JP3300945B2 - 生藺草の染色方法 - Google Patents

生藺草の染色方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、藺草の染色方法、
詳しくは色目変色防止性に優れ環境に優しい生藺草の染
色方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、乾燥藺草の製造は、刈り取り
した藺草を泥染液に浸漬して泥染させ、その後、天日或
いは熱風乾燥機で乾燥させ、藺草特有の緑色を保持する
ように行われる。しかしながら、この乾燥藺草は、日光
によって褪色しやすく1〜2年で緑色が黄褐色に変色し
て新鮮味が失われる耐光性の低いものであった。また、
花ござなどを製造する場合は、この乾燥藺草を塩基性染
料を用いて所望の色彩に染色するが、このものも耐光性
は低く色褪せは否めなかった。
【0003】また、上記藺草で織成された畳表は、コー
ヒーやお茶或いは醤油などがこぼれた場合、いくら早く
ふき取っても変色してシミができるため、該藺草や該藺
草で織成された畳表に樹脂加工が施されるが、これらは
天然の色味、風合いを著しく劣化されるものであった。
【0004】一方、藺草の耐光堅牢度を向上させるため
に、色褪せしにくい染料や顔料を使用して染色も行われ
てきた。特開昭63−295202号公報には藺草を塩
基性染料を改善させた分散染料を用いた染色法、特開平
5−318419号公報には耐光性の良好な染料である
含金属錯塩染料を用いた染色法がそれぞれ提案されてい
る。しかしながら、酸性染料を用いる藺草の染色に関し
ては、その記載がないのみならず特開昭63−2952
02号公報には、藺草については全く染着しないと説明
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記問題
点に鑑みてなされたものであり、藺草を染色する際にで
きるだけ生きた状態で、酸性染料及び染色助剤を含有す
る染色水溶液に浸漬させると、藺草に対する染料の浸透
性が向上すると共に、色目及び風合いが優れ、且つ褪色
しにくい染色藺草が得られることを見出した。
【0006】即ち、本発明の目的は、比較的環境汚染を
起こし難い酸性染料を用いて、日光によって褪色し難
く、しかも織成した畳表に醤油やコーヒー等がこぼれて
も変色しないで、藺草に於ける天然の風合いを阻害させ
ない生藺草の染色方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1記載は、刈り取り後10時間以内
の生きた状態下の生藺草を、その切断面を下方に向けて
生育時と同様の立位状態となし、所望の色彩に発色する
酸性染料及び染色助剤を含有する染色水溶液内へ、藺草
丈長を1/2〜1/4の複数段階に分け、下方から断続
的に浸漬させ、根元部から3時間〜14時間かけて断続
的に浸漬させ、全体が浸った状態で2時間〜10時間浸
漬させ、下部切断面より茎髄内に染色水溶液を浸透させ
て染色処理することを特徴とする。
【0008】この際、本発明に於ける藺草は、刈り取り
直後24時間以内、好ましくは10時間以内の生きた状
態にある細胞が比較的に多い生藺草である。この場合、
下方に向けられた刈り取り切断面から、藺草の水分吸収
機能により茎髄内まで効率よく染色することができる。
【0009】また、染色水溶液中への浸漬時間は凡そ5
時間〜24時間、好ましくは5時間〜15時間程度とな
される。この浸漬時間は、藺草の刈り取りからの経過時
間に応じて適宜設定され、刈り取り後間のないものは短
時間、少し時間が経過して吸水機能が衰えたものは比較
的長時間浸漬される。ここに、藺草丈長は複数段階に分
けて断続的に浸漬されるのであり、根元部と先端部の浸
漬時間に時間差が生じるようになされるのである。これ
は、根元部と先端部での表皮の堅さの違いによる表皮の
染め斑を丈長間で防ぐためであり、また染色水溶液から
露出する部分の蒸散作用を利用して上記水分吸収機構を
促すためである。本発明では、藺草丈長を1/2〜1/
4のセクションに分け(通常2〜3セクションに分け
る)、根元部から凡そ3時間〜14時間かけて断続的に
浸漬させ、全体が浸かった状態で2〜10時間浸漬させ
て仕上げる。これに対し従来は、乾燥藺草を使用するこ
