂直方向を向いている磁性細線62を熱処
理したところ、数〔Oe〕まで低下させることができ
た。このとき、磁場に垂直方向の磁性細線62を先にリ
フトオフにより形成し、これを熱処理し、その後再度レ
ジストを塗り平行方向の磁性細線62をスパッタにより
形成した。
【0057】上記実施形態では、主に鉄の場合を例に挙
げたが、保磁力を下げるためにパーマロイを用いること
もできる。金属はスパッタ法以外に蒸着法で形成しても
良い。
【0058】
【発明の効果】本発明に係る格子状磁性膜によれば、微
細加工技術を用いてGMR多層膜からなる多数の磁性細
線を格子状に配設し、この格子状磁性膜全体に印加され
た磁場に対応して変化する格子状磁性膜全体の電気抵抗
を利用することにより、所望の磁気特性が得られるの
で、高感度の磁気抵抗効果素子及び高密度の磁気記録媒
体を実現できる。
【0059】例えば、微細加工技術により任意の形状に
磁性細線を加工することにより、磁気抵抗値を任意の値
に設定することができる。これは、従来の低抵抗なトン
ネル電流型素子(CPP構造)にはない長所を有してい
る。
【0060】また、磁性細線、格子パターン、形状異方
性、多層膜構造を変化させることにより、特に保磁力、
飽和磁化、磁気抵抗(ヒステリシス特性も含む)の傾き
(磁場感度)などの磁気特性を自由に制御することがで
きる。特に低磁場での磁気抵抗比感度を高くでき、高抵
抗領域を拡大でき、かつ飽和磁場を大きくできる。この
ように、磁気抵抗効果素子を意図的に格子状の磁性細線
構造にし、保磁力等の磁気特性を制御することは、従来
の磁気抵抗効果素子では実現不可能であった。
【0061】更に、ナノスケールに強磁性体を加工した
り、くびれ構造を磁性細線に形成することにより、個々
のパターンを単磁区構造に形成して、従来にない高密度
な磁気記録媒体をも提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る格子状磁性膜の第一実施形態を示
す部分平面図である。
【図2】図1におけるII−II線縦断面図である。
【図3】本発明に係る格子状磁性膜の第二実施形態を示
す部分平面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線縦断面図である。
【図5】図3の格子状磁性膜の第一の製造方法を示す端
面図であり、図5〔1〕〜図5〔4〕の順に工程が進行
する。
【図6】図3の格子状磁性膜の第二の製造方法を示す端
面図であり、図6〔1〕〜図6〔4〕の順に工程が進行
する。
【図7】図3の格子状磁性膜の磁気特性を示すグラフで
ある。
【図8】本発明に係る格子状磁性膜の第四実施形態を示
す部分平面図である。
【図9】本発明に係る格子状磁性膜の第五実施形態を示
す部分断面図である。
【図10】強結合型GMR素子のM−H特性と磁気抵抗
特性とを示すグラフである。
【図11】弱結合型GMR素子のM−H特性と磁気抵抗
特性とを示すグラフである。
【図12】非結合型GMR素子のM−H特性と磁気抵抗
特性とを示すグラフである。
【符号の説明】
10,20,50,60 格子状磁性膜 12,14,22,24,52,54,62 磁性細線 58 くびれ構造 64 非磁性導体

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 GMR多層膜で形成された多数の磁性細
    線が、第一の方向に伸びるとともに、この第一の方向に
    交差する第二の方向にも伸びてなる、格子状磁性膜であ
    って、 当該格子状磁性膜全体の電気抵抗を測定するための電極
    は、電流が磁気抵抗効果素子の平面方向に流れるように
    格子状磁性膜と同一平面上に設けられていることを特徴
    とする格子状磁性膜。
  2. 【請求項2】 前記第一の方向に伸びた磁性細線と前記
    第二の方向に伸びた磁性細線との交点間又は交点そのも
    のに、くびれ構造が形成された、請求項1記載の格子状
    磁性膜。
  3. 【請求項3】 前記多数の磁性細線同士が非磁性導体で
    接続された、請求項1又は2記載の格子状磁性膜。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の格
    子状磁性膜を用いた、磁気抵抗効果素子。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の格
    子状磁性膜を用いた、磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記磁性細線が基板面に形成され、前記
    第一の方向及び前記第二の方向のうちの少なくとも一方
    の磁性細線の磁化方向が、前記基板面に対し垂直であ
    る、請求項記載の磁気記録媒体。
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