とから、藺草の染め斑を避けるために、染色液に一度に
浸漬して一度に引上げる方法が採られていたが、本発明
は生藺草を用いて上述の通り藺草の丈長を複数段階に分
け、表皮質に応じて時間差を生じさせた染色を行うので
ある。
【0010】本発明に於ける酸性染料は、食品添加物の
一つであって人体に害の少ない食用色素を使用する。該
食用色素としては、所望の色彩を呈する周知の食用色素
を適宜採択配合するものとし、例えばファストグリーン
FCF、ニューコクシン、タートラジン、ブリリアント
ブルーFCFなどを使用する。この際、染料は水100
重量%に対して0.2〜10.0重量%、好ましくは
0.5〜5.0重量%溶かして染料水溶液となされる。
また、生きている組織或いは細胞を染色するための生体
染色用色素を採用してもよく、この場合、比較的害の少
ない合成色素、例えば、エオシン、酸性フクシン、ライ
ト緑、ヤヌス緑B、アニリン青、コンゴー・レッド等を
使用したりする。
【0011】また、染色助剤としては、酸化クロム、シ
ョ糖及び硫酸銅が使用され、これらのみを単独で使用し
てもよいし、他の周知の媒染剤、促染剤、均染剤或いは
変色防止剤等と併用してもよい。この際、酸化クロムは
上記酸性染料の固着性を増して色調の深さや鮮やかさを
増すものであり、上記染料水溶液に0.02〜0.15
重量%、好ましくは0.05〜0.10重量%加えられ
る。ショ糖は生藺草の細胞内へ染色水溶液を効率よく浸
透させていくものであり、生藺草の細胞と同程度の浸透
圧となすように上記染料水溶液に対して0.5〜10.
0重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%加えられ
る。ショ糖を多量に添加した場合には原形質分離が生
じ、逆に細胞液が放出され、染色水溶液の吸収が困難と
なるので好ましくない。硫酸銅は、クロロフィルのマグ
ネシウムイオンを銅イオンに置換させるものであり、生
藺草重量に対して2.0〜20.0重量%、好ましくは
5.0〜10.0重量%加える。このマグネシウムイオ
ンを銅イオンで置換された銅クロロフィルは、それ自体
食品着色料として知られるものであり、藺草の細胞自身
が安定な染料に変換されることから、藺草は鮮やかな緑
色を維持でき、恰も褪色しないのと同様に見えるものと
考えられる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図1に示すフロー
チャートを参照して具体的に説明する。刈り取りした藺
草(1)は、刈り取り直後或いは凡そ2時間程度経過し
た生きた状態にある生藺草をそのまま採用する。
【0013】染色水溶液を調合(2)するに際しては、
藺草染色容器に水、市販の食用色素緑色3号(ファスト
グリーンFCF)、酸化第二クロム、硫酸銅、ショ糖、
食酢を夫々れ一定量加えて攪拌する。次に該染色水溶液
に上記藺草を浸漬(3)させる。この際、浸漬時間は、
藺草の生育状態、即ち藺草の若さ、堅さに応じて適宜設
定できるが、本発明者の数多実験結果から根元部から先
端部までを2〜4セクションに分け(好ましくは2〜3
セクション)、根元部から段階的に浸漬させていき、且
つ各セクションを凡そ3〜7時間ずつかけながら浸漬さ
せる。而して、あと全体が浸かった状態で更に2〜8時
間浸漬したものが最も優れたものとなることが解った。
(これは細胞質内の隅々まで染液が充填されるものとな
っていることを根元側から先端までの切断面で確認し
た。)尚、実験に於ける藺草及び染色水溶液の配合分量
の一実施例を以下に示す。 水 2リットル 生藺草 250グラム 食用色素緑色3号 18.8グラム 酸化第二クロム 1.4グラム ショ糖 18.8グラム 食酢 100ミリリットル 硫酸銅 18.8グラム この染色水溶液の濃度及び各染色助剤の配合は、藺草の
生育状態或いは使用者の好みにより適宜設定できる。
【0014】本発明に於いては、酸性染料を固着させる
ために、入手、取り扱いが簡単な食酢を使用したが、こ
れに限定されることなく酢酸或いは氷酢酸などを使用し
てもよい。この場合、食酢に含有される酢酸濃度を考慮
して適宜添加量を調整するものとする。
【0015】上記藺草を染色水溶液より取出し、水切り
(4)を行い凡そ1時間経過後に、染土を均一に分散さ
せた染土水槽に浸漬して染土処理(5)を行う。この水
切りは藺草を完全に乾燥させるまで行う必要はなく、染
色水溶液がたれ落ちない程度でよい。この染土処理は周
知の並染土を使用し、従来より行われている周知の方法
で行われるものとする。従来より、この染土処理は、藺
草を染色する前に行われるか、或いは染土を染色水溶液
に加えて染色と同時に行われたりするが、本発明に於い
ては、藺草を染色した後行われる。次に、藺草を染土水
槽から一度に取出し、乾燥室に入れて凡そ40℃〜50
℃の温度で6時間〜7時間かけて乾燥(6)させて染色
藺草(7)を得る。この乾燥処理に於いては、従来と同
様に温風で乾燥するものとする。この際、染土処理を行
ったものは、乾燥時間を短縮ならしめると共に、染色さ
れた色彩を天然のものに近いナチュラルな仕上がりとな
らしめる。
【0016】また、上記方法に於いては、酸性染料に食
用色素緑色3号を使用し藺草特有の緑色に近いものに仕
上げたが、所望の色彩に発色する食用色素を単独で或い
は適宜割合で配合なさしめることにより、生藺草を種々
の色に染色することができる。而して、花ござの場合に
は、種々の色彩に染色された藺草を適宜組合わせて織成
するものとなる。また、食用色素の代わりに生体染色用
色素を用いる場合は、その濃度を重量比で水100%に
対し通常0.001〜0.1%とし、pHを適宜調整す
るものとする。即ち、上記条件で食酢を使うこと以外
は、上記実施例と同様の手順で行われるものとなる。
【0017】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成するものであっ
て、本発明によって染色された藺草は、その根元側から
先端までの内部細胞質が均一に染色されたものとなって
いるため、耐光堅牢度の極めて優れたものであり、長期
間に渡って褪色が少なく畳表などへの商品価値が極めて
高いものである(少なくとも4〜5年間は新品と変りが
ない)。尚、茎髄内まで染色されていることは、例え畳
の表皮に傷や剥がれが生じても、従来のように茎内の未
染色部分が露出せず、従って傷や剥がれが目立たないも
のとなる。
【0018】また、染料として人体に害のない食品色素
を使用することから、染色後の廃液処理或いは使用済の
畳表を廃棄処分する際も、手間のかかる処理を一切必要
とせず、人体や環境に優しいだけでなく経済的にも優れ
た効果をもたらすことができる。また、使用済の畳表は
有機肥料(堆肥)として利用できる点でも、近年取り上
げられる環境問題に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る染色藺草の製造工程を示す説明図
である。
【符号の説明】
(1) 藺草刈り取り工程 (2) 溶剤、染料調合工程 (3) 溶液浸漬工程 (4) 水切り工程 (5) 泥染工程 (6) 乾燥工程 (7) 染色藺草

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 刈り取り後10時間以内の生きた状態下
    の生藺草を、その切断面を下方に向けて生育時と同様の
    立位状態となし、所望の色彩に発色する酸性染料及び染
    色助剤を含有する染色水溶液内へ、藺草丈長を1/2〜
    1/4の複数段階に分け、下方から断続的に浸漬させ、
    根元部から3時間〜14時間かけて断続的に浸漬させ、
    全体が浸った状態で2時間〜10時間浸漬させ、下部切
    断面より茎髄内に染色水溶液を浸透させて染色処理する
    ことを特徴とする生藺草の染色方法。
  2. 【請求項2】 上記染色処理後、水切りを行い凡そ1時
    間経過後に、染土を均一に分散させた染土水槽に浸漬し
    て染土処理を行うことを特徴とする請求項1記載の生藺
    草の染色方法。
  3. 【請求項3】 染色処理後、乾燥室に入れて凡そ40℃
    〜50℃の範囲で6時間〜7時間かけて乾燥させること
    を特徴とする請求項2記載の生藺草の染色方法。
  4. 【請求項4】 酸性染料を食用色素とし、また染色助剤
    として酸化クロム、ショ糖及び硫酸銅を使用することを
    特徴とする請求項1、2又は3記載の生藺草の染色方
    法。
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